JP4216814B2 - キャビン装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ等の車両に搭載されるキャビン装置に関するものである。
従来、トラクタに搭載されるキャビン装置には、キャビンの室内の空気調節を行うエアコンが設けられ、このエアコンのエバポレータ及びブロア等を備えたエアコン本体から送出される空調空気を案内する送風ダクトが、キャビンのフロントパネルに沿って上下方向に設けられたものがある(例えば特許文献1、特許文献2)。
特許第3107836号 特開昭57−26007号公報 特開平11−91636号公報
従来のキャビン装置では、キャビン室の前部側に、ステアリングハンドルが設けられるため、ステアリングハンドルの動きをキャビン室の外部に配置したパワステコントローラに伝達する伝動軸を、ダクトを避けてキャビンのフロントパネルを貫通するように配置すると、ダクト及び伝動軸を配置するための大きなスペースが必要になるし、ダクト及び伝動軸等の配置構造も複雑になり、製造が面倒で製造費も高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、空調空気を案内する送風ダクトと、ステアリングハンドルの動きをパワステコントローラに伝達する伝動軸とを、キャビン室の前部側に、簡単な構造でコンパクトに配置するようにしたものである。
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、キャビン室の前部側に、ステアリングハンドルが設けられ、エアコン本体から送出される空調空気を案内する送風ダクトが、キャビンのフロントパネルに沿って上下方向に設けられたキャビン装置において、
キャビンのフロントパネルの前面側に、パワステコントローラが設けられ、ステアリングハンドルの動きをパワステコントローラに伝達する伝動軸が、送風ダクトを前後に貫通するように配置されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記送風ダクトに、支持筒体が前後に貫通するように設けられ、支持筒体内に、前記伝動軸が、軸心廻りに回転自在に挿通保持されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記送風ダクトが、キャビン室内側であってキャビンのフロントパネルの後面側に設けられ、前記伝動軸とステアリングハンドルのハンドル軸との間に、自在継ぎ手が設けられ、自在継ぎ手が前記送風ダクトの後方に配置されている点にある。
本発明によれば、ステアリングハンドルの動きをパワステコントローラに伝達する伝動軸が、送風ダクトを前後に貫通するように配置されているので、ダクトを避けてキャビンのフロントパネルを貫通するように配置する必要がなくなり、空調空気を案内する送風ダクトと、ステアリングハンドルの動きをパワステコントローラに伝達する伝動軸とを、キャビン室の前部側に、簡単な構造でコンパクトに配置することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はトラクタ(車両)を示しており、該トラクタは、エンジン2と、フライホイールハウジング,クラッチハウジング,ミッションケース等からなる伝動ケース3とを連結してなる車体1を有し、該車体1の前部は左右一対の前輪6によって支持され、後部は左右一対の後輪7によって支持されており、該車体1の後部にはキャビン9が搭載されている。
エンジン2、ラジエータ4、バッテリー10等はトラクタの前部に配置されていてボンネット5によって覆われている。
このトラクタは、キャビン9室内の空気調節を行うエアコン(エアーコンディショナ)が装備されており、このエアコンは冷房装置と暖房装置とを備えている。
冷房装置は、例えば、冷媒を圧縮するコンプレッサーと、このコンプレッサーで圧縮された冷媒を放熱させながら凝縮・液化させるコンデンサー(放熱器)と、このコンデンサーで液化された冷媒を減圧して気化しやすい状態とする膨張弁と、冷媒を気化させて周囲から熱を奪って周囲を低温状態とするエバポレータ(蒸発器)とを備えてなる。
暖房装置は、例えば、エンジン2の熱で熱せられた温媒をヒータに送ると共に該ヒータからエンジン2側に戻すように温媒を循環させるようにした構造のものが採用される。
このエアコンのエアコン本体60は、ケーシング内にエバポレータとヒータと送風機(ブロワ)等とを収納してなると共にキャビン9室内に配置されており、コンプレッサーと、放熱器と、膨張弁等はボンネット5内に配置されている。
なお、エアコン本体60は、最低限、冷房装置のエバポレータと送風機とを備えていればよい。
図1〜図4において、前記キャビン9は骨格となるキャビンフレーム11を有し、このキャビンフレーム11は、前部に配置された左右一対のフロントピラー12と、後部に配置された左右一対のリヤピラー13とを有し、左右リヤピラー13の上端は左右フロントピラー12と同じ高さとされていると共に左右リヤピラー13の下端の高さは左右フロントピラー12の上下方向の中間部に対応する位置に位置しており、さらに、左右リヤピラー13はキャビン9の上部側背面よりも前方に位置している。
また、フロントピラー12とリヤピラー13とは、上下端部が開放状とされた中空構造とされており、リヤピラー13は板金によって形成された左右方向内外一対の構成部材を重ね合わせることにより、フロントピラー12よりも太く形成されている。
左右各フロントピラー12は、上下両端から上下方向中央側に行くに従って左右方向外方に移行するように湾曲形成されていて左右方向外方に凸となる湾曲状に形成されている。
また、左右各フロントピラー12は、上下方向中央よりも上部側が上端に行くに従って徐々に後方に向かうように後方傾斜状に湾曲形成されている。
また、左右各リヤピラー13は、フロントピラー12の上半部に対応して、上端から下
端に行くに従って左右方向外方に向かうように湾曲状に形成されている。
左右のフロントピラー12の上端同志はフロントルーフビーム15によって連結され、左右のリヤピラー13の上端同志はリヤルーフビーム16によって連結され、左右のリヤピラー13の下端同志はリヤミドルビーム21によって連結され、左右方向で同じ側にあるフロントピラー12とリヤピラー13の上端同志はそれぞれサイドルーフビーム17によって連結されている。
フロントルーフビーム15は、左右両端から左右方向中央側に行くに従って上方に移行するように湾曲形成されていて上方に向けて凸となる湾曲状(円弧状)に形成されており、例えば、トラクタの前部に装着されたフロントローダのバケットを上昇させたとき等において、前斜め上方の視界性が良好となるように構成されており、ローダ作業がしやすくなっている。
また、フロントピラー12は、上部側が上端に行くに従って徐々に後方に向かうように後方傾斜状に湾曲形成されているので、従来よりもフロントルーフビーム15が後方に位置し、これによっても前斜め上方の視界性が良好となるように構成されている。
リヤルーフビーム16とリヤミドルビーム21とは、中途部が左右方向に形成されると共に左右両側が前方に向けて延出された平面視コ字形に形成されており、また、左右方向部分が、左右両端から左右方向中央側に行くに従って後方に移行するように湾曲形成されていて後方に凸となる湾曲状に形成されている。
サイドルーフビーム17は、前後両端から前後方向中央側に行くに従って左右方向外方に移行するように湾曲形成されていて左右方向外方に凸となるように湾曲状に形成されている。
キャビン9の上部側背面(リヤルーフビーム16とリヤミドルビーム21との間)には、キャビン9の側面よりも左右方向内方側に位置する左右一対の上背面ピラー25が配置され、この上背面ピラー25は下方に行くに従って後方に移行する傾斜状に配置されていて該上背面ピラー25の上端側はリヤルーフビーム16に連結され下端側はリヤミドルビーム21に連結されている。
また、キャビン9の下部側背面には、キャビン9の側面よりも左右方向内方側に位置する左右一対の下背面ピラー27が配置され、この下背面ピラー27は下方に行くに従って前方に移行する傾斜状に配置されていて該下背面ピラー27の上端側はリヤミドルビーム21に連結されており下端はフロントピラー12の下端と略同じ高さ位置にある。
また、キャビンフレーム11の前面側下部の左右方向中央側には、キャビン9の室内と室外とを仕切る(キャビン9室内とエンジン2側とを仕切る隔壁となる)フロントパネル23が配置され、このフロントパネル23の左右側部の下端側と左右フロントピラー12の下端側との間には、フロントフロアービーム24が配置され、このフロントフロアービーム24の左右方向内端側はフロントパネル23の側部の下端側に連結され左右方向外端側はフロントピラー12の下端側に連結されている。
また、フロントパネル23の左右の側部上部側と左右フロントピラー12の上下方向中途部とが連結フレーム18によって連結されている。
また、キャビン9の底部側には前後方向に沿って配設された左右一対のサイドフロアービーム28が配置され、この左右各サイドフロアービーム28は、キャビン9の側面より
も左右方向内方側に位置しており、各サイドフロアービーム28の前端側は左右方向で同じ側にあるフロントフロアービーム24の左右方向中途部に連結され、サイドフロアービーム28の後端側は左右方向で同じ側にある下背面ピラー27の下端側に連結されている。
左右各サイドフロアービーム28の前端側は、伝動ケース3の前部の側部に設けられたブラケット48にマウントゴム(防振ゴム)47を介して取付支持され、左右下背面ピラー27の下部に固定されたブラケット51は、後車軸を支持する後車軸ケースに取付固定された支持台50にマウントゴム49を介して取付支持されており、これによってキャビン9がトラクタ車体1に支持されている。
また、キャビンフレーム11は、左右各リヤピラー13の下端側から前下方に向けてキャビン9底部にまで延びるサイドフレーム22を備え、このサイドフレーム22は後輪7に略沿うように前上方に向けて凸となる湾曲状に形成されており、後端側(上端側)はリヤピラー13の下端側に連結され前端側(下端側)は連結部材22b等を介してフロントピラー12の下端側に連結される。
また、このサイドフレーム22は、前後端部から前後方向中央側に行くに従って左右方向外方に移行する湾曲状に形成されていて平面視で左右方向外方に凸となる湾曲状に形成されている。
キャビンフレーム11の上部にはルーフ39が設けられ、左右フロントピラー12間には、(図11〜図13に示すように、)フロントガラス34が設けられ、左右方向で同じ側にあるフロントピラー12とリヤピラー13との間は乗降口とされていて該フロントピラー12とリヤピラー13との間にはドアが設けられ、左右方向で同じ側にあるリヤピラー13と上背面ピラー25との間にはリヤサイドガラスが設けられ、左右の上背面ピラー25間にはリヤガラスが設けられ、キャビンフレーム11の底部及び背面下部にはフロアーシート31が設けられ、キャビンフレーム11の側部後下部にはサイドパネル32が設けられている。
左右一対のフロントピラー12の上下方向中央よりも上部側が、上端に行くに従って徐々に後方に向かうように後方傾斜状に湾曲され、左右一対のフロントピラー12の上端部間を連結するフロントルーフビーム15が、左右方向両端から左右方向中央に行くに従って上方に向かうように上方膨出状に湾曲されていて、図13に示すように、フロントガラス34の上端部が、キャビンフレーム11のフロントルーフビーム15よりも前方突出して下方に曲がるように湾曲形成され、フロントガラス34の前記上端部よりも下方側が、キャビンフレーム11のフロントルーフビーム15よりも前方に配置されている。従って、従来キャビンに比べて、フロントルーフビーム15の左右方向中央部を、ルーフ39の前端部の左右方向中央部と共に、上方側でかつ後方側に位置させることができるため、運転席44に座ったオペレータは、フロントガラス34の上端部を通して前方側の上方を極力広く視ることができて、オペレータの前上方の視界を大きく広げることができ、ローダ作業等がし易くなる。
ルーフ39のアウタールーフに、図3に示す外気取入れ部54が設けられ、この外気取入れ部54からキャビン9室外の空気(外気)をフィルタを通してルーフ39内の中空部に取り入れるように構成されている。
また、ルーフ39内部には左側のリヤピラー13の上端開口が連通され、外気取入れ部53からルーフ39内に取り入れられた外気が該リヤピラー13を介して下方に案内されるように構成されており、リヤピラー13がダクトとして利用されている。
前記サイドパネル32の左右方向外面側に後輪フェンダが設けられる。
フロアーシート31は、キャビン9の底部を構成する底壁部31aと、この底壁部31aの後端縁から後方に向かうに従って上方に移行する傾斜方向に延出された背面壁31bとを有する。
このフロアーシート31の底壁部31aは、その前後方向が、フロントピラー12及びフロントパネル23の下端から下背面ピラー27の下端(サイドフロアービーム28の後端)に至るように形成され、左右方向は、後部側が左右のサイドフロアービーム28(サイドパネル32)間に亘るように形成され前部側が左右のサイドフロアービーム28から左右方向外方に延出して乗降口の下端に至るように形成されている。
また、フロアーシート31の背面壁31bは、左右下背面ピラー27間に亘る幅に形成されると共に、サイドフロアービーム28の後端部から下背面ピラー27に沿って斜め上方に延出されてリヤミドルビーム21に至るように形成されている。
前記フロントガラス34、ルーフ、ドア、リヤサイドガラス、リヤガラス、フロアーシート31、サイドパネル32、フロントパネル(キャビン9の前壁)3等でキャビン室43が形成されている。
キャビン9室内の後部には、フロアーシート31と上下方向に間隔をおいて位置する上壁部57aと、この上壁部57aの前縁から下方に且つフロアーシート31にまで延出する前部壁57bとを有するシート台57が設けられている。
このシート台57は、左右両側縁がサイドパネル32に溶接等によって固着され、上壁部57aの後縁がフロアーシート31の背面壁31bに溶接等によって固着され、前壁部の下縁が溶接等によってフロアーシート31に固着されている。
本実施の形態では、前記フロアーシート31と左右のサイドパネル32とシート台57とで、前記エアコンのエアコン本体60を収容するエアコン本体収容室59が密閉状に形成されている。
また、シート台57の上壁部57a上面側には、クッション装置及び前後位置調整装置等を介して運転席44が支持されており、この運転席44の下方側にエアコン本体収容室59が設けられている。
キャビン室43の前部側に、ステアリングハンドル45が運転席44の前方に位置するように設けられ、このステアリングハンドル45はフロントパネル23に固定されたハンドルポスト88に支持されており、フロントパネル23には、その他、クラッチペダル36、左右一対のブレーキペダル37等が支持されている。
前記エアコン本体収容室59を構成する壁部、本実施の形態ではシート台57の上壁部57aの左側の後部側(運転席44の後方左側)には、フィルタ63を介してキャビン9室内の空気(内気)をエアコン本体収容室59内に取り入れる内気取入れ部61が設けられている。
この内気取入れ部61は、シート台57の上壁部57aの左側後部に貫通形成された内気取入れ口62の上方をフィルタ63で覆うようにして構成されている。
また、エアコン本体60の背面左側(左右一側)には、エアコン本体収容室59内の空気をエアコン本体60に導入するための内気導入口が設けられており、エアコン本体60内のブロアによって、フィルタ63を介してエアコン本体収容室59内に取り入れられた内気が内気導入口からエアコン本体60内に吸い込まれるように構成されている。
したがって、エアコン本体収容室59全体が、フィルタ63を通った内気をエアコン本体60へと案内するダクトとされており、フィルタ63を備えた内気取入れ部61は、エアコン本体収容室59を構成する壁部の内、キャビン9室内に面する所のいずれの位置に設けてもよいように構成されている(内気取入れ部61の配置位置の設計の自由度が大きい)。
また、エアコン本体収容室59全体をダクトとしているので、エアコン本体60の背面に形成した内気導入口の後方側にダクトを接続するスペース又はフィルタを配置するスペースが必要でなく、エアコン本体60を極力キャビン9の背面側に寄せることができ、これによって、フロアーシート31の底壁部31a前部側のスペース(ステップ、オペレータの足置きスペース)を広くとることができる。
左側サイドパネル32の内面側(キャビン9室内側)には、その上端側が左側リヤピラー13の下端側(の内側面)に接続された(左側リヤピラー13内に連通された)外気流通ダクト68が設けられている。
この外気流通ダクト68の下端側は、エアコン本体60を構成する壁部、本実施の形態ではシート台57の上壁部57aの左側部を貫通してエアコン本体収容室59内に挿通されると共にエアコン本体60上面側の左側部の接続口に上方から接続されていて、エアコン本体60のブロアによって、ルーフ39の外気取入れ部53からフィルタを介して取り入れられた外気が、左側リヤピラー13及び外気流通ダクト68を通ってエアコン本体60内に吸い込まれるように構成されている。
外気流通ダクト68は、図1〜図3に示すように、エアコン本体60から後方に突出された後に、キャビン9室内の左側の後端部を上方に突出され、その後さらに前方に湾曲されて、左側リヤピラー13の下端側に接続されている。これにより、キャビン9室内の前後方向中途部での内装材の出っ張りを極力少なくし、キャビン9室内の居住空間を広く確保できるようにしている。
なお、この外気流通ダクト68は、キャビン9の居住空間を妨げないよう、できるだけ左右方向に関して扁平状に形成するのが好ましい。
また、エアコン本体60内の内気導入口の近傍には外気導入口が設けられ、切替ダンパにより、エアコン本体60を外気導入状態と内気導入状態とに切替え操作自在とされている。
また、エアコン本体60の前面側右側には、該エアコン本体60から空調空気を送出する送出口67が設けられ、該送出口67にはエアコン本体60から送出された空調空気を案内する送出側ダクト73が接続され、送出側ダクト73は送風ダクト(中継ダクト)77を介して、ステアリングハンドル45の近傍にて空調空気を吹き出す吹出しダクト76に接続されている。
送出口67は、前方に行くにしたがって左方に移行する傾斜方向を向いており、シート台57の前部壁57bには、送出側ダクト73の後端側をエアコン本体60内に挿入させて送出口67に接続するための開口部が形成され、この開口部は蓋体によって密閉状に閉
塞されている。
送出側ダクト73は、フロアーシート31の底壁部31a(キャビン9の底部)に沿って前方に延出されており、その後部は、前方に行くにしたがって左方に移行する傾斜状に形成され、前部は、左右方向中央側に位置していて前後方向に沿う方向に形成されている。
図5に示すように、送出側ダクト73の前部は、フロアーシート31の底壁部31aの前端側左右方向中央部形状に沿って前方に行くに従って上方に移行する傾斜状に形成され、送出側ダクト73の前端は、送風ダクト77の下端にダクト連結部材79を介して連結されている。
また、フロアーシート31の底壁部31a前部の左右方向中央側には、フロアーシート31を上方から下方に向けて凹ませることにより形成された凹部91が形成され、送出側ダクト73は、この凹部91に収容されるように下方に向けて凸となるように屈曲されており、凹部91に収容された送出側ダクト73の上面がフロアーシート31上面(ステップ上面)と略面一になるように構成されている。
なお、凹部91は送出側ダクト73が凹部91内に完全に没入するように形成されていてもよい。また、フロアーシート31の底壁部31a前部には、ゴム等からなるフロアーマットが敷設される。
図5及び図8に示すように、吹出しダクト76は、空調空気が送風ダクト77を介して送り込まれる吹出し基部93と、該吹出し基部93に連結されて前記空調空気をキャビン内の空気を空調すべく該キャビン9内に吹き出すメインダクト部94と、前記吹出し基部93に連結されて空調空気をフロントガラス34に吹き出すデフロスタダクト部95とを備える。吹出し基部93の下端は送風ダクト77の下端にダクト連結部材80を介して連結されている。メインダクト部94は、メイン連結孔96を介して吹出し基部93に連通され、前記デフロスタダクト部95は、デフ連通孔97を介して吹出し基部93に連通されている。
吹出し基部93に、空調空気をメインダクト部94とデフロスタダクト部95に分配する空気分配機構99が配備されている。空気分配機構99は、メイン連通孔96とデフ連通孔97とを択一的に閉塞可能な蓋体101を備え、蓋体101は、横軸102廻りに揺動自在に支持され、これにより、蓋体101は、メイン連通孔96を閉塞する第1閉塞位置とデフ連通孔97を閉塞する第2閉塞位置との間に移動自在である。また、蓋体101は第1閉塞位置と第2閉塞位置との間の任意の揺動位置で停止できるように構成されている。従って、蓋体101は、第1閉塞位置と第2閉塞位置との間で揺動調整可能に支持され、蓋体101の揺動調整によって、吹出し基部93からメインダクト部94に流れる空調空気と、吹出し基部93からメインダクト部94に流れる空調空気との割合を変更可能になっている。
図4、図5、図8に示すように、前記吹出しダクト76のメインダクト部94は、ステアリングハンドル45のハンドルポスト88を左右に跨いだ状態で後方に突出され、キャビン9の上方に向けて後上方(上側)に空調空気を吹き出すアッパー吹出口104と、後下方(下側)に空調空気を吹き出すロア吹出口105とを備えている。また、メインダクト部94の外側部に、側方側に空調空気を吹き出すサイド吹出口106を備えている。
前記吹出し基部93は、フロントガラス34の上下方向中央部よりやや下方で且つ左右方向中央部に対応する位置にあり、デフロスタダクト部95は、左右一対の側部分95a
と該左右側部分95aの上端同志を連結する上部分95bとから、フロントパネル23の外形状に沿う門型状に形成されていてフロントパネル23に取付固定されており、左右一対の側部分95aの下端側は閉塞されている。
このデフロスタダクト部95の左右の側部分95aには左右方向外方に指向する吹出し口108が設けられ、上部分95bには上方に指向する吹出し口109が設けられ、エアコン本体60から送出された空調空気が各吹出し口108,109からフロントガラス34の内面側に吹き出される。
図5に示すように、吹出しダクト76(主としてメインダクト部)を外側から覆うようにインストルメントパネル111が設けられ、インストルメントパネル111の上方側に計器部110とワイパーモータ112が設けられている。また、図9に示すように、インストルメントパネル111に、吹出口104,105,106に対応する吹出用開口113がそれぞれ設けられ、筒状の吹出し筒体114が、吹出しダクト76の内外を連通するするように、吹出しダクト76の吹出口104,105,106とインストルメントパネル111の吹出用開口113とに挿通されている。吹出し筒体114の外端部にフランジ115が設けられ、吹出し筒体114のフランジ115と、吹出しダクト76の吹出口104,105,106の開口縁部との間で、インストルメントパネル111の吹出用開口113の開口縁部が挟持され、これにより、インストルメントパネル111が吹出し筒体114を介して吹出しダクト76に止められている。従って、吹出し筒体114を止め部材に兼用することができて、インストルメントパネル111を吹出しダクト76に止めるための特別の部材を必要としなくなり、インストルメントパネル111を簡単な構造で吹出しダクト76に対して簡単に固定できる。
図4及び図9に示すように、前記吹出しダクト76のアッパー吹出口104に挿通した吹出し筒体114内に吹出しグリル116が着脱自在に取り付けられ、吹出し筒体114から吹出しグリル116を取り外すことによって、図9及び図10に鎖線で示す如く吹出し筒体114内に缶ジュースやペットボトル等の被冷却体117を上方突出状に保持可能とされている。吹出しグリル116は、吹出し筒体114に嵌合保持される嵌合体118と空調空気の吹き出し方向を変更するための羽体119とを有している。
なお、ロア吹出口105及びサイド吹出口106の吹出し筒体114にも、アッパー吹出口104の吹出し筒体114と同様に吹出しグリルが装着される。また、デフロスタダクト部95がインストルメントパネル111の取付用部材を兼用しており、インストルメントパネル111の取付用部材を省略することができるように構成されている。
図2〜図8に示すように、送風ダクト77が、キャビン室43内側であってキャビン9のフロントパネル23の後面側に設けられ、送風ダクト77は、キャビン9のフロントパネル23に沿って上下方向に配置されている。送風ダクト77の上端部は、吹出しダクト76の吹出し基部93に接続され、送風ダクト77の下端部は送出側ダクト73の前端部に接続されていて、吹出しダクト76の吹出し基部93と送出側ダクト73とを連通させている。
フロントパネル23は平板により構成され、フロントパネル23の左右方向中央部は、前方に向けて円弧状に突出するようにプレス成型されてダクト形成部121とされている。送風ダクト77は、フロントパネル23のダクト形成部121と、該ダクト形成部121をキャビン室43内側から覆うダクト構成部材122とから形成されている。従って、フロントパネル23のダクト形成部121に、ダクト構成部材122を溶接等により取り付けることにより、フロントパネル23の剛性アップ(強度アップ)が図られる。
ハンドルポスト88にステアリングハンドル45のハンドル軸124が軸心廻りに回転自在に支持されている。キャビン9のフロントパネル23の前面側に、パワステコントローラ125が設けられ、ステアリングハンドル45の動きをパワステコントローラ125に伝達する伝動軸126が、送風ダクト77を前後に貫通するように配置されている。この場合、伝動軸126が、送風ダクト77を前後に貫通すると同時にフロントパネル23も前後に貫通している。前記伝動軸126とステアリングハンドル45のハンドル軸124との間に、自在継ぎ手127が設けられ、自在継ぎ手127が送風ダクト77の後方に配置されている。なお、130は保護カバーである。
図8に示すように、支持筒体129が送風ダクト77を前後に貫通するように設けられ、支持筒体129内に、前記伝動軸126が、ブッシュ128等を介して軸心廻りに回転自在に挿通保持されている。
従って、ステアリングハンドル45の動きをパワステコントローラ125に伝達する伝動軸126が、送風ダクト77を前後に貫通するように配置されているので、送風ダクト77を避けてキャビン9のフロントパネル23を貫通するように配置する必要がなくなり、空調空気を案内する送風ダクト77と、ステアリングハンドル45の動きをパワステコントローラ125に伝達する伝動軸126とを、キャビン室43の前部側に、簡単な構造でコンパクトに配置することができる。また、伝動軸126が、支持筒体129内に挿通されて送風ダクト77を貫通しているため、パワステコントローラ125のシール部分等からの油漏れでキャビン室43や送風ダクト77内を汚すのを防ぐことができる。
熱、音の発生源であるパワステコントローラ125をキャビン9の室外に配置したので、キャビン室43内がパワステコントローラ125によって騒音が生じたり、部分的に加熱するのを防ぐことができる。送風ダクト77を、フロントパネル23の後方側のキャビン室43内に配置したので、送風ダクト77が、エンジン熱の悪影響を受けるのを防ぐことができる。送風ダクト77のメンテナンスも容易になる。また、伝動軸126を送風ダクト77を利用して支持することができて、特別の支持部材が不用になるため、伝動軸126等の支持構造の部品点数を削減することができて、支持構造も簡単になる。
図14に示すように、後輪フェンダの内側の収納室形成板57の前方に、デフロックペダル133が設けられている。デフロックペダル133の下端側はフロアーシート31に挿通孔134を介して下方突出され、デフロックペダル133の下端部に連結板135が固設されている。フロアーシート31のデフロックペダル133前方に、取付板136が下方突設され、連結板135と取付板136との間に、上リンク137と下リンク138とがそれぞれ左右軸廻りに回動自在に連結され、連結板135と取付板136と上リンク137と下リンク138とで平行リンク機構140が構成されている。下リンク138の前端部にボス部141を介して連動アーム142が下方突設され、この連動アーム142は、連動ロッド144を介して、後輪デフ装置に連結されており、デフロックペダル133を踏み込むことで、左右の後輪7をデフロックできるようになっている。この場合、連結板135と取付板136と上リンク137と下リンク138とにより平行リンク機構140を構成しているため、デフロックペダル133を横軸廻りに揺動自在に支持した場合に比べて、デフロックペダル133を踏み込んだ際に、デフロックペダル133が前後方向に大きく揺動することなく上下に揺動するため、デフロックペダル133を踏み込み操作し易くなるし、デフロックペダル133を貫通するためのフロアーシート31の挿通孔134が小さくて済む。また、デフロックペダル133が大きく前後揺動しないため、デフロックペダル133を、フロアーシート31上の収納室形成板57の前方にコンパクトに収めることができる。
図11〜図13に示すように、ルーフ39の前端部の下面側にサンバイザー151が設
けられ、ルーフ39の下面に固定した支持杆152に、サンバイザー151の一端部が上下揺動自在に支持されている。サンバイザー151は、図11に鎖線で示す如くフロントガラス34の上端部に突出するように回動させた使用状態において、左右方向中央側が後方に向けて突出するように湾曲形成されており、鎖線で示す使用状態及び実線で示す収納状態において、ルーフ39の下面(インナールーフ)にベストマッチし、しかも、使用状態のときに、フロントガラス34の上端部から入射する太陽光線を効果的に遮ることができるようになっている。
なお、前記実施の形態では、伝動軸126とハンドル軸124との間に自在継ぎ手127を設けているが、これに代え、自在継ぎ手127を省略し、ハンドル軸124に直接伝動軸126を連結するようにしてもよい。
トラクタの側面図である。 キャビンの平面図である。 キャビンの正面図である。 キャビンの斜視図である。 キャビンの側面断面図である。 図5のA−A線断面図である。 キャビンのフロントパネル及び送風ダクト部分の背面図である。 キャビンのハンドル機構部分の側面断面図である。 キャビンの吹出口部分の側面断面図である。 キャビンの吹出しダクト部分の斜視図である。 キャビン室内の前側の斜視図である。 図11のB矢視図である。 キャビンの前上部の側面断面図である。 デフロックペダル部分の側面断面図である。
符号の説明
9 キャビン
23 フロントパネル
43 キャビン室
44 運転席
45 ステアリングハンドル
60 エアコン本体
76 吹出しダクト
77 送風ダクト
104 アッパー吹出口
105 ロア吹出口
106 サイド吹出口
111 インストルメントパネル
113 吹出口用開口
114 吹出し筒体
115 フランジ
116 吹出しグリル
117 被冷却体
124 ハンドル軸
125 パワステコントローラ
126 伝動軸
127 自在継ぎ手
129 支持筒体

Claims (3)

  1. トラクタ車体(1)の後部にマウントゴム(47、49)を介してキャビン(9)が搭載され、このキャビン(9)の前部に室内と室外を仕切るフロントパネル(23)が設けられ、キャビン室(43)の前部側に、ステアリングハンドル(45)が設けられ、エアコン本体(60)から送出される空調空気を案内する送風ダクト(77)が、前記フロントパネル(23)に沿って上下方向に設けられおり、
    キャビン(9)のフロントパネル(23)の左右方向中央部に平板をプレス成型でキャビン(9)前方に向けて円弧状に突出してダクト形成部(121)が形成され、フロントパネル(23)の後面側に前記ダクト形成部(121)をキャビン室(43)から覆って前記送風ダクト(77)を形成するダクト構成部材(122)が固定され、前記ダクト形成部(121)及びダクト構成部材(122)を前後に貫通する支持筒体(129)が設けられ、
    フロントパネル(23)の前方側にパワステコントローラ(125)が配置され、ステアリングハンドル(45)の動きをパワステコントローラ(125)に伝達する伝動軸(126)が、前記支持筒体(129)内に軸心廻りに回転自在に挿通保持されていることを特徴とするキャビン装置。
  2. 前記ダクト構成部材(122)は断面コ字状に形成されていてダクト形成部(121)に溶着されていることを特徴とする請求項1に記載のキャビン装置。
  3. 前記伝動軸(126)が支持筒体(129)内にブッシュ(128)を介して保持され、前記伝動軸(126)とステアリングハンドル(45)のハンドル軸(124)との間に、自在継ぎ手(127)が設けられ、自在継ぎ手(127)が前記送風ダクト(77)の後方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャビン装置。
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