JP4208115B2 - 全反射減衰を利用したセンサー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料液中の物質の特性を分析する表面プラズモンセンサー等の、全反射減衰を利用したセンサーに関し、特に詳細には、測定チップに試料液を保持する試料液保持機構が設けられている全反射減衰を利用したセンサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料液中の物質を定量分析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜からなる薄膜層およびこの薄膜層上に試料液を保持する試料液保持機構を備えた測定チップと、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを薄膜層に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該薄膜層に接している試料液中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって薄膜層と試料液との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料液の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εとεをそれぞれ薄膜、試料液の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】
Figure 0004208115
試料液の誘電率εが分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料液中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角θSPを知ることにより、試料液の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0010】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。この漏洩モードセンサーは基本的に、プリズム状に形成された誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層とその上に形成された光導波層からなる薄膜層およびこの薄膜層上に試料液を保持する試料液保持機構を備えた測定チップと、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0011】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料液の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料液の屈折率や、それに関連する試料液の特性を分析することができる。
【0012】
また、上述した表面プラズモンセンサーや漏洩モードセンサー等は、本出願人により出願された特願平2001−047885に記載されるように、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質と試料液との相互作用の研究に用いられることがある。例えばセンシング物質と試料液中に含まれる特定物質との結合作用や、逆に結合物質から試料液中への特定物質の解離作用等の相互作用の測定に用いられる。このような相互作用としては、タンパク質−タンパク質相互作用、DNA−タンパク質相互作用、糖−タンパク質相互作用、タンパク質−ペプチド相互作用、脂質−タンパク質相互作用や化学物質の結合等が含まれている。
【0013】
上記表面プラズモンセンサーや漏洩モードセンサー等が、センシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用される場合であれば、前記薄膜層上にセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に全反射減衰の状態を測定している。試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に全反射減衰の状態を測定し、変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として測定チップに固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来提供されている全反射減衰を利用したセンサーにおいては、内底面に予め薄膜層が形成されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、試料液を滴下供給した後、光ビームを測定チップの誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように入射させ、界面で全反射した光ビームの強度を検出し、その検出結果に基づいて、全反射減衰の状態を測定している。光ビームの強度の検出精度を向上させるためには、界面に入射させる光ビームの照射エネルギーを増加させることが望ましい。一方、界面に照射される光ビームの照射エネルギーが増大すると、薄膜層上に保持された試料液の温度が上昇してその屈折率が変化し、そのために全反射減衰の状態の測定精度が低下する、あるいは温度上昇が大幅な場合には測定が不可能になるという問題がある。これらの問題に関しては、上記の従来の全反射減衰を利用したセンサーにおいては、検討がなされていない。
【0015】
本発明は上記の事情に鑑みて、試料液の温度上昇を抑制し、全反射減衰の状態の測定精度を向上させることのできる全反射減衰を利用したセンサーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による全反射減衰を利用したセンサーにおいては、
光ビームを発生させる光源と、
前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層上に試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用したセンサーにおいて、
前記界面における前記光ビームの照射エネルギーが、1平方ミリ当たり100mJ以下であることを特徴とするものである。
【0017】
このようなセンサーとしては、金属膜を上記薄膜層として用いる前述の表面プラズモンセンサーや、誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成された光導波層とからなる層を上記薄膜層として用いる前述の漏洩モードセンサー等がある。
【0018】
上記光ビームの照射エネルギーは、1平方ミリ当たり50mJ以下であってもよい。また、上記光ビームの照射エネルギーは、1平方ミリ当たり10mJ以下であってもよい。
【0019】
上記薄膜上に前記試料液と相互作用を生じるセンシング物質が配されている場合であれば、上記測定手段は、光検出手段により時間をおいて検出された複数の検出結果に基づいて、全反射減衰の状態の経時変化を測定するものとすることができる。なお、このようにセンシング物質と相互作用を生じる試料液としては、例えば、水、生理食塩数あるいはジメチルスルフォオキサイド10%液等の水系の溶媒液に種々の被検体が溶かされている試料液が使用される。
【0020】
また、上記センサーは、前記光源と前記誘電体ブロックの間に配されたシャッタと、該シャッタの開動作に同期させて、前記光検出手段における検出動作または前記測定手段における測定動作を行わせるタイミング制御手段とを備えるものであってもよい。
【0021】
なお、本発明によるセンサーにおいて、光検出手段により前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰の状態を測定する方法としては種々の方法があり、例えば、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる種々の入射角で入射させ、各入射角に対応した位置毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰により発生した暗線の位置(角度)を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよいし、D.V.Noort,K.johansen,C.-F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585-588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0022】
また、P.I.Nikitin,A.N.Grigorenko,A.A.Beloglazov,M.V.Valeiko,A.I.Savchuk,O.A.Savchuk, Surface Plasmon Resonance Interferometry for Micro-Array Biosensing, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.235-238 に記載されているように、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させるとともに、この光ビームの一部を、この光ビームが前記界面に入射する前に分割し、この分割した光ビームを、前記界面で全反射した光ビームと干渉させて、その干渉後の光ビームの強度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明による全反射減衰を利用したセンサーにおいては、測定チップの誘電体ブロックと薄膜層との界面に、1平方ミリ当たり100mJ以下の光ビームを入射させ、界面で全反射した光ビームの強度を光検出手段で検出し、全反射減衰の状態を測定しているため、薄膜層上に保持された試料液の温度上昇が抑制され、全反射減衰の状態の測定精度を向上させることができる。
【0024】
例えば、上述したように、センシング物質と試料液中に含まれる被検体との結合作用を測定する場合であれば、その被検体の分子量としては、200以上のものが多い。例えば、被検体が経口薬等に使用される物質であれば、その分子量は200以上1000以下のものが多く、被検体がタンパク質であれば、その分子量は1000以上のものが多い。図10は、測定チップの界面に入射する光ビームの照射エネルギーと、この光ビームの照射による試料液の屈折率変化量(被検体の分子量換算)との関係を示す図である。この図から、例えば1平方ミリあたり200mJの光ビームを照射した場合には、分子量に換算して、2000以上の屈折率変化が生じることがわかる。被検体の分子量が1000程度の場合に、分子量に換算して2000以上の屈折率変化が生じたのでは、その測定結果を信頼することはできない。
【0025】
一方、1平方ミリ当たり100mJ以下の光ビームを照射した場合であれば、図10に示すように、光ビームの照射に起因する試料液の屈折率変化は分子量換算で200程度となる。試料液に含まれる被検体が、例えばタンパク質であれば、通常のタンパク質の分子量が1000以上であるため、分子量に換算して200以下の屈折率変化が生じても、全反射減衰の状態の経時変化の測定精度を低下させることがなく、例えば、被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定を行う際に、その判定精度を低下させることがない。
【0026】
また、測定チップの誘電体ブロックと薄膜層との界面に、1平方ミリ当たり50mJ以下の光ビームを入射させ、界面で全反射した光ビームの強度を光検出手段で検出し、全反射減衰の状態を測定する場合であれば、薄膜層上に保持された試料液の温度上昇が一層抑制され、全反射減衰の状態の測定精度を一層向上させることができる。すなわち、1平方ミリ当たり50mJ以下の光ビームを照射した場合には、図10に示すように、光ビームの照射に起因する試料液の屈折率変化は分子量に換算して100以下となる。試料液に含まれる被検体の分子量が例えば200以上であれば、分子量に換算して100以下の屈折率変化が生じても、全反射減衰の状態の経時変化を測定することができる。すなわち、被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定を行うことができる。
【0027】
なお、測定チップの誘電体ブロックと薄膜層との界面に、1平方ミリ当たり10mJ以下の光ビームを入射させ、界面で全反射した光ビームの強度を光検出手段で検出し、全反射減衰の状態を測定する場合であれば、薄膜層上に保持された試料液の温度上昇がさらに抑制され、全反射減衰の状態の測定精度をより向上させることができる。すなわち、1平方ミリ当たり10mJ以下の光ビームを照射した場合には、図10に示すように、光ビームの照射に起因する試料液の屈折率変化は分子量あたり50以下となり、試料液に含まれる被検体の分子量が200以上であれば、分子量に換算して50以下の屈折率変化が生じても、被検体とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定が可能であり、その判定精度に影響を与えることがほとんどない。
【0028】
また、前記光源と前記誘電体ブロックの間に配されたシャッタと、該シャッタの開動作に同期させて、前記光検出手段における検出動作または前記測定手段における測定動作を行わせるタイミング制御手段とを備えるものであれば、誘電体ブロックと薄膜層との界面に照射される光ビームの照射エネルギーを精度良く制御することができる。また、このシャッタの開動作、すなわち光ビーム30が界面に照射されるタイミングと同期させて、光強度の検出あるいは全反射減衰の状態の測定を行うことにより、光ビームが照射されていない間の検出信号が、ノイズとして測定結果に影響を与えることを防止することができ、測定結果の信頼性が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモンセンサーの全体形状を示すものであり、また図2はこの装置の要部の側面形状を示している。この表面プラズモンセンサーにおいては、表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSPの角度変化量を測定し、センシング物質と被検体の結合の有無、すなわち被検体が特定物質であるか否かを判定している。
【0030】
図1に示す通りこの表面プラズモンセンサーは、複数の測定チップ10と、これら複数の測定チップ10を支持したターンテーブル20と、このターンテーブル20を間欠的に回動させる移動手段としての支持体駆動手段21と、測定用の光ビーム(レーザビーム)30を発生させる半導体レーザ等のレーザ光源31と、入射光学系を構成する集光レンズ32と、光検出器40と、上記レーザ光源31および支持体駆動手段21の駆動を制御するとともに、上記光検出器40の出力信号Sを受けて後述の処理を行なうコントローラ60と、試料液供給機構70とを有している。
【0031】
上記測定チップ10は図2に示す通り、例えば概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の一面(図中の上面)に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12とを有している。
【0032】
誘電体ブロック11は例えば透明樹脂等からなり、金属膜12が形成された部分の周囲が嵩上げされた形とされ、この嵩上げされた部分13は試料液15を貯える試料液保持機構として機能する。なお本例では、金属膜12の上にセンシング物質14が固定されるが、このセンシング物質14については後述する。
【0033】
ターンテーブル20上には、この測定チップ10を嵌合保持する複数(本例では12個)の貫通穴22が、ターンテーブル20の回動軸23を中心とする円周上に等角度間隔で設けられている。測定チップ10は、ターンテーブル20に対して交換可能な状態で保持される。支持体駆動手段21はステッピングモータ等から構成され、ターンテーブル20を貫通穴22の配置角度と等しい角度ずつ間欠的に回動させる。
【0034】
集光レンズ32は図2に示す通り、光ビーム30を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲は、上記界面12aにおいて光ビーム30の全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。
【0035】
なお光ビーム30は、界面12aに対してp偏光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光源31をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム30の偏光の向きを制御してもよい。また、1回の測定が行われる際に、界面12aに照射される光ビームの照射エネルギーは1平方ミリ当たり50mJとなるように、レーザ光源31および集光レンズ32が構成されている。
【0036】
光検出器40は、多数のフォトダイオードが1列に配されてなるフォトダイオードアレイであり、フォトダイオードの並び方向が図2中の矢印X方向となるように配されている。
【0037】
一方コントローラ60は、支持体駆動手段21からその回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けるとともに、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手段21を作動させる駆動信号Dを出力する。また上記光検出器40の出力信号Sを受ける測定手段61と、この測定手段61からの出力を受ける表示部62とを備えている。
【0038】
測定手段61は、図3に示すように、光検出器40に接続された差動アンプアレイ63と、ドライバ64と、コンピュータシステム等からなる信号処理部65とから構成されている。
【0039】
図示の通り上記ドライバ64は、差動アンプアレイ63の各差動アンプ63a、63b、63c……の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路52a、52b、52c……、これらのサンプルホールド回路52a、52b、52c……の各出力が入力されるマルチプレクサ53、このマルチプレクサ53の出力をデジタル化して信号処理部65に入力するA/D変換器54、マルチプレクサ53とサンプルホールド回路52a、52b、52c……とを駆動する駆動回路55、および信号処理部65からの指示に基づいて駆動回路55の動作を制御する制御回路56から構成されている。
【0040】
試料液供給機構70は、試料液を所定量だけ吸引保持するピペット71と、このピペット71を移動させる手段72とから構成されたものであり、所定位置にセットされた試料液容器73から試料液をピペット71に吸引保持し、ターンテーブル20上の所定の停止位置にある測定チップ10の試料液保持枠13内にその試料液を滴下供給する。
【0041】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSPの角度変化量の測定動作について説明する。まず、実際の測定を行う前に、被検体と溶媒からなる試料液を複数種類用意する。また試料液の種類と同数の測定チップ10を用意する。通常、測定チップ10に固定されるセンシング物質は、測定者により異なる。このため、測定者はセンシング物質14の固定されていない測定チップ10にセンシング物質14を固定する。
【0042】
例えばセンシング物質14が蛋白質の一種であるストレプトアビジンである場合には、まずエタノールの飽和蒸気雰囲気下で、測定チップ10に1mMのDDA(Dithio-Dibutyric-Acid)のエタノール液を24時間液だめした後、エタノール液で洗浄する。次にEDC(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide)0.2M+NHS(N-hydrooxysuccinimide)0.1MのPBS(リン酸バッファ液)で10分間液だめし、PBSで洗浄する。その後、ストレプトアビジン10μg/mLを10分間液溜めした後、PBSで洗浄を行い、次にエタノールアミンを5分間液溜し、ブロッキングを行う。さらにPBSで洗浄し、安定化剤である1%BSA(Bovine Serum Albumin:ウシ血清アルブミン)液を10分間液溜めして、再度PBSによる洗浄を行う。上記の作業により、センシング物質であるストレプトアビジンが固定された測定チップ10が作成される。通常これらの測定チップ10は、不図示の96穴カセット内に並べられている。
【0043】
試料液15としては、種々の被検体が溶媒に溶かされたものを準備する。被検体としては、分子量200以上の種々の物質が準備され、溶媒として0.1%BSA液が含まれるPBS(以下0.1%BSA・PBSと記載:生理食塩水の一種)が使用される。
【0044】
測定に先立ち、上記のセンシング物質14が固定されて、不図示の96穴カセット内に並べられ測定チップ10は、不図示の測定チップ移動機構により、順次ターンテーブル20上に配置される。
【0045】
ターンテーブル20が何回が回動された後停止し、測定チップ10が試料液供給機構70が設けられている位置に静止すると、測定チップ10の試料液保持枠13に、試料液供給機構70によって試料液15が供給される。さらにターンテーブル20が回動され、測定チップ10が、その誘電体ブロック11に上記光ビーム30が入射する測定位置(図2中の右側の測定チップ10の位置)に静止する状態となる。この状態のとき、コントローラ60からの指令でレーザ光源31が駆動され、そこから発せられた光ビーム30が前述のように収束する状態で、誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに入射する。なお、上述したように、界面12aに照射される光ビーム30の照射エネルギーは、1平方ミリあたり50mJ以下である。この界面12aで全反射した光ビーム30は、光検出器40によって検出される。
【0046】
本例における光検出器40は、複数のフォトダイオード40a、40b、40c……が1列に配設されてなるフォトダイオードアレイであり、図1の図示面内において、光ビーム30の進行方向に対してフォトダイオード配設方向がほぼ直角となる向きに配設されている。したがって、上記界面12aにおいて種々の反射角で全反射した光ビーム30の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード40a、40b、40c……が受光することになる。
【0047】
上記フォトダイオード40a、40b、40c……の各出力は、差動アンプアレイ63の各差動アンプ63a、63b、63c……に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ63a、63b、63c……の出力は、複数のフォトダイオード40a、40b、40c……が出力する光検出信号を、それらの配設方向に関して微分したものと考えることができる。
【0048】
各差動アンプ63a、63b、63c……の出力は、それぞれサンプルホールド回路52a、52b、52c……により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ53に入力される。マルチプレクサ53は、サンプルホールドされた各差動アンプ63a、63b、63c……の出力を、所定の順序に従ってA/D変換器54に入力する。A/D変換器54はこれらの出力をデジタル化して信号処理部65に入力する。
【0049】
図4は、界面12aで全反射した光ビーム30の入射角θ毎の光強度と、差動アンプ63a、63b、63c……の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム30の界面12aへの入射角θと上記光強度Iとの関係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとする。
【0050】
界面12aにある特定の入射角θSPで入射した光は、金属膜12とセンシング物質14との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。つまりθSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、反射光中の暗線として観察される。
【0051】
また図4の(2)は、フォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
【0052】
そしてフォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ63a、63b、63c……の出力I’(反射光強度Iの微分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
【0053】
信号処理部65は、A/D変換器54から入力された微分値I’の値に基づいて、差動アンプ63a、63b、63c……の中から、全反射減衰角θSPに対応する微分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図3の例では差動アンプ63eとなる)を選択し、それが出力する微分値I’を表示部62に表示させる。なお、場合によっては微分値I’=0を出力している差動アンプが存在することもあり、そのときは当然その差動アンプが選択される。次に、ターンテーブル20が、支持体駆動手段21によって間欠的に回動され、以後、所定時間が経過する毎に上記選択された差動アンプ63eが出力する微分値I’が、表示部62に表示される。
【0054】
微分値I’は、測定チップ10の金属膜12(図1参照)に接しているセンシング物質14の誘電率つまりは屈折率が変化して、図3(1)に示す曲線が左右方向に移動する形で変化すると、それに応じて上下する。したがって、この微分値I’を時間の経過とともに測定し続けることにより、金属膜12に接しているセンシング物質14の屈折率変化を調べることができる。
【0055】
試料液15の中の被検体が、センシング物質14と結合する物質であれば、それらの結合状態に応じてセンシング物質14の屈折率が変化するので、上記微分値I’を測定し続けることにより、被検体とセンシング物質14の結合状態を測定することができ、この測定結果に基づいて、被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。
【0056】
すなわち、微分値I’の値が変化すれば、センシング物質14の屈折率が変化したと判定でき、すなわち試料液15に含まれる被検体は、センシング物質14と結合する物質であると判定できる。また、微分値I’の値に変化がない場合には、被検体がセンシング物質と結合する物質ではないと判定できる。
【0057】
また、本実施形態では、測定チップ10の界面12aに照射する光ビーム30の照射エネルギーを界面12aにおいて平方ミリあたり50mJとしたため、光ビームの照射による試料液の屈折率変化は分子量に換算して100程度となり、試料液に含まれる被検体の分子量が、200以上であるため、分子量に換算して100程度の屈折率変化が誤差として生じても、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができる。このため、被検体とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【0058】
なお、界面12aに照射する光ビームの照射エネルギーを10mJ以下とすれば、光ビームの照射による試料液の屈折率変化は分子量に換算して50以下となり一層精度良く判定を行うことができる。しかし、光検出器40として検出精度の良い機器を用いる必要があり、またノイズの除去等にも考慮する必要がある。
【0059】
なお、被検体がタンパク質等の分子量が1000以上の物質であれば、界面12aに照射する光ビームの照射エネルギーを100mJまで増加しても、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができ、安価な装置を用いることができる。
【0060】
また、複数の測定チップ10をターンテーブル20上に配置し、このターンテーブル20を回転させて、各測定チップ10を順次集光レンズ32および光検出手段40に対して所定位置に配置できるように構成したため、複数の測定チップ10における微分値を、上記ターンテーブル20の回転にともなって次々と測定することができ、多数の測定チップ10についての測定を短時間で行なうことが可能となる。
【0061】
なお、上述のように、誘電体ブロック11、金属膜12および試料液保持枠13が一体的に形成されたなる測定チップ10に限らず、金属膜12および試料保持枠13が一体化され、誘電体ブロック11に対して交換可能に形成された測定チップを適用することもできる。
【0062】
さらにレーザ光源31から射出される光ビーム30の射出量を切り換えることにより、界面12aに照射する光ビーム30の照射エネルギーを、例えば1平方ミリあたり100mJ、50mJ、10mJの3段階に切り換えられるように構成することもできる。使用者は、被検体の分子量や、光検出器40の検出感度などを考慮し、最も適切な照射エネルギーを設定すればよい。
【0063】
次に、図5〜図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図5〜図7においては、図1〜図3中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0064】
この第2の実施形態の全反射減衰を利用したセンサーは、第1の実施の形態に、光ビーム30の照射エネルギーを制御するシャッタ33およびシャッタ33の開動作に同期させて、測定手段61に測定を行わせるタイミング制御部63とを付け加えたものである。
【0065】
シャッタ33は、図5および図6に示すように、光源31と集光レンズ32との間に設けられる。光源31は常時光ビーム30を射出している。光ビーム30はシャッタ33が閉状態であれば遮られ、開状態であれば測定チップ10の界面12aに照射される。
【0066】
コントローラ64は、支持体駆動手段21からその回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けるとともに、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手段21を作動させる駆動信号Dを出力する。また上記光検出器40の出力信号Sを受ける測定手段61と、この測定手段61からの出力を受ける表示部62と、シャッタ33の開閉動作および測定手段61における測定タイミングを制御するタイミング制御部63とを備えている。
【0067】
測定時には、コントローラ64のタイミング制御部63は、測定チップ10の界面12aに照射される光ビーム30の照射エネルギーが所定値、例えば1平方ミリ当たり50mjになるように、シャッタ33を所定時間開く。なお、測定チップ10の界面12aに照射される光ビーム30の照射エネルギーとシャッタ33の開時間との関係は予め測定されて、タイミング制御部63に記憶されている。
【0068】
また、タイミング制御部63は、シャッタ33の開動作と同期させて、測定手段61に測定を行わせる。すなわち、図7に示すように、測定手段61の信号処理部66の動作を制御して、シャッタ33が開いている間にフォトダイオード40a、40b、40c……で受光された光強度に基づいて、差動アンプ63eが出力する微分値I’を、表示部62に表示する。なお、信号処理部66に限らず、作動アンプアレイ63やサンプルホールド回路52a、52b、52c・・・等を制御して、シャッタ33の開動作と同期した測定結果を取得することができる。あるいは光検出器40として、フォトダイオードアレイの代わりにCCDアレイ等を用いれば、シャッタ33の開動作と同期させて光検出器40を露光することにより、シャッタ33の開動作と同期した検出信号を得ることもできる。
【0069】
以上の説明で明かなように、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様の効果を得るとともに、測定チップ10の界面12aに照射される光ビーム30の照射エネルギーを精度良く制御することができる。また、光ビーム30の照射タイミングと同期させて、光強度の検出あるいは全反射減衰の状態の測定を行うことにより、光ビーム30が照射されていない間の検出信号が、ノイズとして測定結果に影響を与えることを防止でき、測定結果の信頼性が向上する。
【0070】
次に、図1および図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施の形態の全体構成は第1の実施形態とほぼ同様であるため、図1において、異なる構成部の番号のみ図中に付記する。また図8においては、図2中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0071】
この第3の実施形態の全反射減衰を利用したセンサーは、先に説明した漏洩モードセンサーであり、測定チップ90を用いるように構成されている。この測定チップ90の誘電体ブロック11の一面(図中の上面)にはクラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92が形成されている。
【0072】
誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0073】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源31から出射した光ビーム30を誘電体ブロック11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム30が誘電体ブロック11とクラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0074】
光導波層92における導波光の波数は、該光導波層92の上のセンシング物質14の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、センシング物質14の屈折率を測定することができる。また、光検出器40の隣接したフォトダイオードの検出値の差分である微分値I’に基づいて各測定チップ90における、微分値の経時変化すなわち全反射減衰の状態の経時変化を測定し、被検体とセンシング物質14との結合状態を測定することができる。
【0075】
なお、本実施形態においても、1回の測定が行われる際に、界面91aに照射される光ビームの照射エネルギーは1平方ミリ当たり50mJとなるように、レーザ光源31および集光レンズ32が構成されている。このため、光ビームの照射による試料液の温度変化に起因する試料液の屈折率変化は分子量に換算して100程度となり、試料液に含まれる被検体の分子量が、200以上であるため、分子量に換算して100程度の屈折率変化が生じても、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができる。したがって、被検体とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定を精度良く行うことができる。また、他の効果に関しても、第1の実施の形態と同様の効果を得られる。
【0076】
次に図9を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態による表面プラズモンセンサーの全体形状は、図1に示す第1の実施の形態で示した表面プラズモンセンサーと同様である。本実施の形態の表面プラズモンセンサーは、上記第1の実施の形態の表面プラズモンセンサーと比べ測定方法を変更したものである。
【0077】
図9に要部形状を示すように、本実施の形態の表面プラズモンセンサーの測定位置には、レーザ光源120 とCCD121 が配設されており、レーザ光源120 とCCD121 との間には、コリメータレンズ122 、干渉光学系123 、集光レンズ124 およびアパーチャー125 が配設されている。
【0078】
上記干渉光学系123 は、偏光フィルタ131 、ハーフミラー132 、ハーフミラー133 およびミラー134 により構成されている。さらに、CCD121 は測定手段135 に接続されており、測定手段135 は表示部62に接続されている。
【0079】
以下、本実施の形態の表面プラズモンセンサーにおける測定動作について説明する。レーザ光源120 が駆動されて光ビーム140 が発散光の状態で出射される。この光ビーム140 はコリメータレンズ122 により平行光化されて偏光フィルタ131 に入射する。偏光フィルタ131 を透過して界面12aに対してp偏光で入射するようにされた光ビーム140 は、ハーフミラー132 により一部がレファレンス光ビーム140Rとして分割され、ハーフミラー132 を透過した残りの光ビーム140Sは界面12aに入射する。界面12aで全反射した光ビーム140Sおよびミラー134 で反射したレファレンス光ビーム140Rはハーフミラー133 に入射して合成される。合成された光ビーム140'は集光レンズ124 により集光され、アパーチャー125 を通過してCCD121 によって検出される。このとき、CCD121 で検出される光ビーム140'は、光ビーム140Sとレファレンス光ビーム140Rとの干渉の状態に応じて干渉縞を発生させる。
【0080】
ここで、金属膜12の表面に固定されているセンシング物質14が、試料液15中の被検体と結合するものであるか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを、試料液15を滴下後から継続的に測定を行い、CCD121 により検出される干渉縞の変化を検出することにより、判定することができる。
【0081】
すなわち、上記試料液15中の被検体とセンシング物質14との結合状態に応じてセンシング物質14の屈折率が変化するため、界面12aで全反射した光ビーム140Sおよびレファレンス光ビーム140Rがハーフミラー133 により合成される際に、干渉の状態が変化するため、上記干渉縞の変化に応じて結合反応の有無を検出することができる。測定手段135 は、以上の原理に基づいて上記反応の有無を検出し、その結果が表示部62に表示される。
【0082】
なお、本実施形態においても、1回の測定が行われる際に、界面12aに照射される光ビームの照射エネルギーは1平方ミリ当たり50mJとなるように、レーザ光源120 、コリメータレンズ122 、偏光フィルタ123 およびハーフミラー132 が構成されている。このため、第1の実施の形態と同様に、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができ、被検体とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かの判定を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による表面プラズモンセンサーの全体図
【図2】図1の表面プラズモンセンサーの要部を示す一部破断側面図
【図3】上記表面プラズモンセンサーに用いられる測定手段のブロック図
【図4】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と光検出器による検出光強度との関係、および光ビーム入射角と光強度検出信号の微分値との関係を示す概略図
【図5】本発明の第2の実施形態による表面プラズモンセンサーの全体図
【図6】図5の表面プラズモンセンサーの要部を示す一部破断側面図
【図7】図5の表面プラズモンセンサーに用いられる測定手段のブロック図
【図8】本発明の第3の実施形態による漏洩モードセンサーの要部を示す一部破断側面図
【図9】本発明の第4の実施形態による表面プラズモンセンサーの要部を示す一部破断側面図
【図10】光ビームによる照射エネルギーと屈折率変化量の関係を示す図
【符号の説明】
10、90 測定チップ
11 誘電体ブロック
12 金属膜
12a 誘電体ブロックと金属膜との界面
13 試料液保持枠
14 センシング物質
15 試料液
20 ターンテーブル
21 支持体駆動手段
30 光ビーム
31 レーザ光源
32 集光レンズ
33 シャッタ
40 光検出器
60 コントローラ
61,64 測定手段
62 表示部
63 タイミング制御部
70 試料液供給機構
91 クラッド層
91a 誘電体ブロックとクラッド層との界面
92 光導波層
120 レーザ光源
121 CCD
122 コリメータレンズ
123 干渉光学系
124 集光レンズ
125 アパーチャー
134 ミラー
135 測定手段
140 光ビーム

Claims (5)

  1. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層上に試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定チップと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用したセンサーにおいて、
    前記界面における前記光ビームの照射エネルギーが、1平方ミリ当たり100mJ以下であることを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。
  2. 前記光ビームの照射エネルギーが、1平方ミリ当たり50mJ以下であることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  3. 前記光ビームの照射エネルギーが、1平方ミリ当たり10mJ以下であることを特徴とする請求項2記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  4. 前記薄膜上に前記試料液と相互作用を生じるセンシング物質が配され、
    前記測定手段が、前記光検出手段により時間をおいて検出された複数の検出結果に基づいて、全反射減衰の状態の経時変化を測定するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  5. 前記光源と前記誘電体ブロックの間に配されたシャッタと、該シャッタの開動作に同期させて、前記光検出手段における検出動作または前記測定手段における測定動作を行わせるタイミング制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー。
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