JP4215537B2 - レジスト剥離剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路、プリント配線基板等の半導体デバイス、あるいは、液晶製造工程等におけるフォトレジスト層を剥離するためのレジスト剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般にアルミ配線用レジストを剥離する際には、直鎖アルキルアンモニウムヒドロキシド系化合物を主剤とするレジスト剥離剤が用いられてきた。
【0003】
近年では、アルミ配線より導電性の優れた銅配線が用いられるようになってきているが、上記レジスト剥離剤を銅配線用に用いた場合、主剤である直鎖アルキルアンモニウムヒドロキシド系化合物が著しく銅を腐食することから、銅配線プロセスへの適用は困難であった。
【0004】
上記の課題を解決するために、特許文献1では、分子中にヒドロキシル基を含まないカルボキシル基含有有機化合物を添加させた含窒素有機ヒドロキシ系化合物を主剤とするレジスト剥離剤が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のレジスト剥離剤は、レジスト剥離能はあるものの、銅配線への腐食が認められ、腐食防止効果が不十分であり、改善すべき点が残されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−219240号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、レジスト剥離能が高くかつ銅配線への腐食性のないレジスト剥離剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、モルホリニウムヒドロキシドを含有させた剥離剤が、銅を腐食させることなくレジストを効果的に剥離できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドが含有されてなることを特徴とするレジスト剥離剤である。
【0010】
【化3】
【0011】
式中、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは、0または1〜4の正整数を、R1及びR2は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。
【0012】
【化4】
【0013】
式中、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基を、k及びiは、0または1〜4の正整数を、nは、3〜7の正整数を表す。
【0014】
また、本発明は、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドが、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒中に含有されてなることを特徴とするレジスト剥離剤である。
【0015】
以下、本発明のレジスト剥離剤について詳細に説明する。
【0016】
前記一般式〔1〕において、Xは、炭素数1〜4のアルキル基を、kは0または、1〜4の正整数を、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xの炭素数が5以上、kが5以上、または、R1及びR2の炭素数が9以上の場合には、銅に対する腐食性は小さいものの、水溶性有機溶媒または水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒に対する溶解度が低下してしまい、レジスト剥離能が低下し、不都合である。
【0017】
また、一般式〔2〕において、X及びYは、炭素数1〜4のアルキル基を、k及びiは、0または1〜4の正整数を、nは、3〜7の正整数を表し、X及びYの炭素数が5以上、k及びiが5以上、または、nが8以上の場合には、銅に対する腐食性は小さいものの、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒に対する溶解度が低下してしまい、レジスト剥離能が低下し、不都合である。
【0018】
一般式〔1〕及び一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドのカチオンとしては、例えば、N、N−ジメチルモルホリニウムイオン、N、N−ジエチルモルホリニウムイオン、N、N−ジプロピルモルホリニウムイオン、N、N−ジブチルモルホリニウムイオン、N、N−ジペンチルモルホリニウムイオン、N、N−ジヘプチルモルホリニウムイオン、N、N−ジオクチルモルホリニウムイオン、N、N−エチルメチルモルホリニウムイオン、N、N−プロピルメチルモルホリニウムイオン、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロブチルイオン、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロペンチルイオン、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロヘキシルイオン、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロヘプチルイオン、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロオクチルイオンがあげられる。
【0019】
一般式〔1〕及び一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドは、まずイソプロピルアルコール溶媒中、炭酸カリウム存在下でモルホリンに末端を臭素化させたブロモアルカンまたは両末端を臭素化させたジブロモアルカンを作用させてモルホリニウムブロマイドを得、次に該ブロマイドを水またはアルコール中にて電気透析で脱塩させて製造することができる。
【0020】
本発明のレジスト剥離剤は、少なくとも1種のモルホリニウムヒドロキシドを水に溶解させるか、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水に溶解させて用いられる。レジスト剥離能を向上させるため、通常は、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水に溶解させて用いられる。
【0021】
水溶性有機溶媒としては、アルコール類、グリコール類、エーテル類、スルホキシド類、アミド類からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類があげられる。
【0022】
本発明のレジスト剥離剤は、必要に応じて、公知の防食剤、界面活性剤が添加される。
【0023】
本発明のレジスト剥離剤は、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒100質量部当たり、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドを、少なくとも1種の合計量が0.1〜20質量部の範囲で含有される。
【0024】
モルホリニウムヒドロキシドの量が0.1質量部より未満の場合、レジスト剥離能が不十分であり、20質量部より超の場合、レジスト剥離能は十分であるが銅配線が腐食され、不都合である。
【0025】
本発明のレジスト剥離剤は、使用時に各成分を混合させるか、あるいは、各成分を予め混合させたものが用いられる。
【0026】
本発明のレジスト剥離剤を用いるに際し、加熱、超音波等を併用させた場合、レジスト剥離能を高めることができ、より好ましい。
【0027】
また、本発明のレジスト剥離剤で洗浄する方法としては、浸漬法や、ブラシ洗浄法等があげられる。
【0028】
本発明のレジスト剥離剤は、レジスト剥離能が高くかつ銅への腐食性がないので、銅配線プロセスへ適用することができる。
【0029】
また、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒中に、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表される、モルホリニウムヒドロキシドを溶解させた場合、優れた粒子除去性を有するため、半導体デバイスの洗浄に対しても、極めて有効である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例により、なんら限定されない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0031】
実施例1
モルホリニウムヒドロキシドであるモルホリン−4−スピロ−1’−アザジクロペンチルヒドロキシド(「MSPH」と略記する。)3質量部と、水溶性有機溶媒であるイソプロピルアルコール(「IPA」と略記する。)97質量部とを混合させて、レジスト剥離剤を得た。
【0032】
得られたレジスト剥離剤を以下に示す方法により評価した。
【0033】
銅メッキしたシリコンウェハを、まず平均粒子径1μmのアルミナ粒子を分散させた超純水中に浸漬させ、次に硫酸を用いてpH6に調整した超純水に浸漬させた。ついで、該ウェハを乾燥させて、表面がアルミナ粒子により強制汚染されたウェハを得、ついで、上記剥離剤中に、該ウェハを温度30℃、15分間浸漬させて洗浄した後、水洗、乾燥させた。
【0034】
次に、ウェハ表面を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子除去性をアルミナ粒子の残存度により、また銅への腐食性を表面の凹凸により評価した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
実施例1に準じて、表1に記載の成分を用いてレジスト剥離剤を得、実施例1に準じて、粒子除去性及び銅腐食性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1記載の成分は、レジスト剥離剤である、モルホリン−4−スピロ−1’−アザシクロペンチルヒドロキシド(MPPH)、N、N−ジエチルモルホリニウムヒドロキシド(DEMH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、また、水溶性有機溶媒である、i−プロパノール(IPA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を表す。
【0038】
式1中、粒子除去性は、「良好」を「○」、「残存物あり」を「×」で表し、銅腐食性は、「腐食なし」を「○」、「一部腐食あり」を「△」、「腐食あり」を「×」で表した。
【0039】
表1からわかるように、直鎖アルキルアンモニウムヒドロキシドを含有した従来のレジスト剥離剤(比較例1及び2)は、粒子除去性は良好であるが、銅腐食性を有しているのに対し、モルホリニウムヒドロキシドを含有した本発明のレジスト剥離剤(実施例1及び2)は粒子除去性が良好でありかつ銅腐食性がなく、銅配線用のレジスト剥離剤として有効である。
【0040】
【発明の効果】
本発明のレジスト剥離剤は、レジスト剥離能が高くかつ銅への腐食性がないので、銅配線プロセスへ適用することができる。
【0041】
また、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒中に、一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表される、モルホリニウムヒドロキシドを溶解させた場合、優れた粒子除去性を有し、半導体デバイスの洗浄に対しても極めて有効である。
Claims (4)
- 請求項1に記載の一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシドが、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒中に含有されてなることを特徴とする請求項1に記載のレジスト剥離剤。
- 水溶性有機溶媒が、アルコール類、グリコール類、エーテル類、スルホキシド類、アミド類からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載のレジスト剥離剤。
- 一般式〔1〕及び/または一般式〔2〕で表されるモルホリニウムヒドロキシド0.1〜20質量部が、水溶性有機溶媒あるいは水溶性有機溶媒及び水からなる溶媒100質量部に溶解されてなる請求項2または請求項3に記載のレジスト剥離剤。
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