JP4205289B2 - 光ファイバケーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、光ファイバ心線をケーブル化してなる光ファイバケーブルの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4に従来の光ファイバケーブルの一例を示す。この光ファイバケーブル45は、複数枚の光ファイバテープ心線41の外周を、吸水能を有する緩衝体42で覆ったケーブルコアと、ケーブルコアの外部に配置された抗張力体43とを、熱可塑性樹脂等からなる外被44で一括被覆したものである。
【0003】
図4の従来の光ファイバケーブルにおいて、吸水能を有する緩衝体42としては、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコールなどからなる紐状繊維が用いられることが一般的である。また、緩衝体42として紐状繊維が用いられる場合は、一定方向または方向を反転して捻回されていることが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、吸水性の紐状繊維は、吸水し膨潤しやすくするために、可能な限り低密度に構成する必要がある。
【0005】
しかしながら、繊維を低密度とすると、熱による収縮率が大きくなり、ケーブル化以後の高温履歴により紐状繊維が収縮し、特に紐状繊維が一定方向または方向を反転して捻回されている場合には、光ファイバ心線を過剰に締め付けてしまい、伝送損失を増加させるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために、温度変化等による伝送損失の増加を抑制することが可能な光ファイバケーブルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の第1の解決手段は、光ファイバ心線またはその集合体の外周を緩衝体で覆ったケーブルコアと、1本以上の抗張力体と、前記ケーブルコアおよび前記抗張力体を一括被覆する熱可塑性樹脂等の外被とからなる光ファイバケーブルにおいて、前記緩衝体を多層構造とし、前記緩衝体の最内層の熱収縮率がそれ以外の層の熱収縮率よりも低い部材を用い、前記緩衝体の最外層の吸水率がそれ以外の層の吸水率よりも高い部材を用いたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記最内層には熱収縮率が130℃30分保持で1%以下の部材を用いたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の解決手段は、第1の解決手段において、前記最外層には、精製水中に10分間浸漬後、常温雰囲気中で10分間保持後の重量を浸漬前の重量と比較した値が8倍以上である部材を用いたことを特徴とする。
【0010】
なお、本発明において、光ファイバ心線とは、光ファイバテープ心線等のように複数本の光ファイバが一括被覆されたものを含み、光ファイバ心線の集合体とは光ファイバテープ心線等の積層体等を含むものとする。
【0011】
本発明においては、緩衝体を多層構造とすることにより、最外層の紐状緩衝体の熱収縮による締め付け、あるいは不織布による側圧を最内層の紐状緩衝体で緩和することができるため、最外層の緩衝体の熱収縮率を下げる必要がなく、結果として吸水能を下げる必要がなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態である光ファイバケーブルの断面図である。図1の光ファイバケーブル7は、6枚の4心光ファイバテープ心線1の外周を、熱収縮率が130℃30分保持で0.2%のポリプロピレン、ナイロンなどの紐状繊維からなる1層目の緩衝体2で覆い、その外周をポリアクリル酸塩またはポリビニルアルコールなどの吸水性樹脂を含有し、吸水率が8倍で熱収縮率が130℃30分保持で4%の紐状繊維からなる2層目の緩衝体3で覆ったものをケーブルコアとし、このケーブルコアとケーブルコアの外側に設けられた2本の抗張力体4とが、熱可塑性樹脂等からなるシース5で一括被覆されて構成されている。
【0014】
図2は、本発明の第2の実施形態である光ファイバケーブルの断面図である。図2の光ファイバケーブル7は、6枚の4心光ファイバテープ心線1の外周を、熱収縮率が130℃30分保持で0.2%のポリプロピレン、ナイロンなどの紐状緩衝体からなる1層目の緩衝体2で覆い、その外周を熱収縮率が130℃30分保持で4%の不織布にポリアクリル酸塩またはポリビニルアルコールなどの吸水性ポリマーを塗布し吸水率を8倍とした2層目の緩衝体6で覆ったものをケーブルコアとし、このケーブルコアとケーブルコアの外側に設けられた2本の抗張力体4とが、熱可塑性樹脂等からなるシース5で一括被覆されて構成されている。
【0015】
ここで、吸水率とは、精製水中に10分間浸漬後、常温雰囲気中で10分間保持後の重量を浸漬前の重量と比較した値である。なお、常温雰囲気中で試料を保持する際に、金属ふるい等を用いて試料の表面に付着した水分を除去することが好ましい。
【0016】
上記2種の光ファイバケーブル7について評価したところ、伝送損失増加は見られず、図3に示すような水道水を用いた止水評価において、水頭長1m、24時間保持で水走長1m以内であり、実用上問題がないことを確認した。
【0017】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、さまざまな実施の形態をとり得る。例えば、緩衝体が2層構造以外となること、抗張力体が2本以外となることなどもあり得る。本発明の趣旨は、緩衝体の最内層の熱収縮率がその他の層の熱収縮率よりも低い部材を用い、最外層の吸水率がその他の層の吸水率よりも高いような部材を用いた構造であることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の効果】
上述のように、緩衝体を多層構造とすることにより、光ファイバの伝送損失を悪化させることなく、緩衝体の吸水能を上げ、ケーブルの止水効果を上げることが可能な優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【図3】止水評価試験図の一例を示す説明図である。
【図4】従来の光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光ファイバテープ心線
2 緩衝体
3 緩衝体
4 抗張力体
5 外被
6 緩衝体
7 光ファイバケーブル
41 光ファイバテープ心線
42 緩衝体
43 抗張力体
44 外被
45 光ファイバケーブル

Claims (3)

  1. 光ファイバ心線またはその集合体の外周を緩衝体で覆ったケーブルコアと、1本以上の抗張力体と、前記ケーブルコアおよび前記抗張力体を一括被覆する熱可塑性樹脂等の外被とからなる光ファイバケーブルにおいて、
    前記緩衝体を多層構造とし、前記緩衝体の最内層の熱収縮率がそれ以外の層の熱収縮率よりも低い部材を用い、前記緩衝体の最外層の吸水率がそれ以外の層の吸水率よりも高い部材を用いたことを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記最内層には熱収縮率が130℃30分保持で1%以下の部材を用いたことを特徴とする、請求項1記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記最外層には、精製水中に10分間浸漬後、常温雰囲気中で10分間保持後の重量を浸漬前の重量と比較した値が8倍以上である部材を用いたことを特徴とする、請求項1記載の光ファイバケーブル。
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