JP4211311B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパイラルケーブルを使用するアクチュエータを備えた、ステアリングハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角(タイヤ角)の比を可変するステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば特開平11−34894号公報に開示される如く、ステアリングハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比を可変制御するステアリング装置(以下、「可変ギヤレシオステアリング装置(variable gear ratio steering)」という)が知られている。この可変ギヤレシオステアリング装置においては、ステアリングハンドルと転舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に、ギヤレシオ(ギヤ比)を可変するための可変ギヤレシオ機構が設けられている。この可変ギヤレシオ機構は、遊星歯車機構である減速機構と、アクチュエータとにより構成されており、このアクチュエータの回転軸の一端は、減速機構のサンギヤに固着され、他端は、転舵輪側の下部ステアリングシャフトに接続されている。この可変ギヤレシオステアリング装置においては、ステアリングハンドルの操舵角及び車両の走行速度が検出されると、当該操舵角及び走行速度に対応した転舵角となるようアクチュエータが下部ステアリングシャフトを回転させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の可変ギヤレシオステアリング装置においては、ステアリングハンドルの操舵角の中立位置及びアクチュエータの中立位置に基づいて上述の制御が実行されている。従って、かかる可変ギヤレシオステアリング装置においては、アクチュエータの中立位置が未確定の状態では制御を開始することができないという不都合があり、また、アクチュエータの中立位置が誤った位置に確定されていると、ハンドルずれや走行中に勝手にタイヤが動く等の誤作動につながってしまうという不都合がある。
【0004】
また、上述の可変ギヤレシオステアリング装置は、例えば特開平10−329728号公報に開示される同ステアリング装置とは異なり、アクチュエータがステアリングハンドルの回転操作に伴い回転する構成であるため、ステアリングハンドルの回転に伴う制御ユニット(ECU)とアクチュエータとの間の相対回転を吸収しつつ当該制御ユニットとアクチュエータとの間の電気的接続を行うためのスパイラルケーブルが必要となる。このスパイラルケーブルは、巻き締め不能となってステアリングハンドルが操舵不能とならないように、その巻き締めと巻き拡がりとの間の中間位置がステアリングハンドルの操舵角の中立位置に対応するよう装着される必要がある。
【0005】
しかしながら、かかるスパイラルケーブルの組み付けは、生産工場やサービス工場において人手により行われるため、コーションラベル等により作業手順を徹底させる以外にも、ステアリングハンドルが回転不能とならないことを組み付け後や車両の実走前等に念押し的に確認することが望ましい。
【0006】
一方、上述の可変ギヤレシオステアリング装置には、可変ギヤレシオ機構の作動不良(例えば、アクチュエータの故障や電気的接続の短絡)に対するフェールセーフとして、ステアリングハンドル側の上部ステアリングシャフトとアクチュエータの回転軸を選択的に直結するロック機構が設けられている。このロック機構がロック動作する(これにより、ギヤレシオの可変制御が実行されない状態となる)と、ステアリングハンドルと転舵輪とが直結した状態となるため、転舵輪をある角度だけ転舵させるのに要するステアリングハンドルの操舵量が、ロック機構が動作していない場合(即ち、ギヤレシオが可変制御される通常状態)の同操舵量に比して大きくなりうる。
【0007】
従って、上述のようなステアリングハンドルの切れ角の確認は、ギヤレシオの可変制御の異常停止時を想定して、ステアリングハンドルと転舵輪とが直結した状態(又は、それに相当する状態)で実行されることが必要不可欠となるが、上記従来の可変ギヤレシオステアリング装置において、かかる状態を生産工場やサービス工場において実現することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、アクチュエータ等が交換された際にアクチュエータの中立位置を再確定することができ、ギヤレシオの可変制御の停止時にステアリングハンドルが操舵不能とならないことを生産工場等において確実に確認することができる、ステアリング装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載する如く、ステアリングハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比をアクチュエータの回転角により可変するステアリング装置であって、
相対的に回転する2つの端子を介して2つの部材を電気的に接続するケーブルを備えたスパイラルケーブル装置と、
前記スパイラルケーブル装置の一方の端子と前記2つの部材の一方の部材とを電気的に接続し、その2つの接続部間の直線距離よりも大きな全長を有するハーネスと、
前記ハーネスを固定物に係合する係合部材とを備え、
前記係合部材は、前記スパイラルケーブル装置の前記ケーブルが巻き締め不能となった際に前記ハーネスに加わる回転トルクにより前記ハーネスを前記固定物から離脱させるよう構成されていることを特徴とする、ステアリング装置によって達成される。
【0015】
本発明において、例えばアクチュエータ及び当該アクチュエータを制御するための制御装置である2つの部材をスパイラルケーブル装置を介して電気的に接続するハーネスは、例えばボデーパネルである固定物に係合部材により係合される。このハーネスは、上記電気的接続に必要な最小長さに加えて予備の長さを有する。このハーネスを係合する係合部材は、スパイラルケーブル装置が巻き締め不能となった際にハーネスに加わる大きな回転トルクにより、係合部が外れてハーネスを離脱させることができる。このとき、離脱したハーネスは、その予備の長さ分だけステアリングシャフトに巻きつくことができ、これにより、ステアリングハンドルの操舵可能な範囲を増大させることができる。尚、係合部材は、クランプ部材や接着テープ等を含む。
【0016】
尚、請求項1乃至2の何れかに記載のステアリング装置において、前記2つの部材は、請求項3に記載する如く、前記アクチュエータ及び前記制御装置、又は、エアーバック装置及び該エアーバック装置を制御するための制御装置である、
前記アクチュエータ及び前記制御装置、又は、エアーバック装置及び該エアーバック装置を制御するための制御装置であってよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の車両用ステアリング装置の説明を行う。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用ステアリング装置2の構成図である。図1を参照するに、ステアリングハンドル10は、上部ステアリングシャフト12aの上端に接続されている。また、この上部ステアリングシャフト12aの下端は、可変ギヤレシオユニット14に接続されており、下部ステアリングシャフト12bの上端が、可変ギヤレシオユニット14に接続されている。
【0021】
また、下部ステアリングシャフト12bの下端には、ピニオン(図示せず)が設けられ、このピニオンがステアリングギヤボックス16内においてラックバー18に噛合されている。更に、ラックバー18の両端には、それぞれタイロッド20の一端が接続されると共に各タイロッド20の他端にはナックルアーム22を介して転舵輪24が接続されている。
【0022】
上部ステアリングシャフト12aには、ステアリングハンドル10の操舵角を検出する舵角センサ26が設けられ、可変ギヤレシオユニット14の内部には、ロータ48の回転角を検出する回転角センサ30が設けられている。この舵角センサ26により検出されたステアリングハンドル10の操舵角は、ECU(電子制御ユニット)28に入力される。更に、ECU28には、車両速度を検出する車速センサ32から車両速度が入力される。一方、ECU28は、可変ギヤレシオユニット14に対して、この可変ギヤレシオユニット14を制御するための制御信号の出力を行う。
【0023】
可変ギヤレシオユニット14は、図2に示すようにアクチュエータ40及び減速機構42を備えている。アクチュエータ40は、モータハウジング44内に固定されたステータ46及びロータ48を備えており、減速機構42は、遊星歯車機構を用いた減速機として構成されている。即ち、ロータ48と共に回転する回転軸50がサンギヤ52に固着され、プラネットギヤ54がサンギヤ52及びモータハウジング44の内周面に形成されたリングギヤ56と噛合されている。また、プラネットギヤ54がキャリア58に対して回転自在に取り付けられている。なお、キャリア58はユニバーサルジョイント(図示せず)を介して上部ステアリングシャフト12aの下端に接続されている。
【0024】
可変ギヤレシオユニット14は、図3に概略的に示すように、上部ステアリングシャフト12aとアクチュエータ40のロータ48との選択的な直結/直結の解除を実現するロック機構90を更に備えている。このロック機構90は、可変ギヤレシオユニット14の作動不良(例えば、アクチュエータ40の故障や電気的接続の短絡)に対するフェールセーフとして機能する。具体的には、上部ステアリングシャフト12aがロック機構90を介してロータ48と係合されると、上部ステアリングシャフト12aと下部ステアリングシャフト12bとが減速機構42を介することなく直結することになり、上部ステアリングシャフト12aの回転トルクが下部ステアリングシャフト12bに伝達されない事態が防止される。尚、図3(A)は、上部ステアリングシャフト12aと下部ステアリングシャフト12bとが直結した状態を示しており、図3(B)は、上部ステアリングシャフト12aと下部ステアリングシャフト12bとの直結が解除された状態を示している。
【0025】
この車両用ステアリング装置2においては、車速センサ32により検出された車両速度及び舵角センサ26により検出された操舵角がECU28に入力されると、ECU28は車両速度及び操舵角に基づき目標舵角の演算を行い、この目標舵角に基づく制御信号が可変ギヤレシオユニット14に対して出力される。可変ギヤレシオユニット14は、この制御信号に応答して、転舵輪24に対して目標舵角に対応した転舵角を与えるよう下部ステアリングシャフト12bを回転させる。以下、このようにしてECU28により実現される制御を「ギヤレシオ可変制御」と称する。
【0026】
同様に、可変ギヤレシオユニット14の作動不良を示す信号がECU28に入力されると、ECU28は、ロック機構90により上部ステアリングシャフト12aとロータ48とを直結させるための制御信号を、可変ギヤレシオユニット14に対して出力する。
【0027】
尚、この車両用ステアリング装置2において、転舵輪24の転舵角は、ステアリングハンドル10の操舵角及びアクチュエータ40(ロータ48)の回転角によって定まる。ここで、アクチュエータ40の回転角は、ステアリングハンドル10の操舵角と同様、中立位置の回転角に対する相対的な角度で定められており、当該中立位置の回転角は、転舵輪24が直進方向(即ち、転舵角がゼロ)で且つステアリングハンドルの操舵角が中立位置にあるときのアクチュエータ40の回転角として定められる。以下、この中立位置の回転角となるアクチュエータ40の回転位置を「アクチュエータ40(の回転角)の中立位置」と称する。従って、上述のギヤレシオ可変制御を適正に実行するためには、ステアリングハンドル10の操舵角の中立位置と同様、アクチュエータ40の回転角の中立位置を確定することが必要となる。
【0028】
このアクチュエータ40の回転角の中立位置は、ステアリングハンドル10の操舵角の中立位置と同様、ヨーレートセンサや車輪速センサ等からの検出データを用いて導出されてよく、或いは、後述する如く、車両が停止している状態において決定することも可能である。
【0029】
本実施例の車両用ステアリング装置2においては、ECU28と可変ギヤレシオユニット14との間の電気的な接続は、スパイラルケーブル装置80により実現されている。スパイラルケーブル装置80を用いる理由は、上述の如くステアリングハンドル10の回転に伴い可変ギヤレシオユニット14(アクチュエータ40)とECU28との間に相対回転が生ずるためである。
【0030】
このスパイラルケーブル装置80は、図4に示すように、上部ステアリングシャフト12aに連結された中空環状のケース82を備えている。このケース82は、互いに相対回転可能に連結されたローテータ84と筐体86とから構成されている。ローテータ84と筐体86との間に形成された環状空間の内部にはケーブル88が巻回されている。ケーブル88の端部は、ローテータ84に固定された端子84aを介して可変ギヤレシオユニット14に電気的に接続されている。また、ケーブル88の他方の端部は、筐体86に固定された他の端子86aに接続するワイヤハーネス70を介してECU28に電気的に接続されている。
【0031】
このスパイラルケーブル装置80において、ステアリングハンドル10が回転すると、ローテータ84と筐体86との間に相対回転が生ずるが、ケーブル88が、相対回転の回転方向に応じて、巻き締められ、あるいは、巻き拡げられることにより、ステアリングハンドル10の回転に伴う各端子84a,86a間の相対的な回転変位が吸収される。
【0032】
従って、このスパイラルケーブル装置80は、ステアリングハンドル10の回転しうる範囲内で、ローテータ84によるケーブル88の巻き拡げ及び巻き締めが可能となるように上部ステアリングシャフト12aに装着される。即ち、スパイラルケーブル装置80のケーブル88は、ステアリングハンドル10の所定の操舵範囲内で巻き締め不能とならないような緩みを有し、ステアリングハンドル10が中立位置にあるときに巻き拡げと巻き締めとの中間位置となるように設けられる。
【0033】
ところで、実車装着状態において、スパイラルケーブル装置80の中間位置がステアリングハンドル10の中立位置に対応していない場合、ステアリングハンドル10の操作中の過剰な巻き拡げによる異音の発生等の不具合が生じたり、ステアリングハンドル10の操作中に巻き締め不能となって、ステアリングハンドル10が操舵不能となるという危険性がある。
【0034】
しかしながら、スパイラルケーブル装置80の装着は、生産ラインやサービス工場等において人手により行われるため、スパイラルケーブルの中間位置に関してコーションラベル等により誤組み付けの防止を徹底した場合であっても、装着時のスパイラルケーブル装置80の中間位置を絶対的に保証することは困難である。これは、車両出荷後にスパイラルケーブル装置80が交換される場合にも該当する事項である。
【0035】
一方、上述のギヤレシオ可変制御が実行されると、上述したように、ステアリングハンドル10の操舵角に応じてアクチュエータ40が下部ステアリングシャフト12bを回転させるため、上述のギヤレシオ可変制御の異常停止時に(この場合、図3(A)を参照して説明したように、上部ステアリングシャフト12aと下部ステアリングシャフト12bとが直結状態となる。)スパイラルケーブル装置80が巻き締め不能等に陥りうるか否かを判断することはできない。他言すると、スパイラルケーブル装置80が巻き締め不能等に陥りうるか否かの判断は、ステアリングハンドル10の操舵範囲が大きくなるギヤレシオ可変制御が行われていない状態においてなされるべきであるが、かかる状態を生産ラインやサービス工場等において実現することは困難である。
【0036】
また、車両出荷後に可変ギヤレシオユニット14又はECU28が交換された場合であっては、アクチュエータ40の回転角の中立位置が確定していないため、ギヤレシオ可変制御を開始することができず、或いは、アクチュエータ40の回転角の中立位置が誤った位置で確定していることがありうるため、ギヤレシオ可変制御中にハンドルずれや走行中に勝手にタイヤが動く等の不都合が生じてしまう恐れがある。
【0037】
これに対して、以下に説明する本発明の特徴部は、上述のような如何なる場合であっても、ギヤレシオ可変制御を適正に開始させることができると共に、ステアリングハンドル操舵中にスパイラルケーブル装置が巻き締め不能とならないことを絶対的に保証できる、スパイラルケーブル中間位置保証方法に向けられる。
【0038】
尚、以下に説明する本発明の特徴部は、上述のスパイラルケーブル装置80を備えた車両用ステアリング装置2への適用に特に限定されることなく、上部ステアリングシャフト12a以外の如何なる部位、例えば下部ステアリングシャフト12bに装着されたスパイラルケーブル装置や、如何なる構成、例えば特開平10−164745号公報に開示される構成を有するスパイラルケーブル装置を備えた車両用ステアリング装置にも適用可能である。
【0039】
図5は、本発明のスパイラルケーブル中間位置保証方法を実現すべくECU28が実行する処理ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0040】
本処理ルーチンは、ステップ100においてスパイラルケーブル中間位置保証が実行される条件が満たされたときに開始される。この開始条件は、可変ギヤレシオユニット14又はスパイラルケーブル装置80の交換のような、スパイラルケーブル装置80の中間位置に影響を及ぼしうる交換が行われたか否かを含む。或いは、この開始条件は、可変ギヤレシオユニット14又はECU28の交換、若しくは、これら各部品の部分的な交換(例えば、アクチュエータ40の交換)のような、アクチュエータ40の回転角の中立位置に影響を及ぼしうる交換が行われたか否かを含んでよい。或いは、本処理ルーチンは、生産ラインにおいて車両用ステアリング装置2が実装された後、最終的な検査として例えば車両出荷前に開始されてもよい。
【0041】
本処理ルーチンが開始されると、ステップ102において、アクチュエータ40の回転角の中立位置を確定する処理が実行される。本実施例において、アクチュエータ40の回転角の中立位置は、ステアリングハンドル10を中立位置にセットし且つ転舵輪24を直進方向(即ち、転舵角をゼロ)にセットした状態における、回転角センサ30の出力信号に基づいて決定される。その際、ノイズ等の影響を考慮して、回転角センサ30の信号パターンを数回(例えば、10回)読み込み、これらの信号パターンがすべて一致している場合に、当該信号パターンをアクチュエータ40の回転角の中立位置を示すものと決定してもよい。このステップ102の処理によれば、車両が停止している状態においても、アクチュエータ40の回転角の中立位置を確定することが可能となる。従って、この確定方法は、車両走行中ではなく車両停止時に実行される本発明のスパイラルケーブル中間位置保証方法に好適である。
【0042】
上記ステップ102の処理が完了すると、上述の如くアクチュエータ40の回転角の中立位置が確定するため、上述のギヤレシオ可変制御を適正に開始させることができる状態になるが、本発明によれば、続くステップ104において、ギヤレシオ可変制御が行われていない状態で、ステアリングハンドル10の可能な操舵範囲を検査する処理が実行される。
【0043】
即ち、ステップ104において、上記ステップ102の処理により確定したアクチュエータ40の回転角の中立位置から左右にB°の範囲(即ち、−B°<回転角<B°)でアクチュエータ40のロータ48が回転可能であるか否かを判断する処理が実行される。このB°は、走行中にギヤレシオ可変制御が如何なるステアリングハンドル10の位置で停止してもステアリングハンドル10が操舵できる角度、という思想に基づいて決定される。また、ロータ48が回転可能であるか否かの判断は、デューティがある所定数以上若しくは電流がある所定数以上になってもロータ48が回転せず、この状態が数秒継続するか否かを判断するものであってよい。
【0044】
尚、本ステップ104は、イグニッションスイッチがオフの状態若しくはパワーステアリングが作動しない状態で実行され、従って、転舵輪24がアクチュエータ40の発生する回転トルクにより転舵されることはない。これは、転舵輪24を転舵させるために必要な回転トルクが、ステアリングハンドル10を回転させるために必要な回転トルクに比して十分大きいことに基づく。従って、本ステップ104の処理によれば、上述のロック機構90により上部ステアリングシャフト12aとロータ48との直結状態を実現することなく、ギヤレシオ可変制御の停止状態でのステアリングハンドル10の操舵角の検査を行うことができる。
【0045】
上記ステップ104において、アクチュエータ40を中立位置から左右にB°駆動できないと判定された場合は、ステアリングハンドル10の操舵中にスパイラルケーブル装置が巻き締め不能となることが予測されるため、続くステップ106において、上記ステップ104での否定的な判定結果を示すダイアグコードを記録する処理、当該ダイアグコードが消去されるまでギヤレシオ可変制御の実行を禁止するための処理、及び警告灯を点灯するための処理等が実行される。本ステップ106の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
【0046】
一方、上記ステップ104において、アクチュエータ40を中立位置から左右にB°駆動可能である判定された場合は、続くステップ108において、上記ステップ102で確定したアクチュエータ40の中立位置が有効であることを示すフラグをセットすると共に上記ステップ106のダイアグコードを消去する処理、ギヤレシオ可変制御を開始するための処理、及び、警告灯を消灯するための処理等が実行され、今回のルーチンが終了される。
【0047】
尚、例えば、本ステップ108において有効とされるフラグ(EEPROM等に記憶され、初期的には無効とされている)が、上記ステップ100の開始条件が成立した時に無効とされることとし、当該フラグが無効である場合に本処理ルーチンが開始されることとした場合には、以後、上記ステップ100の開始条件が成立する際に本処理ルーチンが実行されることになり、スパイラルケーブル装置80の中間位置の検査を経ることなく車両が出荷されることを確実に防止することができる。
【0048】
以上説明した本実施例の車両用ステアリング装置2によれば、上述の如く、アクチュエータやECU等が交換された場合に、アクチュエータの回転角の中立位置が確定され、次いでステアリングハンドルの切れ角の有効性が保証されて初めてギヤレシオ可変制御の実行が可能となるので、ギヤレシオ可変制御時にタイヤが勝手に動く等の不都合やギヤレシオ可変制御の異常停止時にステアリングハンドルが切れなくなる等の危険性が確実に解消される。
【0049】
次に、上述したスパイラルケーブル中間位置保証方法に代わって若しくは並存的に適用されてよい、本発明による、スパイラルケーブル装置の巻き締め不能を防止するためのワイヤハーネス配索方法について説明する。
【0050】
図6は、本発明のワイヤハーネス配索方法の一実施例を示す概略図である。図4を参照して説明したように、ワイヤハーネス70は、スパイラルケーブル装置80の筐体86に固定された端子86aを介してケーブル88に接続し、ECU28と可変ギヤレシオユニット14とを電気的に接続している。
【0051】
このワイヤハーネス70は、図6に示すように、ボデーパネル等の固定構造体にクランプ72によりクランプされる。このとき、ワイヤハーネス70は、図中破線で示す直接経路ではなく、クランプ72から離脱した際に緩みが生ずるような迂回経路で配索される。即ち、ワイヤハーネス70の全長は、電気的接続に要する最小長さに予備長さが加えられた長さとなる。
【0052】
クランプ72は、ワイヤハーネス70に所定のトルクが加わるとワイヤハーネス70を離脱するように構成されている。尚、通常時、クランプ72にかかる荷重が負荷されることは無いので、クランプ72がワイヤハーネス70を離脱することはない。
【0053】
以上説明した本発明のワイヤハーネス配索方法によれば、スパイラルケーブル装置80のケーブル88が巻き締め不能となった(即ち、ステアリングハンドルの操舵が不能となった)場合に、クランプ72に非常に大きな力が加わってワイヤハーネス70がクランプ72から離脱することになるので(図中、離脱したワイヤハーネス70を一点破線で指示)、ワイヤハーネス70の予備長さの部分がステアリングシャフト12に巻きつくことにより、その巻きつく量だけステアリングハンドルの操舵が可能となる。
【0054】
尚、本実施例では、クランプ72の外れを利用してスパイラルケーブル装置80の巻き締め不能を防止するものであったが、ワイヤハーネス70に所定のトルクが加わった場合に、ワイヤハーネス70とケーブル88(又はECU28)との接続部(即ち、端子86a(コネクタ))が離脱/破断するように構成してもよい。また、同様の観点から、スパイラルケーブル装置80の筐体86が静止部材に固定されている場合、ケーブル88が巻き締め不能となったときに、その回転トルクにより筐体86と静止部材との間の固定部が破断するように構成してもよい。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば上述した実施例は、特に可変ギヤレシオユニット14とECU28とを電気的に接続するスパイラルケーブル装置80への本発明の適用例に関するものであったが、本発明は、例えばエアーバック装置とエアーバックECUとを電気的に接続するスパイラルケーブル装置のような、如何なるスパイラルケーブル装置にも適用可能である。
【0058】
また、上述した実施例では、ワイヤハーネス70をボデーパネル等に係合させる手段としてクランプ72を用いていたが、接着テープによりワイヤハーネス70をボデーパネル等に接着させることも可能である。かかる場合、接着テープは、スパイラルケーブル装置80のケーブル88が巻き締め不能となった場合に、ワイヤハーネス70を離脱できるような接着力を有する。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようなものであるから、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、本発明によれば、スパイラルケーブル装置のケーブルが巻き締め不能となった場合でも、係合部材がハーネスをボデーパネル等の固定物から離脱させることで、ステアリングハンドルの操舵が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用ステアリング装置の構成図である。
【図2】可変ギヤレシオユニットの構成図である。
【図3】可変ギヤレシオユニットが備えるロック機構の説明図である。
【図4】スパイラルケーブル装置の構成図である。
【図5】本発明のスパイラルケーブル中間位置保証方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明のワイヤハーネス配索方法の一実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
2 ステアリング装置
10 ステアリングハンドル
12 ステアリングシャフト
14 可変ギヤレシオユニット
24 転舵輪
28 ECU
40 アクチュエータ
70 ワイヤハーネス
72 クランプ
80 スパイラルケーブル装置
88 ケーブル
90 ロック機構
Claims (3)
- ステアリングハンドルの操舵角に対する転舵輪の転舵角の比をアクチュエータの回転角により可変するステアリング装置であって、
相対的に回転する2つの端子を介して2つの部材を電気的に接続するケーブルを備えたスパイラルケーブル装置と、
前記スパイラルケーブル装置の一方の端子と前記2つの部材の一方の部材とを電気的に接続し、その2つの接続部間の直線距離よりも大きな全長を有するハーネスと、
前記ハーネスを固定物に係合する係合部材とを備え、
前記係合部材は、前記スパイラルケーブル装置の前記ケーブルが巻き締め不能となった際に前記ハーネスに加わる回転トルクにより前記ハーネスを前記固定物から離脱させるよう構成されていることを特徴とする、ステアリング装置。 - 前記係合部材は、クランプ部材又は接着テープを含む、請求項1記載のステアリング装置。
- 前記2つの部材は、前記アクチュエータ及び前記制御装置、又は、エアーバック装置及び該エアーバック装置を制御するための制御装置である、請求項1乃至2の何れかに記載のステアリング装置。
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