JP2005256022A - 高炭素鋼レールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高炭素含有の鋼レールの製造において、レール鋼片採取温度を制御し、さらに、この温度範囲から圧延後に適切な温度範囲と冷却速度で適切な熱処理を行うことにより、オーステナイト組織の微細化を図り、延性に悪影響を与える初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織などを生成させず、高硬度で微細なパーライト組織を得、レール頭部の延性を向上させ、レール使用寿命の向上を図る。
【解決手段】 質量%で、C:0.95〜1.40%を含有するレール圧延用鋼片からレール形状に圧延するに際し、仕上げ圧延後に行われる圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を、レール頭表面温度が850〜700℃の範囲で行う。また、レール鋼片の採取に引き続き、700℃以上のレール頭部表面を冷却速度2〜30℃/secで少なくとも600℃まで加速冷却し、その後、放冷する。
【選択図】 図3
【解決手段】 質量%で、C:0.95〜1.40%を含有するレール圧延用鋼片からレール形状に圧延するに際し、仕上げ圧延後に行われる圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を、レール頭表面温度が850〜700℃の範囲で行う。また、レール鋼片の採取に引き続き、700℃以上のレール頭部表面を冷却速度2〜30℃/secで少なくとも600℃まで加速冷却し、その後、放冷する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、重荷重鉄道に使用されるレールにおいて、延性を向上させることを目的としたパーライト組織を呈した高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
高炭素含有のパーライト鋼はその優れた耐摩耗性鋼から鉄道用レール材料として使用されてきた。しかしながら、炭素含有量が非常に高いため、延性や靭性が低いといった問題があった。
例えば、非特許文献1に示されている炭素量0.6〜0.7mass%の普通炭素鋼レールでは、JIS3号Uノッチシャルピー衝撃試験での常温の衝撃値は12〜18J/cm2程度であり、このようなレールを寒冷地等の低温度域で使用した場合、微小な初期欠陥や疲労き裂から脆性破壊を引き起こすといった問題があった。
例えば、非特許文献1に示されている炭素量0.6〜0.7mass%の普通炭素鋼レールでは、JIS3号Uノッチシャルピー衝撃試験での常温の衝撃値は12〜18J/cm2程度であり、このようなレールを寒冷地等の低温度域で使用した場合、微小な初期欠陥や疲労き裂から脆性破壊を引き起こすといった問題があった。
また、近年、レール鋼は耐摩耗性改善のため、より一層の高炭素化を進めており、これにともない、延性や靭性がさらに低下するといった問題があった。
一般にパーライト鋼の延性や靭性を向上させるには、パーライト組織(パーライトブロックサイズ)の微細化、具体的には、パーライト変態前のオーステナイト組織の細粒化やパーライト組織の微細化が有効であると言われている。オーステナイト組織の細粒化を達成するには、熱間圧延時の圧延温度の低減、圧下量の増加、さらには、レール圧延後に低温再加熱による熱処理が行われている。また、パーライト組織の微細化を図るには、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態の促進等が行われている。
一般にパーライト鋼の延性や靭性を向上させるには、パーライト組織(パーライトブロックサイズ)の微細化、具体的には、パーライト変態前のオーステナイト組織の細粒化やパーライト組織の微細化が有効であると言われている。オーステナイト組織の細粒化を達成するには、熱間圧延時の圧延温度の低減、圧下量の増加、さらには、レール圧延後に低温再加熱による熱処理が行われている。また、パーライト組織の微細化を図るには、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態の促進等が行われている。
しかし、レールの製造においては、熱間圧延時の成形性確保の観点から、圧延温度の低減、圧下量の増加には限界があり、十分なオーステナイト粒の微細化が達成できなかった。また、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態については、変態核の量の制御が困難なことや粒内からのパーライト変態が安定しない等の問題があり、十分なパーライト組織の微細化が達成できなかった。
これらの諸問題から、パーライト組織のレールにおいて延性や靭性を抜本的に改善するには、レール圧延後に低温再加熱を行い、その後、加速冷却によりパーライト変態をさせ、パーライト組織を微細化する方法が用いられてきた。しかし、近年、耐摩耗性改善のためレールの高炭素化が進み、上記の低温再加熱熱処理を時に、オーステナイト粒内に粗大な炭化物が溶け残り、加速冷却後のパーライト組織の延性や靭性が低下するといった問題があった。また、再加熱であるため、製造コストが高く、生産性も低い等の経済性の問題もあった。
そこで、圧延時成形性を確保し、圧延後のパーライト組織の微細化する高炭素鋼レールの製造方法の開発が求められるようになってきた。この問題を解決するため、下記に示すような高炭素鋼レールの製造方法が開発された。
(1)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続3パス以上の圧延を行う高延性レールの製造法(特許文献1)。
(2)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続2パス以上の圧延を行い、さらに、連続圧延を行った後、圧延終了後に加速冷却を行う高耐摩耗性・高靭性レールの製造方法(特許文献2)。
(3)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、パス間で冷却を施し、さらに、連続圧延を行った後、圧延終了後に加速冷却を行う高耐摩耗性・高靭性レールの製造方法(特許文献3)。
これらのレールの特徴は、レールの延性や靭性の向上を図るため、パーライト組織を微細化する方法として、オーステナイト組織の微細化を検討し、高炭素鋼が比較的低温で、かつ、小さい圧下量でも再結晶し易いことを利用して、小圧下の連続圧延によって整粒の微細オーステナイト粒を得、延性や靭性を向上させるものであった。
特開平7−173530号公報
特開平2001−234238号公報
特開平2002−226915号公報
JIS E1101−1990
(1)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続3パス以上の圧延を行う高延性レールの製造法(特許文献1)。
(2)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続2パス以上の圧延を行い、さらに、連続圧延を行った後、圧延終了後に加速冷却を行う高耐摩耗性・高靭性レールの製造方法(特許文献2)。
(3)高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、パス間で冷却を施し、さらに、連続圧延を行った後、圧延終了後に加速冷却を行う高耐摩耗性・高靭性レールの製造方法(特許文献3)。
これらのレールの特徴は、レールの延性や靭性の向上を図るため、パーライト組織を微細化する方法として、オーステナイト組織の微細化を検討し、高炭素鋼が比較的低温で、かつ、小さい圧下量でも再結晶し易いことを利用して、小圧下の連続圧延によって整粒の微細オーステナイト粒を得、延性や靭性を向上させるものであった。
レール製造では製品の最終形状を管理するため、圧延後に小レール鋼片を採取し、形状測定を行っている。上記に示されたレール製造方法では、圧延後にレール鋼片を採取すると、圧延温度の選択によっては、サンプル採取中の発生するオーステナイト粒の粒成長により、オーステナイト粒の微細化が図れず、パーライト組織の粗大化により、熱処理後のレールの延性が向上しないといった問題があった。
また、圧延後のオーステナイト粒の粒成長を抑制するため、連続圧延直後に加速冷却する方法も上記に示されているが、加速冷却速度や加速冷却停止温度の選択によっては、レール鋼片採取中の発生するオーステナイト粒の粒成長により、オーステナイト粒の微細化が図れず、パーライト組織の粗大化により、熱処理後のレールの延性が向上しないといった問題があった。
このような背景から、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、圧延後にレール鋼片を採取し、同時に、整粒の微細オーステナイト粒を得、安定的に延性を向上させるレール製造方法の開発が求められていた。
すなわち、本発明は、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延した後に、ある一定の温度範囲内で、最終形状を管理するためのレール鋼片を採取し、レール頭部の延性を向上させることを目的としたものである。
(1)質量%で、C:0.95〜1.40%を含有するレール圧延用鋼片からレール形状に圧延するに際し、仕上げ圧延後に行われる圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を、レール頭表面温度が850〜700℃の範囲で行うことを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
(2)上記(1)のレールには、質量%でさらに、下記[1]〜[10]の成分を選択的に含有させることができる。
[1]Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%の1種または2種、
[2]Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種、
[3]V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%の1種または2種、
[4]B:0.0001〜0.0050%、
[5]Co:0.10〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%の1種または2種、
[6]Ni:0.01〜1.00%、
[7]Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca :0.0005〜0.0150%の1種または2種以上、
[8]Al:0.0100〜1.00%、
[9]Zr:0.0001〜0.2000%、
[10]N:0.0040〜0.0200%
の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
[1]Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%の1種または2種、
[2]Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%の1種または2種、
[3]V:0.005〜0.50%、Nb:0.002〜0.050%の1種または2種、
[4]B:0.0001〜0.0050%、
[5]Co:0.10〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%の1種または2種、
[6]Ni:0.01〜1.00%、
[7]Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca :0.0005〜0.0150%の1種または2種以上、
[8]Al:0.0100〜1.00%、
[9]Zr:0.0001〜0.2000%、
[10]N:0.0040〜0.0200%
の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
(3)上記(1),(2)において、仕上げ圧延後に圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を行い、引き続き、700℃以上のレール頭部表面を冷却速度2〜30℃/secで少なくとも600℃まで加速冷却し、その後、放冷する。
本発明によれば、高炭素含有の鋼レールの製造において、レール鋼片採取温度を制御し、さらに、圧延後に適切な温度範囲と冷却速度で適切な熱処理を行うことにより、高硬度で微細なパーライト組織を得、レール頭部の延性を向上させ、レール使用寿命の向上を図ることが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、圧延後にレール鋼片を採取した場合、サンプル採取中に発生するオーステナイト粒の粒成長により、オーステナイト粒の微細化が図れず、結果的にパーライト組織の粗大化により、熱処理後のレールの延性が低下する要因を解明した。
まず、本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、圧延後にレール鋼片を採取した場合、サンプル採取中に発生するオーステナイト粒の粒成長により、オーステナイト粒の微細化が図れず、結果的にパーライト組織の粗大化により、熱処理後のレールの延性が低下する要因を解明した。
様々な検証実験を行った結果、圧延後のレール鋼片採取において、レール頭部表面温度の制御が適切でないと、オーステナイト粒の微細化が図れず、レールの延性が低下することが明らかとなった。
そこで、本発明者らは、高炭素含有のレール鋼において、圧延後のレール鋼片採取時のレール頭部表面温度とレールの延性の関係を調査した。その結果、レール頭部表面温度がある一定の範囲を超えると、オーステナイト粒が粗大化し、延性が向上しないこと、また、圧延後のレールに初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性が低下することが確認され、レールの延性を向上させるには、圧延後のレール鋼片採取時のレール頭部表面温度に最適な温度範囲があることが確認された。
さらに、本発明者らは、この微細なオーステナイト粒から、微細で、かつ、高硬度のパーライト組織を得る方法を検討した。その結果、サンプル採取後のレール頭部表面を、所定の冷却速度で加速冷却を施すことにより、高硬度で微細なパーライト組織が得られ、レール頭部の延性が向上することを見出した。
したがって、本発明では、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延した後に、ある一定の温度範囲でレール鋼片を採取し、ある一定の温度範囲内にあるレール頭部表面を、所定の冷却速度で加速冷却を施すことにより、高硬度で、かつ、微細なパーライト組織が得られ、レール頭部の延性が向上することを知見した。
すなわち、本発明では、高炭素含有の鋼片からレールとして熱間圧延した後に、ある一定の温度範囲でレール鋼片を採取し、レール頭部のオーステナイト粒の粗大化を防止し、これに加えて、ある一定の温度範囲内にあるレール頭部表面に加速冷却を施す、延性を向上させることを目的とした高炭素鋼レールの製造方法に関するものである。
次に、本発明の限定理由について詳細に説明する。
(1)鋼レールの化学成分の限定理由
本発明のレール鋼の化学成分を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。 Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.95%以下では、本製造方法に示される範囲外の温度域でレール鋼片を採取しても、延性の低下が少なく、明確な効果が得られない。一方、C量が1.40%を超えると、本製造方法では、旧オーステナイト粒界に初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐摩耗性や延性が低下する。このため、C量を0.95〜1.40%に限定した。
(1)鋼レールの化学成分の限定理由
本発明のレール鋼の化学成分を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。 Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する有効な元素である。C量が0.95%以下では、本製造方法に示される範囲外の温度域でレール鋼片を採取しても、延性の低下が少なく、明確な効果が得られない。一方、C量が1.40%を超えると、本製造方法では、旧オーステナイト粒界に初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐摩耗性や延性が低下する。このため、C量を0.95〜1.40%に限定した。
また、上記の成分組成で製造されるレールは、パーライト組織の硬度(強化)の向上、パーライト組織の延性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Si,Mn,Cr,Mo,V,Nb,B,Co,Cu,Ni,Ti,Mg,Ca,Al,Zr,Nの元素を必要に応じて1種または2種以上添加する。
ここで、Siはフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、硬度と延性を確保する元素である。
Mnは焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保する元素である。
Cr,Moは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、主に、パーライトラメラ間隔を微細化することによりパーライト組織の硬度を確保する。
Mnは焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保する元素である。
Cr,Moは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、主に、パーライトラメラ間隔を微細化することによりパーライト組織の硬度を確保する。
V,Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成長を抑制し、さらに、析出硬化により、パーライト組織の延性と硬度を向上させる。また、再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Bは、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時に、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レールの延性を向上させ、さらに、レール頭部の硬度分布を均一にする。
Co,Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。
Bは、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時に、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レールの延性を向上させ、さらに、レール頭部の硬度分布を均一にする。
Co,Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。
Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時に、パーライト鋼の硬度を向上させ、さらに、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。
Mg,Caは、レール圧延時においてオーステナイト粒の微細化を図り、同時に、パーライト変態を促進し、パーライト組織の延性を向上させる。
Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。
Mg,Caは、レール圧延時においてオーステナイト粒の微細化を図り、同時に、パーライト変態を促進し、パーライト組織の延性を向上させる。
Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織を強化し、レールの耐摩耗性の向上させる。さらに、共析炭素量を高炭素側へ移動させ、初析セメンタイト組織の生成を抑制する。
Zrは、ZrO2介在物が高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織の厚さを微細化し、レールの延性低下を防止する。
Nはオーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライト組織を微細にすることより、延性を向上させることが主な添加目的である。
Zrは、ZrO2介在物が高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織の厚さを微細化し、レールの延性低下を防止する。
Nはオーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライト組織を微細にすることより、延性を向上させることが主な添加目的である。
これらの成分の限定理由について、以下に詳細に説明する。
Siは、脱酸剤として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が十分に期待できない。また、2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レールの耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このため、Si量を0.05〜2.00%に限定した。
Siは、脱酸剤として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が十分に期待できない。また、2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レールの耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このため、Si量を0.05〜2.00%に限定した。
Mnは、焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満の含有量では、その効果が小さく、レールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。また、2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Mn量を0.05〜2.00%に限定した。
Crは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にして高硬度(強度)化に寄与すると同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させることにより耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さく、2.00%を超える過剰な添加を行うと、焼入性が著しく増加し、マルテンサイト組織が多量に生成し、レールの耐摩耗性や延性が低下する。このため、Cr量を0.05〜2.00%に限定した。
Moは、Cr同様パーライトの平衡変態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にすることにより高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、レール鋼の硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。また、0.50%を超える過剰な添加を行うと、パーライト組織の変態速度が著しく低下し、延性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。このため、Mo添加量を0.01〜0.50%に限定した。
Vは、熱間圧延後の冷却課程で生成したV炭化物、V窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかし、0.005%未満ではその効果が十分に期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また、0.500%を超えて添加すると、粗大なVの炭化物やVの窒化物が生成し、レールの延性や耐疲労損傷性が低下する。このため、V量を0.005〜0.500%に限定した。
Nbは、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高めると同時に、延性を向上させるのに有効な元素である。また、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素である。しかし、その効果は、0.002%未満では期待できず、パーライト組織の硬度の向上や延性の改善は認められない。また、0.050%を超える添加すると、粗大なNbの炭化物やNbの窒化物が生成し、レールの延性や耐疲労損傷性が低下する。このため、Nb量を0.002〜0.050%に限定した。
Bは、旧オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物を形成し、初析セメンタイト組織の生成を微細化し、同時に、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、頭部の硬度分布を均一化することにより、レールの延性低下を防止し、高寿命化を図る元素であるが、0.0001%未満ではその効果は十分でなく、初析セメンタイト組織の生成やレール頭部の硬度分布には改善が認められない。また、0.0050%を超えて添加すると、旧オーステナイト粒界に粗大な鉄の炭ほう化物が生成し、レールの延性、耐摩耗性、さらには、耐疲労損傷性が大きく低下することから、B量を0.0001〜0.0050%に限定した。
Coは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であり、さらに、パーライトの変態エネルギーを増加させて、パーライト組織を微細にすることにより延性を向上させる元素であるが、0.10%未満ではその効果が期待できない。また、2.00%を超えて添加すると、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、ころがり面にスポーリング損傷が発生し、レールの耐表面損傷性が低下する。このため、Co量を0.10〜2.00%に限定した。
Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効果が期待できない。また、1.00%を超えて添加すると、著しい焼入れ性向上により耐摩耗性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。さらに、パーライト組織中のフェライト相の延性が著しく低下し、レールの延性が低下する。このため、Cu量を0.01〜1.00%に限定した。
Niは、Cu添加による熱間圧延時の脆化を防止し、同時に、フェライトへの固溶強化によりパーライト鋼の高硬度(強度)化を図る元素である。さらに、溶接熱影響部においては、Tiと複合でNi3Tiの金属間化合物が微細に析出し、析出強化により軟化を抑制する元素であるが、0.01%未満では、その効果が著しく小さく、また、1.00%を超えて添加すると、フェライト相の延性が著しく低下し、ころがり面にスポーリング損傷が発生し、レールの耐表面損傷性が低下する。このため、Ni量を0.01〜1.00%に限定した。
Tiは、溶接時の再加熱において析出したTiの炭化物、Tiの窒化物が溶解しないことを利用して、オーステナイト域まで加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止するのに有効な成分である。しかし、0.0050%未満ではその効果が少なく、0.0500%を超えて添加すると、粗大なTiの炭化物、Tiの窒化物が生成して、レールの延性、これに加えて耐疲労損傷性が大きく低下することから、Ti量を0.0050〜0.0500%に限定した。
Mgは、O、または、SやAl等と結合して微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱において、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。さらに、MgO,MgSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、Mgの粗大酸化物が生成し、レールの延性、さらには、耐疲労損傷性を低下させるため、Mg量を0.0005〜0.0200%に限定した。
Caは、Sとの結合力が強く、CaSとして硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0005%未満ではその効果は弱く、0.0150%を超えて添加すると、Caの粗大酸化物が生成し、レールの延性、さらには、耐内部疲労損傷性を低下させるため、Ca量を0.0005〜0.0150%に限定した。
Alは脱酸剤として用いられる他、共析変態温度を高温側へ、共析炭素量を高炭素側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高強度化と初析セメンタイト組織の生成抑制に有効な元素であるが、0.0100%未満では、その効果が弱く、1.00%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる粗大なアルミナ系介在物が生成し、レールの延性、さらには、耐疲労損傷性が低下する。また、溶接時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下するため、Al量を0.0100〜1.00%に限定した。
Zrは、ZrO2介在物がγ−Feとの格子整合性が良いため、γ−Feが凝固初晶である高炭素レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レール偏析部に生成する初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素である。しかし、Zr量が0.0001%以下では、ZrO2系介在物の数が 少なく、凝固核として十分な作用を示さない。その結果、偏析部に初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性を低下させる。また、Zr量が0.2000%を超えると、粗大Zr系介在物が多量に生成し、レールの延性が低下することや、粗大Zr系介在物を起点とした疲労損傷が発生しやすくなり、レールの使用寿命が低下する。このため、Zr量を0.0001〜0.2000%に限定した。
Nは、オーステナイト粒界に偏析することにより、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0040%未満ではその効果は弱く、0.0200%を超えて添加すると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる気泡が生成することから、N量を0.0040〜0.0200%に限定した。
(2)レール鋼片採取におけるレール頭部表面温度の限定理由
熱間圧延後のレール鋼片採取時のレール頭部表面温度を850〜700℃の範囲に限定した理由を説明する。レール鋼片採取時のレール頭部表面温度が850℃を超えると、レール鋼片採取中にオーステナイト粒が粗大化し、熱処理後のパーライト組織が粗大化し、レールの延性が向上しない。また、レール鋼片採取時のレール頭部表面温度が700℃未満では、レール鋼片採取中に初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性が低下する。このため、レール鋼片採取時のレール頭部表面温度を850〜700℃の範囲に限定した。
熱間圧延後のレール鋼片採取時のレール頭部表面温度を850〜700℃の範囲に限定した理由を説明する。レール鋼片採取時のレール頭部表面温度が850℃を超えると、レール鋼片採取中にオーステナイト粒が粗大化し、熱処理後のパーライト組織が粗大化し、レールの延性が向上しない。また、レール鋼片採取時のレール頭部表面温度が700℃未満では、レール鋼片採取中に初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性が低下する。このため、レール鋼片採取時のレール頭部表面温度を850〜700℃の範囲に限定した。
(3)熱間圧延後の頭部加速冷却条件の限定理由
熱間圧延後のレール頭部表面の加速冷却速度、加速冷却停止温度を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
まず、加速冷却速度開始温度について説明する。レール頭部表面の加速冷却速度開始温度が700℃未満になると、加速冷却前にパーライト変態が始まり、レール頭部の高硬度が図れず、耐摩耗性が確保できない。また、鋼の炭素量や合金成分によっては、初析セメンタイト組織が生成し、レール頭部表面の延性が低下する。このため、レール頭部表面の加速冷却速度開始温度を700℃以上とした。
熱間圧延後のレール頭部表面の加速冷却速度、加速冷却停止温度を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
まず、加速冷却速度開始温度について説明する。レール頭部表面の加速冷却速度開始温度が700℃未満になると、加速冷却前にパーライト変態が始まり、レール頭部の高硬度が図れず、耐摩耗性が確保できない。また、鋼の炭素量や合金成分によっては、初析セメンタイト組織が生成し、レール頭部表面の延性が低下する。このため、レール頭部表面の加速冷却速度開始温度を700℃以上とした。
次に、加速冷却速度の範囲について説明する。レール頭部の加速冷却速度が2℃/sec未満では、本レール製造条件では、レール頭部の高硬度が図れず、レール頭部の耐摩耗性の確保が困難となる。さらに、高炭素鋼においては初析セメンタイト組織が生成し、レールの頭部の延性が低下する。また、加速冷却速度が30℃/secを超えると、本成分系では、マルテンサイト組織が生成し、レール頭部の耐摩耗性、延性が大きく低下する。
このため、レール頭部の加速冷却速度の範囲を2〜30℃/secの範囲に限定した。次に、加速冷却温度の範囲について説明する。600℃を超えた温度でレール頭部の加速冷却を停止すると、加速冷却終了後に、レール内部から過大な復熱が発生する。この結果、温度上昇によりパーライト変態温度が上昇し、パーライト組織の高硬度が図れず、耐摩耗性を確保できない。また、パーライト組織が粗大化し、レール頭部の延性の向上も図れない。このため、少なくとも600℃まで加速冷却を行うことを限定した。
なお、レール頭部の加速冷却を終了する温度の下限は特に限定してないが、レール頭部の硬度を確保し、かつ、頭部内部の偏析部等に生成しやすいマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に400℃が下限となる。
ここで、レールの部位について説明する。図1はレール部位の呼称を示したものである。「レール頭部」とは、図2に示す頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)を含む部分である。レール鋼片採取時のレール頭部表面温度は、頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)の頭部表面の温度を制御することにより、レール鋼のオーステナイト粒の微細化が図れ、レールの延性を向上させることができる。
また、上記に説明した圧延後の熱処理における加速冷却開始温度、加速冷却速度、加速冷却停止温度は、図1に示す頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部(符号:2)の頭部表面、または、頭部表面から深さ5mmの範囲で測温すれば、レール頭部の全体を代表させることができ、この部分の温度や冷却速度を制御することにより、耐摩耗性に優れた微細なパーライト組織を得ることができる。
本製造方法では、特に冷媒については限定していないが、所定の冷却速度を確保し、冷却条件の制御を確実に行うため、エアー、ミスト、エアーとミストの混合冷媒を用いて、レール各部位の外表面に所定の冷却を行うことが望ましい。
なお、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の金属組織はパーライト組織であることが望ましいが、成分系、さらには、加速冷却条件の選択によっては、パーライト組織中に微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織が生成することがある。しかし、パーライト組織中にこれらの組織が微量に生成してもレールの疲労強度や延性に大きな影響をおよぼさないため、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の組織としては、若干の初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織の混在も含んでいる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。
表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて、本発明のレール製造方法で製造したレールの、鋼片採取時の温度、熱処理条件、さらには、レール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて、比較レール製造方法で製造したレールの、鋼片採取時の温度、熱処理条件、さらには、レール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。
表2は、表1に示す供試レール鋼を用いて、本発明のレール製造方法で製造したレールの、鋼片採取時の温度、熱処理条件、さらには、レール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
表3は、表1に示す供試レール鋼を用いて、比較レール製造方法で製造したレールの、鋼片採取時の温度、熱処理条件、さらには、レール頭部のミクロ組織、硬さ、引張試験の全伸び値を示す。
ここで、本明細書中の図について説明する。図1はレール各部位の呼称を示したものである。図1において、1は頭頂部、2は頭部コーナー部である。図2は表2と表3に示す引張試験における試験片採取位置を図示したものである。また、図3は表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの頭部引張試験結果における炭素量と全伸び値の関係を示したものである。
なお、レールの構成は以下のとおりである。
・本発明熱処理レール(11本) 符号1〜11
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲内の熱間圧延条件、熱処理条件で製造したレール。
・比較熱処理レール (10本)
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の鋼片採取温度で製造したレール:符号12〜17
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の熱処理条件で製造したレール:符号18〜21
・本発明熱処理レール(11本) 符号1〜11
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲内の熱間圧延条件、熱処理条件で製造したレール。
・比較熱処理レール (10本)
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の鋼片採取温度で製造したレール:符号12〜17
上記成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の熱処理条件で製造したレール:符号18〜21
また、各種試験条件は下記のとおり。
・頭部引張試験
試験機 :万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:25mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:21mm
試験片採取位置:レール頭部表面下5mm(図2参照)
引張速度 :10mm/min、試験温度:常温(20℃)
・頭部引張試験
試験機 :万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:25mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:21mm
試験片採取位置:レール頭部表面下5mm(図2参照)
引張速度 :10mm/min、試験温度:常温(20℃)
結果を表2、表3に示す。本発明レール鋼(符号:1〜11)は、比較レール鋼(符号:12〜21)と比べて、レール鋼片採取温度を制御し、さらに、圧延後に適切な温度範囲と冷却速度で適切な熱処理を行うことにより、オーステナイト組織の微細化を図り、延性に悪影響を与える初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織などを生成させず、耐摩耗性と延性を確保した微細なパーライト組織とすることができる。
図3に示すように、本発明レール鋼(符号:1〜11)は、レール鋼片採取温度を制御しなかった比較レール鋼(符号:12〜17)と比べて、いずれの炭素量においてもレール頭部の延性が向上している。また、本発明レール鋼(符号:1〜11)は、圧延後の熱処理を適切に行わなかった比較レール鋼(符号:18〜21)と比べて、いずれの炭素量においてもレール頭部の延性が向上している。
1:頭頂部、
2:頭部コーナー部
2:頭部コーナー部
Claims (12)
- 質量%で、C:0.95〜1.40%を含有するレール圧延用鋼片からレール形状に圧延するに際し、仕上げ圧延後に行われる圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を、レール頭表面温度が850〜700℃の範囲で行うことを特徴とする高炭素鋼レールの製造方法。
- 質量%で、さらに、
Si:0.05〜2.00%、
Mn:0.05〜2.00%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性および高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Cr:0.05〜2.00%、
Mo:0.01〜0.50%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
V :0.005〜0.50%、
Nb:0.002〜0.050%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
B :0.0001〜0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Co:0.10〜2.00%、
Cu:0.01〜1.00%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Ni:0.01〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Ti:0.0050〜0.0500%、
Mg:0.0005〜0.0200%、
Ca:0.0005〜0.0150%
の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Al:0.0100〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
Zr:0.0001〜0.2000%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 質量%で、さらに、
N :0.0040〜0.0200%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。 - 仕上げ圧延後に圧延形状の確認のためのレール鋼片の採取を行い、引き続き、700℃以上のレール頭部表面を冷却速度2〜30℃/secで少なくとも600℃まで加速冷却し、その後、放冷することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の高炭素鋼レールの製造方法。
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JP2004065677A JP2005256022A (ja) | 2004-03-09 | 2004-03-09 | 高炭素鋼レールの製造方法 |
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CN104745967A (zh) * | 2013-12-25 | 2015-07-01 | 唐山前进钢铁集团有限公司 | 提高螺纹钢性能的轧后冷却方法 |
US10113219B2 (en) | 2014-06-24 | 2018-10-30 | Yanshan University | Nano-pearlite rail and process for manufacturing same |
CN113646447A (zh) * | 2019-03-19 | 2021-11-12 | 杰富意钢铁株式会社 | 轨道的制造方法 |
-
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- 2004-03-09 JP JP2004065677A patent/JP2005256022A/ja not_active Withdrawn
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