JP4217989B2 - 燃焼装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃焼装置に関するものであり、特に燃焼ガスの潜熱を利用する熱交換器を備えた燃焼装置として好適なものである。
床暖房等の暖房器具への熱媒体供給と、風呂の追い焚き機能を一台の燃焼装置で賄う構造の燃焼装置が知られている。図23は、従来技術における暖房機能と風呂の追い焚き機能を兼ね備えた燃焼装置の配管系統図である。
従来技術の燃焼装置100は、缶体2と風呂用熱交換器20、風呂熱動弁21、暖房循環ポンプ23、膨張タンク24によって構成されている。また缶体2の中にはバーナ6と気・液熱交換器8が内蔵されている。
燃焼装置100には高温往き口30と、低温往き口34及び暖房戻り口31が設けられている。そして燃焼装置100の内部において、暖房戻り口31が膨張タンク24に接続され、さらに暖房循環ポンプ23を経て気・液熱交換器8の入り側に接続されている。気・液熱交換器8の出側は、高温往き口30に接続されている。
また暖房循環ポンプ23の出側と気・液熱交換器8の入り側の間が分岐され、低温往き口34に接続されている。
気・液熱交換器8の出側と膨張タンク24の入り側との間にバイパス流路26がある。
また気・液熱交換器8の出側が分岐されて風呂用熱交換器20が取り付けられており、風呂用熱交換器20の出側は暖房戻り口31と膨張タンク24の間に接続されている。風呂用熱交換器20を通過する流路32には風呂熱動弁21が設けられている。
図23に示す燃焼装置は、ファンコンベクタ等に導入する高温の湯又は熱媒体(以下、単に高温の湯)と、床暖房等に使用する低温の湯又は熱媒体(以下、単に低温の湯)を作り出すことができるものであり、さらに風呂の追い焚き機能も兼ねる。
すなわち図23に示す燃焼装置では、ファンコンベクタ等の高温の湯を要する機器が高温往き口30と暖房戻り口31の間に接続され、燃焼装置とファンコンベクタ等との間で一連の循環路が形成される。また床暖房装置等の比較的低温の湯を要する器具が低温往き口34と暖房戻り口31の間に接続され、燃焼装置100と床暖房装置等との間で一連の循環路が形成される。
次に従来技術の機能を説明する。
まず高温の湯の流れについて説明すると、暖房戻り口31に回収された湯は、膨張タンク24に入り、さらに暖房循環ポンプ23によって加圧されて気・液熱交換器8を流れる。そして気・液熱交換器8によって高温に加熱され、高温往き口30から排出されてファンコンベクタ等に至る。
また暖房戻り口31に回収された湯は低温であるが、従来技術の燃焼装置100では、気・液熱交換器8の出側と膨張タンク24の入り側との間にバイパス流路26があるため、高温の湯の一部がバイパス流路26を通って回収された湯に混じる。そのため回収された湯はバイパス流路26から導入される高温の湯によって昇温され、暖房循環ポンプ23によって加圧される。そして前記した様に暖房循環ポンプ23によって加圧された湯の一部は気・液熱交換器8に流れるが、残部は分岐されて低温往き口34に流れ、床暖房機等に至る。
なおファンコンベクタ等の高温の湯を要する機器や、床暖房機等の低温の湯を要する機器には常時湯が流れるのではなく、図示しない弁によって湯の流れが断続される。
一般にファンコンベクタ等の高温の湯を要する機器には開閉弁が内蔵されており、当該開閉弁が開いたときに限ってファンコンベクタ等に高温の湯が流れ込む。また床暖房機等の低温の湯を要する機器は燃焼装置に付属する開閉弁を介して湯が流れ込む。すなわち燃焼機器には一般に開閉弁が内蔵、又は外付けされており、当該開閉弁が開いた時に限って床暖房機等に湯が流れ込む。
また気・液熱交換器8によって高温に加熱された湯の一部は、風呂用熱交換器20に流れ、浴槽内の湯と熱交換され、浴槽内の湯を加熱する。
ところで、近年、省エネルギーや環境保護の観点から、従来の燃焼装置よりもさらにエネルギー効率の高い燃焼装置が切望されている。そこで、本発明者らはかかる要望を解決すべく燃焼ガスの顕熱に加えて潜熱も回収可能な潜熱回収型燃焼装置の研究に着手した。
潜熱回収型燃焼装置は、主として燃焼ガスの顕熱を回収する第1熱交換器と、主として潜熱を回収する第2熱交換器とを備えるものであるが、上記した様な、高温の湯と低温の湯を作り出す燃焼装置において、第1、第2の熱交換器と暖房循環ポンプ23等をどの様に配管接続すべきかという点についての先行研究は少ない。つまりこれらの機器配管をどの様に接続すべきかという点についての先行技術は極めて少ない。
そのため各配管構成を採用した場合における問題点についても全く知られていないのが現状である。
本発明者らの試作によると、たとえば図24に示す燃焼装置101の様に、第2熱交換器10を第1熱交換器8の湯の流れの上流側に直列に接続すると、第2熱交換器10の熱効率が低下してしまうという問題点がある。すなわち高温の湯と低温の湯を作り出す燃焼装置においては、低温の湯を作りだすために暖房戻り口31から回収された湯にバイパス流路26から導入された高温の湯を混ぜる。図24の構成では、このように高温の湯が混じった湯が第2熱交換器10に流れる。ここで高温の湯が混入された湯(低温の湯)は、通常60°C程度であるのに対し、排気ガスの露点は50°C程度である。このように図24の構成では、排気ガスの露点よりも第2熱交換器10に導入される湯の温度の方が高い状況となってしまうので、第2熱交換器10で有効な潜熱回収ができなくなってしまう。またそうならないまでも、排気ガス温度と第2熱交換器10に導入される湯の温度との差が小さくなることによって熱交換効率が低下する。
そこでこの対策として図25に示す様な燃焼装置102を試作した。すなわち第2熱交換器10に導入される湯の温度を低く抑えるために図25の様に暖房戻り口31を直接、第2熱交換器10に接続し、この間に枝管を全く設けない構成とした。しかしこの構成の燃焼装置102は第2熱交換器器10内の湯が沸騰するという予期しない問題があった。
すなわち図25に示す燃焼装置102では、バイパス流路26は、第1熱交換器8の両端側だけを短絡するものであるから、低温の湯を断続するための開閉弁(燃焼装置に付属するもの等 図示せず)や、暖房器具側の開閉弁が閉じていると、第2熱交換器側10に通水されない。
すなわち図25に示す燃焼装置102では、暖房用循環ポンプ23を起動すると、バイパス流路26を経由して第1熱交換器8に通水がなされるが、第2熱交換器10には通水がない。そのためバーナ6が燃焼をしているが、高温往き口30からも低温往き口34からも出湯がされないタイミングの時には、第2熱交換器10は、通水が無い状態で加熱されることとなり、異音が発生する。
特に、この種の燃焼装置や暖房器具では、開閉弁として熱動弁が採用される場合が多いが、熱動弁は、電磁弁と異なって開閉の反応が遅い。そのため運転開始直後の様に高温往き口30に繋がる熱動弁と低温往き口34に繋がる熱動弁の双方が閉じている状態の際に燃焼が開始されると、熱動弁が開く前に第2熱交換器10の加熱が開始され、前記した様な異音発生の問題が顕著となる。
また高温の湯と低温の湯を作り出す燃焼装置においては、前記した様に低温の湯を作りだすために暖房戻り口31から回収された湯にバイパス流路26から導入された高温の湯を混ぜるので、バイパス流路26の機能は重要である。そしてこの種の装置では、バイパス流路26を流れる湯の流量をどの程度に設定するかという点が大事である。すなわち燃焼装置の熱交換器効率を向上させるためには、熱交換器の通水量をできるだけ多く確保することが大切である。そのためにはバイパス流路26の流量は、多い方が好ましい。
しかしながら、バイパス流路26の流量を増加させると、高温往き口30に至る流量が低下すると共に、暖房循環ポンプ23の揚程が低下するので、高温往き側の揚程が低下し、暖房器具側に十分な流量の湯を送ることができないという問題が生じる。
本発明は、高温の湯と低温の湯を作り出す燃焼装置であって、且つ第1、第2の熱交換器を備える構成の燃焼装置に関するものであり、このような構成の燃焼装置に対して、最適な配管構成を提案するものである。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、高温の湯又は熱媒体を出湯させる高温往き口と、前記高温往き口から出湯される湯又は熱媒体よりも低温の湯又は熱媒体を出湯させる低温往き口と、戻り口を有し、さらに燃料を燃焼する燃焼手段と、当該燃焼手段において発生した燃焼ガスと熱交換を行う第1熱交換器と、第1熱交換器よりも燃焼ガス流路の下流側に配置され第1熱交換器を通過した燃焼ガスと熱交換を行う第2熱交換器と、ポンプを備え、高温往き口又は低温往き口の少なくともいずれかと戻り口が外部の熱負荷に接続されて一連の循環回路を構成する燃焼装置において、戻り口から第2熱交換器、ポンプ、第1熱交換器の順に接続されて高温往き口に繋がり、ポンプと第1熱交換器の間が分岐されて低温往き口に繋がり、第1熱交換器の下流側が分岐されて第1バイパス流路が接続され、当該第1バイパス流路は第2熱交換器とポンプの間に接続され、さらにポンプの吐出側が分岐されて第2バイパス流路が設けられ、当該第2バイパス流路は、戻り口と第2熱交換器の間に接続されていることを特徴とする燃焼装置である。
本発明の燃焼装置では、通常の気・液熱交換器たる第1熱交換器の燃焼流路下流に潜熱回収用の第2熱交換器が設けられている。そのため本発明の燃焼装置は、熱効率が高い。
本発明の燃焼装置における高温の湯の流れについて説明すると、本発明の燃焼装置では、戻り口から第2熱交換器、ポンプ、第1熱交換器の順に接続されて高温往き口に繋がっている。また本発明の燃焼装置では、第1熱交換器の下流側から分岐された第1バイパス流路は、第2熱交換器とポンプの間に接続されている。したがって第1熱交換器を出た高温の湯であって第1バイパス流路から上流側に流れ込んだものは、すべてポンプに吸い込まれて加圧され、すべて第1熱交換器側に流れ込み、第2熱交換器の入力側には高温の湯が流れ込まない。そのため本発明の燃焼装置は、第2熱交換器に流入する湯の温度を低く抑えることができ、第2熱交換器における熱交換効率が高い。
また本発明では、低温の湯は、ポンプと第1熱交換器の間が分岐されて取り出される。本発明では、第1熱交換器の下流側から分岐された第1バイパス流路は、第2熱交換器とポンプの間に接続されているので、第1熱交換器を出た高温の湯は、当該部分で戻った湯と混合され、ポンプによって加圧される。そのため回収された湯は第1バイパス流路から導入される高温の湯によって昇温され、さらに暖房循環ポンプによって加圧される。そして前記した様に暖房循環ポンプによって加圧された湯の一部が低温往き口に流れ、床暖房機等に至る。
また発明の燃焼装置では、ポンプの吐出側が分岐されて第2バイパス流路が設けられ、当該第2バイパス流路は、戻り口と第2熱交換器の間に接続されている。そのため本発明の燃焼装置では、低温の湯を断続するための開閉弁や、暖房器具側の開閉弁が閉じられている場合でも、第2熱交換器に最低限の通水が確保される。
さらに前記した請求項1に記載の発明は、燃焼ガスの流路外に置かれて外部に熱を移動させるための第3熱交換器を有し、第1熱交換器の下流側が分岐されて前記第3熱交換器が接続され、当該第3熱交換器の出側は第2熱交換器の上流側に接続され、上記第3熱交換器を通過する流路に第3熱交流路開閉弁が設けられており、第3熱交流路開閉弁は燃焼手段が燃焼を開始してから一定時間以上、開いた状態を維持している
本発明の燃焼装置は、第2熱交換器への通水を確保することを目的としたものである。すなわち図25を用いて説明した様に、第1熱交換器だけをバイパイするバイパス流路を有する構成では、暖房用循環ポンプを起動すると、バイパス流路26を経由して第1熱交換器に通水がなされるが、第2熱交換器にはバイパス流路26を経由して通水されない。そのためバーナ(燃焼手段)が燃焼をしているが、高温往き口からも低温往き口からも出湯がされないタイミングの時には、第2熱交換器は、通水が無い状態で加熱されることとなり、異音が発生する。
そしてこの種の燃焼装置や暖房器具では、開閉弁として熱動弁が採用される場合が多いが、熱動弁は、電磁弁と異なって開閉の反応が遅いので、運転開始直後の様に高温往き口に繋がる熱動弁と低温往き口に繋がる熱動弁の双方が閉じている状態の際に燃焼が開始されると、熱動弁が開く前に第2熱交換器の加熱が開始され、前記した様な異音発生の問題が顕著となる。
そこで本発明では、風呂の追い焚き等に使用される第3熱交換器を、第2熱交換器への通水を確保するための流路として活用した。
すなわち本発明の燃焼装置では、第1熱交換器の下流側が分岐されて前記第3熱交換器が接続され、当該第3熱交換器の出側は第2熱交換器の上流側に接続され、上記第3熱交換器を通過する流路に第3熱交流路開閉弁が設けられている。したがって第3熱交流路開閉弁が開くと、第1熱交換器を出た湯は第3熱交換器を経由して第2熱交換器に流れ、第2熱交換器への通水が確保される。
しかし熱交換効率を考慮すると、第3熱交換器側に常時湯を流すことは好ましくない。そこで本発明では、燃焼手段が燃焼を開始してから一定時間以上、開いた状態を維持していることとした。すなわち前記した様に、暖房器具への通水等の断続を行う機器として熱動弁が採用され、熱動弁の反応が遅が故に、運転開始直後に高温往き口に繋がる熱動弁と低温往き口に繋がる熱動弁の双方が閉じた状態となり、第2熱交換器が通水されずに加熱される事態となる。
そこで本発明は、燃焼手段が燃焼を開始してから一定時間以上、開いた状態を維持させ、燃焼手段が燃焼を開始した直後における第2熱交換器への通水を確保した。
第3熱交換器によって熱交換を行う場合は第3熱交流路開閉弁は開いた状態が維持されるが、そうでない場合であって、且つ一定時間が経過すると第3熱交流路開閉弁が閉じる。しかし一定時間が経過すると高温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開くので、第2熱交換器の通水は維持される。
また請求項に記載の発明は、燃焼手段は、所定の信号の後、一定時間経過後に点火されることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
本発明は、たとえば暖房のための運転開始指令から遅延時間をおいて、高温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開くのを待ち、その後に燃焼を開始させる。
また請求項に記載の発明は、燃焼手段は、所定の信号の後、小発熱量で燃焼を開始し、所定の条件を満足した後、必要な燃焼量で燃焼されることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
本発明は、高温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開くまでの間、小発熱量で燃焼を行い、所定の条件を満足した後、必要な燃焼量で燃焼されるものである。
また請求項に記載の発明は、所定の条件は、一定時間の経過であることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置である。
すなわち本発明によると、一定時間が経過し、高温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開く時間を待った後、必要な燃焼量で燃焼させる。
また請求項に記載の発明は、所定の条件は、第1又は第2熱交換器の温度又はこれらの周辺温度或いは燃焼装置内の湯又は熱媒体の温度が低下傾向となることであることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置である。
本発明の燃焼装置は、第1又は第2熱交換器の温度変化から温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開いたことを検知し、その後に必要な燃焼量で燃焼させるものである。
すなわち温往き口に繋がる熱動弁又は低温往き口に繋がる熱動弁が開くと、暖房器具側から低温の湯や熱媒体が流れ込む。そのため熱動弁が開くと、一時的に第1又は第2熱交換器の温度又はこれらの周辺温度等が低下傾向となる。そこで本発明は、この現象を利用し、第1又は第2熱交換器の温度又はこれらの周辺温度等が低下傾向となった時に温往き口に繋がる熱動弁が開いたと判断し、その後に必要な燃焼量で燃焼させることとした。
以上説明した様に、請求項1に記載の燃焼装置は、第2熱交換器に流入する湯の温度を低く抑えることができるため、第2熱交換器における熱交換効率が高いという効果がある。また請求項1に記載の燃焼装置は、循環ポンプの吐出側が分岐されて第2バイパス流路が設けられ、当該第2バイパス流路は、暖房戻り口と第2熱交換器の間に接続されている。そのため本発明の燃焼装置では、低温の湯を断続するための開閉弁や、暖房器具側の開閉弁が閉じられている場合でも、第2熱交換器に最低限の通水が確保され、故障が少ないという効果がある。
また請求項2乃至6に記載の燃焼装置は、第2熱交換器への通水が確実に行なわれ、第2熱交換器が傷まず、長持ちするという効果がある。
本発明の請求項に記載された発明の実施例の説明に先立ち、請求項に記載の発明に関連する発明の構成について説明する。
図1は、本実施形態(関連発明)の燃焼装置の配管系統図である。図2は、図1の配管系統図の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。図3は、図2と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図4は、図2と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図5は、図2と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。
本発明(関連発明)の燃焼装置は、内部に独立した二系統の缶体及び配管系統を備える。すなわち図1において、右側の缶体1は、給湯用であり、左側の缶体2は、風呂及び暖房器具用に使用される。
本発明は風呂及び暖房器具用の配管系統に特徴があるので、当該部位の配管に重点を絞って説明する。
すなわち缶体2は、大別して加熱部3と、加熱部3において発生した燃焼ガスと湯水等や不凍液等の熱媒体(以下、これらを総称して単に湯と言う)とが熱交換を行う熱交換部4と、熱交換部4を通過した燃焼ガスを缶体2の外部に排出する排気部5とから構成されている。
加熱部3は、ガスや灯油等の液体燃料を燃焼するバーナ(燃焼手段)6と燃焼空間部7とから構成されている。バーナ6において発生した高温の燃焼ガスは、燃焼空間部7を通過し、熱交換部4へと流入する。
熱交換部4は、燃焼空間部7に連続した熱交換器8(第1熱交換器)と、熱交換器10(第2熱交換器)とが直列的に配置されたものである。すなわち本実施形態では、燃焼装置は、第1熱交換器8と、第2熱交換器10という2基の熱交換器を持つ。そして第1熱交換器8と、第2熱交換器10はいずれも燃焼ガスの流路内にあり、両者は燃焼ガスの流路に対して直列に配置されている。
第1熱交換器8は、主要部分が銅製であり、主として前記燃焼ガスの顕熱を回収するものであり、内部に湯が流れるフィンアンドチューブ方式の熱交換器である。熱交換器8は、燃焼空間部7に連続した位置に設けられており、燃焼空間部7から熱交換部4内に流入した高温の燃焼ガスと熱交換を行う。
第2熱交換器10は、第1熱交換器8において熱交換を行った後の燃焼ガスと熱交換を行うものである。第2熱交換器10は、主として燃焼ガスの持つ潜熱を回収するものである。燃焼ガスが保有する熱の中で、第1熱交換器8において回収されなかった熱エネルギーの大部分が第2熱交換器10において回収される。そのため、第2熱交換器10を通過した燃焼ガスは、100℃以下程度の低温となる。第2熱交換器10は、主要部分がステンレス製等であり、第1熱交換器8に比べて防錆特性に優れている。そのため、第2熱交換器10は、燃焼ガスから潜熱を回収する際に発生する酸性の凝結水に晒される雰囲気下に配置されてもほとんど腐食されず、錆が発生しない。
なお第2熱交換器10は、内部の流路が直列的であるが、流路抵抗を低減することを目的として並列的流路を有するものを採用してもよい。すなわち熱交換器の入水側と排水側にヘッダを設け、当該ヘッダから複数のフィンアンドチューブを並列に取り付ける。
また第2熱交換器10の下部にはドレン受け11が設けられている。
風呂側の回路に属する部材として、第3熱交換器20、第3熱交流路開閉弁(風呂熱動弁)21、及び風呂水循環ポンプ22がある。一方、暖房側の回路に属する部材として、暖房循環ポンプ23、膨張タンク24、及びバイパス流路開閉弁(バイパス熱動弁)25がある。
また燃焼装置には高温側の湯の往き口30と暖房の湯の戻り口31及び低温側の湯の往き口34が設けられている。以下、高温側の湯の往き口30を単に高温往き口30といい、暖房の湯の戻り口31を単に暖房戻り口31といい、低温側の湯の往き口34を単に低温往き口34という。
そして暖房戻り口31が第2熱交換器10の入り側に接続されている。また第2熱交換器10の出側は膨張タンク24に接続され、さらに暖房循環ポンプ23を経て第1熱交換器8の入り側に接続されている。また第1熱交換器8の出側は、高温往き口30に接続されている。端的に説明すると、暖房戻り口31を始点として、第2熱交換器10、膨張タンク24、第1熱交換器8が順次接続され、終点たる高温往き口30に至っている。
また暖房循環ポンプ23の出側と第1熱交換器8の入り側の間が分岐され、低温往き口34に接続されている。
また暖房器具側をバイパスするために設けられたバイパス流路26が設けられている。バイパス流路26は第1熱交換器8の湯の流れの下流側が分岐されたものであり、当該バイパス流路26は第2熱交換器10と膨張タンク24の間に接続されている。本実施形態では、第1熱交換器8の出側と高温往き口30の間に分岐点48が設けられてバイパス流路26が設けられ、バイパス流路26の他端側は、第2熱交換器10と膨張タンク24の間に接続されている。すなわちバイパス流路26は第2熱交換器10と暖房循環ポンプ23の間に接続されている。
前記したバイパス流路26は、第1熱交換器8の入側と出側を短絡するものであり、第1熱交換器8と第3熱交換器20を結ぶ1−3熱交連結路と、第2熱交換器10と第1熱交換器8を結ぶ2−1熱交連結路の間がバイパス流路26を介して配管接続されている。
当該バイパス流路26にバイパス流路開閉弁25が設けられている。バイパス流路開閉弁25は熱動弁である。またさらにバイパス流路開閉弁25をバイパスするサブバイパス流路27が設けられている。サブバイパス流路27は、バイパス流路開閉弁25を介して流れる流路に比べて細い。したがって本実施形態では、サブバイパス流路27を通じて常時バイパス流路26が開いており、バイパス流路開閉弁25を開くと、バイパス流路26の開度が増加する。言い換えると、バイパス流路26は、サブバイパス流路27によって最低流量が確保されており、バイパス流路開閉弁25を開くと、バイパス流路26を流れる流量が増大する。
バイパス流路26は第1熱交換器8の両端を短絡するものであり、第2熱交換器10は短絡されない。したがって第1熱交換器8、バイパス流路26、膨張タンク24及び暖房循環ポンプ23によって一つの環状の循環回路が構成される。
また図1,2の様に、第1及び第2熱交換器8,10に対して直列的に第3熱交換器20が設けられている。第3熱交換器20は、第1及び第2熱交換器8,10で加熱された水と、風呂の湯水との間で熱交換するものであり、液・液型の熱交換器である。したがって第3熱交換器20には一次側(熱媒体通過側)と二次側(風呂水循環側)があり、それぞれに入り側と出側がある。
第3熱交換器20は、第2及び第1熱交換器8,10に対して直列的且つ環状に配されたものであり、第3熱交換器20は、直列的に接続された状態における前記第1、第2熱交換器8,10の両端側を短絡して接続する関係に配管接続されている。
すなわち第3熱交換器20の一次側の一方の接続口は、第1熱交換器8の出側と高温往き口30の間に接続されている。具体的には、第1熱交換器8の出側と高温往き口30の間に分岐点46が設けられ、第3熱交換器20の一次側の前記接続口(入り側)は当該分岐点46に接続されている。なお本発明においては、分岐点46,48のいずれが湯の流れの上流であるか下流であるかは問題ではない。
第3熱交換器20の一次側の他方の接続口は、暖房戻り口31から第2熱交換器10に至る間に接続されている。すなわち暖房戻り口31から第2熱交換器10に至る間に分岐点45が設けられ、第3熱交換器20の一次側の他方の接続口から延長された32配管が合流し、第3熱交換器20の出側は第2熱交換器10の湯の流れの上流に接続されている。また第3熱交換器20を通過する流路には第3熱交流路開閉弁(風呂熱交弁)21が設けられている。
一方、第3熱交換器20の二次側は、風呂戻り口33と風呂往き口35に接続され、風呂戻り口33と第3熱交換器20の間には風呂水循環ポンプ22が設けられている。
高温往き口30及び暖房戻り口31は、ファンコンベクタ等の高温の湯を使用する暖房器具(熱負荷)に接続される。なおファンコンベクタ等の高温の湯を使用する暖房器具は、一般に暖房器具側に熱動弁があり、暖房器具側の熱動弁によって湯の流れが断続される。
一方、低温往き口34及び暖房戻り口31の間には、床暖房装置等の低温の湯を使用する暖房器具に接続される。床暖房装置等の低温の湯を使用する暖房器具は、燃焼装置に付属する熱動弁(図示せず)によって湯の流れが断続される。
したがって高温往き口30及び暖房戻り口31からの湯の出入りは、いずれも熱動弁によって断続される。
風呂往き口35及び風呂戻り口33は、図示しない浴槽に接続される。
また燃焼装置には、高温側温度センサー40と、低温側温度センサー41が設けられている。すなわち高温側温度センサー40は、第1熱交換器8の出口側に設けられている。高温側温度センサー40は、第1熱交換器8を出た直後の湯の温度を測定するものである。
低温側温度センサー41は膨張タンク24の底部に設けられている。低温側温度センサー41は第2熱交換器10を出て、膨張タンク24に入った湯の温度を測定するものである。
次に本実施形態の燃焼装置の作用について説明する。
本実施形態の燃焼装置によってファンコンベクタや床暖房等の暖房器具を使用する際には、缶体2内の下部に設けられた送風機によって缶体2内に送風しつつ、バーナ6で火炎を発生させる。また同時に暖房循環ポンプ23を動作させる(暖房循環ポンプ23は通常運転時には常時動作している)。その結果、暖房器具を経由して湯が第1及び第2熱交換器8,10に流れる。
すなわち器具側から暖房戻り口31を経て湯が戻り、最初に第2熱交換器10を流れる。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、バイパス流路26から流れ込んだ高温の湯と混合されて昇温され、膨張タンク24と暖房循環ポンプ23を経た後に第1熱交換器8側と低温往き口34側に分岐される。そして第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱され、さらに高温の湯が混合されて昇温された湯の一部は低温往き口34から排出され、低温の湯を使用する床暖房装置等に送られる。また湯の残部は、第1熱交換器8に入り、さらに加熱される。そして第1熱交換器8を出た湯は、高温往き口30からファンコンベクタ等の高温を要する暖房器具に送られ、室内等を温める。
なお本実施形態では、二つの往き口30,34から吐出される湯の割合を、バイパス流路26に設けられたバイパス流路開閉弁25の開閉によって調節している。すなわちバイパス流路開閉弁25を全開にすると、第1熱交換器8を出た湯の多くがバイパス流路26を流れて膨張タンク24側に戻る。その結果、高温往き口30から排出される湯の量が減少し、低温往き口34から排出される湯の量が増大する。逆に、バイパス流路開閉弁25を閉止すると、第1熱交換器8を出た湯の多くが高温往き口30から排出されるので、高温往き口30から排出される湯の量が増大し、低温往き口34から排出される湯の量が減少する。
ただし本実施形態では、バイパス流路26にサブバイパス流路27が設けられており、バイパス流路26は、サブバイパス流路27によって最低流量が確保されているので、たとえファンコンベクタ等に付属する熱動弁や燃焼装置に付属する熱動弁が閉じられ、高温往き口30と低温往き口34の双方が閉め切り状態となっていたとしてもバイパス流路26を経由する循環経路は開いている。具体的には、高温往き口30と低温往き口34の双方が閉め切り状態となっても、サブバイパス流路27を経由して第1熱交換器8に湯が流れる。
以下、説明を簡単にするために高温の湯だけを出湯させる場合、低温の湯だけを出湯させる場合及び追い焚きだけを使用する場合について個別に分けて説明する。
ファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合には、図3の太線で示される経路を通じて高温往き口30から湯が送られる。この際には、バイパス流路開閉弁25は閉じられている。また第3熱交流路開閉弁21についても閉じられている。
すなわちファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、暖房戻り口31から回収された湯は直接的に第2熱交換器10を流れる。そして高温の湯だけを出湯させて風呂の追い焚きが行なわれない状態の時は、第3熱交流路開閉弁21が閉じられており、第3熱交換器20を通過する配管32からの湯の混合はない。そのため暖房戻り口31から回収された温度の低い湯は、高温の湯と混じることなく、低い温度を維持したままの状態で第2熱交換器10に入る。そのため第2熱交換器10における熱交換効率は高い。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、バイパス流路26から導入された高温の湯と混合される。ただしバイパス流路26に設けられたバイパス流路開閉弁25が閉じられているので、バイパス流路26を流れる高温の湯は、細いサブバイパス路27を経由して流れるもののみであり、少量である。そのため第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、ほとんど回収された際の温度のままで膨張タンク24に入り、さらに暖房循環ポンプ23によって加圧されて第1熱交換器8に入る。この様に、第1熱交換器8に導入された湯は、温度が低いために、第1熱交換器8における熱交換効率も高い。
そして第1熱交換器8を出た湯は、高温往き口30からファンコンベクタ等の高温を要する暖房器具に送られ、室内等を温める。ここでファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、前記した様にバイパス流路開閉弁25が閉じられており、バイパス流路26を経由して湯の流れの上流側に戻る湯量が少ないから、高温往き口30における揚程が高い。また同様の理由から、高温往き口30からの吐出量も多い。
次に、床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合について説明する。床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合は、図4の太線で示される経路を通じて低温往き口34から湯が送られる。この際には、バイパス流路開閉弁25は開かれている。一方、第3熱交流路開閉弁21は閉じられている。
床暖房装置等の暖房器具だけに湯を送る場合についても、暖房戻り口31から回収された湯は直接的に第2熱交換器10を流れる。また先と同様に第3熱交流路開閉弁21が閉じられており、第3熱交換器20を通過する配管32からの湯の混合はない。そのため暖房戻り口31から回収された温度の低い湯は、高温の湯と混じることなく、低い温度を維持したままの状態で第2熱交換器10に入る。そのため第2熱交換器10における熱交換効率は高い。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、バイパス流路26から導入された高温の湯と混合される。ここで低温の湯だけを使用する場合には、バイパス流路開閉弁25が開かれており、バイパス流路26から高温の湯が大量に流れ込む。
そのため第2熱交換器10によってある程度の温度に昇温された湯は、バイパス流路26から流れ込んだ高温の湯によってさらに昇温され、膨張タンク24に入る。そして上記した湯は、暖房循環ポンプ23によって加圧され、その一部が第1熱交換器8に流れ込み、残部が低温往き口34側に分岐されて床暖房装置等に送られる。
ここで床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合は、バイパス流路26から暖房循環ポンプ23の上流側(吸い込み側)に戻される湯量が多いので、前記した様に暖房循環ポンプ23から吐出される湯の温度が高い。そのため低温往き口34からの吐出される湯の温度が高い。
またバイパス流路26から暖房循環ポンプ23の上流側(吸い込み側)に戻される湯量が多いので、暖房循環ポンプ23から吐出される湯の量も多い。そのため低温往き口34における揚程が高い。また同様の理由から、低温往き口34からの吐出量も多い。
さらにバイパス流路26のバイパス流路開閉弁25が開かれていると、前記した様に暖房循環ポンプ23から吐出される湯の温度が上昇するので、第1熱交換器8に流れ込む湯の温度も上昇することとなるが、第1熱交換器8に流れ込む湯の量が飛躍的に増加するので、燃焼装置の出力を上げることが可能となる。
すなわちバイパス流路開閉弁25を閉じて、バイパス流路26から暖房循環ポンプ23の上流側(吸い込み側)に戻る湯量を絞ると、第1熱交換器8に流れ込む湯の温度が低下するが、第1熱交換器8に流れ込む湯量についても減少する。そのためバーナ6の燃焼量が大きいと第1熱交換器8の湯が沸騰する。したがってバイパス流路開閉弁25を閉じると、第1熱交換器8内における沸騰を防止するために燃焼量を抑えなければならない。逆に、バイパス流路開閉弁25を開くと、低温往き口34から大量に湯を吐出する際に燃焼装置の出力を上げることができる。
次に、風呂の追い焚きだけを行なう場合について説明する。追い焚きだけを行なう場合は、図5の太線で示される経路を通じて湯が流れる。この際には、バイパス流路開閉弁25は閉じられている。一方、第3熱交流路開閉弁21は開かれている。
すなわち浴槽内の湯水を加熱する際には風呂水循環ポンプ22を起動し、第3熱交流路開閉弁21を開く。その結果、湯が第3熱交換器側20の一次側に流れ、同二次側には浴槽内の水が流れる。そして湯と浴槽内の水の間で熱交換が行われ、浴槽内の湯水が加熱される。
すなわち第3熱交流路開閉弁21を開くと、第3熱交換器側20の一次側の流路が開放される。より具体的には、第3熱交換器側20を含む並列流路たる、分岐点46,45間が連通する。その結果、暖房循環ポンプ23によって加圧され、第1熱交換器8を通過した湯が、分岐点46から分岐路47に入り、第3熱交換器側20を流れ、さらに流路32を流れて分岐点45から暖房戻り口31側の流路に入る。そして再度第2熱交換器10に流れ込む。
一方、第3熱交換器側20の二次側には、風呂水循環ポンプ22によって浴槽内の水が流れ込むので、第3熱交換器側20で熱交換が行われ、二次側の浴槽水が加熱される。
以上、高温の湯だけが要求される場合、低温の湯だけが要求される場合及び風呂の追い焚きだけを行なう場合について各熱動弁と機器内部の湯の流れについて説明したが、各機能を併用する場合における各熱動弁等の開閉状況をまとめると次の通りである。
Figure 0004217989
本実施形態では、二つの熱交換器8,10の内、第1熱交換器8の出入口だけをバイパス流路26で短絡し、第2熱交換器10は短絡しないが、第2熱交換器10についてもバイパス流路で短絡させる構成とすると、第2熱交換器10に流入する湯の温度が高くなり過ぎ、第2熱交換器10の熱効率が低下してしまうという不具合がある。特にバイパス流路開閉弁25を開いて第1熱交換器8を出た湯を上流側に戻す際、第1、第2熱交換器8,10の双方を短絡させる構成とすると、第1熱交換器8を出た高温の湯が直接的に第2熱交換器10に流れ込んでしまい、第2熱交換器10の熱効率を低下させてしまう。後記する実施形態の中には、二つの熱交換器8,10をバイパス流路57で短絡させる構成のものもあるが(図15)、熱交換効率が高いという点においては、本実施形態の構成が他の実施形態の構成よりも優れる。
上記した実施形態の燃焼装置では、一本のバイパス流路26を設けてその中途にバイパス流路開閉弁25を介在させ、さらにバイパス流路開閉弁25をバイパスするサブバイパス流路27を設けてバイパス流路26に最低流量を確保した。しかしながらバイパス流路26に対して平行に2本目のバイパス流路を設け、当該バイパス流路によって最低流量を確保してもよい。
またさらにバイパス流路26に設けた開閉弁自体にサブバイパスが内蔵されたものであってもよい。すなわちバイパス流路26に設けた開閉弁に、常時一定のリークを許すものを採用する。
この様な機能を備えた開閉弁としては、弁を通過する主たる流路の他に、小径のサブ流路を設けたものや、弁体が弁座と当接した時に両者の間が完全密着せず、両者の間に何らかの空隙が残るものが考えられる。
例えば図6に示すような弁体と弁座を採用した開閉弁を使用する。図6は、常時一定のリークを許す構造の開閉弁の弁体52と弁座53の斜視図である。
図6に示す開閉弁では弁体52の表面に溝55が設けられている。そのため弁体52が弁座53に当接したとき、弁体52は弁座53を密閉せず、溝55の部分に空隙ができる。したがって図6に示す開閉弁を使用すると、弁閉時においても溝55の部分から湯がリークし、図1,2等に示すサブバイパス27と同等の機能を果たす。
また上記した実施形態は、いずれもバイパス流路26に最低限度の流量を確保させており、その方策として、サブバイパス流路27を設けたり、バイパス流路を複数設けたり、バイパス流路開閉弁25にリークを許すものを採用したが、いずれの方策を採用する場合においても、最低限度の流量を確保するための流路は狭い。そのため長期に渡って燃焼装置を使用するとサブバイパス流路27やリークのための溝55等に異物が詰まり、最低限度の流量が確保できなることがある。またバイパス流路26に異物が詰まる故障は、発見しにくく、放置する内に他の重大な故障を併発する恐れがある。そこで次に、バイパス流路26が詰まったことを早期に発見することができる方策および、その対策を備えた燃焼装置を紹介する。
まずバイパス流路26が詰まったことを発見する方策としては、バイパス流路26に設けられたバイパス流路開閉弁25が閉じた状態における機器内の循環湯の温度や熱交換器の温度等を監視し、当該温度が異常に上昇した時にバイパス流路26等が詰まったと判断する。すなわち図1乃至図5に示す配管系統によると、バイパス流路開閉弁25が閉じた状態でもサブバイパス流路27やバイパス流路開閉弁25のリークによって最低限度の機内循環は確保される。そのため機器内の循環湯の温度や熱交換器の温度は、一定限度以下に抑えられる。しかしながら、サブバイパス流路27やバイパス流路開閉弁25の溝(リーク用の溝)が詰まると、機内循環が停止するから、機器内の循環湯の温度や熱交換器の温度が異常に上昇する。そのためバイパス流路開閉弁25が閉じた状態における機器内の循環湯の温度又は熱交換器の温度等を監視し、これが異常に上昇したならばバイパス流路26が詰まったと判断することができる。
上記した実施形態では、表1で明らかなように、高温の湯のみを使用する場合にバイパス流路開閉弁25を閉じるので、高温の湯のみを使用する際に循環湯の温度を監視する。また上記した様な異常な高温となるならば、外部の暖房器具に対して湯が供給されていない場合に限られるので、暖房器具に対して湯を断続する熱動弁が閉じている状態の時に、特に注意して循環湯の温度を監視することが望ましい。より具体的には、運転初期の際に循環湯の温度を監視することが望ましい。
また温度異常を数回繰り返した時にバイパス流路26が詰まったと判断することが望ましい。
バイパス流路26が詰まったことが分かった場合の対策としては、バイパス流路開閉弁25を開いて機内循環を再開させることが望ましい。特に、図6に示す開閉弁の様に弁自体がリークする構造のバイパス流路開閉弁25を採用する場合には、バイパス流路開閉弁25を開いて弁を通過する湯の量を増加させることによリ、弁に詰まった異物が押し流される場合が多いのでバイパス流路26が詰まったことが分かった場合の対策としては、バイパス流路開閉弁25を開いて機内循環を再開させることが推奨される。またサブバイパスを設ける場合等についても、バイパス流路26の急激な流量増加に伴って異物が除去される場合が多いので、バイパス流路26が詰まったことが分かった場合の対策としては、バイパス流路開閉弁25を開いて機内循環を再開させるのがよい。
なお暖房器具に対して湯を断続する熱動弁が開くと、燃焼装置内の湯が移動するので、暖房器具に対して湯を断続する熱動弁が開いた場合は、バイパス流路開閉弁25を閉じることが望ましい。たとえばバイパス流路開閉弁25を一定時間開き、暖房器具に対して湯を断続する熱動弁が開くのを待って、バイパス流路開閉弁25を閉じる。
また所定のエラー表示を行なうことが望ましい。
以下図7のフローチャートを参照しつつ、バイパス流路26が詰まったことの判定制御およびその対策に関する制御について説明する。図7は、バイパス流路の詰まりと、これに対する対策に関する制御のフローチャートである。
図7に示す制御では、高温の湯を出湯させる場合のみを使用する時、風呂の追い焚きのみを使用するとき、およびその双方を併用する時にバイパス流路開閉弁25を閉じる。したがって図7のフローによって制御される燃焼装置では、高温の湯を出湯させる場合のみを使用する時、風呂の追い焚きのみを使用するとき、およびその双方を併用する時に、サブバイパス流路27を通じてのみ湯が流れる。
また低温の湯を要する場合には、バイパス流路26のバイパス流路開閉弁25を開く。
図7に示すフローチャートでは、燃焼手段に点火した後、一定の時間(20秒以内)に消火温度に達するのが連続3回続くとバイパス詰まりに対する対応を行なう。
バイパス詰まりに対する対応は、具体的にはバイパス流路開閉弁25を開くべくバイパス流路開閉弁25に通電し、通電から2分後に点火を行なう。この一連の動作は、運転要求があった時に行なわれる。
こうして熱交換器に過大な負荷が掛かることを防ぐ。またバイパス流路開閉弁25を開くことにより、バイパス流路開閉弁25に引っ掛かった異物の除去を促す。
またバイパス流路開閉弁25を開くことにより、バイパス流路開閉弁25に引っ掛かった異物の移動を促す動作を3回繰り返した後、通常の制御に戻す。
しかし上記した動作を行なっている際にも、さらに続いて連続3回、点火から消火に至る時間が短い場合は、もはや上記した手段によって異物を除去することが困難であるから、バイパス詰まり警報を表示する。
また異物の移動を促す動作を3回繰り返した後、通常の制御に戻したが、再度点火から消火に至る時間が短い事態が生じ、バイパス流路開閉弁25を開く等の動作を3回繰り返した後、通常の制御に戻す行為を3回連続で繰り返した場合にもバイパス詰まり警報を表示する。
バイパス詰まり警報を表示する事態となった後は、毎回バイパス詰まりに対する対応動作を行なわしめる。すなわちバイパス流路開閉弁25を開くべくバイパス流路開閉弁25に通電し、通電から2分後に点火を行なう。
なおバイパス詰まり表示は、業者がメンテナンスを行なう際に手動で解除する。
図7のフローチャートのステップを追って説明すると、暖房運転のスイッチを入れると、ステップ1に移行し、現在、バイパス詰まりの対策制御が実行されているか否かを判断する。例えば以前の使用において、点火から消火に至る時間が20秒未満であればステップ1がYESとなるが、説明を簡単にするために、今回はステップ1はNOであったと仮定する。
ステップ1がNOであるならばステップ2を飛ばしてステップ3に移行する。ステップ3では、高温の湯の要求があるか否かを判断する。
ステップ3で高温の湯の要求があった場合は、ステップ4で高温側温度センサー40の検知温度が点火温度以下であるか否かを判断する。そして高温側温度センサー40の検知温度が点火温度以下であるならば燃焼手段を燃焼させてもよい。したがって高温側温度センサー40の検知温度が点火温度以下であるならばステップ5に移行して暖房設定を高温に変更する。一方、高温側温度センサー40の検知温度が点火温度以下でないならば燃焼させるべきではないからステップ1に戻って待機する。
前記したステップ3で高温の湯の要求が無かった場合は、低温の湯のみを使用する場合であるから、ステップ17に移行し、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41が点火温度以下であるか否かを判断する。そして高低温両温度センサーの検知温度が点火温度以下であるならば燃焼手段を燃焼させてもよいからステップ18に移行して暖房設定を低温に変更する。逆に低温サーミスタの検知温度が点火温度以下でないならば燃焼させるべきではないからステップ1に戻って待機する。
またステップ3、ステップ17、ステップ18のルートを通過して暖房設定を低温に変更した後、ステップ19に移行してバイパス流路開閉弁25を開く。
上記したステップ3がYESかNOかによってステップ4,5を経る制御ルートと、ステップ17,18,19を経るルートに分かれる。しかしいずれのルートを通る場合においても、ステップ6に移行して暖房が行なわれている旨の表示を行なう。
そしてステップ7に移行して対応するヘッダーの熱動弁(図示せず)を開き、さらにステップ8に移行して通常の燃焼が行なわれる。
通常の燃焼は、燃焼装置の第1熱交換器8の出口側に設けられた高温側温度センサー40と、膨張タンク24の底部に設けられた低温側温度センサー41に基づいて行なわれ、ステップ9、ステップ10によって両センサーが監視される。すなわちステップ9、ステップ10によっていずれかのセンサーが消火温度を検知するまで燃焼が続けられる。
れかの温度センサーが消火温度を検知すると、ステップ9又はステップ10からステップ11に移行し、点火から消火に至った時間の長短を検討する。具体的には、点火から消火に至る時間が20秒未満であるか否かを判断する。ここで点火から消火に至る時間が20秒に満たない場合は、燃焼装置内における湯の昇温が速すぎ、バイパス流路26の詰まりが予想される。
そのため点火から消火に至る時間が20秒に満たない場合は、ステップ12に移行し、制御装置内の暖房早切れカウンタに1を追加する。ここで暖房早切れカウンタは、点火から消火に至る時間が20秒未満であった事態が連続何回発生したかをカウントするものである。
そしてステップ13に移行し、今現在の制御が通常の制御であるか否かを判定する。ここで通常の制御とは、バイパス詰まりの対策制御が実行されている最中か否かということであり、前記したステップ1のところで説明した通り、説明を簡単にするために通常の制御であると仮定する。
その結果ステップ14に移行することとなり、バイパス詰まり対応制御トータルカウンタのカウンタ値が3回未満であるか否かを判定する。
ここで「バイパス詰まり対応制御」とは、前記した様にバイパス流路開閉弁25に引っ掛かった異物を除去する等の目的から、バイパス流路開閉弁25を強制的に開く動作であり、「バイパス詰まり対応制御トータルカウンタ」は、所定条件下における「バイパス詰まり対応制御」の実行回数をカウントするものであり、後記するステップ24でカウントされる。ここでは説明を簡単にするためにYESであると仮定する。
ステップ14でバイパス詰まり対応制御トータルカウンタのカウンタ値が3回未満である判断されると、ステップ15に移行し、前記したステップ12の1プラスした暖房早切れカウンタの数が3以上であるか否かを判断する。
ここでは前記したステップ1での前提から判定はNOであり、ステップ1に戻る。
そしてステップ1から先の制御を繰り返す。そして実際にバイパス流路25に異物が詰まっていたならば先の制御フローをそのまま繰り返すこととなり、ステップ12を通過する度に暖房早切れカウンタが積算されて行く。ステップ14に移行したとき、暖房早切れカウンタの数が3以上となっていた場合は、ステップ16に移行して「バイパス詰まり対応制御」を行なう旨の記憶がなされる。またステップ16では、ステップ12でカウントした暖房早切れカウンタがリセットされる。
ステップ16を通過した後にステップ1に戻った場合は、ステップ16で「バイパス詰まり対応制御」を行なう旨の記憶がなされているから、ステップ1はYESとなる。そのためステップ2に移行して「バイパス詰まり対応制御」の準備が行なわれる。「バイパス詰まり対応制御」は、具体的にはバイパス流路開閉弁25を開くべくバイパス流路開閉弁25に通電し、通電から2分後に点火を行なうものであり、燃焼要求がなされた時点で開始される。
そしてステップが進み、ステップ9、ステップ10によって両温度センサーが監視され、いずれかの温度センサーが消火温度を検知するまで燃焼が続けられる。
いずれかの温度センサーが消火温度を検知すると、ステップ9又はステップ10からステップ11に移行し、先に述べたと同様に点火から消火に至った時間の長短を検討する。
ここで点火から消火に至る時間が20秒に満たない場合は、いまだにバイパス流路26に異物が詰まっていると考えられ、ステップ12に移行し、制御装置内の暖房早切れカウンタに1を追加する。ここで今回は、ステップ16で暖房早切れカウンタがリセットされているから、暖房早切れカウンタは、最初から(1から)のスタートとなる。
そしてステップ13に移行するが、今回のケースでは、いま正に「バイパス詰まり対応制御」が行なわれている状態であるから、通常制御ではなく、ステップ13はNOと判断される。その結果、ステップ26へ飛ぶ。そしてステップ26では、ステップ12でカウントした暖房早切れカウンタを確認する。本制御の流れでは早切れカウンタは1であるから、ステップ26はNOであり、ステップ1に戻る。
そして上記の制御を繰り返すと、ステップ12を通過する毎に早切れカウンタのカウントが増え、当該カウントが3になるとステップ14がNOとなってステップ27に移行し、バイパス詰まり警報が表示される。なおこの表示は、燃焼装置のリモコン等に表れる。
上記した制御の流れは、燃焼手段に点火した後、機器内の湯の温度が消火温度に達するのに20秒を要しなかった事態が連続3回続き、さらに続いて連続3回、点火から消火に至る時間が20秒以内であったケースであり、ステップ27でバイパス詰まり警報が表示されることとなる。
上記したケースは、「バイパス詰まり対応制御」を行なっても異物が残ってしまった例であるが、本実施形態では、「バイパス詰まり対応制御」を行なった結果、燃焼手段に点火した後、消火温度に達するのに20秒以上を要することとなた場合でも、3回、「バイパス詰まり対応制御」が繰り返される。本実施形態では、「バイパス詰まり対応制御」が3回、一組となって行なわれるが、「バイパス詰まり対応制御」の3回の組が3組繰り返された場合にも、バイパス詰まり警報が表示される。
このケースに対応したステップは、ステップ20〜24及びステップ14である。以下説明する。
すなわち「バイパス詰まり対応制御」を行なった結果、消火温度に達するのに20秒以上を要することとなった場合は、ステップ11の判定がNOとなり、ステップ20に移行する。
このステップ20では、バイパス詰まり警報が表示されるに至った履歴があるか否かが判断される。バイパス詰まり警報が表示されていないのであればステップ20はYESとなり、ステップ21に移行する。そしてステップ21で詰まり対応制御中であるか否かが判断される。今回のケースでは、いま正に「バイパス詰まり対応制御」が行なわれている状態であるから、ステップ21はYESとなり、ステップ22に移行してバイパス詰まり対応制御通過カウンタに1が追加される。そしてステップ23に移行して、バイパス詰まり対応制御通過カウンタの数値が3以上であるか否かが判定される。この判定値がNOであるならばステップ1に戻り、前記した工程を繰り返す。そして3回に渡って消火温度に達するのに20秒以上を要した場合は、ステップ23の判定結果がYESとなり、ステップ24に移行する。ステップ24では、「バイパス詰まり対応制御」が解除される。要するに、3回に渡って「バイパス詰まり対応制御」が繰り返されたので、異物が既に除去された可能性が高い。そのため「バイパス詰まり対応制御」が解除し、以後は通常の制御を行なう。
またステップ24において、さらにバイパス詰まり対応制御通過カウンタがリセットされる。その一方、バイパス詰まり対応制御トータルカウンタに1が追加される。
そしてステップ1に戻るが、ステップ24で「バイパス詰まり対応制御」が解除されているので、ステップ1からステップ3に移行し、前述した制御を行なう。
しかしながら、前記した工程を経てもなお消火温度に達する時間が20秒未満である場合は、ステップ11〜15を3回繰り返してステップ16でバイパス詰まり対応制御が開始され、ステップ11でたまたま消火温度に達する時間が20秒以上となってステップ21〜23を行き来し、これを3回繰り返すと、ステップ24におけるバイパス詰まり対応制御トータルカウンタが3となる。
そして再度ステップ1に移行し、ステップを下りステップ11に至り、消火温度に達する時間が20秒未満であった場合は、ステップ11がYESとなる。さらにステップ12,13を経てステップ14に至る。今回の制御流れにおいては、ステップ14はバイパス詰まり対応制御トータルカウンタのカウンタ値が3回であるから、ステップ14がNOとなり、ステップ27に移行し、バイパス詰まり警報が表示される。
一旦、ステップ27でバイパス詰まり警報が出されると、この警報は、通常の制御では解除されることはない。そしてステップ27でバイパス詰まり警報が表示される事態となると、それ以降は、常時「バイパス詰まり対応制御」が行なわれる。また前記した様にバイパス詰まり警報は通常の制御では解除されないので、バイパス詰まり警報に至る制御を行なう必要がない。そのためステップ27からステップ1に戻り、新たに制御が繰り返されステップ20でバイパス詰まり警報が出ていると判定されると、以後のステップを飛ばしてステップ1に戻る。
以上は、いずれもバイパスの詰まりが解消されなかった場合を想定しているが、「バイパス詰まり対応制御」が3回繰り返され、ステップ24でバイパス詰まり制御が解除された後、ステップ1に戻り新たな制御が繰り返され、さらに消火温度に達する時間が20秒以上となると、ステップ20を経てステップ21における判定がNOとなる。すなわちステップ21は、消火温度に達する時間が20秒以上となり、さらに「バイパス詰まり対応制御」が行なわれていないと言う条件下でNOとなる。ステップ21がNOの場合は、ステップ25に移行し、暖房早切れカウンタがリセットされ、バイパス詰まりトータルカウンタもリセットされる。要するにすべてのカウンタがリセットされることとなる。
以上説明した実施形態は、いずれも図1乃至5に記載した配管系統図を備えた燃焼装置を前提としているが、上記した配管構成の燃焼装置は、燃焼を開始した直後に、第2熱交換器10内の湯が沸騰する場合がある。
すなわち前述した燃焼装置では、バイパス流路26は、第1熱交換器8の両端側だけを短絡するものであるから、低温の湯を断続するための開閉弁や、暖房器具側の開閉弁が閉じていると、第2熱交換器10側に通水されない。
すなわち図8は、図2と同一の配管系統図であり、暖房循環ポンプ23の起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。
図8に示す様に暖房循環ポンプ23を起動すると、起動直後は外部の熱動弁が閉め切り状態となっているから、バイパス流路26を経由して第1熱交換器8に通水がなされるが、第2熱交換器10には通水がない。
そのためバーナ6が燃焼をしているが、高温往き口30からも低温往き口34からも出湯がされないタイミングの時には、第2熱交換器10は、通水が無い状態で加熱されることとなり、異音が発生する懸念がある。
特に、この種の燃焼装置や暖房器具では、開閉弁として熱動弁が採用される場合が多いが、熱動弁は、電磁弁と異なって開閉の反応が遅いので、運転開始直後の様に高温往き口30に繋がる熱動弁と低温往き口34に繋がる熱動弁の双方が閉じている状態の際に燃焼が開始されると、熱動弁が開く前に第2熱交換器10の加熱が開始され、前記した様な異音発生の問題が顕著となる。
上記した様な事態が懸念される場合は、第3熱交流路開閉弁21に常時開(ノーマルオープン)タイプの熱動弁を採用することが提案される。
第3熱交流路開閉弁(風呂熱動弁)21に常時開(ノーマルオープン)タイプの熱動弁を採用すると、燃焼開始の初期の段階で、第3熱交流路開閉弁21が開いているから、図5に示す風呂追い焚きの場合と同様に第3熱交換器20を経由して第2熱交換器10に湯が流れ込む。すなわち第3熱交流路開閉弁21が常時開であるならば、第3熱交換器20の一次側に湯が流れ、第3熱交換器20の一次側を経由して第1、第2熱交換器8,10に湯が循環する。すなわち第3熱交流路開閉弁21が開かれると、第1及び第2熱交換器8,10と第3熱交換器20を環状に結ぶ流路が開き、第1、第2熱交換器8,10に湯が流れる。
そして要求される機能が、床暖房やファンコンベクタへの湯の供給の様な高温往き口30や低温往き口34から湯が吐出される場合は、常時開状態の第3熱交流路開閉弁21に通電し、第3熱交流路開閉弁21を序々に閉じる。なおこの場合でも、燃焼開始信号から、2分程度の所定の遅延時間を置き、当該遅延時間が経過後に第3熱交流路開閉弁21に通電し、ファンコンベクタ等の熱動弁が開く時間的余裕を設けることが望ましい。
また要求される機能が、風呂の追い焚きである場合には、もちろん第3熱交流路開閉弁21を開いたままの状態とする。
さらに燃焼装置の内部に湯が無い状態から燃焼を開始する場合は、通常通りの水張り作業を行なった後に、前記した制御を行なう。
以下、図9に示すフローチャートを参照しつつ、第3熱交流路開閉弁21に常時開のものを採用した場合の制御について説明する。図9は、第3熱交流路開閉弁21に常時開のものを採用した場合の制御を示すフローチャートである。
図9に示すように、通常の制御の場合と同様に、ステップ1で暖房燃焼運転の要求を待つ。ステップ1で暖房燃焼の要求が確認されると、ステップ2に移行し、通常の場合と同様に燃焼運転が開始される。具体的には、バーナ6に点火され、同時に暖房循環ポンプ23を動作させる。
ここで本実施形態では、第3熱交流路開閉弁21に常時開のものが採用されているから、暖房循環ポンプ23を起動すると、たとえ器具側の熱動弁が閉じていても、図5に示す風呂追い焚きの場合と同様に第3熱交換器20を経由して第2熱交換器10に湯が流れ込む。
そしてステップ3,4で、高温側温度センサー40と、低温側温度センサー41を監視し、所定の温度を検知するまで燃焼を続けるが、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41の検知温度が消火温度に至っていない場合は、ステップ5に移行し、追い焚き運転がなされているか否かを確認する。ここで追い焚き運転がなされている場合は、第3熱交換器20を機能させている状態であるから、第3熱交流路開閉弁21を閉じることは許されない。これに対して追い焚きを行なっていない場合は、第3熱交流路開閉弁21を閉じるべきである。
しかしながら、燃焼を開始した直後は、暖房器具側の熱動弁が開いていない可能性がある。そこでステップ6に移行し、運転開始からの時間が2分を経過しているか否かを確認する。運転開始からの時間が2分を経過しているならば、暖房器具側の熱動弁は既に開いているから、ステップ7に移行し、第3熱交流路開閉弁21を閉じる。ただし、第3熱交流路開閉弁21についても、閉じるのにある程度の時間がかかるので、実際に第3熱交流路開閉弁21が閉止されるのは、それから暫くした後である。
またステップ7では、同時に第3熱交流路開閉弁21の閉止待ちモードが解除される。
一方、ステップ6で、運転開始から2分が経過していないと判定された場合は、ステップ8に移行する。ステップ8は、風呂の湯水張り又は環境チェックが行なわれているか否かを判断する。このような特別な機能が実効されている場合には、通常の燃焼装置と同様の状態にすることが望ましいので、ステップ9に移行し、第3熱交流路開閉弁21を閉じる。また燃焼を停止する。そして、第3熱交流路開閉弁21の閉止待ちモードをON状態としておく。
そしてステップ10に移行し、第3熱交流路開閉弁21の閉止待ちモードをON状態にしたのち、3分が経過したか否かを確認する。3分が経過すると、ステップ2に戻り、再度同様の動作を実行する。
またステップ3,4で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視した結果、消火温度に達した場合は、ステップ11に移行して第3熱交流路開閉弁21への通電を停止して第3熱交流路開閉弁21をノーマル開状態とし、さらに通常の制御と同様にステップ12に移行して暖房燃焼を停止する。
上記した実施形態では、第3熱交流路開閉弁21に通電して閉動作を行なわしめるのに、2分の遅延時間を設けたが、当該弁は、熱動弁であり、動作が遅いので、上記した遅延時間は必ずしも必須ではない。また逆にこの様な遅延時間を設定する場合は、熱動弁に代わって電磁弁等の動作の速い開閉弁を使用することもできる。
また上記した実施形態は、開閉弁の作用によって運転開始直後における第2熱交換器10への通水を確保したが、配管系統を工夫することによって同様の効果を上げることもできる。
なお以下に説明する燃焼装置は、バイパス流路に開閉弁が不要であるという点でも実用的である。以下に説明する燃焼装置は、請求項にかかる発明の実施例である。
図10は、本発明の他の実施形態の燃焼装置の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。図11は、図10と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図12は、図10と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図13は、図10と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図14は、図10と同一の配管系統図であり、暖房循環ポンプの起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。
図10に示す配管系統は、第2熱交換器10に対しての通水を確保できる構成の燃焼装置である。図10に示す燃焼装置は、暖房戻り口31が第2熱交換器10の入り側に接続され、第2熱交換器10の出側は膨張タンク24に接続され、暖房循環ポンプ23を経て第1熱交換器8の入り側に接続され、第1熱交換器8の出側は、高温往き口30に接続されている点で先の実施形態と共通する。すなわち図10に示す燃焼装置についても、暖房戻り口31を始点として、第2熱交換器10、膨張タンク24、第1熱交換器8が順次接続され、終点たる高温往き口30に至っている。
また暖房循環ポンプ23の出側と第1熱交換器8の入り側の間が分岐され、低温往き口34に接続されている。
また本実施形態においても第3熱交換器20を備え、その一次側の一方の接続口は、第1熱交換器8の出側と高温往き口30の間に接続されている。すなわち先の実施形態と同様に第1熱交換器8の出側と高温往き口30の間に分岐点46が設けられ、第3熱交換器20の一次側の前記接続口(入り側)は当該分岐点46に接続されている。
一方、第3熱交換器20の一次側の他方の接続口(湯の吐出側)は、第2熱交換器10から膨張タンク24に至る間に接続されている。すなわち膨張タンク24の湯の流れの上流側に、第3熱交換器20の一次側の他方の接続口から延長された配管32が合流している。また第3熱交換器20を通過する流路には第3熱交流路開閉弁(風呂熱交弁)21が設けられている。すなわち本実施形態では、第1熱交換器8の下流側(湯の吐出側)が分岐されて前記第3熱交換器20が接続され、当該第3熱交換器20の出側は第2熱交換器10と膨張タンク24の間に接続され、さらに第3熱交換器20を通過する流路32に第3熱交流路開閉弁21が設けられている。
第3熱交換器20の二次側は、先の実施形態と同様に、風呂戻り口33と風呂往き口35に接続され、風呂戻り口33と第3熱交換器20の間には風呂水循環ポンプ22が設けられている。
本実施形態の燃焼装置が特異な点は、第1バイバス流路50と第2バイバス流路51を有する点である。
上記した二つのバイパス流路50,51の内、前者は、第1熱交換器8の湯の流れの下流側が分岐されたものであり、当該第1バイパス流路50は第2熱交換器10と膨張タンク24の間に接続されている。すなわち第1バイパス流路50は第2熱交換器10と暖房循環ポンプ23の間に接続されている。第1バイパス流路50には開閉弁はない。
一方、第2バイバス流路51は、暖房循環ポンプ23の出側から分岐され、暖房戻り口31と第2熱交換器10の間に接続されている。なお第2バイパス流路51は、第1バイパス流路50よりも細い。
以下、説明を簡単にするために高温の湯だけを出湯させる場合、低温の湯だけを出湯させる場合及び追い焚きだけを使用する場合について個別に分けて説明する。
ファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、図11の太線で示される経路を通じて高温往き口30から湯が送られる。この際には、第3熱交流路開閉弁21は閉じられている。
ファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、暖房戻り口31から回収された湯は直接的に第2熱交換器10を流れる。そして高温の湯だけを出湯させて風呂の追い焚きが行なわれない状態の時は、第3熱交流路開閉弁21が閉じられており、第3熱交換器20を通過する配管32からの湯の混合はない。
また本実施形態では、第2バイバス流路が、暖房循環ポンプ23の出側から分岐され、暖房戻り口31と第2熱交換器10の間に接続されているので、低温の湯の一部は暖房戻り口31から回収された湯と混じる。しかしながら、第2バイパス流路51は、径が細く、第2バイパス流路51を流れる湯の量はわずかである。さらに第2バイパス流路51を流れるのは低温度の湯であるから、暖房戻り口31から回収された湯の温度上昇はわずかである。そのため暖房戻り口31から回収された湯は、低い温度を維持したままの状態で第2熱交換器10に入る。そのため第2熱交換器10における熱交換効率は高い。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、第1バイパス流路50から導入された高温の湯と混合され、さらに暖房循環ポンプ23によって加圧されて第1熱交換器8に入る。そして第1熱交換器8を出た湯は、高温往き口30からファンコンベクタ等の高温を要する暖房器具に送られ、室内等を温める。
次に、床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合について説明する。床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合は、図12の太線で示される経路を通じて低温往き口34から湯が送られる。この際にも第3熱交流路開閉弁21は閉じられている。
床暖房装置等の暖房器具だけに湯を送る場合についても、暖房戻り口31から回収された湯は低い温度を維持したままの状態で第2熱交換器10に入る。そのため第2熱交換器10における熱交換効率は高い。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、第1バイパス流路50から導入された高温の湯と混合される。そして暖房循環ポンプ23によって加圧され、その一部が第1熱交換器8に流れ込み、残部が低温往き口34側に分岐されて床暖房装置等に送られる。
次に、風呂の追い焚きだけを行なう場合について説明する。追い焚きだけを行なう場合は、図13の太線で示される経路を通じて湯が流れる。この際には第3熱交流路開閉弁21は開かれている。
風呂の追い焚きだけを行なう際には風呂水循環ポンプ22を起動し、第3熱交流路開閉弁21を開く。その結果、湯が第3熱交換器側20の一次側に流れ、同二次側には浴槽内の水が流れる。そして湯と浴槽内の水の間で熱交換が行われ、浴槽内の湯水が加熱される。
また第3熱交流路開閉弁21を開くと、第3熱交換器側20の一次側の流路が開放される。その結果、暖房循環ポンプ23によって加圧され、第1熱交換器8を通過した湯が、第3熱交換器側20を流れ、膨張タンク24に戻る。ここで第3熱交換器側20を通過した湯は比較的温度が高いが、本実施形態では、第3熱交換器側20を通過した湯は第2熱交換器10を流れない。そのため第2熱交換器10を流れる湯の温度は低い。
また暖房循環ポンプ23によって加圧された湯の一部は、第2バイバス流路51を経由して第2熱交換器10の湯の流れの上流側に流れ込むので、第2熱交換器10にも通水が生じる。
また暖房器具側が閉め切り状態となった場合における湯の流れは、図14の通りである。
すなわち暖房循環ポンプ23によって加圧された湯の一部が第2バイバス流路51を経由して第2熱交換器10の湯の流れの上流側に流れ込むので、第2熱交換器10にも通水が生じる。また第1熱交換器8には、暖房循環ポンプ23によって加圧された湯の残部が供給されるので、第1熱交換器8にも湯が供給される。すなわち本実施形態では、暖房器具側が閉め切り状態となっても、第2熱交換器10は、暖房循環ポンプ23と第2バイバス流路51によって環状の流路が形成され、通水が確保される。一方、第1熱交換器8についても、暖房循環ポンプ23と第1バイバス流路50によって環状の流路が形成され、通水が確保される。
図10乃至14で説明した実施形態では、2本のバイパス流路50,51を設けて開閉弁の作用によって運転開始直後における第2熱交換器10への通水を確保したが、熱交換効率や揚程が多少低下することを許容するのであれば、図15乃至19に示した配管系統を採用することも可能である。なお図15乃至19に示した配管系統を採用した燃焼装置は、請求項に記載の発明に関連する発明であるが請求項に記載の発明の実施例ではない。 以下に説明する燃焼装置(関連発明)は、図1乃至14に示す燃焼装置に比べて熱交換効率の点で劣るが、図24に示す燃焼装置101に比べると熱交換効率が高い。また運転開始直後において第2熱交換器10への通水を確保できるという点で、図25に示す燃焼装置102よりも優れる。以下に説明する燃焼装置は、これらの点を勘案すると、十分実用に耐える構成であると言える。また以下に説明する燃焼装置は、バイパス流路に開閉弁を設ける必要がない点でも実用的である。
すなわち図15は、本発明のさらに他の実施形態の燃焼装置の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。図16は、図15と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図17は、図15と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図18は、図15と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。図19は、図15と同一の配管系統図であり、暖房循環ポンプの起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。
図15に示す配管系統は、一本のバイパス流路だけによって第2熱交換器10に対しての通水を確保する構成の燃焼装置である。図15に示す燃焼装置は、バイパス流路57を一本だけ有し、当該バイパス流路57が高温往き口30と戻り口31の間に介在されている。
すなわち図15に示す燃焼装置は、暖房戻り口31が第2熱交換器10の入り側に接続され、第2熱交換器10の出側は膨張タンク24に接続され、暖房循環ポンプ23を経て第1熱交換器8の入り側に接続され、第1熱交換器8の出側は、高温往き口30に接続されている点で先の二つの実施形態と共通する。図15に示す燃焼装置についても、暖房戻り口31を始点として、第2熱交換器10、膨張タンク24、第1熱交換器8が順次接続され、終点たる高温往き口30に至っている。
また暖房循環ポンプ23の出側と第1熱交換器8の入り側の間が分岐され、低温往き口34に接続されている。
第3熱交換器20の取付け位置は、前記した図10以下の実施形態と同一であり、第1熱交換器8の下流側(湯の吐出側)が分岐されて前記第3熱交換器20が接続され、当該第3熱交換器20の出側は第2熱交換器10と膨張タンク24の間に接続され、さらに第3熱交換器20を通過する流路32に第3熱交流路開閉弁21が設けられている。
本実施形態の燃焼装置が特異な点は、第1熱交換器8の湯の流れの下流側が分岐されてバイパス流路57が接続され、当該バイパス57は、暖房戻り口31と第2熱交換器の間に接続されている。すなわち当該バイパス57は、第2熱交換器10の湯の流れの上流側に接続されている。なおバイパス流路57には開閉弁はない。
以下、先の例に習って、高温の湯だけを出湯させる場合、低温の湯だけを出湯させる場合及び追い焚きだけを使用する場合について個別に分けて説明する。
ファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、図16の太線で示される経路を通じて高温往き口30から湯が送られる。この際には、第3熱交流路開閉弁21は閉じられている。
ファンコンベクタ等の暖房器具だけに湯を送る場合は、暖房戻り口31から回収された湯は直接的に第2熱交換器10を流れる。そして高温の湯だけを出湯させて風呂の追い焚きが行なわれない状態の時は、第3熱交流路開閉弁21が閉じられており、第3熱交換器20を通過する配管32からの湯の混合はない。
また本実施形態では、バイバス流路57が、第1熱交換器8の湯の流路の下流側から分岐され、暖房戻り口31と第2熱交換器10の間に接続されているので、高温の湯の一部が暖房戻り口31から回収された湯と混じる。そのため第2熱交換器10に導入される湯の温度が上昇し、熱交換効率が多少低下するものの、バイバス流路57の流路面積を細くする等によって高温の湯の戻り量を調節すれば、実用的に使用に耐える程度の熱交換効率を確保できる。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、暖房循環ポンプ23によって加圧されて第1熱交換器8に入り、さらに加熱される。そして第1熱交換器8を出た湯は、高温往き口30からファンコンベクタ等の高温を要する暖房器具に送られ、室内等を温める。
次に、床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合について説明する。床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合は、図17の太線で示される経路を通じて低温往き口34から湯が送られる。この際にも第3熱交流路開閉弁21は閉じられている。
床暖房装置等の低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合についても、高温の湯の一部は暖房戻り口31から回収された湯と混じり、第2熱交換器10に導入される湯の温度が上昇するが、低温の湯を要する機器だけに湯を送る場合は、暖房戻り口31から回収される湯の温度自体が低いので、実用上、問題が無い程度の熱交換効率を確保できる。
したがって、暖房戻り口31から回収された湯は低い温度を維持したままの状態で第2熱交換器10に入る。そのため第2熱交換器10における熱交換効率は高い。
第2熱交換器10によってある程度の温度に加熱された湯は、暖房循環ポンプ23によって加圧され、その一部が第1熱交換器8に流れ込み、残部が低温往き口34側に分岐されて床暖房装置等に送られる。
次に、風呂の追い焚きだけを行なう場合について説明する。追い焚きだけを行なう場合は、図18の太線で示される経路を通じて湯が流れる。この際には第3熱交流路開閉弁21は開かれている。
風呂の追い焚きだけを行なう際には風呂水循環ポンプ22を起動し、第3熱交流路開閉弁21を開いて第3熱交換器20を経由する流路に湯を流す。
その結果、暖房循環ポンプ23によって加圧され、第1熱交換器8を通過した湯が、第3熱交換器側20を流れ、膨張タンク24に戻る。ここで第3熱交換器側20を通過した湯は比較的温度が高いが、本実施形態では、第3熱交換器側20を通過した湯は第2熱交換器10を流れない。そのため第2熱交換器10を流れる湯の温度は低い。
また暖房循環ポンプ23によって加圧された湯の一部は、第1熱交換器8及びバイバス流路57を経由して第2熱交換器10の湯の流れの上流側に流れ込むので、第2熱交換器10にも通水が生じる。
暖房器具側が閉め切り状態となった場合における湯の流れは、図19の通りである。
すなわち暖房循環ポンプ23によって加圧された湯は、第1熱交換器8及びバイバス流路57を経由して第2熱交換器10の湯の流れの上流側に流れ込むので、第1、第2熱交換器8,10の双方に通水が生じる。したがって暖房器具側が閉め切り状態となっても、第1、第2熱交換器8,10は、暖房循環ポンプ23とバイバス流路57によって環状の流路が形成され、通水が確保される。
図15乃至19に示した燃焼装置では、追い焚き用の第3熱交換器20の湯の出側を膨張タンク24の湯の流れの上流側に接続したが、第2熱交換器10の上流側に接続することも可能である。
ただし第3熱交換器20の湯の出側を第2熱交換器10の上流側(吸い込み側)に接続すると、熱交換効率が低下する傾向にあるので、図15乃至19に示す様に、第3熱交換器20の湯の出側を膨張タンク24の湯の流れの上流側(暖房循環ポンプ23の上流側)に接続することが推奨される。
すなわち第3熱交換器20の湯の出側を第2熱交換器10の上流側に接続すると、第2熱交換器10に高温の湯がより大量に流れる。そのため熱交換効率を低下させる要因となる。
次に、上記した構成と併用して、第2熱交換器10が空焚き(通水の無い状態での加熱)状態となることをより完璧にする方策を開示する。また以下の方策は、上記した構成と併用することなく、単独で実施することもできる。
本方策は、燃焼の開始を遅らせて、暖房器具側の熱動弁が確実に開くのを待つものである。
すなわち本実施形態では、点火指令から一定の時間を経過した後、燃焼を開始する。そのため、燃焼が開始された時には、暖房器具側の熱動弁が開いており、図3,4、図11,12、或いは図16,17の様に第2熱交換器10への通水が確実に行なわれている。
以下、本実施形態の制御を図20に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図20は、本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作に対して遅延させて燃焼を開始する構成のフローチャートである。
図20に示すように、通常の制御の場合と同様に、ステップ1で暖房燃焼運転の要求を待つ。なお暖房燃焼運転の要求があることの前提として、暖房器具の熱動弁に対して開の指令が出されており、ステップ1で暖房燃焼運転の要求と同時に暖房器具の熱動弁に通電が開始される。そのため、暖房器具の熱動弁は次第に開く傾向にある。
ステップ1で暖房燃焼の要求が確認されると、ステップ2に移行し、暖房循環ポンプ23が起動される。そしてステップ3に移行し、制御温度の高低や、暖房燃焼制御への移行する温度の判定が行なわれる。そしてステップ4に移行し、ステップ1の暖房燃焼運転の要求から一定の時間が経過したか否かを判断する。具体的には、暖房燃焼運転の要求から2分が経過したか否かを判定する。
そして暖房燃焼運転の要求から2分が経過しておれば、既に暖房器具側の熱動弁は開いていると考えられるから、燃焼を開始しても第2熱交換器10が空焚き状態(通水が無い状態での加熱)になることはない。そこで暖房燃焼運転の要求から2分が経過しておれば、ステップ4がYESとなってステップ5以下に移行し、通常の燃焼が開始される。
そしてステップ6,7で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視し、所定の温度を検知するまで燃焼を続ける。ステップ6,7で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41のいずれかが所定の温度を検知したと判定された場合は、ステップ8に移行して燃焼を終了し、ステップ3に戻る。
上記した実施形態では、燃焼要求から所定の時間、点火を遅らせ、第2熱交換器10が空焚き状態(通水が無い状態での加熱)になることを防止したが、点火を遅らせるのではなく、一定の時間、低燃焼量で燃焼させても同様の効果が期待できる。
以下、この構成を図21に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図21は、本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作の開始と共に固定的且つ小燃焼量で燃焼を開始する構成のフローチャートである。
図21に示すように、通常の制御の場合と同様に、ステップ1で暖房燃焼運転の要求を待つ。前記した様に暖房燃焼運転の要求があることの前提として、暖房器具の熱動弁に対して開の指令が出されており、ステップ1で暖房燃焼運転の要求と同時に暖房器具の熱動弁に通電が開始される。そのため、暖房器具の熱動弁は次第に開く傾向にある。
ステップ1で暖房燃焼の要求が確認されると、ステップ2に移行し、暖房循環ポンプ23が起動される。そしてステップ3に移行し、制御温度の高低や、暖房燃焼制御への移行する温度の判定が行なわれる。
そしてステップ4に移行し、最小の燃焼量でバーナを燃焼させる。この燃焼量は、固定的なものであり、負荷の大きさによって制御されるものではない。
続いてステップ5に移行し、ステップ1の暖房燃焼運転の要求から一定の時間が経過したか否かを判断する。具体的には、暖房燃焼運転の要求から2分が経過したか否かを判定する。
そして暖房燃焼運転の要求から2分が経過しておれば、既に暖房器具側の熱動弁は開いていると考えられるから、燃焼量を増加させても第2熱交換器10が空焚き状態(通水が無い状態での加熱)になることはない。そこで暖房燃焼運転の要求から2分が経過しておれば、ステップ5がYESとなってステップ6以下に移行し、通常の燃焼が開始される。
そしてステップ7,8で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視し、所定の温度を検知するまで燃焼を続ける。ステップ7,8で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41のいずれかが所定の温度を検知したと判定された場合は、ステップ9に移行して燃焼を終了し、ステップ3に戻る。
一方、ステップ5で暖房燃焼運転の要求から2分が経過していなければ、2分が経過するまで待つこととなるが、本実施形態では、既にバーナ6に点火されているので、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41の監視を怠ることはできない。そこで、ステップ5で暖房燃焼運転の要求から2分が経過していない場合は、最小の固定的燃焼量のままで、ステップ7,8で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視する。したがってステップ7,8がいずれもNOである場合は、ステップ3に戻り、暖房燃焼運転の要求から2分が経過するのを待つ。
上記した実施形態は、暖房燃焼運転の要求から一定時間の経過を待ち、当該時間が経過すれば、暖房器具側の熱動弁が開いたであろうと予想して通常の燃焼を開始するものである。そのため上記した実施形態では、当該時間を待つことによって真に熱動弁が開いたか否かは分からない。逆に、既に熱動弁が開いているにも係わらず、無為に時間を浪費しているのかもしれない。
そこで実際に暖房器具側の熱動弁が開くことを確認してから通常燃焼に移行することも有効である。
熱動弁が開いたか否かは、機械的なセンサーで検知させることも可能であるが、燃焼装置内の温度変化を観察することによっても相当の精度で検知可能である。
具体的には、第2熱交換器10等に悪影響を与えない様な小さい熱量で燃焼させ、その時の湯や熱交換器の温度変化を監視する。暖房器具側の熱動弁が閉じていれば、湯や熱交換器の温度が次第に上昇するが、熱動弁が開くと、通水が開始されるためにこれらの温度が急激に低下する。そこでこの温度変化を捕らえて、熱動弁が開いたものと判定する。
以下、この構成を図22に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図22は、本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作の開始と共に固定的且つ小燃焼量で燃焼を開始し、暖房器具の熱動弁が開いたことを確認する構成のフローチャートである。
図22に示すように、通常の制御の場合と同様に、ステップ1で暖房燃焼運転の要求を待つ。前記した様に暖房燃焼運転の要求があることの前提として、暖房器具の熱動弁に対して開の指令が出されており、ステップ1で暖房燃焼運転の要求と同時に暖房器具の熱動弁に通電が開始される。そのため、暖房器具の熱動弁は次第に開く傾向にある。
ステップ1で暖房燃焼の要求が確認されると、ステップ2に移行し、暖房循環ポンプ23が起動される。そしてステップ3に移行し、制御温度の高低や、暖房燃焼制御への移行する温度の判定が行なわれる。
そしてステップ4に移行し、最小の燃焼量でバーナを燃焼させる。この燃焼量は、固定的なものであり、負荷の大きさによって制御されるものではない。
続いてステップ5に移行し、温度の積算カウントを開始する。ここで温度の積算カウントとは、具体的には、高温側温度センサー40又は缶体温度センサー(図示せず)等の温度を積算するものである。そして高温側温度センサー40等の温度を1秒ごとに検知しこれが例えば60°、62°、63°という様に変化すれば、これを単純に合計する。そして5秒ごとの積算値を記憶しておく。また前回の積算値よりも今回の積算値の方が大きければ、記憶値を新しい値に更新する。要するに積算値は、燃焼を開始してからの最高温度を表す。
そして積算を継続しつつ、ステップ6に移行し、前回の積算値(過去の最高値)から今回の積算値を引き、これが一定値を越えるか否かを判定する。例えばこれが5以上であるか否かを判定する。前回の積算値(過去の最高値)から今回の積算値を引き、これが一定値以上である場合とは、缶体の温度が急激に低下した場合である。
そしてステップ6がYESであればステップ7に移行し、測定誤差を解消するためにこの現象が一定回、続いたか否かを判定する。例えば3回続いたか否かを判定する。缶体温度の減少傾向が3回続けば、缶体の温度が低下していることが確実であるからステップ8に移行して積算を停止し、さらにステップ9に移行して通常の燃焼が開始する。すなわち缶体の温度が低下していることから暖房器具側の熱動弁が開いたと考えられるから、燃焼量を増加させても第2熱交換器10が空焚き状態(通水が無い状態での加熱)になることはない。そこで燃焼装置内の湯温や缶体温度の減少傾向が3回続けば、ステップ8で積算を停止し、さらにステップ9に移行して通常の燃焼が開始させる。
そしてステップ10,11で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視し、所定の温度を検知するまで燃焼を続ける。ステップ10,11で、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41のいずれかが所定の温度を検知したと判定された場合は、ステップ12に移行して燃焼を終了し、ステップ3に戻る。
一方、ステップ6で前回の積算値(過去の最高値)から今回の積算値を引いた値が5未満である場合は、この値が5以上になるまで待つこととなるが、本実施形態においても既にバーナ部に点火されているので、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41の監視を怠ることはできない。そこで、ステップ6で前回の積算値(過去の最高値)から今回の積算値を引いた値が5未満である場合は、最小の固定的燃焼量のままで、ステップ10,11に移行し、高温側温度センサー40及び低温側温度センサー41を監視する。したがってステップ10,11がいずれもYESである場合は、ステップ6に戻り、ステップ6で前回の積算値(過去の最高値)から今回の積算値を引いた値が5以上となるのを待つ。
本実施形態の燃焼装置の配管系統図である。 図1の配管系統図の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。 図2と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図2と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図2と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 常時一定のリークを許す構造の開閉弁の弁座と弁体の斜視図である。 バイパス流路の詰まりと、これに対する対策に関する制御のフローチャートである。 図2と同一の配管系統図であり、循環ポンプの起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。 第3熱交流路開閉弁に常時開のものを採用した場合の制御を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態の燃焼装置の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。 図10と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図10と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図10と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図10と同一の配管系統図であり、循環ポンプの起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。 本発明のさらに他の実施形態の燃焼装置の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。 図15と同一の配管系統図であり、高温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図15と同一の配管系統図であり、低温の湯だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図15と同一の配管系統図であり、風呂の追い焚き機能だけを使用する際における湯の通過経路を太線で表示したものである。 図15と同一の配管系統図であり、暖房循環ポンプの起動直後における湯の通過経路を太線で表示したものである。 本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作に対して遅延させて燃焼を開始する構成のフローチャートである。 本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作の開始と共に固定的且つ小燃焼量で燃焼を開始する構成のフローチャートである。 本発明の実施形態であって、暖房器具の熱動弁の開動作の開始と共に固定的且つ小燃焼量で燃焼を開始し、暖房器具の熱動弁が開いたことを確認する構成のフローチャートである。 従来技術における暖房機能と風呂の追い焚き機能を兼ね備えた燃焼装置の配管系統図である。 本発明者らが試作した燃焼装置の配管系統図の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。 本発明者らが試作した他の燃焼装置の配管系統図の要部を抜き出して簡略化した配管系統図である。
符号の説明
2 缶体
8 第1熱交換器
10 第2熱交換器
20 第2熱交換器
21 第3熱交流路開閉弁
23 暖房循環ポンプ
24 膨張タンク
25 バイパス流路開閉弁
26 バイパス流路
27 サブバイパス流路
30 高温往き口
31 暖房戻り口
34 低温往き口
50 第1バイバス流路
51 第2バイバス流路

Claims (6)

  1. 高温の湯又は熱媒体を出湯させる高温往き口と、前記高温往き口から出湯される湯又は熱媒体よりも低温の湯又は熱媒体を出湯させる低温往き口と、戻り口を有し、さらに燃料を燃焼する燃焼手段と、当該燃焼手段において発生した燃焼ガスと熱交換を行う第1熱交換器と、第1熱交換器よりも燃焼ガス流路の下流側に配置され第1熱交換器を通過した燃焼ガスと熱交換を行う第2熱交換器と、ポンプを備え、高温往き口又は低温往き口の少なくともいずれかと戻り口が外部の熱負荷に接続されて一連の循環回路を構成する燃焼装置において、戻り口から第2熱交換器、ポンプ、第1熱交換器の順に接続されて高温往き口に繋がり、ポンプと第1熱交換器の間が分岐されて低温往き口に繋がり、第1熱交換器の下流側が分岐されて第1バイパス流路が接続され、当該第1バイパス流路は第2熱交換器とポンプの間に接続され、さらにポンプの吐出側が分岐されて第2バイパス流路が設けられ、当該第2バイパス流路は、戻り口と第2熱交換器の間に接続されており、さらに燃焼ガスの流路外に置かれて外部に熱を移動させるための第3熱交換器を有し、第1熱交換器の下流側が分岐されて前記第3熱交換器が接続され、当該第3熱交換器の出側は第2熱交換器の上流側に接続され、上記第3熱交換器を通過する流路に第3熱交流路開閉弁が設けられており、第3熱交流路開閉弁は燃焼手段が燃焼を開始してから一定時間以上、開いた状態を維持していることを特徴とすることを特徴とする燃焼装置。
  2. 燃焼手段は、所定の信号の後、一定時間経過後に点火されることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
  3. 燃焼手段は、所定の信号の後、小発熱量で燃焼を開始し、所定の条件を満足した後、必要な燃焼量で燃焼されることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
  4. 所定の条件は、一定時間の経過であることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
  5. 所定の条件は、第1又は第2熱交換器の温度又はこれらの周辺温度或いは燃焼装置内の湯又は熱媒体の温度が低下傾向となることであることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
  6. 第2バイパス流路は、第1バイパス流路よりも細いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼装置。
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