JP4209697B2 - 記憶装置を有した情報機器および記憶装置を有した情報機器の省電力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブを有しかつ省電力機能を有するデジタル複写機等の装置における、ハードディスクドライブの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年デジタル複写機は、複写機としての機能だけではなく、FAX、またネットワークに接続したスキャナ、プリンタとして多様な機能を有し、多機能周辺機器(MultiFunctionPeriferal、以下、MFPと称する。)と称されるようになってきている。この機能の多様化に伴い、扱われるデータの量も増加の一途をたどっており、これらのデータを記憶するために大容量のハードディスクドライブ(以下、HDDと称する)を備えている。
【0003】
ところで、従来より複写機はオフィスの中において大電力を消費してしまうために、使用していないときには低電力で駆動する省電力モード(エナジーセーブモード、スリープモード等)を有しており、一定時間以上使用されない場合には自動的に省電力モードに移行する機能を有している。近年、環境への配慮から、以前にも増して待機時の消費電力を極力抑えることが強く求められており、これに対応するためにMFPがスキャン、印刷、データ送受信等の動作をしていない期間は、省電力モードで待機するようにしている。省電力モードにおいては、一般的に装置の制御系の電源のみを残して、電源を切ることが行われている。(例えば特許文献1参照)
【0004】
この省電力モードにおいては、極力消費電力を抑えるために前述したHDDも省電力モードにするのが好ましい。HDDの省電力モードとしては、ATA規格で定められているスタンバイモードやスリープモードが考えられる。このようなHDDのスタンバイモードあるいはスリープモードにおいては、HDDのスピンドルモータを停止させることにより消費電力を抑え、またスタンバイモードやスリープモードから復帰する際にはスピンドルモータを再起動する。
【0005】
【特許文献1】
特開2002―374380公報(第3頁第39行目乃至同頁第43行目)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般にHDDのスタート/ストップ回数には上限が規定されている。このスタート/ストップ回数は電源オン/オフ時の他、上記スタンバイ(スリープ)モードへの移行時と、スタンバイ(スリープ)モードからの復帰時もカウント対象となる。一般的なHDDでは、その回数はトータルで40,000回以下と規定されている(スタート/ストップペアで1回とカウント)。この回数を越えるような使用は、HDDの寿命を縮めることになる。このため、MFPが省電力モードに入るたびにHDDをオフにしていると、MFP本体が省電力モードに入る回数が多くなればなるほど、HDDの寿命が短くなってしまうと言う問題を抱えていた。
【0007】
そこで、本発明では、HDDの実効寿命を縮めることなく、かつ最大限の省電力効果を得ることのできる、HDDを有した装置の省電力モードにおける制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の情報機器は、通常の電力で駆動される第1のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第2のモードとのいずれかのモードで駆動される機器本体と、この機器本体に内蔵され種々のデータを記憶するとともに、通常の電力で駆動される第3のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第4のモードとのいずれかのモードで駆動される記憶装置と、前記機器本体が所定時間以上動作されない場合に、前記機器本体を前記第1のモードから前記第2のモードに切り換える第1の電力切換手段と、この第1の電力切換手段が、前記機器本体を前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えた回数をカウントするカウント手段と、このカウント手段が、前記機器本体が前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えられた回数が所定の回数に達したことをカウントしたとき、前記記憶装置を前記第3のモードから前記第4のモードに切り換えるとともに、前記機器本体が前記第2のモードから前記第1のモードに復帰するとき、前記記憶装置を前記第4のモードから前記第3のモードに切り換える第2の電力切換手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
これにより、HDDに代表されるような使用回数に制限のある記憶装置の寿命を短くすること無く、省電力の効果を同時に得ることができる情報機器を提供することができるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明が適用される、ハードディスク(以下、HDDと称する)を有した装置の一例としての多機能複写機(以下、MFPと称する)のハードウェア構成を示すものである。MFPは、コピー機としての機能、プリンタとしての機能、FAXとしての機能、ネットワークスキャナとしての機能を兼ね備えたものである。MFPは、大きくはFAX部11、スキャナ部12、プリンタ部13の3つのブロックに分かれており、それぞれFAXとしての機能、スキャナとしての機能、プリンタとしての機能を実行する。また、ネットワークインターフェース141、FAXインターフェース142を経由して、外部装置との間で情報の通信、画像をはじめとする各種データのやりとりを行う。これらはいずれもCPU10の制御のもとに行われる。CPU10には、プログラム等を格納したROM15、処理データを一時的に格納するためのRAM16、大容量記憶装置としてのHDD17が接続されている。このHDD17には、スキャナ部12で読み取った画像データや、ネットワークインターフェース141、FAXインターフェース142を介して取り込んだ画像データ等を格納する。MFPは、さらにユーザインターフェースとしての図示しない操作パネルを有しており、MFPに対する各種ジョブは、この操作パネルを操作することにより利用者により設定される。
【0011】
このようなMFPにおいて、省電力モードへの移行は、ユーザがMFPを使用してから所定時間経過した時点で自動的に移行するオートモードと、オペレータが操作パネル上に設けられている「省電力モード切替ボタン」を操作することにより移行するマニュアルモードとにより可能となっているものが一般的であるが、この例ではオートモードについて説明する。このオートモードによる通常電力状態から省電力状態へ移行する際の時間は、そのMFPの利用環境に応じて自由に設定できるようになっている。省電力モードに入ると、定着器の温度が通常のレディ時温度よりも低い温度に下げられ、冷却ファンが停止または低速回転に切り替えられ、操作パネルの表示が消灯される。これらの動作については、MFP本体が省電力モードに入るたびに実行されるが、本発明においてはHDD17に関してのみ、MFP本体がN回(Nは自然数)省電力モードに移行するたびに『低消費電力モード(スタンバイモードやスリープモード)』に移行するようにしている。
【0012】
図2は、本実施例におけるMFP本体とHDD17の省電力制御の第1の例を示している。この第1の例においては、MFP本体のオートモードでの省電力モード移行時間Tsを10分とし、MFP本体が3回省電力スリープモードに移行するたびにHDD17をスタンバイモードに移行するようにしている(N=3の例)。この第1の例では、MFP本体が5分動作した後、10分間動作無く放置された後第1回目の省電力モードに入り、その5分後にMFP本体が動作し(5分間)、10分間経過の後2回目の省電力モードに入り、その5分後にMFP本体が動作し(5分間)、10分間経過の後3回目の省電力モードに入る。この時、上述のようにN=3と設定されているので、この3回目の本体の省電力モードへの移行とともに、HDD17もスタンバイモードに移行する。この例の場合はHDD17のスタート/ストップ回数は1時間当り1回となる。第1の例では、MFP本体が省電力モードに入って5分後に次の利用が開始されるという、かなり利用頻度の高いMFPを想定しているが、一般的な事業所(ユーザ)においてMFPが1日10時間稼動するとして、第1の例でのMFP製品寿命期間(ここでは一般的に「5年」としている)でのHDDスタート/ストップ回数は、1日1回の電源オン/オフも加算して、
【0013】
(1[回/日]+1[回/時間]×10[時間/日])×365[日/年]×5[年]=20,075[回]
【0014】
となる。一般的なHDDのスタート/ストップ回数の制限は40,000回とされているので、この第1の例では一般的なHDDのスペックを満足できる値である。
【0015】
ここで、上述した省電力制御のルーチンを図3のフローチャートを用いて説明する。まず、MFP本体の電源がオンされると(ST1)、設定されている省電力モードへの移行時間Ts(オートモード)を確認する(ST2)。この設定されている移行時間Tsに応じて、MFP本体の省電力モード移行回数とHDD17の省電力モード(スタンバイモード)移行回数の関係を確認する(ST3)。ここでTsが10分未満であればN=6、10分以上20分未満であればN=3、20分以上30分未満であればN=2、30分以上であればN=1と取り決められている。次に、MFP本体が省電力モードに移行したことをカウントするカウンタnに1を代入する(ST4)。MFP本体のジョブが終了した時点から時間をカウントしはじめ、待機時間がTs分連続したかどうか判断する(ST5)。待機時間がTs分連続した場合、MFP本体は省電力モードへ移行する(ST6)。そして、カウンタnがST3にて設定されたNに到達したかどうか判断される(ST7)。カウンタnがNに達していれば、HDD17をスタンバイモードに移行する(ST8)。ここで、カウンタnがNに達していなければ、カウンタnを1ずつカウントアップし(ST9)、次の処理に進む。そして、MFP本体の操作パネルをユーザが操作したか、ネットワーク経由でデータを受信したか、FAX回線経由でFAXデータを受信するまでこの状態を継続する(ST10)。ST10にて何らかの事象が発生すると、省電力モードを解除し、通常モードに移行して(ST11)、省電力制御を終了する。この処理は、MFP本体の電源がオフされるまで継続される(ST12)。
【0016】
ここで、上記Nの値が大きいほどHDD17のスタート/ストップ回数へ減らすことができるが省電力の観点からは不利となり、逆にNの値が小さいと省電力の観点からは有利であるがHDDスタート/ストップ回数は増える方向となる。したがって、最適なNの値は、MFP本体の省電力モード移行時間(オートモード)Tsの値に応じて決めるようにすればよい。一般にTsの値はユーザ設定により可変とされているので、Tsが小さい値に設定される場合は、頻繁にMFP本体を使用する使用者であると考え、MFP本体の省電力モードへの移行/復帰回数が増えると予測されるのでNは大きめの値とし、Tsが大きい値に設定される場合は、MFP本体の利用頻度が少ない使用者であると考え、MFP本体の省電力モードへの移行/復帰回数が少ないと予測されるのでNは小さめの値とすればよい。
【0017】
ところで、前述の第1の例では、省電力モードに入ってから5分後に動作再開されると言うMFP利用頻度の高いユーザを想定したが、そのようなユーザにおいても常に5分おきにMFPを使用する機会が発生するとは限らない。例えば、図4に示すように、MFP本体が2回目の省電力モード(同図中(n=2)と表示している部分)に入ってからユーザのアクセスがなく省電力モードが長時間続く場合、HDD17はスタンバイモードに入ることなく、アイドルモードで長時間待機することになる。これは省電力の点では好ましくないことである。従って、このような利用状況を想定して第2の例では、HDD17に対するアクセスのない状態がある一定時間(Thd[分])以上連続する場合には、HDD17をスタンバイモードに移行させるという制御を、前述の第1の例の制御に加える。この第2の例では、MFP本体が5分動作した後、10分間動作無く放置された後第1回目の省電力モードに入り、その5分後にMFP本体が動作し(5分間)、10分間経過の後2回目の省電力モードに入り、そのまま動作されない状態が続く。このとき、2回目の省電力モードへの時間カウントを開始した時点から60分後に、HDD17もスタンバイモードに移行する。これにより、例えばn=3と設定されている場合でも、n=3に到達する前に長時間HDD17が動作しない状況が続く場合にはHDD17を省電力の状態とすることができ、有効に省電力を行うことができる。これはATA規格で定められているHDDの自動パワーダウン機能を有効にすることによっても実現することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、HDDのスタート/ストップ回数の増加を抑えつつ省電力モードにも対応するように制御することができるので、HDDの実効寿命延長と省電力の効果を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される多機能複写機の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の省電力制御の例の流れを示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の省電力制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の省電力制御の例の流れを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10…CPU、17…ハードディスク、11…FAX部、12…スキャナ部、13…プリンタ部、141…ネットワークインターフェース、142…FAXインターフェース
Claims (5)
- 通常の電力で駆動される第1のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第2のモードとのいずれかのモードで駆動される機器本体と、
この機器本体に内蔵され種々のデータを記憶するとともに、通常の電力で駆動される第3のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第4のモードとのいずれかのモードで駆動される記憶装置と、
前記機器本体が所定時間以上動作されない場合に、前記機器本体を前記第1のモードから前記第2のモードに切り換える第1の電力切換手段と、
この第1の電力切換手段が、前記機器本体を前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えた回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段が、前記機器本体が前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えられた回数が所定の回数に達したことをカウントしたとき、前記記憶装置を前記第3のモードから前記第4のモードに切り換えるとともに、前記機器本体が前記第2のモードから前記第1のモードに復帰するとき、前記記憶装置を前記第4のモードから前記第3のモードに切り換える第2の電力切換手段と、
を具備することを特徴とする記憶装置を有した情報機器。 - 前記第2の電力切換手段により、前記記憶装置が前記第4のモードから前記第3のモードに切り換えられたとき、前記カウント手段をリセットするリセット手段と、
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の記憶装置を有した情報機器。 - 前記第4のモードにおいては、前記記憶装置に対して電力を供給しないことを特徴とする請求項1記載の記憶装置を有した情報機器。
- 通常の電力で駆動される第1のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第2のモードとのいずれかのモードで駆動される機器本体と、この機器本体に内蔵され種々のデータを記憶するとともに、通常の電力で駆動される第3のモードと、前記通常の電力よりも低い電力で駆動される第4のモードとのいずれかのモードで駆動される記憶装置とからなる情報機器において、
前記機器本体が所定時間以上動作されない場合に、前記機器本体を前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えるステップと、
前記機器本体が前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えられた回数をカウントするステップと、
前記機器本体が前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えられた回数が所定の回数に達したことがカウントされたとき、前記記憶装置を前記第3のモードから前記第4のモードに切り換えるステップと、
前記機器本体が前記第2のモードから前記第1のモードに復帰するとき、前記記憶装置を前記第4のモードから前記第3のモードに切り換えるステップと、
からなることを特徴とする記憶装置を有した情報機器の省電力制御方法。 - 前記記憶装置が前記第4のモードから前記第3のモードに切り換えられたとき、前記カウント値をリセットするステップ、
をさらに具備することを特徴とする記憶装置を有した請求項4記載の情報機器の省電力制御方法。
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