JP5472418B2 - 耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法 - Google Patents

耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、重荷重鉄道で使用されるレールの製造方法であって、特に頭部の耐摩耗性と延性を同時に向上ざせることを目的としたパーライト系レールの製造方法に関するものである。
高炭素含有のパーライト鋼はその優れた耐摩耗性鋼から鉄道用レール材料として使用されてきた。しかしながら、炭素含有量が非常に高いため、延性や靭性が低いといった問題があった。
例えば、非特許文献1に示されている炭素量0.6〜0.7mass%の普通炭素鋼レールでは、JIS3号Uノッチシャルピー衝撃試験での常温の衝撃値は12〜18J/cm程度であり、このようなレールを寒冷地等の低温度域で使用した場合、微小な初期欠陥や疲労き裂から脆性破壊を引き起こすといった問題があった。
また、近年、レール鋼は耐摩耗性改善のため、より一層の高炭素化を進めており、これにともない、延性や靭性がさらに低下するといった問題があった。
一般にパーライト鋼の延性や靭性を向上させるには、パーライト組織(パーライトブロックサイズ)の微細化、具体的には、パーライト変態前のオーステナイト組織の細粒化及びパーライト組織の微細化が有効であると言われている。オーステナイト組織の細粒化を達成する方法としては、熱間圧延時の圧延温度の低減、圧下量の増加、さらには、レール圧延後に低温再加熱による熱処理がある。また、パーライト組織の微細化を図る方法としては、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態の促進等がある。
しかし、レールの製造においては、熱間圧延時の成形性確保の観点から、圧延温度の低減、圧下量の増加には限界があり、十分なオーステナイト粒の微細化が達成できなかった。また、変態核を利用したオーステナイト粒内からのパーライト変態については、変態核の量の制御が困難なことや粒内からのパーライト変態が安定しない等の問題があり、十分なパーライト組織の微細化が達成できなかった。
これらの諸問題から、パーライト組織のレールにおいて延性や靭性を抜本的に改善するには、レール圧延後に低温再加熱を行い、その後、加速冷却によりパーライト変態をさせ、パーライト組織を微細化する方法が用いられてきた。しかし、近年、耐摩耗性改善のためレールの高炭素化が進み、上記の低温再加熱熱処理を行うと、オーステナイト粒内に粗大な炭化物が溶け残り、加速冷却後のパーライト組織の延性や靭性が低下するといった問題が出てくるようになった。また、再加熱であるため、製造コストが高く、生産性も低い等の経済性の問題もある。
そこで、圧延時成形性を確保し、低温再加熱を行わなくても圧延後のパーライト組織を微細化することができる高炭素鋼レールの製造方法の開発が求められるようになってきた。この問題を解決するため、下記特許文献1〜3に示すような高炭素鋼レールの製造方法が開発された。これらのレールの主な特徴は、パーライト組織を微細化するため、高炭素鋼のオーステナイト粒が比較的低温で、かつ、小さい圧下量でも再結晶し易いことを利用して、小圧下の連続圧延によって整粒の微細粒を得、パーライト鋼の延性や靭性を向上させている。
特許文献1の開示技術では、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続3パス以上の圧延を行うことにより高延性レールを提供することができる。
また、特許文献2の公開技術では、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続2パス以上の圧延を行い、さらに、連続圧延を行った後、圧延後に加速冷却を行うことにより高耐摩耗・高靭性レールを提供することができる。
さらに、特許文献3の公開技術では、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、パス間で冷却を施し、さらに、連続圧延を行った後、圧延後に加速冷却を行うことにより高耐摩耗・高靭性レールを提供することができる。
しかし、特許文献1〜3の開示技術では、鋼の炭素量、連続熱間圧延時の温度、圧延パス数やパス間時間の組合せによっては、オーステナイト組織の微細化が図れず、パーライト組織が粗大化し、延性や靭性が向上しないといった問題がある。
また、特許文献4には、0.90重量%以下の炭素を含有するレール鋼を、800℃以下で低温圧延することによって、延性・靱性に優れたレールを製造する方法が開示されているが、減面率10%以上の限定がなされているだけであるため、圧下が不十分となる場合があった。特に、延性や靭性が低下し易く、圧延中に粒成長が起こり易い高炭素(C>0.90%)のレール鋼において、必要とされる靱性・延性を安定して確保することは困難であった。
特開平7−173530号公報 特開2001−234238号公報 特開2002−226915号公報 特開昭62−127453号公報 JISE1101−1990
このような背景から、安定的にパーライト組織の微細化を達成し、延性を向上させた耐摩耗性に優れたパーライト系レールの提供が望まれるようになった。本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、その目的とするところは、重荷重鉄道のレールで要求される、頭部の耐摩耗性と延性を同時に安定して向上させることを目的としたものである。
本発明のパーライト系レールの製造方法は、仕上げ圧延時に頭部表面の圧延温度、頭部の累積圧下率、及び反力比を制御し、さらに、その後、適切な熱処理を施すことにより、レール頭部の延性と耐摩耗性を安定的に向上させることを要旨としている。具体的には、レール頭部の延性を安定的に向上させるため、圧延直後の頭部表面の未再結晶オーステナイト組織の残留量を制御することによりパーライト組織の微細化を達成し、さらに、耐摩耗性を確保するために加速冷却を行う。本発明の構成は下記のとおりである。
(A)質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有していて残部がFeおよび不可避的不純物からなるレール圧延用鋼片に対して、少なくとも粗圧延及び仕上げ圧延を行うことにより耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールを製造する方法であって、
前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、圧延機の反力値の平均値を、予め求めた同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、圧延直後に生成する未再結晶オーステナイト組織の生成量を残留比率で40%以上70%以下とし、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、前記仕上げ圧延終了後150sec以内に冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(B)前記レール圧延用鋼片は、更に、Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.500%、Nb:0.002〜0.050、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.003〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150、Al:0.010〜1.00%、Zr:0.0001〜0.2000%、N:0.0060〜0.0200%の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(A)に記載の耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。

本発明によれば、パーライト系レールにおいて、重荷重鉄道のレールで要求される、頭部の耐摩耗性と延性を同時に安定して向上させることができる。
以下に本発明を実施する形態として、耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法につき、詳細に説明する。以下、組成における質量は、単に%と記載する。
まず、本発明者らは、炭素量を変化させた高炭素鋼(0.50〜1.35%)を用いてレール圧延を模擬した熱間圧延を行い、圧延時の温度や減面率とオーステナイト粒の挙動の関係を調査した。その結果、炭素量が0.65〜1.20%の範囲において、圧延温度が900℃以下かつAr3変態点もしくはArcm変態点以上の範囲で、初期のオーステナイト粒が再結晶した再結晶微細粒に加えて、初期のオーステナイト粒が再結晶せずに残留した未再結晶オーステナイト粒(扁平な粗大粒)が多量に現れることを確認した。
次に、本発明者らは、この圧延後の未再結晶オーステナイト粒の挙動を実験により確認した。その結果、圧延時の温度や減面率がある一定値を超えると、圧延後の自然放冷中に未再結晶オーステナイト組織が再結晶し、微細なオーステナイト粒になることを確認した。
さらに、本発明者らは、この未再結晶オーステナイト組織から得られる微細なオーステナイト粒を利用して、延性を安定的に向上させる方法を検討した。ラボ圧延および熱処理実験を行い、引張試験により延性を評価した。その結果、パーライト組織を微細化し、安定的に延性の向上を図るには、圧延直後に生成する未再結晶オーステナイト組織の生成量を一定の範囲に収めることが有効であることを見出した。
これらの知見に加えて、本発明者らは、延性を向上させるため、圧延直後の熱処理方法について検討した。ラボ圧延および熱処理実験を行い、引張試験により延性を評価した結果、圧延終了後、通常の自然放冷に加えて、圧延終了後から一定の時間内に加速冷却を行うことにより、再結晶したオーステナイト粒の粗大化抑制され、延性が大きく向上することを見出した。
さらに、本発明者らは、延性をさらに向上させるため、この未再結晶オーステナイト組織を直接的に利用する方法を探索した。ラボ圧延および熱処理実験を行い、引張試験により延性を評価した結果、圧延終了後の自然放冷の時間を短くし、未再結晶オーステナイト組織が再結晶しない状態において、加速冷却を行うことにより、未再結晶オーステナイト組織の内部から微細なパーライト組織が多量に生成し、延性がより一層向上することを確認した。
次に、本発明者らは、微細なパーライト組織を生成させる未再結晶オーステナイト組織の制御方法について検討した。その結果、炭素量0.65〜1.20%の鋼を用いて圧延実験を行った結果、圧延機の反力値を同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値(以降、「反力比」と略す)と圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の生成量の関係には直線的な相関があることを見出し、反力比の制御により未再結晶オーステナイト組織の生成量を制御できることを確認した。
上記した知見から、本発明者らは、高炭素含有の鋼片をレールとして熱間圧延して製造する際に、レール圧延温度、圧延時の反力比をある一定値以上に制御し、所定の未再結晶オーステナイト組織を一定量残留させ、さらに、その後、一定の時間内に熱処理を行い、パーライト組織を微細化することにより、レール頭部の延性と耐摩耗性を同時に確保できることを見出した。
次に、本発明に関する限定理由について詳細に説明する。以下、組成における質量は、単に%と記載する。
(1)レール圧延用鋼片の化学成分の限定理由
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する上で有効な元素である。C量が0.65%未満では、レールに要求される最低限の強度や耐摩耗性が維持できない。また、C量が1.20%を超えると、本製造方法では、熱処理後および自然放冷後に粗大な初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐摩耗性や延性が低下する。このため、C量を0.65〜1.20%に限定した。なお、炭素量を0.95%以上にすると、耐摩耗性がより一層向上し、レールの使用寿命の改善効果が高い。また、高炭素化により粒成長が起こりやすく、延性確保が困難であるため、本発明を有効に活用することができる。したがって、本発明は炭素含有量が0.95%以上のレール鋼で不足しがちな延性を向上させ、耐摩耗性と延性を両立させた高炭素レールの提供に特に有効な製造方法である。
Siは、脱酸材として必須の成分である。また、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇させる元素である。さらに、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、延性の低下を抑制する元素である。しかし、Si量が0.05%未満では、これらの効果が十分に期待できない。また、Si量が2.00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成することや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さらに、焼入性が著しく増加し、レールの耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成する。このため、Si量を0.05〜2.00%に限定した。
Mnは、焼き入れ性を高め、パーライトラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、Mn量が0.05%未満では、その効果が小さく、レールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。また、Mn量が2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、Mn量を0.05〜2.00%に限定した。
なお、本発明において、レール圧延用鋼片の化学成分については、C、Si、Mn以外の成分は特に限定していないが、さらに必要に応じて、Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.500%、Nb:0.002〜0.050、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.003〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150、Al:0.010〜1.00%、Zr:0.0001〜0.2000%、N:0.0060〜0.0200%の1種または2種以上を含有することが望ましい。このような成分範囲が望ましいのは以下に理由による。
Cr:0.05〜2.00%:Crはパーライト組織を微細にして高硬度(強度)化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、Cr量が0.05%未満では、その効果は小さい。また、Cr量が2.00%を超えると、耐摩耗性や延性に有害なマルテンサイト組織が多量に生成するので、Cr添加量は0.05〜2.00%が望ましい。
Mo:0.01〜0.50%:Moはパーライト組織を微細にすることにより高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素である。しかし、Mo量が0.01%未満では、その効果が小さく、また、Mo量が0.50%を超えると、延性に有害なマルテンサイト組織が生成するので、Mo添加量は0.01〜0.50%が望ましい。
V:0.005〜0.500%:Vは窒化物や炭窒化物を形成し、延性を向上させ、同時に、硬度(強度)を向上させるのに有効な元素である。しかし、V量が0.005%未満では、その効果が十分に期待できず、また、V量が0.500%を超えると、疲労損傷の起点となる粗大な析出物が生成するので、V添加量は0.005〜0.500%が望ましい。
Nb:0.002〜0.050:Nbは窒化物や炭窒化物を形成し、延性を向上させ、同時に、硬度(強度)を向上させるのに有効な元素である。また、オーステナイトの未再結晶の温度域を上昇させ、未再結晶オーステナイト組織を安定化させる元素である。しかし、Nb量が0.002%未満では期待できず、また、Nb量が0.050%を超えると、疲労損傷の起点となる粗大な析出物が生成するので、Nb添加量は0.002〜0.050%が望ましい。
B:0.0001〜0.0050%:Bは初析セメンタイト組織の生成を微細化し、頭部の硬度分布を均一化することにより、レールの延性低下を防止し、高寿命化を図る元素である。しかし、B量が0.0001%未満では、その効果は十分でなく、また、B量が0.0050%を超えると、粗大な析出物が生成するので、B添加量は0.0001〜0.0050%が望ましい。
Co:0.003〜2.00%:Coは、パーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素であり、さらに、レール頭部の摩耗面において、車輪との接触により形成されるころがり面直下のパーライト組織の微細なラメラ構造をより一層微細化し、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、Co量が0.003%未満では、その効果が期待できない。また、Co量が2.00%を超えると、ころがり面にスポーリング損傷が発生するので、Co添加量は0.003〜2.00%が望ましい。
Cu:0.01〜1.00%:Cuはパーライト組織の硬度(強度)を向上させる元素である。しかし、Cu量が0.01%未満では、その効果が期待できない。また、Cu量が1.00%を超えると、耐摩耗性に有害なマルテンサイト組織が生成することから、Cu添加量は0.01〜1.00%が望ましい。
Ni:0.01〜1.00%:Niはパーライト鋼の高硬度(強度)化を図る元素である。しかし、Ni量が0.01%未満では、その効果が著しく小さい。また、Ni量が1.00%を超えると、ころがり面にスポーリング損傷が発生する。このため、Ni添加量は0.01〜1.00%が望ましい。
Ti:0.0050〜0.0500%:Tiは窒化物や炭窒化物を形成し、延性を向上させ、同時に、硬度(強度)を向上させるのに有効な成分である。また、オーステナイトの未再結晶の温度域を上昇させ、未再結晶オーステナイト組織を安定化させる元素である。しかし、Ti量が0.0050%未満では、その効果が少ない。また、Ti量が0.0500%を超えると、粗大な析出物が生成して、レールの延性が大きく低下するので、Ti添加量は0.0050〜0.0500%が望ましい。
Mg:0.0005〜0.0200%:Mgはオーステナイト粒やパーライト組織の微細化を図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、Mg量が0.0005%未満では、その効果は弱い。また、Mg量が0.0200%を超えると、Mgの粗大酸化物が生成し、レールの延性低下させるため、Mg添加量は0.0005〜0.0200%が望ましい。
Ca:0.0005〜0.0150%:Caは、パーライト変態の生成に寄与し、その結果、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、Ca量が0.0005%未満では、その効果は弱い。また、Ca量が0.0150%を超えると、Caの粗大酸化物が生成し、レールの延性を低下させるので、Ca添加量は0.0005〜0.0150%が望ましい。
Al:0.010〜1.00%:Alはパーライト組織の高強度化と初析セメンタイト組織の生成抑制に有効な元素である。しかし、Al量が0.010%以下では、その効果が弱い。また、Al量が1.00%を超えると、粗大なアルミナ系介在物が生成し、レールの延性が低下するため、Al添加量は0.010〜1.00%が望ましい。
Zr:0.0001〜0.2000%:Zrは偏析部に生成する初析セメンタイト組織の生成を抑制する元素である。しかし、Zr量が0.0001%以下では、初析セメンタイト組織が生成し、レールの延性を低下させる。また、Zr量が0.2000%を超えると、粗大なZr系介在物が多量に生成し、レールの延性が低下するため、Zr添加量は0.0001〜0.2000%が望ましい。
N:0.0060〜0.0200%:Nはパーライト組織の延性を高めると同時に、硬度(強度)を向上させるのに有効な元素である。しかし、N量が0.0060%未満では、その効果は弱い。また、N量が0.0200%を超えると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる気泡が生成することから、N添加量は0.0060〜0.0200%が望ましい。なお、レール鋼においては、Nは不純物として最大0.0050%程度含まれる。したがって、N量を上記の範囲にするためには、Nを意図的に添加する必要がある。
上記のような成分組成で構成されるレール圧延用鋼片は、本発明では、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この溶鋼を造塊・分塊あるいは連続鋳造される。
(2)圧延温度範囲の限定理由
次に、仕上げ圧延のレール頭部表面の圧延温度の範囲を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。なお、仕上げ圧延が行われる前には、レール圧延用鋼片に対して粗圧延及び中間圧延が行われる。
レール頭部表面温度が900℃を超えて圧延すると、本発明の頭部の累積減面率では、圧延時の反力比が確保できず、その結果、十分な量の未再結晶オーステナイト組織が得られず、圧延および熱処理後のパーライト組織も微細化せず、延性が向上しない。また、Ar3変態点もしくはArcm変態点未満の温度域で圧延すると、未再結晶オーステナイト組織の周囲に、フェライト組織や粗大なセメンタイト組織が生成し、レールの耐摩耗性や延性が大きく低下する。このため、レール頭部表面の圧延温度の範囲を900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の範囲とした。なお、仕上げ圧延温度が850℃未満になると、圧延時の反力比が容易に確保でき、十分な量の未再結晶オーステナイト組織が得られ、圧延および熱処理後のパーライト組織も微細化し、レールの延性がさらに向上するので、仕上げ圧延温度を850℃未満〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上に制御することが望ましい。
なお、Ar3変態点及びArcm変態点は鋼の炭素量や合金成分によりそれぞれ異なる。Ar3変態点及びArcm変態点を正確に求めるには、再加熱冷却実験などにより、直接変態点を測定することが最も好ましい。しかし、実測は必ずしも容易ではないので、炭素量のみを基準に、鉄鋼材料(日本金属学会編)などに掲載されている、Fe−Fe3C系の平衡状態図から読み取ることにより簡便に求めてもよい。図1にFe−Fe3C系の状態図の一例を示す。
本発明の成分系におけるAr3変態点及びArcm変態点は、それぞれ平行状態図のA3線及びAcm線よりも20〜30℃低めの値とすることが好ましい。本発明の炭素量の範囲では、Ar3は700℃から740℃程度、Arcmは700℃から860℃程度である。
(3)頭部の累積減面率の限定理由
次に、仕上げ圧延のレール頭部の累積減面率を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
レール頭部の累積減面率が20%未満になると、未再結晶オーステナイト組織中の歪み量が低下し、本発明の圧延温度範囲では、再結晶後のオーステナイト組織が微細化せず、オーステナイト組織が粗大化する。また、その後の熱処理において、加工された未再結晶オーステナイト組織の変形帯からパーライト組織が生成せず、結果として、パーライト組織が粗大化し、レールの延性が向上しない。このため、レール頭部の累積減面率を20%以上に限定した。
ここで、レール頭部の累積減面率について説明する。累積減面率は仕上げ圧延における最初の圧延パス前の頭部断面の面積に対する最終の圧延パス後の頭部断面の面積の減少率である。したがって、仕上げ圧延途中に如何なる圧延パスが存在しようとも、最初の圧延パスと最終の圧延パスの頭部断面形状が同一の場合、累積減面率は同一となる。
なお、仕上げ圧延のレール頭部の累積減面率の上限値については特に限定をしていないが、レール頭部の成形性を確保し、寸法制度を確保するには50%程度が実質的に上限となる。
また、本発明では、仕上げ圧延時の圧延パス数や圧延パス間時間については特に限定していないが、圧延途中における未再結晶オーステナイト粒内の歪みの回復を抑制し、自然放冷および熱処理後に微細なパーライト組織を得るには、圧延パス数は4以下、圧延の最大パス間時間は6sec以下が望ましい。
(4)仕上げ圧延時の反力比の限定理由
次に、仕上げ圧延時の反力比を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
仕上げ圧延時の反力比が1.25未満になると、十分な量の未再結晶オーステナイト組織が得られず、熱処理後のパーライト組織も微細化せず、延性が向上しないため、仕上げ圧延時の反力比を1.25以上とした。図2は炭素量0.65〜1.20%の鋼を用いて圧延実験を行った結果を整理したものである。圧延機の反力値を同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値、すなわち、反力比と圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の残留比率の関係には直線的な相関があり、反力比が1.25を超えると圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の残留比率が30%を超える。この結果、熱処理後のパーライト組織が微細化し、延性が向上するからである。
このため、この反力比を新たな指標とすることにより、未再結晶オーステナイト組織の残留比率を制御し、熱処理後のパーライト組織が微細化できる。特に反力比を1.40以上とすると、未再結晶オーステナイト組織の残留比率で50%以上とすることができる。このような効果は、高炭素化により粒成長が起こりやすく、延性確保が困難である炭素量0.95%以上の高炭素鋼では特に顕著に表れる。
なお、本発明においては、この反力比の制御は、実際の圧延機に設置されている荷重検出機(ロードセル)などを用いて制御することが望ましい。レール圧延では反力はレール長さ方向で変化するため、実際の製造工程では平均値を代表値として制御することが望ましい。
また、反力比については上限を定めていないが、本発明の圧延温度、頭部の累積減面率の範囲では1.60程度が実質的な上限となる。
未再結晶オーステナイト組織の残留比率については特に限定をしていないが、反力比を制御し、レール頭部の延性を向上させるには、頭部の未再結晶オーステナイト組織の残留比率を30%以上確保することが望ましい。さらに、未再結晶オーステナイト組織の残留比率を50%以上確保できれば、延性が十分に確保できるので、延性確保が困難である0.95%以上の高炭素鋼では未再結晶オーステナイト組織の残留比率を50%以上確保するのが好ましい。また、未再結晶オーステナイト組織の残留比率については特に上限を限定していないが、本発明の温度や減面率の範囲では70%程度が実質的に上限となる。
また、圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の生成量は、レール圧延直後に長尺レールから短尺レールを切断し、焼入れを行うことにより確認が可能である。例えば焼入れを行ったレール頭部からサンプルを切り出し、研摩後、スルホン酸とピクリン酸の混合溶液でエッチングし、オーステナイト組織を確認することができる。なお、未再結晶オーステナイト組織は、再結晶オーステナイト組織と比較して、圧延方向に扁平で、かつ、粗大であることから、光学顕微鏡で分類が可能である。未再結晶オーステナイト組織の残留比率の算定は、再結晶オーステナイト組織を楕円に近似し、面積を求め、視野面積との割合から比率を算定することができる。測定方法の詳細については特に限定しないが、視野倍率は100倍、視野数は5以上が望ましい。
なお、圧延終了直後の頭部における未再結晶オーステナイト組織の残留比率は、例えば図3に示す頭頂部1の頭部表面から深さ6mmの位置を測定すれば、レール頭部の表面全体を代表させることができる。
(5)仕上げ圧延後の熱処理条件の限定理由
まず、仕上げ圧延後のレール頭部表面の熱処理条件の限定理由について詳細に説明する。
加速冷却開始するまでの冷却方法については限定していないが自然放冷や緩冷却が望ましい。圧延後に自然放冷や緩冷却を行うと、圧延直後の未再結晶オーステナイト組織が再結晶し、オーステナイト粒の微細化が促進するからである。なお、圧延後自然放冷とは、圧延後、一切の加熱および冷却処理を行わず、大気中で自然に冷却することである。また、緩冷却とは冷却速度が2℃/sec以下の範囲である場合を意味する。
次に、この未再結晶オーステナイト組織から得られる微細なオーステナイト粒を利用して、延性を安定的に向上させるために行う熱処理条件について、上記のように限定した理由を説明する。圧延終了後150secを越えて加速冷却を開始すると、粒成長が顕著となり、未再結晶オーステナイト組織からの再結晶したオーステナイト組織が粗大化し、微細なオーステナイト組織が十分に得られず、その結果、延性が低下する。このため、加速冷却開始時期を圧延後150sec以内に限定した。
なお、仕上げ圧延が終了してから加速冷却開始までの時間の下限値については特に限定をしていないが、未再結晶オーステナイト組織の内部から微細なパーライト組織を十分に生成させるには、圧延での歪みが回復しないように、圧延直後に加速冷却を行うことが望ましい。したがって、圧延終了後0〜10sec程度が実質的には下限となる。
次に、レール頭部表面の加速冷却速度の範囲について説明する。レール頭部の加速冷却速度が2℃/sec未満では、本製造条件では、再結晶したオーステナイト組織が冷却中に粗大化し、延性が向上しない。また、レール頭部の高硬度が図れず、レール頭部の耐摩耗性の確保が困難となる。さらに、鋼の成分によっては、初析セメンタイト組織や初析フェライト組織が生成し、レールの頭部の耐摩耗性や延性が低下する。また、加速冷却速度が30℃/secを超えると、本製造条件では、マルテンサイト組織が生成し、レール頭部の延性や靭性が大きく低下する。このため、レール頭部の加速冷却速度の範囲を2〜30℃/secの範囲に限定した。
最後に、レール頭部表面の加速冷却温度の範囲について説明する。550℃を超えた温度でレール頭部の加速冷却を停止すると、加速冷却終了後に、レール内部から過大な復熱が発生する。この結果、温度上昇によりパーライト変態温度が上昇し、パーライト組織の高硬度が図れず、耐摩耗性を確保できない。また、パーライト組織が粗大化し、レール頭部の延性も低下する。このため、少なくとも550℃まで加速冷却を行うことを限定した。
なお、レール頭部表面の加速冷却を開始する温度は特に限定してないが、耐摩耗性に有害なフェライト組織や靭性に有害な粗大なセメンタイト組織の生成を抑制するため、実質的にAr3変態点もしくはArcm変態点が下限となる。
また、レール頭部の加速冷却を終了する温度の下限は特に限定してないが、レール頭部の硬度を確保し、かつ、頭部内部の偏析部等に生成しやすいマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に400℃が下限となる。
ここで、レールの部位について説明する。図3はレール部位の呼称を示したものである。本発明においてレール頭部とは、図3に示すように、頭側部3の下面を延長した場合に互いに交わる点Aを通る水平線より上部に位置する部分であり、頭頂部1、頭部コーナー部2および頭側部3を含む部分である。熱間圧延時の減面率は、斜線で示す部分の断面積の減少率から算定することができる。また、圧延時のレール頭部表面の温度は、頭頂部1および頭部コーナー部2の頭部表面の温度を制御することにより、圧延時の反力比の制御、未再結晶オーステナイト粒の制御が図れ、レールの延性を向上させることができる。
さらに、上記に説明した圧延後の熱処理における加速冷却速度、加速冷却停止温度は、図3に示す頭頂部1および頭部コーナー部2の表面、若しくは、頭部表面から深さ3mmの範囲で測温すれば、レール頭部の全体を代表させることができ、この部分の温度や冷却速度を制御することにより、耐摩耗性や延性に優れた微細なパーライト組織を得ることができる。
本製造方法では、加速冷却における冷媒については特に限定していないが、所定の冷却速度を確保し、レール各部位において、冷却条件の制御を確実に行うため、エアー、ミスト、エアーとミストの混合冷媒を用いて、レール各部位の外表面に所定の冷却を行うことが望ましい。
なお、本製造方法ではレール頭部の硬さについては特に限定していないが、重荷重鉄道において耐摩耗性を確保するには、Hv350以上の硬さを確保することが望ましい。 また、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の金属組織はパーライト組織であることが望ましいが、成分系、さらには、加速冷却条件の選択によっては、パーライト組織中に微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織が生成することがある。しかし、パーライト組織中にこれらの組織が微量に生成してもレールの疲労強度や靭性に大きな影響をおよぼさないため、本製造方法によって製造された鋼レールの頭部の組織としては、若干の初析フェライト組織、初析セメンタイト組織およびベイナイト組織の混在も含んでいる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。表2は、表1に示す供試レール鋼(鋼:A〜J、O、P)を用いて、本発明レール製造方法で製造したレールの、仕上げ圧延条件、反力比、圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の頭部残留比率、熱処理条件、さらには、レール頭表面下2mm位置のミクロ組織、硬さ、図4に示す位置から試験片を採取して行った引張試験の全伸び値、図5に示す位置から試験片を採取し、図6に示す方法で行った摩耗試験の結果も併記した。なお図4,5における数値の単位はmmである。
Figure 0005472418
Figure 0005472418
表3は、表1に示す供試レール鋼(鋼:A〜P)を用いて、比較レール製造方法で製造したレールの、仕上げ圧延条件、反力比、圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の頭部残留比率、熱処理条件、さらには、レール頭表面下2mm位置のミクロ組織、硬さ、図4に示す位置から試験片を採取して行った引張試験の全伸び値、図5に示す位置から試験片を採取し、図6に示す方法で行った摩耗試験の結果も併記した。なお、図6において4はレール試験片、5は相手材、6は冷却用ノズルである。
Figure 0005472418
(1)本発明レール製造方法(19本) 符号2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39、及び参考例の製造方法(5本) 符号1、3、4、7、12
上記限定成分範囲内で、かつ、上記限定範囲内の仕上げ圧延、熱処理条件で製造したパーライト系レール。
(2)比較熱処理レール(15本) 符号20〜34
鋼:20〜23:上記限定成分範囲外で、上記限定範囲内の熱間圧延直後の熱処理条件で製造したレール。
鋼:24〜29:上記限定成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の仕上げ圧延条件で製造したレール。
鋼:30〜34:上記限定成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の熱処理条件で製造したレール。
図7は表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの頭部引張試験の結果を炭素量と全伸び値の関係を示したものである。図8は表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの頭部摩耗試験の結果を炭素量と摩耗量の関係を示したものである。
なお、各種試験条件は下記のとおりである。
1.頭部引張試験
試験機:万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:30mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:25mm
試験片採取位置:レール頭部表面下6mm(図5参照)
引張速度:10mm/min、試験温度:常温(20℃)
2.摩耗試験
試験機:西原式摩耗試験機(図7参照)
試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm)
試験片採取位置:レール頭部表面下2mm(図6参照)
試験荷重:686N(接触面圧640MPa)
すべり率:20%
相手材:パーライト鋼(Hv380)
雰囲気:大気中
冷却:圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min)
繰返し回数:70万回
表2に示すように、本発明レール鋼(鋼:5、13)は、参考例レール鋼(鋼:4、12)と比べて、通常の自然放冷に加えて、その後に一定の時間内で加速冷却を行うことにより、再結晶したオーステナイト粒の粗大化が抑制されているため、延性が大きく向上している。
さらに、表2に示すように、本発明レール鋼(鋼:36、38、39)は、仕上げ圧延時の反力比を1.40以上としたため、未再結晶オーステナイト組織の残留比率を50%以上確保でき、その結果、他の本発明レール鋼(鋼:35、18、19)と比べても、延性が大きく向上している。
また、表2、表3に示すように、本発明レール鋼(鋼:2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39)及び参考例レール鋼(鋼:1、3、4、7、12)は、比較レール鋼(鋼:20〜23)と比べて、C、Si、Mnの添加量がある一定範囲内に納まっているため、レールの耐摩耗性や延性に悪影響を与える初析フェライト、初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織などが生成せず、耐摩耗性や延性に優れたパーライト組織が生成している。
また、表2、表3、図7に示すように、本発明レール鋼(鋼:2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39)及び参考例レール鋼(鋼:1、3、4、7、12)は、比較レール鋼(鋼:25〜29)と比べて、仕上げ圧延条件をある一定範囲内に納めているため、微細なパーライト組織が安定的に生成しており、鋼の炭素量を同一とした場合、レール頭部の延性が向上している。また、本発明レール鋼(鋼:2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39)及び参考例レール鋼(鋼:1、3、4、7、12)は、比較レール鋼(鋼:30〜34)と比べて、熱処理条件がある一定範囲内に納まっているため、微細なパーライト組織を安定的に生成しており、鋼の炭素量を同一とした場合、レール頭部の延性がさらに向上している。
さらに、表2、表3、図8に示したように、本発明レール鋼(鋼:2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39)及び参考例レール鋼(鋼:1、3、4、7、12)は、比較レール鋼(鋼:24、25)と比べて、仕上げ圧延条件をある一定範囲内に納めているため、微細なパーライト組織が安定的に生成しており、耐摩耗性が確保されている。また、本発明レール鋼(鋼:2、5、6、8〜11、13〜19、35〜39)及び参考例レール鋼(鋼:1、3、4、7、12)は、比較レール鋼(鋼:32、33)と比べて、熱処理条件をある一定範囲内に納めているため、耐摩耗性に有害な初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織の生成が抑制され、耐摩耗性が確保されている。
このように本発明によれば、レール製造において、鋼の成分、仕上げ圧延条件、さらには、その後の熱処理条件を制御することにより、重荷重鉄道に使用されるレールの頭部の組織を制御し、硬度を所定の範囲に収め、レールの耐摩耗性と延性を向上させることが可能となる。
Ar3、Arcmを求めるためのFe−Fe3C系平衡状態図の一例を示した図(「鉄鋼材料」、日本金属学会編)。 炭素量0.65〜1.20%の鋼を用いて圧延実験を行った結果を反力比(圧延機の反力値を同一累積減面率の圧延温度950℃の反力値で除した値)と圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の残留比率の関係で示した図。 本発明のレール製造方法で製造したレールの頭部断面表面位置での呼称を示した図。 表2と表3に示す引張試験における試験片採取位置を示した図。 表2と表3に示す摩耗試験における試験片採取位置を示した図。 摩耗試験の概要を示した図。 表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの頭部引張試験の結果を炭素量と全伸び値の関係で示した図。 表2に示す本発明のレール製造方法で製造したレールと表3に示す比較レール製造方法で製造したレールの頭部摩耗試験の結果を炭素量と摩耗量の関係で示した図。
1:頭頂部
2:頭部コーナー部
3:頭側部
4:レール試験片
5:相手材
6:冷却用ノズル

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有していて残部がFeおよび不可避的不純物からなるレール圧延用鋼片に対して、少なくとも粗圧延及び仕上げ圧延を行うことにより耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールを製造する方法であって、
    前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、圧延機の反力値の平均値を、予め求めた同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、圧延直後に生成する未再結晶オーステナイト組織の生成量を残留比率で40%以上70%以下とし、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、前記仕上げ圧延終了後150sec以内に冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
  2. 前記レール圧延用鋼片は、更に、Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.500%、Nb:0.002〜0.050、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.003〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150、Al:0.010〜1.00%、Zr:0.0001〜0.2000%、N:0.0060〜0.0200%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
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