JP4216703B2 - 高強度セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度セラミックスの製造方法に関する。
セラミックス材料は、その種類によって特性に違いはあるものの、一般的に耐熱性、耐摩耗性、剛性、低熱膨張性、熱伝導性、電気絶縁性、軽量性等に優れることから、機能性材料や構造用材料等として幅広く使用されている。ただし、セラミックス材料は本質的に引張応力に弱く、破壊が一気に進行する脆性という欠点を有している。そこで、セラミックス部材の信頼性等を高めるために、高強度化や高靭性化を図ることが進められている。
従来のセラミックス部材の高強度化方法としては、アニーリング処理やHIP処理(熱間等方圧加圧処理)等が知られている。加熱処理であるアニーリング処理は、加工時の損傷(チッピング)や表面に露出した欠陥を補修する方法であり、これによりセラミックス部材の強度低下を回避することができる。また、高圧下での加熱処理であるHIP処理は、本質的に内在する欠陥を減少させる方法であり、これによりセラミックス部材を高強度化することができる。
しかしながら、従来のセラミックス部材の高強度化方法のうち、アニーリング処理は例えば表面に酸化被膜等の薄膜が形成可能なものに限定される等、効果が発現する材料が限定されると共に、加工時の損傷による強度の低下分を回復する程度の効果しか得られず、高強度化の効果が小さいというような問題を有している。さらに、アニーリング処理は加熱する温度が高く容易に施工できない、高精度な形状寸法が要求される部材には適用できない(表面に被膜が形成される、肉薄のものは反りが生じやすい等)、見かけが悪くなる(表面に不均質に被膜が形成されるため)等の欠点を有している。
一方、HIP処理はセラミックス部材内部に存在する欠陥を本質的に減少させる方法であるため、セラミックス部材の高強度化に対する効果が大きい。その反面、HIP処理は高圧下での加熱処理であるため、施工できる部材形状が高温高圧炉の大きさに限定されると共に、高強度化に要するコストが高く、さらには施工後に加工が必要であり、加工による損傷を補修できないというような難点を有している。特に、加工による損傷が懸念される大型や複雑形状のセラミックス部品への施工ができないことが課題とされている。
さらに他の方法として、セラミックス部材の1種であるジルコニア材料を対象とし、その表面に研磨、ショットピーニング、サンドブラスト、圧縮加工、研磨加工等の機械加工を施し、ジルコニア材料本来の内部結晶構造である正方晶、正方晶および立方晶の構造から表面層のみ斜方面体晶構造とすることにより圧縮応力を与え、その結果として高強度、高靭性を有するジルコニア材料を得る技術が知られている(例えば特許文献1参照)。加えて、硬質合金表面に被覆されたジルコニア材料に対して、バレル、ラッピング処理、サンドブラスト、ショットピーニング等の機械的衝撃を与えることにより、その結晶構造を正方晶から単斜晶に変態させ、ジルコニア被膜に圧縮応力を付与する技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
特公平3-21499号公報 特開平8-188879号公報
上述したように、従来のセラミックス部材の高強度化方法のうち、アニーリング処理は適用可能な材料が限定される、強度の向上効果が小さい、高精度な寸法が要求される部材には適用できない等の欠点を有している。一方、HIP処理は高強度化に対する効果が大きい反面、適用可能な部材形状が限定される、高強度化に要するコストが高い、加工による損傷が補修できないというような難点を有している。特に、HIP処理は加工による損傷が懸念される大型や複雑形状のセラミックス部品に適用することができない。
また、従来の表面に機械加工を施す方法は、セラミックス材料の1種であるジルコニア材料に限定された方法であると共に、機械加工を施す際にセラミックス材料(ジルコニア材料)を破壊しないように、例えばショットピーニングの場合にはショットの材料、形状、噴射速度等を制御する必要があるという問題を有している。さらに、ジルコニア材料の結晶構造の変態を利用しているため、変態時の体積膨張によりジルコニア材料自体にクラックが生じるおそれがあるという問題を有している。
本発明はこのような課題に対処するためになされたものであって、セラミックス部材の大きさ、形状、材質等に制限されることなく、小型の部品から大型・複雑形状の部品まで、低コストでかつ効率よく高強度化することを可能にした高強度セラミックスの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の高強度セラミックスの製造方法は、高強度セラミックス部材を製造するにあたって、セラミックス部材の表面に軟質材料粒子を高速で吹き付け、前記セラミックス部材の表面に圧縮残留応力を誘起することにより、高強度化した表面を有するセラミックス部材を作製する工程を有することを特徴としている。
本発明の高強度セラミックスの製造方法においては、セラミックス部材の表面に軟質材料粒子を高速で吹き付けている。このように、軟質材料粒子を高速で吹き付けることによって、セラミックス部材の表面を損傷させることなく、圧縮残留応力を誘起させることができる。セラミックス部材の表面部に適度な圧縮残留応力を誘起すると、この表面残留応力に基づいてセラミックス部材を高強度化、さらには高靭性化することができる。そして、本発明における高強度化工程は軟質材料粒子を高速で吹き付けることで実施されるため、セラミックス部材の大きさ、形状、材質等に制限されることなく、小型の部品から大型・複雑形状の部品まで容易にかつ低コストで適用することができる。
本発明の高強度セラミックスの製造方法によれば、セラミックス部材の大きさ、形状、材質等に制限されることなく、小型のセラミックス部材から大型・複雑形状のセラミックス部材まで、低コストでかつ効率よく高強度化することできる。従って、高性能、長寿命、高信頼性の高強度セラミックスを安価にかつ容易に提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の高強度セラミックス製造方法においては、まず高強度化を実施するセラミックス部材を用意する。高強度化するセラミックス部材の材質は特に限定されるものではなく、本発明の製造方法(高強度化方法)は種々のセラミックス焼結体からなる部材に適用することができる。また、本発明の製造方法は焼結体状態の素材から各種の部品形状等に加工した加工材まで、種々の形態のセラミックス部材に適用することが可能である。部品形状のセラミックス部材としては、例えば構造材料としての各種機器部品(エネルギー機器部品、産業機器部品等)や高温部材(炉材等)、また機能性材料としての基板や電気・電子部品等が挙げられる。
特に、本発明は炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、窒化アルミニウム、および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を主成分とする焼結体に対して有効な効果を示すものである。このようなセラミックス焼結体については、例えば50MPa以上、さらには100MPa以上の圧縮残留応力を効率よく誘起することができる。なお、上記した焼結体には各種公知の方法で作製したものを適用することができ、各材料を主成分とする焼結体、また2種以上の材料を使用した複合焼結体等を適用することができる。
本発明の製造方法においては、上述したようなセラミックス部材の表面に軟質材料粒子を高速で吹き付ける工程、すなわち軟質材料粒子の吹き付けによる高強度化工程を実施する。なお、ここで言う高強度化工程とは、いわゆる曲げ強度等の強度のみを向上させる工程に限られるものではなく、破壊靭性値等の機械特性全般を向上させ、その結果としてセラミックス部材を高強度化する工程を含むものである。
このような高強度化工程において、セラミックス部材の表面に吹き付ける粒子は軟質材料粒子であることが重要である。すなわち、従来から表面研削や研磨に用いられている硬質材料粒子、例えばガラスビーズやセラミックス粒子では、セラミックス部材の表面を損傷させてしまうため、逆に強度や破壊靭性値が低下してしまう。これに対して、軟質材料粒子であればセラミックス部材を損傷することなく、その表面に圧縮残留応力を効率よく誘起することができる。
セラミックス部材に吹き付ける軟質材料粒子は、具体的にはビッカース硬さで100Hv以下の硬度を有していることが好ましい。軟質材料粒子のビッカース硬さが100Hvを超えると、セラミックス部材の表面を損傷させるエロージョンが顕著となり、逆に表面損傷により強度が低下してしまうおそれがある。軟質材料粒子のビッカース硬さは80Hv以下であることがより好ましい。軟質材料粒子はビッカース硬さを測定することができない軟質材料、例えば木質材料や高分子材料からなるものであってもよい。
軟質材料粒子の具体例としては、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、マグネシウム、銀、および金から選ばれる少なくとも1種の金属粉末、またはこれらの金属元素を含む合金粉末等が挙げられる。これら金属粉末や合金粉末は基本的に硬度が低く、セラミックス部材の表面を損傷することなく、有効に圧縮残留応力を誘起することができる。軟質材料粒子には、パルプやコルク等の木質材料、ゴムや樹脂等の高分子材料からなる粉末を適用することも可能であり、これらの粉末を用いた場合においても、吹き付け時の速度や粒径等の噴射条件を制御することで圧縮残留応力を誘起することができる。
また、軟質材料粒子の大きさは平均粒径で3mm以下とすることが好ましい。平均粒径が3mmを超える場合には、軟質材料粒子であってもセラミックス部材表面のエロージョンが増加するおそれがある。さらに、軟質材料粒子は鋭利な角部やエッジ等が存在しない、滑らかな粒子形状を有することが好ましく、具体的には球形粒子等を使用することが望ましい。粒子表面に鋭利な角部やエッジ等が存在する粒子、例えば表面がギザギザ形状の粒子等を使用すると、粒子表面の角部やエッジ等でセラミックス部材の表面が損傷するおそれがある。
上述したような軟質材料粒子をセラミックス部材の表面に吹き付ける際の速度は、軟質材料粒子の材質や粒子形状等を考慮して設定するものとするが、通常は30〜1000m/secの範囲とすることが好ましい。軟質材料粒子の噴射速度が30m/sec未満では、セラミックス部材の表面に圧縮残留応力を効率よく誘起することができない。また、噴射速度が1000m/secを超えるとセラミックス部材の表面を損傷してしまうおそれがある。軟質材料粒子の噴射速度は50〜800m/secの範囲とすることがより好ましい。
さらに、軟質材料粒子をセラミックス部材の表面に吹き付けた際に、セラミックス部材表面の温度上昇が300℃以下となるように条件を設定することが好ましい。軟質材料粒子を高速で噴射すると、セラミックス部材の表面に衝突した際の運動エネルギーが熱に変換されて、セラミックス部材の表面温度が上昇する。そのときの温度上昇が300℃を超えると、誘起された圧縮残留応力が冷却時に緩和されてしまうため、高強度化や高靭性化の効果が小さくなってしまう。このようなセラミックス部材表面の温度条件を満足させる上で、軟質材料粒子を高速噴射する際の粒子搬送ガスには、空気、窒素または二酸化炭素を圧縮したガスを用いることが好ましい。圧縮ガスを用いて軟質材料粒子を噴射することで、セラミックス部材表面の過度な温度上昇を抑制することができる。これによって、セラミックス部材表面に誘起された圧縮残留応力が有効に維持され、高強度特性や高靭性等を有効に発現させることが可能となる。
上述したような条件下でセラミックス部材に軟質材料粒子を高速で吹き付けると、セラミックス部材の表面を損傷することなく、圧縮残留応力を効果的に誘起することができる。セラミックス部材の表面部に適度な圧縮残留応力を誘起すると、この表面残留応力に基づいてセラミックス部材を高強度化、さらには高靭性化することができる。セラミックス部材の表面に誘起する圧縮残留応力は、セラミックス部材の材質等によっても異なるが、例えば50MPa以上であることが好ましく、さらには100MPa以上であることがより好ましい。このような圧縮残留応力によれば、セラミックス部材を再現性よく高強度化することができる。
そして、上述したセラミックス部材の高強度化工程は、軟質材料粒子を高速で吹き付けるだけで実施することができるため、セラミックス部材の大きさ、形状、材質等に制限されることなく、小型の部品から大型・複雑形状の部品まで低コストでかつ効率よく高強度化することができる。特に、加工による損傷が懸念される大型や複雑形状のセラミックス部材、高精度な寸法が要求されるセラミックス部材に対しても適用可能であるため、このようなセラミックス部材の高強度化や高靭性化を低コストで実現することが可能となる。
本発明を適用することが可能なセラミックス部材もしくは部品としては、基板、抵抗体、半導体コンデンサ、着火素子、圧電フィルタ、表面波デバイス、圧電トランス、圧電振動子、サーミスタ、ガス吸着型半導体、パワーエレクトロニクスモジュール、ガスセンサ、熱電変換モジュール等の機能性セラミックス、またエンジン部品、ガスタービン部品、炉部材、産業機械部品、フィルタ、鏡面部材等の構造用セラミックスが挙げられる。なお、これらは一例であり、本発明は各種の材質、形態、形状のセラミックス部材に対して適用可能である。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1
まず、炭化ケイ素焼結体からなる基板を作製し、この炭化ケイ素基板の表面に平均粒径が0.1mmの球形アルミニウム粉末を、室温大気中にて300m/secの噴射速度で吹き付けた。アルミニウム粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮した窒素ガスを用いた。なお、アルミニウム粉末を吹き付けた際の炭化ケイ素基板表面の温度上昇は約100℃であった。
このようにして表面処理した炭化ケイ素基板の残留応力および機械的特性を以下のようにして測定、評価した。なお、基板のサイズは、残留応力の評価用に直径30mmの丸板と、強度および破壊靭性値の評価用に3×4×40mmの曲げ試験片との2種類を用意し、それぞれに上記した表面処理を施した。なお、比較のために表面処理を施していない炭化ケイ素基板の残留応力と機械的特性を同様にして測定した。
上述した表面処理を施した炭化ケイ素基板(丸板)を用いて、処理面の残留応力をX線回折法で測定した。その結果、表面処理を施していない炭化ケイ素基板の残留応力は20MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施した炭化ケイ素基板では100MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、アルミニウム粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。
次に、表面処理を施した炭化ケイ素基板(曲げ試験片)の強度と破壊靭性値を測定した。強度は3点曲げ試験(JIS R1601)により測定し、破壊靭性値はIF法(JIS R1607)により測定した。表面処理を施した炭化ケイ素基板は、表面処理を施していないものに対して、平均強度が400MPaから500MPaまで向上していた。また、平均破壊靭性値については2.5MPa・m1/2から3MPa・m1/2まで上昇していた。
比較例1〜2
炭化ケイ素基板を用意し、この炭化ケイ素基板の表面に平均粒径が0.1mmのガラスビーズ(比較例1)を、室温大気中にて300m/secの噴射速度で吹き付けた。このように、硬質材料粒子であるガラスビーズを炭化ケイ素基板に高速で吹き付けた場合、その表面の温度上昇が大く、また表面に過度のエロージョンが生じ、基板品質が大幅に低下してしまうことが確認された。また、平均強度は250MPaと低下し、平均破壊靭性値も2.0MPa・m1/2まで低下していた。また、炭化ケイ素基板の表面に吹き付ける粒子を、平均粒径が0.1mmの球形鉄粉末(硬度=200Hv)(比較例2)に変更した場合にも、ほぼ同様な結果を示した。
実施例2
窒化ケイ素焼結体からなる基板を作製し、この窒化ケイ素基板の表面に平均粒径が0.1mmの球形銅粉末を、室温大気中にて300m/secの噴射速度で吹き付けた。銅粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、銅粉末を吹き付けた際の窒化ケイ素基板表面の温度上昇は約100℃であった。
このようにして表面処理した窒化ケイ素基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していない窒化ケイ素基板の残留応力は20MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施した窒化ケイ素基板では150MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、銅粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は800MPaから900MPaまで向上し、平均破壊靭性値は6MPa・m1/2から7MPa・m1/2まで向上していた。
なお、窒化ケイ素基板の表面に吹き付ける粒子を、エッジが存在する銅粉末(表面がギザギザな粒子)に変更する以外は、同一条件で窒化ケイ素基板の表面処理を実施した。その結果、窒化ケイ素基板には60MPaの圧縮残留応力が誘起されていたが、その表面には銅粉末の高速噴射によるエロージョンが観察された。また、平均強度は800MPaと変化がなく、平均破壊靭性値は6MPa・m1/2と若干向上していた。
実施例3
酸化亜鉛基板を用意し、この酸化亜鉛基板の表面に平均粒径が0.01mmの球形錫粉末を、室温大気中にて120m/secの噴射速度で吹き付けた。錫粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、錫粉末を吹き付けた際の酸化亜鉛基板表面の温度上昇は約50℃であった。
このようにして表面処理した酸化亜鉛基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していない酸化亜鉛基板の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施した酸化亜鉛基板では100MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、錫粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は200MPaから300MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は2MPa・m1/2から2.5MPa・m1/2まで向上していた。
実施例4
シリカ基板を用意し、このシリカ基板の表面に平均粒径が0.01mmの球形亜鉛粉末を、室温大気中にて120m/secの噴射速度で吹き付けた。亜鉛粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、亜鉛粉末を吹き付けた際のシリカ基板表面の温度上昇は約120℃であった。
このようにして表面処理したシリカ基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないシリカ基板表面の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施した酸化亜鉛基板では100MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、亜鉛粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は200MPaから300MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は2MPa・m1/2から2.5MPa・m1/2まで向上していた。
なお、シリカ基板の表面に吹き付ける亜鉛粒子の噴射速度を10m/secに変更する以外は、同一条件でシリカ基板の表面処理を実施した。その結果、シリカ基板表面のエロージョンは観察されなかったが、その表面に誘起された圧縮残留応力は15MPaであった。この場合、平均強度は200MPaと変化がなく、平均破壊靭性値は2.2MPa・m1/2と若干向上していた。
実施例5
アルミナ基板を用意し、このアルミナ基板の表面に平均粒径が0.3mmの球形マグネシウム粉末を、室温大気中にて600m/secの噴射速度で吹き付けた。マグネシウム粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、マグネシウム粉末を吹き付けた際のアルミナ基板表面の温度上昇は約200℃であった。
このようにして表面処理したアルミナ基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないアルミナ板の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したアルミナ基板では150MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、マグネシウム粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は300MPaから400MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は4MPa・m1/2から4.5MPa・m1/2まで向上していた。
実施例6
サイアロン基板を用意し、このサイアロン基板の表面に平均粒径が0.3mmの球形銀粉末を、室温大気中にて600m/secの噴射速度で吹き付けた。銀粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、銀粉末を吹き付けた際のサイアロン基板表面の温度上昇は約250℃であった。
このようにして表面処理したサイアロン基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないサイアロン基板表面の残留応力は20MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したサイアロン基板では150MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、銀粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は700MPaから800MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は4MPa・m1/2から5MPa・m1/2まで向上していた。
なお、サイアロン基板の表面に吹き付ける銀粒子の噴射速度を1200m/secに変更する以外は、同一条件でサイアロン基板の表面処理を実施した。この際のサイアロン基板表面の温度上昇は約400℃であった。その結果、サイアロン基板には60MPaの圧縮残留応力が誘起されていたが、その表面には銀粉末の高速噴射によるエロージョンが観察された。また、平均強度は700MPaと変化がなく、平均破壊靭性値は4.3MPa・m1/2と若干向上していた。
実施例7
ジルコニア基板を用意し、このジルコニア基板の表面に平均粒径が0.1mmの球形金粉末を、室温大気中にて1000m/secの噴射速度で吹き付けた。金粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、金粉末を吹き付けた際のジルコニア基板表面の温度上昇は約250℃であった。
このようにして表面処理したジルコニア基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないジルコニア基板表面の残留応力は50MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したジルコニア基板では300MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、金粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は900MPaから1100MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は9MPa・m1/2から10MPa・m1/2まで向上していた。
なお、ジルコニア基板の表面に金粉末を吹き付ける際の搬送ガスを水素ガスに変更する以外は、同一条件でジルコニア基板の表面処理を実施した。この際のジルコニア基板表面の温度上昇は約500℃であった。その結果、ジルコニア基板の表面にはエロージョンは観察されず、また100MPaの圧縮残留応力が誘起されていた。この場合、平均強度は920MPaと若干向上し、また平均破壊靭性値も9.5MPa・m1/2と若干向上していた。
実施例8
チタニア基板を用意し、このチタニア基板の表面に平均粒径が3mmの球形パルプ粉末を、室温大気中にて150m/secの噴射速度で吹き付けた。パルプ粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、パルプ粉末を吹き付けた際のチタニア基板表面の温度上昇は約50℃であった。
このようにして表面処理したチタニア基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないチタニア基板表面の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したチタニア基板では60MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、パルプ粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は200MPaから250MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は2MPa・m1/2から2.5MPa・m1/2まで向上していた。
実施例9
ムライト基板を用意し、このムライト基板の表面に平均粒径が3mmの球形コルク粉末を、室温大気中にて150m/secの噴射速度で吹き付けた。コルク粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、コルク粉末を吹き付けた際のムライト基板表面の温度上昇は約50℃であった。
このようにして表面処理したムライト基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないムライト基板表面の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したムライト基板では60MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、コルク粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は300MPaから350MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は2.5MPa・m1/2から3MPa・m1/2まで向上していた。
実施例10
コージェライト基板を用意し、このコージェライト基板の表面に平均粒径が3mmの球形ゴム粉末を、室温大気中にて300m/secの噴射速度で吹き付けた。ゴム粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、ゴム粉末を吹き付けた際のコージェライト基板表面の温度上昇は約50℃であった。
このようにして表面処理したコージェライト基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していないコージェライト基板表面の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施したコージェライト基板では60MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、ゴム粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は150MPaから200MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は2MPa・m1/2から2.5MPa・m1/2まで向上していた。
実施例11
窒化ホウ素基板を用意し、この窒化ホウ素基板の表面に平均粒径が3mmの球形樹脂粉末を、室温大気中にて300m/secの噴射速度で吹き付けた。樹脂粉末を噴射する際の搬送ガスには圧縮空気を用いた。なお、樹脂粉末を吹き付けた際の窒化ホウ素基板表面の温度上昇は約50℃であった。
このようにして表面処理した窒化ホウ素基板の残留応力と機械的特性を、実施例1と同様にして測定した。表面処理を施していない窒化ホウ素基板表面の残留応力は10MPa(圧縮)であったのに対して、表面処理を施した窒化ホウ素基板では60MPaの圧縮残留応力が誘起されていることが確認された。また、樹脂粉末の高速噴射によるエロージョンは観察されなかった。その結果として、平均強度は300MPaから350MPaまで向上し、また平均破壊靭性値は3MPa・m1/2から3.5MPa・m1/2まで向上していた。
なお、上述した実施例1〜11および比較例1〜2の高強度セラミックスの製造工程(高強度化工程)における粒子噴射条件、および得られた高強度セラミックスの特性評価結果を表1および表2にまとめて示す。
Figure 0004216703
Figure 0004216703

Claims (11)

  1. 高強度セラミックス部材を製造するにあたって、
    セラミックス部材の表面に軟質材料粒子を高速で吹き付け、前記セラミックス部材の表面に圧縮残留応力を誘起することにより、高強度化した表面を有するセラミックス部材を作製する工程を有することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  2. 請求項1記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子はビッカース硬さで100Hv以下の硬度を有することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子として、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、マグネシウム、銀、および金から選ばれる少なくとも1種の金属、または前記金属を含む合金からなる粉末を使用することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  4. 請求項1記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子として、木質材料または高分子材料からなる粉末を使用することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子は平均粒径が3mm以下の粒子形状を有することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子は表面が滑らかな粒子形状を有することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子を前記セラミックス部材の表面に対して30〜1000m/secの速度で吹き付けることを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子を吹き付けた際の前記セラミックス部材表面の温度上昇が300℃以下であることを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記軟質材料粒子を前記セラミックス部材の表面に高速で吹き付ける際の粒子搬送ガスとして、空気、窒素または二酸化炭素からなる圧縮ガスを用いることを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記セラミックス部材は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素、窒化アルミニウム、および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を主成分とする焼結体からなることを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項記載の高強度セラミックスの製造方法において、
    前記セラミックス部材の表面に50MPa以上の圧縮残留応力を誘起することを特徴とする高強度セラミックスの製造方法。
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