JP4215999B2 - 摩擦攪拌接合材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦攪拌接合材の製造方法に関し、特に、鉄道車両、船舶、及び航空機等の大型構造物に用いられる摩擦攪拌接合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鉄道車両、船舶、及び航空機等の大型構造物に用いられ、長手方向に延在する中空型材等の二面構造体(パネル)は押し出し成形材を複数平行に配設したものを突き合わせ接合して構成されてあり、このような押し出し型材同士を接合する際には、例えば、MIG溶接等を用いて突き合わせ接合部を溶融接合にて接合部を形成する等がある。しかしながら溶融接合する方法では熱歪み等の問題が生じる。
【0003】
一方、特表平7−505090号公報には、摩擦攪拌接合による部材同士の接合が記載されており固相接合方法として、加工物より実質的に硬い材質からなる回転ツ−ルを加工物の接合部に挿入し、回転ツ−ルを回転させながら移動することにより、回転ツ−ルと加工物との間に生じる摩擦熱による塑性流動によって加工物を接合する接合方法がある。
【0004】
かかる摩擦攪拌接合法は、被接合部材を固相状態で、回転ツ−ルを回転させながら移動しながら軟化させた固相部分を一体化しながら接合できるために、熱歪みがなく接合方向に対して実質的に無限に長い部材でもその長手方向に連続的に固相接合できる利点がある。さらに、回転ツ−ルと被接合部材との摩擦熱による金属の塑性流動を利用した固相接合のため、接合部を溶融させることなく接合できる。また、加熱温度が低いため、接合後の変形が少ない。接合部は溶融されないため、欠陥が少ないなどの多くの利点がある。
【0005】
さらに、特許第3152420号公報には、鉄道車両、船舶、及び航空機等の大型構造物に用いられる長尺な中空型材等の二面構造体(パネル)は押し出し型材を複数平行に配設したものを突き合わせ、摩擦攪拌接合による二面構造体(パネル)同士の接合が記載されている。
【0006】
かかる技術では、第1の板の端部と第2の板の端部との突合わせ部のそれぞれの前記板の一方側の面に裏当てを当てた状態で、他方側の面のみから回転工具を前記突合わせ部に挿入して、前記突合わせ部を摩擦攪拌接合するとともに該突合わせ部の前記一方側の面を実質的に平に摩擦攪拌接合し、前記摩擦攪拌接合によって得られた物の前記一方側の面を構造体の外面に位置させて、構造体を製作することによって達成できるものである。
【0007】
ところで、上述の摩擦攪拌接合を行う際には、回転ツール(工具)によって、被接合部材に不可避的に押圧力が加わる関係上、突き合わせ部(接合部)の隙間の寸法が大きくなることがある。そして、隙間寸法が大きいと、被接合部材同士を良好に接続することが難しくなってしまう。このような不具合に対処するため、従来、例えば、特開2000−233285公報に記載された摩擦攪拌接合方法が知られている(以下単に従来例と呼ぶ)。
【0008】
従来例では、二つの被接合部材の間の隙間が大きい場合には、補充材を配置するようにしている。つまり、従来例では、二つの被接合部材の突き合わせ部の隙間に補充材を配置して、工具の投影範囲内に補充材及び二つの部材が位置した状態で、これら三者を摩擦攪拌接合している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来例では、二つの被接合部材の突き合わせ部に隙間が存在する場合においても、隙間に補充材を配置して摩擦攪拌接合を行い、二つの部材を接合するようにしているものの、単に隙間に補充材を配置して摩擦攪拌接合を行っているだけであるから、補充材と隙間との関係及び工具との関係によっては、良好に摩擦攪拌接合が行えないという課題がある。
【0010】
さらに、従来例では、摩擦攪拌接合と補充材の供給との関係についても何等示唆されておらず、この結果、従来例では、補充材を供給しつつ、摩擦攪拌接合を行うことができず、結果的に摩擦攪拌接合に時間がかかってしまう等の課題がある。
【0011】
本発明の目的は、突き合わせ部(接合部)に開先が存在する際において、常に良好な接合状態を維持することのできる摩擦攪拌接合材製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は突き合わせ部に開先が存在する際において短時間に良好に接合することのできる摩擦攪拌接合材製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被加工物に摩擦熱を付与する円形ショルダを、長手方向に延在する型材同士の突き合わせ接合部に空域を形成して、該空域に補充材を配置し、該補充材とともに被加工物の突き合せ部に摩擦熱を付与させつつ回転させながら塑性流動させて摩擦攪拌接合材を形成する製造方法において、
前記被加工物同士の接合位置に位置する空域をV溝若しくは逆台形状の開先として、該開先の開口幅を前記円形ショルダ面の直径よりも小に設定して、該開先にその断面積が前記開先の空域領域よりも大である補充材を供給しつつ該補充材の供給に追従して前記円形ショルダを前記補充材とともに被加工物の突き合わせ部に摩擦熱を付与させつつ回転させながら塑性流動させて摩擦攪拌接合を行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
かかる発明によれば、開先がV溝若しくは逆台形状となっているから、補充材を容易に開先に収納することができ、しかも、開先の開口幅が円形ショルダ面の直径よりも小に設定されるとともに、開先に供給される補充材断面積が開先空域面積より大であるから、摩擦攪拌接合の際、開先開口が円形ショルダ面によって塞がれ、開先を前記補充材が塑性流動化されてなる充填材で満たすことができる。このように、本発明では、突き合わせ部に開先が存在する際において、常に良好な接合状態を維持することができることになる。
【0015】
本発明では、突き合わせされる型材の突き合わせ部が傾斜端面であり、該傾斜端面同士の嵌合によりV溝又は逆台形状の開先が形成される。
【0016】
かかる発明によれば、工具の押圧力によって開先寸法が変化しても、開先はV字状又は逆台形状に維持されるから、補充材が開先から飛び出すことがない。
【0017】
本発明では、型材の一の傾斜端面の直下に前記ショルダ面からの押圧力を受圧する垂直押圧対向壁が存在する。
【0018】
かかる発明によれば、工具(ショルダ面)による押圧力を垂直押圧対向壁が受圧することになって、摩擦攪拌接合の際、開先寸法が変化することがない。
【0019】
また、本発明では、前記開先の直下に前記ショルダ面からの押圧力を受圧する垂直押圧対向壁が存在するようにしてもよい。この場合においても、工具(ショルダ面)による押圧力を垂直押圧対向壁が受圧することになって、摩擦攪拌接合の際、開先寸法が変化することがない。
【0020】
本発明では、摩擦攪拌接合の際、プローブを挟んで前記突き合せ接合部の表裏両側に位置する一対のショルダ部を備えるボビンツールを用いる。このようにすれば、押圧力がかかることがなく、従って、垂直押圧対向壁が存在しなくても、開先寸法が変化することなく良好に摩擦攪拌接合を行うことができる。
【0021】
【0022】
更に加えて本発明によれば、開先がV溝若しくは逆台形状となっているから、摩擦攪拌接合に当たって、補充材を容易に開先に収納することができ、しかも、開先の開口幅が円形ショルダ面の直径よりも小に設定されるとともに、開先に供給される補充材の断面積が開先空域面積より大であるから、摩擦攪拌接合の際、開先開口が円形ショルダ面によって塞がれ、開先を補充材で満たすことができる。このように、本発明では、突き合わせ部に開先が存在する際において、常に良好に摩擦攪拌接合を行うことができることになる。さらに、補充材の供給に追従して、つまり、同期して、摩擦攪拌接合を行うようしたから、短時間で良好に摩擦攪拌接合を行うことができる。
【0023】
なお、摩擦攪拌接合を行うに当たって、前記突き合わせされる型材の突き合わせ部を、傾斜端面として、該傾斜端面同士を嵌合して前記V溝の開先が形成される。この際、型材の一の傾斜端面の直下に位置する垂直押圧対向壁でショルダ面からの押圧力を受圧することが望ましく、また、開先の直下に位置する垂直押圧対向壁で前記ショルダ面からの押圧力を受圧するようにしてもよい。また、垂直押圧対向壁が存在しない場合には、工具としてプローブを挟んで前記突き合せ接合部の表裏両側に位置する一対のショルダ部を備えるボビンツールを用いる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。なお、図示の例に記載された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に限定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
図1及び図2を参照して、ここでは、例えば、鉄道車両に用いられ、長手方向に延在する型材である中空型材同士の接合について説明する。中空型材11及び12は、例えば、押し出し型材であり、アルミニウム合金製である。図示の例では、中空型材11は、長尺方向(図1において、紙面の表側から裏側の方向)に延びる長尺部材であり(例えば、25メートル程度)、面板部11a及び11bを備えている。これら面板部11a及び11bはトラス状に配置されたリブ部材11cによって予め規定された間隔に保持されている。中空型材11の一端部(図中右側)には接合部が規定されおり、この一端部において、面板部11a及び11bはそれぞれ互いに接近する方向に傾斜した後、互いに平行に延びる先端部11d及び11eを有している。そして、これら先端部11d及び11eは長尺方向に直交する支持部材(垂直押圧対向壁)11fで連結されている。
【0026】
同様に、中空型材12は、長尺方向に延びる長尺部材であり、面板部12a及び12bを備えている。これら面板部12a及び12bはトラス状に配置されたリブ部材12cによって予め規定された間隔に保持されている。中空型材12の一端部(図中左側)には接合部が規定されている。この一端部において、面板部12a及び12bの先端部は図中斜め方向の切断面を有しており、面板部12a及び12bは長尺方向に直交する支持部材12dで連結されている。
【0027】
いま、中空部材11及び12を架台(図示せず)上に固定して、接合部で中空部材11及び12を組み合わせると(突き合わせると)、先端部11dの一面(図中上面)は面板部12aの裏面に当接し、先端部11eの一面(図中下面)は面板部12aの裏面に当接する。この際、前述のように、面板部11a及び11bはその一端部においてそれぞれ互いに接近する方向に傾斜した後互いに平行に延びているから、面板部12a及び12bの切断面とによって、V溝状の接合部(開先)が規定されることになる。つまり、この開先は上側に拡がる傾斜面を有している。そして、図示の例では、このV溝の底部は、支持部材11fの範囲内(図中上下方向の範囲内)にある。
【0028】
上述の接合部で中空型材11及び12を接合する際には、工具21が用いられる。工具21はショルダ部21aとこのショルダ部21aに同軸状に配置されたプローブ21bとを有しており、ショルダ部21aの円形下面は被加工物に摩擦熱を付与する。いま、工具21を回転させつつ、プローブ21bを接合部に挿入して、接合部に沿って工具21を移動させて摩擦攪拌接合を行う。この際、接合部、つまり、V溝には補充材31が供給される。この補充材31は、例えば、アルミ合金製のワイヤであり、その断面は円形である。
【0029】
いま、ショルダ部21aの直径をBとし、プローブ21bの長さをPとする。また、開先の幅をA、開先の深さをC、開先の断面積をD、ワイヤの断面直径をW、断面積をSとすると、B>A、P≧C、W<B、そして、D<1.5×Sに規定される。
【0030】
ここで、図2も参照して、摩擦攪拌接合を行う際には、補充材31を補充材送給装置32で接合部、つまり、開先に送給しつつ、摩擦攪拌接合が行われることになる。補充材送給装置32は工具21の進行側(移動方向側)に位置づけられ、移動装置41によって、工具21及び補充材送給装置32が接合部に沿って移動する。言い換えると、補充材送給装置32は工具21に同期して(追従して)移動することになる。
【0031】
このようにして、補充材送給装置32によって開先に補充材(ここでは、ワイヤ)31を送給しつつ、工具21を回転させて、プローブ21bを接合部、つまり、開先の所定方向(長手方向)中心線上(底部)に対応する位置で補充材31から開先に挿入して、接合部に沿って(図3において実線矢印で示す方向に)工具21を移動させる。この際、補充材送給装置32は工具21の移動に追従して、補充材31を送給しつつ、接合部に沿って移動することになる。
【0032】
摩擦攪拌接合の際には、ショルダ部21aが面板部11a及び12aに強く押しつけられることになるが、前述のように、B>Aに規定され、開先の直下には支持部材(垂直押圧対向壁)11fが存在するから、この押し付け力は支持部材11fによって受けられることになる。さらに、P≧Cに規定されているから、プローブ21bは開先の底部に達することになる。そして、B>Aに規定されるとともにW<Bに規定されているから、開先はショルダ部21aに覆われることになって、前記V溝若しくは逆台形状の開先に前記補充材が塑性流動化されてなる充填材が満たされ且つ該充填材が開先から外にはみ出すことがな前記V溝若しくは逆台形状の開先に前記補充材が塑性流動化されてなる充填材が満たされ且つ該充填材が開先から外にはみ出すことなく接合されている。なお、発明者らの実験によれば、1.0×S≦D<1.5×Sに規定すれば、接合部を良好に摩擦攪拌接合できることがわかった。また、摩擦攪拌接合に当たっては、例えば、工具21の回転数は800〜2000rpm、送り速度(工具21の移動速度)は100〜1000mm/分とされる。
【0033】
このようにして、面板部11a及び12aを開先で摩擦攪拌接合した後、反転して、同様にして、面板部11b及び12bを摩擦攪拌接合して、中空型材11及び12が摩擦攪拌接合されることになる。
【0034】
上述のようにして、補充材31を送給しつつ、工具21を用いて摩擦攪拌接合を行うと、中空型材11及び12は接合部において摩擦攪拌接合されることになり、接合部には接合ビード51:図3参照)が形成される。そして、接合ビード51の深さは接合部に挿入したプローブ21bの長さ及び補充材31の量によって決定される。
【0035】
このように、上述の例では、V溝状の開先を接合部として中空型材11及び12を摩擦攪拌接合によって接合する際、ショルダ部21aの直径をB、プローブ21bの長さをP、開先の幅をA、開先の深さをC、開先の断面積をD、ワイヤの断面直径をW、断面積をSとして、B>A、P≧C、S<B、そして、D<1.5×Sに規定して、摩擦攪拌接合を行うようにしたから、接合部に開先が存在する際において常に中空型材同士を良好に接合することができる。そして、開先の直下には、支持部材11fが存在するから、ショルダ部21aによって中空型材11及び12を強く押圧することができ、これによっても、中空型材同士を良好に接合することができる。
【0036】
さらに、上述の例では、V溝状の開先を形成しているから、プローブ21bを開先に挿入して摩擦攪拌接合を行った際、補充材31が中空型材11及び12とともに攪拌されることになって、中空型材同士を良好に接合することができる。
【0037】
また、上述の例では、V溝状の開先に補充材31を補給しつつ、工具21を用いて摩擦攪拌接合を行っているから、つまり、補充材31の送給と摩擦攪拌接合とを同時並行的に行っているから、接合部に開先が存在する際において短時間に中空型材同士を良好に接合することができる。
【0038】
なお、上述の例では、補充材として断面円形のワイヤを用いたが、例えば、帯状の補充材を用いるようにしてもよい。この際にも、補充材の断面直径<ショルダ部の直径とし、補充材の断面積は開先断面先の1.5倍未満とされる。
【0039】
また、V溝状の開先に代えて、逆台形状の開先を形成するようにしてもよく、いずれにしても、開口端に向かって拡がる形状の断面を有していれば、補充材が塑性流動化されてなる充填材がはみ出すことがない。また、垂直押圧対向壁は、長尺型材(中空型材)一の傾斜端面の直下に位置づけるようにしてもよく、このようにしても、ショルダ面からの押圧力を垂直押圧対向壁で受圧することができる。
【0040】
図4を参照すると、図示の中空型材11ではその一端部(先端部)111及び112に斜めに傾斜するテーパー面が形成されており、同様に、中空型材12ではその一端部(先端部)121及び122に斜めに傾斜するテーパー面が形成されている。中空部材11及び12を架台上に固定して、先端部同士で中空部材11及び12を突き合わせると、この突合せ部(接合部)には、V溝状の接合部(開先)が規定されることになる。
【0041】
上述の接合部で中空型材11及び12を接合する際には、工具としてボビンツール71が用いられる。このボビンツール71は、細いプローブ71aとこのプローブ71aを挟む一対の断面円形のショルダ部71b及び71cを有しており、ショルダ部71bの下面及びショルダ部71cの上面にはそれぞれ円形ショルダ面が規定されている。そして、ショルダ面によって被加工物である突合せ部(接合部)に摩擦熱が付与される。ショルダ部71b及び71cの直径はプローブ71aの直径よりも太く、ショルダ部71b及び71cの間隔は接合部の厚さに応じて設定される。いま、ボビンツール71を回転させつつ、ショルダ部71b及び71cで接合部を挟んで、プローブ71aを接合部に挿入し、接合部に沿ってボビンツール71を移動させて摩擦攪拌接合を行う。この際、接合部、つまり、V溝には、図1〜図3で説明したように補充材31が供給される。
【0042】
ショルダ部71b及び71cの直径をBとし、開先の幅をA、開先の断面積をD、ワイヤの断面直径をW、断面積をSとすると、B>A、W<B、そして、D<1.5×Sに規定される。ボビンツール71を用いて摩擦攪拌接合を行う際においても、図2で説明したように、補充材送給装置によって補充材31が開先に供給される。
【0043】
摩擦攪拌接合の際には、ショルダ部71b及び71cで接合部が挟持されるから、つまり、面板部11a及び11bが押圧されることがないから、開先の直下に支持部材(垂直押圧対向壁)が存在しなくても、良好に摩擦攪拌接合を行うことができる(つまり、ボビンツールを用いれば、垂直押圧対向壁が存在しなくても、良好に摩擦攪拌接合を行える。このようにして、面板部11a及び12aを開先で摩擦攪拌接合した後、反転して、同様にして、ボビンツール71を用いて面板部11b及び12bを摩擦攪拌接合して、中空型材11及び12が摩擦攪拌接合されることになる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、開先がV溝若しくは逆台形状となっているから、補充材を容易に開先に収納することができ、しかも、開先の開口幅が円形ショルダ面の直径よりも小に設定されるとともに、開先に供給される補充材の断面積が開先空域面積より大であるから、摩擦攪拌接合の際、開先開口が円形ショルダ面によって塞がれ、開先を、補充材が塑性流動化されてなる充填材で満たされ且つ該充填材が開先から外にはみ出すことなく接合することができる。この結果、突き合わせ部に開先が存在する際においても、常に良好な接合状態を維持することができるという効果がある。
【0045】
本発明によれば、突き合わせされる型材の突き合わせ部が傾斜端面であり、この傾斜端面同士の嵌合によりV溝又は逆台形状の開先が形成されるようにしたから、工具の押圧力によって開先寸法が変化しても、開先はV字状又は逆台形状に維持され、充填材が開先から飛び出すことがないという効果がある。
【0046】
本発明によれば、型材の一の傾斜端面の直下にショルダ面からの押圧力を受圧する垂直押圧対向壁が存在するか又は開先の直下にショルダ面からの押圧力を受圧する垂直押圧対向壁が存在するから、工具による押圧力を垂直押圧対向壁が受圧することになって、摩擦攪拌接合の際、開先寸法が変化することがないという効果がある。
【0047】
本発明によれば、補充材を開先に供給しつつ、補充材の供給に追従して円形ショルダを、補給材とともに被加工物の突き合わせ部に摩擦熱を付与させつつ回転させながら塑性流動させて摩擦攪拌接合を行うようにしたから、つまり、補充材の供給に追従して、つまり、同期して、摩擦攪拌接合を行うようしたから、短時間で良好に摩擦攪拌接合を行うことができるという効果がある。
【0048】
本発明によれば、摩擦攪拌接合の際、プローブを挟んで突き合せ接合部の表裏両側に位置する一対のショルダ部を備えるボビンツールを用いるようにしたから、押圧力がかかることがなく、従って、垂直押圧対向壁が存在しなくても、開先寸法が変化することなく良好に摩擦攪拌接合を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による摩擦攪拌接合材の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図2】 図1に示す摩擦攪拌接合材の製造方法を上方から示す図である。
【図3】 本発明による摩擦攪拌接合材の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【図4】 本発明による摩擦攪拌接合材の製造方法の他の例を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11,12 中空型材
21 工具
31 補充材
32 補充材送給装置
41 移動装置
51 接合ビード
71 ボビンツール

Claims (5)

  1. 被加工物に摩擦熱を付与する円形ショルダを、長手方向に延在する型材同士の突き合わせ接合部に空域を形成して、該空域に補充材を配置し、該補充材とともに被加工物の突き合せ部に摩擦熱を付与させつつ回転させながら塑性流動させて摩擦攪拌接合材を形成する製造方法において、
    前記被加工物同士の接合位置に位置する空域をV溝若しくは逆台形状の開先として、該開先の開口幅を前記円形ショルダ面の直径よりも小に設定して、該開先にその断面積が前記開先の空域領域よりも大である補充材を供給しつつ該補充材の供給に追従して前記円形ショルダを前記補充材とともに被加工物の突き合わせ部に摩擦熱を付与させつつ回転させながら塑性流動させて摩擦攪拌接合を行うようにしたことを特徴とする摩擦攪拌接合材の製造方法。
  2. 前記突き合わせされる型材の突き合わせ部を、傾斜端面として、該傾斜端面同士を嵌合して前記V溝又は逆台形状の開先を形成するようにしたことを特徴とする請求項1 記載の摩擦攪拌接合材の製造方法。
  3. 型材の一の傾斜端面の直下に位置する垂直押圧対向壁で前記ショルダ面からの押圧力を受圧するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の摩擦攪拌接合材の製造方法。
  4. 前記開先の直下に位置する垂直押圧対向壁で前記ショルダ面からの押圧力を受圧するようにしたことを特徴とする請求項1 記載の摩擦攪拌接合材の製造方法。
  5. 摩擦攪拌接合に用いられる工具としてプローブを挟んで前記突き合せ接合部の表裏両側に位置する一対のショルダ部を備えるボビンツールを用いるようにしたことを特徴とする請求項1 記載の摩擦攪拌接合材の製造方法。
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