JP4204712B2 - カチオン検出装置、カチオン検出方法、水処理装置、及び超純水製造装置 - Google Patents

カチオン検出装置、カチオン検出方法、水処理装置、及び超純水製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水処理装置に係り、更に詳細にはイオン交換カラムなどの水処理ユニットを通過して流下するカチオンを高精度に検出することのできるカチオン検出装置、カチオン検出方法、水処理装置、及び超純水製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より市水や工業用水から水の純度を上げる純水製造技術が研究されている。 特に先端技術の分野では、半導体を製造する際に超純水が必要となるので、市水や工業用水から超純水を製造する技術が求められている。この超純水を製造するには水中の不純物を除去する必要がある。具体的には水に含まれる陽イオン、炭酸ガス、陰イオンなどを除去する。一般に、純水製造装置では、陽イオンを水処理ユニットのイオン交換樹脂でイオン交換したのち、脱気処理して炭酸ガスを除去し、しかる後に逆浸透膜で陰イオンを除去する。
【0003】
ここで、水に含まれる陽イオンには、ナトリウムイオン(Na+ )やカリウムイオン(K+ )などの一価のものから、カルシウムイオン(Ca2+)や、マグネシウムイオン(Mg2+)などの二価以上のものまで存在し、これらの陽イオンはまとめて「カチオン」と呼ばれる。
【0004】
これらのカチオンは原子量及び価数の大きいものほどイオン交換樹脂との結合力が大きい。また、水処理ユニットのイオン交換樹脂が新しく、イオン交換能力が大きい間はカチオンの殆どはイオン交換されるため、カチオンのリーク量は小さいが、イオン交換樹脂が古くなるにつれてイオン交換能力が低下し、カチオンのリーク量が増大する。
【0005】
ここで、価数の小さいナトリウムイオン(Na+ )やカリウムイオン(K+ )はイオン交換樹脂を通しても完全に除去することは困難であり、若干量のリークは避けられない反面、水に溶解しやすいので水処理装置の各ユニットに目詰まりなどのトラブルを引き起こすことも少ない。
【0006】
これに対して、カルシウムイオン(Ca2+)や、マグネシウムイオン(Mg2+)などの二価以上の、いわゆる硬水を構成する硬度成分は固形化合物になりやすく、これらが各ユニットを通過すると目詰まりを起こしやすい。具体的にはイオン交換カラムから二価以上のカチオンがリークすると純水製造装置の下流側の逆浸透膜を目詰まりさせてしまい、純水製造装置の機能を停止させてしまう。
【0007】
そのため純水製造装置の運転を安定して行うためには、イオン交換カラムからのカチオンリーク量を常にモニタリングする必要がある。
【0008】
このため従来の純水製造装置ではイオン交換カラムの処理水出口側にカチオン検出装置を配設して処理水中のカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)などの二価以上の硬度成分の有無を分析してイオン交換樹脂のイオン交換能力をモニタリングしている。この従来のカチオン検出装置ではカルマガイド比色法を利用しており、処理水にカルマガイド指示薬を添加し、その発色を波長520nmの光で測定し、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの量を測定する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この方法では、定量純水装置、恒温装置、定量注入装置、試薬貯留装置、攪拌装置、定光源発光装置、定電流変換装置、演算装置、といった複雑な分析装置を必要とする。これらの装置からなる分析装置は分析精度は高いものの、高価な上に複雑かつ繊細で故障がおきやすい。特に工場などの製造現場では振動や熱、ガス、電磁波などの外乱因子が多く、精密な分析装置の機能を維持するのは容易ではないという問題がある。
【0010】
本発明はこれら従来の問題を解決するためになされた発明である。
【0011】
即ち、本発明は構造が簡単で故障しにくく、しかも安価で精度の高いリークカチオンを検出することのできるカチオン検出装置やカチオン検出方法を提供することを目的とする。
【0012】
更に本発明はそのようなカチオン検出装置やカチオン検出方法を応用した水処理装置や超純水製造装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のカチオン検出装置は、イオン交換樹脂が充填され、水処理ユニットの出口側に接続される測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備する。
【0014】
上記カチオン検出装置において、前記演算手段は、前記カチオンリーク率が所定の値になったときに告知する機能を備えていることが好ましい。
【0015】
上記発明において水処理ユニットとは、イオン交換カラムなどの水処理を行う装置をいう。
【0016】
本発明の水処理装置は、イオン交換樹脂が充填され、原水をイオン交換するイオン交換カラムと、前記イオン交換カラムの出口側に接続される測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備する。
【0017】
本発明の超純水製造装置は、イオン交換樹脂が充填され、原水をイオン交換するイオン交換カラムと、前記イオン交換カラムの水移動方向下流側に配設され、前記イオン交換カラムで処理された水を脱気する脱気ユニットと、前記脱気ユニットの水移動方向下流側に配設され、前記脱気ユニットで脱気された水からイオンや有機物などの不純物を除去する逆浸透濾過ユニットと、前記イオン交換カラムと前記脱気ユニットとの間を流下する水をサンプリングする分岐配管と、前記分岐配管に接続される測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備する。
【0018】
本発明のカチオン検出方法は、水処理ユニットから吐出される処理水のpHを測定する一方で、該処理水の一部をイオン交換樹脂が充填された測定用カラムに通し、該測定用カラム通過後の水のpH基準値を測定し、前記処理水のpH測定値と、前記pH基準値との差をモニタリングすることにより前記水処理ユニットのカチオンリーク率を検出することを特徴とする。
【0019】
上記方法において、pH基準値とは、測定用カラムでイオン交換後に排出された水のpH値をいう。
【0020】
上記の本発明では、測定用カラムと、その前後に配設した二つのpHメータと、演算手段とから構成されるという、既存の装置を巧みに組み合わせた単純な構成となっているので、構造が簡単で故障しにくく、しかも安価で精度の高いリークカチオンを検出することのできるカチオン検出装置やカチオン検出方法、水処理装置や超純水製造装置を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は本実施形態に係る超純水製造装置1の概略構成を図示したフローシートである。
【0023】
この超純水製造装置1では図1に示したように、イオン交換ユニット10、脱気ユニット20、逆浸透濾過ユニット30が水の移動方向に関して直列に配設されており、これらイオン交換ユニット10、脱気ユニット20、及び逆浸透濾過ユニット30相互間は配管101及び102で接続されている。更にイオン交換ユニット10には原水を導入する配管103が接続され、逆浸透濾過ユニット30には得られた超純水を外部に供給するための配管104が取り付けられている。 上記イオン交換ユニット10と脱気ユニット20とを結ぶ配管101は途中で分岐して配管105が取り付けられている。この配管105はイオン交換ユニット10でイオン交換処理された処理水をサンプリングするための配管で、この配管105の先には本発明に係るカチオン検出装置40が取り付けられている。
【0024】
図2はイオン交換ユニット10とカチオン検出装置40取り付け部分を拡大した部分拡大図である。図2に示したように、イオン交換ユニット10はイオン交換塔11内にイオン交換カラム12が収容されており、このイオン交換カラム12内に大量のイオン交換樹脂が充填されている。
【0025】
図3は本発明に係るカチオン検出装置40の概略構造を示した図である。図3に示したように、カチオン検出装置40は配管105に沿って流量調節装置50、測定用カラム41が配設されており、測定用カラム41と配管105との間は、測定用カラム頂部に配設されたコネクタ42とこのコネクタ42と接続された配管105b及び配管105cとにより接続されている。
【0026】
配管105の上流側に配設された上流側配管105aの途中には、測定用カラム41より上流側の水のpHを測定するための上流側pH電極44が埋設されており、同様に、配管105の測定用カラム41より下流側に配設された下流側配管105cの途中には、測定用カラム41より下流側の水のpHを測定するための下流側pH電極46が埋設されている。上流側pH電極44は検知部43を経て上流側pHメータ(第1のpHメータ)47に測定したpH値データを送信するようになっており、同様に、下流側pH電極46は検知部45を経て下流側pHメータ(第2のpHメータ)48に測定したpH値データを送信するようになっている。これらのpHメーター47及び48は共に演算処理装置49と電気的に接続されており、上流側pH電極44、下流側pH電極46がそれぞれ検出したpHデータに基づいてカチオンリーク率を算出する。カチオンリーク率などの演算処理については後述する。
【0027】
測定用カラム41の内部にはイオン交換樹脂が充填されている。この測定用カラム41では水の出し入れを頂部に配設したコネクタ42を介して行うようになっており、配管105bからコネクタ42を介して測定用カラム41内部に導入された水が内部に充填されたイオン交換樹脂と接触してイオン交換処理が施された処理後の水は処理前の水の流路から隔離された別の流路を通って、再びコネクタ42を介して配管105c側に流出するようになっている。
【0028】
次にこの超純水製造装置1を運転する場合の水の流動状態について説明する。
【0029】
まず、この純水製造装置1を起動すると、図示しないポンプが作動して原水を配管103内に供給する。配管103内に供給された原水はまずイオン交換ユニット10内に流入する。イオン交換ユニット10内では流入した原水がユニットのイオン交換カラムに充填されたイオン交換樹脂と接触することによりイオン交換処理が施され、いわゆるカチオンの大部分はH+ イオンに交換される。このイオン交換ユニット10でイオン交換処理された処理後の水は次に配管105で分岐する分を除き、配管101を通って後続の脱気ユニット20に送られる。脱気ユニット20に送られた水はここで脱気処理を施されて水中の炭酸ガスを除去され、しかる後に配管102を通って逆浸透濾過ユニット30に入り、ここで逆浸透膜によりイオンや有機物などの不純物を取り除かれ、配管104を経て装置外へ送り出される。
【0030】
一方、配管101で分岐する配管105内に流入した処理水は、配管105a内に配設された上流側pH電極44によりpH測定された後、流量調節器50、配管105b、コネクタ42を経て測定用カラム41内に流入する。測定用カラム41内で更にイオン交換樹脂と接触して処理水中に残存するイオンをイオン交換した後に再びコネクタ42に戻り、配管105c内に流れ込む。配管105c内を流下する際に下流側pH電極46に接触しここで再びpH測定される。しかる後に配管105cを更に流下して系外に排出される。
【0031】
上流側pH電極44と下流側pH電極46とでそれぞれpH測定され、得られた測定値はこれらpH電極44,46と電気的に接続されたpHメーター47,48,及び演算処理装置49に送信される。pH測定値のデータ信号を受け取った演算処理装置49では受信した信号データから測定用カラム41の上流側の配管105a内の処理水のpHと下流側配管105c内の処理水のpHとからカチオンリーク率を算出する。以下、本発明のカチオン検出装置のカチオンリーク率測定原理について説明する。
【0032】
本発明のカチオン検出装置では、原水中のカチオン(陽イオン)はイオン交換ユニット10でH+ イオンに交換され、そのH+ イオン濃度はpHの値で測定できる。イオン交換ユニット10からカチオンがリークすると、その分H+ イオンが減少し、pHが上昇する。
【0033】
一方、測定用カラム41ではリークしたカチオンを吸着するので、測定用カラム41の出口には常時原水のカチオン濃度と同じH+ イオンが存在する。この測定用カラム41の出口のH+ イオン濃度を下流側pH電極46で測定することにより原水のカチオン濃度を求める。
【0034】
他方、イオン交換ユニット10を通過した処理水にはイオン交換ユニット10でイオン交換し切れなかったカチオン、即ちイオン交換ユニット10からリークしたカチオンが含まれている。このリークしたカチオンを含む処理水のH+ イオン濃度を上流側pH電極44で測定することにより、元々原水に含まれるH+ イオンとイオン交換ユニット10からリークしたカチオンとを合計したH+ イオン濃度が求まる。従って、上流側pH電極44で測定したH+ イオン濃度から、下流側pH電極46で測定した原水のH+ イオン濃度を差し引きすることにより、正味のリークカチオンの濃度が求められる。
【0035】
ここで、イオン交換ユニット10を通すことにより処理された処理水のpH、測定用カラム41を通すことにより処理された水のpH、及びイオン交換樹脂のリーク率等の因子を以下の記号で示す。
【0036】
pHIN :イオン交換樹脂で処理した水のpH(−),
pHOUT :測定用カラムで処理した水のpH(−),
IN :イオン交換樹脂で処理した水の(eq/L),
OUT :測定用カラムで処理した水の(eq/L),
L :リーク率(%)
このとき、pH=−Log[H+ ]の式より、H+ =10-pH の関係が得られる。従って、イオン交換ユニット10からカチオンのリークが生じるとリークした分、pHが減少する。そのため、カチオンリーク率は、次式で与えられる。
【0037】
L=(HOUT −HIN)/HOUT (%)
次に、本発明の超純水製造装置1を継続して運転した場合のカチオンのリーク状態について説明する。
【0038】
図4はイオン交換樹脂カラムと測定用カラム内のイオン交換状態を模式的に示した図であり、図5は運転時間とカチオンリーク量の変化に基づくpH変化量(ΔpH)との関係を示したグラフである。
【0039】
図4(1)に示した、超純水製造装置の運転開始から短時間しか経過していない初期(時間t1)では、イオン交換樹脂カラム内のイオン交換樹脂のイオン交換能力が十分高く、カラム上部から流入したカチオンがイオン交換カラム内で能率よくH+ イオンにイオン交換されている。また、この時点ではイオン交換カラムの下側に描いた測定用カラム側にはリークカチオンは流入しない。そのため、測定用カラムの上流側pHメータと下流側pHメータとの間の値の差ΔpHはゼロである。
【0040】
次に、所定期間継続運転した後の中期(時間t2)では図4(2)に示したように、イオン交換樹脂のイオン交換能力が低下しており、カラム底部付近にまでカチオンが拡散している。この段階ではイオン交換カラム内の大部分にまでカチオンが拡散しているが、まだイオン交換カラムの外側まではカチオンはリークしていない。そのため、イオン交換カラムの下流側にある測定用カラムにもカチオンは流入せず、したがって、測定用カラムの上流側pHメータと下流側pHメータとの間の値の差ΔpHはゼロである。
【0041】
更に継続して運転した後の後期(時間t3)になると、図4(3)に示したようにイオン交換樹脂のイオン交換能力が低下して、原水からイオン交換カラムに流入したカチオンをイオン交換し切れなくなる。その結果、カチオンの一部はイオン交換カラムから溢れ出し、H+ イオンにイオン交換されないアルカリイオン(Na+ )のままイオン交換カラムの下流側に流れ出る。このイオン交換カラムの下流側に流れ出たアルカリイオン(Na+ )を含んだ水は、測定用カラムの上流側pHメータを通過し、その際にpHが測定される。このとき、測定される水中にはイオン交換カラムからリークしてきたアルカリイオン(Na+ )が含まれているため、pHの値は例えば、H+ イオンのみが含まれている場合の2.406より高い3.406となる。
【0042】
この上流側pHメータを通過後、アルカリイオン(Na+ )を含んだ水は測定用カラム内に流入し、ここで測定用カラム内に充填されたイオン交換樹脂と接触してH+ イオンにイオン交換される。そのため測定用カラムの下流側に流れ出る水にはH+ イオンしか含まれておらず、従って測定用カラムの下流側pHメータで測定される水のpHはH+ イオンのみを含む場合の2.406の値を示す。
【0043】
ここで、測定用カラムの上流側の水のpH値が3.406であり、測定用カラムの下流側pHメータの水のpH値が2.406であるため、その差はΔpH=1.000となる。
【0044】
上流側pHメータ及び下流側pHメータと接続された演算部(図示省略)としてのCPUは検出されたpHデータからΔpHを求め、この値からカチオンのリーク状況を把握する。
【0045】
具体的にはΔpHの値とリークカチオン量との関係がデータベースとして記憶されており、このデータベースを参照することによりイオン交換カラム内のイオン交換樹脂のポットライフを求め、必要に応じてイオン交換樹脂を新たなものと交換することが必要な旨を表示したり、警報を発したりする。
【0046】
更に図5に示したように、イオン交換カラム内のイオン交換樹脂の劣化に伴い、時間t1や時間t2では、上流側pHメータでpH測定される水にはH+ イオンしか含まれておらず、ΔpHもゼロかそれに近い低い水準である。時間t3になり、運転時間の伸長に伴いイオン交換樹脂のイオン交換能力が低下すると、上流側pHメータでpH測定される水中にNa+ イオンがリークしてくるためpH値が上昇しΔpHの値も増大する。更に時間がt4まで経過して更にイオン交換樹脂のイオン交換能力が低下すると、Na+ イオンより原子量及び価数の大きなイオンであるCa2+イオンやMg2+イオンのような二価の硬度成分がリークしてくる。これら硬度成分がリークしてくると、更に上流側pHメータでpH測定される水のpHは上昇し、ΔpHも増大する。
【0047】
そこで、本発明ではNa+ イオンのみリークし、Ca2+イオンやMg2+イオンのような二価の硬度成分がリークしてくる前のΔpHの価を予備実験や実測値から把握しておき、ΔpHがこの価になったときに警報を発したり信号を送るなりしてイオン交換樹脂のイオン交換能力が限界近くまで低下したことを告知させるのである。
【0048】
実際にΔpHの値をどの範囲にするかは設計事項であるので、理論値、実測値、予備実験データなどを元にして決定する。
【0049】
このように、Na+ イオンのような溶解度が大きく、逆浸透膜の目詰まりなどを惹起することのないイオンがリークした時点でイオン交換樹脂のイオン交換能力の低下を知らせるような構成としたので、硬度成分がリークして逆浸透膜を詰まらせ、曳いては超純水製造装置全体を停止させてしまうというような甚大なトラブルの発生を未然に防止することができる。
【0050】
以上詳述したように、本発明の超純水製造装置1では、イオン交換カラムの下流側にサンプリング用の分岐管を配設し、この分岐管に測定用カラム、及びその前後に上流側pHメータと下流側pHメータとを配設し、イオン交換カラムからのカチオンのリークを、測定用カラムの前後の二つのpHメータの測定値の差の大小により検知するようにした。
【0051】
そのため装置の構造が簡単で故障しにくく、しかも高精度にカチオンのリーク状態を検出することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に記載された範囲に限定されない。例えば、上記実施形態では超純水製造装置の一部にカチオン検出装置を配設した構造としたが、超純水製造装置以外の水処理装置にカチオン検出装置を配設することも可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明では測定用カラムと、その前後に配設した二つのpHメータと、演算手段とから構成されるという、既存の装置を巧みに組み合わせた単純な構成となっているので、構造が簡単で故障しにくく、しかも安価で精度の高いリークカチオンを検出することのできるカチオン検出装置やカチオン検出方法、水処理装置や超純水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超純水製造装置の概略構成を図示したフローシートである。
【図2】本発明に係るイオン交換ユニットとカチオン検出装置取り付け部分の部分拡大図である。
【図3】本発明に係るカチオン検出装置の概略構造を示したである。
【図4】本発明に係るカチオン検出装置のイオン交換樹脂カラムと測定用カラム内のイオン交換状態を模式的に示した図である。
【図5】本発明に係る超純水製造装置の運転時間とpH変化量との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
10………水処理ユニット、
20………脱気ユニット、
30………逆浸透濾過ユニット、
40………カチオン検出装置、
41………測定用カラム、
47………上流側pHメータ(第1のpHメータ)、
48………下流側pHメータ(第2のpHメータ)。

Claims (5)

  1. イオン交換樹脂が充填され、水処理ユニットであるイオン交換カラムの出口側に接続される測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備することを特徴とするカチオン検出装置。
  2. 請求項1に記載のカチオン検出装置であって、前記演算手段が、前記カチオンリーク率が所定の値になったときに告知する機能を備えていることを特徴とするカチオン検出装置。
  3. イオン交換樹脂が充填され、原水をイオン交換するイオン交換カラムと、イオン交換樹脂が充填され、前記イオン交換カラムの出口側に接続される測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備することを特徴とする水処理装置。
  4. イオン交換樹脂が充填され、原水をイオン交換するイオン交換カラムと、前記イオン交換カラムの水移動方向下流側に配設され、前記イオン交換カラムで処理された水を脱気する脱気ユニットと、前記脱気ユニットの水移動方向下流側に配設され、前記脱気ユニットで脱気された水からイオンや有機物などの不純物を除去する逆浸透濾過ユニットと、前記イオン交換カラムと前記脱気ユニットとの間を流下する水をサンプリングする分岐配管と、前記分岐配管に接続されるイオン交換樹脂が充填された測定用カラムと、前記測定用カラムの水移動方向上流側に配設された第1のpHメータと、前記測定用カラムの水移動方向下流側に配設された第2のpHメータと、前記第1のpHメータ測定値及び前記第2のpHメータ測定値に基づいて、処理水中のカチオンリーク率を割り出す演算手段と、を具備することを特徴とする超純水製造装置。
  5. 水処理ユニットであるイオン交換カラムから吐出される処理水のpHを測定する一方で、該処理水の一部をイオン交換樹脂が充填された測定用カラムに通し、該測定用カラム通過後の水のpH基準値を測定し、前記処理水のpH測定値と、前記pH基準値との差をモニタリングすることにより前記水処理ユニットのカチオンリーク率を検出するカチオン検出方法。
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