JP4206814B2 - レーザ発振器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ発振器のビームモードの真円度を改善する方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
電極間に電力を投入することにより、充満したレーザガス分子を励起し、部分反射鏡と全反射鏡で構成された光共振器によりレーザ光を増幅し、レーザビーム光軸を中心にレーザビームが部分反射鏡より出力される。
このときアパーチャにより光共振領域を制限することで、所望のビームモードの形状とその次数、並びに出力を得る構成となっている。
すなわち、真円のビームモードが欲しい場合はアパーチャ開口部を真円形状にし、楕円のビームモードが欲しい場合は、アパーチャ開口部を楕円形状にするといった、アパーチャの開口部の形状は所望のビームモードと同じ形状としていた。
また、アパーチャ開口部の大きさは加工に適したモード次数となるように決定する必要がある。
モード次数は、アパーチャの開口径をD、反射鏡により決定されるアパーチャ上でのビーム径をwとしたとき、D/wで推測することができ、D/wが大きいとモード次数は高く、D/wが小さいとモード次数は低くなる。例えば、集光性のよいビームが必要である場合には前記アパーチャの開口径を小さくすることで次数の低いシングルモードとし、大出力が必要である場合には前記アパーチャの開口径を大きくすることで次数の高いマルチモードとなるようにしていた。
このビームモードの次数について考慮されたものとしては、例えば、特開平1−253977号公報に示されるように、開口断面を変化させてレーザ発振モードを変化させることが行われていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−253977号公報 (第2頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、上述したような三軸直交型ガスレーザ発振器を用いて、プリント基板などの穴あけ加工を行い場合には、あけられる穴の真円性が重要となる。
ここで、穴の真円性を達成すべく、所望のビームモード形状が真円となるように、アパーチャ開口の形状を真円で形成したとしてもしたとしても、実際に出力するビームモードを観察すると、必ずしも真円形状で得られない事例が発生し、所望する形状の穴があかないといった問題点があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決すべく、反射鏡とアパーチャで構成する光共振器の最適化を行うことで所望のビームモードを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るレーザ発振器は、励起光を増幅するための反射鏡と、レーザの発振モードを規定するアパーチャとにより構成された光共振器を備えたレーザ発振器において、励起光が光軸に対しゲイン分布の方向性をもつとき、各方向のビームモード次数が同一になるよう上記各方向の上記光共振器の構成部分を最適化したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る光共振器の最適化に関する原理について図2を用いて説明する。
図2は、放電方向、ガス流方向、光軸方向がそれぞれ直交する三軸直交型ガスレーザ発振器において、反射鏡、アパーチャ5、電極幅、電極間ギャップ、ガス組成、ガス圧力、ガス流速を同じとし、また、反射鏡は同心円状に曲率をもつ形状、アパーチャ5の開口部は真円形状で、かつ光共振領域が電極1に当たらない最大径としたとき、投入電力により放電方向、ガス流方向のそれぞれのゲイン分布がどのように変化するかを説明するための模式図である。
図において、投入電力をW1、W2、W3(W1>W2>W3)と変化させた場合の放電方向の平均的なゲイン分布を23、24、25、ビームモードを29a、30b、31c、ガス流方向の平均的なゲイン分布を20、21、22、ビームモードを26e、27f、28g、最終的に出力されるビームモードを32ae、33bf、34cg、レーザ発振閾値を13で示す。
なお、記号a〜gはモード次数を示し、a>b>c、e>f>g、a≒e、b>f、c>gであるとする。
【0008】
次に、図を用いてゲイン分布とビームモードの関係について説明する。
放電方向は23から25に示すようにトップハット形状のゲイン分布が得られ、投入電力を変化させると大きさが異なる相似系の分布となる。
このゲイン分布をアパーチャで切り出し、光共振させるとレーザ発振閾値を上回り、出力するビームモードはa次の29aからc次の31cとなる。
このように放電方向は端の部分までレーザ発振閾値以上のゲインが均一な分布となっているため、比較的次数の高いビームモードが得られる。
これに対し、ガス流方向は電極端部分での電界強度は電極中央付近と比較して弱いため、放電に寄与する投入電力が位置により異なり、図の20から22に示すように端の部分が放電閾値の影響を受けた分布となる。
このゲイン分布をアパーチャで切り出し、光共振させると得られるビームモードはe次の26eからg次の28gとなる。
このようにガス流方向では、投入電力を低くするとレーザ発振閾値以上のゲインは中央と端部で大きく異なるため、比較的次数の低いビームモードが得られる。
【0009】
以上より、投入電力がW1のときに形成されるゲイン分布においては、放電方向、ガス流方向のどちらも比較的高次のビームモードが得られるため、結果として出力されるビームモードは方向性のない高次(a次≒e次)のビームモード、すなわち真円でかつ高次のビームモード32aeとなる。
これに対し、投入電力がW2のときに形成されるゲイン分布においては、放電方向は比較的高次(b次)のビームモードであるが、ガス流方向は比較的低次(f次)のビームモードであるため、結果として出力されるビームモードは方向性を持つビームモード(a次>f次)、すなわち放電方向に長い楕円のビームモード33bfとなる。
また、投入電力がW3のときに形成されるゲイン分布においては、放電方向は比較的低次(c次)のビームモード、ガス流方向は最低次(g次)のビームモードとなるため、結果として出力されるビームモードはW2のとき同様方向性を持ち、かつW2と比較して全体的に低次(c次>g次)のビームモード34cgとなる。
【0010】
以上、図2では投入電力を変化させた場合について示したが、電極幅、電極間ギャップ、ガス組成、ガス圧力、ガス流速などを変化させた場合についても同様に放電方向とガス流方向のゲイン分布が変化し、結果としてビームモードが変化する。
また、光共振に関わる反射鏡、アパーチャを変化させた場合についても、ゲインの取り出し領域が変化するので、結果としてビームモードが変化する。
本発明は、ゲイン分布の違いによりビームモードが変化することに着目し、特に、所望のビームモードを得る手段として、反射鏡、アパーチャで構成する光共振器を最適化するものである。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1では、上述した原理を三軸直交型ガスレーザ発振器において、大きなピークパワーでかつ短いパルス幅のパルスレーザを出力する場合に適用する。
図1は、実施の形態1に係るレーザ発振器を説明するための模式図である。
図において、電極1間に電力を投入することにより、充満したレーザガス分子を励起放電2する。
そして、部分反射鏡と全反射鏡で構成された光共振器により誘導放出が始まり、レーザ光を増幅し、レーザビーム光軸6を中心にレーザビーム8が部分反射鏡4より出力される。
この時、アパーチャ5により光共振領域を制限することで、所望のビームモードの形状とその次数、並びに出力を得る構成となっている。
レーザガスは、送風機9により循環され、所定のガス流10となる。
また、11はガス流方向のゲイン分布、12は放電方向のゲイン分布、14〜16はガス流方向のビームモード、17〜19は放電方向のビームモードを示している。
また、記号D1からD4はアパーチャの開口径を示し、D4>D1>D2>D3であるとする。
【0012】
さて、大きなピークパワーでかつ短いパルス幅のパルスレーザを出力するためには、短い時間に大きな投入電力を印加する必要がある。
そのため、ガス圧力は高く、ガス組成はレーザ媒質成分を多く含んだ組成にし、ガス流速は速くする必要があり、それぞれは理論的にある範囲内に制限される。また、投入電力、電極間ギャップ、及び電極幅は次のような制限がある。
一般的にレーザ出力を大きくするには、放電領域を大きくする必要がある。
放電領域はガス圧力、ガス組成、ガス流速、投入電力、電極間ギャップ、及び電極幅によって決定される。
特に電極間ギャップと電極幅は空間的に制限を与えるパラメータである。
従って、電極間ギャップと電極幅を大きくしないと物理的に大きな放電領域を得られないが、これらを大きくするには、投入電力を大きくする必要がある。
投入電力に関しては、コスト、設置面積等の理由から電源の製作上制限がある。従って、電極ギャップと電極幅を大きくするにも限界があり、その結果、大きなレーザ出力を得るためには、放電領域に対する光共振領域の割合を最大限に大きくする必要がある。
このように様々な制限の中からレーザ出力を可能な限り大きくするようなレーザ発振器を構成する場合、同心円状のゲイン分布を形成することが困難となることがある。
【0013】
図1はこの状態を示したもので、放電方向とガス流方向のゲイン分布がそれぞれ11、12と異なるため、アパーチャの開口部が真円形状でかつ光共振領域が電極に当たらない最大径D1である場合、出力されるビームモードは放電方向に長い楕円型のモードとなる。
このようなとき、真円形状のアパーチャの開口径をD3まで小さくし、放電方向とガス流方向のビームモードを15と18のように等しくすることで真円のビームモードを得る方法があるが、この方法ではモードボリュームが大幅に減少するため、大きなピークパワーを得ることが困難である。
【0014】
そこで、本実施の形態では、アパーチャの開口部を放電方向が短い楕円形状とすることで、この課題を解決するものである。
すなわち、前述したように真円形状のアパーチャでは放電方向はモード次数が高いので、モード次数を減らすように光共振できる光路をアパーチャの開口をD2に狭くすることで制限し、逆にガス流方向はモード次数が比較的低いので、モード次数を大きくなるようにアパーチャの開口をD4に広げる。
その結果、放電方向とガス流方向のモード次数が一致し、同心円状のビームモード、すなわち真円のビームモードを得る。
なお、この際にはモードボリュームはそれほど低下しないので大きなピークパワーを得る。
【0015】
具体的には、放電方向の開口D2と、ガス流方向の開口D4の関係は、以下のように設定する。
まず、ガス圧力、ガス組成、ガス流速、投入電力、電極間ギャップ、及び電極幅により決定されるゲイン分布を計算する。
次に、光共振器並びにアパーチャにより得られるレーザビームモード次数を計算し、ガス流方向と放電方向のモード次数が同一となるようにアパーチャを最適化する。
このとき、ガス流方向の開口D4は放電幅と同じ程度とし、放電方向の開口D2をガス流方向のモード次数と同一になるように最適化することで、同心円状でかつ最大限のモード次数とすることができ、大きなレーザ出力を得ることができる。
実験で構成したレーザ発振器においては、D2はD4の0.7〜0.9倍程度の幅とすることで、ガス流方向のモード次数と同一になり、同心円状のビームモードを得た。
【0016】
以上のように本発明によれば、ゲイン分布が同心円状でないレーザ発振器において、放電方向が短い楕円形状の開口を持つアパーチャを用いることにより、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
また、上記ではアパーチャの開口部を楕円形状としたが、長径の方向に直線部を含む長円形状であっても適用でき、上記同様、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
また、上記では三軸直交型ガスレーザ発振器において、大きなピークパワーでかつ短いパルス幅のパルスレーザを出力する場合について適用したが、他のレーザ発振器においてもゲイン分布が同心円状でないとき、ゲイン分布を考慮して光共振器の最適化を実施することにより、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
【0017】
なお、従来の特開平1−253977号公報に開示されて技術は、開口部が真円形状のアパーチャを共振光軸と直交する軸を回転することにより、光軸断面よりみた投影を楕円とする方法である。
この方法では、D/wが大きく、光共振長が短く、かつ回転角度を大きくする必要がある場合、回転方向へのモード偏りが発生する。
その結果、モードの軸対称性を損なう新たな原因となり、本発明が課題とする同心円状のビームモードを得ることが困難となる。
【0018】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、アパーチャの形状は固定のものとしたが、放電方向の開口径を可変としたアパーチャとしてもよい。
図3、4は本実施の形態2に係る図であり、図3は本実施の形態2のレーザ発振器を説明するための模式図、図4はレーザ発振器に搭載するアパーチャの仕組みを説明する模式図である。
図3に示すレーザ発振器は、実施の形態1と同様、三軸直交型ガスレーザ発振器において大きなピークパワーでかつ短いパルス幅のパルスレーザを出力するレーザ発振器とする。
図において、35はガス流方向のビームモード、36〜38は放電方向のビームモード、39〜41は光共振が行える領域を示す。
また、図1と図3の違いはアパーチャの形状のみであるから、図3のレーザ発振器に形成されるゲイン分布は実施の形態1で示した図1のレーザ発振器で形成されるゲイン分布11、12と同じである。
また、図4における42は真円形状の開口部を持つ遮蔽物、43、44は遮蔽板、45は遮蔽板を固定し、かつY方向に駆動する駆動部、46は基台、47は駆動部45の軸、48はアパーチャの開口部中心、49、50はそれぞれ48を中心とする中心軸である。
また、記号Dy、D5からD7は遮蔽板間距離、h〜kはモード次数を示し、それぞれD5>D6>D7、h>i>j、i≒kとする。
【0019】
次に、動作を説明する。
図4に示すように、本発明におけるアパーチャは、開口部が真円形状である遮蔽物42と2枚の遮蔽板43、44を組み合わせたビーム遮蔽構造によりビームモードを制限し、かつ前記遮蔽板2枚はそれぞれ中心軸51を中心に駆動する仕組みを持つ構成となっている。
従って、遮蔽板間距離Dyを変化させることにより、Y方向の光共振ができる領域を変化させることができる。
また、基台46に冷却水を循環させることで、前記アパーチャにおける前記遮蔽物42は基台46をとおして、前記遮蔽板43、44は駆動部45と基台46をとおしてそれぞれ間接的に冷却する構造となっている。
【0020】
図3では、前記アパーチャの遮蔽板の駆動方向を放電方向として使用し、遮蔽物42の開口部をφD5の真円形状とした。
また、φD5は光共振領域が電極に当たらない最大径とする。
まず、遮蔽板間距離DyがD5のときを考えると、光共振ができる領域はφD5の真円39となる。
従って、このときに得られるビームモードは実施の形態1で示したD1の場合と同じで放電方向は次数が高く(h次)、ガス流方向は次数の低い(k次)モードとなるため、結果として真円性の悪い(h次>k次)、放電方向に長い楕円のビームモードとなる。
次に、遮蔽板間距離DyがD6のときを考えると、光共振ができる領域は40となる。
従って、ガス流方向はそのままで放電方向のモード次数が下がる(i次<h次)。
従って、このとき得られるビームモードは放電方向とガス流方向の次数がほぼ等しくなるため(i次≒k次)、結果として真円性の良いビームモードとなる。
次に、遮蔽板間距離DyがD7のときを考えると、光共振ができる領域は41となる。
従って、ガス流方向はそのままでD6のときよりもさらに放電方向のモード次数が下がる(j次<<h次)。
従って、このとき得られるビームモードはガス流方向のほうが放電方向に比べて次数が低くなるため(j次<k次)、結果として真円性の悪い、ガス流方向に長い楕円のビームモードとなる。
【0021】
以上のように本発明によれば、前記のようにゲイン分布が同心円状でないレーザ発振器において、放電方向に駆動する遮蔽板43と44の間隔を調整することで、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
【0022】
また、本発明は製作上問題となる組立誤差に対して特に効果を発揮する。
図3で示すレーザ発振器において、電極幅、電極間ギャップ、電極間の位置関係などは、多少の組立誤差があり、それぞれはゲイン分布に影響を与えるため、得られるビームモードは製作するごとに多少異なる。
従って、本発明により連続的にモード次数を調整することにより組立誤差を打ち消し、出力を低下させることなくビームモードの真円性を向上する効果がある。
【0023】
また、上記説明では、遮蔽物42の開口部の真円形状としたが、楕円形状としてもよい。
その効果として、前記のようにゲイン分布が同心円状でないレーザ発振器において、あらかじめ短径・長径の比率があるばらつきの範囲内であることが分かっている場合、組立誤差によるゲイン分布の違いを微調整により補正することができるので、駆動部で大きくなったアパーチャを必要最低限まで小さくできる効果がある。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1、2では、アパーチャの形状の最適化について示したが、部分反射鏡或いは全反射鏡、或いはその両方の内面曲率を最適化してもよい。
図5、6は実施の形態3に係る図であり、図5は本発明のレーザ発振器を説明するための模式図、図6は前記レーザ発振器に搭載する反射鏡の構造を説明するための模式図である。
図5に示すレーザ発振器は、実施の形態1、2と同様、三軸直交型ガスレーザ発振器において大きなピークパワーでかつ短いパルス幅のパルスレーザを出力するレーザ発振器とする。
図において、51はガス流方向のビームモード、52〜54は放電方向のビームモード、55〜57は光共振するビーム光路を示す。
また、図1と図5の違いは反射鏡の形状のみであるから、図5のレーザ発振器に形成されるゲイン分布は実施の形態1で示した図1のレーザ発振器で形成されるゲイン分布11、12と同じである。
また、記号Ry、R0からR3は反射鏡の内面曲率、w1からw3は反射鏡により決定されるアパーチャ上での放電方向のビーム径、l〜oはモード次数を示し、それぞれR1<R2<R3、R0=R1、l>m>n、m≒oとする。
【0025】
本発明における反射鏡は、図6に示すように内面曲率がX、Y方向で異なる形状である。
図5におけるガス流方向をX方向、放電方向をY方向とし、反射鏡3は同心円状に曲率R0を持ち、反射鏡4のX方向の内面曲率をR0、Y方向の内面曲率RyをR1、R2、R3と変化させた場合について動作を説明する。
但し、アパーチャの開口部は真円形状でかつ光共振領域が電極に当たらない最大径であるとする。
【0026】
まず、反射鏡4の内面曲率RyがR1のとき(X方向の内面曲率R0と同じ)、すなわち同心円状の反射鏡であるとき、反射鏡3と4により決定される放電方向の光共振するビーム光路は図における55のようになる。
従って、アパーチャ上での放電方向のビーム径はw1となり、このとき得られるビームモードは実施の形態1で示したD1のときと同じで放電方向は次数が高く(l次)、ガス流方向は次数の低い(o次)モードとなるため、結果として真円性の悪い(l次>o次)、放電方向に長い楕円のビームモードとなる。
次に反射鏡4の内面曲率RyがR2のときを考えると、反射鏡3と4により決定される放電方向の光共振するビーム光路は図における56のようになる。
従って、アパーチャ上での放電方向のビーム径はw2(w2>w1)となり、D/wはR1のときと比較して小さくなるため、モード次数は下がる(m次<l次)。結果として、放電方向とガス流方向の次数がほぼ等しくなるため(m次≒o次)、真円性の良いビームモードとなる。
次に反射鏡4の内面曲率RyがR3のときを考えると、反射鏡3と4により決定される放電方向の光共振するビーム光路は図における57のようになる。
従って、アパーチャ上での放電方向のビーム径はw3(w3>>w1)となり、D/wはR2のときと比較してさらに小さくなるため、モード次数はさらに下がる(n次<<l次)。結果として真円性の悪い(n次<o次)、ガス流方向に長い楕円のビームモードとなる。
【0027】
以上の説明から反射鏡の内面曲率は以下のように設定する。
まず、ガス圧力、ガス組成、ガス流速、投入電力、電極間ギャップ、及び電極幅により決定されるゲイン分布を計算する。
次に、光共振器並びにアパーチャにより得られるレーザビームモード次数を計算し、ガス流方向と放電方向のモード次数が同一となるように反射鏡の内面曲率を最適化する。
このとき、所望のビームモード次数をガス流方向で得られるように、ガス流方向の内面曲率を選び、その後、モード次数が同一となるように放電方向の内面曲率を最適化をすることで、効率よく最適化を実施することができる。
【0028】
以上のように本発明によれば、前記のようにゲイン分布が同心円状でないレーザ発振器において、放電方向とガス流方向の内面曲率の異なる反射鏡を搭載することにより、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
また、反射鏡の内面曲率は、連続して変化させる仕組みを持つ機構としてもよい。
その効果として、実施の形態2同様、連続的にモード次数を調整することができ、それにより組立誤差を打ち消し、出力を低下させることなく、ビームモードの真円性を向上する効果がある。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明におけるレーザ発振器を用いることにより、従来技術では達成しきれていなかったビームモードの真円性の向上を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1におけるレーザ発振器を説明するための模式図である。
【図2】 本発明の原理を説明するための模式図。
【図3】 実施の形態2におけるレーザ発振器を説明するための模式図である。
【図4】 実施の形態2におけるアパーチャの構造を説明するための模式図である。
【図5】 実施の形態3におけるレーザ発振器を説明するための模式図である。
【図6】 実施の形態3における反射鏡の構造を説明するための模式図である。
【符号の簡単な説明】
1 電極、2 励起放電、3 部分反射鏡、4 全反射鏡、5 アパーチャ、6 レーザビーム光軸、10 ガス流。
Claims (3)
- レーザ光を増幅するための部分反射鏡と全反射鏡の2枚の反射鏡からなる光共振器と、
所定のガス流をもったレーザガスを励起させるための電極と、
レーザの発振モードを規定するアパーチャとを備え、
上記電極の放電方向と上記レーザガスのガス流方向とレーザ光の光軸方向がそれぞれ直交する三軸直交型ガスレーザ発振器において、
レーザ光がレーザ共振器内のレーザガスから得るゲインの分布が放電方向とガス流方向で異なる場合、放電方向およびガス流方向のビームモード次数が同一になるように、上記アパーチャの開口部を放電方向を短径とする楕円形状にしたことを特徴とするレーザ発振器。 - レーザ光を増幅するための部分反射鏡と全反射鏡の2枚の反射鏡からなる光共振器と、
所定のガス流をもったレーザガスを励起させるための電極と、
レーザの発振モードを規定するアパーチャとを備え、
上記電極の放電方向と上記レーザガスのガス流方向とレーザ光の光軸方向がそれぞれ直交する三軸直交型ガスレーザ発振器において、
レーザ光がレーザ共振器内のレーザガスから得るゲインの分布が放電方向とガス流方向で異なる場合、放電方向およびガス流方向のビームモード次数が同一になるように、上記部分反射鏡および上記全反射鏡の少なくとも一方の内面曲率を放電方向とガス流方向により異なる形状とすることを特徴とするレーザ発振器。 - 光軸を含み、かつ、放電方向と垂直な面に対して対称な位置に、2つの遮蔽板を配置し、各遮蔽板を放電方向に光軸を中心として移動させることにより、アパーチャの開口部を可変とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザ発振器。
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