JP4204854B2 - 新規硫黄化合物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電荷分離機能、光応答性機能、錯体形成機能などを基板上で発現する自己組織化単分子膜を形成させるのに適した新規硫黄含有化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属または、金属酸化物を成分とする基板上に、硫黄原子などのヘテロ原子を介して自己組織化単分子膜を形成せしめ、基板に各種の機能性を付与する技術開発が盛んに行われている。電子授受機能を持たせるためには、電子受容性あるいは、電子供与性構造を末端に配置する有機分子を用いて、自己組織化単分子膜を形成させる方法がある。
【0003】
例えば、キノンを電子受容構造として末端に有する2−(11−メルカプトウンデシル)ハイドロキノンを表面に自己集積させ単分子膜を形成させた金電極が、末端のキノン部分で電子を授受し還元反応が起きることが知られている。(非特許文献1を参照)
【0004】
また、テトラシアノキノジメタンを電子受容構造として末端に有するビス(10−(2−((2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジイリデン)ジマロノニトリル))デシル)ジスルフィドとテトラメチルフェニレンジアミンを電子供与構造として末端に有するN,N,N−トリメチル−N−(10−メルカプト)デシル−1,4−フェニレンジアミンを表面に自己集積させ単分子膜を形成させた金電極において、キノジメタンとジアミンとの間で電荷移動がおきることが知られている。(非特許文献2を参照)
【0005】
また、球殻上の炭素分子を受容体として内包している化合物からなる光電荷分離材料が記載されており、さらにあ、分子内に電子供与体、光増感剤を3次元的に配置した化合物が自己組織化単分子膜を形成している基板が知られている。(特許文献1を参照)
【0006】
また、イミダゾリルポルフィリン骨格にアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を介して、メルカプト基またはアセチルチオ基を有するメルカプト置換イミダゾリルポルフィリン金属錯体単量体が記載されており、さらに、前記単量体が、イミダゾール基とポルフィリン中心金属と相互作用することによる多量体が、メルカプト基等を介して電極表面に結合することにより電極間を結合し、ナノメートル単位でエネルギーを伝達するディバイスが構築できることが知られている。(特許文献2を参照)
【0007】
さらに、基体表面に形成された金属又は半導体表面に共有結合又は配位結合により一般式(A)E−L−Bin.(式中、Eは、光吸収する有機残基、Lは長鎖の−(CH2)n−を持つ原子団又は該原子団の主鎖がO、S又はNによって分断されている原子団でEと−NH−CO−、−O−、又は−CO−O−で結合する、及びBin.は化合物(A)を前記金属又は半導体表面との共有結合又は配位結合により結合させる結合基を提供する基である。)で表されるエネルギードナー化合物及び一般式(B)EA−L−Bin.(式中EAは、一般式(A)の化合物の励起光と重なる吸収波長領域を有する光吸収する有機残基、L及びBin.は一般式(A)と同じ。)で表されるエネルギーアクセプター化合物を両化合物間でエネルギー移動可能に混合自己組織化した単分子膜として形成されていることを特徴とする光エネルギー移動素子が知られている。(特許文献3を参照)
【0008】
また、下記式(II)で表される化合物が、知られている。(特許文献4を参照)
【0009】
【化2】
Figure 0004204854
【0010】
式中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキル基、置換基を有していてもよいC2〜C6のアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、臭素原子、塩素原子を表す。具体的な化合物として、R11〜R14がメチル基、2−シアノエチル基、または水素原子である化合物、R11が水素原子、R12〜R14が2−シアノエチル基である化合物が知られている。(特許文献4を参照)
【非特許文献1】
J. Chem. Soc., Faraday Trans., 92, 3813, (1996)
【非特許文献2】
Langmuir, 14, 5834, (1998)
【特許文献1】
特開2000−261016号公報
【特許文献2】
特開2001−253883号公報
【特許文献3】
特開2001−303022号公報
【特許文献4】
WO01/68595号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
自己組織化単分子膜の化合物に関しては、その例が少なく、求める機能性に対して充分に対応できるべき多様性に欠け、また、その製造法に関しても容易でないものがほとんどであった。今後、光エネルギー変換素子、電子エネルギー伝達素子として利用して行く上では、求める機能に応じて、分子構造に多様性を有し、かつ、製造法もそれに応じた柔軟性を持つような化合物群を利用することが望ましい。
本発明は、構造が簡単で製造が容易で、しかも、電子的機能を有し、自己組織化により単分子膜を形成し得る新規な化合物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明者らは鋭意検討した結果、容易に入手可能であり共役系が発達した含硫黄テトラキスフェニルエチレン誘導体を出発原料として本課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、
(1)式(I)
【化3】
Figure 0004204854
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、有機基を表し、少なくとも一つはアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基、及びその末端に金属表面、金属酸化物表面、または半導体表面と共有結合又は配位結合により結合を形成させる結合基を有する有機基を表し、R5〜R8は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜C3アルキル基、またはC1〜C3アルコキシ基を表す。)で表される硫黄化合物で関し、
(2)式(I)中、半導体表面と共有結合又は配位結合により結合を形成させる結合基が、メルカプト基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アシルチオ基、アルコキシシリル基、リン酸基、または、ジスルフィド基であることを特徴とする(1)に記載の硫黄化合物、
(3)式(I)中、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基が、置換基を有していてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子、アミド結合、エステル結合、シロキサン結合を主鎖に含んでいてもよいC6−20のアリレーン基またはアルキレン基であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硫黄化合物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明である式(I)で表される化合物中、R1〜R4は、それぞれ独立に、有機基を表し、少なくとも一つはアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基、及びその末端に金属表面、金属酸化物表面、または半導体表面と共有結合又は配位結合により結合を形成させる結合基を有する有機基を表す。有機基とは、炭素原子を少なくとも1以上有する官能基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基等のアルキル基、アリール基等のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基またはナフチル基等のアリール基等を例示することができる。
【0015】
また、アリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基中、特に酸素原子、硫黄原子またはその酸化体、置換基を有していてもよい窒素原子、アミド結合、エステル結合、シロキサン結合を構成要素とするC6〜C20のアリレーン基またはC6〜C20のアルキレン基を好ましく例示することができる。具体的には、下記式で表される連結基を例示することができる。
【0016】
【化4】
Figure 0004204854
【0017】
式中、n、mはそれぞれ独立に、0または1以上の整数を表す。
また、上記連結基には、必要に応じて、下記に示す構成単位を含めることもできる。
【0018】
【化5】
Figure 0004204854
【0019】
【化6】
Figure 0004204854
【0020】
末端に有する金属表面、金属酸化物表面、または半導体表面と共有結合又は配位結合により結合を形成させる結合基として、具体的には、メルカプト基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アシルチオ基、アルコキシシリル基、リン酸基、または、ジスルフィド基等を好ましく例示することができ、具体的には、下記式で表される結合基を例示することができる。
【0021】
【化7】
Figure 0004204854
【0022】
また、式(I)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜C3アルキル基、またはC1〜C3アルコキシ基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、塩素、臭素、ヨウ素等を例示することができる。
【0023】
式(I)で表される化合物の製造方法を幾つか考えられるが、具体的には、入手容易な1,1,2,2−テトラキスフェニルエチレンを出発物質にした方法を例示することができ、式(I)で表される化合物を誘導するにあたりその原料となる化合物Bの製造方法を下式に示す。
【0024】
【式8】
Figure 0004204854
【0025】
上式において、シアノエチル基で保護されたチオール基を有する化合物Aに対して用いるアルキル化剤、塩基の当量数を調整することにより、アルキル化されるチオール基の数を容易に制御することができる。すなわち、3当量のアルキル化剤、塩基を用いれば、上式のごとく3つのチオール基をアルキル化することができる。
以上のようにして得られた化合物Bのチオール基に適宜連結基、結合基を公知の方法により導入することができる。
【0026】
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
【0027】
参考例1(1,1,2,2−テトラキス(4−シアノエチルチオフェニル)エチレンの合成)
1,1,2,2−テトラキス(4−メルカプトフェニル)エチレン1252mg(2.72mmol)の無水THF(100ml)溶液に、水素化ナトリウム1320 mg(33mmol)をゆっくりと滴下し、1時間室温で撹拌した。引き続き3−ブロモプロピオニトリル2.92ml(33mmol)を添加し、24時間還流した。反応溶液を水に注ぎ、ジクロロメタンにより抽出した。無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:クロロホルム=1:15)で分離し、さらに再結晶(クロロホルム:n−ヘキサン)で精製することにより目的物質である1,1,2,2−テトラキス(4−シアノエチルチオフェニル)エチレンを淡黄色の結晶(1153mg,1.71mmol,収率63%)として得た。
Yellow needles; mp. 147.0 oC;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.59 ( t, J = 7.2 Hz,8H,CH2), 3.10 ( t, J = 7.2 Hz, 8H, CH2), 6.96 ( d, J = 8.3 Hz, 8H, ArH), 7.15 ( d, J = 8.3 Hz, 8H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 18.2, 29.6, 117.8, 130.1, 132.0, 132.2, 140.1, 142.0;
IR (KBr) 3449, 2251 (CN), 1589, 1492, 1420, 1399, 1285, 1090, 1014, 959, 904, 864, 827, 801, 742, 575, 522 cm-1;Anal. Calcd for C38H32N4S4: C, 67.82; H, 4.79; N, 8.33. Found: C, 67.61;
H, 5.08; N, 8.15.
【0028】
参考例2(1−(4−シアノエチルチオフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンの合成)
1,1,2,2−テトラキス(4−シアノエチルチオフェニル)エチレン336mg(0.5mmol)のアセトニトリル(60ml)溶液に三当量の水酸化セシウム225mg(1.5mmol)のアセトニトリル(60ml)、メタノール(30ml)溶液をゆっくりと滴下し、5分間85℃で撹拌した。その後室温で0.5時間撹拌し、さらに反応容器を0℃に冷却した。
ヨウ化メチル2.52ml(42mmol)を滴下し、室温で12時間撹拌した。反応溶液を水に注ぎ込み、引き続き塩酸で酸性化した(ph<1)。この溶液からジクロロメタンにより抽出し、無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)で分離し、さらに再結晶(クロロホルム:n−ヘキサン)で精製することにより目的物質である1−(4−シアノエチルチオフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンを淡黄色の結晶(111mg,0.20mmol,収率40%)として得た。
Pale yellow crystals; mp. 163.0 oC ;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.43 ( s, 3H, CH3), 2.44 ( s, 6H, CH3), 2.55 ( t, J = 7.3 Hz, 2H, CH2), 3.08 ( t, J = 7.3 Hz, 2H, CH2), 6.88-6.93 (m, 6H, ArH), 6.96-7.00 (m, 6H, ArH), 6.98 ( d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.13 ( d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 15.3, 18.0, 29.9, 117.9, 125.3, 125.4, 125.5, 130.4, 131.1, 131.65, 131.69, 131.8, 132.3, 136.85, 136.89, 137.0, 139.0, 139.8, 139.9, 140.0, 140.3, 143.3;
IR (KBr) 3449, 2920, 2253 (CN), 1719, 1618, 1591, 1508, 1399, 1267, 1092, 1014, 822, 799, 740, 503 cm-1.
【0029】
参考例3(1−(4−メルカプトフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンの合成)
1−(4−シアノエチルチオフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレン270mg(0.5mmol)の無水THF(40ml)溶液に水酸化セシウム269mg(2.0mmol)のメタノール(20ml)溶液を滴下し、30分間85℃で撹拌した。反応溶液を塩酸で酸性化した水(ph<1)に注ぎ込みジクロロメタンにより抽出した。無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(四塩化炭素:クロロホルム=1:1)で分離し、さらに再結晶(クロロホルム:n−ヘキサン)で精製することにより目的物質である1−(4−メルカプトフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンを淡黄色の結晶(226mg,0.45mmol,収率90%)として得た。
Pale yellow crystals; mp. 185.0 oC ;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) d 2.42 ( s, 9H, CH3), 3.38 ( s, 1H, SH), 2.55 ( t, J = 7.3 Hz, 2H, CH2), 6.86-7.00 (m, 16H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) d 15.4, 125.5, 128.7, 128.8, 131,7 132,0, 136,7, 139.1, 139.6, 140.2, 141.2;
IR (KBr) 2976, 2916, 2560(SH), 1702, 1590, 1492, 1397, 1091, 1013, 822, 796, 501 cm-1;
MS: m/z 502 (M+);
Anal. Calcd for C29H26S4: C, 69.28; H, 5.21, Found: C, 69.24; H, 5.22.
【0030】
実施例1
1−(4−メルカプトフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレン600mg(1.2mmol)と1,8−ジブロモオクタン4.6ml(24mmol)のTHF(20ml)溶液に水酸化セシウム368g(2.4mmol)のメタノール(10ml)溶液を滴下し、3時間85℃で攪拌した。反応溶液を、塩酸水(pH<1)に注ぎ込み、ジクロロメタンにより抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(四塩化炭素:クロロホルム=1:1)で分離し、さらに再結晶(クロロホルムーヘキサン)で精製することにより1−(4−ブロモオクチルチオフェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンを黄色結晶(707mg、1.02mmol、収率85%)として得た。
Yellow crystals; mp. 113 ℃
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) σ1.25-1.88 (m, 12H, CH2), 2.42 (s, 9H, CH3), 2.86 (t, J = 7.3 Hz, 2H, CH2), 3.40 (t, J = 7.3Hz, 2H, CH2), 6.89-7.03 (m, 16H, ArH); 13C-NMR (101 MHz, CDCl3) σ; 15.38, 15.41, 28.0, 28.6, 28.7, 28.89, 28.93, 32.7, 33.0, 33.9, 125.4, 127.5, 131.8, 135.2, 136.6, 139.4, 139.5, 140.26, 140.29, 140.9; IR (KBr) 2924, 2853, 1592, 1492, 1436, 1398, 1092, 1015, 965, 817, 796, 736, 524, 500 cm-1;
Anal. Calcd for C37H41S4Br: C, 64.04; H5.96, Found: C,64.25; H, 5.90.
【0031】
上記のようにして得られた1−(4−(8−ブロモオクチルチオ)フェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレン440mg(0.64mmol)のTHF(20ml)溶液に、窒素雰囲気下、チオ尿素245mg(3.2mmol)の水溶液(10ml)を添加し、還流下24時間攪拌した。引き続き水酸化ナトリウム384mg(19.2mmol)の水溶液(10ml)を添加し、還流下2時間攪拌した。反応溶液を塩酸水(pH<1)に注ぎ込みジクロロメタンにより抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムにより十分脱水し、減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(四塩化炭素:クロロホルム=1:1)で分離し、さらに再結晶(クロロホルム:n−ヘキサン)で精製することにより目的物質である1−(4−(8−メルカプトオクチルチオ)フェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンを黄色の結晶(356mg、0.55mmol、収率86%)として得た。
Yellow crystals; mp. 113 ℃
1H-NMR (400MHz, CDCl3) σ1.28-1.63 (m, 12H, CH2), 2.42 (s, 3H, CH3), 2.43 (s, 6H, CH3), 2.51 (q, J = 7.4 Hz, 2H, CH2), 2.86 (t, J = 7.4 Hz, 2H, CH2), 6.89-7.03 (m, 16H, ArH);
13C-NMR (101 MHz, CDCl3) σ15.38, 15.41, 24.6, 28.2, 28.7, 28.9 (2C), 29.0, 33.0, 34.0, 125.5, 127.5, 131.8, 135.3, 136.6, 139.4, 139.5, 140.27, 140.31, 140.9;
IR (KBr) 2923, 2853, 2560(SH), 1592, 1492, 1466, 1435, 1398, 1091, 1014, 965, 816, 792, 736, 524, 500cm-1;
MS: m/z 647 (M+);
Anal. Calcd for C37H42S5: C, 68.68; H, 6.54, Found: C, 69.05; H, 6.51.
【0032】
実施例2
1−(4−(8−メルカプトオクチルチオ)フェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンの電気化学的特性の評価するために、サイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。
電解液として0.1Mの過塩素酸テトラn−ブチルアンモニウム塩のベンツニトリル溶液を調整した。この電解液に2mMになるように、1−(4−(8−メルカプトオクチルチオ)フェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンを溶解した。作用電極として、ガラス炭素を用い、対極としてPtを用い、銀電極を標準電極(0.01M硝酸銀溶液)とし、500mV/秒で走査して行った。その結果を図1に示す。
図1に示すように0.44Vに可逆的な酸化還元波と0.94Vにアルカンチオール特有の酸化ピークを観測した。
【0033】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明の化合物は、構造が単純であることから入手しやすい原料から合成が容易であるにもかかわらず、優れた電気特性等を有しており、しかも、チオール基等の結合基を介して単分子膜を形成可能な化合物であり、新しい分子デバイスの設計に寄与することのできる化合物であることから、産業上の利用価値は高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、1−(4−(8−メルカプトオクチルチオ)フェニル)−1,2,2−トリス(4−メチルチオフェニル)エチレンのCV図を表す。

Claims (1)

  1. 式(I)
    Figure 0004204854
    (式中、R〜R、少なくとも一つは末端にメルカプト基を有するC6〜C20アルキレン基を、残りはメチル基、エチル基又はn−プロピル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、C1〜C3アルキル基、またはC1〜C3アルコキシ基を表す。但し、R 〜R が1つは8−メルカプトオクチル基、残りがメチル基である場合には、R 〜R が水素原子であってもよい)で表される硫黄化合物。
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