JP4205222B2 - 防錆剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は親水性ないし親油性の金属処理剤、金属加工油、又は自動車用冷却剤として用いられたり、LPGやLNG等の化学プラントの水圧試験、或いはLNGタンカー等の水圧試験、空調設備等の冷却水等の水に添加、溶解され、それらの装置を構成する金属の腐食を防止するために用いられる防錆剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から防錆剤として種々のものが提案、利用されているが、低毒性で安全性が高い上、使い易く、しかも安定性が良く、各種金属のうち、特に鉄やアルミニウムに優れた防錆力を示すものはほとんど知られていない。
【0003】
防錆剤としては、例えば石油アリルスルホン酸塩等、油溶性のものが数多く知られている。このものは防錆剤として長期に亙って使用されているが、油溶性防錆剤は、その引火性、作業環境や省資源の点から問題が多いだけでなく、自動車用冷却や化学プラント等の各種冷却に用いた場合、冷却効果が乏しいなどの課題が有る。その解決策として油溶性のものを乳化分散した、所謂エマルジョン型のものが提案され、使用されているが、乳化剤による弊害が生ずるだけでなく、長期に亘る安定性の確保が困難で充分な防錆効果を発現するに至っていない。
このため、これらの問題を解決し、且つ取扱い性や安全性更に経済性を良好にするために水溶性の防錆剤が重要視されている。
【0004】
ところで、従来、水溶性の防錆剤としてはクロム酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩などの無機塩が知られているが、クロム酸塩は毒性が強く、またリン酸塩は排水による河川や海水の富栄養化をもたらし、微生物による腐敗促進のため悪臭を放つ等、自然環境を悪化させる。
【0005】
又、現在のところ、亜硝酸塩と低級アミンを組み合わせてなる防錆剤が最も優れた防錆効果を発現すると言われているが、この防錆剤は、その使用によって、発ガン性物質と認定されているニトロソアミンを生成し、人体への危険性が問われており、使用が禁止されている。
【0006】
そこで、最近では、炭素数が7〜12の二塩基酸のアルカリ金属塩、例えばアゼライン酸ジナトリウム、セバシン酸ジナトリウム又はデカンー1,10ージカルボン酸ジナトリウム等、又は炭素数7〜12の二塩基酸のトリエタノールアミン或いはトリエチレンペンタミン等のアミン塩からなる防錆剤が提案され、使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この防錆剤は融点が高く、室温で固体であり、鉄等の金属を防錆処理した後、保存をしていると、水分の蒸発に伴い、防錆剤の白色結晶が析出して金属との密着性が低下し、この結果、錆が発生し易くなるのである。
【0008】
又、この防錆剤は、毒性が疑わしいとの理由により、自動車用冷却水に添加して用いられることが禁止されており、他の用途、例えば水溶性切削防錆用途では用いられているが、防錆効果が満足できるものではなく、しかも冷却水の漏れた箇所に防錆剤の白色結晶が析出し、外観を損ねるだけでなく、当該部位に錆が発生し易くなる等の課題がある。
このため、従来、最も防錆効果が優れると判断されている亜硝酸塩と低級アミンを組み合わせてなる防錆剤に比べると満足できるものではない。
【0009】
このため、最近では、自動車用冷却水に炭素数が7〜12の二塩基酸のアルカリ金属塩を用いていたが、これでは所望の防錆効果が得られないので、このアルカリ金属塩にリン酸やリン酸塩を混合して用いられている。
【0010】
しかし、リン酸やリン酸塩の使用は、上述のとおり、河川や海水の富栄養化をもたらし、微生物による腐敗促進のため悪臭を放つ等、自然環境を悪化させるなどの課題が有る。
【0011】
そこで、本発明者らは、一般式[7]
R1OOC−(CH2)5−R2−(CH2)5−COOR3…[7]
但し、R1とR3はNa又はKであり、R2は、
−CH2−CH=CH−CH2−
−CH2−CH=CH−(CH2)2−CH=CH−CH2−、
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】
【化11】
【0017】
【化12】
又は、
【0018】
【化13】
で示される、特定の物質を有効成分とする水溶性防錆剤を提案している(特開平6ー316780号公報)。
【0019】
この水溶性防錆剤は、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する、特定分子構造のカルボン酸の塩を防錆剤として用いたものであり、このものは、室温で液状であったり、或いは水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成する上、分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、その結果、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0020】
しかしながら、防錆剤としては、親油性の金属表面処理剤や金属加工油として用いられることも多々あるが、従来の防錆剤はこのような用途において満足できる特徴を備えるものではなかった。
【0021】
本発明は、上記技術的課題に鑑みて完成されたものであって、分子中に複数のカルボキシル基を有する、特定分子構造の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種との反応生成物を含有する組成物、或いは特定構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を有効成分とする防錆剤を用いると、このものは、室温で液状であるか、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する上、特定分子構造の脂肪族ポリカルボン酸と反応させる物質に応じて親水性のものから親油性のものまで得ることができるのであり、しかも特定構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を有効成分とする親油性(油溶性)の防錆剤は親油性の金属表面処理剤や金属加工油として好適に用いられる防錆剤を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記技術的課題を解決すべく、多年に亙って、複数のカルボキシル基を有する有機酸のアルカリ金属塩のうち1種又は2種以上を含有する組成物、或いは特定の脂肪族ポリカルボン酸とアルカノールアミンとの反応生成物のうち1種又は2種以上含有する組成物、より具体的には、複数のカルボキシル基を有する1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種との反応生成物を含有する組成物と防錆効果の関係を鋭意検討を重ねてきた。
【0023】
その結果、分子中に複数のカルボキシル基を有する、特定分子構造のカルボン酸の塩のうち1種又は2種以上含有する組成物、或いは特定構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルカノールアミンとの反応生成物のうち1種又は2種以上含有する組成物、より具体的には、特定分子構造の1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種との反応生成物を含有する組成物を有効成分とする防錆剤は、従来の水溶性防錆剤より長期に亙って至極優れた防錆効果を発現するとの知見を得た。また、その特定分子構造の脂肪族ポリカルボン酸と反応させる物質に応じて、親水性のものから親油性のものまでの広範な用途に用いられる防錆剤を得ることができ、その特定分子構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を有効成分とする親油性(油溶性)の防錆剤を親油性の金属表面処理剤や金属加工油として用いると、従来の油溶性防錆剤と比較すると、毒性が低く、又、長期に亘って安定で充分な防錆効果を発現するとの知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0024】
即ち、本願請求項1の防錆剤は、
一般式[1]
【0025】
【化14】
(式中、mは0、1又は2であり、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基である。)又は、一般式[2]
【0026】
【化15】
(式中、R 5 及びR 6 は炭素数が1〜8のアルキル基である。)で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種との反応生成物を含有する組成物を有効成分とする水溶性のものである。
【0028】
又、本願請求項2の防錆剤は、
一般式[1a]、[1b]、[1c]及び[2a]
【0029】
【化16】
で示される各脂肪族ポリカルボン酸からなるジカルボン酸混合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種との反応生成物を含有する組成物を有効成分とする水溶性のものである。
【0032】
更に、本願請求項3の防錆剤は、
一般式[1]
【化17】
(式中、mは0、1又は2であり、R 2 は炭素数1〜8のアルキル基である。)又は、一般式[2]
【化18】
(式中、R 5 及びR 6 は炭素数が1〜8のアルキル基である。)で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を有効成分とする油溶性のものである。
【0033】
以下、まず、本願請求項1の防錆剤について詳細に説明する。
本発明において、上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物は、水溶性であり、これで金属を処理することにより、驚くべきことに、室温で液状であったり、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するので、結果的に金属表面で液状となり、常に、金属表面が濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成する上、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0034】
本発明においては、このような上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物を水溶性防錆剤として用いることにより、低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、しかも水に溶かして用いられるため火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、又、種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【0035】
又、本発明において、上記一般式[1]又は[2]で示される脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物は単独で防錆剤としても良いが、2種以上を組み合わせて防錆剤としても良く、金属の種類によっては2種以上を併用するのが有効な場合が有る。
【0036】
この防錆剤は、水に溶解し易く、そのまま水に溶解して、水溶性金属処理剤、自動車及びトラックの内燃機関用冷却水、加熱・冷却用水、LPG、LNGタンカー等の化学プラントの水圧試験用水、空調設備の冷却水及び液冷式航空機エンジン等として好適に用いられる。
【0037】
本発明においては、防錆剤を水に溶解するにあたり、防錆剤の濃度としては0.05重量%〜飽和濃度の範囲、特に0.1〜15重量%の範囲とするのが望ましく、防錆剤の濃度が、0.05重量%未満では所望の防錆効果が得られない場合が有り、一方、飽和濃度を超えると装置内に沈澱が発生して種々の弊害が生じるので好ましくない。
【0038】
又、本発明においては、この防錆剤の分野で用いられる種々の添加剤、例えばスケールを析出し易い水に対してスケール防止剤を添加し、スケールの発生を防止することは可能である。この場合、添加剤の配合割合は当該添加剤の効果を発現する以上の濃度であって、防錆効果に悪影響を与えない範囲であればよく、一般に0.1〜1000ppmの範囲である。
なお、この発明の金属防錆剤を用いるに当たって他の公知の防錆剤成分をさらに併用することは可能である。
【0039】
本発明は広い範囲の条件下で鉄、アルミニウム、鋼及び亜鉛等の金属並びにそれらの合金の防錆剤として用いられる。
【0040】
次に、本願請求項2の防錆剤について詳細に説明する。
本発明において、上記一般式[1]又は一般式[2]で示される1種以上の脂肪族ポリカルボン酸のうち、特に、上記一般式[1a]、[1b]、[1c]及び[2a]で示される各脂肪族ポリカルボン酸から成るジカルボン酸混合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物は水溶性であり、これで金属を処理することにより、驚くべきことに、本願請求項1の場合と同様の理由により、長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0041】
本発明においては、このような上記一般式[1a]、[1b]、[1c]及び[2a]で示される各脂肪族ポリカルボン酸から成るジカルボン酸混合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物を水溶性防錆剤として用いることにより、低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、しかも水に溶かして用いられるため火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、加えて、種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【0043】
この防錆剤は水に溶解し易く、そのままに水に溶解して、本願請求項1の場合と同様の用途に好適に用いられる。
【0044】
本発明においては、防錆剤を水に溶解するにあたり、防錆剤の濃度としては0.05重量%〜飽和濃度の範囲、特に0.1〜15重量%の範囲とするのが望ましく、防錆剤の濃度が、0.05重量%未満では所望の防錆効果が得られない場合が有り、一方、飽和濃度を超えると装置内に沈澱が発生して種々の弊害が生じるので好ましくない。
【0045】
又、本発明においては、この防錆剤の分野で用いられる種々の添加剤、例えばスケールを析出し易い水に対してスケール防止剤を添加し、スケールの発生を防止することは可能である。この場合、添加剤の配合割合は当該添加剤の効果を発現する以上の濃度であって、防錆効果に悪影響を与えない範囲であればよく、一般に0.1〜1000ppmの範囲である。なお、この発明の金属防錆剤を用いるに当たって、本願請求項2の防錆剤の他、公知の防錆剤成分をさらに併用することは可能である。
【0046】
本発明は広い範囲の条件下で鉄、アルミニウム、鋼及び亜鉛等の金属並びにそれらの合金の防錆剤として用いられる。
【0047】
次に、本願請求項3の防錆剤について詳細に説明する。
本発明において、上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコールとのエステル化反応生成物は、油溶性であり、これで金属を処理することにより、驚くべきことに、本願請求項1の場合と同様の理由により、長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0048】
即ち、本発明においては、このような上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を油溶性防錆剤として用いることにより、低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性も良く、しかも従来の油溶性防錆剤と比較して、環境問題も少なく、経済的であり、加えて、種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【0051】
この油溶性防錆剤は有機溶剤に溶解し易く、そのまま有機溶剤に溶解して、親油性の金属表面処理剤や金属加工油として好適に使用することができる。
【0052】
本発明においては、防錆剤を有機溶剤に溶解するにあたり、防錆剤の濃度としては0.05重量%〜飽和濃度の範囲、特に0.1〜15重量%の範囲とするのが望ましく、防錆剤の濃度が、0.05重量%未満では所望の防錆効果が得られない場合が有り、一方、飽和濃度を超えると装置内に沈澱が発生して種々の弊害が生じるので好ましくない。
【0053】
又、本発明においては、この防錆剤の分野で用いられる種々の添加剤、例えばスケールを析出し易い有機溶剤に対してスケール防止剤を添加し、スケールの発生を防止することは可能である。この場合、添加剤の配合割合は当該添加剤の効果を発現する以上の濃度であって、防錆効果に悪影響を与えない範囲であればよく、一般に0.1〜1000ppmの範囲である。なお、本発明の防錆剤を用いるにあたり、この防錆剤に公知の防錆剤成分をさらに併用することは可能である。
【0054】
本発明は広い範囲の条件下で鉄、アルミニウム、鋼及び亜鉛等の金属並びにそれらの合金の防錆剤として用いられる。
【0055】
【作用】
本願請求項1の防錆剤は、上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物を含有する組成物を有効成分とする水溶性ものであり、このものは、室温で液状であるか、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆作用を発現する。
【0056】
即ち、上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を水に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する作用を有するのである。
【0057】
又、本発明においては、このような物質を水溶性防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良いのであり、しかも水溶性であるため水に溶解することによって火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮する作用を有するのである。
【0058】
又、本願請求項2の防錆剤は、上記一般式[1a]、[1b]、[1c]及び[2a]で示される各脂肪族ポリカルボン酸から成るジカルボン酸混合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物を有効成分とする水溶性のものであり、このものは、室温で液状であるか、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆作用を発現する作用を有するのである。
【0059】
即ち、上記一般式[1a]、[1b]、[1c]及び[2a]で示される各脂肪族ポリカルボン酸から成るジカルボン酸混合物と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのうちの1種とを反応させた反応生成物を含有する組成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を水に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する作用を有するのである。
【0060】
又、この発明においては、このような物質を水溶性防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、しかも水に溶解して用いられるため火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮する作用を有するのである。
【0061】
又、本願請求項3の防錆剤は、上記一般式[1]又は[2]で示される1種又は2種以上の脂肪族ポリカルボン酸と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物を有効成分とする油溶性のものであり、このものは、室温で液状であるか、或いは水分を抱き込み易く保水性が高かいのであり、しかも潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、又、分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、これらの結果、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する作用を有するのである。
【0062】
即ち、上記一般式[1]又は[2]で示される脂肪族ポリカルボン酸と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコールとのエステル化反応生成物を含有する組成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を有機溶剤に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する作用を有するのである。
【0063】
又、この発明においては、このような物質を油溶性防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮する作用を有するのである。
【0064】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
実施例1
で示される物質を有効成分とする水溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0066】
即ち、1,7−オクタンジカルボン酸(岡村製油(株)製 商品名:MMA−10)500gと水1200gを4つ口フラスコ(水酸化ナトリウム水溶液 滴下口、還流冷却器、温度計及び撹拌機付)中に入れた後、温度80〜100℃に昇温し、その温度を維持しつつ、その中に47.8重量%の水酸化ナトリウム水溶液414.2gを滴下する。この水酸化ナトリウム水溶液を滴下後約1時間80〜100℃で反応を継続した後、室温迄冷却した。
次いで、この水溶液を更に水で希釈し、1,7−オクタンジカルボン酸ジナトリウムの2重量%水溶液を得た。
かくして得られた水溶液の酸価は0.06であり、又、pHは9.41であった。
【0067】
実施例2
で示される物質を有効成分とする水溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0068】
即ち、7、8−ジメチル−7、8−ジメトキシカルボニル−1、14−テトラデカンジカルボン酸(岡村製油(株)製 商品名:MMA−20)500gと水1100gとを、実施例1で用いたものと同様の4つ口フラスコ中に入れた後、、温度80〜100℃に昇温し、その温度を維持しつつ、その中に47.8重量%の水酸化ナトリウム水溶液197.4gを滴下する。この水酸化ナトリウム水溶液を滴下後約1時間80〜100℃で反応を継続した後、室温迄冷却した。
次いで、この水溶液を更に水で希釈し、7、8−ジメチル−7、8−ジメトキシカルボニル−1、14−テトラデカンジカルボン酸ジカリウムの2重量%水溶液を得た。
かくして得られた水溶液の酸価は0.03であり、又、pHは8.93であった。
【0069】
実施例3
で示される物質を有効成分とする水溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0070】
即ち、7、8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸24重量%、1、7−オクタンジカルボン酸49重量%、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸14重量%、7、9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1、11−ドデカンジカルボン酸13重量%から成るジカルボン酸混合物(岡村製油(株)製 商品名:MMA−10R、中和価473.1)500gと水470gとを、実施例1で用いたものと同様の4つ口フラスコ中に入れた後、温度を80〜100℃に昇温し、その温度を維持しつつ、その中に46.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液362.7gを滴下する。この水酸化ナトリウム水溶液を滴下後約1時間80〜100℃で反応を継続した後、室温迄冷却した。
次いで、このジカルボン酸混合物のナトリウム塩水溶液を更に水で希釈し、当該ジカルボン酸混合物のナトリウム塩の2重量%水溶液を得た。
かくして得られた水溶液の酸価は0.12であり、又、pHは8.73であった。
尚、岡村製油(株)製 商品名:MMA−10Rはロットによって成分が若干ばらつくので、中和価によって水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの添加量を決定している。
【0071】
実施例4
で示される物質を有効成分とする水溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0072】
即ち、3リットルのガラスビーカーにトリエタノールアミン360gを投入し、次にその中に水560gを加えて希釈する。この溶液を充分に混合して均一な溶液にしたのを確認後、1、7−オクタンジカルボン酸(岡村製油(株)製 商品名:MMA−10)200gを徐々に加えて撹拌する。この溶液の温度は最高46℃迄上昇する。このまま約2時間撹拌を続け、保留粒子6μmのろ紙でろ過し夾雑物を取り除いた。
次いで、この水溶液を更に水で希釈し、上記物質の2重量%水溶液を得た。
かくして得られた水溶液のpHは8.21であった。
【0073】
実施例5
以下の方法で製造した物質を有効成分とする水溶性防錆剤を得た。
即ち、実施例3で用いたものと同様のジカルボン酸混合物(岡村製油(株)製商品名:MMA−10R、但し、中和価は462.1)500g、ジメチルエタノールアミン736g及び水1236gを5リットルのガラスビーカーに投入し、充分に混合して均一な溶液とする。
この溶液の温度は最高42℃迄上昇する。このまま2時間撹拌を続け保留粒子6μmのろ紙でろ過し、夾雑物を取り除いた。
次いで、このジカルボン酸混合物とジメチルエタノールアミンとの反応生成物を更に水で希釈し、当該反応生成物の2重量%水溶液を得た。
かくして得られた水溶液のpHは8.31であった。
又、水で希釈前のジカルボン酸混合物とジメチルエタノールアミンとの反応生成物の水溶液は乾燥による重量測定法によると、固形分が50重量%であった。
【0074】
実施例6
で示される物質を有効成分とする油溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0075】
即ち、7、8−ジメチル−7、8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸(岡村製油(株)製 商品名:MMA−20)500g、メタノール1500ml及びパラトルエンスルホン酸1.4gを、実施例1で用いたものと同様の4つ口フラスコ中に入れた後、3時間、60〜70℃で加熱還流させてエステル化反応させる。反応終了後メタノールを減圧にて回収後、トルエン500mlを投入し、水洗液のpHが6〜7になる迄水洗を繰り返す。トルエンを減圧にて回収後上記物質を得る。この物質の収量は489gであり、又、その性状は淡黄色粘ちょう液体(室温)であった。
そして、上記物質の酸価は3.2であり、又、そのケン化価は251.0であった。
【0076】
実施例7
実施例3で用いたものと同様のジカルボン酸混合物(岡村製油(株)製 商品名:MMA−10R、但し、中和価は462.1)を完全にエステル化した物質を有効成分とする油溶性防錆剤を以下の方法で製造して得た。
【0077】
即ち、MMA−10RM(岡村製油(株)製 商品名:MMA−10Rの部分エステル化物、酸価51.3)500g、メタノール500ml及びパラトルエンスルホン酸1.4gを、実施例1で用いたものと同様の4つ口フラスコ中に入れた後、実施例6と同様の方法で完全にエステル化して油溶性防錆剤を得た。この物質の収量は456gであり、又、その性状は流動性淡黄色液状体(室温)であった。
そして、上記物質の酸価は3.5であり、又、そのケン化価は442.1であった。
【0078】
比較例1
アゼライン酸ジナトリウムの水溶液を用いた。
【0079】
比較例2
アゼライン酸ジカリウムの水溶液を用いた。
【0080】
比較例3
アゼライン酸とトリエタノールアミン1:2(モル比)の混合物の水溶液を用いた。
【0081】
比較例4
セバシン酸ジナトリウムの水溶液を用いた。
【0082】
比較例5
セバシン酸ジカリウムの水溶液を用いた。
【0083】
比較例6
セバシン酸とジメチルエタノールアミン1:2(モル比)の混合物の水溶液を用いた。
【0084】
比較例7
ドデカン二酸ジナトリウムの水溶液を用いた。
【0085】
比較例8
ドデカン二酸ジカリウムの水溶液を用いた。
【0086】
比較例9
ドデカン二酸とトリエタノールアミン1:2(モル比)の混合物の水溶液を用いた。
【0087】
比較例10
ペンタエリスリトールと椰子油脂肪酸との完全エステル化合物を用いた。
【0088】
参考例1
【0089】
【化20】
からなる水溶性防錆剤を以下の方法で製造した。
【0090】
即ち、7.12−ジメチルー7,11ーオクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸(岡村製油(株)製 商品名IPU−22)450gと水1400gを4つ口フラスコ(温度計、水酸化ナトリウム水溶液滴下口、還流器及び撹拌機付)中に入れた後、温度80〜100℃に昇温し、その温度を維持しつつ、その中に47.7重量%の水酸化ナトリウム水溶液216gを滴下する。この水酸化ナトリウム水溶液の滴下時間は60〜65分であった。この溶液の滴下終了後、更に撹拌しつつ約1時間90〜95℃の温度で反応を継続した後、室温まで冷却した。
【0091】
かくして得られた溶液の酸価は0.09であり、又、pHは9.32であった。
又、この溶液は乾燥による重量測定法によると、固形分23.7重量%であった。
【0092】
防錆性能比較試験
▲1▼ 鋼板による錆発生試験
以下の方法で錆発生試験を行った。
即ち、まず、実施例6・7及び比較例10更に参考例1を用い、これらの各油溶性防錆剤をナフテン系鉱油[比重(温度15℃)0.900、全酸価0.05、引火点150℃、流動点−50℃、粘度(温度40℃)9.2cSt]に1重量%、5重量%及び10重量%となるようにそれぞれ溶解して油溶性防錆剤溶液を得た。
【0093】
次に、冷間圧延鋼板(SPCC−SB)を240番サンドペーパーで研磨後、1,1,1−トリクロロエタンで脱脂したものを用い、この鋼板を約100mm×50mmの長方形に切断し、この切断片1に上記各油溶性防錆剤溶液を1g/m2となるように塗布した。
【0094】
更に、このようにして得た切断片1を、図1に示すように、FRP製板2に設けた約100mm×50mmの長方形の貫通窓3に取り付け、温水90〜95℃から発生する水蒸気Sの雰囲気下に1時間暴露し、図2に示すように、1時間後の錆の数で評価した。
その結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
▲2▼ FC−20鋳物ドライカッティング切粉による錆発生試験
シャーレに切粉約10gを採り、このシャーレに、0.02重量%、0.1重量%、1重量%、2重量%及び3重量%となるように調製した、上記の実施例1〜5及び比較例1〜9の各防錆剤の水溶液を投入した。かくして上記切粉を上記各防錆剤の水溶液に10分間浸漬した後、5μm保留粒子でろ過し、ろ紙上の切粉の錆発生状況を時間経過で観察する。
その結果を表2及び表3にそれぞれ示す。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
尚、各実施例及び各比較例の防錆剤を以下に示す10点評価法で評価した。
10点評価法
72時間後 さびなし 10
48−72時間後 1−2点さび 9
24−48時間後 1−2点さび 8
24時間後 1−2点さび 7
24時間後 数点さび 6
12−24時間後 数点さび 5
8時間後 数点さび 4
6時間後 数点さび 3
3時間後 数点さび 2
1時間後 数点さび 1
【0100】
▲3▼ 鋼板浸漬による錆発生試験
冷間圧延鋼板(SPCC−SB)を240番サンドペーパーで研磨後、1,1,1−トリクロロエタンで脱脂したものを用いた。この鋼板(100mm×50mmの長方形)を、表4〜表6にそれぞれ示すように調整した、上記実施例4・5及び比較例6・9の各防錆剤の水溶液に10分間浸漬した後、自然乾燥後5日後の錆の発生情況を観察した。
その結果を表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
▲4▼ Al板の腐食試験
冷間圧延鋼板(SPCC−SB)に代えてAl板(Al 1050P/日本テストパネル)を用い、上記▲3▼と同様に防錆試験を行った。
その結果を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
▲5▼ 銅粉末の腐食試験
FC−20鋳物ドライカッティング切粉に代えて銅粉末5gをシャーレーに採り、上記▲2▼と同様の10点評価法試験を行った。
その結果を表6及び表7にそれぞれ示す。
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
上記▲1▼〜▲5▼に示す試験結果より、各実施例のものは、比較例1〜10のものに比べて、著しく優れた防錆効果を示すことが認められる。
又、参考例1のものは比較的優れた防錆効果を発現していることが認められる。
【0108】
【発明の効果】
本願請求項1の水溶性防錆剤は、上記構成を有し、分子中に複数のカルボキシル基を有する、特定分子構造のカルボン酸塩のうち1種又は2種以上含有する組成物を有効成分とするものであり、このものは、室温で液状であるか、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するので液状になり易く、従って、この防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現する上、分子構造を変化させることによって親水性のものから親油性のものまで得ることができるのであり、しかもこの親油性の防錆剤は親油性の金属表面処理剤や金属加工油として優れた効果を発現するのである。
【0109】
即ち、分子中に複数のカルボキシル基を有する、特定分子構造のカルボン酸の塩のうち1種又は2種以上含有する組成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を水或いは有機溶剤に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0110】
又、本発明においては、このような物質を防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良いのであり、しかも水溶性のものは水に溶解することによって火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【0111】
又、本願請求項2の防錆剤は、上記構成を有し、特定構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルカノールアミンとの反応生成物のうち1種又は2種以上含有する組成物、を有効成分とする防錆剤として用いると、このものは、室温で液状であるか、又は水分を抱き込み易く保水性が高かったり、潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、しかも分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆作用を発現する上、分子構造を変化させることによって親水性のものから親油性のものまで得ることができるのであり、しかもこの親油性の防錆剤は親油性の金属表面処理剤や金属加工油として優れた効果を発現するのである。
【0112】
即ち、特定構造の脂肪族ポリカルボン酸とアルカノールアミンとの反応生成物のうち1種又は2種以上含有する組成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を水或いは有機溶剤に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0113】
又、この発明においては、このような物質を防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、しかも水溶性のものは水に溶解することによって火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【0114】
又、本願請求項3の水溶性防錆剤は、上記構成を有し、本願請求項2において、アルカノールアミンとして特定のものを用いたものであり、このものは、室温で液状であるか、或いは水分を抱き込み易く保水性が高かいのであり、しかも潮解性を有するのでこの防錆剤で金属を処理すると金属表面で液状になって均一な膜を形成するのであり、又、分子鎖が長く、配向性が良いので金属表面への緻密な膜を形成し易いのであり、これらの結果、金属表面に強力な吸着膜を形成して長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0115】
即ち、特定構造の脂肪族ポリカルボン酸と特定のアルカノールアミンとの反応生成物のうち1種又は2種以上含有する組成物は、性状が液状ないし液状になり易いものであり、又、この物質を水或いは有機溶剤に溶解し、この溶液で金属を処理すると、金属表面が常に濡れた状態となって均一な膜を形成し易く、しかもこの膜は緻密で、且つ金属に対する吸着が大であるので長期に亙り至極優れた防錆効果を発現するのである。
【0116】
又、この発明においては、このような物質を防錆剤として用いることにより、単品で優れた防錆力を発現し、しかも低毒性で安全性が高い上、取扱い易く、又、安定性が良く、しかも水溶性のものは水に溶解することによって火災発生や環境破壊等の問題も無く、冷却効果が大で、且つ経済的であり、しかも種々の金属、特に鉄やアルミニウム更に銅又は亜鉛に対し至極優れた防錆力を発揮するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、各防錆剤の評価試験の方法を具体的に示す斜視図である。
【図2】図2は、その錆の発生状況を具体的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 切断片
2 FRP製板
3 貫通窓
S 水蒸気
Claims (3)
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