JP4214043B2 - 耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法 - Google Patents

耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、重荷重鉄道に使用されるレールにおいて、耐摩耗性と延性を同時に付与することを目的としたパーライト組織を呈した高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
高炭素含有のパーライト鋼は、その優れた耐摩耗性鋼から鉄道用レール材料として使用されてきた。しかしながら、炭素含有量が非常に高いため、延性や靭性が低いといった問題があった。
例えば、JIS E1101−1990に示されている炭素量0.6〜0.7mass%の普通炭素鋼レールでは、JIS3号Uノッチシャルピー衝撃試験での常温の衝撃値は12〜18J/cm2 程度であり、このようなレールを寒冷地等の低温度域で使用した場合、微小な初期欠陥や疲労き裂から脆性破壊を引き起こすといった問題があった。
また近年、レール鋼は耐摩耗性改善のため、より一層の高炭素化を進めており、これに伴い延性や靭性がさらに低下するといった問題があった。
一般にパーライト鋼の延性や靭性を向上させるには、パーライト組織(パーライトブロックサイズ)の微細化、具体的には、パーライト変態前のオーステナイト組織の細粒化やパーライト組織の微細化が有効であると言われている。オーステナイト組織の細粒化を達成するには、熱間圧延時の圧延温度の低減、圧下量の増加、さらにはレール圧延後に低温再加熱による熱処理が行われている。またパーライト組織の微細化を図るには、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態の促進等が行われている。
しかしレールの製造においては、熱間圧延時の成形性確保の観点から、圧延温度の低減、圧下量の増加には限界があり、十分なオーステナイト粒の微細化が達成できなかった。また、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態については、変態核の量の制御が困難なことや粒内からのパーライト変態が安定しない等の問題があり、十分なパーライト組織の微細化が達成できなかった。
これらの諸問題から、パーライト組織のレールにおいて延性や靭性を抜本的に改善するには、レール圧延後に低温再加熱を行い、その後、加速冷却によりパーライト変態をさせ、パーライト組織を微細化する方法が用いられてきた。
しかし近年、耐摩耗性改善のためレールの高炭素化が進み、前記の低温再加熱熱処理を時にオーステナイト粒内に粗大な炭化物が溶け残り、加速冷却後のパーライト組織の延性や靭性が低下するといった問題があった。また、再加熱であるため製造コストが高く、生産性も低い等の経済性の問題もあった。
そこで、圧延時成形性を確保し、圧延後のパーライト組織の微細化する高炭素鋼レールの製造方法の開発が求められるようになってきた。この問題を解決するため、下記に示すような高炭素鋼レールの製造方法が開発された。
1)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続3パス以 上の圧延を行う高延性レールの製造法(特許文献1)。
2)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、パス間で冷却を施し、さらに連続 圧延を行った後、圧延終了後に加速冷却を行う高耐摩耗性・高靭性レールの製造方法 (特許文献2)。
これらのレールの特徴は、レールの延性や靭性の向上を図るため、パーライト組織を微細化する方法として、オーステナイト組織の微細化を検討し、高炭素鋼が比較的低温で、かつ小さい圧下量でも再結晶し易いことを利用して、小圧下の連続圧延によって整粒の微細オーステナイト粒を得、延性や靭性を向上させるものであった。
特開平7−173530号公報 特開2002−226915号公報
前記に示されたレール製造方法では、鋼の炭素量、熱間圧延時の温度、断面減少率やパス間時間の組み合わせによっては、パーライト組織の粗大化により延性や靭性が向上しないといった問題があった。
また、前記に示されたレール製造方法では、特に炭素含有量が高い鋼において、熱間圧延から熱処理開始までの経過時間によっては、パーライト組織の粗大化により、熱処理後のレールの延性や靭性が十分に向上しない場合があった。これに加えて、特に炭素含有量が高い鋼では、パーライト変態前に初析セメンタイト組織が生成し易く、熱処理後の延性や靭性が低下する場合があった。
このような背景から、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、整粒の微細オーステナイト粒を得、同時に圧延後の粒成長や初析セメンタイト組織の生成を抑制し、安定的に延性や靭性を向上させるレール製造方法の開発が求められていた。
すなわち本発明は、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延する際に、ある一定のレール頭部表面温度範囲で、ある一定範囲の断面減少率で圧延を行い、頭部表面温度を圧延開始温度よりも上昇させ、さらにその後、ある一定の温度以上で加速冷却を施し、レール頭部の耐摩耗性と延性を確保することを目的としたものである。
本発明は以下の構成からなる。
(1)質量%で、
C :0.60〜1.40%
Si:0.05〜2.00%、
Mn:0.05〜2.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレール圧延用鋼片を熱間圧延するに際し、その仕上げ圧延において、レール頭部表面温度が800〜1000℃の範囲で、1パス当たり断面減少率が2〜30%の圧延を行い、各パス終了後の表面温度を各パス開始温度より5〜40℃上昇させ、連続で2パス以上、かつ、パス間時間を10sec以下とし、熱間圧延後の700℃以上の鋼レールの頭部を、引き続き冷却速度2〜30℃/sec で少なくとも550℃まで加速冷却し、その後放冷し、パーライト変態させることを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
)前記(1)において、レール圧延用鋼片が質量%で、C:0.90〜1.40%を含有し、前記仕上げ圧延連続で3パス以上、かつ、パス間時間を2sec 以下とすることを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
)前記(1)または)のレールには、質量%でさらに、下記 (1)〜(9)の成分を選択的に含有させることができる。
(1) Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種、
(2) V :0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%の1種または
2種、
(3) B :0.0001〜0.0050%、
(4) Co:0.10〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%の1種または2種、
(5) Ni:0.01〜1.00%、
(6) Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、
Ca:0.0005〜0.0150%の1種または2種以上、
(7) Al:0.0100〜1.00%、
(8) Zr:0.0001〜0.2000%、
(9) N :0.0040〜0.0200%。
)前記(1)〜(3)のいずれか1項において、レール圧延用鋼片が質量%でC:0.90〜1.40%を含有し、熱間圧延後の750℃以上の鋼レールの頭部を、圧延終了後60sec 以内に、冷却速度2〜30℃/sec で少なくとも550℃まで加速冷却し、その後放冷し、パーライト変態させることを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
本発明によれば、レール製造において、炭素の添加量、熱間圧延条件、加速冷却条件を制御することにより、重荷重鉄道に使用されるレール頭部の延性と硬さを向上させ、耐摩耗性の確保とレール折損等の破壊の発生を防止することが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
まず本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、熱間圧延時の温度、断面減少率やパス間時間の組み合わせ方によって、パーライト組織の粗大化により延性や靭性が向上しない要因を解析した。様々な検証実験を行った結果、熱間圧延後のオーステナイト粒は再結晶が十分に進んでおらず、必ずしもオーステナイト粒径が微細化していないことが確認された。
そこで本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、オーステナイト粒の再結晶が十分に進まない要因を解析した。前記条件において、熱間圧延中のレール頭部の温度変化を測定した結果、オーステナイト粒の再結晶が十分に進まない圧延においては、仕上げ圧延前後でレール温度がほとんど上昇していないことを見出した。
これらの結果から、本発明者らは、圧延後のオーステナイト粒の再結晶を十分に進ませるには、仕上げ圧延直後のレール頭部の温度を圧延前よりも上昇させる必要があると考えた。様々な実験を行った結果、圧延直後の温度上昇をある一定の範囲内に収めることにより、オーステナイト粒の大きな粒成長もなく、圧延後のオーステナイト粒の再結晶が著しく促進されることを確認した。
次に本発明者らは、前記圧延直後の温度上昇を制御する方法を検討した。その結果、熱間圧延時の圧延温度、断面減少率をある一定の範囲とすることにより、圧延時の加工発熱やレール内部からの復熱により、レール頭部の温度上昇を制御できることを確認した。
さらに本発明者らは、この昇温によるオーステナイト粒の再結晶による微細化を利用して、連続圧延時によってさらにオーステナイト粒を微細化するレールの圧延方法を検討した。その結果、前記圧延を2パス以上連続で、かつパス間時間をある一定時間内に収めることにより、温度上昇による再結晶が連続的に発生し、圧延後のレール頭部のオーステナイト粒が微細化することを確認した。
これらの熱間圧延条件の検討に加えて、圧延後に微細なパーライト組織を安定的に得る熱処理方法を検討した。その結果、熱間圧延後のある一定温度以上の鋼レールの頭部を、少なくともある温度域まで加速冷却する。または、熱間圧延後のある一定温度以上の鋼レールの頭部を、圧延後ある一定の時間内で、少なくともある温度域まで加速冷却することにより、高硬度で、かつ微細なパーライト組織が得られ、レール頭部の耐摩耗性や延性が確保できることを見出した。
従って本発明では、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延する際に、ある一定のレール頭部表面温度範囲で、ある一定範囲の断面減少率で熱間圧延を行い、頭部表面温度を圧延開始温度よりも上昇させた後、さらにある一定の温度以上、さらにはある一定の時間内で加速冷却を施すことにより、高硬度で、かつ微細なパーライト組織が得られ、耐摩耗性と延性を同時に確保できることを知見した。
すなわち本発明は、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延する際に、レール頭部のオーステナイト粒を微細化し、これに加えて、圧延後に加速冷却を施すことにより、耐摩耗性と延性を同時に確保することを目的とした高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
次に、本発明の限定理由について詳細に説明する。
(1)鋼レールの化学成分の限定理由
請求項1〜13において、レール鋼の化学成分を前記請求の範囲に限定した理由について詳細に説明する。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.60%未満では、パーライト組織中のセメンタイト相の体積比率が確保できず、重荷重鉄道において耐摩耗性が維持できない。またC量が1.40%を超えると、本製造方法では旧オーステナイト粒界に初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐摩耗性や延性が低下する。このためC量を0.60〜1.40%に限定した。ここで、炭素量を0.90%以上に限定すると耐摩耗性がより一層向上し、レールの使用寿命の改善効果が高い。
また、前記の成分組成で製造されるレールは、パーライト組織の硬度(強化)の向上、パーライト組織の延性や靭性の向上、溶接部の熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Si,Mn,Cr,Mo,V,Nb,B,Co,Cu,Ni,Ti,Mg,Ca,Al,Zr,Nの元素を必要に応じて添加する。
ここで、Siはフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、硬度と延性を確保する元素である。
Mnは焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保する元素である。
Cr,Moは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、主にパーライトラメラ間隔を微細化することによりパーライト組織の硬度を確保する。
V,Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成長を抑制し、さらに、析出硬化によりパーライト組織の靭性と硬度を向上させる。また、再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Bは、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時にパーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レールの靭性を向上させ、さらにレール頭部の硬度分布を均一にする。Co,Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時にパーライト鋼の硬度を向上させ、さらに溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。
Mg,Caは、レール圧延時においてオーステナイト粒の微細化を図り、同時にパーライト変態を促進し、パーライト組織の靭性を向上させる。
Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織を強化し、レールの耐摩耗性向上させる。Zrは、ZrO2 介在物が高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織の厚さを微細化する。
Nは、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライト組織を微細にすることより、靭性を向上させることが主な添加目的である。
これらの成分の個々の限定理由について、以下に詳細に説明する。
Siは、脱酸剤として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が十分に期待できない。また2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レールの耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このためSi量を0.05〜2.00%に限定した。
Mnは、焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満の含有量ではその効果が小さく、レールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。また、2.00%を超えると焼入性が著しく増加し、耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このためMn量を0.05〜2.00%に限定した。
Crは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にして高硬度(強度)化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させることにより耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さく、2.00%を超える過剰な添加を行うと、焼入性が著しく増加し、マルテンサイト組織が多量に生成し、レールの耐摩耗性や延性が低下する。このためCr量を0.05〜2.00%に限定した。
Moは、Cr同様パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にすることにより高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。また、0.50%を超える過剰な添加を行うと、パーライト組織の変態速度が著しく低下し、延性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このためMo添加量を0.01〜0.50%に限定した。
Vは、熱間圧延後の冷却課程で生成したV炭化物、V窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1 点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかし、0.005%未満ではその効果が十分に期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また0.500%を超えて添加すると、粗大なVの炭化物やVの窒化物が生成し、レールの延性や耐疲労損傷性が低下する。このためV量を0.005〜0.500%に限定した。
Nbは、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1 点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかしその効果は、0.002%未満では期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また0.050%を超えて添加すると、粗大なNbの炭化物やNbの窒化物が生成し、レールの延性や耐疲労損傷性が低下する。このためNb量を0.002〜0.050%に限定した。
Bは、旧オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物を形成し、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時にパーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、頭部の硬度分布を均一化することにより、レールの延性低下を防止し、高寿命化を図る元素であるが、0.0001%未満ではその効果が十分でなく、初析セメンタイト組織の生成やレール頭部の硬度分布には改善が認められない。また0.0050%を超えて添加すると、旧オーステナイト粒界に粗大な鉄の炭ほう化物が生成し、靭性、耐摩耗性、さらには耐疲労損傷性が大きく低下することから、B量を0.0001〜0.0050%に限定した。
Coは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であり、さらにパーライトの変態エネルギーを増加させて、パーライト組織を微細にすることにより延性を向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果が期待できない。また2.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、ころがり面にスポーリング損傷が発生し、レールの耐表面損傷性が低下する。このためCo量を0.10〜2.00%に限定した。
Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が期待できない。また1.00%を超えて添加すると、著しい焼入れ性向上により耐摩耗性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。さらに、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レールの延性が低下する。このためCu量を0.01〜1.00%に限定した。
Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時にフェライトへの固溶強化によりパーライト鋼の高硬度(強度)化を図る元素である。さらに溶接熱影響部においては、Tiと複合でNi3 Tiの金属間化合物が微細に析出し、析出強化により軟化を抑制する元素であるが、0.01%未満ではその効果が著しく小さく、また1.00%を超えて添加すると、フェライト相の延性が著しく低下し、ころがり面にスポーリング損傷が発生し、レールの耐表面損傷性が低下する。このためNi量を0.01〜1.00%に限定した。
Tiは、溶接時の再加熱において析出したTiの炭化物、Tiの窒化物が溶解しないことを利用して、オーステナイト域まで加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止するのに有効な成分である。しかし0.0050%未満ではその効果が少なく、0.0500%を超えて添加すると、粗大なTiの炭化物、Tiの窒化物が生成して、レールの延性、これに加えて耐疲労損傷性が大きく低下することから、Ti量を0.0050〜0.0500%に限定した。
Mgは、O、またはSやAl等と結合して微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱において、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。さらに、MgO、MgSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、Mgの粗大酸化物が生成し、レールの延性、さらには耐疲労損傷性を低下させるため、Mg量を0.0005〜0.0200%に限定した。
Caは、Sとの結合力が強く、CaSとして硫化物を形成し、さらにCaSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の靭性を向上させるのに有効な元素である。しかし0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0150%を超えて添加すると、Caの粗大酸化物が生成し、レールの靭性、さらには耐内部疲労損傷性を低下させるため、Ca量を0.0005〜0.0150%に限定した。
Alは、脱酸剤として必須の成分である。また共析変態温度を高温側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高強度化に有効な元素であるが、0.0100%未満ではその効果が弱く、1.00%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる粗大なアルミナ系介在物が生成し、レールの延性、さらには耐疲労損傷性が低下する。また、溶接時に酸化物が生成して溶接性が著しく低下するため、Al量を0.0100〜1.00%に限定した。
Zrは、ZrO2 介在物がγ−Feとの格子整合性が良いため、γ−Feが凝固初晶である高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レール偏析部に生成する初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素である。しかしZr量が0.0001%未満では、ZrO2 系介在物の数が少なく、凝固核として十分な作用を示さない。その結果、偏析部に初析セメンタイト組織が生成し、レールの靭性を低下させる。またZr量が0.2000%を超えると、粗大Zr系介在物が多量に生成し、レールの靭性が低下することや、粗大Zr系介在物を起点とした疲労損傷が発生しやすくなり、レールの使用寿命が低下する。このためZr量を0.0001〜0.2000%に限定した。
Nは、オーステナイト粒界に偏析することにより、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし0.0040%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる気泡が生成することから、N量を0.0040〜0.0200%に限定した。
(2)仕上げ圧延におけるレール頭部表面温度の限定理由
仕上げ圧延時のレール頭部表面温度を800〜1000℃の範囲に限定した理由を説明する。
仕上げ圧延時のレール頭部表面温度が1000℃を超えると、レール内部からの復熱量が大きく、圧延後の頭部表面温度が大きく上昇し、オーステナイト粒が粗大化してレールの延性を確保できない。また、仕上げ圧延時のレール頭部表面温度が800℃未満では、圧延後のレール内部からの復熱量が少なく、圧延後の頭部表面温度が上昇しない。さらにオーステナイト粒の再結晶自体が抑制される。その結果、オーステナイト粒の再結晶が十分に行われず、オーステナイト粒の微細化が図れず、レールの延性を確保できない。さらにレール圧延時の熱間成形性が確保できず、レールとして必要な寸法精度を確保できない。このため 仕上げ圧延時のレール頭部表面温度を800〜1000℃の範囲に限定した。
(3)1パス当たりの断面減少率の限定理由
仕上げ圧延時の1パス当たりの断面減少率を2〜30%の範囲に限定した理由を説明する。
仕上げ圧延時の1パス当たりの断面減少率が30%を超えると、熱間圧延後の加工発熱量が大きく、圧延後の頭部表面温度が大きく上昇し、オーステナイト粒が粗大化し、レールの延性を確保できない。さらにレールの圧延成形が困難となる。また、仕上げ圧延時の1パス当たりの断面減少率が2%未満では、熱間圧延後の加工発熱量が少なく、圧延後の頭部表面温度が上昇しない。その結果オーステナイト粒の再結晶が十分に行われず、オーステナイト粒の微細化が図れず、レールの延性を確保できない。さらに、レール頭部のオーステナイト粒を再結晶させるのに必要な最低限の歪み量を確保できない。このため、仕上げ圧延時の1パス当たりの断面減少率を2〜30%の範囲に限定した。なお、実施例中には断面減少率を圧下率と記述してある。
(4)圧延後の温度上昇の限定理由
仕上げ圧延後のレール頭部表面温度を圧延開始温度よりも5〜40℃の上昇に限定した理由を説明する。
仕上げ圧延後のレール頭部表面温度が圧延開始温度よりも40℃を超えて上昇した場合、オーステナイト粒が粗大化し、レールの延性を確保できない。またその後の連続圧延において、オーステナイト粒の微細化せず、レールの延性が改善できない。また、仕上げ圧延後のレール頭部表面温度が圧延開始温度よりも5℃未満の上昇の場合、オーステナイト粒の再結晶が十分に行われず、オーステナイト粒の微細化が図れず、レールの延性を確保できない。またその後の連続圧延において、未再結晶オーステナイト粒が多量に残留し、オーステナイト粒の微細化効果が損なわれる。このため、仕上げ圧延後のレール頭部表面温度を圧延開始温度よりも5〜40℃の上昇に限定した。
なお、仕上げ圧延後のレール頭部表面温度の制御は、(1) 圧延温度、(2) 圧延時の圧下率、(3) 圧延時の冷却等の制御や、これらの組み合わせ技術の制御によって可能である。また、圧延時の冷却については既存熱間ロールの冷却水やミスト冷却の適用が望ましい。
(5)連続圧延時のパス数の限定理由
仕上圧延を連続圧延とした時に圧延回数を2パス以上に限定した理由を説明する。
連続圧延時の圧延回数が1パスの場合、レール圧延時の断面減少率が2〜30%の範囲では、圧延温度の選択、圧延後の温度上昇量によっては、オーステナイト粒の十分な微細化が図れず、レールの延性が十分に改善しない。このため連続圧延時の圧延回数を2パス以上に限定した。
なお、炭素量が0.90mass%以上の鋼レールの場合は、炭素量が高いため、レールの延性を確保するのにさらなるオーステナイ粒の微細化が必要となる。このため、炭素量が0.90mass%を超える鋼レールの場合は、連続圧延時の圧延回数を3パス以上に限定した。
(6)連続圧延時のパス間時間の限定理由
仕上圧延を連続圧延とした時にパス間時間を10sec 以下に限定した理由を説明する。 連続圧延時のパス間時間が10sec を超えると、オーステナイト粒の粒成長によりオーステナイト粒が粗大化し、レールの延性が低下する。このため連続圧延時のパス間時間を10sec 以下に限定した。
なお、炭素量が0.90mass%以上の鋼レールの場合は、炭素量が高いため、オーステナイト粒の粒成長が著しく、連続圧延においてオーステナイト粒の微細化を図るには、オーステナイ粒の粒成長の抑制が必要となる。このため、炭素量が0.90mass%以上の鋼レールの場合は、連続圧延時のパス間時間を2sec 以下に限定した。
ここでパス間時間について定義する。パス間時間とは、本発明においては連続圧延における1パス毎の熱間圧延時の経過時間を示すものである。したがって、パス間時間がXsec の場合は、1パス目の圧延後にXsec 経過したのち、2パス目の圧延が行われる。
(7)熱間圧延後の頭部加速冷却条件の限定理由
熱間圧延後のレール頭部の加速冷却開始温度、加速冷却速度、加速冷却停止温度、圧延終了から加速冷却開始までの時間を前記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
まず、加速冷却速度開始温度について説明する。レール頭部の加速冷却速度開始温度が700℃未満になると、加速冷却前にパーライト変態が始まり、レール頭部の高硬度が図れず、耐摩耗性が確保できない。またパーライト組織が粗大化し、レール頭部の延性も低下する。このためレール頭部の加速冷却速度開始温度を700℃以上とした。
なお、炭素量が0.90mass%以上の鋼レールの場合は、自然冷却において、700〜750℃の温度範囲にレールの延性や靭性に有害な初析セメンタイト組織が生成するため、レール頭部の加速冷却速度開始温度を750℃以上とした。
次に、加速冷却速度の範囲について説明する。
レール頭部の加速冷却速度が2℃/sec 未満では、本レール製造条件ではレール頭部の高硬度が図れず、レール頭部の耐摩耗性の確保が困難となる。さらに、高炭素鋼においては初析セメンタイト組織が生成し、レールの頭部の延性や靭性が低下する。また加速冷却速度が30℃/sec を超えると、本成分系ではマルテンサイト組織が生成し、レール頭部の延性や靭性が大きく低下する。このためレール頭部の加速冷却速度の範囲を2〜30℃/sec の範囲に限定した。
次に、加速冷却温度の範囲について説明する。
550℃を超えた温度でレール頭部の加速冷却を停止すると、加速冷却終了後に、レール内部から過大な復熱が発生する。この結果、温度上昇によりパーライト変態温度が上昇し、パーライト組織の高硬度が図れず、耐摩耗性を確保できない。また、パーライト組織が粗大化してレール頭部の延性も低下する。このため、少なくとも550℃まで加速冷却を行うことを限定した。
なお、レール頭部の加速冷却を終了する温度の下限は特に限定してないが、レール頭部の硬度を確保し、かつ、頭部内部の偏析部等に生成しやすいマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に400℃が下限となる。
次に、炭素量が0.90mass%以上の鋼レールの場合、圧延終了から加速冷却開始までの時間を60sec 以下に限定した理由を説明する。
圧延終了から加速冷却開始までの時間が60sec を超えると、圧延後の粒成長が著しく、レールの延性を確保できない。さらに、レールの延性や靭性に有害な初析セメンタイト組織が生成し易くなるため、圧延終了から加速冷却開始までの時間を60sec 以下に限定した。
ここで、レールの部位について説明する。
図1はレール部位の呼称を示したものである。「レール頭部」とは、図に示す頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)を含む部分である。圧延時のレール頭部表面温度は、頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)の頭部表面の温度を制御することにより、圧延時のオーステナイト粒の微細化が図れ、レールの延性を向上させることができる。
また、先に説明した圧延後の熱処理における加速冷却開始温度、加速冷却速度、加速冷却停止温度は、図1に示す頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)の頭部表面、または頭部表面から深さ5mmの範囲で測温すれば、レール頭部の全体を代表させることができ、この部分の温度や冷却速度を制御することにより、耐摩耗性に優れた微細なパーライト組織を得ることができる。
本製造方法では、特に冷媒については限定していないが、所定の冷却速度を確保し、レール各部位において、冷却条件の制御を確実に行うため、エアー、ミスト、エアーとミストの混合冷媒を用いて、レール各部位の外表面に所定の冷却を行うことが望ましい。
なお、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の金属組織はパーライト組織であることが望ましいが、成分系、さらには加速冷却条件の選択によっては、パーライト組織中に微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織が生成することがある。しかし、パーライト組織中にこれらの組織が微量に生成してもレールの疲労強度や靭性に大きな影響を及ぼさないため、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の組織としては、若干の初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織の混在も含んでいる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて本発明のレール製造方法で製造したレールの、熱間圧延条件、加速冷却条件、さらにはレール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて比較レール製造方法で製造したレールの、熱間圧延条件、加速冷却条件、さらにはレール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
ここで、本明細書中の図について説明する。図1はレール各部位の呼称を示したものである。図1において、1は頭頂部、2は頭部コーナー部である。図2は表2と表3に示す引張試験における試験片採取位置を図示したものである。また図3は、表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと、表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの、頭部引張試験結果における炭素量と全伸び値の関係を示したものである。
なお、レールの構成は以下のとおりである。
・本発明熱処理レール(15本) 符号1〜15
前記成分範囲内のレール鋼を、前記限定範囲内の熱間圧延条件、熱処理条件で製造し たレール。
・比較熱処理レール (12本) 符号16〜27
前記成分範囲内のレール鋼を、前記限定範囲外の熱間圧延条件、熱処理条件で製造し たレール。
また、各種試験条件は下記のとおりである。
・頭部引張試験
試験機:万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:25mm、平行部直径:6mm、
伸び測定評点間距離:21mm
試験片採取位置:レール頭部表面下5mm(図2参照)
引張速度:10mm/min
試験温度:常温(20℃)
表2、表3に示すように、本発明レール鋼(符号:1〜15)は、比較レール鋼(符号:16〜27)と比べて、圧延温度、圧下率、圧延後の昇温温度、パス間時間をある一定範囲内に納め、圧延後の加速冷却開始温度、加速冷却速度、冷却停止温度をある一定範囲内に収めることにより、パーライト組織を微細化・高強度化し、レールの耐摩耗性と延性を確保し、さらに、延性に悪影響を与える初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織などを生成させず、耐摩耗性と延性を確保したパーライト組織となっている。
また図3に示すように、本発明レール鋼(符号:1〜15)は、比較レール鋼(符号:16〜27)と比べて、同一炭素量で比較すると、いずれの炭素量においてもレール頭部の延性が向上している。
Figure 0004214043
Figure 0004214043
Figure 0004214043
本発明のレール製造方法で製造したレールの頭部断面表面位置での呼称を示す図。 表2と表3に示す引張試験における試験片採取位置を示す図。 表2に示す本発明レール鋼(符号:1〜15)と表3に示す比較レール鋼(符号:16〜27)の、引張試験結果における炭素量と全伸び値の関係を示す図。
符号の説明
1:頭頂部
2:頭部コーナー部

Claims (12)

  1. 質量%で、
    C :0.60〜1.40%
    Si:0.05〜2.00%、
    Mn:0.05〜2.00%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるレール圧延用鋼片を熱間圧延するに際し、その仕上げ圧延において、レール頭部表面温度が800〜1000℃の範囲で、1パス当たり断面減少率が2〜30%の圧延を行い、各パス終了後の表面温度を各パス開始温度より5〜40℃上昇させ、連続で2パス以上、かつ、パス間時間を10sec以下とし、熱間圧延後の700℃以上の鋼レールの頭部を、引き続き冷却速度2〜30℃/sec で少なくとも550℃まで加速冷却し、その後放冷し、パーライト変態させることを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  2. 前記レール圧延用鋼片が質量%で、C:0.90〜1.40%を含有し、前記仕上げ圧延が連続で3パス以上、かつ、パス間時間を2sec 以下とすることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  3. 質量%でさらに、
    Cr:0.05〜2.00%、
    Mo:0.01〜0.50%
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  4. 質量%でさらに、
    V :0.005〜0.50%、
    Nb:0.002〜0.050%
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  5. 質量%でさらに、
    B :0.0001〜0.0050%
    を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  6. 質量%でさらに、
    Co:0.10〜2.00%、
    Cu:0.01〜1.00%
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  7. 質量%でさらに、
    Ni:0.01〜1.00%
    を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  8. 質量%でさらに、
    Ti:0.0050〜0.0500%、
    Mg:0.0005〜0.0200%、
    Ca:0.0005〜0.0150%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  9. 質量%でさらに、
    Al:0.0100〜1.00%
    を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  10. 質量%でさらに、
    Zr:0.0001〜0.2000%
    を含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  11. 質量%でさらに、
    N :0.0040〜0.0200%
    を含有することを特徴とする請求項10のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
  12. 前記レール圧延用鋼片が質量%でC:0.90〜1.40%を含有し、熱間圧延後の750℃以上の鋼レールの頭部を、圧延終了後60sec 以内に、冷却速度2〜30℃/sec で少なくとも550℃まで加速冷却し、その後放冷し、パーライト変態させることを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法。
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