JP4212203B2 - ゴルフ練習具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフ練習具に関し、特にパッティングやショートアプローチ等のような軽い打撃練習を繰り返し簡便に行い得るゴルフ練習具に関するものである。
【0002】
【従来技術】
ゴルフの上達においては、パッティング技術の上達が不可欠とされ、愛好家のあいだでは、家庭などで不断の練習がおこなわれている。しかしながら、従来は練習のためのマットの敷設、収納、ボールの位置決め、打撃後のボールの収集等に多大の手間を要し、手軽に練習を行い得ないのが実情である。こうした観点から本出願人は先に、狭い場所でも簡便にパッティングの繰り返し練習を行い得るゴルフ練習具として特開昭63―59978号公報に開示したような構成を有するゴルフ練習具を提案している。
【0003】
上記ゴルフ練習具(以下、従来例という)の基本的な構成は図90〜図94に示すようなもので、図90は右利きの練習者がボール151を打撃するべく構えた状態を練習者の前方から見た側面図、図91は図90のA―A断面図、図92は図90のB―B断面図である。上記図において、150は軌条体であり該軌条体は所定の寸法だけ離間して略並行に配置された2個の軌条体構成部材150a、150aで構成され、その離間寸法は図91に示すようにボール151の直径寸法より適量小さく、且つ軌条体150にボール151を載せた場合、該ボールの底部が軌条体150の下面より寸法aだけ下方に突出する寸法に構成されている。また軌条体は前方(x方向)上がりにわん曲し、このわん曲半径は多くの練習者がスイングした場合にパター152のヘッド153の底部が描く円弧状軌道Sの半径より適量大きい寸法に形成されている。
【0004】
154は軌条体の前端に設けられたストッパーであり、該ストッパーにより2個の軌条体構成部材150a、150aの前端は一体的に連結されている。155は軌条体をパターのヘッドに取り付けるための取付け手段であり、該取付け手段と前記軌条体はヒンジピン156、156を介して連結されている。上記のように連結された軌条体は、取付け手段155に対し、ボールを打撃するべく構えた図90の初期状態から、ヒンジピン156、156を軸として反時計方向には傾動可能であるが、時計方向の傾動は、軌条体150の後端上面と取付け手段155の下面との接触によって阻止されている。
【0005】
上記のように構成された従来例は、使用に際し、前記取付け手段155を介して図90のようにパターのヘッド153に取り付け、2個の軌条体構成部材150a、150aの間にボール151を入れ、軌条体の底面を床面157から微小寸法だけ浮かした状態で通常のパッティング動作を行う時のように構える。この状態で軌条体の底面は図92に示すように床面157より微小寸法bだけ上方にあり、この寸法bが前記図91に示した寸法aより小さいことから、ボールは2個の軌条体構成部材150a、150aに接触することなく床面157上に静止している。
【0006】
つぎに、図93に示すようにヘッドを軌条体の長手方向に真っすぐ引いて通常のパッティング時のように後方(―x方向)にテークバックをとる。このテークバックにより軌条体はヘッドに引かれて後方に移動するが、前記したように軌条体のわん曲半径がヘッド底部の描く円弧状軌道Sの半径より大きいので、軌条体はヘッドに対しては反時計方向に傾動しながら後方に移動し、この間、2個の軌条体構成部材150a、150aはボールに接触することなく、ボールの下方両側部をすり抜けるように後方に移動してテークバックを終了する。このテークバック終了時において、軌条体は床面と点Pで接し、床面に静止したボール位置における軌条体の床面からの高さ寸法はc1となる。
【0007】
つぎにヘッドを前方に振り出してボールを打撃するが、この場合も前記テークバックのときとは逆の過程をたどり、軌条体はボールに接触することなくヘッドに対しては時計方向に傾動し、ヘッドは床上に静止したボールを打撃する。この打撃と同時に軌条体のヘッドに対する時計方向の傾動が阻止される。打撃されたボールは或る距離だけ軌条体に接触することなく床面を前方に転がるが、時計方向の傾動を阻止された軌条体が円弧状軌道Sに沿って上昇してくるので、ボールはやがて軌条体に乗り上げて軌条体上で失速し、その後は2個の軌条体構成部材に跨がって、ヘッドまで転がり降りてくる。上記従来例はこうした動作を繰り返すことによって簡便にパッティング練習を行うものである。
【0008】
そして特に、上記従来例はヒンジピン156、156を用いて、取付け手段に対し軌条体を傾動可能に構成しているので、前記ヘッドの円弧状軌道Sの半径に個人差があっても、該個人差による不具合は軌条体が自動的に傾動することによって解消し得るようにしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例は大方の練習者が、前記円弧状軌道Sの半径の個人差に関係なく使用し得るものの、前記テークバック終了時の静止ボール位置における床面からの軌条体の高さ寸法c1が大きくなり、2個の軌条体構成部材とボールとの軌条体幅方向の隙間がきわめて少なくなるため、スイング途上における軌条体の幅方向の振れの大きい初心者などには使用しにくいという欠点がある。
【0010】
すなわち、上記従来例は取付け手段に対する軌条体の傾動が側面的に見て1本のヒンジピンを軸にして行えるように構成され、しかも従来例をパターに取り付けた状態では、ヒンジピン156、156がヘッド153の近くに位置しているため、図93に示すように、ヘッドを円弧状軌道Sに沿って寸法Lだけ後方に移動した場合、軌条体の後部がヒンジピンに吊り上げられて、ヘッドの上昇寸法と略等しい寸法Hだけ上昇し、静止ボール位置における床面からの軌条体の高さ寸法c1が大きくなり、その結果、図94に示すようにボール151と軌条体構成部材150a、150aとの幅方向の隙間寸法c2が小さくなって、幅方向のわずかな振れによっても軌条体構成部材がボールに接触し、直線的なスイングの行えない初心者、とりわけ円弧状軌道Sの半径が小さな打法を有する初心者等には使用できないという無視できない欠点がある。なお、図93は従来例の作動状態を示す側面図、図94は図93のC―C断面図である。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、パターに取り付けてスイングする場合、ヘッドを後方に引いてテークバックをとっても、静止ボール位置における軌条体の床面からの高さ寸法が、初期の構えた状態からそれほど大きく増加せず、従って軌条体と床面に静止したボールの隙間を大きく保ったまま、軌条体の幅方向振れを大きく許容しながら打撃練習を行い得るゴルフ練習具の提供を目的としている。
【0012】
本発明は、ボールを載置する軌条体と、該軌条体をパターのヘッド打撃面に対してその長手方向が略直角となるように、パターに取付け得るように構成された取付け手段を組み合わせ、
前記軌条体は所定寸法離間して略並行に配置された2個の軌条体構成部材からなり、
前記軌条体構成部材はその離間寸法がボールの直径より小さく、且つ前記軌条体にボールを載せた場合、該ボール底部が前記軌条体底部より下方に突出する寸法としたゴルフ練習具に関する。
請求項1の発明は、前記取付け手段と前記軌条体は、該軌条体の長手方向に所定長さを有する傾動部材の一端と他端を、それぞれ前記取付け手段と前記軌条体に傾動可能に連結してなる傾動機構を介して連結し、
前記取付け手段と連結した前記傾動部材の一端の連結部は、該傾動部材が前記取付け手段に対して所定範囲で上下方向に傾動し得るように構成すると共に、前記軌条体に連結した前記傾動部材の他端の連結部は、該傾動部材に対して前記軌条体が所定範囲で上下方向に傾動し得るように構成されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、前記傾動部材の少なくとも一部分が、前記軌条体として構成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、前記傾動機構には、前記取付け手段に対する前記傾動部材の前記上下方向の傾動角および/または前記傾動部材に対する前記軌条体の前記上下方向の傾動角を各別に規制し得る傾動角調節手段が設けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記傾動部材が前記取付け手段に対して前記軌条体の幅方向にも傾動し得るように構成されると共に、
前記軌条体は前記傾動部材に対して前記軌条体の幅方向にも傾動し得るように構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記傾動部材が弾性または可撓性を有する部材で構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記のように構成した本発明のゴルフ練習具は、パターに取り付けてボールの打撃練習を行う場合、ヘッドを後方に引いてテークバックをとっても、軌条体後部の床面からの上昇高さを低く抑えることができ、床面に静止したボールと軌条体構成部材の幅方向の隙間を大きく保つことができる。そして、前述したように、ボールと軌条体構成部材の幅方向の隙間を大きく保つことにより、スイング途上の軌条体すなわちヘッドの振れを大きく許容することができるので、ヘッドの軌道が安定しない初心者等にも使用しやすい練習具とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態例〕
図1〜図7は本発明の第1実施形態例であるゴルフ練習具を示す図であり、図1は右利き練習者が所持する通常のパター160のヘッド161に本発明のゴルフ練習具を取り付け、前方(x方向)へ打撃するべく構えた状態を示す側面図、図2は平面図、図3は図1のD―D断面図、図4は図1のE―E断面図、図5は基板と傾動部材および軌条体の関係を示す分解組立て斜視図、図6は作動を示す側面図、図7は図6のF―F断面図である。
【0015】
本ゴルフ練習具は、図1および図2に示すように2個の軌条体構成部材から成る軌条体と、該軌条体の後方(―x方向)にあって該軌条体を通常のパターのヘッドに取り付けることのできる取り付け手段と、該取り付け手段と前記軌条体を連結する傾動部材と、前記軌条体の先端に設けられたストッパー部材より成る。
【0016】
軌条体1は、後方から前方(x方向)に向かって略平行に伸びた2個の軌条体構成部材1a、1aで構成され、該軌条体1は凹状にわん曲している。このわん曲半径は、多くの練習者がスイングした場合にパターのヘッド161の底部が描く円弧状軌道Sの半径より適量大きい寸法に形成されている。2個の軌条体構成部材1a、1aはボール2の直径寸法より適量小さい間隔で配置され、その断面は、軌条体1上にボール2を載せた場合、図3に示すようにボール2の底部が軌条体1の底部から下方に向けて寸法aだけ突出するように構成される。
【0017】
また2個の軌条体構成部材1a、1aはその前端部がストッパー部材4により一体的に連結され、後端部は図5にも示すように軌条体の捩れ防止を兼ねた間隔保持部材5により一体的に連結されている。軌条体構成部材1a、1aの後方寄りの所定位置には図5にも示すようにリブ部材6、6aが勝手反対に立設され、該リブ部材6、6aにはそれぞれヒンジピン孔7、7aがz方向一直線上にあるように設けられる。なお、8、8は後述する使用時にヘッドのテークバック寸法を上方から視認するために軌条体構成部材1a、1aの上面に設けた目盛りである。
【0018】
軌条体1の後部には、前方が二股状に開き、底面が前記円弧状軌道Sと略等しい半径でわん曲した基板9が配置される。該基板9の両側部前端にはパターのヘッドの打撃面162を宛てがうための打撃面当接体10、10aが立設されている。該2個の打撃面当接体10、10aは平面的に見て軌条体1の中心線と略直角をなすz方向一直線上に配置される。打撃面当接体10、10aの両外側部にはそれぞれヒンジピン取り付けリブ部材11、11aが設けられ、該リブ部材11、11aにはそれぞれz方向一直線上にあるようにヒンジピン孔12、12aが設けられる。
【0019】
13、13aは前記軌条体1と前記基板9を連結する傾動部材である。該2個の傾動部材13、13aは、軌条体1の中心線に対して互いに勝手反対に構成されているので、説明は片側の傾動部材13のみについて行う。該傾動部材13は図5に示すように概ね軌条体1の長さ方向に沿うように配置されたアーム部材14と、該アーム部材14の前後に所定寸法だけ離れて設けられたヒンジピン孔15、16と、該ヒンジピン孔16の下方近傍から後方に延設されたストッパー座17とから構成されている。
【0020】
上記傾動部材13と前記基板9との連結は、傾動部材の孔16と前記基板の孔12に雄ネジ部を有する頭付きヒンジピン18を遊嵌し、片端にナット19を緩く螺入し、ビスとナットは接着剤等で固着して行われる。また傾動部材13と軌条体との連結も同様に傾動部材の孔15と前記軌条体構成部材1aのリブ部材6に設けた孔7に雄ネジ部を有する頭付きヒンジピン20を遊嵌し、片端にナット21を緩く螺入し、ビスとナットは接着剤等で固着して行われる。なお、傾動部材13aも上記と同様に基板の孔12aと傾動部材の孔16aに頭付きヒンジピン18aを、また傾動部材13aの孔15aとリブ部材に設けた孔7aに頭付きヒンジピン20aをそれぞれ遊嵌し、それぞれにナット19a、21aを螺入し、前記同様にビスとナットは接着剤等により固着する。
【0021】
上記のように連結された状態で、基板9と傾動部材13、13aおよび軌条体1は図1に示すようにボールを打撃するべく構えた初期状態にあり、該初期状態で傾動部材13、13aのストッパー座17、17aは基板9の底面に略平行に接しており、軌条体1の後端部上面は前記ストッパー部材17、17aの下面に接している。このように接するのは軌条体1の重心が前記ヒンジピン20、20aより前方(x方向)に位置するためである。また、前記初期状態で軌条体1のわん曲線の後端部の接線と、基板9のわん曲線の前端部の接線は略同じ傾きを有しており、この傾きは床面28に略平行になっている。
【0022】
上記のように連結された傾動部材13、13aは、基板9に対し図1に実線で示す初期状態からヒンジピン18、18aを軸として破線で示すように反時計方向には傾動自在であるが、上記実線で示す初期状態から時計方向への傾動はストッパー座17、17aが基板9の底面に当接しているので阻止される。また、軌条体1は傾動部材13、13aに対し、同図中に実線で示す初期状態からヒンジピン20、20aを軸として破線で示すように反時計方向には傾動自在であるが、上記初期状態からの時計方向への傾動は軌条体1の後端部がストッパー座17、17aに当接しているので阻止される。
【0023】
以下、上記構成のゴルフ練習具を通常のパターに取り付けてパッテイング練習を行う方法について説明する。まず、図1、図2に示すように、パター160のヘッド161の打撃面162を打撃面当接体10、10aに宛てがい、平面視でヘッド161の重心位置を軌条体1の中心線に一致させ、押さえ具22の前端をヘッドの後部上面に、また後端部の舌片23を基板9に設けられた多数個の角孔24…のいずれかに嵌め合わせ、基板9の下方から孔25を介して挿入したボルト26にローレットナット27をねじ込んで締め付ける。これにより基板9、軌条体1は共にパターヘッド161に摩擦固定され、練習者はパター160を振ることによって、基板9、軌条体1および傾動部材13、13aを一体的にスイングすることができる。
【0024】
つぎに2個の軌条体構成部材1a、1aの間の床面28上にボール2を置き、軌条体1の底部を床面28から微小寸法だけ浮かした状態で通常のパッティングを行うようにパターを構える。この状態で軌条体1の底部は図4に示すように床面28より微小寸法bだけ上方にあり、この寸法bは図3に示した寸法aより小さい。従ってボール2は2個の軌条体構成部材1a、1aには接触しない。
【0025】
つぎに、図6に示すようにヘッド161を後方(―x方向)に引いてテークバックをとるとヘッド底部は凹状の円弧状軌跡Sに沿って軌条体1と共に移動する。この円弧状軌跡Sの半径は練習者の身長、打法、姿勢等によって異なり、練習者固有のものである。しかしながら前記したように軌条体1のわん曲半径は、多くの練習者がスイングした場合のヘッド底部の描く円弧状軌道Sの半径より大きい。このためヘッドの後方への移動が進むにつれて軌条体1の底部はやがて床面28に接し、その後は床面28を擦りながらヘッドに引かれて後方に移動する。
【0026】
この移動につれて傾動部材13、13aは基板9に対しヒンジピン18、18aを軸として図6に破線で示した状態から実線で示した状態まで反時計方向に傾動し、また軌条体1は傾動部材13、13aに対しヒンジピン20、20aを軸として同図6に破線で示した状態から実線で示した状態まで反時計方向に傾動し、寸法Lのテークバックが終了する。このテークバック途上、床面に静止したボール2の下方側部をすり抜ける2個の軌条体構成部材1a、1aの下面までの、床面28からの高さは、通常の範囲では練習者の円弧状軌道Sがどのような半径であっても、常に図3で示した寸法aより小さくなる。従ってテークバック時に軌条体構成部材1a、1aボール2に接触することはなく、2個の軌条体構成部材1a、1aはテークバック開始から終了までボール2の下方側部をすり抜ける。なお、前記テークバックした寸法は軌条体構成部材1a、1aに設けた目盛り8、8により練習者が上方から視認できる。
【0027】
上記テークバック終了時点で床面28から軌条体1の後端部までの高さは図示のように寸法H1となり、該寸法H1は前記従来例で述べたテークバック終了時点の軌条体後端部の高さHより小さい。上記のようにテークバックを終了した時点で軌条体1の底部は床面28に接したままの状態にあり、床面に静止したままのボール2の位置における床面28から軌条体1までの高さ寸法はc3となる。そしてこの寸法c3もまた、前記寸法H1が小さい寸法であることから、前記従来例で述べた寸法c1より小さな寸法となり、図7に示すように静止ボール2に対するスイング途上の軌条体幅方向の許容振れ寸法c4が大きくなり、初心者等には極めて使用しやすくなる。
【0028】
つぎにヘッドを前方に振り出して床面に静止したままのボール2を打撃するが、この場合は上記テークバックの場合とは逆の過程をたどり、傾動部材13、13aと軌条体1は基板9つまりヘッドに押されて前方に移動する。この場合、軌条体1はボール2に接触することなく床面28を擦りながら移動する。そして軌条体1は傾動部材13、13aに対しては前記と反対に時計方向に傾動し、傾動部材13、13aも基板9に対しては時計方向に傾動して図1に示す初期状態にもどり、ヘッド161がボール2を打撃する。この打撃と同時に傾動部材13、13aは、ストッパー座17、17aが基板9の底面に接触し、それ以後の時計方向の傾動を阻止される。また軌条体1も、打撃と同時にその後部が前記ストッパー座17、17aの下面に接触するので、その後の時計方向の傾動を阻止される。
【0029】
打撃されたボール2は軌条体1に接触することなく、或る距離だけ床面28上を前方に転走する。このボール2の転走速度はヘッドと連動して振り出される軌条体1の速度より大きい。しかしながらヘッドに対する時計方向の傾動を阻止された軌条体1はヘッドの描く円弧状軌跡Sに沿って上昇しつづけるので、ボール2はやがて軌条体1に乗り上げ、2個の軌条体構成部材1a、1aに跨がって軌条体上を転走しはじめる。
【0030】
軌条体1上を転走しはじめたボール2はその後のヘッドの振り出しによって起こる軌条体1の前上がり勾配の増加によって制動され、軌条体1上で失速する。また、強く打撃した場合はボールは先端のストッパー部材4に衝突して失速する。軌条体1上で失速したボール2は2個の軌条体構成部材1a、1aに跨がって軌条体上を転がりながらヘッド161まで戻ってくる。
【0031】
本発明の第1実施形態例は上述したようなものであり、パターのヘッドに取り付けるだけで、面倒なボール収集等が不要となり、上方から見たヘッドの打撃面162に直角な軌条体1の中心線を打撃目標線に見立て、該打撃目標線に沿って軌条体ふらつかせず真っすぐに、繰り返しスイングするだけでパッティングの基本動作を簡単に習得することができる。
【0032】
〔第2実施形態例〕
図8〜図10は本発明の第2実施形態例であるゴルフ練習具を示す図であり、図8は部分側面図、図9は部分平面図、図10は前記同様に基板、傾動部材、軌条体の片側だけの関係を示す分解組み立て斜視図である。本実施形態例は傾動部材13、13aの一部を前記軌条体1を構成する軌条体構成部材1a、1aとして構成ししたもので、打撃後のボールが傾動部材より前方の軌条体から傾動部材と一体的に構成された軌条体に乗り換えて、ヘッドまで戻ってくるようにしたものである。
【0033】
上記図において、傾動部材13、13aは前記同様に軌条体1の中心線に対して互いに勝手反対の形状に構成されているが、説明は片側の傾動部材13のみについて行う。該傾動部材13は前記同様概ね軌条体1の長さ方向に沿うように配置されたアーム部材14と、該アーム部材14の前後に所定寸法だけ離れた位置に設けられたヒンジピン孔15、16と、該ヒンジピン孔16の下方近傍から後方に延設されたストッパー座17と、該ストッパー座17から前方に向けてヒンジピン孔15の所定寸法後方まで一体的に延設された軌条体構成部材1aとから構成されている。該軌条体構成部材1aのz方向の幅および高さ方向の厚さは傾動部材13より前方に設けられた軌条体構成部材1aのそれらと同じである。また傾動部材と一体的に設けられた軌条体構成部材のわん曲半径は、傾動部材より前方に設けられた軌条体構成部材1aのわん曲半径と略等しい。
【0034】
また傾動部材より前方に設けられた2個の軌条体構成部材1a、1aの後部には図10にも示すように、軌条体1の幅方向外側に向けて突出した突出部1bを設け、該突出部1bより所定寸法だけ前方には前記同様にヒンジピン孔7を有するリブ部材6が設けられる。
【0035】
上記のように構成された傾動部材13、13aの後部は前記同様に基板9の前端に傾動可能に連結される。この連結は前記同様に基板側のヒンジピン孔12、12aと傾動部材後部のヒンジピン孔16、16aにヒンジピン18、18aを挿通し、ナット19、19aを緩くねじ込んで接着することにより行われる。
【0036】
また傾動部材13、13aの前端は該傾動部材より前方に設けられた軌条体構成部材1a、1aの後部に傾動可能に連結される。この連結も前記同様に傾動部材の前端のヒンジピン孔15、15aと軌条体構成部材のリブ部材6、6aの孔7、7aに、ヒンジピン20、20aを挿通してナット21、21aを適度に緩く締め付け、接着剤により固着することにより行われる。
【0037】
上記のように構成された本実施形態例は、図8に実線で示すようにボール2を打撃するべく構えた初期状態において、基板9の前端部の接線と、傾動部材と一体的に構成された軌条体構成部材の後端部の接線とは、略同じ傾きを有し、また傾動部材と一体的に構成された軌条体構成部材の前端部の接線と、それより前方に設けられた軌条体構成部材1a、1aの後端部の接線も略同じ傾きを有している。
【0038】
以上のように構成された傾動部材13、13aは、基板9に対しヒンジピン18、18a軸として図8に実線で示す初期状態から破線で示すように反時計方向には所定角度自在に傾動し得るものの、時計方向の傾動は前記同様ストッパー座17、17aの基板下面への当接によって阻止されている。
【0039】
また傾動部材より前方に設けられた軌条体1も傾動部材13、13aに対しヒンジピン20、20aを軸として図8に実線で示す初期状態から破線で示すように反時計方向には自由に傾動し得るものの、時計方向への傾動は前記突出部1b、1bがアーム部材14、14aの下面29、29に当接しているので阻止される。なお、上記初期状態において、傾動部材の前方に設けられた軌条体構成部材1a、1aの上下面は、傾動部材と一体的に構成された軌条体構成部材1a、1aの上下面と略一致しており、傾動部材より前方に設けられた軌条体構成部材1a、1aの後端部と、傾動部材と一体的に設けられた軌条体構成部材1a、1aとは微小な隙間dを介して実質的に繋がっている。また、傾動部材13、13aと一体的に設けられた軌条体構成部材1a、1aの間隔は、傾動部材より前方に設けられた2個の軌条体構成部材1a、1aの間隔と略等しい。
【0040】
本実施形態例は上記のように構成されており、前記同様ボールを打撃するべく構えた初期状態で傾動部材に設けられた2個の軌条体構成部材がボールに接触することはなく、またテークバック時に傾動部材が傾いても、該傾動部材に設けられた軌条体構成部材が床面に静止したボールに接触することなく後方に移動することができるので、前記第1実施形態例と同様の作用効果を奏する。なお打撃後、軌条体上で制動されたボールは前方の軌条体構成部材1a、1aから微小隙間dを跨ぎ、傾動部材に設けられた軌条体構成部材1a、1aに跨がってヘッド中心まで戻ってくる。
【0041】
〔第3実施形態例〕
図11は本発明の第3実施形態例の一部を示す図で、前記同様に片側のみの傾動部材と基板及び軌条体構成部材の関係を示す分解組立て斜視図である。同図に示すように本実施形態例の傾動部材13、13aは、前記図10に示した第2実施形態例の傾動部材からアーム部材14、14aを削除し、傾動部材13、13aを軌条体構成部材1a、1aだけで構成したものである。すなわち本実施形態例では、傾動部材を後方部分の軌条体1として構成している。
上記のように構成された本実施形態例も前記第2実施形態例と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0042】
〔第4実施形態例〕
図12〜図14は本発明の第4実施形態例を示す図であり、図12は前記同様ボールを打撃するべく構えた状態を示す部分側面図、図13は部分平面図、図14は基板、傾動部材、軌条体の片側のみの関係を示す分解組立て斜視図である。
【0043】
本発明のゴルフ練習具を用いて打撃練習を行う場合、前記したように打撃されたボール2は打撃位置から前方に或る距離だけ軌条体1に接触することなく床面を転走して軌条体1に乗り上げる。従って本発明ゴルフ練習具は、パターヘッドの打撃面162から前方に向けた或る区間には、軌条体1は必ずしも必要なものではない。本実施形態例はこうしたことを踏まえて、パターヘッドの打撃面162から前方に向けた所定区間は軌条体1を設けず、この区間は基板9と軌条体1を傾動部材だけで連結したものである。
【0044】
上記図12〜図14において、傾動部材13、13aは前記第2実施形態例(図8〜図10)で述べた傾動部材から、該傾動部材と一体的に構成された軌条体構成部材1a、1aだけを省いたものであり、その他はすべて前記第2実施形態例の傾動部材と同じである。なお、軌条体構成部材1a、1aの後端1a′、1a′は打撃されて床面28を転がったボール2が軌条体構成部材1a、1aに接する部位30、30より適当寸法だけ後方(―x方向)に位置している。なお上記以外は前記実施形態例と同じである。本実施形態例は以上のように構成されており、前記実施形態例と同様の作用効果を奏する。なお、本実施形態例では打撃後軌条体上で制動されたボールはヘッドまで戻って来ず、軌条体構成部材の後端1a′、1a′の部分で床面28に落下し惰性でヘッドまで戻ってくる。
【0045】
〔第5実施形態例〕
図15〜図19は本発明の第5実施形態例であるゴルフ練習具を示す図であり、図15は部分側面図、図16は部分平面図、図17は片側だけの傾動部材周辺を示す部分斜視図、図18、図19は作動状態を示す側面図である。本実施形態例においては、軌条体の長さ方向に所定の長さを有する傾動部材13、13aは、上下方向に適度な弾性を有する厚さの薄いバネ鋼、リン青銅、樹脂等で構成される。該傾動部材13、13aのアーム部材31、31aは前記初期状態において2個の軌条体構成部材1a、1aのわん曲線に沿って略並行して配置され、その先端はビス35、35aにより軌条体構成部材1a、1aの突出部34、34aの上面に固着されている。また傾動部材13、13aの後端は立ち上がり部32、32aを介してビス33、33aにより前記基板1の打撃面当接体10、10aに固着されている。本実施形態例の場合も前記同様に図15に示すように、ボール2を打撃するべく構えた初期状態において、基板1の前部底面の接線と軌条体1の後部の接線の傾きは略等しくなるように構成され、この初期状態で軌条体1の後部上面は基板9の底面に接している。上記以外は前記第1実施形態例(図1〜図7)と略同じである。
【0046】
つぎに本実施形態例の作用について述べると、前記同様にボールを打撃するべく構えた図15の初期状態からヘッド161を後方(―x方向)に引いてテークバックをとると、軌条体1のわん曲半径が練習者の前記円弧状軌道Sより大きいので、図18に示すように軌条体1はテークバックが進むにつれて床面28に接し、ヘッド161つまり基板9に対しては反時計方向に傾動しながらヘッドに引かれて後方に移動する。この傾動は基板9に対する傾動部材13、13aの撓みによる反時計方向の傾動と、傾動部材13、13aに対する軌条体1の反時計方向の傾動(この傾動は傾動部材の撓みによって生じる)が加算されて起こるもので、このように撓んだ状態では、該傾動部材13、13aの撓み曲線の半径は軌条体のわん曲半径より小さくなるため、テークバック終了時点における軌条体後部の床面28からの高さ寸法H2は、基板9の床面28からの高さ寸法Hより小さくなる。従って本実施形態例の場合も、テークバック終了時点での床面上に静止したボール位置における軌条体1床面からの高さ寸法は前記従来例より小さくなり、前記第1実施形態例と同様にテークバック終了時点における軌条体と静止ボールとの軌条体幅方向の隙間寸法を多く確保することができ、軌条体幅方向の振れを大きく許容できる。
【0047】
つぎにヘッドを前方に振り出してボール2を打撃するが、この場合は前記テークバック時とは逆に過程をたどり、傾動部材13、13aは自身の弾性により小さくなったわん曲半径を元の状態に戻しながら軌条体と共に前方に移動して初期状態に戻り、ボール2を打撃する。打撃されたボールは前記同様に軌条体に接触することなく或る距離だけ前方に転がった後、円弧状軌道Sに沿って上昇してくる軌条体に接触して乗り上げる。この乗り上げた時点でボール重量により軌条体は前記初期状態に比べ、基板に対してはわずかに時計方向に傾動し、その後は図19に示すように、その時計方向に傾動したままの状態で前方に振り出される。軌条体上で制動されたボールは前記同様に軌条体上を転がってヘッドまで戻ってくる。
【0048】
本実施形態例は上記したように前記実施形態例と略同様の作用効果を奏するものであるが、特に本実施形態例のものは打撃されたボールが床面を転がって、軌条体1に乗り上げた瞬間に、その衝撃力やボールの重量で傾動部材が弾性変形し、軌条体1が時計方向に傾動するので、打撃直後の不快な衝撃を吸収、緩和できるという優れた特徴を有している。
【0049】
〔第6実施形態例〕
図20〜図22は本発明の第6実施形態例であるゴルフ練習具を示す図であり、図20は前記同様に両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図、図21、図22は作動を説明する側面図である。本実施形態例は図20にも示すように前記第5実施形態例(図15〜図19)と同様な弾性を有する傾動部材13、13aの所定位置に、図示のように上方に向けて突出したループ36、36を設け、該ループの下端37、37が初期状態において互いに接触しているように構成したものである。なお、本実施形態例において上記以外はすべて前記第5実施形態例(図15〜図19)と同じである。
【0050】
上記のように初期状態で下端37、37が互いに接触したループ36は、同じ力を加えてもループが閉じる方向に力を加えた場合には撓みが生じにくく、反対にループを開く方向に力を加えた場合には撓みが生じやすいという特徴がある。
【0051】
本実施形態例をなすゴルフ練習具は上記のように構成されており、使用に際し、前記同様にボールを打撃するべく構えた状態からヘッドを後方に引いてテークバックをとった場合は、前記円弧状軌道Sの半径より軌条体のわん曲半径が大きいので、図21に示すようにループ36、36が開く方向に傾動部材13、13aが撓んで傾動するので、わずかな力で傾動し、従ってテークバック時に傾動部材を傾動させるための反力がそれほど大きく手元に伝わってこないという特徴を有している。また打撃後においてボールが軌条体に乗り上げた場合は図22に示すようにループ36、36が閉じる方向に傾動部材が撓むので、ボール重量等による軌条体の前下がりの撓みが生じにくく、従ってボールに大きな制動力を作用させることができる。
【0052】
なお、上記第6実施形態例では傾動部材に略円形のループを設けた構成例を述べたが、同様の作用効果を奏するループの形状は他にもいろいろなものが容易に考えられる。
【0053】
また上記第6実施形態例ではループ36の下端37、37が前記初期状態で接触しているように構成し、これによってテークバック時と打撃後における傾動部材のバネの強さを変えるようにした構成例を述べたが、ループ36、36は必ずしも初期状態で下端を接触させておく必要はなく初期状態においてループの下端を離間させておくこともできる。このように初期状態で下端を離間させたループは通常のようにテークバック時、打撃後共に柔らかいバネとして作用し、テークバック時には傾動部材を傾動させるための反力が手元に伝わって来ず、また打撃後は軌条体にボールが乗り上げたときの衝撃を和らげることができる。
【0054】
〔第7実施形態例〕
図23〜図25は本発明の第7実施形態例を示す図で、図23は前記同様に両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図、図24、図25は作動状態を示す側面図である。本実施形態例の場合も傾動部材は軌条体の中心線の両側に勝手反対のものが2個設けられているが、説明は片側の傾動部材のみについて行う。
本実施形態例においては、傾動部材13は前記同様に上下方向に適度な弾性を有する厚さの薄いバネ鋼、リン青銅、樹脂等で構成され、図23に示すように軌条体の長さ方向に所定の長さを有するように構成される。該傾動部材13は図23に示すように傾動上部材38と傾動下部材39を略重ね合わせるように前端の折り返し部40で折り返して構成されており、傾動上部材38の後端は前記同様に立ち上がり部32を介してビス33により前記打撃面当接体10に固着されている。また傾動下部材39の後端には軌条体幅方向内側に向けて突出した突出部42が設けられ、該突出部42と軌条体構成部材1aはビス41により固着されている。
【0055】
本実施形態例は上記したように構成されており、使用に際して先ずヘッドを後方に引いてテークバックをとると、傾動部材13、13aは概ね図24に示すように傾動して弾性変形し、テークバック終了後の床面28からの軌条体1の後部までの高さ寸法H3は、前記同様に床面からのヘッド161の高さ寸法より小さくなる。
【0056】
つぎにヘッドを前方に振り出してボールを打撃するが、打撃後は軌条体とボールの重量で、傾動部材13、13aは概ね図25に示すように傾動して弾性変形し、打撃後における床面からの軌条体の高さ寸法を、違和感のない程度に低く抑えることができ、ボールが乗り上げた瞬間の軌条体への衝撃を和らげることもできる。なお、本実施形態例の場合は、傾動部材を弱いバネとして構成できるので、バネの強さを適切に選択することにより、打撃後において軌条体が床面から殆ど上昇せず、ヘッドの振り出しにつれて床面を擦りながら前方に移動し得るように構成することもできる。
【0057】
〔第8実施形態例〕
図26、図27は本発明の第8実施形態例のゴルフ練習具を示す図であり、図26は前記同様に両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図、図27は作動状態を示す側面図である。本実施形態例の場合も傾動部材は軌条体の中心線の両側に勝手反対のものが2個設けられているが、説明は片側の傾動部材のみについて行う。
上記図について説明すると、傾動部材13はゴム、皮革、樹脂等のように可撓性、屈曲性を有する材料で構成され、該傾動部材13の前部と後部には下面から上方に向けて所定の高さまで切れ目43、44が設けられている。該切れ目43、44は例えばカミソリの刃で切り込んだ切れ目のように実質的に隙間がない。傾動部材13の後端面は基板9の前記打撃面当接体10の側部から軌条体幅方向外側に向けて突出させた突出部47の前面に接着剤46により固着され、また傾動部材の前端部下面は軌条体構成部材1aから軌条体幅方向外側に向けて突出させた前記同様の突出部34の上面に接着剤45により固着されている。なお、本実施形態例のものは図26に示した初期状態で基板9の前部底面の接線と軌条体1の後部の接線の傾きは略等しくなるように構成され、この初期状態で軌条体1の後部上面は基板9の底面に接している。
【0058】
上記のように構成された第8実施形態例の傾動部材13は、図26に示す初期状態からの基板に対する反時計方向の傾動は図27に示すように切れ目44が開くので小さな力で行い得るが、時計方向の傾動は切れ目44が塞がれるので大きな力を必要とする。また、傾動部材13に対する軌条体の傾動も、同図27に示すように反時計方向には切れ目43が開くので小さな力で行い得るが、時計方向の傾動は切れ目43が塞がれるのて大きな力を必要とする。従って上記のように構成された本実施形態例も前記第6実施形態例(図20〜図22)と略同様の作用効果を奏するものである。
【0059】
〔第9実施形態例〕
図28、図29は本発明の第9実施形態例を示す図で、図28は前記同様に両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図、図29は作動状態を示す側面図である。図28に示すように本実施形態例の傾動部材は、前記第8実施形態例(図26〜図27)の傾動部材の切れ目43、44の間に、更に同様の切れ目48を追加して設けたものである。このように3個の切れ目を設けた傾動部材は、テークバック時には図29に示すように3個の切れ目が開いて小さな力で傾動するので、テークバック時に手元に伝わってくる傾動部材を傾動させるための反力をより一層少なくすることができる。
【0060】
なお、上記のようにゴム、皮革、樹脂等のような可撓性や屈曲性を有する材料を用いて傾動部材を構成する場合、図30に示すように前記同様の切れ目49を傾動部材の略全長にわたり所定のピッチで多数個設けてもよい。このように構成したものは、テークバック時には、同図中に破線で示すように多数個の切れ目49…が開いて前記同様の傾動が行われるので、テークバック時の反力が練習者の手元に殆ど伝わってこないという利点を有している。
【0061】
また更に、上記したように傾動部材をゴム、皮革、樹脂等のような可撓性、屈曲性を有する材料を用いて構成する場合、前記切れ目は必ずしも必要ではなく、傾動部材の形状や寸法、材質等を適切に選択することにより、特に切れ目を設けなくても傾動部材自身の撓みにより該傾動部材を基板に対し前方が上下動する方向に傾動させることができ、また傾動部材に対しても軌条体を前方が上下動する方向に傾動させることができるので上記した実施形態例と同様の作用効果を奏させることができる。
【0062】
〔第10実施形態例〕
図31は本発明の第10実施形態例を示す図であり、同図は前記同様に両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図である。なお、本実施形態例の場合も傾動部材は軌条体の中心線の両側に勝手反対のものが2個設けられているが、説明は片側の傾動部材のみについて行う。
図31について説明すると、軌条体の長さ方向に所定の長さを有する傾動部材13は、前記同様にゴム、皮革、樹脂等のような可撓性、屈曲性を有する材料で構成され、該傾動部材13は図示するように傾動上部材50と傾動下部材51を略重ね合わせるように前端の折り返し部52で折り返して構成されている。傾動上部材50の後端は立ち上がり部54を介して接着剤46により、打撃面当接体10から外方に突出させた前記突出部47に固着されている。また傾動下部材51の後端には軌条体幅方向内側に向けて突出した突出部53が設けられ、該突出部53と軌条体構成部材1aは接着剤46により固着されている。
【0063】
上記のように傾動部材を構成しても、ゴム、皮革、樹脂等の材料、形状を適切に選択することにより、テークバック、ヘッドの振り出し時には傾動部材が概ね前記第7実施形態例で述べた図24、図25のように撓んで変形し、この撓みによって傾動部材を基板に対し上下方向に傾動させることができ、また傾動部材に対しても軌条体を上下方向に傾動させることができるので、前記第7実施形態例(図23〜図25)と略同様の作用効果を奏させることができる。
【0064】
〔第11実施形態例〕
図32は本発明の第11実施形態例を示す図で、同図は前記同様両側に設けられた2個の傾動部材のうち片側のみの傾動部材の周辺を示す部分斜視図である。なお、本実施形態例の場合も傾動部材は軌条体の中心線の両側に勝手反対のものが2個設けられているが、説明は片側の傾動部材13のみについて行う。図32について説明すると、前記同様打撃面当接体10から外方に突出させた前記突出部47の前面には、接着剤46により、ゴム、皮革、樹脂等のように屈曲可能な材料で形成された後部部材55が固着されている。また、後部部材55より所定寸法だけ前方に位置する前記軌条体構成部材の突出部34には前記同様にゴム、皮革、樹脂等のように屈曲可能な材料で形成された前部部材56が接着剤46により固着されている。上記後部部材55と前部部材56は軌条体1に沿うように配置されたアーム部材57で連結され、この連結は後部部材55、前部部材56に設けた孔にそれぞれアーム部材57の後端部、前端部を所定寸法だけ差し込み、図示しない接着剤で固着して行われている。
【0065】
本実施形態例の傾動部材は上記のように、アーム部材57の後端が屈曲性を有する後部部材55を介して基板9に連結され、また前端も屈曲性を有する前部部材56を介して軌条体1に連結されているので、基板9に対するアーム部材57の上下方向の傾動は後部部材55の屈曲によって行うことができ、またアーム部材57に対する軌条体1の上下方向の傾動も前部部材56の屈曲によって行うことができるので、上記のように構成された傾動部材も前記第1実施形態例(図1〜図7)と同様の作用効果を奏する。
【0066】
〔第12実施形態例〕
図33〜図35は本発明の第12実施形態例を示す図で、図33は部分側面図、図34は部分平面図、図35は片側のみの傾動部材と基板、軌条体との関係を示す分解組立て斜視図である。本実施形態例は前記第1実施形態例と同様に、傾動部材13、13aが基板9に対し前方が上下動する方向に傾動し、また該傾動部材に対し軌条体1も上下動する方向に傾動するように構成することに加えて、更に傾動部材の前方と後方にそれぞれ略高さ方向(y方向)のヒンジピンを設け、基板9に対して軌条体1が幅方向(z方向)にも自在に揺動できるようにし、練習時のスイングの不正を軌条体の幅方向の揺動によって視認できるようにしたものである。
【0067】
本実施形態例の場合も、傾動部材13、13aは図34に示すように軌条体の中心線の両側にそれぞれ勝手反対の形状のものが設けられているが、説明は片側の傾動部材13のみについて行う。上記図について説明すると、基板9に設けられたヒンジピン取り付けリブ11に設けられたヒンジピン孔12と、軌条体構成部材1aに設けられたリブ部材6のヒンジピン孔7とは前記同様に傾動部材13を介して連結される。該傾動部材13は、アーム14と、該アーム14の前端部に設けられた前部ブロック58と、後端部に設けられた後方部材64より成る。前部ブロック58にはz方向と略y方向に直交する雌ネジ穴60、59がそれぞれ設けられ、雌ネジ穴60には前記同様に軌条体構成部材1aに設けられたリブの孔7に挿通したヒンジピンとしてのビス20が適度に緩くねじ込まれ、雌ネジ孔60とビス20は接着剤により固着される。また前部ブロック58の雌ネジ穴59には、アーム14の前端に設けた孔62に挿通したビス63が適度に緩くねじ込まれ、該雌ネジ孔59とビス56も接着剤により固着される。
【0068】
上記傾動部材13を構成する前記後方部材64は、底部に前記同様のストッパー座17を有し、立ち上がり部65の上方にはヒンジピン孔66が設けられる。また立ち上がり部65の前方外側部には後部ブロック67が接着剤70により一体的に固着され、該後部ブロック67の上面には雌ネジ孔68が設けられている。該雌ネジ孔68にはアーム14後端の孔69に挿通したビス71が適度に緩くねじ込まれ、ビスと雌ネジ孔は前記同様に接着剤により固着される。また前記立ち上がり部の後方の孔66と前記打撃面当接体10に設けたヒンジピン孔12には前記同様にヒンジピン18が挿通され、ナット19により適度に緩く締め付けた後、ヒンジピン18とナット19は接着剤により固着される。
【0069】
上記のように構成された本実施形態例は、図33の側面図に示すように、傾動部材13は基板9に対し同図に示す初期状態から反時計方向にはヒンジピン18を軸として傾動が自由に行い得るものの、時計方向の傾動は前記ストッパー17が基板9の底面に当接しているので阻止される。また、傾動部材13に対して、軌条体1はヒンジピン20を軸として反時計方向の傾動は自由に行い得るものの、時計方向の傾動は軌条体1の後端が前記ストッパー座17の下面に当接しているので阻止される。
【0070】
そして更に、本実施形態例はビス71、71aを軸として傾動部材13、13aが略並行を保ったままで基板に対し軌条体の幅方向にも傾動が可能であり、また軌条体1が傾動部材13、13aに対し、ビス63、63aを軸として幅方向に傾動が可能であることから、図34に破線で示すように基板9の中心線に対し軌条体1は幅方向に揺動することができる。この揺動は上記ヒンジピン18、18aを軸とした基板に対する傾動部材の傾動、及びビス20、20aを軸とした傾動部材に対する軌条体の傾動途上、すなわちボールを打撃するためのスイング途上にも行い得る。
【0071】
以上のことから本実施形態例のゴルフ練習具は打撃練習に際し、不正なスイングを行った場合にはスイング途上において基板の中心線と軌条体の中心線が幅方向にずれるので、練習者は不正なスイングを眼下に視認することができる。
【0072】
すなわち、打撃に先だって軌条体の中心線を打撃目標線に見立て、該中心線と基板の中心線(ヘッドの中心線)が上方から見て一線上にあるように構え、ヘッドを目標方向に真っすぐスイングするが、このスイング途上にヘッド中心線が軌条体の中心線から幅方向に逸脱することなく、正しくスイングされた場合は傾動部材の前記幅方向の傾動は行われず、ヘッド振り出し後も両中心線は一致したままであり、練習者はそのスイングの正しさを視認することができる。しかしながら、テークバックからボール打撃に至る一連のスイング途上でヘッド中心線が上方から見て軌条体中心線から幅方向に逸脱した場合は、床面と該床面を擦っている軌条体との間に摩擦力があるので、傾動部材が幅方向に傾動してヘッド中心線が軌条体中心線からずれ、該ずれ量がそのまま打撃後軌条体が床面を離れた後の両中心線の食い違い量として残るので、ヘッドまで戻ってきたボール中心とヘッド中心線との食い違い寸法を見ることによって、練習者はスイングの不正、とりわけ軌条体が床面を離れる瞬間、すなわち打撃瞬間のヘッドの打撃目標線からの不正なずれ量を視認することができる。
【0073】
なお、本実施形態例においては、上記のような基板に対する傾動部材の幅方向の自由な傾動を禁止し、これまで述べてきた実施形態例と同様に使用することもできる。このように傾動部材の幅方向の傾動を禁止するには図33、図35に示すように、傾動部材13の前方に設けた孔114と前方ブロック58に設けた雌ネジ孔135の中心を合致させて、該雌ネジ孔135に雄ネジ部を有する幅方向傾動禁止ピン106をねじ込めばよい。これにより基板に対する傾動部材の幅方向の傾動、傾動部材に対する軌条体の幅方向の傾動が共に禁じられ、このように禁じられた本実施形態例は前記第1実施形態例(図1〜図7)と同様の作用効果を奏する。
【0074】
〔第13実施形態例〕
図36は本発明の第13実施形態例を示す図で、片側の傾動部材13の近傍のみを示す分解組立て斜視図である。本実施形態例の場合も傾動部材は軌条体中心線の両側にそれぞれ勝手反対のものが設けられているが、説明は片側のものについてのみ行う。傾動部材13はバネ鋼、リン青銅、或いは樹脂等のような弾性を有する材料で形成され、図示するように軌条体長手方向に適度に長く形成されたアーム部材14は高さ方向(y方向)には所定の高さ寸法を有しながらも、軌条体幅方向(z方向)には薄い厚さ寸法を有し、僅かな力で同図36に破線で示すように軌条体幅方向に撓むように構成されている。傾動部材13後端の下部には前記同様のストッパー座17を有し、立ち上がり部72の上部には前記同様にヒンジピン孔16が設けられる。該ヒンジピン孔16の前方(x方向)には所定長さのアーム部材14が軌条体長手方向に一体的に延設され、その前端にはヒンジピン孔15が設けられている。
【0075】
軌条体構成部材1a後方寄りには前記同様にヒンジピン孔7を有するリブ部材6が設けられ、傾動部材13の前端は軌条体の後方寄りに連結される。この連結は前記同様傾動部材の前端のヒンジピン孔15と前記リブ部材の孔7にヒンジピン20を挿入してナット21を緩くねじ込み、ビスとナットを接着剤で固着することによって行われる。
【0076】
また傾動部材の後方はヒンジピン18により基板9に連結される。この連結も前記同様に傾動部材の後部に設けたヒンジピン孔16と基板9のヒンジピン孔12に挿入されたヒンジピン18にナット19を緩くねじ込み、ビスとナットを接着剤で固着することによって行われる。
【0077】
上記のように構成された本実施形態例の傾動部材13、13aは上下方向(y方向)には軌条体の重量やボール重量によっても変形しない適度な剛性を有しながらも、軌条体幅方向(z方向)には僅かな力によっても撓み、この撓みによって軌条体の長手方向中心線と基板の同方向の中心線がずれるので、前記同様基板の中心線が軌条体中心線から逸脱するような不正なスイングを行った場合は、ボール打撃後、軌条体が床面を離れた後に傾動部材自身の復元力で軌条体だけが幅方向にゆらゆらと揺動する。従って練習者はこの揺動によって不正なスイングを眼下に視認することができる。
【0078】
〔第14実施形態例〕
図37〜図40は本発明の第14実施形態例を示す図で、図37は前記同様に初期状態を示す部分側面図、図38は部分平面図、図39は図37のG―G断面図、図40は傾動部材の近傍を示す分解組み立て斜視図である。本実施形態例は前記した各実施形態例のように、傾動部材を軌条体中心線の両側に設けず、上方から見て軌条体の略中心に1個だけ設けたものである。
【0079】
上記図において、軌条体1の後方寄りには、2個の軌条体構成部材1a、1aのそれぞれにビス73a、73aで両端を固着されたトンネル状の連結部材73が設けられ、該連結部材73の略中央の上部にはz方向のヒンジピン孔74を有するリブ部材75が固着されている。また、基板9の前端に立設された打撃面当接体10、10aは、その上端が略水平に前方に向けて折曲され、該折曲部76の略中央には、z方向のヒンジピン孔77を有するリブ部材78が立設されている。また前記折曲部76の略中央部には所定長さだけ前方に向けて突出したストッパー座79が設けられる。
【0080】
13は軌条体の長さ方向に所定の長さを有する傾動部材であり、該傾動部材13を構成するアーム部材14の前端と後端にはそれぞれヒンジピン孔80、81が設けられる。基板9と軌条体1は前記同様に傾動部材13を介して連結される。この連結は傾動部材の前端のヒンジピン孔80とヒンジピン孔74に、ヒンジピンとしてのビス82を挿通しナット83を緩く締めた後ビスとナットを接着剤で固着すること、及び傾動部材13の後端のヒンジピン孔81とヒンジピン孔77に、ヒンジピンとしてのビス84を挿通しナット85を緩く締めた後、同様にビスとナットを接着剤で固着することによって行われる。
【0081】
上記のように構成された本実施形態例は、図37に実線で示すようにボールを打撃するべく構えた初期状態から、傾動部材13は基板9に対しヒンジピン84を軸として破線で示すように反時計方向の傾動は自在であるが、時計方向の傾動は前記ストッパー座79の上面に傾動部材の後方下面が接しているので阻止される。また、軌条体1も傾動部材13に対しヒンジピン82を軸として同図37に実線で示した位置から反時計方向の傾動は自在であるが、時計方向の傾動は軌条体1の後端部上面が基板9に接しているので阻止される。
【0082】
本実施形態例は上記のように構成されており、前記第1実施形態例と同様の作用効果を有する。なお本実施形態例においては、特に軌条体の長さ方向に所定の長さを有する傾動部材13を上方から見て軌条体1の中心線と一致するように配置しているので、打撃練習に際し、傾動部材13を上方から見た直線が床面に静止したボール2の中心を逸脱しないようにスイングするだけで、パッティングの規範とされる直線的な打法が習得できるという利点がある。
【0083】
また、本実施形態例においては、傾動部材13が1個であるため、該傾動部材を前記第13実施形態例(図36)で述べたように、鉛直方向(y方向)には適度な剛性を有しながらも、軌条体1の幅方向(z方向)には僅かな力で撓むように構成しておけば、スイングの不正を一層厳密に上方から視認できる。すなわち、前記第13実施形態例(図36)の場合は不正スイングをした場合、上方から見て、軌条体1の中心線と基板9の中心線は略平行を保ったまま軌条体幅方向にずれるだけであるが、本実施形態例の場合は傾動部材13が1個であるため軌条体の中心線と基板の中心線が互いに交差するように撓んで折れ曲がるので、不正スイングが極めて視認しやすいという利点がある。
【0084】
〔第15実施形態例〕
図41〜図50は本発明の第15実施形態例を示す図で、図41は側面図、図42は図41のI―I断面図、図43は前記同様片側のみの傾動部材の近傍を示す分解組立て斜視図、図44は傾動角調節手段の作動を示す側面図、図45は作動を示す側面図、図46は傾動角調節手段の作動を示す側面図、図47は作動を示す側面図、図48、図49は傾動角調節手段の作動を示す側面図、図50は作動を示す側面図である。
【0085】
本実施形態例は、基板すなわち取付け手段に対する傾動部材の上下方向の傾動角、及び傾動部材に対する軌条体の上下方向の傾動角をそれぞれ独立に調整し得る傾動角調節手段を設けたものである。これら傾動角調節手段は傾動部材13、13aと共に軌条体の中心線の両側にそれぞれ勝手反対のものが設けられているが、説明は片側の傾動角調節手段及び傾動部材のみについて行う。
【0086】
上記図について説明すれば、図41に示すように本実施形態例も基板9と軌条体1は傾動部材13を介して連結されており、該傾動部材の前端は前記同様にヒンジピン20を介して軌条体の後方寄りに設けたリブ6に連結されている。また傾動部材13の後端はヒンジピン18を介して基板9に設けたヒンジピン取り付けリブ部材11に連結されている。また本実施形態例では軌条体1の後端部は図41に示すように基板9の前端部よりわずかに前方に位置しており、軌条体の所定位置には図42に示すように2個の軌条体構成部材1a、1aの間隔を保持するためのトンネル状の補強部材86が設けられ、該補強部材によって2個の軌条体構成部材1a、1aを連結している。87、87は補強部材86を軌条体構成部材1a、1aに固着するためのビスである。
【0087】
傾動部材13の後方には、基板9に対する傾動部材13の傾動角を調節するための傾動部材傾動角調節手段88が設けられている。該傾動部材傾動角調節手段88は図43にも示すように、傾動部材13の後方に設けた孔89と、円弧状長孔91を有する円弧状調節部材90と、長孔91及び孔89に挿通するビス92とローレットナット93とで構成される。
【0088】
また更に、傾動部材13の所定位置には該傾動部材13に対する軌条体1の傾動角を調節するための軌条体傾動角調節手段94が設けられている。該軌条体傾動角調節手段94は図43にも示すように、傾動部材13の所定位置に設けられた孔95と、片端に孔96、他端に内側に向けてストッパーピン97が固着された調節部材98、及び傾動部材の孔95と調節部材の孔96に挿通し得るビス99と、該ビス99にネジ込み得るローレットナット100で構成されている。
【0089】
本実施形態例は以上のように構成されており、上記した傾動部材傾動角調節手段88と軌条体傾動角調節手段94を調節することにより、以下に述べる第1、第2、第3、第4の方法を用いて練習を行うことができ、練習者は各自の好みに合わせてボール打撃後の基板9に対する軌条体1の姿勢をいろいろに変化させることができる。
【0090】
すなわち、先ず第1の方法で練習を行う場合は、使用に先立って傾動部材傾動角調節手段88と軌条体傾動角調節手段94を図41に示すように調節する。すなわち図41のような調節とは、基板前端の底面の接線と軌条体後端の接線が略同じ傾きを有している初期状態で、調節部材90の下端101が打撃面当接体10から外側に突出した前記突出部47の前面に接し、且つ調節部材98のストッパーピン97が軌条体構成部材1a、1aの上面に接している状態である。このための調節部材90の調節はローレットナット93を緩め、円弧状の長孔91を用いて調節部材90を所定の角度回転させ、再びローレットナット93を強く締め、調節部材90を傾動部材13に固定することによって行われる。
また、調節部材98の調節はローレットナット100を緩め、調節部材をビス99を軸として所定角回転させ、再びローレットナット100を強く締めて、調節部材98を傾動部材13に固定することによって行われる。
【0091】
上記のように調節された本実施形態例の傾動部材13は、図41に示す状態から基板9に対し、ヒンジピン18を軸として反時計方向には傾動が可能であるが時計方向の傾動は調節部材90の下端101が打撃面当接体10の突出部47の前面に当接しているので阻止される。また、軌条体1も図41に示す状態から傾動部材13に対しヒンジピン20を軸として反時計方向には傾動は可能であるが、時計方向の傾動は調節部材98のストッパーピン97が軌条体構成部材1aの上面に当接しているので阻止される。従って上記のように傾動部材傾動角調節手段88及び軌条体傾動角調節手段94を調節した本実施形態例は前記第1実施形態例(図1〜図7)と同様の作用効果を奏する。
【0092】
つぎに、第2の方法により練習を行う場合は、使用に先だってローレットナット93を緩め、図44に示すように調節部材90を反時計方向に所定角度回転し、再びローレットナット93を締め付けて調節部材80を傾動部材13に固定する。これにより傾動部材13は前記同様に反時計方向の傾動が可能であると共に、同図44に破線で示す初期状態の位置から実線で示す位置までの角度θ1だけは時計方向の傾動が可能となり、それ以上の時計方向の傾動は調節部材90の下端101と前記突出部47との接触によって阻止される。
【0093】
上記のように調節部材90を調節した本実施形態例は、打撃練習に際し図45に示すように傾動部材13の基板9に対する時計方向の傾動の阻止が、ボール打撃の瞬間より遅れて起こるので、図45に実線で示すように打撃後も軌条体が床面28に接している時間が長くなり、打撃されたボール2が床面を転がる距離が長くなる。また、ヘッド振り出し後も同図45に破線で示すようボール2が低い位置にある軌条体1上を転がるので実技に近い感じが得られ、違和感がないという利点がある。
【0094】
つぎに第3の方法で練習を行う場合は、使用に先だって前記図44に示したように傾動部材13を初期状態から角度θ1だけ時計方向に傾動可能に調節部材90を調節することに加えて、さらに図46に示すように調節部材98を回転し、ストッパーピン97を所定寸法だけ上方に移動する。この調節は前記同様にローレットナット100を緩めて調節部材98を回転し、再びローレットナット100を強く締め、調節部材98を傾動部材13と一体化させることによって行う。
【0095】
上記の調節によって軌条体1は傾動部材13に対し、同図46に破線で示す調節以前の状態から実線で示す位置まで、傾動部材に対して角度θ2だけは時計方向の傾動が可能となり、それ以上の時計方向の傾動は、図示するように軌条体構成部材1aの上面がストッパーピン97に当接しているので阻止される。
【0096】
上記のように調節部材90、98を調節した本実施形態例は、前記第2の方法に較べ、図47に示すようにボール打撃後も軌条体が床面28に接している時間が更に長くなり、打撃されたボール2が床面を転がる距離がより一層長くなる。また、ヘッド振り出し後もボールが低い位置にある軌条体上を転がるので実技に近い感じが得られ、違和感が一層少なくなるという利点がある。
【0097】
つぎに第4の方法で練習を行う場合は、使用に先だって前記同様ローレットナット93を緩め、調節部材90を傾動部材13に対し図48に示す位置まで反時計方向に回転し、再びローレットナット93を強く締めて固定する。これにより、傾動部材13は基板9に対し、同図48に破線で示した前記初期状態の位置から実線の位置まで時計方向の傾動が可能となり、これによって傾動部材13は基板9に対し必要な範囲で時計方向にも反時計方向にも自由に傾動可能となる。
【0098】
つぎに、ローレットナット100を緩め、図49に示すように調節部材98を時計方向に回転させ、ストッパーピン97を前記ヒンジピン20の略真上近傍に位置させたところでローレットナット100を締め、調節部材98を傾動部材13に固定する。上記のように調節部材98を調節することにより、軌条体1は同図に破線で示した傾動部材に対する初期状態の位置から、実線で示す位置まで時計方向にも角度θ3だけ傾動可能となる。
【0099】
上記のように調節部材90、98を調節した本実施形態例の傾動部材13は基板に対し必要な範囲で時計方向にも反時計方向にも自由に傾動でき、また軌条体も傾動部材に対して時計方向にも反時計方向にも自由に傾動できる。以上のことから、上記のように調節部材90、98を調節した本実施形態例は軌条体のわん曲形状、傾動部材の長さ等を適切に選択することにより、練習に際しては以下に述べるように、ヘッドで打撃したボールを軌条体に接触させることなく、軌条体の先端まで床面を転がして到達させることができる。
【0100】
すなわち、先ずボールを打撃するべく構えた状態からヘッドを後方に引いてテークバックをとり、ヘッドを前方に振り出してボールを打撃するまでは前記第1実施形態例の場合と略同じであるが、ボール打撃後も基板に対する傾動部材の時計方向の傾動が阻止されることがなく、また傾動部材に対する軌条体1の時計方向の傾動も阻止されることがないので、図50に示すように打撃後ヘッド161が前記円弧状軌道Sに沿って上昇し、そのヘッドの位置が位置R1、R2、R3に進むにつれ、軌条体1はその底部の接する床面の位置を点P1、P2、P3と前方に移動し、床面28上を転がっているボールの前方の軌条体を降下させつづける。この降下によって、転走するボールの位置における床面から軌条体までの高さ寸法はボールが軌条体に乗り上げるほどの高さ(図3の寸法a)には達せず、従ってボールは軌条体に接触することなく軌条体の先端近くまで床面上を転走する。
【0101】
軌条体1の先端近くまで転走したボールは軌条体に乗り上げるか、またはストッパー部材4に衝突して失速する。失速後はヘッドを初期の位置に引き戻すことにより、ボールは床面を転がったり、軌条体の乗り上げたりしながら軌条体の外へ出ることなくヘッドの近くまで戻ってくる。
【0102】
本実施形態例は以上に述べたようなものであり、傾動部材傾動角調節手段88、及び軌条体傾動角調節手段94をいろいろに調節することにより、練習者は打撃後の基板9に対する軌条体1の姿勢等を各自の好みに合わせて変えることができる。
【0103】
なお上記の説明では、傾動部材傾動角調節手段88、及び軌条体傾動角調節手段94は、基板9に対する傾動部材13の傾動角、及び傾動部材13に対する軌条体1の傾動角をそれぞれ、所定の範囲で無段階に調節できる構成のものを述べたが、これら傾動部材傾動角調節手段88、及び軌条体傾動角調節手段94による基板に対する傾動部材の傾動角、及び傾動部材に対する軌条体の傾動角の調節は、例えば孔とピンを嵌め合わせる等の構成を用いて、段階的に調節し得るような構成とすることもできる。
【0104】
また上記した本実施形態例では、傾動部材傾動角調節手段88、及び軌条体傾動角調節手段94の両方を具備した構成を述べたが、これらの傾動角調節手段は必ずしも両方が必要ではなく、軌条体長手方向の傾動部材の長さ、軌条体のわん曲形状等を適切に選択することによって、いずれか一方の傾動角調節手段だけでも類似の作用効果を奏させることができる。
【0105】
また上記説明では傾動部材傾動角調節手段88、及び軌条体傾動角調節手段94は軌条体1の中心線の両側に勝手反対のものを2個設けた述べたが、これら傾動角調節手段はいずれか一方の側だけでもよいことは明らかである。
【0106】
〔第16実施形態例〕
図51〜図53は本発明の第16実施形態例を示す図で、図51は側面図、図52、図53は作動を模式的に示した側面図である。図51において、軌条体1のわん曲半径は多くの練習者がパターをスイングしたときにヘッド161の底部が描く円弧状軌道Sの半径より適量小さい。本実施形態例では図51に示すように、基板9の前端部の接線と軌条体1の後端部の接線とが略同じ傾きを有し、軌条体1の後端部が基板9の底面に接した状態で、傾動部材13、13aの後部に下方に向けて突出したストッパー部材102、102aの後端と前記打撃面当接体10、10aの前面との間に隙間fを設けている。
【0107】
このように隙間fを設けることにより、本実施形態例では軌条体1は基板9に対し、反時計方向の傾動が可能であると共に、実線で示した初期状態から破線で示す位置までのある角度は時計方向の傾動も可能となり、それ以上の時計方向の傾動はストッパー部材102、102aが打撃面当接体10、10aに当接するので阻止される。なお、上記以外は前記第1実施形態例(図1〜図7)と略同じである。
【0108】
上記のように構成された本実施形態例の作用を図52、図53に基づいて説明する。まず、前記同様に構えた初期状態から図52に示すようにテークバックをとると、軌条体1のわん曲半径がスイング時の円弧状軌道Sの半径より小さいので、軌条体はヒンジピン18を軸として、ヘッドに対しては前記した或る角度だけ時計方向に傾動する。そして、テークバック終了時には軌条体の底部は床面28と点Qで接し、このとき、静止しているボール2の位置における床面から軌条体までの高さ寸法はc5となる。
【0109】
しかしながら、上記寸法c5は通常の範囲では円弧状軌道Sの半径がどのような寸法であっても常に前記図3で示した寸法aより小さくなり、従って軌条体1をボール2に接触させることなくテークバックをとることができる。
【0110】
つぎに、ヘッド161を前方に振り出してボール2を打撃するが、この場合、ボールを打撃する瞬間までは、軌条体はヘッドに対して反時計方向に前記した或る角度だけ傾動して初期状態に戻り、打撃後は図53に実線で示した位置までは前記或る角度だけ時計方向に傾動した後、前記打撃面当接体10、10aとストッパー部材102、102aの接触によって同方向の傾動を阻止され、その後は軌条体は同図53に破線で示すように床面28を離れて円弧状軌道Sに沿って上昇する。
【0111】
打撃されたボール2は前記同様に軌条体1に乗り上げて制動される。本実施形態例の場合は、基板9に対する軌条体1の時計方向の傾動の阻止が打撃の瞬間よりやや遅れて起こるので、打撃後も長い時間軌条体が低い位置にあり、従って打撃されたボール2が床面28を転がる距離が長くなる。
【0112】
なお、本実施形態例の場合は、基板に対して軌条体が反時計方向にも傾動可能な構造になっているので、前記第1実施形態例(図1〜図7)のように軌条体1のわん曲半径が円弧状軌道Sより大きい場合にも適用することができ、この場合は打撃されたボールが床面を転がる距離が一層長くなる。
【0113】
〔第17実施形態例〕
図54〜図61は本発明ゴルフ練習具の第17実施形態例を示す図で、図54は側面図、図55は平面図、図56、図57は一部分を示す斜視図、図58は片側だけの傾動部材後部周辺を示す分解斜視図、図59〜図61は作動を説明する側面図である。
【0114】
本実施形態例は軌条体を直線状に構成し、該直線状に構成した軌条体がテークバック、振り出し等一連の打撃動作時に床面を摺りながら前後に移動するようにし、打撃後のボールが先端のストッパーまで確実に床面上を転がって到達するようにしたものである。
【0115】
上記図について説明すると、基板9の前方には床面28上に略平行に載置された2個の軌条体構成部材1a、1aから成る直線状の軌条体1が配置され、該軌条体と基板9は前記同様に傾動部材13、13aを介して連結されている。18、18aは前記同様基板9の先端と傾動部材13、13aの後端を連結するヒンジピンであり、20、20aは前記同様傾動部材13、13aの先端と軌条体1を連結するヒンジピンである。
【0116】
軌条体構成部材1a、1aの後端は図54、図55に示すように基板9の幅の広い部分より後方まで延長して設けられ、その後端部にはテークバック時の後方移動に際し床面に引っ掛からないように上方に向けたわん曲部5a、5aが図56に示すように設けられている。また、該わん曲部5a、5aより適当寸法だけ前方には、同図56にも示すように2個の軌条体構成部材1a、1aを一体的に連結した前記同様の間隔保持部材5が設けられている。軌条体1の先端は図57にも示すように床面に引っ掛からないように上方に向けたわん曲部が設けられ、該わん曲部の上端は2個の軌条体構成部材1a、1aを接続する接続部材4aが設けられている。また、該接続部材の後面にはストッパー4が接着剤46により固着されている。このストッパー4は後方から衝突するボールの形状に合わせて後方が円弧状に開いた凹部を有しており、この円弧の半径は平面視でボール2の半径より適量大きい寸法に形成されている。
【0117】
傾動部材13、13aの後端には図58にも示すように下方に向けて突出した突出部102a、102aが設けられ、該突出部の下端にはそれぞれ幅方向内側に向けて折り曲げた傾動ストッパー102b、102bが設けられている。該傾動ストッパー102b、102bの後端と打撃面当接体10、10aとの間には、ボールを打撃するべく構えた図54の初期状態で寸法gの隙間を有している。上記のように構成された傾動部材13、13aは、基板9に対しヒンジピン18、18aを軸とした初期状態からの反時計方向の傾動は自由であるが、初期状態からの時計方向の傾動は、上記隙間寸法gに見合った角度だけは許容されるものの、それ以上の時計方向の傾動は前記傾動ストッパー102b、102bと打撃面当接体10、10aとの接触によって阻止される。
【0118】
本実施形態例は以上のように構成されており、打撃練習に際しては図54、図55に示すように軌条体1を床面28上に載置し、その中央の床面上にボール2を置いて、打撃するべく構える。つぎに図59に示すようにヘッド161を後方に引いてテークバックをとると、傾動部材13、13aは前記同様に基板9に対してはヒンジピン18、18aを軸にして反時計方向に傾動しながら軌条体1を後方に引く。引かれた軌条体1はボールに接触することなく床面28を摺りながら後方に移動する。
【0119】
つぎに、ヘッドを前方に振り出してボールを打撃するが、打撃の瞬間までは前記テークバック時とは逆の過程をたどるだけであり、傾動部材13、13aは基板9に対しては時計方向に傾動しながら軌条体1を前方に押し、図54の状態に戻ってボール2を打撃する。打撃後は基板9はヘッドと共に円弧状軌道Sに沿って上昇するが、傾動部材13、13aは基板9に対し時計方向に傾動しながら軌条体1を前方に押し続け、押された軌条体1は床面28を摺りながら前方に移動する。一方、打撃されたボールは前方に向けて2個の軌条体構成部材1a、1aの間の床面28を転がって軌条体先端のストッパー4に衝突して床面上に停止する。また、上記打撃のためのヘッドの振り出しは図60に示す振り出し終了まで続き、この振り出し終了状態では同図60に示すように前記傾動ストッパー102b、102bと打撃面当接体10、10aとの間には寸法kの隙間が残っている。すなわち前記傾動ストッパー102b、102bと打撃面当接体10、10aとの間に設けた隙間寸法gは、多くの練習者がパッティング練習に際し通常の範囲でヘッド振り出す場合に傾動部材13、13aが基板9に対して時計方向に傾動するのを阻害することのない寸法に設定されている。
【0120】
つぎに打撃後のボールをヘッドまで戻してくるには、図60に示した振り出し終了の状態からシャフト163を更に反時計方向に傾け、図61に示すように傾動ストッパー102b、102bと打撃面当接体10、10aを接触させて、それ以上傾動部材が基板に対して時計方向に傾動するのをを禁じ、シャフト163を適当な高さまで持ち上げる。これにより軌条体1は、その重心がヒンジピン20、20より前方にあるので、後端が図示のように基板9に接触するまでヒンジピン20、20aを軸として時計方向に傾動し、それ以上の時計方向の傾動を禁じられる。上記のように傾動部材と軌条体が基板に対し前下がりに傾動するのを禁じた状態で、軌条体1が後方下がりの勾配を持つまで更にシャフト163を反時計方向に適当角度だけ傾ける。これにより軌条体先端に停止していたボール2は軌条体に持ち上げられ、2個の軌条体構成部材1a、1aに跨がったまま、下り勾配に沿って転がりながらヘッドまで戻ってくる。
【0121】
本実施形態例の構成ならびに作用は以上に述べたようなものであり、本構成例によれば、テークバック、振り出し等一連の動作時に軌条体1が絶えず床面を摺りながら前後に移動し、打撃されたボールも軌条体先端まで確実に床面上を転がるので、軌条体及びボールの重量が練習者の手元に伝わってこないという大きな利点を有している。そしてこのように軌条体、ボールの重量が手元に伝わってこないため軌条体を前記したいろいろな実施形態例に較べてはるかに長くできるというきわめて効果的な特徴を有している。また打撃後においてボールが軌条体に乗り上げることがなく、従ってボールが軌条体に及ぼす衝撃力等がないので軌条体の強度を必要とせず、軌条体を細い材料で極めて安価に製造できるという大きな特徴を有している。
【0122】
〔第18実施形態例〕
図62〜図68は本発明の第18実施形態例を示す図で、図62は側面図、図63は図62の一部分を拡大した側面図、図64は図63の平面図、図65は作動状態を示す側面図、図66は傾動部材傾動角調節手段の作動状態を示す側面図、図67は軌条体傾動角調節手段の作動状態を示す側面図、図68は作動状態を示す側面図である。
【0123】
本実施形態例は、前記した各実施形態例と異なり、軌条体1の重心がヒンジピン20、20aより後方に位置している。なお、本実施形態例の場合も傾動部材、傾動部材傾動角調節手段、軌条体傾動角調節手段は軌条体中心線の両側にそれぞれ勝手反対のものが設けられているが、説明は片側のみについて行う。本実施形態例を上記図に基づいて説明すると、先ず図62に示すようにボールを打撃するべく構えた初期状態において、基板前端に設けた打撃面当接体10と軌条体1は前記同様にヒンジピン18、20を介して傾動部材13で連結されている。なお、ヒンジピン20は上記したように軌条体1の重心より前方に位置している。傾動部材13の後部には前記第15実施形態例(図41〜図50)で示した傾動部材傾動角調節手段88が設けられ、図62に示す初期状態で調節部材90の下端101は打撃面当接体の前記突出部47に接している。従って傾動部材13は基板9に対し同図62に示した状態から反時計方向の傾動は自由に行い得るものの、時計方向の傾動は阻止されている。
【0124】
また、傾動部材13の前部には図63の拡大図にも示すように軌条体傾動角調節手段105が設けられ、該軌条体傾動角調節手段105は一端に軌条体幅方向内側に向けて突出したストッパーピン104を有する円弧状の調節部材103と、該調節部材103を前記同様に傾動部材13に取り付けるためのビス99及びローレットナット100とで構成される。なお、前記調節部材のストッパーピン104は図62に示す初期状態において、軌条体構成部材1aの上面と適量の隙間を有するようにローレットナット100を締め付けて傾動部材13と一体的に固定されており、この適量の隙間を有することによって、軌条体1は図62、図63に実線で示す初期状態からヒンジピン20を軸として角度θ4だけは反時計方向に傾動することができるものの、それ以上の反時計方向の傾動は軌条体構成部材1aの上面がストッパーピン104に接触するので阻止される。
【0125】
本実施形態例は以上のように構成されており、調節部材90、103を調節することにより以下に述べるように種々の方法で打撃練習が行える。まず、第1の使用方法で打撃練習を行う場合は、前記図62に示すように調節部材90、103を調節した後、ヘッド161を後方に引いてテークバックをとると、前記同様に傾動部材13は基板9に対して反時計方向に傾動し、同時に軌条体1も傾動部材13に対して前記角度θ4だけ反時計方向に傾動してテークバックを終了する。つぎにヘッドを前方に振り出してボールを打撃する。この打撃と同時に基板に対する傾動部材の時計方向の傾動は調節部材90の下端101が打撃面当接体の前記突出部47に接触するので阻止されるが、軌条体1は傾動部材13に対し角度θ4だけ反時計方向に傾動した後、それ以上の反時計方向の傾動をストッパーピン104によって阻止され、図65に示すように円弧状軌道Sに沿ってそのまま上昇する。打撃されたボールが軌条体に乗り上げた後、制動されてヘッドまで戻ってくるのは前記第1実施形態例と同じである。
【0126】
つぎに、本実施形態例の第2の使用方法で練習を行う場合は、使用に先だって、調節部材90を図66に示すように調節し、傾動部材13を前記初期状態から時計方向にも角度θ5だけ傾動し得るようにする。更に調節部材103を図67に示すように回転して再び固定し、軌条体1を前記初期状態から傾動部材13に対し角度θ6だけ反時計方向に傾動し得るようにする。
【0127】
上記のように調節部材90、103を調節した本実施形態例は、前記同様にヘッドを後方に引いてテークバックをとり、ヘッドを前方に振り出してボールを打撃することが可能であり、図68に実線で示すようにボール打撃後パターのシャフト163を初期に構えた状態から或る角度振り出されるまでは軌条体1の後部が床面28に接したまま前方に移動し、その後は同図68に破線で示すように円弧状軌道Sに沿って上昇する。そしてこの第2の使用方法によれば、ヘッド振り出し後の軌条体1を殆ど床面28すれすれに前方移動させることができ実技に似た違和感のない打撃練習を行うことができる。
【0128】
本実施形態例は以上に述べたようなものであり、軌条体1のわん曲形状、傾動部材13の長さ等が適切に選択されている場合、練習者は各自の打法に合わせて前記調節部材を調節し、好みに合わせて打撃後の軌条体の挙動を自由に変えられるという特徴を有している。
【0129】
なお、上記した本実施形態例では調節部材90、調節部材103の両方を具備した構成例を述べたが、これら調節部材は必ずしも必要というわけではなく、これら調節部材は90、103のうちのいずれか片方のみでもよいし、さらには両方とも設けなくてもよい。
【0130】
すなわち、
▲1▼調節部材90、調節部材103の両方とも設けない場合は図69に示すようにボール打撃後、傾動部材13は基板9に対し時計方向に傾動しながら軌条体1を前方に押し、押された軌条体は床面28を離れることなく前方に移動する。打撃されたボールは軌条体に接触することなく先端まで転がるか、又は途中から前記同様に軌条体に乗り上げる。
【0131】
つぎに、
▲2▼調節部材90、調節部材103の両方を設けない場合であって、傾動部材13を、前記第1実施形態例(図1〜図7)のように下部にストッパー座17を有するように構成した場合は、ボール打撃後、軌条体を図70に示す位置、すなわち軌条体後部の接線と床面のなす角度が過度に大きくならない範囲まではヘッド161を振り出すことができ、これまで述べた実施形態例と略同様に打撃練習を行い得る。
【0132】
また、
▲3▼調節部材103を設けず、調節部材90のみを設け、該調節部材90を初期状態から基板に対し所定の角度だけ時計方向にも傾動可能に調節した場合は、図71に示すようにボール打撃後、傾動部材13は基板に対し上記所定の角度までは時計方向に傾動しながら軌条体1を前方に押し、押された軌条体は床面28を離れることなく前方に移動する。打撃されたボールは軌条体に接触することなく先端までころがるか、或いは途中から前記同様に軌条体に乗り上げる。
【0133】
更に、
▲4▼ 調節部材90を設けず、調節部材103のみを設け、該調節部材103を初期状態から基板に対し前記したテークバックに必要な角度θ4だけ反時計方向に傾動可能に調節しておいた場合は、図72に示すようにボール打撃後、傾動部材は基板に対し時計方向に傾動しながら軌条体1を前方に押し、押された軌条体は床面28を離れることなく前方に移動するが、この前方移動に際し、軌条体は傾動部材に対し前記角度θ4以上は反時計方向に傾動できないので、ヘッドの振り出しが進むにつれ、軌条体は床面に接したまま、前方を下げるように(すなわち床面に対しては時計方向に傾動しながら)前方に移動する。従ってこの場合は軌条体のわん曲形状、傾動部材の長さ、前記テークバックに必要な角度θ4等を適切に選択することにより、前記図50で示した場合のように、打撃されたボールを軌条体に接触させることなく床面を転がして軌条体の先端まで到達させることができる。
【0134】
なお、本実施形態例のように軌条体1の重心がヒンジピン20、20aより後方にある場合、スプリング機構等を用いて傾動部材に対して軌条体に常に時計方向の回転力を付与しておくこともできる。このように付勢する方法としては、例えばヒンジピン20、20aの周りに適当な強さのトーションスプリングを設けることができ、このように付勢した場合は、ボール打撃後も軌条体の後方が垂れ下がることがないので、前記実施形態例と同様な作用効果を奏する。
【0135】
〔第19実施形態例〕
図73、図74は第19実施形態例のゴルフ練習具を示す図で、図73は一部分を示す側面図、図74は部分平面図である。上記図に基づいて本実施形態例を説明すると、基板9には前後に支持部材107、108が立設され、これら支持部材にはx方向一線上に孔109、110が設けられている。111は基板9をパターのヘッド161に取り付けるための支持ピンであり、該支持ピンの前方には小径の雄ネジが、また後端にはローレットつまみ部が設けられている。
【0136】
支持ピンの前方には止め輪112が設けられ、該止め輪112の後面からローレットつまみ部までの寸法は支持部材107、108の間隔と略同じである。基板9の前方は二股状に分かれ、その前端に設けらた立ち上がり部113、113aには前記同様にヒンジピン取り付けリブ部材11、11aが設けられる。13、13aは前記同様の傾動部材、18、18aはヒンジピンである。支持部材107、108の孔109、110には支持ピン111が回転可能に挿入され、抜け出し防止の止め輪112が支持ピン111に設けられた溝に嵌め合わされている。
【0137】
上記のように構成された基板9と軌条体1は、支持ピン111前端の小径雄ネジ部をパターのヘッド161の後面に設けられた雌ネジ止まり穴にねじ込むことによってヘッドに取り付け固定する。このように取り付けた状態で前記立ち上がり部113、113aとヘッド打撃面162との間には、図73にも示すように適量の隙間が設けられている。本実施形態例において上記以外は前記第1実施形態例(図1〜図7)と同じである。
【0138】
本実施形態例は上記のように構成されており、上記第1実施形態例(図1〜図7)と同様な作用効果を奏する。そして特に、本実施形態例ではパター160のヘッド161に取り付けられた状態で、支持ピン111を軸にして、基板9と軌条体1が適当角度だけ自由に回転できるので、床面28に軌条体を接触させるだけで、軌条体1と基板9がパターのヘッド161に対して自動的に回転するので、練習者が固有の構え角で構えても、2個の軌条体構成部材1a、1aのうちの一方だけが床面28に接し、他方が床面から浮き上がるという、いわゆる片当たりによる不具合を解消できる。
【0139】
〔第20実施形態例〕
図75は本発明の第20実施形態例のゴルフ練習具を示す部分側面図である。本実施形態例はヘッドの後部が略垂直に形成されたパターのヘッドに取付けることができるようにしたものである。同図75において、115は上部にはx方向に貫通した雌ネジ孔116を、また下面には雌ネジ穴117を有する押圧用支持部材であり、前記雌ネジ孔116には、後端部にローレットつまみ118、また前端部には押圧座金119を設けた押ネジ120がねじ込まれる。また、押圧用支持部材115は基板9に複数個設けられた孔の下方から挿入したビス121を前記雌ネジ孔117にねじ込むことによって複数個の孔のいずれの位置にも取り付けることができる。
【0140】
本実施形態例のゴルフ練習具は上記のように構成されており、前記形状のパターのヘッド161に取り付けるには、押圧用支持部材115を基板9に取り付けた後、ヘッドの打撃面162を基板9に設けた打撃面当接体10、10aに宛てがい、ヘッド161の底面を基板9の両側部にのせる。つぎにローレットつまみ118を介して押ネジ120を回し、押圧座金119を介してヘッドを押圧する。これによりヘッド161は押圧座金119と打撃面当接体10、10aに挟まれて摩擦固定される。なお、本実施形態例において上記以外は前記第1実施形態例(図1〜図7)と同じである。
【0141】
〔第21実施形態例〕
図76は本発明の第21実施形態例のゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図であり、本実施形態例ではパターのシヤフト163に基板9及び軌条体1を取り付けるようにしたものである。同図76において、122a、122bは締め付けビス122c、122cにより着脱自在にパターのシヤフト163に締め付け固定できる二つ割りクランプ122のクランプ片、123はクランプ片122aの後方にx方向に固着された軸、125は軸123に回動、摺動自在に遊嵌された筒状部材124を軸123に固着するための押ネジ、126は筒状部材124の下方に固着され、その下辺がz方向に伸びる逆L字状部材である。
【0142】
また127は該逆L字状部材126の下辺に回動摺動可能に遊嵌され下方にx方向の孔128を有する板状部材129が固着された筒状部材、130は筒状部材127を逆L字状部材126に固着するための押ネジ、9はヘッド161の底部に配置され前方が二股状に開いた二股状の基板、131はx方向の孔132を有し二股状の基板9の後方に立設された板状部材、133は板状部材131と板状部材129を固定するためのビス、134はビス133に螺入されるナットである。
【0143】
上記ゴルフ練習具は、締付けビス122c、122cを抜き、二つ割りクランプ122をシヤフト163から取り外すことができ、軌条体1を着脱自在にパター160に取り付けることができる構造となっている。なお、この取り付け構造によれば、ヘッド161に対する軌条体1のy、z方向の調整が行え、更にナット134を緩め、軌条体1をビス133を軸にして回動することにより、軌条体1の幅方向(z方向)とシヤフト163のなす角度を調整することができ、この調整を適正に行うことにより練習者がいかなる構え角で構えても、2個の軌条体構成部材1a、1aのうちの一方だけが床面28に接し、他方が床面から浮き上がるという、いわゆる片当たりによる不具合を解消できる。なお、本実施形態例において、上記以外は前記第1実施形態例(図1〜図7)と略同じである。
【0144】
〔第22実施形態例〕
図77、図78は本発明の第22実施形態例を示す図で、図77は部分側面図、図78は基板のみを示す斜視図である。本実施形態例では図示するように基板9はパターのヘッド161の底面にビス136…で取り付け得るように構成されている。該基板9は図78に示すように軌条体1の幅方向に所定寸法だけ隔たった位置に独立して配置された2個の基板9a、9bで構成され、個々の基板9a、9bの前端にはそれぞれ前記同様の打撃面当接体10、10aが立設されている。打撃面当接体10、10aには前記同様のヒンジピン取り付けリブ部材11、11aが設けられ、ヒンジピン取り付けリブ部材11と一方の軌条体構成部材1aとは前記同様にヒンジピン18、20、及び傾動部材13を介して傾動可能に連結されている。また、ヒンジピン取り付けリブ部材11aと他方の軌条体構成部材1aも前記同様にヒンジピン18a、20a、及び傾動部材13aを介して傾動可能に連結されている。なお、図78において135…はビス136…を挿通する孔である。
【0145】
本実施形態例は上記のように構成されており、このように構成しても前記実施形態例と同様の作用効果を奏することは明らかである。なお、本実施形態例では基板9a、9bをパターのヘッド161に取り付けるためにビス136…を用いたが、こうした取り付けはビスに限らず、接着剤による接着、又は磁石等による吸引力を用いて取り付けることもできる。
【0146】
〔第23実施形態例〕
図79〜図81は本発明の第23実施形態例を示す図で、図79は部分側面図、図80は部分平面図、図81は片側だけの傾動部材の後部周辺を示す分解組み立て斜視図である。本実施形態例がこれまでの実施形態例と異なるところは、基板を設けず、前記打撃面当接体10、10aをパターのヘッド161の打撃面162に直接取り付けるように構成した点にある。
【0147】
上記図について説明すると、2個の打撃面当接体10、10aにはそれぞれ孔140、140aが設けられる。また2個の打撃面当接体10、10aにはヒンジピン孔12、12aを有するヒンジピン取り付けリブ部材11、11aが前記同様に勝手反対に設けられている。軌条体1の後方寄りには前記同様にヒンジピン孔7、7aを有するリブ部材6、6aが設けられ、該リブ部材6、6aと前記ヒンジピン取り付けリブ部材11、11aとは前記同様にヒンジピン18、18a、傾動部材13、13a及びヒンジピン20、20aを介して傾動可能に連結されている。傾動部材13、13aの後部には図示するように下方に突出したストッパー部材142、142aが設けられ、該ストッパー部材142、142aの下端は軌条体幅方向内側に向けて折り曲げられた折曲部138、138aを有している。
【0148】
上記のように構成された本実施形態例は図示するように前記孔140、140aに挿通したビス139、139aをヘッドの打撃面162にねじ込んでパターに取り付ける。なお、141、141aはヘッドの打撃面162に設けられた雌ネジ孔である。
【0149】
上記のようにヘッドに取り付けた図79に示す初期状態で、軌条体1の後端部の接線とヘッド底部の傾きは略等しく、傾動部材13、13aは打撃面当接体10、10aに対して前記同様に反時計方向の傾動は自在であるが、時計方向の傾動は前記折曲部138、138aの後端と打撃面当接体10、10aとの接触によって阻止されている。また、軌条体1も図79に示す初期状態から傾動部材13、13aに対して反時計方向の傾動は自在であるが、時計方向の傾動は軌条体の後端上面と前記折曲部138、138aの下面との接触によって阻止されている。
【0150】
本実施形態例は上記のように構成されており、このように構成しても前記実施形態例と同様の作用効果を奏することは明らかである。なお、本構成によれば基板が設けられてないので軽量化できるという利点がある。
【0151】
図82〜図85は本発明のゴルフ練習具に用いる軌条体1の形状を示す側面図である。図82に示す軌条体1は異なる半径のわん曲線を組み合わせたものである。また、図83に示す軌条体1は略水平な直線状に構成されたものである。また、図84に示す軌条体1は前方上がりの直線状に構成したものである。また、図85に示す軌条体1は直線状に形成した軌条体の前方を前上がりにわん曲したものである。
【0152】
なお、本発明のゴルフ練習具では前記したように、基板に対して傾動部材が、その前方が上下動する方向に傾くこと、及び該傾動部材に対して、軌条体もその前方が上下動する方向に傾くことが必須要件である。そしてこの必須要件を満たすために前記実施形態例では、
▲1▼ 基板と軌条体を剛性の高い傾動部材を介して連結し、基板に対する傾動部材の上記傾動、及び傾動部材に対する軌条体の上記傾動が、ヒンジピンを軸とした傾動(回動、揺動)によって行われるようにした構成例。
▲2▼ 基板と軌条体を上下方向に適度な弾性を有する傾動部材を介して連結し、
(イ)基板に対する傾動部材の上記傾動が、傾動部材自身の撓みによって生じ る該傾動部材後方の接線と前方の接線の傾きによって行われるようにし、
(ロ)傾動部材に対する軌条体の傾動は、上記傾動部材自身が撓んだ場合に生じる傾動部材後方の接線と軌条体の傾きによって行われる、
ようにした構成例。
▲3▼ 基板と軌条体を上下方向に適度な可撓性、屈曲性を有する傾動部材を介して連結し、基板に対する傾動部材の上記傾動、傾動部材に対する軌条体の上記傾動がそれぞれ略上記した▲2▼(イ)、▲2▼(ロ)によって行われるようにした構成例。
▲4▼ 基板と軌条体を剛性の高い傾動部材を介して連結するに際し、該傾動部材の後端と基板は屈曲性を有する屈曲部材を介して連結すると共に、連結部材の前端と軌条体は屈曲性を有する屈曲部材を介して連結し、
(イ)基板に対する傾動部材の上記傾動が、傾動部材後端の屈曲部材の屈曲によって行われ、
(ロ)傾動部材に対する軌条体の上記傾動が、傾動部材前端の屈曲部材の屈 曲によって行われる、
ようにした構成例。
など、基板に対する傾動部材の傾動、及び傾動部材に対する軌条体の傾動が、種々の異なる構成でも行ない得る例を述べた。しかしながら本発明においては、傾動部材が基板に対して前方が上下する方向に傾動し、また傾動部材に対して軌条体がその前方を上下する方向に傾動できればよいわけであるから、上記▲1▼に述べたヒンジピンを軸にして行われる傾動も、上記▲2▼に述べた弾性体の撓みによって生じる傾動も、また上記▲3▼に述べた屈曲部材の屈曲によって生じる傾動も、全て同じ傾動と見做されるべきものであり、従って本明細書中においては特許請求の範囲を含めて上記した傾動の全てを、単に傾動と記載している。
【0153】
また上記傾動を可能にする構成は前記各実施形態例のものに限定されるものではなく、屈曲性を有し適度な耐久性を備えた板状の樹脂、皮革、布、又は紙など種々のものを用いても容易に実施することができる。
【0154】
図86は上記した種々の構成例のうち、特に板状の樹脂を用いて上記傾動を可能にする構成例を示す部分側面図であり、図87は前記同様片側のみを示す平面図である。図86、図87について説明すると、前記同様基板に対し後部を傾動可能に連結された傾動部材13のアーム部材14の前端と軌条体構成部材1aとは、屈曲性を有する所定厚さの樹脂板143を介して連結される。この連結は樹脂板143前部下面と軌条体構成部材1aの前記突出部34の上面、及び樹脂板143の後部上面とアーム部材14の前端下面をそれぞれ接着剤46で固着することによって行われている。
【0155】
上記のように構成されたものも、適当な力が加わることにより軌条体1は図88に示すように二点鎖線で示す初期状態の位置から破線で示すように反時計方向にも傾動可能であり、また二点鎖線で示した初期状態から一点鎖線で示すように時計方向にも傾動することができる。従ってこのように構成しても前記した実施形態例の場合と同様の作用効果を奏することは明らかである。なお、図86、図87において樹脂板143に替えて適度な耐久性を備えた布または紙、或いは屈曲性を有する薄い皮革その他を使用しても同様の作用効果を奏するのは上述したとおりである。
【0156】
また、これまでの説明は例えば前記第1実施形態例(図1〜図7)のように、基板9に対する傾動部材13、13aの傾動、及び該傾動部材に対する軌条体の傾動が二箇所のヒンジピン18、18a、20、20aを軸にして行われる構成例を述べてきたが、これらヒンジピンは二箇所でなくても図89に示すように三箇所であっても作用効果は略同じである。またそれ以上の箇所数であっても同じである。
【0157】
図89について説明すると、傾動部材13を構成するアーム部材14の後部は前記同様にヒンジピン18を介して基板9に連結され、前部はヒンジピン20を介して軌条体1に連結されている。アーム部材14は前部アーム145と後部アーム144から構成され、該前部アーム145と後部アーム144はヒンジピン146を介して傾動可能に連結されている。上記のように構成された後部アーム144は同図89に示す初期状態から反時計方向には傾動可能であるが、時計方向の傾動は前記同様ストッパー座17が基板9の底面に当接しているので阻止される。また前部アーム145は後部アーム144に対しヒンジピン146を軸として時計方向にも反時計方向にも傾動可能であり、軌条体1は前部アーム145に対しヒンジピン20を軸として時計方向にも反時計方向にも傾動可能である。こうしたことから上記のように前部アームと後部アームから成る傾動部材を具備する本発明のゴルフ練習具も前記実施形態例と略同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0158】
また更に、前記図89に示すように構成された傾動部材13には、同図中に一点鎖線で示すように、後部アーム144に対する前部アーム145の傾動角を調節することのできる前部アーム傾動角調節手段158を設けることもできる。該傾動角調節手段158は図示するように、一端に内側に向けて突出したストッパーピン147を有する円弧状の調節部材159と、該調節部材159の他端を後部アーム144に取り付けるためのビス165と、該ビス165にねじ込まれたローレットナット100から構成されている。なお、後部アーム144の所定位置にはビス165を挿通するための図示しない孔が設けられている。
【0159】
つぎに上記傾動角調節手段158の使用方法を述べると、先ず同図89に一点鎖線で示すように初期状態でストッパーピン147が前部アーム145の下面に接触するように調節部材159をビス165を軸にして回転し、ローレットナット100を強く締めて調節部材を後部アーム144に固定する。この調節により前部アーム145は後部アーム144に対して実線で示した初期状態からテークバック時の反時計方向の傾動は行い得るものの、ボール打撃後の時計方向の傾動はストッパーピン147に阻止されるので作用効果は前記第1実施形態例(図1〜図7)と略同じになる。
【0160】
また、ローレットナット100を緩めて傾動角調節部材159を同図中に一点鎖線で示す位置から適当な角度だけ時計方向に回転させ、初期状態でストッパーピン147と前部アーム145の下面との間に所定の隙間を設けた状態でローレットナット100を締めて傾動角調節部材を後部アーム144に固定した場合は、前記初期状態からその隙間に見合った角度だけ前部アームが後部アームに対して時計方向に傾動できるので、ボール打撃後ヘッドが円弧状軌道Sに沿って上昇しても軌条体が低い位置にあり、前記図53に示した作動図の場合等と略同様に打撃後ボールが床面を転がる距離が長くなる。
【0161】
【発明の効果】
以上詳しく述べたように本発明のゴルフ練習具は、パターに取り付け得るように構成された取付け手段と軌条体を、傾動部材を介して連結し、該傾動部材を取り付け手段に対して前方が上下動する方向に傾動可能に構成すると共に、軌条体も傾動部材に対して前方が上下動する方向に傾動可能に構成したので、打撃練習時にヘッドを後方に引いてテークバックをとった場合に、軌条体後部が上昇する床面からの高さ寸法を、パターヘッドが上昇する床面からの高さ寸法より小さく抑えることができる。そしてこのようにテークバック時の軌条体後部の床面からの上昇寸法を小さく抑えることによって、床面に静止したボール位置における軌条体の床面からの上昇寸法を更に小さくすることができ、これによってボールと軌条体の幅方向の隙間を大きく確保して、軌条体の幅方向の振れを大きく許容できるので、スイングの安定しない初心者等が使用しても軌条体がボールに接触することなくスイングできるという優れた効果を有する。
また更に、本発明のゴルフ練習具にはパターに取り付けるための取付け手段に対する傾動部材の傾動角を調節するための傾動部材傾動角調節手段、及び/又は傾動部材に対する軌条体の傾動角を調節するための軌条体傾動角調節手段を設けたので、これらの傾動角調節手段を調節することにより、練習者は各自の好みに合わせてボール打撃後の軌条体の姿勢を自由に調節できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフ練習具の構成例を示す側面図である。
【図2】 図1に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図3】 図1に示すゴルフ練習具のD―D断面図である。
【図4】 図1に示すゴルフ練習具のE―E断面図である。
【図5】 図1に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図6】 図1に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図7】 図6に示すゴルフ練習具のF―F断面図である。
【図8】 本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図9】 図8に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図10】図8に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図11】本発明のゴルフ練習具の他の構成例一部分を示す分解斜視図である。
【図12】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図13】図12に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図14】図12に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図15】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図16】図15に示すゴルフ練習具の部分平面図である。
【図17】図15に示すゴルフ練習具の一部分を示す斜視図である。
【図18】図15に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図19】図15に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図20】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図21】図20に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図22】図20に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図23】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図24】図23に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図25】図23に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図26】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図27】図26に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図28】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図29】図28に示すゴルフ練習具の作動を説明するための側面図である。
【図30】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す側面図である。
【図31】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図32】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す斜視図である。
【図33】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す側面図である。
【図34】図33に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図35】図33に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図36】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す分解斜視図である。
【図37】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す側面図である。
【図38】図37に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図39】図37に示すゴルフ練習具のG―G断面図である。
【図40】図37に示すゴルフ練習具の分解斜視図である。
【図41】本発明のゴルフ練習具の他の構成例の一部分を示す側面図である。
【図42】図41に示すゴルフ練習具のI―I断面図である。
【図43】図41に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図44】図41に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図45】図41に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図46】図41に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図47】図41に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図48】図41に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図49】図41に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図50】図41に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図51】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図52】図51に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図53】図51に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図54】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図55】図54に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図56】図54に示すゴルフ練習具の一部分を示す斜視図である。
【図57】図54に示すゴルフ練習具の一部分を示す斜視図である。
【図58】図54に示すゴルフ練習具の一部分を示す分解斜視図である。
【図59】図54に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図60】図54に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図61】図54に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図62】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図63】図62に示すゴルフ練習具の一部分を示す側面図である。
【図64】図62に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図65】図62に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図66】図62に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図67】図62に示すゴルフ練習具の調節部材の作動を示す側面図である。
【図68】図62に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図69】本発明ゴルフ練習具の他の構成例の作動を示す側面図である。
【図70】本発明ゴルフ練習具の他の構成例の作動を示す側面図である。
【図71】本発明ゴルフ練習具の他の構成例の作動を示す側面図である。
【図72】本発明ゴルフ練習具の他の構成例の作動を示す側面図である。
【図73】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図74】図73に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図75】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図76】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分斜視図である。
【図77】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図78】図77に示すゴルフ練習具の一部分を示す斜視図である。
【図79】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図80】図79に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図81】図79に示すゴルフ練習具一部分を示す分解斜視図である。
【図82】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図83】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図84】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図85】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す側面図である。
【図86】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図87】図86に示すゴルフ練習具の平面図である。
【図88】図86に示すゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図89】本発明のゴルフ練習具の他の構成例を示す部分側面図である。
【図90】従来のゴルフ練習具を示す側面図である。
【図91】図90に示す従来のゴルフ練習具のA―A断面図である。
【図92】図90に示す従来のゴルフ練習具のB―B断面図である。
【図93】図90に示す従来のゴルフ練習具の作動を示す側面図である。
【図94】図90に示す従来のゴルフ練習具の作動図のC―C断面図である。
【符号の説明】
1 軌条体、 1a・1a 軌条体構成部材、 4 ストッパー、
9 基板、 10・10a 打撃面当接体、
13・13a 傾動部材、 14・14a アーム部材、
18・18a ヒンジピン、 20・20a ヒンジピン、
88 傾動部材傾動角調節手段、 94 軌条体傾動角調節手段、
105 軌条体傾動角調節手段、 144 後部アーム(傾動部材)、
145 前部アーム(傾動部材)、 146・146a ヒンジピン、
158 前部アーム傾動角調節手段、
Claims (5)
- ボールを載置する軌条体と、該軌条体をパターのヘッド打撃面に対してその長手方向が略直角となるように、パターに取付け得るように構成された取付け手段を組み合わせ、
前記軌条体は所定寸法離間して略並行に配置された2個の軌条体構成部材からなり、
前記軌条体構成部材はその離間寸法がボールの直径より小さく、且つ前記軌条体にボールを載せた場合、該ボール底部が前記軌条体底部より下方に突出する寸法としたゴルフ練習具であって、
前記取付け手段と前記軌条体は、該軌条体の長手方向に所定長さを有する傾動部材の一端と他端を、それぞれ前記取付け手段と前記軌条体に傾動可能に連結してなる傾動機構を介して連結し、
前記取付け手段と連結した前記傾動部材の一端の連結部は、該傾動部材が前記取付け手段に対して所定範囲で上下方向に傾動し得るように構成すると共に、前記軌条体に連結した前記傾動部材の他端の連結部は、該傾動部材に対して前記軌条体が所定範囲で上下方向に傾動し得るように構成されていることを特徴とするゴルフ練習具。 - 前記傾動部材の少なくとも一部分が、前記軌条体として構成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ練習具。
- 前記傾動機構には、前記取付け手段に対する前記傾動部材の前記上下方向の傾動角および/または前記傾動部材に対する前記軌条体の前記上下方向の傾動角を各別に規制し得る傾動角調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフ練習具。
- 前記傾動部材が前記取付け手段に対して前記軌条体の幅方向にも傾動し得るように構成されると共に、
前記軌条体は前記傾動部材に対して前記軌条体の幅方向にも傾動し得るように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のゴルフ練習具。 - 前記傾動部材が弾性または可撓性を有する部材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のゴルフ練習具。
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