JP4210770B2 - センサカメラの照準機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視カメラと照明用光源と受動型赤外線センサとを備えたセンサカメラにおける、受動型赤外線センサの監視方向確認手段、いわゆる照準機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
受動型赤外線センサの照準機構としては、赤外線検出素子に近接して光源を設け、レンズや反射鏡の焦点に対して赤外線検出素子と光源の位置とを切替える方式のものが用いられている。実開昭56−152387号公報に、この内容が開示されている。ひとつの赤外線検出器と、これに赤外線を集束させる多光軸光学系とで構成される複数の赤外線集束軸(一般に検知ゾーンと呼ばれている)は、通常,人間の目には見えない。そのため、赤外線検出素子の位置に、赤色発光ダイオードなどの光源を置き、検知ゾーンの可視化を実現している。赤外線検出素子の位置に、赤色発光ダイオードを置きそれを点灯させ、検知ゾーン内から受動型赤外線センサをみると、対応する光学系(レンズや反射鏡)が赤く光って見えるが、それ以外の場所から受動型赤外線センサをみると、何も光って見えないという原理を利用したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような受動型赤外線センサの照準機構は、目に見えない検知ゾーンの方向をわかるようにしたという点では画期的であるが、それを用いた方向調整は、受動型赤外線センサの監視エリア内を、およその見当をつけながら歩き回り、反射鏡が光って見える位置を探し出し、方向を微調整し、すべてのゾーンの方向が適切なものとなるまで、各ゾーンに対して、探索、調整を繰り返すという、たいへん手間のかかる作業である。監視カメラと受動型赤外線センサとを備えたセンサカメラにおいては、受動型赤外線センサの検知ゾーンの方向だけでなく、監視カメラの向けられた方向との関係も把握し、調整しなければならないので、両方の機器の方向を正確に意図したとおりに設定しようとすると、その作業量は、膨大なものとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような調整作業を簡略化させるため、赤外線検出素子の位置に、近赤外線発光ダイオードを光源として置き、この近赤外線発光ダイオードから発せられ、受動型赤外線センサの集光光学系を介して投射される光によって照らし出される部分を、監視カメラによって撮影し、受動型赤外線センサの監視方向を確認するようにした。
【0005】
【発明の実施の形態】
センサカメラは、監視カメラと、照明用光源としての複数の近赤外線発光ダイオードと、受動型赤外線センサとを備えており、夜間など肉眼では物体の識別が不可能な暗闇においても、監視対象の撮影を可能としている。監視カメラの撮像素子には、可視領域に加え、近赤外線領域にも良好な感度を有するものを使用している。そして、照度が非常に低い環境下(暗闇)においては、複数の近赤外線発光ダイオードから、照明光源として近赤外線が発射され、それにより照らし出される監視対象が監視カメラの撮像素子に達し、監視映像が形成される。従って、人間(侵入者)には、監視され、撮影されていることは、まったく意識されることがない。
【0006】
図1は、本発明のセンサカメラの照準機構の使用状態を示した説明図である。中央上部には、受動型赤外線センサ1と監視カメラ2とを内蔵したセンサカメラが固定されており、図中の右方向の室内全体を監視している。円筒形の基台3側に、受動型赤外線センサ1と監視カメラ2とが固定されており、この2つの機器の露出部分がドーム形のカバー4で覆われるようになっている。図は、カバー4が開放された状態を示しており、Gは、監視カメラ2の垂直方向の画角であり、Pは受動型赤外線センサ1の中央の検知ゾーンである。
【0007】
図2は、受動型赤外線センサ1の拡大断面図である。11は、赤外線センサであり、12は反射鏡である。反射鏡12は、水平方向に扇形に広がる5本の検知ゾーンを形成するようになっており、5方向からの赤外線エネルギーが、焦点位置に配置された赤外線センサ11に集められる。赤外線センサ11から出力される信号は、信号処理部(図示省略)にて処理され、信号の変動分が、所定値を上回ったのを受けて、検知信号を出力する。13は、照準用の近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板であり、受動型赤外線センサ1が、警戒状態のときには、赤外線エネルギーを集光する光路を遮らないような位置に置かれ、消灯状態となっている。この状態を示したのが、図2(a)である。図2(b)は、この近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板13を、赤外線センサ11の受光窓前面に置いた状態を示している。このとき、近赤外線発光ダイオードは、点灯状態となっている。
【0008】
このような構成のセンサカメラを、監視対象となる室内に設置する際には、所定の位置にセンサカメラを取付け、電源供給線、信号出力線等必要な配線をおこない、いつでも起動できる状態とする。そして、機器の調整は、周囲照度の低い状態(暗闇)にておこなう。センサカメラを起動し、監視カメラから出力される映像信号を、調整作業用として持ち込んだモニターにて表示させ、センサカメラの近くでこの画面を確認する。
【0009】
まず、センサカメラに内蔵された照明用の近赤外線発光ダイオード(図示省略)を点灯し、それにより照らし出される監視対象の画像を、モニターで確認しながら、監視カメラ2の方向を調整する。次に、受動型赤外線センサ1において、図2(b)に示すように、照準用の近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板13を、赤外線センサ11の受光窓前面におき、これを点灯する。そして、照明用の近赤外線発光ダイオードを消灯状態にする。すると、モニター画面上に、図1の5に示すような画面が表示される。プリント基板13上の近赤外線発光ダイオードから投射された光は、反射鏡12で反射し、5本の検知ゾーンに沿う形で扇形に広がる。投射された光によって照らし出される部分は、モニターの画面内で、明るく映し出される。それ以外の部分は、照明用の近赤外線発光ダイオードが消灯されているので、黒く表示される。この明るく映し出される部分が、受動型赤外線センサ1の検知ゾーンが達している場所を示している。
【0010】
受動型赤外線センサ1の方向を変更すると、画面内の明るく映し出される部分がそれに応じて動く。その動きを見ながら方向を微調整し、侵入者を検出するのに最適な状態にセットする。図1のモニター画面に表示されているのは、調整後の状態である。5本の検知ゾーンのうちの真ん中の検知ゾーンPが、部屋の中央に立っている人間Mの胸から腰の部分に達している。センサカメラから見て左側前方に位置するドアDの近辺に2本の検知ゾーンが、右側前方方向にも2本の検知ゾーンが確認できる。この状態であれば、ドアDから侵入した人間が、そのまままっすぐ、壁際に沿って進むと、3本の検知ゾーンを、ドアDを入りすぐに右に折れて進めば、1本の検知ゾーンを横切ることになる。侵入者がドアDから入ってどちらの方向に進んでも、少なくとも1本の検知ゾーンを横切ることになり、この設定状態であれば、受動型赤外線センサ1が、侵入者を見逃すことはない。
【0011】
この実施形態では、5本の検知ゾーンを備えた受動型赤外線センサについて説明しているが、この5本の検知ゾーンの下方に、もうひとつか、ふたつの扇形の検知ゾーンを備えた、いわゆる立体警戒形の受動型赤外線センサを用いれば、さらに厳密な警戒が実現される。このような、数多くの検知ゾーンを備えた受動型赤外線センサを組み込んだセンサカメラにおいても、本発明の照準機構は実現可能である。その場合は、監視カメラ2の垂直方向の画角Gの範囲内に検知ゾーンが増え、モニター画面5内を埋め尽くす形で、明るく映し出される部分が増加することになる。
【0012】
一連の方向調整作業が終了したら、照準用の近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板13を赤外線センサ11の受光窓前面から取り除き、図2(a)の状態に戻し、この近赤外線発光ダイオードを消灯させる。そして、照明用の近赤外線発光ダイオードを点灯させ、監視モードに移行させる。照準用の近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板13を、 赤外線センサ11の受光窓前面に置くのと連動して、照準用の近赤外線発光ダイオードの点灯と、照明用の近赤外線発光ダイオードの消灯が同時におこなわれるようにし、また、照準用の近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板13を、赤外線センサ11の受光窓前面から取り除くのと連動して、照準用の近赤外線発光ダイオードの消灯と、照明用の近赤外線発光ダイオードの点灯が同時におこなわれるようにすると、操作が簡略化される。
【0013】
【発明の効果】
本発明のセンサカメラの照準機構によれば、検知ゾーンに沿う形で広がる光によって照らし出される部分が、モニターの画面内で、明るく映し出されるので、監視カメラの監視範囲と、受動型赤外線センサの監視範囲と、このふたつの監視範囲の相対位置を同時に確認しながら、調整することができる。これにより、受動型赤外線センサの監視エリア内を、およその見当をつけながら歩き回り、反射鏡が光って見える位置を探し出すといった面倒な作業が省かれ、調整に要する時間が大幅に短縮される。
【0014】
照準用光源を、受動型赤外線センサの赤外線検出素子の近傍、もしくは赤外線検出素子と置き換わる位置に移動させる操作に連動して、照明用光源から発せられる光を停止させる機構を備えることにより、調整作業モード、監視モードの切替がスムーズにおこなわれ、作業効率が向上する。
本発明の実施の形態の説明では、照準用光源として、近赤外線発光ダイオードを用いているが、監視カメラの撮像素子の応答感度波長領域内の光源であり、モニターの画面内で、検知ゾーンの位置が明るく映し出される程度の発光強度を有するものであれば、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサカメラの照準機構の使用状態を示した説明図である。
【図2】本発明の照準機構を構成する受動型赤外線センサ1の拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・受動型赤外線センサ
2・・・監視カメラ
3・・・基台
4・・・カバー
5・・・モニター画面
11・・・赤外線センサ
12・・・反射鏡
13・・・近赤外線発光ダイオードを装着したプリント基板
P・・・受動型赤外線センサの真ん中の検知ゾーン
G・・・監視カメラ2の垂直方向の画角
M・・・人間
D・・・ドア

Claims (2)

  1. 監視カメラと照明用光源と受動型赤外線センサとを備えたセンサカメラにおいて、前記受動型赤外線センサの赤外線検出素子の近傍、もしくは赤外線検出素子と置き換わる位置に、近赤外線発光源を設け、前記近赤外線発光源から発せられ、前記受動型赤外線センサの集光光学系を介して投射される光によって照らし出される部分を、前記監視カメラにて撮影し、受動型赤外線センサの検知ゾーンを確認するようにしたことを特徴とするセンサカメラの照準機構。
  2. 前記近赤外線発光源を点灯させるための操作に連動して、照明用光源から発せられる光を停止させる機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載のセンサカメラの照準機構。
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