JP4215916B2 - 橋脚埋設構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋脚が地盤の表面に埋設されている橋脚埋設構造に関する。特に、本発明は、土木建築コンクリート構造物の橋脚の埋設部分の外側に分割施工型のボックスカルバート等の少なくとも一対の予め作製された構造物を下から上に重ね合わせる工法における、連結目地部の止水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路や橋等の高架構造では、その高架構造を支えるための橋脚が用いられている。かかる橋脚は、コンクリートからなり、高架構造を支えながら、その下部が地盤の表面に埋設される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
橋脚の埋設部分は、高架構造からの振動により振動する。この橋脚の振動は、橋脚の周囲の土砂を押し退け、橋脚と土砂との間に隙間を生じさせる。
【0004】
橋脚と土砂との隙間に水等が浸入すれば、橋脚を支える土砂が流出し、地盤の表面が不安定となり、橋脚近傍の堤防、護岸の崩壊を招く。
【0005】
本発明は、橋脚の埋設部分に空間を設け、橋脚を支える周囲の土砂の流出を防ぐことを課題とする。また、本発明は、橋脚の周りの成型体に可とう性を与えることで、地震発生時に橋脚部分に損傷を与えないようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、地盤と、前記地盤の表面に埋設されている橋脚と、前記橋脚の埋設部分の周囲を囲んでいる少なくとも一対の成型体と、ゴム製沓と、弾性止水材とを備えている橋脚埋設構造であって、前記両成型体が垂直方向に重ねられており、前記ゴム製沓及び前記弾性止水材が前記両成型体の対向する端面の間に設けられており、前記橋脚埋設構造が剛性の材料からなるバネ板を備えており、前記バネ板が前記両成型体の対向する端面の間に配置されており、前記バネ板が、前記弾性止水材の前記橋脚側で、前記弾性止水材と接するように前記成型体に固定されており、前記弾性止水材が前記両端面によって20〜55%圧縮されており、前記バネ板の弾性復元力によって前記弾性止水材の位置ずれが抑えられており、前記橋脚と前記両成型体との間に水密な隙間が形成されている橋脚埋設構造、及びかかる橋脚埋設構造の施工方法である。
【0007】
本発明者は、橋脚を支える土砂の流出を防ぐため、種々の橋脚埋設構造を試作し、それらについて検討した。
【0008】
その結果、本発明者は、橋脚の埋設部分に水密な隙間を設け、この隙間内で橋脚を振動させることで、橋脚の埋設部分の周囲の土砂の流出が抑制されることを突き止め、本発明を完成させた。
【0009】
本発明によれば、橋脚の埋設部分に設けられる隙間によって、橋脚の振動が土砂に直接伝わらなくなり、橋脚と土砂との間に水が浸入せず、橋脚の埋設部分の周囲の土砂の流出を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明者は、図12に示す橋脚埋設構造を試作した。図12は、試作した橋脚の埋設構造である。図12の試作橋脚埋設構造31は、橋脚3の周りに、ボックスカルバート4,5を、ゴム製の沓6を用いて重ね合わせ、構築したものである。ボックスカルバート等を現場で施工する場合、構造上、垂直方向には30〜40mmで目地を設ける。
【0011】
通常のボックスカルバートでは、内側から図13に示す止水板を取り付けることはできるが、しかし、橋脚埋設構造の場合、図12に示すような構造では、内側には橋脚が有り、外側からしか弾性止水材を取り付けることができない。図13は、従来の止水板の断面図である。
【0012】
さらに、弾性止水材がエンドレス形状でなくてよいのならば、簡単に取り付けることはできるが、エンドレス形状にしなければならないとなると、ボックスカルバートとの間で水密性を保持するのは困難である。
【0013】
分割型のボックスカルバートの止水目地構造は、予め現場成型の直壁とかぎ状壁4個を組み合わせるか、又はかぎ状壁4個を組み合わせた後に一対のボックスカルバートを組み立ててボックスカルバート同士を合わせようとするものであるため、まず、現場成型壁の作製時に木製型枠等にて函体の成型枠を大工仕事で組み立てることにより壁の大きさに誤差が生じたり、一対のボックスカルバートを組み合わせる際に、左右・前後の目地間隔が開いてしまうことがある。ボックスカルバートの場合は、最低でも5mmの誤差が生じる。
【0014】
目地幅が左右・上下で均一に開いているのであれば、その目地幅にあった高さの弾性止水材を選定すれば良いが、施工誤差は片締りといわれ、場所によって締り具合が異なってしまう。かかる場合、目地幅の差は、大きければ5mmに達する。
【0015】
しかし、この場合も、一時的に止水するなら、ゴム沓の高さが30mmの場合は、弾性止水材を弾性の高いものとし、その厚みを60mmとして、その50%を圧縮して使用すればよいのだが、長期的にはクリープして水圧、土圧により押し出され、実用的でない。
【0016】
本発明者の研究によれば、不揃いの目地幅を吸収して、確実に水密性を得るためには、図13に示すような止水構造32を用いる技術が確実であることがわかった。止水板33は、函体34,35の間に配置され、函体34,35の間を止水する。
【0017】
しかし、止水板の技術は、止水性が不確実な上に、止水板を取り付けるのに、押さえ金具等に多大なコストがかかる。
【0018】
そこで、本発明者は、一対のボックスカルバートに生じる不揃いの目地を、弾性止水材によって水密に連結することを試みた。特に、本発明者は、弾性止水材が、止水板の技術に比べコストが低く、利用価値の高いものであることから、かかる弾性止水材によって、ボックスカルバートを連結するための、種々の止水目地構造を試作し、検討した。
【0019】
その結果、本発明者は、弾性止水材をバネ鋼によって押さえることによって、目地幅の差が5mmになっても、弾性止水材がボックスカルバートの端面に密着し、確実な止水性が得られることを見出した。
【0020】
特に、本発明者は、本出願人による特願平11−293326号記載されている一次弾性止水材の利用を考えた。しかし、本発明者の研究によれば、ボックスカルバートの目地幅が初期の隙間より、地震等の動きが発生した場合開き、弾性止水材の圧縮率が20%以下になると、止水目地構造の外部からの水圧が0.049MPa(0.5kgf/cm2 )を超えた時から漏水が発生することを突き止めた。
【0021】
本発明者は、かかる知見のもと、さらに検討を進めた。すると、特に、不揃いの目地に同じ弾性止水材を用い、弾性止水材の圧縮率が20〜55%の間で、0.049MPaの水圧に耐え得る水密性を保持させるには、弾性止水材の圧縮率が減少することなく、剪断方向のみへのずれが生じるのであれば、止水が可能であることが判明した。
【0022】
ボックスカルバートの継目が上下になる橋脚の埋設部分では、重力によって継目を一定の間隔に保つことができ、弾性止水材を剪断方向のみの変位に利用すことで、弾性止水材が最小限のクリープによっても移動しないような隙間を連結部に設定することができ、クリープを最小限に留めることができる。
【0023】
本発明では、不揃いの目地でも、弾性止水材がボックスカルバートの端面に密着し、弾性止水材がクリープすることなく、弾性止水材が水圧によってずれることがないので、水密性の優れた止水構造が得られる。
【0024】
復元性の高い弾性止水材を単に取り付けただけでは、長期にわたって水圧が負荷した場合には、クリープ現象が発生して、最後には弾性止水材が抜け出てしまい漏水に至る。クリープを抑制する為に、バックアップ材なるものをボックスカルバート間の隙間に応じて入れることは不可能である。
【0025】
本発明の橋脚埋設構造によれば、重力を利用して、ゴム製の沓にて一定の間隔を保ちながら、剛性の材料からなるバネ板と弾性止水材とを組み合わせることにより、簡単でしかも確実に、ボックスカルバートの間に弾性止水材を追従させることができることとなった。バネ板がボックスカルバート間の隙間を埋め、弾性止水材が高復元性を有していれば、長期に亘る水圧がかかって水平方向への変位が生じても、橋脚埋設構造がクリープすることなく、優れた水密性を発揮する。
【0026】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一例の橋脚埋設構造の一部断面斜視図である。図2は、図1の橋脚埋設構造の部分断面図である。図3は、図1の橋脚埋設構造の部分平面図である。図4は、図1の橋脚埋設構造の部分断面図である。図5(a)は、本発明にかかる一例のバネ板の平面図であり、図5(b)は、本発明にかかる一例のバネ板の側面図である。図6は、本発明にかかる一例の弾性止水材の斜視図である。図7は、本発明にかかる他の例の弾性止水材の斜視図である。
【0027】
図1〜図4に示すように、本発明の一例の橋脚埋設構造1は、地盤2と、地盤2の表面に埋設されている橋脚3と、橋脚3の埋設部分3aの周囲を囲む少なくとも一対の成型体4,5と、ゴム製沓6と、弾性止水材7とを備えている。
【0028】
この橋脚埋設構造1では、両成型体4,5が垂直方向に重ねられ、ゴム製沓6及び弾性止水材7が両成型体4,5の対向する端面の間に設けられている。
【0029】
また、橋脚埋設構造1は、剛性の材料からなるバネ板8を備えており、このバネ板8は、両成型体4,5の対向する端面4a,5aの間に配置されている。このバネ板8は、弾性止水材7の橋脚3側で、弾性止水材7と接するように成型体4に固定されている。
【0030】
弾性止水材7は、両成型体4,5の両端面4a,5aによって20〜55%、好ましくは、40〜50%圧縮され、また、バネ板8の弾性復元力によって位置ずれが抑えられている。
【0031】
かかる橋脚埋設構造1では、橋脚3と両成型体4,5との間に、橋脚3の振動が伝わらない水密な隙間9が形成されている。
【0032】
本発明では、橋脚と少なくとも一対の成型体との間に水密な隙間を形成し、この隙間内で橋脚を振動させる。この隙間は、一方の成型体と他方の成型体との対向面の間に、弾性止水材を配置することによって形成する。
【0033】
また、本発明では、かかる弾性止水材によって、両成型体の継目が止水され、かかる継目から隙間内に地盤内の水が浸入するのを防ぐ。
【0034】
本発明では、かかる弾性止水材は、バネ板の弾性復元力によって位置ずれが防止され、両成型体の両端面によって20〜55%圧縮され、優れた止水性を発揮する。
【0035】
本発明にかかる成型体は、橋脚の形状にそった形状のもの、一回り大きいものをその場所で作ることができる。
【0036】
本発明にかかる弾性止水材には、止水性を発揮させるための柔軟性が必要である。しかし、本発明では、橋脚が振動するための隙間が、少なくとも一対の成型体を垂直方向に重ねて形成される。このため、本発明の橋脚埋設構造では、弾性止水材のみでは、上側の成型体の重力に耐えて、止水性を発揮させることができない。
【0037】
本発明にかかるゴム製沓は、弾性止水材よりも剛性のあるものであり、両成型体の両端面の間に配置することで、両成型体の継目を所定の間隔に保つことができる。
【0038】
本発明にかかる剛性の材料からなるバネ板は、種々のものを用いることができる。例えば、かかるバネ板には、弾性復元力を発揮する突起状物を設けることができる。かかる突起状物は、一次弾性止水材に接するように、水密な空洞部が形成される側に設けられ、突起状物の弾性復元力によって、ボックスカルバートの両端面に一次弾性止水材が密着し、両端面の間で一次弾性止水材が位置ずれを起こさないように押さえることができる。
【0039】
また、かかる弾性復元力を発揮する突起状物は、一方のボックスカルバートの端面に固定し、ボックスカルバート同士が押さえつけられた時、突起状物の高さが、固定されている側の函体面から10mmの高さになるまで押し込まれるようにすることができる。バネ板の固定に際しても、突起状物の高さが函体面より10mmを越えないようにして、バネ板を固定することができる。しかし、弾性止水材の圧縮率は、20〜55%になるように、予め、弾性止水材の高さを設計しておかなければならない。
【0040】
かかる突起状物自体にも、バネを利用するのが安価である。バネを組み込んだ昇降式の突起形成物は可能であろうが、煩雑な構造になり、30mmないし40mmの最大厚みにすることは難しいと考えられる。そこで、同じバネでも突起状物自体もバネ板から形成すればよい。バネ板としては、種々の形状のものを用いることができる。
【0041】
本発明では、バネ板として、図2〜図4、図5(a)及び(b)に示すようなバネ鋼又はバネ鋼に準ずる鋼を用いることができる。かかるバネ鋼8′は、図3(a)及び(b)に詳しく示すように、への字に折り曲げ、一方の端部8′aに穿孔部8′cを設け、アンカー11等を穿孔部8′cを通して、図2〜図4に示すように、ボックスカルバート4に固定することで、バネ効果が得られる。
【0042】
かかるバネ鋼は、0.3〜2.0mmの厚さを有するのが好ましく、更に好ましくは、1.0〜1.5mmの物がよい。固定の方法も、への字の一方をホールインアンカー等で締め付けるだけでよいので、高さも10mm以内で取り付けられる。
【0043】
かかるバネ鋼は、一次弾性止水材の内側の空洞部に配置されているため、基本的には水等に触れることは無いのだが、長い年月を考慮すると結露等の影響で腐食が予想される。バネ鋼に腐食防止の処理を施す事も有効であるが、ステンレス鋼、耐腐食性の高い材質のもの、防食処理されたもの等を使用することが最も簡便である。
【0044】
バネ鋼をへの字に曲げてバネ効果を発現させるにあたっては、曲げ角度が45度以下が好ましい。45度を超えると、函体が互いに接したとき、曲げられたバネ鋼の突端が押しつけられる際に大きな抵抗となり、バネとしての働きが悪くなる。バネ鋼の高さは、ゴム製沓の高さでよい。
【0045】
本発明では、種々の形態の弾性止水材を用いることができる。本発明にかかる一例の弾性止水材7は、図1〜図4に示すように、横断面が台形になるように形成されており、成型体4の端面4aと接する接続面7aと、他の成型体5の端面5aと接する接続面7bとを有している。かかる弾性止水材7は、接続面7aと7bとが、20〜55%圧縮される。
【0046】
かかる弾性止水材の形状は、バネ鋼の45度に折り曲げられた下方と函体表面との空間が埋め込まれるように、横断面が台形となっているほうが良い。好ましくは、バネ鋼と成型体と間の空間の3分の1以上が弾性止水材によって埋め込まれている方がよい。
【0047】
図2に示すように、バネ鋼8′と成型体4との間で形成される空間8′dが弾性止水材7により3分の1以上埋め込まれていれば、弾性止水材7が空間8′dに入り込むことなく、弾性止水材7の接続面7bが十分に成型体5と密着する。3分の1未満であると、弾性止水材7がバネ鋼8′と成型体4との空間8′dに入り込み易く、弾性止水材7の接続面7bと成型体5との接着面積が減り、止水材としての意味が薄くなる。
【0048】
図3に示す橋脚埋設構造では、弾性止水材7として、図6に示すような役物だけが使用されているが、函体4,5の大きさによって、図7に示すような直線状の弾性止水材12を合わせて使用することができる。これらの弾性止水材7,12は、図6及び図7に示すように、接続面7d,7e,12d,12eと、函体に接する面7a,12aとが、例えば、45度の角度を形成して繋げられる。
【0049】
かかる弾性止水材は、常温で液状の反応型ポリマーと硬化剤とを反応させて得られる架橋粘弾性体からなるのが好ましい。かかる架橋粘弾性体は、低モジュラスで、耐クリープ性に優れ、20〜55%の圧縮率でも、函体に密着し、十分な止水性を発揮することができる。中でも、分子末端に水酸基を有する常温で液状の反応型ポリマーと、分子末端にイソシアネート基を有する硬化剤とを含有している材料を用いるのが好ましい。
【0050】
また、この場合、常温で液状の反応型ポリマー100重量部と、反応型ポリマーの水酸基のモル数に対する硬化剤のイソシアネート基のモル数の比、即ちNCO/OHが0.5〜1.5である量の硬化剤と、反応型ポリマー100重量部に対し50〜1000重量部の歴青物とを反応させて得るのが好ましい。このようにして得られた弾性止水材は、低モジュラスで高い復元性を有している。
【0051】
常温で液状の反応型ポリマーと硬化剤とのNCO/OHのモル比が0.5未満であると、硬化反応が十分でなく、未反応基が多く残存したままとなり、経時安定性等に問題が生じる。逆に、NCO/OHのモル比が1.5よりも大きいと、架橋粘弾性体が硬くなり過ぎ、可塑剤での硬度調整も十分に行なえない。
【0052】
また、かかる弾性止水材の低コスト化のために、歴青物を添加することができる。歴青物には、ストレートアスファルト、ブロンアスファルト、タール等があり、所望の物性値を得るには、可塑剤や粘着付与樹脂で予め改質したものを用いることができる。これらの歴青物は、単独で用いた場合には、感温性が明確に現れ、コスト面では有利であるが、広い温度域で一定の止水性が得られない。
【0053】
かかる欠点を防止するため、液状ゴムを始めとするゴム状物を歴青物と併用して用いるのが好ましい。ゴム状物と歴青物とを併用した弾性止水材は、年間を通して所定の止水性能を発揮できる。添加量の目安としては、100重量部の液状ポリマーに対して50〜1000重量部の歴青物が適量である。
【0054】
常温で液状の反応型ポリマーには、例えば、液状ポリブタジエン、液状クロロプレン、液状スチレンブタジエン共重合体、液状アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アニリン誘導体ポリオール、シリコーン、ポリサルファイド、変性シリコーン等が含まれる。これらのポリマーは、常温で硬化反応を起こさせて、架橋粘弾性体を得ることができる。
【0055】
本発明で用いることができる架橋粘弾性体は、常温で液状の反応型ポリマーを常温で反応させた後の硬化物が、80℃に加温されても形状を保持し、20℃での硬度が、日本ゴム協会規格SRIS−0101に示すC型硬度計で50以下であるという条件を満足するものである。この条件を満足し得る架橋粘弾性体は、表1に例示する液状ゴムと硬化剤との組合せから得ることができる。
【0056】
【表1】
Figure 0004215916
【0057】
表1に示す組合せのうち、常温における硬化速度のコントロールの容易さ、コスト、人手の容易さ等を含めて考慮すると、特に水酸基を末端に有し主鎖にクロロプレン、ブタジエン、水素添加ブタジエン、スチレンブタジエン、ニトリルブタジエン、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルウレタンポリオール、アニリン誘導体ポリオール等を単独又は併用して用いるのか望ましい。中でも難燃度を考慮すると、クロロプレン骨格を有し、分子両末端に水酸基又はザンセート基を有するものが好適である。
【0058】
硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤が好適であり、1分子当り2個以上のイソシアネート基を有することが必要である。具体例には、イルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、末端イソシアネート基を有するプレポリマー等を挙げることができ、これ等を単独で又は併用して用いることができる。
【0059】
イソシアネート系硬化剤を可塑剤と混合して用いることもできるが、可塑剤が脱水処理されていることと、イソシアネート化合物と反応しないこととが必要である。常温硬化反応を行なうための必須成分のみ、又は触媒との組合せで、本発明で満足して用いられる架橋粘弾性体を得ることができる。また、本発明では、コスト面、作業面、物性向上面で、更に各種の添加剤を加えることにより、幅広い安定した架橋粘弾性体を得ることもできる。
【0060】
粘弾性体又は架橋粘弾性体の硬さの調整、液状ポリマー組成物の粘度の調整及び硬化反応後の硬さの調整に、可塑剤を用いることができる。可塑剤には、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、芳香族系オイル、ひまし油、綿実油、やし油、トール油、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、マレイン酸誘導体、液状ゴムの官能基を含まないもの等を挙げることができ、これらを単独か又は併用して用いることができる。
【0061】
難燃性を要する場合には、ハロゲン化合物系可塑剤やリン化合物系可塑剤を、単独か又は併用して用いることができる。
【0062】
粘着付与樹脂には、天然樹脂、ロジン、変性ロジン、ロジン及び変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール−アセチレン樹脂、キシレン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体等を単独か又は併用して用いることができる。
【0063】
本発明にかかるゴム製沓は、水、土砂等より保護するため、橋脚側に配置される。ゴム製沓の材質は、特に限定されず、種々のものを用いることができる。地震等による大きな動きが少ないと想定される場合には、H鋼等の剛体でもよい。
【0064】
本発明にかかるゴム製沓は、例えば、図8に示すような層状の沓を用いることができる。図8は、本発明にかかる一例のゴム製沓の部分断面斜視図である。
【0065】
図8に示すように、ゴム製沓13は、クロロプレンから得られた伸縮吸収材14が、ナジミ層とも称される不陸吸収材15a,15bに挟まれて形成されており、伸縮吸収材14と不陸吸収材15a,15bとの間、及び伸縮吸収材の内部には、歪抑制材としての補強材16が挿入されている。
【0066】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明を実施例により説明する。
図9は、本発明にかかる水圧試験治具の平面図である。図10は、図9のA−A線で切断した水圧試験治具の部分的断面図である。図11は、図10の水圧試験治具に振動を加える状態を示す断面図である。
【0067】
実施例
弾性止水材を成型するために、表2に示す組成の材料を計量し、エアー式モーターにて攪拌混合して、水平な台に置いた型に流し込んだ。一昼夜養生した後、型から架橋粘弾性体を取り出して、図6及び図7に示すような弾性止水材を製造した。
【0068】
【表2】
Figure 0004215916
【0069】
成型体に、弾性止水材を取り付けて止水をするためには、弾性止水材をエンドレス形状にする必要がある。そのため、矩形で弾性止水材を取り付けると想定して、矩形の角部には、コーナー形状をした、図6に示すような弾性止水材7を作製し、直線部には、図7に示すような直線状の弾性止水材12を設けた。
【0070】
図9の水圧試験治具を用い、止水試験を実施した。図10に示すようにして、二枚の鉄盤17a,17bの一方17aに、弾性止水材7,12の接続面7a,12aを接着剤にて貼り付けた。二枚の鉄盤17a,17bの間には、伸縮自在のゴム板18にて水密性を保持した。弾性止水材7,12が取り付けてある側の鉄盤17aは漏水が確認できるように開口としてある。
【0071】
厚み1.5mmのステンレス板を図5に示すように折り曲げ加工して、バネ鋼8′を作製した。バネ鋼8′の端部8′aに穿孔部を設け、下鉄盤17aの内側開口部に沿って、バネ鋼8′をボルトにて取り付けた。バネ鋼8′の他の端部8′bに添うように、弾性止水材7の側面7cを鉄盤17aに密着させ、接着した。弾性止水材7,12のつなぎ部分は、上下方向の斜に切断された接続面7d,12e等同士をあわせてエンドレス化した。
【0072】
止水試験
二枚の鉄盤をあわせた状態で、まず鉄盤の隙間が30mm(圧縮率50%)になるまで、締め込む。図10に示す流入管19a及び流出管19bにより水を入れ水圧0.049MPaを負荷し、水圧を負荷したまま、1日、7日、28日経過時に、上側の鉄盤を、図11に示すような反力盤20に支持されたジャッキ21により、10mm、20mm、30mm、40mm及び50mmと変位させて、漏水をチェックした。
【0073】
結果として、弾性止水材を種々の変位量で水平方向に剪断変形させたが、時間が経過しても弾性止水材は押し出されることなく、漏水も発生しなかった。
【0074】
これらの結果から、本発明の橋脚埋設構造は、水平方向に成型体がずれても、弾性止水材が成型体の端面に密着し、弾性止水材がクリープすることなく、また、弾性止水材が水圧によってずれることがないので、橋脚と成型体との隙間で優れた水密性が発揮されることがわかった。
【0075】
【発明の効果】
本発明の橋脚埋設構造によれば、橋脚の埋設部分に設けられる隙間によって、橋脚の振動が土砂に直接伝わらなくなり、橋脚と土砂との間に水が浸入せず、橋脚の埋設部分の周囲の土砂の流出を防ぐことができる。
【0076】
また、本発明の橋脚埋設構造によれば、ゴム製沓と、剛性の材料からなるバネ板と、弾性止水材とを組み合わせることで、簡単でしかも確実に、成型体の継目の変位に弾性止水材を追従させることができることとなった。かかる橋脚埋設構造では、高復元性を有する弾性止水材がバネ板によって支持されて成型体の継目を埋め、長期に亘る水圧がかかっても、橋脚埋設構造がクリープすることなく、優れた水密性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例の橋脚埋設構造の一部断面斜視図である。
【図2】 図1の橋脚埋設構造の部分断面図である。
【図3】 図1の橋脚埋設構造の部分平面図である。
【図4】 図1の橋脚埋設構造の部分側面図である。
【図5】 (a)は、本発明にかかる一例のバネ板の平面図であり、(b)は、本発明にかかる一例のバネ板の側面図である。
【図6】 本発明にかかる一例の弾性止水材の斜視図である。
【図7】 本発明にかかる他の例の弾性止水材の斜視図である。
【図8】 本発明にかかる一例のゴム製沓の部分断面斜視図である。
【図9】 本発明にかかる水圧試験治具の平面図である。
【図10】 図9のA−A線で切断した水圧試験治具の部分的断面図である。
【図11】 図10の水圧試験治具に剪断を加える状態を示す断面図である。
【図12】 試作した橋脚の埋設構造である。
【図13】 従来の止水板の断面図である。
【符号の説明】
1 橋脚埋設構造
2 地盤
3 橋脚
3a 埋設部分
4,5成型体
4a 端面
5a 端面
6 ゴム製沓
7,12 弾性止水材
7a,7b,7d,7e,12a,12d,12e 接続面
8 バネ板
8′ バネ鋼
8′a 端部
8′c 穿孔部
9 隙間
11 アンカー
13 ゴム製沓
14 伸縮吸収材
15a,15b 不陸吸収材
16 補強材
17a,17b 鉄盤
18 ゴム板
19a 流入管
19b 流出管
20 反力盤
21 ジャッキ
31 試作橋脚埋設構造
32 止水構造
33 止水板
34,35 函体

Claims (4)

  1. 地盤と、前記地盤の表面に埋設されている橋脚と、前記橋脚の埋設部分の周囲を囲んでいる少なくとも一対の成型体と、ゴム製沓と、弾性止水材とを備えている橋脚埋設構造であって、
    前記両成型体が垂直方向に重ねられており、前記ゴム製沓及び前記弾性止水材が前記両成型体の対向する端面の間に設けられており、前記橋脚埋設構造が剛性の材料からなるバネ板を備えており、前記バネ板が前記両成型体の対向する端面の間に配置されており、前記バネ板が、前記弾性止水材の前記橋脚側で、前記弾性止水材と接するように前記成型体に固定されており、前記弾性止水材が前記両端面によって20〜55%圧縮されており、前記バネ板の弾性復元力によって前記弾性止水材の位置ずれが抑えられており、前記橋脚と前記両成型体との間に水密な隙間が形成されていることを特徴とする、橋脚埋設構造。
  2. 前記バネ板がバネ鋼であることを特徴とする、請求項1記載の橋脚埋設構造。
  3. 前記バネ鋼が、くの字型に折り曲げられており、前記バネ鋼の一方の端部が一方の前記成型体の端面に取り付けられており、前記バネ鋼の他方の端部が他方の前記成型体の端面に向かって突出しており、前記バネ鋼の他方の端部が前記弾性止水材と接しており、前記バネ鋼の他方の端部と他方の前記成型体の端面との間の隙間が、5mm以下に制御されていることを特徴とする、請求項記載の橋脚埋設構造。
  4. 地盤と、前記地盤の表面に埋設されている橋脚と、前記橋脚の埋設部分の周囲を囲んでいる少なくとも一対の成型体と、ゴム製沓と、弾性止水材とを備えている橋脚埋設構造を得るにあたり、
    前記両成型体を垂直方向に重ね、前記ゴム製沓及び前記弾性止水材を前記両成型体の対向する上端面の間に設け、前記橋脚埋設構造が剛性の材料からなるバネ板を備えており、前記バネ板を前記両成型体の対向する端面の間に配置し、前記バネ板を、前記弾性止水材の前記橋脚側で、前記弾性止水材と接するように前記成型体に固定し、前記弾性止水材を前記両端面によって20〜55%圧縮し、前記バネ板の弾性復元力によって前記弾性止水材の位置ずれを抑え、前記橋脚と前記両成型体との間に水密な隙間を形成することを特徴とする、橋脚埋設構造の施工方法。
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