JP4212786B2 - 接着剤組成物、フレキシブル印刷配線用基板及びカバーレイフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル印刷配線用基板等の作製に用いられる接着剤組成物、フレキシブル配線板の保護用に使用されるカバーレイフィルム及びフレキシブル印刷配線用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブル印刷配線板は、電気絶縁性フィルムと金属箔を接着剤を介して積層一体化したフレキシブル印刷配線用基板上に回路を作製し、更に、この回路保護用としての、半硬化状態の接着剤を介して電気絶縁性フィルムと離型紙を積層してなるカバーレイフィルムから剥離紙を剥離したものを、これに積層一体化してなるものである。
このフレキシブル印刷配線板及びフレキシブル印刷配線用基板に要求される特性としては、優れた接着性、耐熱性、耐溶剤性、優れた電気特性、寸法安定性、長期耐熱性等の諸特性が挙げられる。最近では回路基板の高密度化、軽量化に伴いフレキシブル印刷配線板においてもファインパターン化、高密度化、薄膜化が進んでおり、優れた接着性だけでなく、高耐熱性、高屈曲性等が望まれてきている。中でも、近年のファインパターン化に伴い高温、高湿下で電圧を印加させたときに、金属のマイグレーションが起こり、それに伴う回路間の絶縁信頼性の低下が問題になっている。
従来、フレキシブル印刷配線用基板に使用される接着剤としては、熱硬化系樹脂/可撓性系樹脂など種々の組合わせのものがあった。これらのうち、例えば、エポキシ/NBR(アクリルニトリル−ブタジエンラバーの略)系、エポキシ/ポリエステル系、エポキシ/アクリル系などの種々の接着剤が検討されてきている。中でもエポキシ/NBR系接着剤はエポキシ/アクリル系等の接着剤に比べ優れた接着性を示すことからよく使用されている。
金属のマイグレーションの発生原因としては、接着剤組成物中の不純物イオン濃度の増加、接着剤樹脂の熱劣化が大きな原因であることが知られており、金属のマイグレーションを抑制する手段として、高純度エポキシ等による接着剤樹脂の高純度化(特開昭61−221279号公報)、NBRなどの可撓性を付与する樹脂の高純度化(特開平7−231162号公報)、ハイドロタルサイト等のアニオン吸着剤を添加する方法(特開平10−112576号公報)、熱劣化の少ないアクリル樹脂を使用する方法(特開平3−255186号公報)など種々の方法が検討されてきている。
【0003】
しかし、上記接着剤組成物の樹脂について、高純度のものは極めて高価であり、また、イオン性吸着剤の添加により改善効果は認められるが、十分な効果を得るためには、その添加量を多くする必要があり、多くした場合は、剥離強度等の諸特性を低下させてしまうという欠点を有している。また、エポキシ/NBR系は、接着性に優れているものの、NBRにはイオン性不純物を含み易く、また、熱劣化が大きいので、耐マイグレーション性が不十分となり、アクリル樹脂を用いる方法も検討されているが、エポキシ/アクリル樹脂系では、硬化速度が小さく、耐溶剤性が低下するという欠点を有している。一方、反応性の官能基を含んだアクリル樹脂を使用する方法も検討されているが、耐溶剤性は得られるが、接着性が低下してしまうという欠点を有していた。このように、多くの要求をバランスよく満たし、特にマイグレーション性についての要求を十分に満たすことのできる接着剤組成物は現在までに出現していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はこれら従来の接着剤組成物が有していた優れた接着性、耐溶剤性などを損なうことなく、新たに、金属のマイグレーションの発生を抑制することができる接着剤組成物を提供し、且つ、これを使用したフレキシブル印刷配線用基板及びカバーレイフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記1)〜4)からなることを特徴とする接着剤組成物である。
1)エポキシ樹脂 100重量部、
2)A)カルボキシル基含有量が0.05〜2重量%であるカルボキシル基変性アクリルゴム及びB)ニトリルゴムからなり、A)/B)が5/95〜95/5である混合物 40〜200重量部、
3)硬化剤 1〜50重量部、
4)第三級アミンのテトラフェニル硼素酸塩、硼弗化物及びオクチル酸塩から選択される1種又は2種以上の硬化促進剤 0.1〜10重量部。
更に、本発明は、請求項1の接着剤組成物を介して電気絶縁性フィルムと離型紙を積層してなるカバーレイフィルム及び請求項1の接着剤組成物を介して電気絶縁性フィルムと金属箔とを積層してなるフレキシブル印刷配線用基板を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に使用されるエポキシ樹脂は、多官能エポキシ樹脂であり、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂及びこれらがハロゲン化されたエポキシ樹脂が用いられる。市販の商品名としては、エピコート(以下、EKと略す)828、同154、同604、同871、同1001、同152、同5050、同5048、同5049、同5045(以上ジャパンエポキシレジン社製商品名)、BREN−S(日本化薬社製商品名)、EP−4100(旭電化社製エポキシ樹脂)等が例示される。これらのエポキシ樹脂は単独あるいは必要に応じて2種以上併用して用いることができる。
【0007】
本発明におけるA)カルボキシル基含有量が0.05〜2重量%、好ましくは0.5〜1.6重量%であるカルボキシル基変性アクリルゴムとしては、例えば、合成したアクリルゴムの末端をカルボキシル化したゴムやカルボキシル基を含有する単量体の重合体(ゴム)等が挙げられる。市販のカルボキシル基変性アクリルゴムとしてはNAS−02、NSA−04(日信化学社製アクリルゴム商品名)が挙げられ、これらを単独又は2種以上併用して使用することができる。また、本発明における接着剤の特性に影響を与えない範囲でエポキシ変性アクリルゴムや水酸基変性アクリルゴム等のその他の樹脂を併用することもできる。このカルボキシル基含有量が0.05重量%未満であると、硬化が不十分となり、耐溶剤性が劣り、また、2重量%を超えると接着剤の保存安定性、剥離強度が低下し、十分な効果が得られない。
【0008】
本発明におけるB)のニトリルゴムとしては、NBR樹脂が好ましく、アクリロニトリル含有量が25〜45重量%のものが接着性、作業性の面から好ましい。市販品としてはニポール(以下NPと略す)1031、同1032、同1001、DN225、NP1041、同1042、同1043、Zetpole2000、同2020、同3110(以上日本ゼオン社製商品名)等が例示される。A)のカルボキシル基変性アクリルゴム及びB)のニトリルゴムの混合物はエポキシ樹脂100重量部に対して40〜200重量部が必要であり、好ましくは50〜120重量部である。40重量部未満では接着性が著しく低下し、200重量部を超えると、硬化が不十分で、耐溶剤性が劣り、硬化速度も低下する。
また、A)/B)は5/95〜95/5である必要があり、好ましくは50/50〜90/10である。A)/B)が95/5より大きいと接着性が低下してしまい、また、接着剤の保存性が低下する。5/95より小さいと耐マイグレーション性(金属のマイグレーションを抑制する能力の意味で使用する、以下同様)が低下する。
【0009】
本発明における硬化剤は、公知のエポキシ樹脂の硬化剤であればよく、例えば、脂肪族アミン系硬化剤、脂環族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化硼素アミン錯塩等が例示される。硬化剤が金属のマイグレーションに与える影響も大きく、特に活性の高いアミンを使用すると耐マイグレーション性が低下することから、芳香族アミン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が好ましく、これらは単独または2種以上混合して用いることができる。これら硬化剤の配合量はエポキシ樹脂100重量部に対して1〜50重量部が必要であり、好ましくは5〜20重量部である。1重量部未満ではエポキシ樹脂の十分な硬化が得られず、耐マイグレーション性が低下し、更には、その他の諸特性、耐溶剤性、電気特性等も低下し、50重量部を超えると接着性、半田耐熱性が低下するとともに、耐マイグレーション性も低下する。
【0010】
本発明における硬化促進剤としては、トリエチレンアンモニウムトリフェニルボレート等の第三級アミンのテトラフェニル硼素酸塩;硼弗化亜鉛、硼弗化錫、硼弗化ニッケル等の硼弗化物;オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等のオクチル酸塩が挙げられ、これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。また、これら硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が必要であり、好ましくは0.5〜2重量部である。硬化促進剤の配合量が0.1未満では硬化速度が小さくなり、エポキシ樹脂の硬化が不十分になり、耐マイグレーション性、電気特性、耐溶剤性が低下する。10重量部を超えると接着剤の保存安定性が悪くなり、作業性が低下し、更には、接着性、半田耐熱性が低下する。
【0011】
本発明の接着剤組成物においては、諸特性を低下させない範囲で、その他の樹脂や添加剤を加えてもよい。例えばフェノール樹脂、難燃剤としてのハロゲン化有機化合物、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、二酸化珪素等が挙げられる。
【0012】
本発明の接着剤組成物に用いられる溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジオキソラン等が挙げられる。
本発明の接着剤組成物の溶剤溶液中の固形分濃度は10〜45重量%であればよく、好ましくは20〜35重量%である。固形分濃度が45重量%を超えると粘度の上昇や固形分と溶剤との相溶性の低下により塗布性が悪くなり、作業性が低下し、10重量%より小さいと塗工ムラが生じやすくなり、更に脱溶剤量が多くなるので、環境面や経済性の悪化等の問題が生じる。この接着剤組成物はポットミル、ボールミル、ロールミル、ホモジナイザー、スーパーミル等を用いて混合される。
【0013】
本発明における電気絶縁性フィルムは、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリバラバン酸フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム等が例示され、中でもポリイミドフィルムが好ましい。フィルムの厚さは、必要に応じて適宜の厚さのものを使用すればよいが、10〜125μmが好ましい。またこれらのフィルムの片面もしくは両面に表面処理を行うことも可能であり、その表面処理としては、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等が挙げられる。
【0014】
本発明における金属箔としては銅箔、アルミニウム箔、鉄箔等が例示され、特に銅箔が好ましい。金属箔の厚さは、必要に応じて適宜の厚さのものを使用すればよいが、5〜70μmが好ましい。
【0015】
本発明のフレキシブル印刷配線用基板の製造方法について述べる。予め調製された接着剤組成物に所定量の溶剤を添加してなる接着剤溶液をリバースロールコーター、コンマコーター等を用いて電気絶縁性フィルムに塗布する。これをインラインドライヤーに通して80〜140℃で2〜10分処理して、接着剤の溶剤を乾燥除去して半硬化状態とした後、加熱ロールでこの接着剤塗布面に金属箔を線圧2〜200N/cm、温度60〜150℃で圧着させる。得られた積層フィルムをさらに硬化させるために加熱してもよい。その加熱温度は、80〜200℃、加熱時間は1〜24時間である。本発明における接着剤組成物の塗布膜の厚さは、乾燥状態で5〜45μmであればよく、好ましくは5〜30μmである。
【0016】
一般に、カバーレイフィルムは段落[0002]に記載したように、フレキシブル印刷配線用基板上に回路を作製してなるフレキシブル印刷配線板の回路を保護するために、これに積層一体化されるもので、半硬化状態の接着剤付き電気絶縁性フィルムと離型紙とからなり、使用する際には離型紙を剥がしてフレキシブル印刷配線板の回路面に積層する。ここで、カバーレイフィルムを積層一体化したものを総称してフレキシブル配線板ということもある。ここで、電気絶縁性フィルムは前記したものが使用可能である。また、使用可能な離型紙には、原紙の片面または両面にポリエチレン(以下PEとする)フィルム、4−メチル−1−ペンテン−α―オレフィンコポリマー(以下TPXとする)フィルムまたはポリプロピレン(以下PPとする)フィルムを貼り合わせたもの、原紙の片面または両面にポリ塩化ビニリデン(以下PVdCとする)をコートしたもの、更に、これら離型紙の片面あるいは両面にシリコーン離型剤を施したものなどがあり、孔加工時の条件により適宜選択して使用することができる。
【0017】
本発明のカバーレイフィルムは、本発明の接着剤組成物の有機溶剤溶液を前記電気絶縁性フィルムに乾燥状態で10〜60μmの厚さになるように塗布し、次いで、乾燥して溶剤を除去して接着剤を半硬化状態とする。この場合、必要に応じて50〜150℃程度に短時間加熱することができる。次に、この半硬化状態の接着剤付き電気絶縁性フィルムを前記離型紙と重ね合わせ、ロールラミネーター等により温度20〜120℃、線圧2〜200N/cmの条件下に積層し、ロール状に巻き取ってカバーレイフィルムが製造される。
【0018】
【実施例】
次に、本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
表1の実施例1の欄に示す接着剤組成を用い、溶剤のMEK665gとともに攪拌、混合し、完全に溶解させ、固形分濃度が25%の接着剤溶液を得た。次いで、厚さが25μm、200mm×200mmのポリイミドフィルム・カプトン(東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム商品名)に、アプリケーターで接着剤溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、120℃、10分の加熱で接着剤を半硬化状態とし、接着剤付きポリイミドフィルムを得た。この接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤塗布面に、厚さ35μm、200mm×200mmの銅箔・BHN(ジャパンエナジー社製圧延銅箔商品名)を重ね合わせ、温度100℃、線圧100N/cm、30分の条件で加熱、圧着し、更に、170℃で3時間加熱、硬化させてフレキシブル印刷配線用基板を得た。このフレキシブル印刷配線用基板の特性を後記の方法で測定し、結果を表3に示した。
【0020】
(実施例2〜4)
表1の実施例2〜4の各欄に示す接着剤組成を用いること以外は実施例1と同様の方法でフレキシブル印刷配線用基板を作製した。これらのフレキシブル印刷配線用基板の特性の測定結果を表3に示した。
【0021】
(実施例5)
(カバーレイフィルムの作製)
表1の実施例5の欄に示す接着剤組成を用い、溶剤のMEK532gとともに攪拌、混合し、完全に溶解させ、固形分濃度が25%の接着剤溶液を得た。次いで、厚さ25μm、200mm×200mmのポリイミドフィルム・カプトン(東レ・デュポン社製ポリイミドフィルム商品名)にアプリケーターで接着剤溶液を乾燥後の厚さが30μmになるように塗布し、80℃、10分の加熱で接着剤を半硬化状態とし、カバーレイフィルムを得た。この接着剤付きカバーレイフィルムの接着剤塗布面と200mm×200mmの銅箔・BHN(ジャパンエナジー社製圧延銅箔商品名)の光沢面側とを重ね合わせ、温度160℃、圧力4.9MPa、30分の条件で加熱、圧着し、評価用サンプルを得た。この積層板の特性を後記の方法で測定し、結果を表3に示した。
【0022】
(比較例1〜5)
表2の比較例1〜5の各欄に示された接着剤組成を用いること以外は実施例1と同様の方法でフレキシブル印刷配線用基板を作製した。このフレキシブル印刷配線用基板の特性の測定結果を表3に示した。
【0023】
以下に、表1〜2に示した接着剤成分の略号及び商品名の説明を記す。
EK5050 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂商品名)、
EK5045 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂商品名)、
BREN−S (日本化薬社製エポキシ樹脂商品名)、
AR−31 (日本ゼオン社製アクリルゴム商品名)、
NSA−02 (日信化学社製アクリルゴム商品名)、
NSA−04 (日信化学社製アクリルゴム商品名)、
NP1031 (日本ゼオン社製ニトリルゴム商品名、アクリルニトリル含有量41重量%)、
NP1032 (日本ゼオン社製ニトリルゴム商品名、アクリルニトリル含有量34重量%)、
NP1001 (日本ゼオン社製ニトリルゴム商品名、アクリルニトリル含有量41重量%)、
DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
DDM:4,4’−ジアミノジフェニルメタン。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
特性の測定は下記の方法に従がって行なった。
(剥離強度の測定)
JIS C6481に準拠して、サンプルを1mm幅に切断し、90°方向に50mm/minの速度で銅箔側に引き剥がしたときの力を測定する。
(耐溶剤性試験)
1mm幅のフレキシブル印刷配線用基板を70℃に加温したトルエン中に10分間浸漬し、これを引上げ、直ちに上記の剥離強度試験を行う。
(半田耐熱性)
JIS C6481に準拠して、サンプルを25mm角に切断し、フロー半田上に30秒間浮かべ、膨れ、剥がれなどが生じない最高温度を測定する。
(接着剤保存性)
配合1時間経過後の接着剤組成物をフィルム面へ塗工したときの接着剤ムラの発生の有無により評価する。
(耐マイグレーション性試験)
線間が100μmの櫛形パターンを作製し、温度130℃、湿度85%、電圧100Vで250時間印加し、印加前後のサンプルを拡大鏡で比較観察し、線間に発生するマイグレーションの生成状態を検査し、以下の基準で評価する。
○:線間への析出物の形成なし、△:回路部分には析出物が見られるが、線間を埋めることはない、×:線間全体にまたがって析出物が形成され、熱劣化の跡が見られる。
【0028】
(実施例の総括)
表3の実施例及び比較例の特性値の測定結果の対比から以下のことが解る。
実施例1〜5の接着剤組成物を使用したフレキシブル印刷配線用基板(カバーレイフィルム)の剥離強度、耐溶剤性、半田耐熱性及び実施例1〜5の接着剤組成物の接着剤保存性については、実施例の特性が比較例1〜5のそれと同等かまたはやや優れていることが読取られる。また、フレキシブル印刷配線板の耐マイグレーション性については、実施例の評価が比較例のそれより遥かに良好であることが解る。
即ち、本発明の接着剤組成物は優れた接着性、耐溶剤性を損なうことなく、フレキシブル印刷配線板に耐マイグレーション性を付与する能力に優れた接着剤組成物であって、それを使用して作製したフレキシブル印刷配線板の耐マイグレーション性も向上させることが証明された。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、本来有している優れた接着性、耐溶剤性を損なうことなく、諸特性のバランスがとれ、フレキシブル印刷配線板に耐マイグレーション性を付与する能力に優れた接着剤組成物が得られ、それを使用して作製したフレキシブル印刷配線板の耐マイグレーション性も向上する。
Claims (3)
- 下記1)〜4)からなることを特徴とする接着剤組成物。
1)エポキシ樹脂 100重量部、
2)A)カルボキシル基含有量が0.05〜2重量%であるカルボキシル基変性アクリルゴム及びB)ニトリルゴムからなり、A)/B)が5/95〜95/5である混合物 40〜200重量部、
3)硬化剤 1〜50重量部、
4)第三級アミンのテトラフェニル硼素酸塩、硼弗化物及びオクチル酸塩から選択される1種又は2種以上の硬化促進剤 0.1〜10重量部。 - 請求項1の接着剤組成物を介して電気絶縁性フィルムと離型紙とを積層してなるカバーレイフィルム。
- 請求項1の接着剤組成物を介して電気絶縁性フィルムと金属箔とを積層してなるフレキシブル印刷配線用基板。
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