JP4204441B2 - 寿命予知可能なタイミングベルト及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車エンジン、一般産業用動力伝達装置等で用いられるタイミングベルトに関する。
自動車や、一般産業用動力伝達装置の動力伝達に用いられるタイミングベルトには、長期間の使用により、歯布等の摩耗やクラックが生じる。そして、摩耗やクラックが進行すると、歯欠けや破断により動力の伝達に支障をきたすため、ある期間使用されたタイミングベルトは交換が必要となる。この交換が必要となる時期をユーザに知らせるため、ベルト寿命を予知する方法が知られている(例えば特許文献1)。
一方で、タイミングベルトの寿命を延ばすために、歯部の表面を金属繊維により保護することにより、耐摩耗性や耐熱性を高めたタイミングベルト(例えば特許文献2)、及びその製造方法(例えば特許文献3)が公開されている。
特開平11−247951号公報(図3) 特開2003−130138号公報(図1) 特開2003−191345号公報(図1)
タイミングベルトの歯部表面を保護して耐久性を高めても、長期に渡る使用の後には、表面の摩耗やクラック等により、ベルトには歯欠けが生じたり、切断してしまう。この場合、一般に破断のしばらく前から異音を生じるチェーンと異なり、タイミングベルトは、異音等のユーザへの警告なしに突然破断することがある。従って、ユーザにとっては、突然に修理が必要となる等、予測できない問題が生じることがある。
そこで本発明は、近い将来に歯欠け等により故障することを、ユーザに予知させるタイミングベルト及びタイミングベルトの寿命予知システムを供給することを目的とする。
本発明の第1のタイミングベルトは、歯部を形成する歯ゴムと、歯部の表面を被覆する歯布とを備え、歯ゴムと歯布との間には、薄層状の異音発生部材を備えている。そして、異音発生部材は、歯布の摩耗によりタイミングベルトの表面に露出すると、プーリと接触することにより異音を生じる。
第1のタイミングベルトは、歯ゴムと歯布との間に、有機金属塩を含むゴムにより形成される接着層をさらに有していることが好ましい。また、歯ゴム及び歯布との接着性を向上させるため、異音発生部材が、有機金属塩を含むゴムにより接着処理を施されていることが望ましい。
接着層による、異音発生部材と歯ゴム、及び異音発生部材と歯布との接着性向上をより効果的にするため、異音発生部材はメッシュ状であることが望ましい。また、タイミングベルトが接着層を有しない場合、及び異音発生部材が有機金属塩を含むゴムにより接着処理を施されていない場合には、異音発生部材と歯ゴム、及び異音発生部材と歯布を接着させるために、歯ゴムは、有機金属塩を含むゴムを主成分とする接着成分を含むことが好ましい。
本発明の第2のタイミングベルトは、歯部を形成する歯ゴムと、歯部の表面を被覆する歯布とを備え、歯ゴム内には、歯部の歯底部を覆う歯布に接するようにコード状の異音発生部材が埋設されている。そして、異音発生部材が、歯布や歯ゴムの摩耗によりタイミングベルトの表面に露出すると、プーリとの接触により異音を生じる。
第2のタイミングベルトは、歯ゴム及び歯布との接着性を向上させるため、異音発生部材が、有機金属塩を含むゴムによる接着処理を施されていることが望ましい。また、異音発生部材は、例えば金属製である。
異音発生部材が有機金属塩を含むゴムにより接着処理を施されていない場合、異音発生部材と歯ゴムを接着するために、歯ゴムは、有機金属塩を含むゴムを主成分とする接着成分を含むことが好ましい。
また、第2のタイミングベルトは、異音発生部材に接するように、長手方向に沿って埋設された心線をさらに有し、異音発生部材は、心線の埋設方向と異なる方向で長手方向に沿って埋設されていることが好ましい。
本発明の第1のタイミングベルトの製造方法においては、歯部の表面を被覆する歯布と、薄層状の異音発生部材と、接着層とを、円筒状の外周面に所定のピッチで歯溝が設けられた予成型ドラムの表面に配して、一体的、連続的にコルゲート状に予成型させて歯布成型体とし、歯布成型体の形状に応じて、歯部を形成するための歯ゴムを連続的に押圧し、歯布成型体と一体化して歯ゴム一体化物とする予成型工程を備える。そして、さらに歯ゴム一体化物を、所定の長さに切断して切断縁辺を互いに当接させて無端状とし、無端状の歯ゴム一体化物を、円筒状の外周面に所定のピッチで歯溝が設けられた成型金型に装着し、歯ゴム一体化物の外周部に心線を巻き付け、さらに背ゴム層の材料となる背ゴム材料を積層させてタイミングベルト中間体とし、タイミングベルト中間体に加硫処理を施してタイミングベルトスラブを形成する加硫工程を備えている。
本発明の第2のタイミングベルトの製造方法においては、円筒状の外周面に所定のピッチで歯溝が設けられた成型金型に、歯布を装着し、コード状の異音発生部材を第1の方向に沿って歯布の外周部に螺旋状に巻き付け、異音発生部材の上に、心線を第1の方向と異なる角度の第2の方向に沿って螺旋状に巻き付け、さらに板状の歯ゴム材料を心線を覆うように取付けた後に、加硫処理を施す。この場合、第1の方向は、成型金型の中心軸に垂直な面に対して所定の角度を有する方向であって、第2の方向が、成型金型の中心軸に垂直な面に対して所定の角度よりも小さい角度を有する方向であることが好ましい。
本発明のタイミングベルト寿命予知システムにおいては、歯ゴムと歯布との間および/または歯ゴム内に異音発生部材が埋設されたタイミングベルトを、プーリに掛け回して用いる。そして、音センサを用いてタイミングベルトからの音を検出する。タイミングベルト寿命予知システムは、音センサにより検出された音が所定の音圧よりも大きい場合に、この音を異音として判断する異音判断手段を備え、タイミングベルトからの音が異音と判断されると、近い将来においてタイミングベルトが使用できなくなることをユーザに警告し、タイミングベルトの交換必要性を知らせる。
本発明によれば、近い将来において使用できなくなることをユーザに知らせるタイミングベルト、及びタイミングベルト寿命予知システムが得られる。
以下、本発明におけるタイミングベルトの実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のタイミングベルトを示す断面図である。
タイミングベルト10は、歯部を形成する歯ゴム層12と、歯ゴム層12を保護するための歯布14とを備えている。そして、歯ゴム層12と歯布14との間には、薄層状の異音発生部材16と、異音発生部材16を接着するための第1接着ゴム層18、及び第2接着ゴム層20とが設けられている。さらに、タイミングベルト10には、背ゴム層22が設けられており、歯ゴム層12と背ゴム層22との間には、心線24が埋設されている。
歯ゴム層12及び背ゴム層22は、いずれも水素化ニトリルゴム(以下H−NBRという)により形成される。ただし、歯ゴム層12及び背ゴム層22とは、異なる材質により形成されても良い。また、歯布14の素材は、アラミド繊維である。異音発生部材16は、メッシュ状のステンレス(SUS304)により形成されており、その厚さは0.084mmである。そして、異音発生部材16は、第1及び第2接着ゴム層18、20により覆われている。第1及び第2接着ゴム層18、20は、有機金属塩であるメタクリル酸亜鉛や、パーオキサイド系加硫剤、硫黄系加硫剤を含むH−NBRにより形成されている。異音発生部材16と歯ゴム層12、異音発生部材16と歯布14との接着性を高めるためにH−NBRに添加されるこれらの成分は、歯ゴム層12に含まれていても良い。
異音発生部材16はメッシュ状であるため、第1接着ゴム層18と第2接着ゴム層20とは、それぞれ完全に独立してはおらず、異音発生部材16を構成する多数の針金(図示せず)の隙間において、互いに一体的である。なお、心線24は、ガラス繊維により形成されている。
図2は、プーリに係合するタイミングベルト10であって、長期間に渡り使用された例を示す断面図であり、歯布14及び第1接着ゴム層18が、摩耗により局部的に消失している。
タイミングベルト10と金属製のプーリ26とのかみ合いにおいて、異音発生部材16がプーリ歯28と接する場合があり、この接触により異音が発生する。さらに、メッシュ状の異音発生部材16を形成するステンレスの針金が、プーリ歯28との摩擦により破断すると、その針金の破断部位が、プーリ歯28の表面を引っ掻くことにより、より大きい異音が発生する。また、歯布14や第1接着ゴム層18の摩耗が進行していなくても、クラックの発生等により、異音発生部材16がタイミングベルト10の表面に露出すると、やはり異音が生じる。
タイミングベルト10の表面の摩耗が進行すると、歯部の強度が低下して、歯欠けや切断等の故障の原因となる。また、クラック等、摩耗以外の原因で異音発生部材16がタイミングベルト10の表面に露出した場合も、近い将来においてタイミングベルト10は故障する可能性が高い。本実施形態では、タイミングベルト10から異音が発生するので、何らかの原因によるタイミングベルト10の故障をユーザに予知させることができる。
次に、タイミングベルト10の製造方法について説明する。図3は、予成型を示す図である。異音発生部材16は、ステンレス製であって伸びないため、加硫工程における加圧、加熱により歯ゴム層12の材料や心線24と一体的に成型することは困難である。従って、加硫工程に先立って、異音発生部材16は、歯布14、第1及び第2接着ゴム層の材料である接着ゴム層材料30と共に、連続的にコルゲート状に予成型される。
歯布14、異音発生部材16、及び接着ゴム層材料30は、重ねられた状態で予成型ドラム32上に連続的に送り出される。予成型ドラム32の表面には、所定のピッチで歯溝が設けられている。予成型ドラム32は、矢印Aの示す方向に回転する。歯付ローラ34は、予成型ドラム32と係合しながら矢印Bの方向に回転する。このため、積層された歯布14、異音発生部材16、及び接着ゴム層材料30は、予成型ドラム32と共に矢印Aの示す方向に移動しながら、予成型ドラム32と歯付ローラ34とが係合する領域において、予成型ドラム32の歯部36と、歯付ローラ34の歯部38との協働作用により、一体的に、かつ連続的にコルゲート状に成型され、歯布成型体42となる。
図4は、歯ゴム層材料の押圧工程を示す図である。
予成型ドラム32上にある歯布成型体42の表面を覆うように、板状の歯ゴム層材料44が連続的に供給される。そして、矢印Cの示す方向に移動する押圧部材40によって押圧された歯ゴム層材料44は、変形して、歯ゴム層12に近い形状となりながら、歯布成型体42と一体化され、歯ゴム一体化物43となり、予成型工程が終了する。
図5は、タイミングベルト中間体を示す図である。
歯ゴム一体化物43は、所定の長さに切断された後に切断縁辺同士が当接されて無端状になる。無端状になった歯ゴム一体化物43は、タイミングベルト10の歯部を形成するための凹部52が設けられた成型金型46上に装着される。そして、歯ゴム層材料44の外周部に心線24が巻きつけられ、さらに心線24の上に背ゴム層22の材料である背ゴム材料48が積層されることにより、タイミングベルト中間体50が形成される。
成型金型46の表面にあるタイミングベルト中間体50は、矢印Dの方向に加圧され、同時に加熱される(加硫工程)。その結果、タイミングベルト中間体50の構成要素のうちで、主として歯布成型体42と歯ゴム層材料44及び背ゴム材料48が変形して、タイミングベルト中間体50が、成型金型46の表面に完全に接するように、すなわちタイミングベルト10のスラブを形成するように、成型が行われる。
加硫工程においては、歯布成型体42を形成していた接着ゴム層材料30の一部が、歯ゴム層材料44側から、メッシュ状の異音発生部材16の隙間を通り、歯布14側に流動する(図1及び3を参照)。そして、歯布14側に流動した接着ゴム層材料30により第1接着ゴム層18が形成され、歯ゴム層12側に留まった接着ゴム層材料30により第2接着ゴム層20が形成される(図1及び3を参照)。なお、加硫工程は、ステンレス製の異音発生部材16を含む歯ゴム一体化物43を用いる点以外は、従来公知の技術に基づく。
加硫工程により、タイミングベルト10と同一の断面形状となったタイミングベルトスラブ50は、冷却された後に、背面の研磨処理等が施される。そして、所定の幅となるように輪切り状に切断されることにより、タイミングベルト10が製造される。
次に、発生した異音の検出について説明する。図6は、タイミングベルト寿命予知システム55を示す概略図である。
タイミングベルト寿命予知システム55は、マイクロフォン56、CPU58、及び警告ランプ59を含む。タイミングベルト10から生じる音は、マイクロフォン56によって検出される。マイクロフォン56は、タイミングベルト10の作動時には常にタイミングベルト10からの音を検出している。そして、マイクロフォン56によって検出された音データは、CPU58に送られる。
タイミングベルト10の摩耗により、異音発生部材16が露出すると、露出した異音発生部材16とプーリ26との接触により大きい音が生じる。この音は、タイミングベルト10が正常に作動し、プーリ26と異音発生部材16との接触がない場合に生じる音に比べると音圧が高い音となる。CPU58には、予め、異音を判断するための音圧の上限値が設定されており、その上限値よりも高い音圧の音データが入力されると、その音を異音であると判断する。
タイミングベルト10からの音が異音であると判断されると、警告ランプ59を点灯させる信号が、CPU58から警告ランプ59に送信される。その結果、警告ランプ59が点灯し、ユーザは、タイミングベルト10が近い将来において破断するため、タイミングベルト10の交換が必要であることを知らされる。
以上のように、第1の実施形態によれば、歯布14と歯ゴム層12との間に異音発生部材16を備えたタイミングベルト10が製造される。そして、タイミングベルト10を用いたタイミングベルトの寿命予知システムにより、ユーザは、タイミングベルト10の破断及び交換必要性を予知できる。
異音発生部材16が、成型性の良い材質である場合、予成型を実施せずに、加硫工程において異音発生部材16を所定の形状に成型する汎用的な製造方法によって、タイミングベルト10が製造されても良い。
異音発生部材の厚さは、0.05mm〜0.2mmであることが好ましい。この範囲の下限である0.05mmよりも薄い場合、ベルト表面の摩耗等により、異音発生部材が瞬時に切断されてしまい、異音を生じない可能性がある。また、上限の0.2mmよりも厚い場合、タイミングベルト製造時の成型性が低下したり、ベルト完成後のベルトの柔軟性が低下する場合がある。
異音発生部材は、シート状であっても良い。この場合は、本実施形態と異なり、第1及び第2接着ゴム層18、20は、予成型の段階から、互いに独立している必要がある。
以下では、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態のタイミングベルトを示す断面図である。
タイミングベルト60には、歯部を形成する歯ゴム層62、歯ゴム層62を保護するための歯布64、及び背ゴム層72が設けられている。さらに、歯ゴム層62と背ゴム層72との間には、心線74が埋設されている。これら各部材の材質は、それぞれタイミングベルト10の対応する部材とそれぞれ同じであるが、異なる材質により形成されても良い。
タイミングベルト60は、第1の実施形態のタイミングベルト10に設けられていたメッシュ状の異音発生部材16や、異音発生部材16を接着するための第1接着ゴム層18、及び第2接着ゴム層20に相当する部材を備えていない。しかしながら、歯ゴム層62の歯底部75に接するように、ステンレス製のコードである異音発生部材76が埋設されている。このため、歯布64の摩耗やクラックの発生等により、異音発生部材76がタイミングベルト60の表面に露出すると、タイミングベルト10と同様に、プーリとの接触により異音が生じる。従って、ユーザは、タイミングベルト10の寿命を予知することができる。
なお、歯ゴム層62には、異音発生部材76と歯ゴム層62との接着性を高めるために、主成分のH−NBRに加えて、有機金属塩であるメタクリル酸亜鉛や、パーオキサイド系加硫剤、硫黄系加硫剤が含まれている。
次に、タイミングベルト60の製造方法について説明する。図8は、タイミングベルト60の加硫工程を示す断面図である。
タイミングベルト60の製造においては、図8(A)に示すように、まず歯布64を所定のピッチの歯溝構造を有する成型金型82上に装着する。そして、コード状の異音発生部材76と心線74とを、この順番に従って、歯布64の外周部にそれぞれ所定の間隔で巻き付ける。そして、心線74の上に、歯ゴム層62と背ゴム層72とを形成するための板状のゴム材料80を積層させる。その後、ゴム材料80の側から、矢印Eの方向に加圧及び加熱を行う(加硫工程)。
なお、歯ゴム層62が、有機金属塩やパーオキサイド系加硫剤、硫黄系加硫剤を含まない場合には、異音発生部材76は、歯布64や歯ゴム層62との接着性を高めるために、有機金属塩であるメタクリル酸亜鉛を含む接着剤によって予め表面処理されて、その表面に薄い有機金属塩を含む接着剤の層(図示せず)が形成されていることが好ましい。
加硫工程が進行すると、図8(B)に示すように、軟化したゴム材料80が心線74及び異音発生部材76の隙間から成型金型82の表面に向けて流動する。そして、最終的に、図8(C)が示すように、成型金型82の表面に押圧されたゴム材料80により、所定の形状の歯部を有する歯ゴム層62と、背ゴム層72とが形成される。なお、心線74及び異音発生部材76は、変形しにくく、図8(A)〜(C)が示す加硫工程の前後で形状は一定である。
図9は、タイミングベルト60の製造において、成型金型82の表面に装着された歯布64の外周部に、心線74を巻き付ける工程を示す概略図である。
タイミングベルト60の製造において、成型金型82が矢印Fの示す方向に回転することにより、歯布64の外周部には、コード状の異音発生部材76に引き続き心線74が巻き付けられる。異音発生部材76は、成型金型82の中心軸Gに垂直な平面、すなわち水平面に対して、所定の角度だけ傾いた方向に沿って螺旋状に巻き付けられている。心線74は、先に巻き付けられた異音発生部材76の上に、水平面に対して異音発生部材76より小さい角度で傾いた方向に沿って、異音発生部材76よりも密に巻き付けられる。
図10は、歯布64の外周部に巻き付けられた心線74と異音発生部材76とを、歯底部75において歯布64を取り除いて成型金型82の内側から見た拡大図である。
矢印Hは、中心軸Gに垂直な平面である水平面を示し、矢印Iは、心線74が巻き付けられる方向を示す。心線74は、ほぼ水平面に沿って、所定の間隔で巻かれるため、矢印Hの示す方向と矢印Iが示す方向との傾きは非常に小さい。一方、異音発生部材76は、矢印Jが示す、水平面に対して角αだけ傾いた方向に沿って、やはり一定の間隔で巻き付けられる。異音発生部材76が配置される間隔である異音発生部材間隔76Dは、心線74の配置間隔である心線間隔74Dよりも広い。このように、心線74と異音発生部材76とは、製造時に互いに異なる方向に沿って歯布64上に巻き付けられ、歯布64の単位幅当たりに巻き付けられる本数は、異音発生部材76の方が心線74よりも少ない。
心線74と異音発生部材76とがこのように配置される結果、タイミングベルト60の動作時にプーリ26から荷重を受けても、異音発生部材76は、心線74の間隙である心線間隔74Dに変位することなく、心線74から成る層と歯ゴム層62との間に維持される。
歯ゴム異音発生部材76は、タイミングベルト60の使用による摩耗等で、表面に露出した場合にプーリ26と接触して異音を発生するためのものであり、心線74ほど緊密に巻き付けられる必要がないため、異音発生部材間隔76Dは心線間隔74Dよりも広いが、必要に応じて変更しても良い。
心線74及び異音発生部材76が歯布64の外周部に巻き付けられた後に加硫工程が終了すると、加硫成型されたタイミングベルトスラブが、矢印Hが示す成型金型82の水平面に沿って所定の幅に切断されてタイミングベルト60となる。従って、心線76は、タイミングベルト60の長手方向にほぼ平行に配置され、異音発生部材76は、ベルト長手方向に対しておよそ角αだけ傾いた方向に沿って配置される。なお、タイミングベルト60の製造方法においては、コード状の異音発生部材76を、心線74と異なる方向に沿って巻きつける点以外は、従来公知の技術に従って実施される。
図11は、長期間に渡り使用されたタイミングベルト60の歯底部に摩耗が生じ、異音発生部材76が表面に露出した状態を示す概略図である。
長期に渡る使用により歯底部が摩耗すると、摩耗部位の表面に異音発生部材76が露出する。そして、異音発生部材76が金属製のプーリ歯28と接することにより異音が発生する。露出した異音発生部材76に対して、プーリ歯28との接触により荷重が加わるものの、異音発生部材76と異なる方向に沿って、異音発生部材76よりも緊密に配置された心線74により、異音発生部材76が背ゴム層72に埋没することが防止される。なお、図11においては、タイミングベルト60内の異音発生部材76と心線74との位置関係を明確にするため心線74が示されているが、ステンレス製の異音発生部材76が露出すると異音が生じ、タイミングベルト60の使用は中止されるため、異音発生部材76の下に埋設された心線74は、実際の摩耗によっては露出しない。
発生した異音は、第1の実施形態と同様に、タイミングベルト寿命予知システム55により検出され、ユーザは、タイミングベルト10の故障を予め知ることができる。
以上のように、第2の実施形態によれば、歯ゴム層62内にあって、歯底部75と接する異音発生部材76を備えたタイミングベルト60が製造される。タイミングベルト60は、本発明のタイミングベルトの寿命予知システムにおいて用いられるため、ユーザは、タイミングベルト60の破断及び交換必要性を予知できる。
異音発生部材16及び76は、共に使用されるプーリ26を形成する材質よりも硬度が低い材質により形成されており、異音発生時においてもプーリ26の表面に損傷を与えない。
第1の実施形態のタイミングベルトを示す断面図である。 プーリに係合する第1の実施形態のタイミングベルトを示す断面図である。 予成型を示す図である。 歯ゴム層材料の押圧工程を示す図である。 タイミングベルト中間体を示す図である。 タイミングベルト寿命予知システムを示す概略図である。 第2の実施形態のタイミングベルトを示す断面図である。 第2の実施形態のタイミングベルト製造における加硫工程を示す図である。 第2の実施形態のタイミングベルト製造における心線の巻き付け工程を示す図である。 歯底部において、歯布の外周部に巻き付けられた心線と異音発生部材とを、歯布を取り除いて成型金型の内側から見た拡大図である。 第2の実施形態のタイミングベルトにおいて、摩耗により異音発生部材が表面に露出した状態を示す概略図である。
符号の説明
10、60 タイミングベルト
12、62 歯ゴム層(歯ゴム)
14、64 歯布
16、76 異音発生部材
18 第1接着ゴム層(接着層)
20 第2接着ゴム層(接着層)
24、74 心線
32 予成型ドラム
42 歯布成型体
43 歯ゴム一体化物
50 タイミングベルト中間体
55 タイミングベルト寿命予知システム
56 マイクロフォン(音センサ)
58 CPU(異音判断手段)
59 ランプ(警告手段)

Claims (6)

  1. 歯部を形成する歯ゴムと、
    前記歯部の表面を被覆する歯布と、
    前記歯部の歯底部を覆う歯布に接するように前記歯ゴム内に埋設されたコード状の異音発生部材とを備え、
    前記異音発生部材が、前記歯布の摩耗によりタイミングベルトの表面に露出すると、プーリとの接触により異音を生じることを特徴とするタイミングベルト。
  2. 前記異音発生部材が、有機金属塩を含むゴムにより接着処理を施されたことを特徴とする請求項に記載のタイミングベルト。
  3. 前記異音発生部材が、金属製であることを特徴とする請求項に記載のタイミングベルト。
  4. 前記歯ゴムが、有機金属塩を含むゴムを主成分とする接着成分を含むことを特徴とする請求項に記載のタイミングベルト。
  5. 前記異音発生部材に接するように、長手方向に沿って埋設された心線をさらに有し、
    前記異音発生部材と前記心線とが、交差するように互いに異なる方向に沿って埋設されていることを特徴とする請求項に記載のタイミングベルト。
  6. 円筒状の外周面に所定のピッチで歯溝が設けられた成型金型に、歯布を装着し、コード状の異音発生部材を第1の方向に沿って前記歯布の外周部に螺旋状に巻き付け、
    前記異音発生部材の上に、心線を前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って螺旋状に巻き付け、さらに板状の歯ゴム材料を前記心線を覆うように取付けた後に、加硫処理を施すことを特徴とするタイミングベルトの製造方法。
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