JP5472418B2 - 耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法 - Google Patents
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例えば、非特許文献1に示されている炭素量0.6〜0.7mass%の普通炭素鋼レールでは、JIS3号Uノッチシャルピー衝撃試験での常温の衝撃値は12〜18J/cm2程度であり、このようなレールを寒冷地等の低温度域で使用した場合、微小な初期欠陥や疲労き裂から脆性破壊を引き起こすといった問題があった。
また、近年、レール鋼は耐摩耗性改善のため、より一層の高炭素化を進めており、これにともない、延性や靭性がさらに低下するといった問題があった。
また、特許文献2の公開技術では、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、所定のパス間時間で連続2パス以上の圧延を行い、さらに、連続圧延を行った後、圧延後に加速冷却を行うことにより高耐摩耗・高靭性レールを提供することができる。
さらに、特許文献3の公開技術では、高炭素鋼含有の鋼レールの仕上げ圧延において、パス間で冷却を施し、さらに、連続圧延を行った後、圧延後に加速冷却を行うことにより高耐摩耗・高靭性レールを提供することができる。
また、特許文献4には、0.90重量%以下の炭素を含有するレール鋼を、800℃以下で低温圧延することによって、延性・靱性に優れたレールを製造する方法が開示されているが、減面率10%以上の限定がなされているだけであるため、圧下が不十分となる場合があった。特に、延性や靭性が低下し易く、圧延中に粒成長が起こり易い高炭素(C>0.90%)のレール鋼において、必要とされる靱性・延性を安定して確保することは困難であった。
前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、圧延機の反力値の平均値を、予め求めた同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、圧延直後に生成する未再結晶オーステナイト組織の生成量を残留比率で40%以上70%以下とし、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、前記仕上げ圧延終了後150sec以内に冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
(B)前記レール圧延用鋼片は、更に、Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.500%、Nb:0.002〜0.050、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.003〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150、Al:0.010〜1.00%、Zr:0.0001〜0.2000%、N:0.0060〜0.0200%の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(A)に記載の耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保する上で有効な元素である。C量が0.65%未満では、レールに要求される最低限の強度や耐摩耗性が維持できない。また、C量が1.20%を超えると、本製造方法では、熱処理後および自然放冷後に粗大な初析セメンタイト組織が多量に生成し、耐摩耗性や延性が低下する。このため、C量を0.65〜1.20%に限定した。なお、炭素量を0.95%以上にすると、耐摩耗性がより一層向上し、レールの使用寿命の改善効果が高い。また、高炭素化により粒成長が起こりやすく、延性確保が困難であるため、本発明を有効に活用することができる。したがって、本発明は炭素含有量が0.95%以上のレール鋼で不足しがちな延性を向上させ、耐摩耗性と延性を両立させた高炭素レールの提供に特に有効な製造方法である。
次に、仕上げ圧延のレール頭部表面の圧延温度の範囲を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。なお、仕上げ圧延が行われる前には、レール圧延用鋼片に対して粗圧延及び中間圧延が行われる。
本発明の成分系におけるAr3変態点及びArcm変態点は、それぞれ平行状態図のA3線及びAcm線よりも20〜30℃低めの値とすることが好ましい。本発明の炭素量の範囲では、Ar3は700℃から740℃程度、Arcmは700℃から860℃程度である。
次に、仕上げ圧延のレール頭部の累積減面率を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
また、本発明では、仕上げ圧延時の圧延パス数や圧延パス間時間については特に限定していないが、圧延途中における未再結晶オーステナイト粒内の歪みの回復を抑制し、自然放冷および熱処理後に微細なパーライト組織を得るには、圧延パス数は4以下、圧延の最大パス間時間は6sec以下が望ましい。
次に、仕上げ圧延時の反力比を上記請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
仕上げ圧延時の反力比が1.25未満になると、十分な量の未再結晶オーステナイト組織が得られず、熱処理後のパーライト組織も微細化せず、延性が向上しないため、仕上げ圧延時の反力比を1.25以上とした。図2は炭素量0.65〜1.20%の鋼を用いて圧延実験を行った結果を整理したものである。圧延機の反力値を同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値、すなわち、反力比と圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の残留比率の関係には直線的な相関があり、反力比が1.25を超えると圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の残留比率が30%を超える。この結果、熱処理後のパーライト組織が微細化し、延性が向上するからである。
また、反力比については上限を定めていないが、本発明の圧延温度、頭部の累積減面率の範囲では1.60程度が実質的な上限となる。
なお、圧延終了直後の頭部における未再結晶オーステナイト組織の残留比率は、例えば図3に示す頭頂部1の頭部表面から深さ6mmの位置を測定すれば、レール頭部の表面全体を代表させることができる。
まず、仕上げ圧延後のレール頭部表面の熱処理条件の限定理由について詳細に説明する。
また、レール頭部の加速冷却を終了する温度の下限は特に限定してないが、レール頭部の硬度を確保し、かつ、頭部内部の偏析部等に生成しやすいマルテンサイト組織の生成を防止するには、実質的に400℃が下限となる。
表1に供試レール鋼の化学成分を示す。表2は、表1に示す供試レール鋼(鋼:A〜J、O、P)を用いて、本発明レール製造方法で製造したレールの、仕上げ圧延条件、反力比、圧延直後の未再結晶オーステナイト組織の頭部残留比率、熱処理条件、さらには、レール頭表面下2mm位置のミクロ組織、硬さ、図4に示す位置から試験片を採取して行った引張試験の全伸び値、図5に示す位置から試験片を採取し、図6に示す方法で行った摩耗試験の結果も併記した。なお図4,5における数値の単位はmmである。
上記限定成分範囲内で、かつ、上記限定範囲内の仕上げ圧延、熱処理条件で製造したパーライト系レール。
(2)比較熱処理レール(15本) 符号20〜34
鋼:20〜23:上記限定成分範囲外で、上記限定範囲内の熱間圧延直後の熱処理条件で製造したレール。
鋼:24〜29:上記限定成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の仕上げ圧延条件で製造したレール。
鋼:30〜34:上記限定成分範囲内のレール鋼を、上記限定範囲外の熱処理条件で製造したレール。
1.頭部引張試験
試験機:万能小型引張試験機
試験片形状:JIS4号相似
平行部長さ:30mm、平行部直径:6mm、伸び測定評点間距離:25mm
試験片採取位置:レール頭部表面下6mm(図5参照)
引張速度:10mm/min、試験温度:常温(20℃)
2.摩耗試験
試験機:西原式摩耗試験機(図7参照)
試験片形状:円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm)
試験片採取位置:レール頭部表面下2mm(図6参照)
試験荷重:686N(接触面圧640MPa)
すべり率:20%
相手材:パーライト鋼(Hv380)
雰囲気:大気中
冷却:圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min)
繰返し回数:70万回
さらに、表2に示すように、本発明レール鋼(鋼:36、38、39)は、仕上げ圧延時の反力比を1.40以上としたため、未再結晶オーステナイト組織の残留比率を50%以上確保でき、その結果、他の本発明レール鋼(鋼:35、18、19)と比べても、延性が大きく向上している。
2:頭部コーナー部
3:頭側部
4:レール試験片
5:相手材
6:冷却用ノズル
Claims (2)
- 質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有していて残部がFeおよび不可避的不純物からなるレール圧延用鋼片に対して、少なくとも粗圧延及び仕上げ圧延を行うことにより耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールを製造する方法であって、
前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、圧延機の反力値の平均値を、予め求めた同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、圧延直後に生成する未再結晶オーステナイト組織の生成量を残留比率で40%以上70%以下とし、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、前記仕上げ圧延終了後150sec以内に冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。 - 前記レール圧延用鋼片は、更に、Cr:0.05〜2.00%、Mo:0.01〜0.50%、V:0.005〜0.500%、Nb:0.002〜0.050、B:0.0001〜0.0050%、Co:0.003〜2.00%、Cu:0.01〜1.00%、Ni:0.01〜1.00%、Ti:0.0050〜0.0500%、Mg:0.0005〜0.0200%、Ca:0.0005〜0.0150、Al:0.010〜1.00%、Zr:0.0001〜0.2000%、N:0.0060〜0.0200%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法。
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