JP4212483B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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このため、首が据わっていなかったり、掴まり立ちのできないような低月齢児に着用させること、特に寝かせた状態で履かせることは考慮されていなかった。したがって、低月齢児に好適に用いることのできるパンツ型おむつは未だ提供されていなかった。
本発明の使い捨ておむつは、特に低月齢児に適しており、しかも寝た状態の新生児にも容易にはかせることができるという利点がある。
本発明の一実施形態としての使い捨ておむつ1は、図1に示すように、パンツ型のおむつである。おむつ1は、図2及び図3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及び両シート2,3間に介在された液保持性の吸収体4を有する吸収性本体10と、該吸収性本体10の外側(非肌当接面側)に位置して該吸収性本体10を接合固定している外装体5とを具備し、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cと有している。そして、腹側部Aの両側縁部と背側部Bの両側縁部とがヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されて一対のサイドシール部50,50が形成されており、その接合により、おむつ1にはウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8,8が形成されている。
ここで、ウエスト部Eとはウエスト開口部7の開口縁部72から下方に股上長さの1/10の長さまでの領域である。一方、胴回り部Dとは、ウエスト部Eよりも下方に位置し且つレッグ開口部8の上端部83の位置よりも上方に位置する領域である。
一対のサイドギャザー90,90は、腹側部A及び背側部Bにおける胴回り部D1,D2それぞれに、それぞれ胴回り部Dの周方向に向けて、複数本の弾性部材91を伸長状態で固定して形成されている。これらの弾性部材91は、少なくとも吸収体4の両側縁よりも幅方向外方の部位に伸長状態で配設固定されており且つ吸収体4と重なる部位の少なくとも幅方向中央部には弾性伸縮性が発現される状態では配設されていない。弾性部材91は、おむつの幅方向に2つに分割された状態で配置されている。
以上の各弾性部材71,81,91は何れも外装体5を構成する外層シート51と内層シート52との間に挟持固定されている。
ここで、展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、おむつを展開状態とし、その展開状態のおむつを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
上記胴回り部の伸長荷重は、少なくとも胴回り部Dにおける、前記吸収体の長手方向端部から股下部迄(レッグ開口部の上端部迄と同じ)の領域D’で上記範囲であればよいが、胴回り部D全体を切り出して測定した伸張荷重が、上記範囲であることがより好ましい。
〔胴回り部の伸長応力の測定方法〕
おむつから胴回り部Dにおける、吸収体4の長手方向端部41からレッグ開口部8の上端83の領域D’を、腹側部に位置する部分D1と背側部に位置する部分D2とが連結されたリング状の状態のまま切り取り、これをサンプルとする。尚、ウエスト開口部の開口縁部72から吸収体4の長手方向端部41,42までの距離が、腹側部Aと背側部Bとで異なる場合には、背側部Bにおける吸収体の長手方向端部42の位置に拘わらずに、腹側部Aの長手方向端部41の位置を基準にして、腹側部Aと背側部Bとで同じ範囲(ウエスト開口部の開口縁部72からの距離が同じ範囲)を切り出す。
そして、そのサンプルを、テンシロン引っ張り試験機〔(株)オリエンテック社製、「RTC−1150A」〕のチャック間に固定し、速度300mm/minで、おむつ幅方向と同じ方向に伸長させる。
そして、サンプルを、初期長から、図2及び図4に示す設計寸法(おむつ展開且つ伸長状態における寸法と同じ、但し、腹側部Aの胴回り部D1と背側部Bの胴回り部D2とで設計寸法が異なる場合にはその平均値)まで伸長させたときの伸長率〔(伸長後の長さ−初期長)/初期長 ×100〕を最大伸長率とし、その最大伸長率の50%の伸長率まで伸長させた時点における引張荷重を求める。
前記比(L1/L2)が2.0未満であると、股間幅が小さくなり、レッグ開口部が大きくなるので脚が通し易く、寝かせてはかせやすくなるのでそれだけで好ましいと考えがちであるが、その反面排泄物がレッグ開口部からモレ易くなってしまう。当該値が2.2以上であると、排泄物の漏れが非常に発生しにくくなる。前記比(L1/L2)が2.5超であると股間幅が広くなるので排泄物がモレにくくなるが、低月齢は脚がくの字型に曲がっているので、レッグ開口部に脚は通しにくく、寝かせてはかせにくくなってしまう。この値が2.4以下であると低月齢時への装着性がより向上し、装着時の運動性を阻害し難いので好ましい。
尚、股間幅Lが、おむつ長手方向の所定の長さに亘って最小値を示す場合には、最も、長手方向中央に近い部位を股間幅が最小となる部位とする。但し、この場合には、最小値を示す部位がおむつ長手方向中央から、端部方向に向かっておむつ全長の1/10以内にあることが好ましい。
前記比(S1/S2)が0.45未満であると、レッグ開口部が小さくなるので排泄物がモレにくくなるが、低月齢児は脚がくの字型に曲がっているので、レッグ開口部に脚は通しにくく、寝かせてはかせにくくなってしまう。
前記比(S1/S2)が0.55超であるとレッグ開口部が大きくなるので脚が通し易く、寝かせてはかせやすくなるが、その反面排泄物がレッグ開口部からモレ易くなってしまう。
図5(a)に示すように、一方のレッグ開口部8に、一方の手を挿入し、その手で片方の足をつかんで、図5(b)に示すように、その足をレッグ開口部から引き出す。そして、図5(c)に示すように、もう片方の足も同様にして他方のレッグ開口部から引き出す。両足が通ったら、図5(d)に示すように、着用者のウエストまでおむつを引き上げる。このようにして、仰向けに寝た状態の低月齢児等に、おむつ1を容易に装着することができる。
例えば表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができる。裏面シート3としては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができる。吸収体4としてはフラッフパルプと高吸収性ポリマーの粒子との混合積繊物をティッシュペーパや不織布等(以下、包装材という)でくるんだもの等を用いることができる。立体ガードを構成するシートとしては、撥水性の不織布が好ましく用いられる。外層シート51及び内層シート52としては、各種製法による不織布が好ましく用いられる。
胴回り部に伸縮性を付与する前記弾性部材90としては、糸ゴム状のものが好ましくレッグギャザー形成用の前記弾性部材81としては、平ゴム状のものが好ましく、ウエスト部弾性部材71は平ゴム状のものを用いることが好ましい。
レッグ部の伸長応力は、おむつからレッグ部弾性部材が配されている部位を必要な程度の幅で切り出し、これをサンプルとする以外は、胴回り部の伸長応力と同様にして測定する。ここで「必要な程度の幅」とは、当該部位の伸長荷重を測定するのに必要な最小限度の幅を言い、必要以上の幅を要しない(例えば、吸収体まで含むような幅で切り出すことは要しない)ことを意味する。
〔曲げ剛性の測定方法〕
測定にはテンシロン試験機〔(株)オリエンテック社製のRTC−1150A〕を用い、JIS規格K7171法(プラスチック−曲げ特性の試験方法)に準拠して測定を行う(R1=5.0±0.1mm、R2=5.0±0.2mm)。
試験片をエッジスパン間Lを50mmとした支持台の両エッジ間に渡すように置き、試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ200cN)、速度30mm/minの条件で、圧子を降下させ、荷重−たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。
試験片は、吸収性物品から包装材込みの吸収体を取り出し、その長手方向及び幅方向の中央部から、おむつ長手方向に50mm、幅方向に80mmの長方形状に切り出す。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。試験片は、その長辺を、一方のエッジから他方のエッジに亘る方向に一致させて、両エッジ間に架け渡す。おむつ幅方向の曲げ剛性を測定する場合は、おむつ長手方向80mm、幅方向50mmの試験片を切り出す。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片吸収性物品から台紙込みの吸収体を取り出せない場合は、不織布、フィルム等の材料を含んだ剛性値と各材料の剛性値を測定し、その値から吸収体の剛性値を計算することで、吸収体剛性値を求める。
図1〜図3に示す形態の使い捨ておむつを製造した。
各部の寸法及び物性値を表1に示した。
胴回り部の伸長応力を200cNとした以外は、実施例1と同様にしておむつを製造した。
前記比(L1/L2)及び前記比(S1/S2)を順に3.0及び0.35とした以外は、実施例1と同様にして使い捨ておむつを製造した。
実施例及び比較例の使い捨ておむつについて、1)低月齢児に対する装着の容易性及び、2)おむつのズレ落ち性能をそれぞれ下記の方法で評価した。結果を表2に示した。
〔評価方法〕
各おむつを、上述した装着方法1により、低月齢児モデル(静置様態では脚がくの字に曲がっているもの)に装着し、寝かせた状態でレッグ開口部に足を通す際の通し易さと通した後寝かせた状態でおむつを引き上げる際の引き上げ易さについて評価した。
(評価基準)
はかせる際に、足が通し易くその後おむつを引き上げ易ければ○、足は通しにくいが、おむつを引き上げ易ければ△、足も通しにくく引き上げにくければ×とした。
〔評価方法〕
低月齢児モデル(静置様態では脚がくの字に曲がっているもの)に各おむつを、ウエスト開口部の周縁端をおへその位置に合わせて装着し、モデルの胸部を実験台に固定する。両足をつかんで足上げ・足キック(低月齢特有の動き)の動作を20回行った時のおむつのズレ落ち量(おへそからの距離)を測定する。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
6A,6B 立体ガード
7 ウエスト開口部
70 ウエストギャザー
8 レッグ開口部
80 レッグギャザー
82 開口縁部
90 サイドギャザー
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
D 胴回り部
E ウエスト部
P 股間幅が最小となる部位に位置するウエスト開口部の開口縁部上の点
Q ウエスト開口部の開口縁部の腹側部側の端点
Claims (5)
- 液保持性の吸収体を備え、腹側部、股下部及び背側部を有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつにおいて、
胴回り部はその周方向に伸縮性を有し、該胴回り部における前記吸収体の長手方向端部ラインから前記レッグ開口部の上端ラインまでの領域は、おむつ幅方向に最大伸長率の50%迄伸長させたときの引張荷重が50〜150cNであり、
股間幅の最小値L1と、該股間幅が最小となる部位に位置する、前記各レッグ開口部の開口縁部上の点Pから、該開口縁部の腹側部側の端点Qを通るおむつ縦方向の仮想直線Laまでの距離L2との比(L1/L2)が2.0〜2.5であり、
前記点Pと前記端点Qとを結ぶ仮想直線Lbと、前記レッグ開口部の開口縁部とで囲まれた領域の面積をS1、該点Pを通るおむつ縦方向の仮想直線Lcと、該仮想直線Lcに直交し前記端点Qを通るおむつ幅方向の仮想直線Ldと、前記仮想直線Lbとで囲まれた領域の面積をS2としたときの前記両領域の面積比(S1/S2)が0.45〜0.55であり、
低月齢児用であり、股間幅の最小値L1が150〜170mmであり、前記面積S1が13.5〜19.0cm 2 である、使い捨ておむつ。 - ウエスト部は、その周方向に伸縮性を有し、該ウエスト部をおむつ幅方向に最大伸長率の50%迄伸長させたときの引張荷重が100〜250cNである請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 前記レッグ開口部には、その開口縁部に沿ってレッグギャザーが形成されており、該レッグギャザー部をおむつ縦方向に最大伸長率の50%迄伸長させたときの引張荷重が50〜200cNである請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記吸収体の曲げ剛性が1〜25cN/50mmである請求項1〜3の何れか記載の使い捨ておむつ。
- 股上の長さが220mm以下である請求項1〜4の何れか記載の使い捨ておむつ。
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