JP4206641B2 - 非接触給電システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無人搬送車システムおよび該無人搬送車に非接触で電力供給を行う給電線の端部処理方法に関するものである。より詳しくは、有軌道台車等に非接触で電力を供給する非接触給電システムの給電線の接続構造および、その処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軌道に沿って敷設された一対の給電線から、非接触で電力の供給を受けて、搬送車を走行させる無人搬送車システムが知られている。
このような無人搬送車システムにおける給電線の接続構造として、例えば、給電線を、複数の銅パイプを連結した状態とするものが知られている。
このような無人搬送車システムに、一般的に用いられる給電線は非常に堅く、ループ状に形成して往路・復路一対の給電線に沿って搬送車を走行させるようにする場合、その端部の折り曲げ加工が困難である。従って、その端部では、端子台を介して連結する。このため、例えば、軌道の長手方向に沿って連続した給電線保持部材により、給電線を保持した場合、給電線の端部では、端子台を取付け可能な給電線保持部材に部分的に変更しなければならず、その設ける位置は、納入する仕様により異なり、設計上の煩わしさがあり、また、部品点数も増えることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、連続するような給電線保持部材を用いても、容易に給電線の端部を処理することのできる無人搬送車システムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
まず、請求項1に記載のごとく、搬送車の移動経路に沿って配設された給電線ホルダによって支持される給電線から、非接触で上記搬送車に給電する非接触給電システムであって、上記給電線ホルダは、給電線を保持する給電線保持部と、この保持部に連なる支脚部と、該支脚部に連なり前記移動経路に固設される基部とよりなり、前記給電線の端部では、上記保持部から基部に至る貫通孔を設け、該貫通孔に接続部材を貫挿し、この接続部材に前記給電線の端部を連結するようにした。
【0005】
次に、請求項2に記載のごとく、上記給電線の端部に端子を固着し、上記接続部材の一端にこの端子を介して給電線を締結固定するようにした。
【0006】
そして、非接触給電線の端部処理方法としては、請求項3に記載のごとく、上記給電線は、移動経路に沿って2本平行に載置され、各給電線の端部では、挿貫された上記接続部材の各給電線の基部側端部同士が短絡部材を介して連結されるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例である非接触給電システムについて図面を参照しながら説明する。給電線を用いた非接触電力供給方式を用いた有軌道台車システムから説明する。
【0008】
図1は、給電線から非接触で電力を供給する方式の有軌道台車システムを模式的に示す図である。
図1において、軌道12は、搬送台車13(破線で示す)の移動経路に敷設されており、その軌道12に沿って銅線などの導電線を絶縁材料で被覆した給電線5が配置されている。
給電線5には、電力供給装置16が接続されており、該電力供給装置16により電力供給および供給電力の制御が行われるものである。
搬送台車13は、給電線5から電力を得るための受電ユニット9を有し、その受電ユニット9が取り出す電力を利用して軌道12上を往復移動可能とするものである。
【0009】
前記搬送台車13は非接触給電により走行する有軌道台車であれば天井走行車であっても床上走行車であっても良く、本実施例においては、天井走行車について説明する。
図2は有軌道台車システムを天井走行車に適用した場合の構成を示す搬送車の上部正面図であり、図3は同じく上部側面図である。
【0010】
図2および図3に示すごとく、搬送台車13の上部には、受電ユニット9および駆動輪14およびガイド輪17が設けられいる。駆動輪14は搬送台車13の駆動機構に接続されており、該車輪14を駆動することにより、搬送台車13が軌道12に沿って移動するものである。
軌道12の内側には、ガイド輪17が当接しており、軌道12の上部中央下面には凸部が設けられており、駆動輪14が該凸部に当接しているものである。
ガイド輪17および駆動輪14は上部フレーム11において保持されており、該上部フレーム11は接続フレーム18の上面に固設されているものである。
【0011】
接続フレーム18の側面には、受電ユニット9が配設されている。そして、接続フレーム18の下面には、搬送部19が装着されているものである。搬送車13は該搬送部に荷物を載せ、軌道12を移動するものである。
受電ユニット9は、給電線ホルダ30と近接する位置に構成されている。給電線ホルダ30は、給電線5を該給電線ホルダ30の搬送台車13側において保持しているものである。これにより、給電線ホルダ30を受電ユニット9に近づけ、給電線5より供給される電力を効率的に受けるものである。
【0012】
図4は、受電ユニット9と給電線ホルダ30の配置構成を示す正面断面図である。
図4に示すごとく、受電ユニット9は、正面視E字状に構成されており、該受電ユニット9の中央部先端が給電線5・5の間に挿入される構成となっている。そして、受電ユニット9の中央部先端にはピックアップコイル21が装着されており、該コイル21により、給電線5から電磁波として放出された電力を受電するものである。
受電ユニット9は、上下の突出部22・22と、その間の中央の突出部23との間に形成した2つの凹部に構成した空間に給電線5・5をそれぞれ一本ずつ位置する構成となっている。そして、この給電線5・5に高周波電流を流すことによって発生する磁界を、ピックアップコイル21で受けるようにしている。そして、電磁誘導現象を利用し、ピックアップコイル21に発生する誘導電流から電力を取り出す。このようにして、給電線5から受電ユニット9に非接触で電力を供給し、走行用のモーターを駆動したり、制御機器に電力を供給する。
給電線ホルダ30は、給電線5を平行に保持すると共に、搬送台車13の進行方向に配設されている。これにより、搬送台車13の受電ユニット9が、給電線ホルダ30に接触しない構成となっている。
【0013】
次に、給電線ホルダ30の構成について説明する。図5は給電線ホルダを下方から見た斜視図である。
図4および図5に示すごとく、給電線ホルダ30は、給電線保持部41、基部42、支脚部43により構成されている。
給電線ホルダ30は略E字状に構成されており、基部42の側方に直角方向に突出した支脚部43・43は、該支脚部43・43が平行に構成されている。そして、支脚部43の先端には給電線保持部41が構成されている。
支脚部43は、前記受電ユニット9の突出部22・23・22の間隔に合わせ、凹部空間内に挿入されるものである。
給電線保持部41は、受電ユニット9に対して、該受電ユニット9の凹部空間中央より奥側(閉塞側)に配置され、給電線5・5を保持するものである。
【0014】
給電線保持部41には正面視円弧状の凹部が構成されており、該凹部に給電線5を保持するものである。給電線保持部41には側方に開口部が構成されており、該開口部より給電線5を給電線保持部41に挿入するものである。給電線保持部41において、開口部は基部42の反対側方向に設けられており、支脚部43の延出方向に設けられている。
これにより、給電線5を挿入するための作業スペースを確保する事が容易であり、挿入時にかかる力を支脚部43が受け、給電線5挿入の作業を容易にすることができるものである。
さらに、支脚部43は中空構造になっており、基部42と前記給電線保持部41との間において、空洞が構成されている。
これにより、給電線ホルダ30の軽量化を行う。
【0015】
次に、給電線5の端部構成について説明する。
図6は給電線5の端部接続構成を示す斜視一部断面図であり、図7は同じく正面断面図である。
給電線5は端部において、接続部材を介して接続線56に接続されるものである。接続部材は、両端部に雌ネジが形成された柱状本体53と、その両端部に締着されるボルト52・55とよりなる。
前述のごとく、給電線5は電力供給装置16に接続されており、該電力供給装置16と給電線5は配線により接続されるものである。そして、給電線5同士を接続する場合においても配線等により接続が行われるものである。
給電線5は端部において、絶縁を行う被装が取り外されており、露出した給電線5に端子51が圧着にて取付けられるものである。端子51はボルト52により柱状本体53の一端に固定されるものである。
柱状本体53の他端には接続線56の端部が端子54を圧着した状態で、ボルト55により固定されるものである。
なお、給電線ホルダ30の基部42には、カバー57が装着され、接続線56と接続部材との接続部を保護するものである。
【0016】
柱状本体53は、給電線ホルダ30に挿入された状態で、接続線56と給電線5を接続するものである。
柱状本体53は給電線ホルダ30の基部42より給電線保持部41に向けて貫通した構成となっている。給電線ホルダ30には、柱状本体53を挿入するための孔が設けられている。該孔は給電線ホルダ30の基部42および給電線保持部41に設けられており、それぞれ支脚部43内の空洞に接続されているものである。
給電線ホルダ30は、成形が容易でかつ、加工が容易な、例えば、樹脂により成形されており、任意の箇所に孔を設けることが可能である。このため、給電線5の端部の位置に合わせて、ドリルなどにより、基部42および給電線保持部41に、現場で容易に孔を設けることが可能である。
【0017】
該柱状本体53の外径は2段階に形成されており、一端の外径は前記給電線ホルダ30に設けた孔より大きく構成されている。柱状本体53の小径部は給電線ホルダ30に設けた孔と略一致する径になっており、小径部の全長は基部42の外面から給電線保持部41の凹部内側に至る距離と略同一の長さに構成されている。
これにより、柱状本体53を給電線ホルダ30に挿入した際に、柱状本体53の大径部分が給電線ホルダ30の基部42の外側面(支脚部43が設けられている面と反対側の面)に当接し、柱状本体53の位置がきまる。そして、柱状本体53の小径側端部が保持部41の凹部に突出するものである。
【0018】
柱状本体53の両端には、ネジ溝が設けられており、該ネジ溝にボルト52およびボルト55が螺装されるものである。
図8は給電線と端子と接続部材の接続構成を示す組み立て図である。図8に示すごとく、端子51の一端にボルト52を挿嵌し、該ボルト52を柱状本体53に螺装することにより、柱状本体53に固定するものである。
給電線5は、導線63および該導線63を被装する絶縁部64により構成されている。端子51に給電線5を接続する際には、該給電線5端部の絶縁部64を取り除き、導線63を露出させる。
そして、該導線63を端子51に挿入し、端子51を導線63に圧着するものである。なお、端子51は導体により構成されているものである。
給電線5の導線63に装着された端子51の先端には、ボルト52を挿嵌する孔が設けられており、該孔にボルト52を挿入するとともに柱状本体53に螺装するものである。柱状本体53は、銅バーに亜鉛メッキを施したものであり、導体により構成されるものである。
これにより、給電線5を柱状本体53が電気的に接続されるものである。
【0019】
図9は給電線と端子と接続部材の接続構成を示す側面断面図、図10は給電線と接続部材の構成を示す平面断面図である。
図9および図10に示すごとく、端子51は、給電線ホルダ30の給電線保持部41の凹部内に位置するものである。そして、柱状本体53は給電線5に対して直交した状態で接続されるものである。
上記構成において、柱状本体53は、大径部が給電ホルダ30の基部42に当接し、小径部先端に接続された端子51が給電線保持部41に当接する構成となる。このため、柱状本体53は給電線ホルダ30により、位置が固定されるものである。
【0020】
該給電線5が給電線保持部41の内側に保持されるため、給電線保持部41において、給電線5の外側へのはみ出しを抑制することができる。さらに、給電線ホルダ30が柱状本体53の端子台を兼ねるため、端子台の配設にかかる手間を省けるとともに、端子台のために空間を確保する必要がなくなる。さらに、支脚部43により、給電線保持部41の支持と柱状本体53の絶縁カバーを兼ねることができる。これにより、給電線ホルダ30を含む搬送システムの設計上の自由度を向上することができるものである。
【0021】
給電線5の端部の処理方法としては、給電線5の端部の絶縁部64を取り除き、導線63を露出させる。露出した導線63は、端子51に挿入圧着される。端子51に設けられているボルト挿入用孔の位置に合わせて、給電線ホルダ30に、柱状本体53挿入用の孔があけられる。
柱状本体53を、給電線ホルダ30に挿入し、該柱状本体53先端部を給電線保持部41の凹部内に突出させる。
給電線5に接続した端子51にボルト52を挿入し、給電線保持部41の内側に突出した柱状本体53の先端にボルト52を螺装するものである。これにより、給電線5の端部が給電線保持部41に保持されるとともに、柱状本体53に接続されるものである。
そして、柱状本体53の他端には、端子54を装着した配線をボルト55により固定するものである。これにより、給電線5を接続線56に接続するものである。
このように、給電線5の端部を処理することにより、給電線5の配設作業を容易に行うことができるものである。配設作業の現場において、給電線ホルダ30の任意の位置に給電線5の端部に柱状本体53を取付けることができるものである。
【0022】
本実施例では、柱状本体53の先端部の内側にボルト挿入用の雌ネジを形成し、端子51・54のボルト挿入用の孔にボルトを挿入し、そのボルトを雌ネジと螺合させることで、柱状本体53と端子51・54を固定しているが、柱状本体53の先端部の外側に雄ねじを形成し、そこに挿入孔を形成した端子51・54を挿入し、ナットを螺合させることで、柱状本体53と端子51・54を固定するとともに、電気的に接続しても良い。
【0023】
なお、本実施例では、給電線5に接続線56を接続することについて述べてきたが、一対の給電線5・5の短絡について図11を参照しながら述べる。図11は給電線の短絡構成を示す正面断面図である。
給電線5は、非常に堅いため、折り返すことができず、折り返し位置に当たるところを短絡することが前提になっている。このため、給電線5の付設は、一対の給電線5・5を一度に給電線ホルダ30の給電線保持部41に挿入するようになっている。そして、折り返し位置にあたる給電線5・5の端部の被装をそれぞれ除き、端子51をそれぞれ圧着する。端子51に形成されたボルト52を挿入するための挿入孔の位置に合わせて、給電線ホルダ30に、給電線保持部41と基部42との間を貫通する貫通孔をそれぞれ形成する。形成した貫通孔に接続部材の柱状本体53を挿入し、端子51をボルト52で螺合する。そして、基部42のカバー57側から、短絡部材58をボルト55で螺合する。この短絡部材58は、給電線5を短絡するための部材で、銅に亜鉛メッキを施した板材で、ボルト55の挿入孔が一対形成されている。ボルト55の挿入孔は、給電線ホルダ30に形成された貫通孔の位置に合わせて、短絡部材58に作業者が現場で形成することが好ましい。
このように、本実施例では、給電線5に接続線56を接続する場合および給電線5・5同士を短絡させる場合に、給電線ホルダ30に貫通孔を形成し、接続部材を介して接続することで、給電線5の裁断誤差等に関わらず任意の位置で、端子台を用いることなく容易に接続することができる。さらに、接続や短絡を、基部42の支脚部43が形成されている面と反対側の面で行なうため、受電ユニット9の通過を妨げないようになっている。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に記載のごとく、搬送車の移動経路に沿って配設された給電線ホルダによって支持される給電線から、非接触で上記搬送車に給電する非接触給電システムであって、上記給電線ホルダは、給電線を保持する給電線保持部と、この保持部に連なる支脚部と、該支脚部に連なり前記移動経路に固設される基部とよりなり、前記給電線の端部では、上記保持部から基部に至る貫通孔を設け、該貫通孔に接続部材を貫挿し、この接続部材に前記給電線の端部を連結するようにしたので、給電線ホルダに貫通孔を形成することで、端子台を用いることなく任意の位置で給電線を接続することができる。
【0025】
請求項2に記載のごとく、上記給電線の端部に端子を固着し、上記接続部材の一端にこの端子を介して給電線を締結固定するようにしたので、端子を介して給電線と接続部材とを容易に締結固定することができる。
【0026】
請求項3に記載のごとく、上記給電線は、移動経路に沿って2本平行に載置され、各給電線の端部では、挿貫された上記接続部材の各給電線の基部側端部同士が短絡部材を介して連結されるので、給電線ホルダに形成した貫通孔を利用して、任意の位置で給電線間を短絡させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給電線から非接触で電力を供給する方式の有軌道台車システムを模式的に示す図。
【図2】有軌道台車システムを天井走行車に適用した場合の構成を示す搬送車の上部正面図。
【図3】同じく上部側面図。
【図4】受電ユニットと給電線ホルダの配置構成を示す正面断面図。
【図5】給電線ホルダを下方から見た斜視図。
【図6】給電線の端部接続構成を示す斜視一部断面図。
【図7】同じく正面断面図。
【図8】給電線と端子と接続部材の接続構成を示す組み立て図。
【図9】給電線と端子と接続部材の接続構成を示す側面断面図。
【図10】給電線と接続部材の構成を示す平面断面図。
【図11】給電線の短絡構成を示す正面断面図。
【符号の説明】
5 給電線
9 受電ユニット
30 給電線ホルダ
41 給電線保持部
42 基部
43 支脚部
51 端子
52 ボルト
53 接続部材本体
54 端子
55 ボルト
56 配線

Claims (3)

  1. 搬送車の移動経路に沿って配設された給電線ホルダによって支持される給電線から、非接触で上記搬送車に給電する非接触給電システムであって、上記給電線ホルダは、給電線を保持する給電線保持部と、この保持部に連なる支脚部と、該支脚部に連なり前記移動経路に固設される基部とよりなり、前記給電線の端部では、上記保持部から基部に至る貫通孔を設け、該貫通孔に接続部材を貫挿し、この接続部材に前記給電線の端部を連結するようにした非接触給電システム。
  2. 上記給電線の端部に端子を固着し、上記接続部材の一端にこの端子を介して給電線を締結固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。
  3. 上記給電線は、移動経路に沿って2本平行に載置され、各給電線の端部では、挿貫された上記接続部材の各給電線の基部側端部同士が短絡部材を介して連結されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触給電システム。
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