JP4206614B2 - 材料試験機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は材料試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
材料試験機においては、一般に、負荷機構を駆動して試験片に引張や圧縮等の荷重(試験力)を負荷しつつ、その荷重を検出するとともに、その荷重による試験片の歪みや変位を検出して、試験片の特性を調査する。試験片に対する経時的な負荷のかけ方、つまり負荷機構の制御の仕方としては、試験片に作用する荷重の速度を目標値に一致させる荷重速度制御や、試験片の歪みの変化速度を目標値に一致させる歪み速度制御、あるいは試験片ないしは負荷機構の変位の速度を一定の目標値に一致させる等速速度制御などが知られている。
【0003】
以上のような負荷機構の制御の仕方は、試験に先立って一つもしくは複数を組み合わせて設定されるが、従来の材料試験機においては、負荷機構の制御の仕方の設定方法として、あらかじめ決められた試験制御のパターン中において、操作者がパラメータのみを設定または変更する方法と、試験機を動作させるコマンドを操作者に列挙させて入力させ、試験機側ではその順番に負荷機構の制御を行うことによって試験制御のパターンを設定する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の材料試験機における試験制御のパターンの設定方法のうち、あらかじめ設定されているパターン中のパラメータのみを変更する方法では、多様化する制御の仕方に対応することができないという問題がある。
【0005】
一方、試験機を動作させるコマンドを列挙させる方法では、実質的にプログラミング作業になってしまい、設定が困難であるばかりでなく、設定ミスをしてもそのことが判りにくいという問題がある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、試験制御のパターンを容易に、かつ、正確に設定することができ、しかも多様な制御に対応することが可能な材料試験機の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するめ、本発明の材料試験機は、試験片に負荷を与える負荷機構と、その負荷機構の駆動により試験片に作用する荷重を検出する荷重検出手段と、その荷重による試験片の歪み並びに変位を検出する歪み検出手段および変位検出手段と、その荷重検出手段、歪み検出手段、および変位検出手段の各出力の少なくともいずれか一つの出力を用いて、試験片に対してあらかじめ設定されている刻々の負荷目標に一致するよう、上記負荷機構を刻々と制御する制御手段を備えた材料試験機において、表示画面上に、互いに交差する2軸のうち、一方の軸を時間軸とするとともに、他方の軸には、荷重軸と、歪みまたは変位軸との合計2つの量の軸をとった座標を表示する表示手段と、その座標上に時間と荷重の関係、および、時間と歪みもしくは変位の関係を、それぞれに応じた種類の線を用いたグラフで描画するための入力手段を備え、上記制御手段は、その入力されたグラフ情報に従って上記負荷機構を制御するように構成されていることによって特徴づけられる。
【0008】
本発明は、試験制御のパターンは、主として時間と荷重の関係、および、時間と歪みもしくは変位の関係からなることを利用し、画面上に表示された一つの座標上に、時間と荷重の関係、および、時間と歪みもしくは変位の関係からなる試験制御のパターンを表す一つのグラフを操作者に入力させ、試験機ではこれを試験制御のパターンの設定内容として負荷機構を制御することにより、所期の目的を達成しようとするものである。
【0009】
すなわち、画面上に時間軸に対して、荷重軸と、歪み軸もしくは変位軸が交差した座標を表示し、操作者がその座標上に時間−荷重、および、時間−歪みもしくは変位の関係からなるグラフで試験制御パターンを設定するように構成すれば、複雑な試験制御パターンであってもその入力が容易で、しかもその設定内容が正しいか否かを試験前に操作者が簡単に確認ないしは判別することができる。
【0010】
ここで、本発明においては、一つの座標に時間−荷重、および、時間−歪みもしくは変位の関係を表すグラフを入力して表示するのであるが、時間と荷重の関係、および、時間と歪みもしくは変位の関係を、それぞれに応じた種類の線を用いたグラフで描画する構成を採用しているため、時間と荷重の関係と、時間と歪みもしくは変位の関係との識別を容易に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の全体構成図であり、機械的構成を表す模式図と、電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【0012】
この例における材料試験機は、試験機本体1と、後述する制御部25等を内蔵したオペレーションパネル2を主体として構成されており、試験機本体1は、テーブル11上に2本のねじ棹12a,12bを鉛直に配置するとともに、そのねじ棹12a,12bにクロスヘッド13の両端部をナットを介して支承した構造を有している。そして、各ねじ棹12a,12bは駆動装置14によって回動が与えられ、この駆動装置14の駆動によってクロスヘッド13が上下動するようになっている。
【0013】
また、引張試験を行う場合、図1のようにクロスヘッド13の下面とテーブル11の上面に、互いに対向する上下の掴み具15a,15bが設けられ、その一対の掴み具15a,15bにより試験片Wの両端を把持した状態で、クロスヘッド13を上昇させることによって、試験片Wに引張荷重が加えられる。そして、試験中に試験片Wに作用する荷重は、クロスヘッド13側に設けられたロードセル3によって刻々と検出されるとともに、試験片Wの変位あるいは伸びは、試験片Wに装着された伸び計4によって刻々と検出される。
【0014】
ロードセル3および伸び計4の出力は、それぞれに対応してオペレーションパネル2内に設けられているアンプ21および22によって増幅された後、A−D変換器23,24によってデジタル化され、刻々と制御部25にサンプリングされる。
【0015】
制御部25はCPUとその周辺機器を含むコンピュータを主体とするものであって、A−D変換器23を介してサンプリングしたロードセル3からの刻々の荷重データと、A−D変換器24を介してサンプリングした伸び計4からの標点間の変位データ、および、その刻々の変位データを当初の標点間距離で除して得られる伸びデータを、付属のメモリ26に逐次格納していくとともに、以下に示すようにあらかじめ設定されている試験制御の目標パターンに基づき、試験片Wにその試験制御の目標パターン通りの負荷が加えられるように、上記の各データのいずれかを検出値として駆動装置14をフィードバック制御する。また、制御部25には、当該制御部25からの指令に基づく表示を行うためのCRT等の表示器27と、制御部25に対して各種指令を与えるためのキーボード28aおよびマウス28bと、試験結果等をプリントするためのプリンタ29が接続されている。
【0016】
さて、制御部25には、上記のように駆動装置14を制御する制御用のプログラムのほかに、試験制御のパターンを設定するための設定用のプログラムがインストールされており、この設定用のプログラムが選択されると、まず、表示器27に、時間軸を一方の軸にとり、荷重軸と、歪み軸もしくは変位軸を他方の軸にとって2次元の座標を表示する。そして、操作者に対して、その座標上に、所望の試験制御のパターンに対応するグラフをマウス28bを用いて描画させる。このグラフが入力されると、その入力内容がメモリ26に格納されるとともに、その状態で試験の開始を指令すると、制御部25はそのグラフに基づき、刻々のサンプリングデータがグラフに則って推移するように駆動装置14を制御する。
【0017】
図2に表示器27の表示例を示す。この例においては、横軸に時間軸を、縦軸に荷重軸と、歪み軸もしくは変位軸をとった座標を表示し、その座標上に時間−荷重、時間−歪み、および時間−変位の関係からなる試験制御のパターンを一つのグラフにより設定している。ここで、グラフ上における時間−荷重、時間−歪み、および時間−変位の識別は、線種(もしくは線の色)を相違させることによって行っている。また、この例においては、あるデータがあらかじめ設定された値に達した時点を制御の切り換え点とすることも可能となっており、例えば上降伏点、耐力のほか、任意の選択できるデータ値が設定値に到達した時点を制御の切り換え点とする複数の中間点の設定も可能となっている。
【0018】
この図2の例における設定内容をより詳しく説明すると、試験を開始した後、図中aで示す時点まで荷重(試験力)速度制御を行う。この荷重速度制御は、時間軸と荷重軸上におけるグラフの傾きにより時間−荷重の関係を表すことができ、荷重データの値がL1に達したa点から、時間T1後の図中bで示される時点まで荷重データが一定となるように保持される。次に、b点から等速速度制御に切り換えられ、変位データがD1に達する図中cで示す時点から歪み速度制御に切り換えられる。なお、等速速度制御および歪み速度制御においては、時間軸と変位軸上、および時間軸と歪み軸上におけるグラフの傾きにより変位速度を表し、あるいは時間−歪みの関係を表すことができる。そして、歪み速度制御中において、中間点1として、荷重データの値があらかじめキーボード28aにより設定されている値に達した図中dで示した時点で、再び荷重速度制御に切り換えて荷重データがd点における値を保持するように制御し、その制御を時間T2だけ継続した後、図中eで示す時点で等速速度制御により変位が0になる図中fで示す時点にまで負荷を解除して試験を終える。
【0019】
以上の実施の形態によると、表示器27に表示された座標上に、試験制御のパターンに対応するグラフを入力することによってその設定を行うことができ、複雑なパターンに対応することが可能であり、また、その設定作業も容易で、しかもプログラミングする場合に比して試験開始前に設定ミス等があれば簡単に見つけることができる。
【0020】
なお、以上の実施の形態では、引張試験の制御パターンの設定について述べたが、他の試験に対しても同様の設定の仕方で対処することができ、また、試験機本体1の構造等については、上記した構造のほか、他の任意の公知の構造のものに本発明を適用し得ることは勿論である。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、試験制御のパターンを画面上に表示されている座標上にグラフの形で設定することができるので、複雑な制御パターンであっても対処可能で、しかもその設定作業が簡単であり、設定ミス等を冒しても試験前に容易に発見することができ、簡単かつ正確な設定が可能となる。しかも、グラフによって試験制御パターンを設定することにより、試験に必要な時間の把握や、実際の試験結果を表す例えばSSカーブ等との対比により、試験制御精度なども簡単に調べることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成図で、機械的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】図1の実施の形態の表示器27の表示例の説明図である。
【符号の説明】
1 試験機本体
11 テーブル
12a,12b ねじ棹
13 クロスヘッド
14 駆動装置
15a,15b 掴み具
2 コントロールパネル
21,22 アンプ
23,24 A−D変換器
25 制御部
26 メモリ
27 表示器
28a キーボード
28b マウス
29 プリンタ
3 ロードセル
4 歪み計
W 試験片
Claims (1)
- 試験片に負荷を与える負荷機構と、その負荷機構の駆動により試験片に作用する荷重を検出する荷重検出手段と、その荷重による試験片の歪み並びに変位を検出する歪み検出手段および変位検出手段と、その荷重検出手段、歪み検出手段、および変位検出手段の各出力の少なくともいずれか一つの出力を用いて、試験片に対してあらかじめ設定されている刻々の負荷目標に一致するよう、上記負荷機構を刻々と制御する制御手段を備えた材料試験機において、
表示画面上に、互いに交差する2軸のうち、一方の軸を時間軸とするとともに、他方の軸には、荷重軸と、歪みまたは変位軸との合計2つの量の軸をとった座標を表示する表示手段と、その座標上に時間と荷重の関係、および、時間と歪みもしくは変位の関係を、それぞれに応じた種類の線を用いたグラフで描画するための入力手段を備え、上記制御手段は、その入力されたグラフ情報に従って上記負荷機構を制御するように構成されていること特徴とする材料試験機。
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