JP4212419B2 - 金型亀裂発生予測システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機における金型の亀裂発生の予測を可能にする金型亀裂発生予測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に射出成形機は、その金型を閉じ合わせ、当該金型内に樹脂材料を注入し、加圧後、それら金型を開き、そして成形された製品を取り出すという一連の動作を繰り返して操業を行なう。
【0003】
例えば自動車等の車両に配索されるワイヤハーネス等に使用されるコネクタを成形する射出成形機では、当該コネクタの内部が複数の凹凸を持つ複雑な形状であるため、その金型の成形部もコネクタに対応して複雑な形状となっている。
【0004】
このような金型の成形部には、複雑な形状を作り出すために、一辺が例えば2mm〜3mmで長さが例えば50mmの例えば角棒形状を有する所謂駒と呼ばれる金属ピンが数百本組み合わせて形成されている。
【0005】
ところで、応力集中による金型の駒の金属疲労により当該駒が折損に至ることについては、折損断面のビーチマーク(即ち、金属疲労破壊時に、その断面に発生する貝殻状の波状模様)により推測されるが、この応力集中を発生させる外力の間接的な要因を掴むことは容易ではない。
【0006】
そこで、駒の折損検知技術である非破壊検査方法として、アコースティックエミッション(即ち、Acoustic Emission(以下、AEと称する。))計測法を利用することが提案されている。このAE計測法は、「材料が変形したり、亀裂(即ち、クラック)が発生したりするときに、材料が内部に蓄えていた歪エネルギーを弾性波として放出する現象を用いたもの」と定義されている。
【0007】
つまり、AE計測法とは、例えば、亀裂の発生や進展、材料内の変態や変形、腐食生成物等の剥離や割れ、機械的な摩耗や摩擦、漏洩、等に起因する弾性波が固体中を伝わり、それが固体の外表面に振動として現れた時に観察される現象を利用したものであり、この弾性波を固体の表面に設置した変換子、即ち、AEセンサで検出して、この検出信号の信号処理を行なうことにより、固体の破壊過程を評価する方法である。
【0008】
尚、このようなAE計測法を用いた検査装置の一例としては、図10に示される検査装置70が知られている(例えば、特許文献1参照)。検査装置70は、チャック71,72によって支持されたワークWPの回りに焼入コイルが設けられ、上部のチャック72内には、AEを伝播可能な結合材(不図示)を介し、音響波検出手段73としての圧電素子からなるAEセンサ74がその検出部をワークWPに向けて縦置きに埋設されている。また、上部のチャック72の側面には、圧電素子からなる疑似AEセンサ75が検出部をAEセンサ74の検出部に向けて横置きに設けられている。
【0009】
AEセンサ74は、増幅手段76に接続されており、増幅手段76では、プリアンプ77がAEセンサ74と接続され、このプリアンプ77にはメインアンプ78が接続されている。また、メインアンプ78には比較回路を含むレベル測定回路79が接続されており、このレベル測定回路79は増幅度を可変すべくプリアンプ77に接続されている。
【0010】
増幅手段76はマイクロコンピュータ80をもつクラック発生判定手段81に接続されている。クラック発生判定手段81では、ローパスフィルタ82がメインアンプ78と接続され、このローパスフィルタ82にはサンプルホールド回路83が接続され、そしてこのサンプルホールド回路83にはA/D変換器84が接続されている。また、サンプルホールド回路83とA/D変換器84とには設定部85が接続されている。そして、A/D変換器84にはメモリ86が接続され、このメモリ86にはゲート回路87と周期性検出部88とが接続されている。
【0011】
ゲート回路87にはスタート信号発生器89が接続されている。周期性検出部88は、遅延回路と積和回路とから構成されており、出力信号を再びメモリ86に入力可能とされている。さらに、周期性検出部88にはマイクロコンピュータ80が接続されている。マイクロコンピュータ80は周期性検出部88からの出力信号が入力される判定部90と、判定部90に出力信号を送出可能な区間設定部91および基準設定部92とからなり、判定部90の出力信号は結果出力として外部モニター(不図示)に出力可能とされている。疑似AEセンサ75にはパルス発生回路93が接続されている。疑似AEセンサ75およびパルス発生回路93が基準信号発生手段94を構成している。
【0012】
【特許文献1】
特開平08−005614号公報(第2−5頁、第2図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
AE計測法を用いた亀裂の検出方法は、上記特許文献1で教示されているような製品(ワーク)の亀裂を発見する方法や金型の亀裂を発見する方法等として既に確立されてはいるものの、これらは、AE信号の解析手法として振幅データを利用する方法であり、機械、成形機、等の定常操業時のAE信号よりも異常時のAE信号が著しく増大しなければ、亀裂を検知することが困難な方法である。つまり、亀裂時におけるAE信号の振幅データが微小な状態であると亀裂を検知することができない。
【0014】
射出成形機の場合では、金型を開閉する時に過大な振幅のAE信号がAEセンサから出力され、これと同タイミングに金型内部の成形部の駒に亀裂が発生あるいは駒が折損することが本発明者らにより見出された。即ち、金型を開閉する際に駒の亀裂による振幅を示すAE信号が発生していても、金型開閉動作による振動によって発生するAE信号の振幅値と比べると微小であるため、振幅データを利用した解析手法では、それらの識別が困難であり、亀裂を検知することができないことが判明された。
【0015】
駒に亀裂あるいは駒の折損が発生すると、この異常発生以降の製品は全て不良品となり、それにより製品の歩溜が悪くなると同時に製品の納期にも影響するため、下工程の管理(即ち、メンテナンススケジュールの管理)への影響は甚大である。
【0016】
この対策としては、作業者が、出来上がった製品を一つ一つ検査し、異常の有無を確認し、そして万が一、不良品が発見された際には、射出成形機を停止して金型を交換するという方法が採られる。そのため、駒の折損発生時点で確実に異常現象を捕らえ、より好ましくは駒に亀裂が発生する前に異常現象を確実に捕らえて(換言すれば、駒に亀裂が発生する兆候を確実に捕らえて)亀裂の発生を予測できる技術の開発が望まれていた。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、射出成形機の金型に亀裂が発生する兆候を確実に検知して当該金型の亀裂発生の予測を可能にする金型亀裂発生予測システムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明に係る金型亀裂発生予測システムは、請求項1に記載したように、対向配置された金型を有し、当該金型を合わせてワークを成形する射出成形機と、前記金型上に配置されたアコースティックエミッションセンサと、前記アコースティックエミッションセンサからのセンサ信号と前記金型の開閉信号とを入力し、前記センサ信号をリングダウンカウント解析処理して前記金型の亀裂発生の兆候を検知する制御部と、を備え、前記制御部は、前記開閉信号から前記金型の開閉動作が通常状態になったことを識別すると、前記金型が閉じた後、所定時間が経過した時点から前記金型が次に開いた後、所定時間が経過する時点までの期間、及び、前記金型が開いた後、所定時間が経過した時点から前記金型が次に閉じた後、所定時間が経過する時点までの期間を計測期間として、前記金型の開閉時前後における前記計測期間の前記センサ信号を繰り返し取り込み、当該センサ信号から閾値を超えた波形の山の数に対応するパルス数を検出して前記リングダウンカウント解析処理を行うことを特徴としている。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、射出成形機の金型上に配置されたアコースティックエミッションセンサからのセンサ信号をリングダウンカウント解析処理により計測して金型の亀裂発生の兆候を検知する制御部を金型亀裂発生予測システムが備えているので、リングダウンカウント解析処理により計測したセンサ信号波形の山の数を管理することにより金型の金属疲労傾向を把握し、金型の亀裂の発生前に異常現象を捕らえて亀裂の発生を予測することができる。よって、メンテナンススケジュールの管理を容易にして生産性の向上を図ることができる。
【0021】
また、制御部が、金型の開閉時前後の所定期間におけるセンサ信号のみを用いてリングダウンカウント解析処理を行なうので、金型同士の接触が起こりうる金型の開時前後の所定期間および金型の閉時前後の所定期間におけるセンサ信号のみを計測して、射出成形機の操業の各サイクルで発生する必要のないセンサ信号の波形データを避けて採取することができる。従って、トータル的なデータ量を減少させることができるので、多くの必要なセンサ信号の波形を長時間に亘って計測することができる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明の実施の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る金型亀裂発生予測システムの一実施形態を示す外観斜視図、図2は図1に示される射出成形機に用いられる金型の閉時の断面図、図3は図1に示される制御部のブロック構成図、図4は図1および図3に示される制御部によるセンサ信号(AE信号)の取込みタイミングを説明するためのタイミングチャート、図5は図1の金型亀裂発生予測システムにおいて用いられるリングダウンカウント解析手法に基づくカウントの仕方を説明するための図、図6は図1の金型亀裂発生予測システムを複数用いてネットワーク化した場合の一例を示す図、そして図7、図8および図9は処理プログラムに従い動作する制御部の動作フローチャートである。
【0024】
本発明の一実施形態である金型亀裂発生予測システム10は、図1に示されるように、基板16、および対向配置された固定金型板(金型)14および可動金型板(金型)15を有し、これら固定金型板14および可動金型板15を合わせてワークを成形する射出成形機12と、固定金型板14上に配置されたアコースティックエミッション(以下、AEと称する。)センサ11と、当該AEセンサ11からのセンサ信号(換言すれば、AE信号)をリングダウンカウント(またはオシレーションカウントとも称される。)解析処理により計測して射出成形機12の固定金型板14および/または可動金型板15の成形部13の亀裂発生の兆候を検知する制御部30と、を備えており、成形部13の亀裂発生の予測を可能にするシステムである。
【0025】
AEセンサ11は、固定金型板14にマグネットベース(磁気着脱型固定機)11aを介して当該マグネットベース11aにより固定されている。AEセンサ11は、固定金型板14および可動金型板15が開閉される時に発生する弾性波を検出する検出素子である。
【0026】
成形部13は、固定金型板14の内面と可動金型板15の内面とにそれぞれ着脱自在に固定されており、例えば自動車等の車両に配索されるワイヤハーネス等に使用されるコネクタを成形するのに用いられる。成形部13は、成形するコネクタの内部が複数の凹凸を持つ複雑な形状であるため、当該コネクタに対応して複雑な形状となっている。尚、成形部13には、複雑な形状を作り出すために、一辺が例えば2mm〜3mmで長さが例えば50mmの例えば角棒形状を有する駒(不図示)が数百本組み合わせて形成されている。
【0027】
固定金型板14と可動金型板15とは可動金型板15に固定された4つのガイドロッド17を介して連結されており、これらガイドロッド17が固定金型板14および当該固定金型板14を固定する基板16内を摺動することで固定金型板14と可動金型板15との開閉動作が行なわれる。
【0028】
射出成形機12は、固定金型板14と可動金型板15とを閉じ合わせたところで、樹脂材料を成形部13内に注入し、加圧後、固定金型板14と可動金型板15とを開き、そして成形された製品を取り出すという一連の動作(即ち、1サイクルの動作)を繰り返して操業を行なう。
【0029】
図2に示されるように、固定金型板14側に配置された一方の成形部13は、ポットプランジャ18、当該ポットプランジャ18の外側に配されたポット19、キャビティ20、および当該キャビティ20の中心部に配されたスプールブッシュ21を有し、そして可動金型板15側に配置された他方の成形部13は、エジェクタピン23が挿通されたプランジャ22を有している。そして図2に示すように固定金型板14と可動金型板15とが閉じられた状態において、一対の成形部13間に形成される空間a内に樹脂材料が注入されることによりワーク45が成形される。
【0030】
図3に示されるように、制御部30は、プリアンプ(プリアンプ部)31と、LPF/HPF(LPF/HPF部)32と、可変利得アンプ(可変利得アンプ部)33と、AEモニタ(AEモニタ部)34と、EVENTコンパレータ(EVENTコンパレータ部)35と、ディスクリレベル設定部(ディスクリレベル設定)36と、ゲート信号(ゲート信号生成部)37と、CPU38と、を備えている。
【0031】
プリアンプ31は、AEセンサ11から受けるセンサ信号(10μV〜数10mV)を固定利得(10dB)で増幅する。
【0032】
LPF/HPF32は、プリアンプ31において増幅されたセンサ信号と、ノイズ等の信号と、を分別するための、ハイパスフィルタHPFとローパスフィルタLPFとからなる、100kHz〜1MHzのバンドパスフィルタである。
【0033】
可変利得アンプ33は、金型亀裂発生予測システム10を複数設けた場合(図6参照)におけるAEセンサ11間のレベル、プリアンプ31、LPF/HPF32、等の誤差による検出レベル差を補正する。
【0034】
AEモニタ34は、AEセンサ11の生波形を目視確認するためのオシロスコープ等の画像表示装置である。
【0035】
EVENTコンパレータ35は、センサ信号をアナログ信号からカウントが可能なEVENTパルス信号に変換する。このようにEVENTパルス信号に変換することによりセンサ信号と雑音信号とが分別される。
【0036】
ディスクリレベル設定部36は、EVENTコンパレータ35における閾値設定用の基準電圧を生成し、EVENTコンパレータ35に与える。
【0037】
ゲート信号37は、EVENTパルス信号を計数カウントするためのタイミング位置であるゲートパルス信号である。ゲート信号37は、射出成形機12の開閉センサのリレー(不図示)から与えられたリレー信号から、当該リレーにおいてアーマチュア側の可動接点が固定接点に対して接離される際に当該可動接点が当該固定接点に対して不必要に連続的に接離するチャタリング動作によって発生する信号を除去したパルス信号である。
【0038】
CPU38は、ゲート信号37からのゲートパルス信号を使い、時間を計測してセンサ信号の最適なタイミングを計算する。この計測タイミングは、射出成形機12の動作に追従して毎回計測される。CPU38は、ゲートパルス信号と、予め成形部13(即ち、固定金型板14および可動金型板15)に対して決められている計測時間とに従い、EVENTパルス信号を計数する。計数したカウント値は、ネットワークを通じてデータベース用のパーソナルコンピュータ42(図6参照)に転送される。
【0039】
制御部30は、固定金型板(金型)14および可動金型板(金型)15の内部(即ち、成形部13)の駒同士の接触が起こりうる金型開時前後の所定期間および金型閉時前後の所定期間に発生するセンサ信号の波形データを採取し且つリングダウンカウント解析手法に基づいてカウントする(即ち、リングダウンカウント解析処理により計測する)。
【0040】
図4に示されるように、制御部30によるAE信号(センサ信号)の取込みタイミングとしては、射出成形機12の操業1サイクル(1サイクルは例えば15〜30秒。)において、駒の亀裂の直接的な発生タイミングとなる、成形部13の開閉する各Z秒間だけのAE信号を取込むようにしている。制御部30は、当該各期間内で1〜2回発生する重要なポイントのAE波形(即ち、AE信号の波形)を捕らえ、このAE波形のリングダウンカウントを計測する。
【0041】
具体的に、制御部30による取込みタイミングは、射出成形機12の固定金型板(金型)14および可動金型板(金型)15の開閉(即ち、成形部13の開閉)を検知する開閉センサ(不図示)から出力されるリレー信号を利用する。
【0042】
金型“開”においては、1サイクル前の金型“閉”時からV秒後にAE信号を取込むように設定され、金型“開”時のリレー信号(ON)からX秒までの計Z(即ち、W+X)秒間のAE信号の波形データを制御部30が収集する。
【0043】
一方、金型“閉”時においては、金型“開”時のリレー信号(ON)からY秒後にAE信号を取込むように設定され、金型“閉”時のリレー信号(OFF)からX秒までの計Z(即ち、W+X)秒間のAE信号の波形データを制御部30は収集する。
【0044】
図5に示されるように、制御部30は、AE信号の発生数や発生頻度を計数するため、ディスクリレベル設定部36により設定された閾値Dを超えたAE信号波形の山の数Cを全て数えるリングダウンカウント解析処理を行なう。即ち、金型亀裂発生予測システム10によれば、リングダウンカウント解析処理により計測したAE信号波形の山の数Cを管理することにより成形部13の駒の金属疲労傾向を把握し、駒の亀裂の発生前に異常現象を捕らえて亀裂の発生を予測することができる。よって、メンテナンススケジュールの管理を容易にして生産性の向上を図ることができる。
【0045】
また、上述のように金型亀裂発生予測システム10では、成形部13の駒同士の接触が起こりうる成形部13の開時前後にわたるZ秒間および成形部13の閉時前後にわたるZ秒間といった数秒間だけ、AE波形を計測するようにしている。これにより、射出成形機12の操業の各サイクルで発生する必要のないAE波形データを避けて採取することができる。従って、トータル的なデータ量を減少させることができる(換言すれば、制御部30のCPU38のメモリ領域を有効活用できる)ので、多くの必要なAE波形を長時間に亘って計測することができる。
【0046】
図6に示されるように、上述した金型亀裂発生予測システム10を工場全体に適用する場合、工場全体における多数の射出成形機(図6では『ユニット』と称している。)12a,12b,12c・・・12n全てを監視するため、各射出成形機12a,12b,12c・・・12nにはAEセンサ11が取り付けられ、更には上述した制御部30をリングダウンカウント解析手法で解析するために必要な機能のみで集約構成し且つハブ41a、41bおよび通信ケーブル(例えば、LANケーブル)を通してパーソナルコンピュータ42に計測データを取り込めるように構成したTCP/IPネットワーク用パーソナルコンピュータ対応型の小型の計測端末30a,30b,30c・・・30nとして射出成形機12a,12b,12c・・・12nにそれぞれ取り付けている。
【0047】
よって、計測端末30a,30b,30c・・・30nがネットワーク上でリンク(連結)されるので、各計測端末30a,30b,30c・・・30nからの計測データは、データ収集装置としてのパーソナルコンピュータ42に直接取り込まれるため、連続的なデータ収集が可能となり、また収集した多数の射出成形機12a,12b,12c・・・12nに関する計測データを比較したり、計測データの時系列毎の変動を確認したり、というように計測データの活用の自由度を高めることができる。
【0048】
更に、射出成形機12a,12b,12c・・・12nの金型の型番変更時には、金型開閉データ収集タイミング時間の調整・設定等が生ずるが、これらもパーソナルコンピュータ42側で一括して行なえるため(つまり、計測端末30a,30b,30c・・・30nとパーソナルコンピュータ42とはネットワーク上で双方向通信が可能であるため)、各射出成形機12a,12b,12c・・・12nに取り付けられた各計測端末30a,30b,30c・・・30nの設置現場へ出向いて行なう設定作業も省け、よって作業性を向上することができる。また、新たに計測する射出成形機の追加に際しても、ネットワークを形成する通信ケーブルを延長するだけで、それに対応でき、配線工事も簡単に行なうことができる。
【0049】
各計測端末30a,30b,30c・・・30nは、小型軽量のケース(例えば、大きさ:130mm×100mm×30mm、重量:約100g)にプリアンプ、帯域フィルタ、ゲイン調整、波形成形、ネットワークI/F、等を一体に収容し、全体をシールドすることによって、外来ノイズ(外乱)に対する影響を極端に受け難くすることも容易である。それによって、計測精度を向上させることが可能であり、小型軽量であるため、取付工事も簡単に行なうことができる。
【0050】
また、AEセンサ11がマグネットベース11aにより簡単に取り付け・取り外しを行なえるようになっているため、各射出成形機12a,12b,12c・・・12nにおける金型交換時に、AEセンサ11の取り付けならびに取り換えも容易に行なうことができる。
【0051】
更に、データ収集装置であるパーソナルコンピュータ42からの異常現象発生(即ち、亀裂発生)予測時の警報手段も様々なシステム化が可能であり、例えば、現場での警報通知を回転灯で行なうようにしたり、必要に応じて携帯用のポケットベルを鳴らすようにしたり、携帯電話を用いて通報したり、というようにシステムを構築してもよい。
【0052】
次に、図7〜図9に示されるフローチャートを参照しながら金型亀裂発生予測システム10における制御部30の動作フローを説明する。尚、図7および図8はメインルーチンであり、図9は固定金型板(金型)14および可動金型板(金型)15の開閉動作(換言すれば、成形部13の開閉動作)を支配するサブルーチンである。
【0053】
電源の投入と同時に、制御部30のCPU38に記録されている処理プログラムに従って制御部30の動作が開始可能な状態となるが、射出成形機12の成形部13が開動作か閉動作を始めるまでの間、待機状態となる。このとき、サブルーチンでは、成形部13の開閉タイミングが決定されていないので、パルス数のカウントは行なわれない。
【0054】
射出成形機12が操業している間、成形部13の開閉動作5サイクルの時間平均をとり、その平均値が30秒/1サイクル以内の通常状態であると、開閉タイミングが決定され、金型開時間が設定されるとともに金型閉時間が設定され、両時間データが、データベース用のパーソナルコンピュータ(PC)42に取り込まれる(即ち、この動作に対応する動作フローは、ステップ131→ステップ132→ステップ133→ステップ134→ステップ135→ステップ136→ステップ137→ステップ138→ステップ138→ステップ139→ステップ140→ステップ141→ステップ142である)。このとき、データベース用のパーソナルコンピュータ(PC)42は金型開時間ならびに金型閉時間を数値表示する(即ち、ステップ142)。尚、ステップ136において30秒/1サイクル以内でなければ、ステップ143へ進み、計測が終了される。
【0055】
金型開時間が設定されたこと(即ち、ステップ119)により、成形部13の開時前後にわたるZ秒間においてのみ、閾値を超えたセンサ信号(AE信号)の波形の山の数に対応したパルス数がカウントされ、データベース用のパーソナルコンピュータ(PC)42に取り込まれる(即ち、この動作に対応する動作フローは、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ115→ステップ116→ステップ117→ステップ118である)。このとき、可変利得アンプ33において補正されたAEセンサ11の生波形がAEモニタ34により表示される(即ち、ステップ113)。また、ディスクリレベル設定部36は、基準電圧を与える(即ち、ステップ114)。
【0056】
その後のルーチンにおいて、金型閉時間が設定されたこと(即ち、ステップ120)により、成形部13の閉時前後にわたるZ秒間においてのみ、閾値を超えたセンサ信号(AE信号)の波形の山の数に対応したパルス数がカウントされ、データベース用のパーソナルコンピュータ(PC)42に取り込まれる(即ち、この動作に対応する動作フローは、ステップ101→ステップ102→ステップ103→ステップ104→ステップ105→ステップ106→ステップ107→ステップ108→ステップ109→ステップ110→ステップ111→ステップ112→ステップ121である)。
【0057】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質,形状,寸法,形態,数,数値,配置個所,等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、射出成形機の金型上に配置されたアコースティックエミッションセンサからのセンサ信号をリングダウンカウント解析処理により計測して金型の亀裂発生の兆候を検知する制御部を金型亀裂発生予測システムが備えているので、リングダウンカウント解析処理により計測したセンサ信号波形の山の数を管理することにより金型の金属疲労傾向を把握し、金型の亀裂の発生前に異常現象を捕らえて亀裂の発生を予測することができる。よって、メンテナンススケジュールの管理を容易にして生産性の向上を図ることができる。
【0059】
また、本発明によれば、制御部が、金型の開閉時前後の所定期間におけるセンサ信号のみを用いてリングダウンカウント解析処理を行なうので、金型同士の接触が起こりうる金型の開時前後の所定期間および金型の閉時前後の所定期間におけるセンサ信号のみを計測して、射出成形機の操業の各サイクルで発生する必要のないセンサ信号の波形データを避けて採取することができる。従って、トータル的なデータ量を減少させることができるので、多くの必要なセンサ信号の波形を長時間に亘って計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型亀裂発生予測システムの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示される射出成形機に用いられる金型の閉時の断面図である。
【図3】図1に示される制御部のブロック構成図である。
【図4】図1および図3に示される制御部によるセンサ信号(AE信号)の取込みタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図5】図1の金型亀裂発生予測システムにおいて用いられるリングダウンカウント解析手法に基づくカウントの仕方を説明するための図である。
【図6】工場内において図1の金型亀裂発生予測システムを複数用いてネットワーク化した場合の一例を示す図である。
【図7】処理プログラムに従い動作する制御部の動作フローチャートである。
【図8】処理プログラムに従い動作する制御部の動作フローチャートである。
【図9】処理プログラムに従い動作する制御部の動作フローチャートである。
【図10】特許文献1で開示されている検査装置の概略図である。
【符号の説明】
10:金型亀裂発生予測システム
11:AEセンサ
13:成形部(金型の一部)
14:固定金型板(金型)
15:可動金型板(金型)
12:射出成形機
12a,12b,12c・・・12n:射出成形機(ユニット)
30:制御部
30a,30b,30c・・・30n:計測端末(制御部)
42:パーソナルコンピュータ
45:ワーク

Claims (1)

  1. 対向配置された金型を有し、当該金型を合わせてワークを成形する射出成形機と、
    前記金型上に配置されたアコースティックエミッションセンサと、
    前記アコースティックエミッションセンサからのセンサ信号と前記金型の開閉信号とを入力し、前記センサ信号をリングダウンカウント解析処理して前記金型の亀裂発生の兆候を検知する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記開閉信号から前記金型の開閉動作が通常状態になったことを識別すると、前記金型が閉じた後、所定時間が経過した時点から前記金型が次に開いた後、所定時間が経過する時点までの期間、及び、前記金型が開いた後、所定時間が経過した時点から前記金型が次に閉じた後、所定時間が経過する時点までの期間を計測期間として、前記金型の開閉時前後における前記計測期間の前記センサ信号を繰り返し取り込み、当該センサ信号から閾値を超えた波形の山の数に対応するパルス数を検出して前記リングダウンカウント解析処理を行うことを特徴とする金型亀裂発生予測システム。
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