JP4213288B2 - インクタンク及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置に用いるインクタンク及びその製造装置に関し、特にインクの漏れ出しやインク気泡発生を防止する為に内部を減圧状態に保持する構成を備えたインクタンク及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、記録ヘッドに設けたノズルからインク液滴を印字信号に応じて選択的に吐出させて記録紙上にドット状に付着させることによって記録を行う記録装置であり、記録時の振動、騒音がほとんどないという静音性と、カラー化が容易である等々の利点を有するために、コンピュータ等のデジタル処理装置からのデータを出力する手段としてのプリンタのみならず、ファクシミリやコピー機等の画像形成装置にも用いられるようになっている。この種のインクジェット記録装置においては、インク滴を吐出する記録ヘッドに対してインクを供給する手段としてインクタンク(インクカートリッジとも称する)が用いられ、インクタンクの内部にはインクを吸収した弾性多孔質材から成るインク吸収体が収容されている。
このようなインクジェット記録装置において用いられるインクは主として水性インクである。水性インクは原材料を溶解する工程と濾過する工程によって製造されるが、これらの工程を経て製造されたインク中には窒素、酸素、炭酸ガス等の各種気体が溶存している。従って、製造されたインクをそのまま充填したインクタンクを記録装置に装着して記録ヘッドにインクを供給することにより印字を行うと、インク内に溶存している各種気体がインク流路や記録ヘッド内で気泡となって詰まり等を惹起し、ドット抜けなどの印字不良を引き起こす。
このようなところから、インクタンク内のインク吸収体にインクを充填する前に、インクを圧力容器中で減圧しながら攪拌することにより上記各種気体をインク中から脱気したり、或は気体分離膜を用いた脱気装置によって脱気する処理を施すことにより、インク中の溶存気体を減らす方法が従来から採用されている。
【0003】
また、従来はインクタンク内に上記弾性多孔質体を収容することにより、弾性多孔質体の毛管力によってインクを吸収保持するように構成しており、このような構造のインクタンクにあっては、構造上容器内上部に空間が形成され、この空間はインクタンク上部に形成した大気連通孔(減圧孔を兼ねる)によって容器外部と通じている。
また、従来のインクタンクの製造手順としては、インクタンク内を減圧しながら大気連通孔からインク液を充填した後で、内部雰囲気を大気圧に戻してから大気連通孔を封止する作業を行っていた。したがって、溶存気体を除去する為の脱気処理を受けたインクを充填したインクタンクは一時的に大気圧にさらされてしまうので、インクタンク内上部の空間中の気体がインクに溶け込み、溶け込んだ気体が気泡を発生させる原因となる。このため、印字時にインクタンク内の多孔質体内部で気泡が発生し、この気泡が記録ヘッド側に流入した場合には印字不良を招くことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく一旦脱気処理を施したインクをインクタンク内に充填した後で大気中に放置すると、インク中に徐々に空気が溶け込んでしまい、各種気体が溶存した状態に戻る。
このような問題を解決する手段として、特開平9−220815号公報の「インクカートリッジのインク注入方法及びその装置」には、真空チャンバ内にインクタンクをセットしてから真空チャンバ内を真空状態に減圧し、この状態でインクタンク内へのインク充填作業とインクタンク密閉作業を1つの工程で行うようにした技術が開示されている。また、特開平7−266575号公報の「インクジェット記録装置及びインクタンクとその製造方法」には、インクタンクを外部と連通させる連通孔を通じてインクタンクを減圧した後でインクタンク内にインクを充填し、減圧後に連通孔を気密封止する技術が開示されている。また、特開平10−166614号公報の「インクタンク及びインクタンク包装体」には、インクタンク内にインクを充填した後に充填口を溶着で塞ぎ減圧密閉を行う技術が開示されている。
【0005】
上記特開平9−220815号公報ならびに特開平10−166614号公報に記載された技術は一つの工程、もしくは一つの装置によってインク充填作業からインクタンク内減圧、密閉作業までを行う発明であるが、1つの工程でインクタンク内を真空状態に減圧し、インク充填−インクタンク密閉を行うようにすれば、上記不具合を回避することは可能であるが、製造装置の動作が複雑となり、その結果として製造装置の値段が高くなる。
また、特開平7−266575号公報によれば、インク充填工程とインクタンク減圧工程とを分離して製造することが可能であるが、封止部材を仮止めしてから減圧して封止を行う詳細が記載されていないため、このままでは減圧密閉を行う工程を構築できない。また、仮に工程構築を行うことができたとしてもインク内気体の膨張による泡の吹き出しという問題が発生する。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、装置構成及び動作を複雑化することによるコストアップを招くことなく、インクタンク内のインク吸収体内部での気泡の発生による印字不良の発生を防止することができるインクタンク、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為、請求項1の発明は、上面が開口した箱形に形成されて供給口シール部材により封止されるインク供給口を底面に有すると共にインクを吸収した多孔質体を内部に収容するインクタンク本体と、該インクタンク本体の上面開口を閉止すると共に上面に減圧用連通孔及び大気連通孔を有した蓋部材と、から成り、前記減圧用連通孔を開閉する封止部材を前記減圧用連通孔内に可動状態で配置すると共に、前記大気連通孔を連通孔シール部材により封止することによって内部を減圧状態に保持する構造のインクタンクであって、前記封止部材は、前記減圧用連通孔から前記インクタンク内に負圧が導入されて前記インクタンク内が減圧される際に、前記インクタンク内から上方向の力を受け、この力が前記封止部材の質量よりも大きい場合には、前記封止部材は持ち上げられて前記減圧用連通孔を開放する一方、減圧終了後は前記減圧用連通孔内に着座されて前記減圧用連通孔を封止するように構成されており、前記封止部材には、前記インクタンク内部に向かって延びるとともに下端部に折り曲げ部を有する鍵状の係止部材が突設され、該係止部材は前記減圧用連通孔内を挿通して配置され、前記インクタンク内が減圧されて持ち上げられる際に該係止部材の折り曲げ部が前記減圧用連通孔の下側の縁に引っ掛かって抜落ち不能に係止されることによって、前記減圧用連通孔内から前記封止部材が散逸することを防止したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクタンクが、前記インクタンク本体、或は前記蓋部材の少なくとも一方の内壁に消泡用の突起物を設けることにより、前記インクタンク内の減圧時に発生した泡が該突起物と触れて割れることにより解消されるように構成したことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載されたインクタンクの製造装置であって、該インクタンクの製造装置は、真空発生装置が連通接続された真空チャンバー内に、先端部が下方に向いて形成された押し込み部材と、該押し込み部材を上下駆動する駆動源とが配置され、前記インクタンクは、前記インク供給口から前記インクタンクの内部にインクが充填されて前記供給口シール部材により前記インク供給口が封止され、前記大気連通孔が前記連通孔シール部材により封止された後、前記真空チャンバーの開閉可能な開口から内部に配置されて、前記減圧用連通孔が前記封止部材により仮封止された状態で、当該封止部材の上方に前記押し込み部材の先端部が位置し、前記真空発生装置を用いて前記真空チャンバー内を減圧して前記減圧用連通孔から前記インクタンク内に負圧を導入した際に、前記封止部材は、(前記真空チャンバー内圧力と前記インクタンク内圧力との差圧)*(前記減圧用連通孔の開口面積)>(前記封止部材の質量)、という条件を満たすように構成され、これにより前記封止部材が持ち上げられて前記減圧用連通孔を開放して前記インクタンク内と前記真空チャンバー内とを同じ圧力にし、その後、前記真空チャンバー内の圧力が所定圧力になったときに前記駆動源が作動することにより前記押し込み部材が下降して、前記押し込み部材の先端部が前記封止部材を前記減圧用連通孔内へ押し込んで当該減圧用連通孔を封止して前記インクタンク内の減圧密閉を行うように構成され、前記押し込み部材の非押し込み時における先端部の待機位置を、前記減圧用連通孔の上方で、しかも、(前記減圧用連通孔の上端から前記先端部までの高さ)<(前記封止部材の長さ)の関係が成り立つ位置とすることにより、前記封止部材の動きが前記押し込み部材によって制限されて前記封止部材が前記減圧用連通孔から散逸することを防止したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係わるインクタンク1の概略断面図の一例である。このインクタンク1は、上面が開口した箱形のインクタンク本体2と、インクタンク本体2の上面開口を閉止する蓋部材3と、を備えている。インクタンク本体2の底面には供給口シール部材6により封止されるインク供給口5が形成され、インクタンク本体2内にはインクを吸収した多孔質体(インク吸収体)7が収容されている。蓋部材3の上面には、減圧用連通孔10及び大気連通孔15が形成されている。減圧用連通孔10内にはこれを開閉する封止部材11が可動状態で配置され、大気連通孔15は連通孔シール部材16により封止される。このインクタンク1を製造する際には、インク吸収体7を収容したインクタンク本体2の上部開口に蓋部材3を固定してから、インク供給口5を供給口シール部材6により封止すると共に、大気連通孔15を連通孔シール部材16により封止した状態で、減圧用連通孔10からインクタンク1内に負圧を導入することによりインクタンク1内を減圧し、インクタンク1内外の圧力差により封止部材11を減圧用連通孔10に吸引着座させて封止することによってインクタンク1内部を減圧状態に保持する。なお、インクは、例えばインク供給口5を封止する前に、インク供給口5等からインクタンク1内のインク吸収体7に供給させておき、インク充填後にインク供給口5及び大気連通孔15を夫々封止する。即ち、このインクタンク1は、インクを吸収したインク吸収体7を内部に有し、インクタンク1内を減圧状態にしたまま、インクの流路であるインク供給口5及び空気の流路である大気連通孔15、減圧を行うための減圧用連通孔10をそれぞれ、供給口シール部材6、連通孔シール部材16および、封止部材11で封止してある。
【0009】
なお、後述する理由から、封止部材11の質量(N)=W、前記減圧用連通孔10の開口面積(mm2)=A、大気圧とインクタンク1内の圧力との間の差圧△Pとしたときに、△P*A>Wの関係式が成り立つ必要がある。また、封止部材11の形状については、できることなら球形、または円錐形状、円柱形状が望ましい。これは、この封止部材11が減圧用連通孔10内を上下動して連通孔10を開放したり封止する機能を有する部品だからである。インクタンク1は、上部に広い開口を有するインクタンク本体2の上部開口の周縁部に蓋部材3を接着または溶着することにより固定したものであり、たとえば樹脂成型品である。インクタンク本体2の底部には記録装置の記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口5を形成し、このインク供給口5には供給口シール部材6を溶着して封止してあり、インクタンク1を記録装置本体にセットする前に連通孔シール部材16を剥がして使用する。蓋部材3に形成した大気連通孔15にはあらかじめ連通孔シール部材16を溶着して封止してあり、インクタンク1を記録装置本体にセットする前に連通孔シール部材16を剥がしてインクタンク1内部を大気圧にして使用する。インク吸収体7は例えば弾性を有した多孔質体からなり、インクタンク1内に圧縮して挿入している。大気連通孔15および、減圧用連通孔10はいずれもインクタンク1を構成している蓋部材3に形成し、シール部材16および封止部材11によって封止される前にはインクタンク1の内外を連通している。このようにインクを吸収したインク吸収体7を収容したインクタンク1内を減圧状態にしたままインクおよび空気の流路を封止することによって、インクタンク1を減圧包装する時にインクの漏れ出しや多孔質内での気泡の発生を防ぎつつ、インク中の気体の溶存量を低減した状態でインクタンク1を保存することができ、長期安定性が向上する。なお、ここで減圧包装とは、完成したインクタンク1を包装用の袋等により真空パックすることを意味しているが、インクタンク1内が減圧されてない場合には減圧連通孔10等からインクが漏れ出してインクタンク1外面や包装用袋の内面を汚損する事態が発生し易いが、本実施の形態ではそのような問題が発生しない。
【0010】
次にこのようなインクタンク1の製造方法について説明する。図2は本発明のインクタンク1を製造する装置の一例を示した概略断面図である。この製造装置は、インクタンク1に対する減圧処理を行う真空チャンバー21と、インクタンク1を支持する治具部22と、封止部材11を減圧用連通孔10内に押し込む押し込み機構23と、配管材24を介して真空チャンバー21内部と連通接続された真空ポンプなどの真空発生装置25、真空圧力計26とを有する。押し込み機構23は、エアシリンダ等の駆動源23aと、駆動源23aによって上下駆動される押し込み部材23bとから構成されている。まず、真空チャンバー21内においてインクタンク1内を減圧処理する際には、真空チャンバー21内の治具部22上にインク充填されたインクタンク1を位置決め固定する。減圧前のインクタンク1は、インク供給口5、大気連通孔15、減圧用連通孔10が開放された状態にあるので、減圧に際してはインク供給口5に供給口シール部材6を、大気連通孔15に連通孔シール部材16を夫々溶着することにより、インク供給口5と大気連通孔15を夫々密閉する。続いて、インクタンク1を真空チャンバー21の図示しない開口から挿入して治具部22上に着座せしめ、封止部材11を減圧用連通孔10内に仮装着して封止し、真空チャンバー21の開口を閉じる。なお、減圧用連通孔10の内周には封止部材11の装着性をよくするためのテーパー部10aが設けられている(図3(a) )。
【0011】
真空チャンバー21内には、インクタンク1を装着する治具部22、封止部材11を押し込む押し込み機構23が設けられており、配管材24を通じて真空ポンプなどの真空発生装置25、真空圧力計26と接続されている。真空チャンバー21内を真空発生装置25を用いて減圧開始した時には、インク供給口5、及び大気連通孔15は完全に気密封止され、減圧用連通孔10は封止部材11によって仮封止されている。このため、減圧開始によって、インクタンク1内と真空チャンバー21との間には圧力差△Pが生じる。この時、圧力差△Pによって封止部材11は矢印の方向に△P*Aの力を受けることになる。ここで、封止部材11の質量Wが、インクタンク1内と真空チャンバー21との間の圧力差によって発生する力△P*Aより小さければ、封止部材11は上方(開放方向)へ持ち上げられインクタンク1と真空チャンバー21が連通し、同じ圧力になる(図3(b) )。その後、チャンバー21内の圧力が予め圧力計により設定された所定圧力になると、駆動源23aの作動により押し込み部材23bが下降し、押し込み部材23bの先端部が、図3(b) の状態にあった封止部材11を減圧用連通孔10内へ押し込んで封止し、インクタンク1全体を封止することによってインクタンク1内の減圧密閉を行う。(図3(c) )。
【0012】
次に、図4は本発明の変形実施例に係る要部構成図であり、封止部材11から鍵状の突起である係止部材30を一体的に突設した構成が特徴的である。この係止部材30をインクタンク1の減圧用連通孔10内に差込み抜落ち不能に係止することによって、減圧用連通孔10から負圧を導入する際に、該減圧用連通孔10内から封止部材11が散逸(脱落)することを防止している。なお、封止部材11から係止部材30の折り曲げ部までの長さは、減圧用連通孔10の深さよりも長く設定する必要がある。これは、封止部材11が減圧用連通孔10を完全に封止した状態から、図4のように開放した状態までの間を移動する必要があるからである。封止部材11の係止部材30を減圧用連通孔10内に差し込んだ後、インクタンク1を真空チャンバー21に入れ、減圧を行う。インクタンク1内と真空チャンバー21との間の圧力差△Pによって封止部材11は持ち上げられて減圧用連通孔10を開放するが、係止部材30の折り曲げ部が蓋部材3の減圧用連通孔10の下側の縁に引っかかるためインクタンク1内部から真空チャンバー21内への空気の流れによって、封止部材11が飛ばされることはない。
【0013】
次に、図5(a) は気泡発生による不具合を説明する図であり、(b) はこの不具合を解決する本発明の他の形態例を示す断面図である。図2に示した真空チャンバー2内の減圧を急速に行うと、インク充填時にインクタンク1内に混入していた空気の気泡が一気に膨張し、インクタンク1内に大量の泡35が発生することになる。インクタンク1内が泡35で満たされると、インクが減圧用連通孔10より真空チャンバー21側へ流れ出し、インクタンク1ならびに真空チャンバー21内を汚してしまう(図5(a) )。そこで、真空チャンバー21の減圧速度を遅く(例えば、−3kPa/秒以下、或は−2kPa/秒以下)とすることによって、気泡が急速に膨張し泡が発生することを防ぐ。ここで、真空チャンバー21の減圧速度を遅くする方法としては、例えば、配管材24の管径を一部細くして空気の流速を落とす方法、真空発生装置として小出力のものを使用したり、或は真空発生装置の出力を調整して空気の流速を落とす方法などがある。また、蓋部材3の天井面やインクタンク本体2の内壁等に、図5(b) に示した如き消泡用の突起物40を複数設けておくと、減圧時にインクタンク1内で発生した泡が突起物40と触れて割れるため、インクが減圧用連通孔10より真空チャンバー21側へ流れ出すことがなくなる。この突起物40は先端が尖った形状とすることにより気泡を容易に割ることができるが、図示の形状、配置に限定する趣旨ではない。
【0014】
次に、図6は本発明の他の実施の形態を説明する要部構成図であり、押し込み部材23bの先端部の待機位置を所定に規制することにより減圧時に封止部材11が減圧用連通孔10から脱落することを有効に防止したものである。即ち、この実施の形態では、押し込み部材23bの先端部の待機位置を、減圧用連通孔10の上方であり、且つ、(減圧用連通孔10上端から先端部までの高さH)<(封止部材11の長さL) という関係が成り立つ位置に設定している。押し込み部材23bの先端部の待機位置を、このような条件を満たすように構成することによって、減圧時にインクタンク1内と真空チャンバー21との間の圧力差△Pによって封止部材11が持ち上げられたときに、(減圧用連通孔10上端から先端部までの高さH)<(封止部材11の長さL)となっているために、封止部材11は押し込み部材23bによってその動きを制限され、インクタンク1内部から真空チャンバー21内への空気の流れによって、封止部材11が飛ばされることが防止される。
【0015】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、装置構成及び動作を複雑化することによるコストアップを招くことなく、インクタンク内のインク吸収体内部での気泡の発生による印字不良の発生を防止することができる。即ち、請求項1のインクタンクにあっては、内部を減圧した状態で気密封止した構造のインクタンクにおいて、減圧用連通孔を封止する為の封止部材を抜けにくい形状とすることによって封止部材が飛ばされることを防ぐことができ、確実な減圧密閉を行うことができる。請求項2のインクタンクにあっては、前記インクタンク本体、或は前記蓋部材の少なくとも一方の内壁に消泡用の突起物を設けることにより、インクタンク内の減圧時に発生した泡を解消するように構成したので、仮にインクタンク内に気泡が発生したとしても、これを有効に消すことができ、気泡に起因した印字不良の発生を防止できる。請求項3のインクタンクの製造装置にあっては、非押し込み時における該押し込み部材の先端部の待機位置を、前記減圧用連通孔の上方で、しかも、(減圧用連通孔の上端から先端部までの高さ)<(封止部材の長さ)の関係が成り立つ位置としたので、減圧時に封止部材が散逸することを防止し、確実な減圧密閉を実現できる。さらに、封止部材の質量が、(真空チャンバー内圧力とインクタンク内圧力との差圧)*(減圧用連通孔の開口面積)>(封止部材の質量)、という条件を満たすように構成したので、減圧時に封止部材が減圧用連通孔を開放して減圧を確実に行わしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるインクタンクの概略断面図の一例の断面図。
【図2】本発明のインクタンクを製造する装置の一例を示した概略断面図。
【図3】 (a) (b) 及び(c) は封止部材の動作を説明する要部断面図。
【図4】本発明の他の実施の形態の要部構成図。
【図5】 (a) は気泡発生状態を示す図、(b) は気泡を解消する構成例を示す図。
【図6】本発明の他の実施の形態の要部構成図。
【符号の説明】
1 インクタンク、2 インクタンク本体、3 蓋部材、5 インク供給口、6供給口シール部材、7 多孔質体(インク吸収体)、10 減圧用連通孔、11 封止部材、15 大気連通孔、16 連通孔シール部材、21 真空チャンバー、22 治具部、23 押し込み機構、23a 駆動源、23b 押し込み部材,30 係止部材,35 気泡、40 消泡用の突起物。
Claims (3)
- 上面が開口した箱形に形成されて供給口シール部材により封止されるインク供給口を底面に有すると共にインクを吸収した多孔質体を内部に収容するインクタンク本体と、該インクタンク本体の上面開口を閉止すると共に上面に減圧用連通孔及び大気連通孔を有した蓋部材と、から成り、前記減圧用連通孔を開閉する封止部材を前記減圧用連通孔内に可動状態で配置すると共に、前記大気連通孔を連通孔シール部材により封止することによって内部を減圧状態に保持する構造のインクタンクであって、
前記封止部材は、前記減圧用連通孔から前記インクタンク内に負圧が導入されて前記インクタンク内が減圧される際に、前記インクタンク内から上方向の力を受け、この力が前記封止部材の質量よりも大きい場合には、前記封止部材は持ち上げられて前記減圧用連通孔を開放する一方、減圧終了後は前記減圧用連通孔内に着座されて前記減圧用連通孔を封止するように構成されており、
前記封止部材には、前記インクタンク内部に向かって延びるとともに下端部に折り曲げ部を有する鍵状の係止部材が突設され、該係止部材は前記減圧用連通孔内を挿通して配置され、前記インクタンク内が減圧されて持ち上げられる際に該係止部材の折り曲げ部が前記減圧用連通孔の下側の縁に引っ掛かって抜落ち不能に係止されることによって、前記減圧用連通孔内から前記封止部材が散逸することを防止したことを特徴とするインクタンク。 - 前記インクタンク本体、或は前記蓋部材の少なくとも一方の内壁に消泡用の突起物を設けることにより、前記インクタンク内の減圧時に発生した泡が該突起物と触れて割れることにより解消されるように構成したことを特徴とする請求項1記載のインクタンク。
- 請求項1または請求項2に記載されたインクタンクの製造装置であって、該インクタンクの製造装置は、真空発生装置が連通接続された真空チャンバー内に、先端部が下方に向いて形成された押し込み部材と、該押し込み部材を上下駆動する駆動源とが配置され、
前記インクタンクは、前記インク供給口から前記インクタンクの内部にインクが充填されて前記供給口シール部材により前記インク供給口が封止され、前記大気連通孔が前記連通孔シール部材により封止された後、前記真空チャンバーの開閉可能な開口から内部に配置されて、前記減圧用連通孔が前記封止部材により仮封止された状態で、当該封止部材の上方に前記押し込み部材の先端部が位置し、
前記真空発生装置を用いて前記真空チャンバー内を減圧して前記減圧用連通孔から前記インクタンク内に負圧を導入した際に、前記封止部材は、(前記真空チャンバー内圧力と前記インクタンク内圧力との差圧)*(前記減圧用連通孔の開口面積)>(前記封止部材の質量)、という条件を満たすように構成され、これにより前記封止部材が持ち上げられて前記減圧用連通孔を開放して前記インクタンク内と前記真空チャンバー内とを同じ圧力にし、その後、前記真空チャンバー内の圧力が所定圧力になったときに前記駆動源が作動することにより前記押し込み部材が下降して、前記押し込み部材の先端部が前記封止部材を前記減圧用連通孔内へ押し込んで当該減圧用連通孔を封止して前記インクタンク内の減圧密閉を行うように構成され、
前記押し込み部材の非押し込み時における先端部の待機位置を、前記減圧用連通孔の上方で、しかも、(前記減圧用連通孔の上端から前記先端部までの高さ)<(前記封止部材の長さ)の関係が成り立つ位置とすることにより、前記封止部材の動きが前記押し込み部材によって制限されて前記封止部材が前記減圧用連通孔から散逸することを防止したことを特徴とするインクタンクの製造装置。
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