JP4213627B2 - 貼付材の皮膚刺激を評価する方法 - Google Patents
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Description
貼付材における物理的刺激は、貼付中に生じる刺激と貼付後の剥離に伴う刺激に大別される。剥離に伴う刺激は、剥離による比較的強い力が皮膚に及ぼす作用と角質細胞の剥離によるバリア機能への影響を反映するものであるのに対し、貼付中に生じる刺激は、主に貼付中の皮膚の動きとそれを制約する貼付材との間に生じる物理的ストレスを反映するものと考えられ、さらには水分蒸散の抑制による角質層の浸軟化がこれを増強する因子として関与すると考えられている。またこの浸軟化は、細胞増殖を促し、生物学的刺激を生じる一因ともなり得る。
Draize J.H.著,「The Journal of pharmacology and experimental therapeutics」,1944年,第82巻,p.337
(1)貼付材が付着している部分の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、採取した皮膚の表皮の厚みを測定する工程とを含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。
(2)貼付材が付着している部分の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、
貼付材が皮膚に付着したままの該採取後の皮膚標本を固定する工程と、
該固定後の皮膚標本から貼付材を剥離する工程と、
固定後貼付材を剥離した皮膚標本の表皮の厚みを測定する工程と
を含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。
(3)貼付材が付着している部分の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、
該採取後の皮膚標本から貼付材を剥離する工程と、
該貼付材を剥離してなる皮膚標本を固定する工程と、
固定後、皮膚標本の表皮の厚みを測定する工程と
を含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。
採取後の貼付材の付着した皮膚標本を固定後、貼付材を剥離し、貼付材が付着していた部分の皮膚を切り出して皮膚組織の標本を作製する。該標本を固定して、定法によってパラフィン包埋し、標本断面が表皮面に対して直角になるように薄切して組織切片を作製し、切片を脱パラフィンし、蒸留水などで洗浄する。その後、染色を行い、必要に応じ透徹、封入する。こうして得られた標本の表皮の厚さを、光学顕微鏡などを用いて測定する。なお、測定を簡便にするため、光学顕微鏡で得られる画像を市販の画像解析ソフトを用いて解析してもよい。ここで、固定とは組織標本作製のために、人為的操作を加え、もとの形態や構造内容物を出来るだけ保持し変化させないようにする処理であり、当分野では慣用的に行われている処理である。使用する固定方法は併用する染色方法によって適宜選択すればよい。固定方法としては、例えば、中性ホルマリン液、グルタルアルデヒド液、ブアン氏液、酢酸アルコール、メタノールによる方法が用いられる。
なお以下において部および%はそれぞれ、重量部および重量%を示す。
(粘着剤A溶液の作製)
アクリル酸イソオクチルエステル95部、アクリル酸5部を混合溶媒としての酢酸エチル中で共重合させ、固形分濃度が35%の粘着剤A溶液を得た。
(粘着剤B溶液の作製)
アクリル酸イソノニルエステル65部、アクリル酸メトキシエチル30部、アクリル酸5部を混合溶媒としてのトルエン中で共重合させ、固形分濃度が40%の粘着剤B溶液を得た。
片面をシリコーン樹脂で剥離処理したセパレーター上に、上記で作製した粘着剤A溶液または粘着剤B溶液を乾燥後の厚みが約35μm(±5μm)となるように塗布、乾燥して粘着剤層を作製した。次に得られた粘着剤層を表1に記載の実施例1〜12の貼付材用基材フィルムに転写積層して、各貼付材を作製した。
(評価標本の作製)
試験開始前にウサギの背部から側腹部にかけて電気バリカンおよびシェーバーで毛刈・剃毛し、首かせを装着した。皮膚が露出した部分に、2.0cm×5.0cmにカットした貼付材を長辺が背骨と平行になるように貼付した。貼付48時間後に引っ張り試験機(Model−2252 アイコーエンジニアリング(株))とプッシュプルゲージ(Model−7502B アイコーエンジニアリング(株))を用いて、頭部より貼付材のおおよそ半分を剥離したあと、残りの貼付材が付着したままの部分の皮膚を貼付材が貼り付いたままで採取し、10倍中性緩衝ホルマリン溶液で固定した。固定後に標本から貼付材を剥離し、定法に従ってパラフィン包埋し、標本断面が表皮面に対して直角になるように薄切して組織切片を作製し、切片を脱パラフィンし、蒸留水で水洗した。切片を0.5%過マンガン酸カリウム水溶液に30分間浸漬し、1%シュウ酸水溶液に30分間浸漬して蒸留水で水洗した。次に切片をリンタングステン酸へマトキシリン(PTAH)染色液(へマトキシリン0.1g、蒸留水80.0mL、10%リンタングステン酸20.0mL、過酸化水素水0.2mL)に24時間浸漬して、その後アルコールに数回浸漬した。最後に切片をキシレンで透徹して封入し、表皮厚み測定のための評価標本とした。PTAH染色によれば、表皮下層の基底層は青色に、真皮層上部や結合組織は赤褐色に染色される。
CCDカラーカメラモジュール(XC−003 ソニー(株))を取り付けた光学顕微鏡(BH−2型 オリンパス(株))に上記で得られた評価標本をセットし、対物レンズ10倍の低倍率にて標本組織全体を観察して、表皮の肥厚状態を把握した。その後、標本全体を適当数に分割し、各分割エリア内で平均的と思われる部位を決定した。その後、対物レンズ40倍の高倍率にて皮膚断面の画像を取り込んだ。画像解析ソフト(Mac ASPECT 三谷商事(株))を用い、該ソフトに添付の使用説明書に記載の使用法に従い、始点と終点(表皮層の最上部〜最下部;PTAH染色により青色に染まった部分と赤褐色に染まった部分との境界を最下部とした)を設定して目的の厚みを測定した。取り込んだ画像毎に数ポイント測定し、その平均をその部位の厚みとした。同様に各分割エリアの平均値を計算し、さらに切片全体の平均値を求めて表皮の厚みとした。この測定評価の際、貼付材を貼付しなかった未貼付部の表皮の厚みを対照とし、貼付材貼付部位との有意差を判定した。検定にはDunnet法を用いた。
表皮厚みが11μm以内の範囲(未貼付部との有意差なし)の貼付材を低刺激性であると判定し、18〜24μmの範囲の貼付材を高刺激性であると判定した。
各実施例における表皮の厚みと皮膚刺激性の結果を表2に示した。なお、貼付材未貼付部の表皮の厚みは8.5μmであった。
Claims (3)
- 貼付材が付着している部分の非ヒト動物の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、採取した皮膚の表皮の厚みを測定する工程とを含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。
- 貼付材が付着している部分の非ヒト動物の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、
貼付材が皮膚に付着したままの該採取後の皮膚標本を固定する工程と、
該固定後の皮膚標本から貼付材を剥離する工程と、
固定後貼付材を剥離した皮膚標本の表皮の厚みを測定する工程と
を含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。 - 貼付材が付着している部分の非ヒト動物の皮膚を貼付材が付着したままで採取する工程と、
該採取後の皮膚標本から貼付材を剥離する工程と、
該貼付材を剥離してなる皮膚標本を固定する工程と、
固定後、皮膚標本の表皮の厚みを測定する工程と
を含む、貼付材の貼付中に生じる皮膚への刺激性を評価する方法。
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