JP4027048B2 - 全反射減衰を利用した測定方法および測定装置 - Google Patents

全反射減衰を利用した測定方法および測定装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して物質の特性を分析する表面プラズモン測定等の全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関し、特に詳細には、センシング物質と試料液に含まれる被検体との結合作用の状態を測定する全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置が種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて液体試料などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0007】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εとεをそれぞれ金属、被測定物質の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0008】
【数1】
Figure 0004027048
すなわち、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θSPを知ることにより、被測定物質の誘電率εs、つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0009】
なおこの種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0010】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0011】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0012】
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
【0013】
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0014】
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角θSPの角度を測定している。
【0015】
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角θSPを測定し、該全反射減衰角θSPの角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として測定ユニットに固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
【0016】
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰角θSPの角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角θSPの角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角θSPの角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる。(本出願人による特願2000-398309号参照)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来提供されている全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め形成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定ユニットに、試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角θSPの角度変化量の測定を行っている。
【0018】
上記測定ユニットに試料液を供給し、センシング物質と被検体とが結合すると、センシング物質の屈折率が変化し、全反射減衰角θSPの角度が変化する。しかし、測定ユニットに試料液を供給した直後の全反射減衰角θSPの角度変化は、厳密にはセンシング物質の屈折率の変化のみを反映したものではなく、センシング物質の屈折率変化と、溶媒が添加されたことによる屈折率の変化の総和を反映したものである。この溶媒が添加されたことによる屈折率変化は、「バルク効果」と呼ばれている。このバルク効果は、試料液中の溶媒の種類等により変化する。したがって、このバルク効果の影響により、センシング物質と被検体との結合状態の測定精度が低下する恐れがあった。
【0019】
また、上記測定ユニット内には、センシング物質を保護するための保護液が予め入れられていることも多いが、この場合でも溶媒が添加されると保護液の屈折率が変化し、やはりバルク効果が生じる恐れがあった。
【0020】
本発明は上記の事情に鑑みて、バルク効果の影響を低減し、センシング物質と被検体との結合状態の測定精度を向上させることのできる全反射減衰を利用した測定方法および装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、上記溶媒を上記試料液保持機構に供給することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、特に前述の表面プラズモン測定方法を対象とすることもでき、その場合は、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜、この金属膜の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を上記試料液保持機構に供給することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定方法は、特に前述の漏洩モード測定方法を対象とすることもでき、その場合は、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層、このクラッド層の上に形成された光導波層、この光導波層の上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて、上記光導波層での導波モードの励起による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を上記試料液保持機構に供給することを特徴とするものである。
【0024】
上記各種の全反射減衰と利用する測定方法においては、上記全反射減衰の状態の経時変化の測定の開始後に、上記試料液を上記試料液保持機構へ供給するものであってもよい。
【0025】
本発明による全反射減衰を利用した測定装置においては、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
上記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を上記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定装置は、特に前述の表面プラズモン測定装置として構成されたものを対象とすることもでき、その場合は、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜、この金属膜の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
上記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を上記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明による全反射減衰を利用した測定装置は、特に前述の漏洩モード測定装置として構成されたものを対象とすることもでき、その場合は、
光ビームを発生させる光源と、
上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層、このクラッド層の上に形成された光導波層と、この光導波層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に上記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと上記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて、上記光導波層での導波モードの励起による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
上記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と上記試料液の上記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を上記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
上記各種の全反射減衰を利用した測定装置において、上記測定手段は、上記試料液が上記試料液保持機構へ供給される前に全反射減衰の状態の経時変化の測定を開始するものであってもよい。
【0029】
また、上記各種の全反射減衰を利用した測定装置において、上記測定ユニットを複数個備え、
上記複数個の測定ユニットを支持する支持体と、
上記複数の測定ユニットの各誘電体ブロックに関して順次上記種々の入射角が得られるように、上記支持体を上記光学系および光検出手段に対して相対的に移動させて、各測定ユニットを上記光学系および光検出手段に対して所定位置に配置する移動手段とを備えたことを特徴とするものであってもよい。
【0030】
また、上記支持体が、回動軸を中心とする円周上に上記複数の測定ユニットを支持したターンテーブルであれば、上記移動手段としては、このターンテーブルを間欠的に回動させるものを用いることもできる。
【0031】
なお、上記「結合」には、タンパク質−タンパク質相互作用、DNA−タンパク質相互作用、糖−タンパク質相互作用、タンパク質−ペプチド相互作用、脂質−タンパク質相互作用や化学物質の化学物質の結合等が含まれている。
【0032】
【発明の効果】
本発明による全反射減衰を利用した測定方法および測定装置においては、光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段をを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と試料液の試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、試料液に含まれる溶媒と同等の溶媒を試料液保持機構に供給するため、試料液を試料液保持機構に供給する前に、すでに試料液に含まれる溶媒と同等の溶媒が試料液保持機構に保持されている。このため、試料液を試料保持機構に供給しても、溶媒の屈折率の変化、すなわちバルク効果が生じことはほとんど無い。このため、試料液を試料保持機構に供給されるした後に計測される屈折率の変化(全反射減衰角θSPの角度変化)は、センシング物質に被検体が結合したことによるセンシング物質の屈折率の変化のみを反映したものとみなすことができ、センシング物質と被検体との結合状態の測定精度を向上させることができる。
【0033】
なお、上記全反射減衰の状態の経時変化の測定を開始後に、上記試料液を上記試料液保持機構へ供給する場合であれば、測定開始時の全反射減衰の状態、すなわち試料液供給前の全反射減衰の状態を基準として、その後の全反射減衰の状態の変化を測定することができる。
【0034】
なお、本発明の全反射減衰を利用した測定装置のうち、複数の測定ユニットを支持体に支持させ、この支持体を、光学系および光検出手段に対して相対的に移動させて各測定ユニットを順次測定用光学系および光検出手段に対して所定位置に配置できるように構成したものにおいては、複数の測定ユニットにおける全反射減衰の状態を、上記の移動にともなって次々と測定に供することができ、多数の測定ユニットについての測定を短時間で行なうことが可能になる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモン測定装置の全体形状を示すものであり、また図2はこの装置の要部の側面形状を示している。この表面プラズモン測定装置においては、表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSPの角度変化量を測定し、センシング物質と被検体の結合の有無、すなわち被検体が特定物質であるか否かを判定している。
【0036】
図1に示す通りこの表面プラズモン測定装置は、複数の測定ユニット10と、これら複数の測定ユニット10を支持したターンテーブル20と、このターンテーブル20を間欠的に回動させる移動手段としての支持体駆動手段21と、測定用の光ビーム(レーザビーム)30を発生させる半導体レーザ等のレーザ光源31と、入射光学系を構成する集光レンズ32と、光検出器40と、上記レーザ光源31および支持体駆動手段21の駆動を制御するとともに、上記光検出器40の出力信号Sを受けて後述の処理を行なうコントローラ60と、試料液供給機構70と、溶媒供給機構80とを有している。
【0037】
上記測定ユニット10は図2に示す通り、例えば概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の一面(図中の上面)に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12とを有している。
【0038】
誘電体ブロック11は例えば透明樹脂等からなり、金属膜12が形成された部分の周囲が嵩上げされた形とされ、この嵩上げされた部分13は試料液15を貯える試料液保持機構として機能する。なお本例では、金属膜12の上にセンシング物質14が固定されるが、このセンシング物質14については後述する。
【0039】
ターンテーブル20上には、この測定ユニット10を嵌合保持する複数(本例では11個)の貫通穴22が、ターンテーブル20の回動軸23を中心とする円周上に等角度間隔で設けられている。測定ユニット10は、ターンテーブル20に対して交換可能な状態で保持される。支持体駆動手段21はステッピングモータ等から構成され、ターンテーブル20を貫通穴22の配置角度と等しい角度ずつ間欠的に回動させる。
【0040】
集光レンズ32は図2に示す通り、光ビーム30を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲は、上記界面12aにおいて光ビーム30の全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。
【0041】
なお光ビーム30は、界面12aに対してp偏光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光源31をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム30の偏光の向きを制御してもよい。
【0042】
光検出器40は、多数のフォトダイオードが1列に配されてなるフォトダイオードアレイであり、フォトダイオードの並び方向が図2中の矢印X方向となるように配されている。
【0043】
一方コントローラ60は、支持体駆動手段21からその回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けるとともに、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手段21を作動させる駆動信号Dを出力する。また上記光検出器40の出力信号Sを受ける測定手段61と、この測定手段61からの出力を受ける表示部62とを備えている。
【0044】
測定手段61は、図3に示すように、光検出器40に接続された差動アンプアレイ63と、ドライバ64と、コンピュータシステム等からなる信号処理部65とから構成されている。
【0045】
図示の通り上記ドライバ64は、差動アンプアレイ63の各差動アンプ63a、63b、63c……の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路52a、52b、52c……、これらのサンプルホールド回路52a、52b、52c……の各出力が入力されるマルチプレクサ53、このマルチプレクサ53の出力をデジタル化して信号処理部65に入力するA/D変換器54、マルチプレクサ53とサンプルホールド回路52a、52b、52c……とを駆動する駆動回路55、および信号処理部65からの指示に基づいて駆動回路55の動作を制御する制御回路56から構成されている。
【0046】
試料液供給機構70は、試料液を所定量だけ吸引保持するピペット71と、このピペット71を移動させる手段72とから構成されたものであり、所定位置にセットされた試料液容器73から試料液をピペット71に吸引保持し、ターンテーブル20上の所定の停止位置にある測定ユニット10の試料液保持枠13内にその試料液を滴下供給する。
【0047】
溶媒供給機構80は、溶媒を所定量だけ吸引保持するピペット81と、このピペット81を移動させる手段82とから構成されたものであり、所定位置にセットされた溶媒容器83から溶媒をピペット81に吸引保持し、ターンテーブル20に配置される前の測定ユニット10の試料液保持枠13内にその溶媒を滴下供給する。
【0048】
以下、上記構成の表面プラズモン測定装置による表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSPの角度変化量の測定動作について説明する。まず、実際の測定を行う前に、被検体と溶媒からなる試料液を複数種類用意する。また試料液の種類と同数の測定ユニット10を用意する。通常、測定ユニット10に固定されるセンシング物質は、測定者により異なる。このため、測定者はセンシング物質14の固定されていない測定ユニット(以下測定カップと記載)にセンシング物質14を固定する。
【0049】
例えばセンシング物質14が蛋白質の一種であるストレプトアビジンである場合には、まず測定カップにストレプトアビジン10μg/mLを10分間液溜めした後、PBS(リン酸バッファ液)で洗浄を行い、その後エタノールアミンを5分間液溜し、ブロッキングを行う。さらにPBSで洗浄し、安定化剤である1%BSA(Bovine Serum Albumin:ウシ血清アルブミン)液を10分間液溜めして、再度PBSによる洗浄を行う。上記の作業により、センシング物質であるストレプトアビシンが固定された測定ユニット10が作成される。通常これらの測定ユニットは、不図示の96穴カセット内に並べられている。
【0050】
測定に先立ち、溶媒供給機構80は、順次溶媒容器83から溶媒をピペット81に吸引保持し、測定ユニット10の試料液保持枠13内にその溶媒を滴下供給する。溶媒容器83には予め試料液に使用される溶媒と同じ溶媒が用意されている。例えば被検体がビオチン化インスリンであり、溶媒として0.1%BSA液が含まれるPBS(以下0.1%BSA・PBSと記載)が使用される場合には、溶媒容器83にも、0.1%BSA・PBSが用意される。なお、この際に測定ユニット10の試料液保持枠13内に供給される溶媒は、その測定ユニットに供給される試料液に使用される溶媒と一致させる必要があるため、溶媒容器83は溶媒の種類毎に準備する。溶媒供給機構80により溶媒が滴下供給された測定ユニット10は、不図示の測定ユニット移動機構により、順次ターンテーブル20上に等間隔に配置される。
【0051】
ターンテーブル20が何回が回動された後停止し、測定ユニット10が、その誘電体ブロック11に上記光ビーム30が入射する測定位置(図2中の右側の測定ユニット10の位置)に静止する状態となる。この状態のとき、コントローラ60からの指令でレーザ光源31が駆動され、そこから発せられた光ビーム30が前述のように収束する状態で、誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム30は、光検出器40によって検出される。
【0052】
本例における光検出器40は、複数のフォトダイオード40a、40b、40c……が1列に配設されてなるフォトダイオードアレイであり、図1の図示面内において、光ビーム30の進行方向に対してフォトダイオード配設方向がほぼ直角となる向きに配設されている。したがって、上記界面12aにおいて種々の反射角で全反射した光ビーム30の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオード40a、40b、40c……が受光することになる。
【0053】
上記フォトダイオード40a、40b、40c……の各出力は、差動アンプアレイ63の各差動アンプ63a、63b、63c……に入力される。この際、互いに隣接する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アンプに入力される。したがって各差動アンプ63a、63b、63c……の出力は、複数のフォトダイオード40a、40b、40c……が出力する光検出信号を、それらの配設方向に関して微分したものと考えることができる。
【0054】
各差動アンプ63a、63b、63c……の出力は、それぞれサンプルホールド回路52a、52b、52c……により所定のタイミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ53に入力される。マルチプレクサ53は、サンプルホールドされた各差動アンプ63a、63b、63c……の出力を、所定の順序に従ってA/D変換器54に入力する。A/D変換器54はこれらの出力をデジタル化して信号処理部65に入力する。
【0055】
図4は、界面12aで全反射した光ビーム30の入射角θ毎の光強度と、差動アンプ63a、63b、63c……の出力との関係を説明するものである。ここで、光ビーム30の界面12aへの入射角θと上記光強度Iとの関係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとする。
【0056】
界面12aにある特定の入射角θSPで入射した光は、金属膜12とセンシング物質14との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。つまりθSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、図1にDで示すように、反射光中の暗線として観察される。
【0057】
また図4の(2)は、フォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。
【0058】
そしてフォトダイオード40a、40b、40c……の配設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ63a、63b、63c……の出力I’(反射光強度Iの微分値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
【0059】
信号処理部65は、A/D変換器54から入力された微分値I’の値に基づいて、差動アンプ63a、63b、63c……の中から、全反射減衰角θSPに対応する微分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図3の例では差動アンプ63eとなる)を選択し、それが出力する微分値I’を表示部62に表示させる。なお、場合によっては微分値I’=0を出力している差動アンプが存在することもあり、そのときは当然その差動アンプが選択される。
【0060】
次に、ターンテーブル20が、支持体駆動手段21によって間欠的に回動され、以後、所定時間が経過する毎に上記選択された差動アンプ63eが出力する微分値I’が、表示部62に表示される。数回測定が行われた後、測定ユニット10が試料液供給機構70が設けられている位置に静止すると、測定ユニット10の試料液保持枠13に、上記試料液供給機構70によって試料液15が供給される。
【0061】
微分値I’は、測定ユニット10の金属膜12(図1参照)に接しているセンシング物質14の誘電率つまりは屈折率が変化して、図3(1)に示す曲線が左右方向に移動する形で変化すると、それに応じて上下する。したがって、この微分値I’を時間の経過とともに測定し続けることにより、金属膜12に接しているセンシング物質14の屈折率変化を調べることができる。
【0062】
試料液15の中の被検体が、センシング物質14と結合する物質であれば、それらの結合状態に応じてセンシング物質14の屈折率が変化するので、上記微分値I’を測定し続けることにより、被検体とセンシング物質14の結合状態を測定することができ、この測定結果に基づいて、被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。
【0063】
すなわち、図5に示すように微分値I’の値が変化すれば、センシング物質14の屈折率が変化したと判定でき、すなわち試料液15に含まれる被検体は、センシング物質14と結合する物質であると判定できる。また、微分値I’の値に変化がない場合には、被検体がセンシング物質と結合する物質ではないと判定できる。
【0064】
また、本実施形態では、微分値の測定開始および試料液の測定ユニット10への供給の前に、試料液に含まれる溶媒と同等の溶媒を測定ユニット10へ滴下供給するため、試料液を測定ユニット10へ供給する前に、すでに試料液に含まれる溶媒と同等の溶媒が測定ユニット10の試料液保持枠13内に保持されている。このため、試料液を測定ユニット10の試料液保持枠13へ滴下供給しても、溶媒の屈折率の変化、すなわちバルク効果が生じことはほとんど無い。したがって、試料液を測定ユニット10に供給した後に計測される微分値の変化(全反射減衰角θSPの角度変化)は、センシング物質14と被検体との結合による屈折率の変化のみを反映したものとみなすことができ、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができる。
【0065】
また、上記微分値の測定を開始後に、試料液を測定ユニット10へ滴下供給しているため、測定開始時の微分値の値を0点として、その後の微分値の経時変化をを測定することができ、測定者は容易にセンシング物質14と被検体との結合状態を判定することができる。
【0066】
また、複数の測定ユニット10をターンテーブル20上に配置し、このターンテーブル20を回転させて、各測定ユニット10を順次集光レンズ32および光検出手段40に対して所定位置に配置できるように構成したため、複数の測定ユニット10における微分値を、上記ターンテーブル20の回転にともなって次々と測定することができ、多数の測定ユニット10についての測定を短時間で行なうことが可能となる。
【0067】
なお、以上説明した各実施形態では、測定ユニット10を支持する支持体として回動するターンテーブル20が用いられているが、支持体の移動方式や形状はこれに限られるものではない。例えば、ターンテーブル20を一方向に回転するのではなく、逆方向に移動させてその測定ユニットを再度、光源31、集光レンズ32および光検出器40からなる光測定機構にセットし、測定を行なうようにしてもよい。また、光測定機構を複数設けて、ターンテーブル20が1回転する間に1つの測定ユニットに関して複数回測定を行なうように構成することも可能である。
【0068】
あるいは、複数の測定ユニットを支持した支持体を往復直線移動あるいはXY方向に平面移動するように構成し、その移動にともなって複数の測定ユニットを1つあるいは複数個の光測定機構に順次セットするようにしても構わない。
【0069】
なお、上記第1の実施の形態の変型例として、支持体を固定し、光測定機構を移動させて、各測定ユニット10の測定を順次行うもの、あるいは支持体および光測定機構の両者を移動させて、各測定ユニット10の測定を順次行うものも考えられる。この場合にも多数の測定ユニットについての測定を短時間で行なうことが可能になる。
【0070】
なお、上述のように、誘電体ブロック11、金属膜12および試料液保持枠13が一体的に形成されたなる測定ユニット10に限らず、金属膜12および試料保持枠13が一体化され、誘電体ブロック11に対して交換可能に形成された測定ユニットを適用することもできる。
【0071】
次に、図1および図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
【0072】
第2の実施の形態の全体構成は第1の実施形態とほぼ同様であるため、図1において、異なる構成部の番号のみ図中に付記する。また図6においては、図2中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0073】
この第2の実施形態の全反射減衰を利用した測定装置は、先に説明した漏洩モード測定装置であり、測定ユニット90を用いるように構成されている。この測定ユニット90の誘電体ブロック11の一面(図中の上面)にはクラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92が形成されている。
【0074】
誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0075】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源31から出射した光ビーム30を誘電体ブロック11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム30が誘電体ブロック11とクラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0076】
光導波層92における導波光の波数は、該光導波層92の上のセンシング物質14の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、センシング物質14の屈折率を測定することができる。また、光検出器40の隣接したフォトダイオードの検出値の差分である微分値I’に基づいて各測定ユニット90における、微分値の経時変化すなわち全反射減衰の状態の経時変化を測定し、被検体とセンシング物質14との結合状態を測定することができる。
【0077】
本実施形態でも、溶媒供給機構80を備え、微分値の測定開始および試料液の測定ユニット90への供給の前に、試料液に含まれる溶媒と同等の溶媒を測定ユニット90へ滴下供給するため、第1の実施の形態と同様に、試料液15を測定ユニット90へ供給しても、溶媒の屈折率の変化、すなわちバルク効果が生じことはほとんど無く、センシング物質14と被検体との結合状態を精度良く測定することができる。また、他の効果に関しても、第1の実施の形態と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による表面プラズモン測定装置の全体図
【図2】図1の表面プラズモン測定装置の要部を示す一部破断側面図
【図3】上記表面プラズモン測定装置に用いられる測定手段のブロック図
【図4】上記表面プラズモン測定装置における光ビーム入射角と光検出器による検出光強度との関係、および光ビーム入射角と光強度検出信号の微分値との関係を示す概略図
【図5】本発明の表面プラズモン共鳴測定方法による測定結果の一例を示すグラフ
【図6】本発明の第2の実施形態による漏洩モード測定装置の要部を示す一部破断側面図
【符号の説明】
10、90 測定ユニット
11 誘電体ブロック
12 金属膜
12a 誘電体ブロックと金属膜との界面
13 試料液保持枠
14 センシング物質
15 試料液
20 ターンテーブル
21 支持体駆動手段
30 光ビーム
31 レーザ光源
32 集光レンズ
40 光検出器
60 コントローラ
61 測定手段
62 表示部
70 試料液供給機構
80 溶媒供給機構
91 クラッド層
91a 誘電体ブロックとクラッド層との界面
92 光導波層

Claims (10)

  1. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  2. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜、この金属膜の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  3. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層、このクラッド層の上に形成された光導波層、この光導波層の上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  4. 前記全反射減衰の状態の経時変化の測定の開始後に、前記試料液を前記試料液保持機構へ供給することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定方法。
  5. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層、この薄膜層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  6. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成された金属膜、この金属膜の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモン共鳴による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  7. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層、このクラッド層の上に形成された光導波層と、この光導波層の表面上に配されて、被検体と溶媒からなる試料液中の特定物質と結合するセンシング物質、およびこのセンシング物質の表面上に前記試料液を保持する試料液保持機構を備えてなる測定ユニットと、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での導波モードの励起による全反射減衰の状態の経時変化を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記測定手段による全反射減衰の状態の経時変化の測定開始と前記試料液の前記試料液保持機構への供給のいずれか早い方の前に、溶媒を前記試料液保持機構に供給する溶媒供給手段を備えたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  8. 前記測定手段が、前記試料液が前記試料液保持機構へ供給される前に全反射減衰の状態の経時変化の測定を開始するものであることを特徴とする請求項5から7いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  9. 前記測定ユニットを複数個備え、
    前記複数個の測定ユニットを支持する支持体と、
    前記複数の測定ユニットの各誘電体ブロックに関して順次前記種々の入射角が得られるように、前記支持体を前記光学系および光検出手段に対して相対的に移動させて、各測定ユニットを前記光学系および光検出手段に対して所定位置に配置する移動手段とを備えたことを特徴とする請求項5から8いずれか1項記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  10. 前記支持体が、回動軸を中心とする円周上に前記複数の測定ユニットを支持したターンテーブルであり、
    前記移動手段が、このターンテーブルを間欠的に回動させるものであることを特徴とする請求項9記載の全反射減衰を利用した測定装置。
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