JP4207217B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印字ヘッドから用紙にインクを吐出して印刷を行う印刷装置に関し、特に、印字ヘッドからインクを均一に吐出して、印刷品質を良好に維持することができる印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印字ヘッドからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタについては、従来より種々の提案がなされている。例えば、本願出願人は、特願平9−261429号(未公知)に記載された小型の携帯型プリンタを提案している。この携帯型プリンタは、その内部を往復移動しつつ用紙へインクを吐出して印刷を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドにより吐出されるインクを充填したインクカートリッジと、そのインクカートリッジから印字ヘッドへインクを供給する供給チューブとを備えている。この携帯型プリンタによれば、供給チューブの一端側および他端側が印字ヘッドおよびインクカートリッジに継合され、その一端側および他端側の間部分が屈曲した状態で携帯型プリンタ内に配設されており、かかる供給チューブを介して、印刷に使用されるインクがインクカートリッジから印字ヘッドへ供給され、その印字ヘッドが携帯型プリンタ内を往復移動しつつ、用紙にインクを吐出することにより、印刷が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した携帯型プリンタでは、印字ヘッドとインクカートリッジとが略等しい高さ位置に配設されているので、かかる両者に継合される供給チューブが略水平に携帯型プリンタ内に配設される。このため、携帯型プリンタの奥行き方向長さ、即ち、印字ヘッドの往復移動方向に直交する横(水平)方向長さを短縮化して携帯型プリンタを更に小型化する場合には、供給チューブの屈曲部分における曲率半径が小さくなってしまう。供給チューブの屈曲部分における曲率半径が小さいと、かかる屈曲部分内を流れるインクのエネルギー損失(圧力損失)が増加するため、インクが流れ難くなったり脈流してしまうことがある。よって、印字ヘッドからインクを均一に吐出することができず、印刷品質が劣化してしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、印字ヘッドからインクを均一に吐出して、印刷品質を良好に維持することができる印刷装置およびカートリッジ部材を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を解決するために請求項1に記載の印刷装置は、所定方向に往復移動可能でありインクを用紙に吐出して印刷を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドへ供給されるインクを充填したインクカートリッジと、そのインクカートリッジから前記印字ヘッドへインクを供給するために、その印字ヘッドに継合される一端側と前記インクカートリッジに継合される他端側とを有し、その他端側および一端側との間部分が屈曲した状態で配設される複数のチューブ部材とを備え、当該印刷装置の内部空間を上下方向の空間に仕切る水平板を備え、前記インクカートリッジから前記印字ヘッドへ至る前記複数のチューブ部材は、前記水平板によって下方からの支持のみの積層状態で配設されており、前記各チューブ部材の屈曲部分では、少なくともその屈曲部分の一部が前記水平板から外れることにより、前記複数のチューブ部材の積層方向が、前記屈曲部分へ至る前における積層方向に対して傾斜した状態に配設されている。
【0006】
この請求項1に記載の印刷装置によれば、インクカートリッジに充填されたインクは、当該印刷装置の内部空間を上下方向の空間に仕切る水平板によって下方からの支持のみの積層状態で配設されている複数のチューブ部材を介して印字ヘッドへ供給され、その印字ヘッドから用紙へ吐出されることにより印刷に使用される。複数のチューブ部材は屈曲した状態で印刷装置に配設されるが、その屈曲部分は、少なくともその屈曲部分の一部が前記水平板から外れることにより、複数のチューブ部材の積層方向が、該屈曲部分へ至る前における積層方向に対して傾斜した状態で印刷装置に配設される。よって、各チューブ部材の屈曲部分の屈曲幅を大きくできるので、その分、それらの屈曲部分の曲率半径を大きくできる。従って、印刷装置の小型化によって印刷装置におけるチューブ部材の配設スペースが減少しても、各チューブ部材の屈曲部分の曲率半径は大きく保たれるので、各チューブ部材内を流れるインクのエネルギー損失が低減される。即ち、各チューブ部材を介してインクカートリッジから印字ヘッドへインクが円滑に供給される。
【0007】
請求項2に記載の印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記屈曲部分へ至る前における前記複数のチューブ部材の積層方向は、当該装置の上下方向であり、前記屈曲部分は、当該装置の水平方向の一側から他側に向けて傾斜している。
【0008】
【0009】
請求項3に記載の印刷装置は、請求項2に記載の印刷装置において、前記複数のチューブ部材は、少なくとも前記屈曲部分へ至る前において水平板により最も下側に配設されたチューブ部材の下方から支えられることで全てのチューブ部材が下方から支えられている。
【0010】
請求項4に記載の印刷装置は、請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置において、前記印字ヘッドが前記各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるとき、前記屈曲部分の外側近傍には、各チューブ部材の屈曲部分が可及的に大きな曲率半径の略円弧状に湾曲するように前記各チューブ部材を案内する矯正部材が配設されており、当該矯正部材は、当該装置のフレームと、所定間隔で隣接するとともにこのフレームからその内部方向に突出した複数の矩形板状体と、から構成され、前記印字ヘッドが前記各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるとき、前記各チューブは前記複数の矩形板状体のうち少なくとも2つの矩形板状体の間に前記印字ヘッドから遠ざかる方向に向かって湾曲する。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である携帯型プリンタ1およびカートリッジ部材2の正面図である。この携帯型プリンタ1は、カートリッジ部材2の所定位置に配設された複数のインクカートリッジ8,9から印字ヘッド7へインクを供給して、かかるインクを印字ヘッド7の各ノズル7aから印刷用紙PPへ吐出して印刷を行うものである。図1に示すように、この携帯型プリンタ1は略矩形箱状に形成されており、カートリッジ部材2と、そのカートリッジ部材2が装着されるプリンタ本体3とを備えている。このプリンタ本体3の下側略中央部分には、携帯型プリンタ1の長手方向(図1の左右方向)に幅広に形成された矩形状の開口部である排紙口4が穿設されている。この排紙口4は、印刷済みの印刷用紙PPを排出するための開口部であり、その長手方向幅が印刷用紙PPの用紙幅に対応して形成されている。尚、本実施例の携帯型プリンタ1では排紙口4の長手方向幅がA4サイズの用紙幅(略210mm)より大きく形成されている。
【0018】
図2は、携帯型プリンタ1の内部構造を概略的に示した部分的な斜視断面図であり、印字ヘッド7が携帯型プリンタ1の右側部分に位置する状態を図示しており、図中の矢印Xは印刷用紙Pの搬送方向を図示しており、図中の矢印Yは印字ヘッド7の移動方向を図示している。尚、図2では、各インクカートリッジ8,9内に収納された各インクパッケージ8a,9aを透明視して図示している。
【0019】
図2に示すように、カートリッジ部材2は略矩形箱状のカートリッジフレーム5を備え、プリンタ本体3は略矩形箱状の本体フレーム6を備えている。カートリッジフレーム5の内部であって、その上下方向における略中央部分には略平板状の仕切板5aが略水平に配設される一方、本体フレーム6の内部であって、その上下方向における上側部分には略台形平板状の仕切板6aが略水平に配設されている。この仕切板5a,6aは、カートリッジ部材2がプリンタ本体3に装着された状態で略同一高さ位置にそれぞれ配設されており、携帯型プリンタ1の内部を上部空間1aと下部空間1bとに仕切るためのものである。尚、携帯型プリンタ1の右側(図2の右側)部分には上部空間1aおよび下部空間1bを連通させるための開口部1cが形成されている。
【0020】
携帯型プリンタ1の下部空間1bには、プリンタ本体3内を矢印Yおよび反矢印Y方向へ向けて往復移動可能なキャリッジ27(図4参照)に着脱可能に形成された印字ヘッド7が配設されている。この印字ヘッド7は、インクを吐出して印刷を行うものであり、その下面にピエゾ素子(圧電素子)で構成された複数のノズル7aが形成されており、各ノズル7a内には後述する各インクパッケージ8a,9aから供給されたインクが充填されている。この印字ヘッド7によれば、ピエゾ素子で構成された複数のノズル7aに電圧が印加されると、その電圧値に比例した歪みが各ノズル7aに生じ、各ノズル7aが収縮する。この収縮によって、各ノズル7a内に充填されたインクが印刷用紙PPへ吐出され印刷が行われるのである。
【0021】
印字ヘッド7の上方であって、カートリッジ部材2の上部左側、即ち、携帯型プリンタ1の上部空間1aの左側には、3つの略矩形箱状に形成されたインクカートリッジ8が着脱可能に積層状態で配設されている。この各インクカートリッジ8のうち最も下側に配設されたインクカートリッジ8の下方には上述した仕切板5aが配設されており、かかる仕切板5aによって各インクカートリッジ8がカートリッジ部材2の上方に支持されている。この各インクカートリッジ8は、印字ヘッド7から吐出されるインクを充填したインクパッケージ8aをそれぞれ収納しており、各インクパッケージ8aにはイエロー、シアン、マゼンタの色のインクがそれぞれ充填されている。一方、これらの3つのインクカートリッジ8の後方(図2の奥側)には略矩形箱状のインクカートリッジ9が略垂直姿勢で着脱可能に隣接配設されている。このインクカートリッジ9は、インクカートリッジ8と同様に、印字ヘッド7から吐出されるインクを充填したインクパッケージ9aを収納しており、インクパッケージ9aにはブラック色のインクが充填されている。このインクカートリッジ9およびインクパッケージ9aは、他の3つのインクカートリッジ8およびインクパッケージ8aより大きく形成されており、他の色のインクに比べて大量のインクが充填されている。よって、他の色のインクに比べて消費量の多いブラック色のインクを充填したインクパッケージ9aの交換頻度を低減して、インクパッケージ9aの交換コストを低減することができるのである。
【0022】
この各インクカートリッジ8,9の内部に収納された各インクパッケージ8a,9aは、略矩形状の袋体に形成されており、ポリエチレン樹脂等で構成されたフィルムシートを複数枚、例えば、略10枚程度積層した積層構造フィルム材で形成されている。この各インクパッケージ8a,9aを形成する積層構造フィルム材は、その剛性強度を大きく形成することにより形状復元性が付与されるものであり、各インクパッケージ8a,9aの形状変化を抑制することができる。よって、各インクパッケージ8a,9aから印字ヘッド7へインクが供給され、各インクパッケージ8a,9a内のインクが減少しても、各インクパッケージ8a,9が大気圧などに押し潰されることなく、その内圧を負圧に維持することができる。従って、各インクカートリッジ8,9を印字ヘッド7の上方に配設してインクを供給する場合に、各インクカートリッジ8,9内に収納される各インクパッケージ8,9の内圧を負圧に維持することができ、インク供給圧を負圧に維持することができるのである。
【0023】
このように、印字ヘッド7へ供給されるインクのインク供給圧を負圧に維持することにより、印字ヘッド7のノズル7a内にあるインク液面に凹面状のメニスカス(曲面)が形成されるので、印字ヘッド7の各ノズル7aから吐出されるインクの吐出性を維持して、印刷品質を良好に維持することができる。例えば、本実施例の印字ヘッド7では、インク供給圧が大気圧に対して略0mmAq(水柱)以上かつ略−300mmAq(水柱)以下の範囲(動作圧範囲)内であれば、各ノズル口7a内のインク液面に凹面状のメニスカスを形成することができる。尚、本実施例の携帯型プリンタ1で印刷を行う際における印字ヘッド7の最適な動作圧範囲(最適動作圧範囲)は、大気圧に対して略−30mmAq(水柱)以下かつ略−100mmAq(水柱)以上の圧力値である。また、各インクパッケージ8a,9aの剛性強度を向上するための具体的方法については後述する。
【0024】
上述した各インクカートリッジ8の各インクパッケージ8aにはインク抽出針10がそれぞれ刺し込まれている。この各インク抽出針10は、インクパッケージ8aの内部に充填されたインクを抽出するものであり、耐腐食性を有するステンレス鋼材等の金属材料やセラミックス材料等でそれぞれ形成されている。インク抽出針10は中空針状体に形成されており、インク抽出針10の先端部分(図2の左側)には、インクパッケージ8a内のインクを抽出するための開口である抽出穴10aが設けられており、抽出穴10aはインク抽出針10内の空間に連通して形成されている。よって、インク抽出針10がインクパッケージ8a内へ挿入された場合に、かかる抽出穴10aにより、インクパッケージ8a内のインクをインク抽出針10内の空間へ流入させることができる。尚、図2のインクカートリッジ9のインクパッケージ9aにも、上述したインク抽出針10と略同一形状に形成されたインク抽出針10が刺し込まれている(図3参照)。
【0025】
各インク抽出針10のうち各インクパッケージ8aに刺し込まれた3本のインク抽出針10の反先端部分(図2の右側)には、略L字状に屈曲された3個の継手部材11の一端側がそれぞれ継合されている。一方、これら3個の継手部材11の他端側(図2の右側)には、携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分(図2の奥側)に積層状態で配設された4本の供給チューブ12の上側の3本の供給チューブ12の端部がそれぞれ継合されている。この各継手部材11はそれぞれ中空管状に形成されており、その内部にはインク抽出針10の抽出穴10aに連通する連通穴(図示せず)がそれぞれ穿設されている。尚、インクパッケージ9aからインクを抽出するインク抽出針10に継合される継手部材21(図3参照)と、その継手部材21に継合される供給チューブ12(図3参照)とについては後述する。
【0026】
また、携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分(図2の奥側)には4本の供給チューブ12が上下方向に積層状態で配設されている。この各供給チューブ12は、インクパッケージ8a,9a内に充填されたインクを印字ヘッド7へ供給するためのものであり、上述した印字ヘッド7の上部に各供給チューブ12の一端側(図2の右側)がそれぞれ継合されている。この各供給チューブ12は合成樹脂等で形成された可撓性を有する略中空円筒状の円管であり、その内部をインクが流れて印字ヘッド7へインクを供給するものである。各供給チューブ12はNORTON社製のタイゴン(TYGON(登録商標))チューブで構成されており、そのチューブ肉厚が略0.5mm以上かつ略1.5mm以下、および、チューブ内径が略0.5mm以上かつ略1.5mm以下のもので構成されている。例えば、本実施例の各供給チューブ12はチューブ肉厚が略0.8mmであり、チューブ内径が略0.8mmであり、各供給チューブ12の外径(チューブ肉厚の2倍の長さとチューブ内径との和)が略2.4mmのTYGONチューブで構成されている。尚、各供給チューブ12を屈曲した状態における湾曲部分の曲率半径Rの最小値(最小曲率半径)は略20mmである。
【0027】
この4本の供給チューブ12は、印字ヘッド7が携帯型プリンタ1の下部空間1bの右端部分(図2の右側)へ移動した場合に、印字ヘッド7へ向かうに従って大きく湾曲されているが、その湾曲部分(屈曲部分)は携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分から開口部1cを通過して、携帯型プリンタ1の下部空間1bの前方縁部分に配設される印字ヘッド7へ向けて下降傾斜した状態で湾曲されている。即ち、各供給チューブ12の湾曲部分は、図2の携帯型プリンタ1の奥側上方から手前側下方へ向けて下降傾斜しているので、その分、湾曲部分の湾曲幅(屈曲幅)Wを携帯型プリンタ1の奥行幅Dより大きくすることができる(W>D)。例えば、本実施例の携帯型プリンタ1では、その奥行幅Dが略50mmの長さであるのに対して、各供給チューブ12の湾曲部分の湾曲幅Wを略60mmの長さに保持することができる。よって、供給チューブ12の湾曲部分における湾曲幅Wが奥行幅Dに対して増加する分、携帯型プリンタ1内に配設された各供給チューブ12の湾曲部分の曲率半径R(湾曲幅Wの略1/2の値に略等しい長さ)を大きくすることができる。このため、各供給チューブ12内を流れるインクのエネルギー損失が低減されるので、各供給チューブ内を流れるインクの脈流を抑制することができる。
【0028】
また、各供給チューブ12は上下方向に積層状態で配設されているので、各供給チューブ12が重力方向(図2の下側)へ向けて垂れ下がり屈曲することを防止することができる。しかも、最も下側に配設された供給チューブ12の下方には上述した仕切板5a,6aが配設されているので、かかる仕切板5a,6aによって4本の供給チューブ12を下方から支えて、各供給チューブ12が重力方向へ垂れ下がり屈曲することを防止することができる。よって、4本の積層された供給チューブ12が、上述した湾曲部分以外の部分で屈曲することを防止することができ、各供給チューブ12内を流れるインクのエネルギー損失を低減することができる。
【0029】
各供給チューブ12が継合された各継手部材11の近傍には円柱状のガイド柱13が上方へ向けて立設されており、このガイド柱13と対向するカートリッジフレーム5の後壁面には、ガイド柱13へ向けて突出した矩形板状のリブ部材14が配設されている。このリブ部材14はガイド柱13と協動して、上述した4本の供給チューブ12をカートリッジフレーム5の後壁面、即ち、携帯型プリンタ1の後方縁部分へ向けて案内するものである。また、リブ部材14の右側部分におけるカートリッジフレーム5の後壁面には2つのリブ部材15が配設される一方、プリンタ本体2の後壁面には4つのリブ部材16およびリブ部材17〜19がそれぞれ配設されている。この各リブ部材14〜19は、その各先端部分(図2の手前側)を各供給チューブ12との対向部分に当接して各供給チューブ12の配設経路を案内するものである。
【0030】
リブ部材15〜19は、上述したリブ部材14と略同一方向へ向けて突出した矩形板状体であり、各リブ部材15,16は略等間隔で隣接してそれぞれ配設され、図2の最も右側に設けられたリブ部材16の右側部分にはリブ17,18,19がそれぞれ配設されている。各リブ部材15,16,17はそれぞれ略同一形状に形成されるとともに、その突出長さはリブ部材14よりそれぞれ大きく形成されており、リブ部材17およびそれに隣接するリブ部材16の配設間隔は上述した各リブ部材15,16の配設間隔の略半分の長さである。また、リブ部材18はリブ部材17の更に右側部分に配設されており、リブ部材18およびリブ部材17の配設間隔は上述した各リブ部材15,16の配設間隔の略4倍の長さである一方、その突出長さは各リブ部材14〜17より小さく形成されている。更に、リブ部材19はリブ部材18の右側部分に配設されており、リブ部材19およびリブ部材18の配設間隔は上述した各リブ部材15,16の配設間隔の略等しい長さである一方、その突出長さは各リブ部材14〜18より大きく形成されている。
【0031】
この各リブ部材14〜19によれば、印字ヘッド7が携帯型プリンタ1の下部空間1bの右端部分(図2の右側)へ移動した場合に、リブ部材14〜17によって各インクカートリッジ8,9配設側から携帯型プリンタ1の右側部分へ向けて略直線状に延びるように各供給チューブ12を案内するとともに、上述したリブ部材17、リブ部材18およびリブ部材19によって、携帯型プリンタ1のプリンタ本体3の外方、即ち、図2の後方へ向けて大きく凹状(略円弧状)に湾曲させることができる(図3参照)。このように、各供給チューブ12の湾曲部分の湾曲を矯正することにより、各供給チューブ12の湾曲部分の曲率半径Rを更に大きくすることができる。
【0032】
図3は、図2の携帯型プリンタ1を上面視した部分断面図であり、図中の矢印Yは印字ヘッド7の移動方向を図示しており、図中の2点鎖線は印字ヘッド7が矢印Y方向へ向けて移動した際の各供給チューブ12を図示している。図3に示すように、携帯型プリンタ1の略中央部分であって、上述したカートリッジ部材2のカートリッジフレーム5の仕切板5aの右端部分には、印字ヘッド7が図2の左側へ向けて移動した際の各供給チューブ12(図中の2点鎖線)の湾曲部分を案内するガイド板20が仕切板5aから略垂直方向(図3の紙面に対する略垂直方向)へ向けて立設されている(図2参照)。このガイド板20は略円柱状のガイド柱20aと、そのガイド柱20aに一体成形されたガイド壁20bとを備えている。このガイド柱20aは、仕切板5aの上面から略垂直方向へ立設されており、そのガイド柱20aの前面側(図3の下側)にガイド壁20bが設けられている。このガイド壁20bは、図3の右側へ向けて略凸面状に形成されており、その曲面は各供給チューブ12の湾曲部分に適合して形成されている。よって、図中の矢印Y方向(図3の左側)へ向けて印字ヘッド7が移動した状態、即ち、各供給チューブ12が図3の2点鎖線の位置へ移動した状態において、各供給チューブ12の湾曲部分は、ガイド板20のガイド柱20aおよびガイド壁20bを介して案内されるので、折れ曲がらずに湾曲することができる。
【0033】
上述したインクカートリッジ9は、インクカートリッジ8の後方(図3の上側)に隣接して配設されている。このインクカートリッジ9に収納されたインクパッケージ9aには、上述した各インクカートリッジ8のインクパッケージ8aにそれぞれ刺し込まれたインク抽出針10と略同一形状に形成されたインク抽出針10が刺し込まれており、このインク抽出針10の反先端部分(図3の右側)には、そのインク抽出針10を取着するための継手部材21の一端側(図3の左側)が継合されている。この継手部材21の他端側(図3の右側)にはインクパッケージ9aから印字ヘッド7へインクを供給する供給チューブ12の端部が継合されている。この継合部材21の内部には、インク抽出針10の抽出穴10aと供給チューブ12とを連通する連通穴(図示せず)が穿設されており、かかる連通穴を介して、インク抽出針10により抽出されたインクは供給チューブ12へ流入することができるのである。
【0034】
図4は、図1のIV−IV線における携帯型プリンタ1の断面図であり、図中の矢印Xは、印刷用紙PPの搬送方向を図示している。図4に示すように、プリンタ本体3の後側下方(図4の右側)には、未使用の印刷用紙PPを挿入する挿入口22が穿設されている。この挿入口22から挿入された印刷用紙PPの搬送方向(矢印X方向)における下流側には、印刷用紙PPを搬送するための搬送ローラ23と、その搬送ローラ23へ印刷用紙PPを押圧するための押さえローラ24とが配設されており、かかる両者が協動して印刷用紙PPを押圧し挟持しつつ搬送する。
【0035】
搬送ローラ23および押さえローラ24の下流側には、搬送ローラ23から排出された印刷用紙PPをプリンタ本体3外へ排出するための排紙ローラ25と、その排紙ローラ25へ印刷用紙PPを押圧するための押さえローラ26とが配設されている。また、搬送ローラ23および排紙ローラ25の間に位置する印刷用紙PPの上方には上述した印字ヘッド7が配設されている。印字ヘッド7は、プリンタ本体3のフレーム28に横架されたガイドバー29に沿って、図4の紙面に対する略垂直方向、即ち、図2の矢印Yおよび反矢印Y方向へ向けて往復移動可能なキャリッジ27に着脱可能に装着されている。この印字ヘッド7の印刷用紙PP側面には、搬送ローラ23等により挟持された印刷用紙PPへインクの吐出を行うための上述した複数のノズル7aが形成されている。印字ヘッド7の上方には、上述したインクカートリッジ8,9がカートリッジ部材2に着脱可能に装着されており、各インクカートリッジ8,9と印字ヘッド7とが上述した各インク抽出針10、各継手部材11,21および各供給チューブ12を介して継合されている。このように、各供給チューブ12を介して、印字ヘッド7と各インクカートリッジ8,9とを継合することにより、カートリッジ部材2の所定位置に配設された各インクカートリッジ8,9から、キャリッジ27に装着されて携帯型プリンタ1内を往復移動する印字ヘッド7へインクを供給することができるのである。
【0036】
図5は、図4のV−V線における携帯型プリンタ1の断面図であり、図中の矢印Yは、キャリッジ27の移動方向を図示している。図5に示すように、プリンタ本体3の右側部分に配設されたフレーム28の上部には、キャリッジ27を図5の左右方向(矢印Yまたは反矢印Y方向)へ往復移動させる駆動力を供給するCRモータ30が配設されており、その下方には搬送ローラ23や排紙ローラ25を回転させるLFモータ31が配設されている。また、上述した4本の供給チューブ12は携帯型プリンタ1の上下方向、即ち、図中矢印Yに直交する方向に積層して配設されており、各供給チューブ12のうち、最も下側の供給チューブ12が上述した継手部材21に継合されており(図3参照)、他の3本の供給チューブ12はそれぞれ3つの継手部材11に継合されている。
【0037】
次に、図6から図8を参照して、インクパッケージ8a,9aを形成する積層構造フィルム材の剛性を強化させる具体的な方法について説明する。尚、以下、インクパッケージ8aを形成する積層構造フィルム材について説明する。
【0038】
図6は、積層構造フィルム材の厚さtが異なる3種類のインクパッケージ8aについて、インク消費量(インク抽出量)Vと、その内圧Pとの関係を示した図である。図6中、横軸51はインクパッケージ8aに充填されたインクのインク消費量Vを示しており、縦軸52はインクパッケージ8aの内圧Pを示している。また、曲線53(2点鎖線)は積層構造フィルム材の厚さtが160μmであるインクパッケージ8aのグラフであり、曲線54(実線)は積層構造フィルム材の厚さtが100μmであるインクパッケージ8aのグラフであり、曲線55(点線)は積層構造フィルム材の厚さtが80μmであるインクパッケージ8aのグラフである。
【0039】
図6中の各曲線53〜55を比較すると、インク消費量Vが増加した場合(図6中、右側部分)、各インクパッケージ8aの内圧Pは、曲線53,54,55の順に急激に減少している。即ち、インクパッケージ8aの積層構造フィルム材の厚さtが大きいほど、インク消費量Vの増加に伴う内圧Pの減少量が大きくなっている。よって、図6により、積層構造フィルム材の厚さtが大きいほど、インクパッケージ8aの剛性が大きく、かつ、その形状復元性が顕著となり、インクパッケージ8aの形状変化を確実に抑制できることが確認される。従って、本実施例では、かかる図6の結果に基づき、インク供給圧、即ち、インクパッケージ8aの内圧Pを略0mmAq以上かつ略−300mmAq以下の動作圧範囲内にするために、積層構造フィルム材の厚さtを略30μm以上かつ略300μm以下に形成している。尚、インクパッケージ9aを形成する積層構造フィルム材も、同様に、積層構造フィルム材の厚さtが略30μm以上かつ略300μm以下に形成されている。
【0040】
図7は、インクパッケージ8aの縦方向長さ、即ち、図2のインクパッケージ8aの長手方向(矢印Y方向)長さおよび横方向長さ、即ち、図2のインクパッケージ8aの短手方向(矢印X方向)長さの比率(縦横比)hが異なる3種類のインクパッケージ8aについて、インク消費量Vと、その内圧Pとの関係を示した図である。図7中、横軸61はインクパッケージ8aに密封されたインクのインク消費量Vを示しており、縦軸62はインクパッケージ8aの内圧Pを示している。また、曲線63(2点鎖線)は縦横比hが「1」であるインクパッケージ8aのグラフであり、曲線64(実線)は縦横比hが「1.5」がであるインクパッケージ8aのグラフであり、曲線65(点線)は縦横比hが「2」であるインクパッケージ8aのグラフである。
【0041】
図7中の各曲線63〜65を比較すると、インク消費量Vが増加した場合(図8中、右側部分)、各インクパッケージ8aの内圧Pは、曲線63,64,65の順に急激に減少している。即ち、インクパッケージ8aの縦横比hが小さいほど、インク消費量Vの増加に伴う内圧Pの減少量が大きくなっている。よって、図7により、インクパッケージ8aの縦横比hが小さいほど、インクパッケージ8aの剛性が大きく、かつ、その形状復元性が顕著となり、インクパッケージ8aの形状変化を確実に抑制できることが確認される。従って、本実施例では、かかる図7の結果に基づき、インク供給圧、即ち、インクパッケージ8aの内圧Pを略0mmAq以上かつ略−300mmAq以下の動作圧範囲内にするために、インクパッケージ8aの縦横比hを略「10」以下、即ち、インクパッケージ8aの縦方向長さ(横方向長さ)を横方向長さ(縦方向長さ)の略10倍以下に形成している。尚、インクパッケージ9aを形成する積層構造フィルム材も、同様に、その縦横比hを略「10」以下、即ち、インクパッケージ9aの縦方向長さ(横方向長さ)を横方向長さ(縦方向長さ)の略10倍以下に形成している。
【0042】
図8は、インクパッケージ8aの上述した縦方向長さ又は横方向長さの一方の長さが異なる3種類のインクパッケージ8aについて、インク消費量Vと、その内圧Pとの関係を示した図である。図8中、横軸71はインクパッケージ8aに密封されたインクのインク消費量Vを示しており、縦軸72はインクパッケージ8aの内圧Pを示している。また、曲線73(2点鎖線)はインクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)が50mmであるインクパッケージ8aのグラフであり、曲線74(実線)はインクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)が70mmであるインクパッケージ31のグラフであり、曲線75(点線)はインクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)が100mmであるインクパッケージ8aのグラフである。
【0043】
図8中の各曲線73〜75を比較すると、インク消費量Vが増加した場合(図8中、右側部分)、各インクパッケージ8aの内圧Pは、曲線73,74,75の順に急激に減少している。即ち、インクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)が小さいほど、インク消費量Vの増加に伴う内圧Pの減少量が大きくなっている。よって、図8により、インクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)が小さいほど、インクパッケージ8aの剛性が大きく、かつ、その形状復元性が顕著となり、インクパッケージ8aの形状変化を確実に抑制できることが確認される。従って、本実施例では、かかる図8の結果に基づき、インク供給圧、即ち、インクパッケージ8aの内圧Pを略0mmAq以上かつ略−300mmAq以下の動作圧範囲内にするために、インクパッケージ8aの縦方向長さ(又は、横方向長さ)を略200mm以下に形成している。インクパッケージ9aを形成する積層構造フィルム材も、同様に、その縦方向長さ(又は、横方向長さ)を略200mm以下に形成している。
【0044】
次に、図2および図4を参照して、携帯型プリンタ1の使用方法について説明する。カートリッジ部材2をプリンタ本体3に装着するとともに、カートリッジ部材2に搭載された印字ヘッド7をプリンタ本体3に搭載されたキャリッジ27に装着する。カートリッジ部材2の装着後、未使用の印刷用紙PPが携帯型プリンタ1の挿入口22へ挿入されると、印刷用紙PPはLFモータ31により回転される搬送ローラ23および押さえローラ24によって、印字ヘッド7の下方へ搬送される。搬送された印刷用紙PPは、印字ヘッド7の下方を通過する際に、印字ヘッド7の複数のノズル7aから吐出されるインクによって印刷される。各インクカートリッジ8,9の各インクパッケージ8a,9aに充填されたインクは、その各インクパッケージ8a,9a内にそれぞれ刺し込まれた各インク抽出針10の各抽出穴10aから各インク抽出針10の内部へ流入して、各継手部材11,21の各連通穴(図示せず)を通過して、4本の供給チューブ12へそれぞれ流れ込んで、印字ヘッド7へ供給され、印字ヘッド7の各ノズル7aから吐出される。印刷された印刷済みの印刷用紙PPは、LFモータ31により回転される排紙ローラ25及び押さえローラ26によって、排紙口4から排紙される。
【0045】
上記のように、印字ヘッド7は、CRモータ30により駆動されるキャリッジ27に搭載されて、図2の矢印Yまたは反矢印方向へ向けて携帯型プリンタ1の下部空間1b内を往復移動するとともに、各ノズル7aからインクを吐出して印刷を行う。このように、印字ヘッド7がキャリッジ27に搭載されて往復移動すると、印字ヘッド7の上部に継合された4本の供給チューブ12が印字ヘッド7の移動に伴って往復移動される。印字ヘッド7が携帯型プリンタ1の下部空間1bの右側部分(図2の右側)へ移動すると、この各供給チューブ12は、印字ヘッド7へ向かうに従って湾曲され、その湾曲部分(屈曲部分)は携帯型プリンタ1の上部空間1aから開口部1cを通過するとともに、仕切板5aを介して、携帯型プリンタ1の下部空間1bに配設される印字ヘッド7へ向けて下降傾斜される。即ち、各供給チューブ12の湾曲部分は携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分(図2の奥側上方)から下部空間1bの前方縁部分(図2の手前側下方)へ向けて下降傾斜される。しかも、各供給チューブ12は、リブ部材14〜17によって各インクカートリッジ8,9配設側から携帯型プリンタ1の右側部分へ向けて略直線状に案内されるとともに、リブ部材17、リブ部材18およびリブ部材19によって、携帯型プリンタ1のプリンタ本体3の外方、即ち、図2の後方へ向けて大きく凹状(略円弧状)に湾曲される(図3参照)。このように、各供給チューブ12の湾曲部分は携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分から印字ヘッド7が配設される下部空間1bの前方縁部分へ向けて下降傾斜しているので、その分、湾曲部分の湾曲幅Wが携帯型プリンタ1の奥行幅Dより大きく保持される(W>D)。各供給チューブ12の湾曲部分の湾曲幅Wが大きく保持されると、その湾曲部分の曲率半径Rが大きくなり、各供給チューブ12内を流れるインクのエネルギー損失が低減されるのである。
【0046】
以上に説明したように、本実施例の携帯型プリンタ1およびカートリッジ部材2によれば、各供給チューブ12は、図2に示すように、印字ヘッド7へ向かうに従って湾曲されるが、その湾曲部分(屈曲部分)は携帯型プリンタ1の上部空間1aから開口部1cを通過するとともに、仕切板5aを介して、携帯型プリンタ1の下部空間1bに配設される印字ヘッド7へ向けて下降傾斜されている。即ち、各供給チューブ12の湾曲部分は携帯型プリンタ1の上部空間1aの後方縁部分から印字ヘッド7が配設される下部空間1bの前方縁部分へ向けて下降傾斜しているので、その分、湾曲部分の湾曲幅Wを携帯型プリンタ1の奥行幅Dより大きくすることができる(W>D)。よって、各供給チューブ12の湾曲部分を略水平または略垂直状態で配設する従来のプリンタに比べて、その湾曲部分の曲率半径Rを大きくすることができる。よって、各供給チューブ内を流れるインクのエネルギー損失が低減され、各供給チューブ12により印字ヘッド7へ供給されるインクの脈流が抑制されるので、印字ヘッド7からインクを均一に吐出して、印刷品質を良好に維持することができる。
【0047】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0048】
【発明の効果】
請求項1に記載の印字装置によれば、インクカートリッジから印字ヘッドへインクを供給する積層状態に配設された複数のチューブ部材は、各チューブ部材の屈曲部分における積層方向が、該屈曲部分へ至る前における積層方向に対して傾斜した状態で印刷装置に配設されるので、各チューブ部材の屈曲部分の屈曲幅を大きくすることができ、その分、屈曲部分の曲率半径を大きくすることができる。よって、各チューブ部材内を流れるインクのエネルギー損失が低減され、各チューブ部材により印字ヘッドへ供給されるインクの脈流が抑制されるので、印字ヘッドからインクを均一に吐出して、印刷品質を良好に維持することができるという効果がある。また、当該印刷装置の内部空間を上下方向の空間に仕切る水平板によって下方からの支持のみの積層状態で配設されていることにより各チューブ部材が重力方向へ向けて垂れ下がり屈曲することを防止できるという効果がある。
【0049】
請求項2に記載の印字装置によれば、請求項1に記載の印刷装置の奏する効果に加え、屈曲部分へ至る前における前記複数のチューブ部材の積層方向が、当該装置の上下方向であるので、各チューブ部材が重力方向へ向けて垂れ下がり屈曲することを防止できるという効果がある。また、各チューブ部材の屈曲部分が、当該装置の水平方向の一側から他側に向けて傾斜しているので、各チューブ部材の屈曲部分が傾斜された分、その屈曲部分の屈曲幅を大きくすることができ、その結果、屈曲部分の曲率半径を大きくすることができる。このため、各チューブ部材内を流れるインクのエネルギー損失が低減され、各チューブ部材により印字ヘッドへ供給されるインクの脈流が抑制されるので、インクを印字ヘッドから均一に吐出して、印刷品質を良好に維持することができるという効果がある。
【0050】
請求項3に記載の印刷装置によれば、請求項2に記載の印刷装置の奏する効果に加え、複数のチューブ部材は、少なくとも屈曲部分へ至る前において水平板により最も下側に配設されたチューブ部材の下方から支えられることで全てのチューブ部材が下方から支えられているので、各チューブ部材が重力方向へ向けて垂れ下がり屈曲することを防止できるという効果がある。
【0051】
請求項4に記載の印刷装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、印字ヘッドが各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるときに、その屈曲部分の外側近傍には、各チューブ部材の屈曲部分が可及的に大きな曲率半径の略円弧状に湾曲するように該各チューブ部材を案内する矯正部材が配設されており、当該矯正部材は、当該装置のフレームと、所定間隔で隣接するとともにこのフレームからその内部方向に突出した複数の矩形板状体と、から構成され、前記印字ヘッドが前記各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるとき、前記各チューブは前記複数の矩形板状体のうち少なくとも2つの矩形板状体の間に前記印字ヘッドから遠ざかる方向に向かって湾曲するので、印刷装置に傾斜した状態で配設されるチューブ部材の屈曲部分を略円弧状に湾曲するように矯正して、かかる屈曲部分の曲率半径を可及的に大きく維持することができるという効果がある。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である携帯型プリンタおよびカートリッジ部材の正面図である。
【図2】 携帯型プリンタの内部構造を概略的に示した部分的な斜視断面図である。
【図3】 携帯型プリンタを上面視した部分断面図であり、
【図4】 図1のIV−IV線における携帯型プリンタの断面図である。
【図5】 図4のV−V線における携帯型プリンタの断面図である。
【図6】 積層構造フィルム材の厚さが異なる3種類のインクパッケージについて、インク消費量と、その内圧との関係を示した図である。
【図7】 インクパッケージの縦方向長さおよび横方向長さの比率が異なる3種類のインクパッケージについて、インク消費量と、その内圧との関係を示した図である。
【図8】 インクパッケージの縦方向長さ又は横方向長さの一方の長さが異なる3種類のインクパッケージについて、インク消費量と、その内圧との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 携帯型プリンタ(印刷装置)
2 カートリッジ部材
7 印字ヘッド
8,9 インクカートリッジ
8a,9a インクパッケージ
10 インク抽出針(チューブ部材の一部)
11,21 継手部材(チューブ部材の一部)
12 供給チューブ(チューブ部材の一部)
17,18,19 リブ部材(矯正部材)
Claims (4)
- 所定方向に往復移動可能でありインクを用紙に吐出して印刷を行う印字ヘッドと、その印字ヘッドへ供給されるインクを充填したインクカートリッジと、そのインクカートリッジから前記印字ヘッドへインクを供給するために、その印字ヘッドに継合される一端側と前記インクカートリッジに継合される他端側とを有し、その他端側および一端側との間部分が屈曲した状態で配設される複数のチューブ部材とを備えた印刷装置において、
当該印刷装置の内部空間を上下方向の空間に仕切る水平板を備え、
前記インクカートリッジから前記印字ヘッドへ至る前記複数のチューブ部材は、前記水平板によって下方からの支持のみの積層状態で配設されており、
前記各チューブ部材の屈曲部分では、少なくともその屈曲部分の一部が前記水平板から外れることにより、前記複数のチューブ部材の積層方向が、前記屈曲部分へ至る前における積層方向に対して傾斜した状態に配設されていることを特徴とする印刷装置。 - 前記屈曲部分へ至る前における前記複数のチューブ部材の積層方向は、当該装置の上下方向であり、前記屈曲部分は、当該装置の水平方向の一側から他側に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記複数のチューブ部材は、少なくとも前記屈曲部分へ至る前において水平板により最も下側に配設されたチューブ部材の下方から支えられることで全てのチューブ部材が下方から支えられていることを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
- 前記印字ヘッドが前記各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるとき、前記屈曲部分の外側近傍には、各チューブ部材の屈曲部分が可及的に大きな曲率半径の略円弧状に湾曲するように前記各チューブ部材を案内する矯正部材が配設されており、当該矯正部材は、当該装置のフレームと、所定間隔で隣接するとともにこのフレームからその内部方向に突出した複数の矩形板状体と、から構成され、前記印字ヘッドが前記各チューブ部材の他端側から最も離れた位置にあるとき、前記各チューブは前記複数の矩形板状体のうち少なくとも2つの矩形板状体の間に前記印字ヘッドから遠ざかる方向に向かって湾曲することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
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