JP4210450B2 - 使い捨て紙おむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、おむつの装着時及び廃棄時に使用されるファスニングテープを有する使い捨て紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乳幼児や要介護者等に使用される使い捨ての紙おむつとして種々の形態のものが提供されているが、その基本的な構成は図4に展開平面図で示すようになっている。すなわち、この使い捨ての紙おむつ1は、表面側を覆う不織布等から成る透液性トップシート2と、裏面側を覆う薄いポリエチレン等から成るバックシート3とにより綿状パルプ等から成る吸収体4を内装しておむつ本体5を形成し、このおむつ本体5の背部両側に装着時及び廃棄時に使用されるファスニングテープ6を固定して成っている。なお、おむつ本体5の腰周り部にはゴム紐等の弾性伸縮部材7が設けられており、また同様な弾性伸縮部材8が脚周り部に設けられている。さらにまた、バックシート3の裏面腹部位置には、ファスニングテープ6を係止するためのフック受等から成るメス材(図示せず)を外面に備えた係止用シート9が付設されている。この係止用シート9は、フロントシート、フロンタルテープ、ランディングテープ、あるいはランド部材等と呼称されている。
【0003】
ここに、ファスニングテープ6は、図5に図4のX−X断面図で示すように、不織布等から成るファスニングテープ基材(以下「テープ基材」という)6aと、テープ基材6aの表面に接着剤等により固定されたフック等から成るオス材6bとで構成されている。なお、テープ基材6aの一端部6a1側は、例えば図示するように、トップシート2とバックシート3に挟持され、熱溶着あるいは接着剤等によりおむつ本体5に固定されおり、他端部6a2側は自由端となっている。
【0004】
以上のとおり構成されたこの使い捨て紙おむつ1は、図6に斜視図で示すような状態で使用される。すなわち、これは、図4に示すおむつ本体5を長手方向の略中央部から二つに折り畳んで前身頃10と後見頃11を形成し、身体の腹部位置でファスニングテープ6のオス材6bと係止用シート9のメス材とを係合して着用者の腰部に固定した状態を示している。このように、ファスニングテープ6は紙おむつ1の装着時に使用される。
【0005】
また、このファスニングテープ6は紙おむつ1の廃棄時にも使用される。図7はその廃棄状態を示す平面図で、一般に、使用済みの紙おむつ1は前身頃10側から、あるいは股間部を中心としてぐるぐる巻き上げられ、図示するように、ファスニングテープ6同士を重ね合わせて止着され、そして廃棄される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにファスニングテープ6同士を重ね合わせて止着すると、紙おむつ1全体が幅方向に広がった状態となり、嵩張ったまま廃棄することになるために、このような従来の紙おむつ1は後処理が大変煩わしいという欠陥があった。
【0007】
このように紙おむつ1を嵩張った状態で廃棄する理由としては次の二つがあげられる。その一つは、一方のファスニングテープ6に設けられたオス材6bが、他方のファスニングテープ6のテープ基材6a(このテープ基材6aは不織布等の布材で作られていることは前述したとおりである)面と係合し易いことであり、もう一つは、おむつ本体5の中核をなす、換言すれば、紙おむつ1全体の体積の大半を占める吸収体4自体がかなりの厚みと硬さを有して作られていることである。
【0008】
すなわち、このようにファスニングテープ6同士が係合し易く、また吸収体4が厚くて硬いと、廃棄処理者は廃棄に際し、あえて力を入れて紙おむつ1全体をコンパクトにまとめようとはせず、ファスニングテープ6同士が重なる位置で止着をしてしまうからである。
【0009】
また、上述したようにファスニングテープ6同士が係合し易いと、両者の係脱を繰り返しているうちに、テープ基材6aの係合面、すなわち裏面に毛羽が立つようになり、ファスニングテープ6の見栄えが悪くなるという欠陥があった。
【0010】
さらにまた、従来の紙おむつ1のファスニングテープ6では、その構造及び材質に起因し、図8に示すように、テープ基材6aの表面に設けられたオス材6bとテープ基材6aの自由端部の表面とが係合してしまうことが度々生じていた。このようにテープ基材6aの自由端部の表面がオス材6bと係合すると、ファスニングテープ6の摘み代がなくなってしまい、装着時や廃棄時に摘み難くなるのみならず、オス材6bの止着面積が減少することにもなるため、オス材6bによる係合力が低下するという欠陥があった。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、使用済みの使い捨て紙おむつを廃棄するに際しコンパクトにまとめて処理することができ、また、ファスニングテープに毛羽を立たせることがなく、さらにまた、ファスニングテープの摘み代をなくしたり係合力を低下させることのない使い捨て紙おむつを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、表面側を覆う透液性トップシートと裏面側を覆う不透液性バックシートとにより吸収体を内装しておむつ本体を形成し、該おむつ本体の背部両側に固定したファスニングテープのテープ基材表面に設けたオス材と、前記バックシートの裏面腹部位置に設けた係止用シートのメス材とを係脱することにより前記おむつ本体を身体腰部に着脱可能とした使い捨て紙おむつにおいて、前記テープ基材を不織布で構成し、かつ該テープ基材の表裏両面のうち裏面のみにエンボス率100%をもってエンボス処理を施し、該エンボス処理により熱圧着された繊維表面が平滑化されることにより、前記オス材と前記裏面とが係合することのないように構成したことを特徴とする請求項1に係る使い捨て紙おむつによって達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、表面側を覆う透液性トップシートと裏面側を覆う不透液性バックシートとにより吸収体を内装しておむつ本体を形成し、該おむつ本体の背部両側に固定したファスニングテープのテープ基材表面に設けたオス材と、前記バックシートの裏面腹部位置に設けた係止用シートのメス材とを係脱することにより前記おむつ本体を身体腰部に着脱可能とした使い捨て紙おむつにおいて、前記テープ基材を不織布で構成すると共に、該テープ基材の表裏両面のうち裏面のみに、多数の凹部が前記おむつ本体の左右方向に対し傾いて配列され斜め格子状に形成されるように、エンボス率が15%より大きく、エンボス間ピッチが1.5mmより小さい値をもってエンボス処理を施し、該エンボス処理により熱圧着された繊維表面が平滑化されることにより、前記オス材と前記裏面とが係合することのないように構成したことを特徴とする請求項2に係る使い捨て紙おむつによって達成される。
【0016】
以下、上記各請求項に係る本発明の詳細を、実施例を示す添付図面に基づき説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態に係る使い捨て紙おむつ1Aの要部を示す平面図、すなわち図4に展開平面図で示す従来の使い捨て紙おむつ1の上部側右半分に対応する部分を示す平面図であり、図2は図1のY−Y断面図である。なお、図1以下の本発明の実施形態に係る図においては、前述した従来の使い捨て紙おむつ1と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0018】
本使い捨て紙おむつ1Aは、表面側を覆う透液性トップシート2と裏面側を覆う不透液性バックシート3とにより吸収体40を内装しておむつ本体50を形成し、このおむつ本体50の背部両側に装着時及び廃棄時に使用されるファスニングテープ60を固定して成っている点で前記従来の使い捨て紙おむつ1と一見共通しているが、吸収体40及びファスニングテープ60の構造が従来のものと異なっている。
【0019】
すなわち、先ず、本使い捨て紙おむつ1Aにおけるファスニングテープ60は、図2に断面図で示すように、不織布から成る基材60aと、基材60aの表面に接着剤等により固定されたフック等から成るオス材60bとで構成され、基材60aの一端部60a1側がトップシート2とバックシート3に挟持されて接着剤等によりおむつ本体5の背部両側に固定され、他端部6a2側が自由端となっているが、基材60aの表裏両面にはエンボス60c、60d処理が施されており、基材60a面にオス材60bが係合しないように構成されている。
【0020】
図1に示すように、このエンボス60c、60dは、例えば直径Dが0.1〜3mm程度、深さが0.01〜0.3mm程度の円柱状の凹部に形成され、エンボス間のピッチPが従来の約半分程度の0〜1.5mm、好ましくは0〜1.0mmに設定され、テープ基材60aの表裏各面に対するエンボス率が10〜100%、好ましくは15〜100%に設定されている。
【0021】
このようにテープ基材60a面にエンボス処理を施すと、エンボス60c、60dにより熱圧着された繊維表面が平滑化され、オス材60bがこの面と係合しなくなる。とくに上記のような範囲に設定され、エンボス処理を施された本使い捨て紙おむつ1Aによれば、テープ基材60a面とオス材60bとの剥離力が、図8に示すテープ基材60a面にエンボス処理の施されていない従来のファスニングテープ6に較べ低減されるので、両者、すなわちテープ基材60a面とオス材60bの係合が確実に阻止される。
【0022】
本発明者らによる当分野独自の剥離力測定方法によれば、前記テープ基材60a面とオス材60bとの剥離力を(F)とすると、この(F)は0〜10gf/25mmに設定することが好ましく、(F)を10gf/25mm以上に設定すると両者が係合し易くなることが究明されている。
【0023】
また、本発明者らによる上記と同様な剥離力測定方法によれば、オス材60bとバックシート3の裏面との剥離力を(F1)とし、オス材60bとテープ基材60a裏面との剥離力を(F2)とするとき、剥離力(F1)を剥離力(F2)よりも大きく設定することが好ましいことが判明している。具体的には、剥離力(F1)は80〜200gf/25mmに、剥離力(F2)は0〜80gf/25mmに、好ましくは0〜20gf/25mmに設定される。
【0024】
このように設定された本紙おむつ1Aによれば、廃棄者は、廃棄するに際し紙おむつ1をぐるぐる巻き上げて左右からファスニングテープ60で止着するとき、ファスニングテープ60同士が剥離し易くなっているため、自ずと、紙おむつ1Aを左右から内側に力を入れてまとめ上げるようになり、コンパクトにしてから一方のファスニングテープ60のオス材60bをバックシート3の裏面のメス材に係合して止着するようになる。なお、上記範囲を逸脱して設定すると、上述したような効果は得られないことが究明されている。
【0025】
次に、本発明においては、おむつ本体50の中核をなす吸収体40の厚み及び曲げ硬さが低減され、吸収体40全体が柔軟に構成されている。すなわち、この吸収体40は綿状パルプ等から成っている点では前述した従来の使い捨て紙おむつ1における吸収体4と同様であるが、その厚みを(T)、柔らかさの指標である曲げ硬さを(M)とすると、50/cm2荷重時の厚み(T)は1.0〜8.0mmに、好ましくは2.0〜3.0mmに、また曲げ硬さ(M)は0.4〜1.0g・cm2/cmに、好ましくは0.3〜0.5g・cm2/cmに設定されている。これらの値はいずれも本発明者らによる当分野独自の実験により究明されたものであり、前述した従来の使い捨て紙おむつ1における吸収体4に較べ、厚み(T)及び曲げ硬さ(M)は夫々約半分程度に軽減された値となっている。
【0026】
このように、本紙おむつ1Aは、ファスニングテープ60のオス材60bの剥離力に加え、吸収体60自体が極めて柔軟に作られているので、本紙おむつ1Aによれば、上述したように、廃棄者が廃棄するに際しては、紙おむつ1を楽に巻き上げることができ、全体をよりコンパクトにまとめてからファスニングテープ60で止着することができる。
【0027】
以上、本発明の内容を一実施形態に基づき説明したが、本発明は必ずしも前記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲において構成上種々の変更が可能である。
【0028】
例えば、ファスニングテープの基材面に施すエンボスの形状としては、図3(a)に示すような多数の凹部がおむつ本体50の左右方向に対し傾いて配列された斜め格子状のエンボス60d1、あるいは(b)に示すような分散した楕円状のエンボス60d2等の種々のものが適用できる。また、このエンボス処理は、必要に応じ、テープ基材の裏面にのみ施してもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、ファスニングテープ基材面に設けられたオス材と該基材面との剥離力が低減し、両者が係合しないように構成されているので、使用済みの使い捨て紙おむつを廃棄するに際し、ファスニングテープ同士で止着することがなくなり、必然的にコンパクトにまとめて処理するようになるので、後処理が大変楽になる効果がある。
【0030】
上記構成に加え、とくに吸収体を柔軟にした本発明に係る使い捨て紙おむつによれば、上記効果は一層顕著なものとすることができる。
【0031】
また、上記構成、具体的には、テープ基材面にエンボス処理を施すことにより、ファスニングテープに毛羽を立たせることがなく、さらにまた、ファスニングテープの摘み代をなくしたり係合力を低下させること等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部の展開平面図である。
【図2】図1のY−Y断面図である。
【図3】エンボス処理形態を例示する平面図である。
【図4】従来の使い捨て紙おむつの展開平面図である。
【図5】図4のX−X断面図である。
【図6】従来の使い捨て紙おむつの使用状態を示す斜視図である。
【図7】従来の使い捨て紙おむつの廃棄状態を示す平面図である。
【図8】従来の使い捨て紙おむつのファスニングテープの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 (従来の)使い捨て紙おむつ
1A (本発明に係る)使い捨て紙おむつ
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 おむつ本体
6 ファスニングテープ
6a (従来の)テープ基材
6b (従来の)オス材
40 (本発明に係る)吸収体
50 (本発明に係る)おむつ本体
60 (本発明に係る)ファスニングテープ
60a (本発明に係る)テープ基材
60b (本発明に係る)オス材
60d (本発明に係る)エンボス
Claims (2)
- 表面側を覆う透液性トップシートと裏面側を覆う不透液性バックシートとにより吸収体を内装しておむつ本体を形成し、該おむつ本体の背部両側に固定したファスニングテープのテープ基材表面に設けたオス材と、前記バックシートの裏面腹部位置に設けた係止用シートのメス材とを係脱することにより前記おむつ本体を身体腰部に着脱可能とした使い捨て紙おむつにおいて、前記テープ基材を不織布で構成し、かつ該テープ基材の表裏両面のうち裏面のみにエンボス率100%をもってエンボス処理を施し、該エンボス処理により熱圧着された繊維表面が平滑化されることにより、前記オス材と前記裏面とが係合することのないように構成したことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
- 表面側を覆う透液性トップシートと裏面側を覆う不透液性バックシートとにより吸収体を内装しておむつ本体を形成し、該おむつ本体の背部両側に固定したファスニングテープのテープ基材表面に設けたオス材と、前記バックシートの裏面腹部位置に設けた係止用シートのメス材とを係脱することにより前記おむつ本体を身体腰部に着脱可能とした使い捨て紙おむつにおいて、前記テープ基材を不織布で構成すると共に、該テープ基材の表裏両面のうち裏面のみに、多数の凹部が前記おむつ本体の左右方向に対し傾いて配列され斜め格子状に形成されるように、エンボス率が15%より大きく、エンボス間ピッチが1.5mmより小さい値をもってエンボス処理を施し、該エンボス処理により熱圧着された繊維表面が平滑化されることにより、前記オス材と前記裏面とが係合することのないように構成したことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
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