JP4204283B2 - コーナーキューブアレイの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置などにおいて好適に用いられるコーナーキューブアレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクロレンズ、マイクロミラー、マイクロプリズムなどの、非常にサイズが小さい光学素子(マイクロ光学素子)の開発が進められており、光通信や表示装置の分野で利用されている。このようなマイクロ光学素子の実現によって、光学技術及びディスプレイ技術の分野が一段と発展・充実することが期待されている。
【0003】
このような光学素子として、立方体の一隅に対応する形状を持ち、互いに直交する3面を有するコーナーキューブを規則的に配列することで得られるコーナーキューブアレイを用いた反射板(コーナーキューブリフレクタ)が知られている。コーナーキューブリフレクタは、入射された光を複数の反射面で反射することによって入射方向にかかわらず光を元の方向に反射させる再帰性反射板の1つである。以下、コーナーキューブアレイの従来の作製方法を説明する。
【0004】
(プレート法)
プレート法では、互いに平行な二平面を持つ平板を複数枚重ねあわせ、この重ね合わせた平板の端面において、平面に対して垂直な方向に等しいピッチでV溝を切削し、頂角が約90°の連続する屋根型の突起群を形成する。次に、各々の平板上に形成された屋根型突起群の屋根の頂部が隣接する平板上に形成されたV溝の底部に一致するように各平板を配置させることによってコーナーキューブアレイ用の金型を作製し、これを用いてコーナーキューブアレイを作製する。ただし、この方法では、屋根型の突起が形成された平板を隣接する平板に対して適切な位置関係を有するように精度良く並べ換えて固定する必要があるため、サイズの小さいコーナーキューブ(例えば100μm以下)を作製することは困難である。
【0005】
(ピン結束法)
ピン結束法では、六角柱形状を有する金属のピンの先端に、互いに直交する正方形の3面を有するプリズムを設け、それらを何本も束ねてプリズム集合体を作製する。近接する3つのピンのそれぞれに設けられたプリズムの各1面ずつを用いてコーナーキューブが形成される。ただしこの方法では、別々のピンに形成されたプリズムを集めてコーナーキューブを形成するため、サイズの小さいコーナーキューブを作製することは実際には困難である。この方法を用いて作製できるコーナーキューブの寸法は、1mm程度が限界である。
【0006】
(三角プリズム法)
三角プリズム法では、金属等の平板の表面に三方向からV溝を切削することによって三角錐状の複数の突起を形成し、これを型として用いてプリズム集合体を形成する。ただし、この方法では、形成可能なプリズム形状が三角錐状のプリズムに限定される。また、特許文献1には、光化学的な手法を用いてコーナーキューブアレイを作製する方法が記載されている。この方法では、複数の正三角形の透過領域を有するマスクを用いてフォトレジストのパターニングを行なうが、マスクの各透過領域の透過率は、透過領域の中心部から周辺部に向かって次第に減少している。このマスクを用いて露光および現像を行なうことによって、複数の三角錐状のフォトレジストが基板上に形成される。このフォトレジストが形成された基板に対して所定の方法でエッチングを行なうことによって、基板上にはフォトレジストの形状と同様の突起が形成される。これによりコーナーキューブを作製することが可能である。
【0007】
さらに、非特許文献1には、互いに直交する正方形の3面からなる立方体型のコーナーキューブを微細なサイズで作製する技術が記載されている。この論文によれば、シリコン基板上に、結晶成長を制御するための酸化膜を局所的に配置し、この基板上で結晶をエピタキシャル成長させることによって、微細なコーナーキューブアレイを作製することが可能である。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−205322号公報
【非特許文献1】
Applied Optics Vol.35, No19 pp3466-3470における"Precision crystal corner cube arrays for optical gratings formed by (100) silicon planes with selective epitaxial growth"
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
コーナーキューブリフレクタは、例えば、液晶表示装置などにおいて用いられる。ただし、液晶表示装置に用いる場合、コーナーキューブのサイズは非常小さい(例えば100μm以下)ことが好ましい。
【0010】
しかしながら、上述のプレート法、ピン結束法などのような機械的にコーナーキューブを作製する方法では、このような微細なコーナーキューブを形成することは製造工程上困難である。また、上述のような方法を用いてコーナーキューブリフレクタを作製した場合、各反射面の鏡面性が低くなり、反射面の交差部におけるコーナー曲率(R)が大きくなるため、再帰反射させる効率が低くなるという問題も生じる。また、三角プリズム法では、凹部と凸部とを含む立体形状を有する、直交する正方形3面から構成される立方体型のコーナーキューブを作製することができない。
【0011】
また、上記の特許文献1に記載されているような光化学的な手法を用いて作製されたマイクロコーナーキューブは、その側面の面精度(平面性)を高くすることが困難である。上記手法では、マイクロコーナーキューブの側面の面精度は、基板上に形成する三角錐状のフォトレジストの面精度に依存し、このフォトレジストの面精度を高めるには、マスクの透過率または遮光率の変化率を均一にするなどして、フォトレジストの露光・現像プロセスを厳密に制御する必要がある。しかし、このようなことは実際には困難である。
【0012】
また、シリコンの選択成長を利用した非特許文献1に記載されている手法は、結晶の側方成長を制御することが難しい上に、シリコン酸化膜と成長させる膜との端面での歪みの影響が大きいため、良好な形状を持つマイクロコーナーキューブアレイを作製することは困難である。
【0013】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、微細で且つ形状精度が高いコーナーキューブアレイの製造方法を提供することをその目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のコーナーキューブアレイの製造方法は、複数の凹部が形成された基板を用意する工程と、前記複数の凹部のそれぞれにおいて、前記基板の一部を前記基板から除去することによって前記凹部間に複数の凸部を形成する工程とを包含し、前記複数の凸部を形成する工程において、前記凸部の少なくとも一部を含むように構成されたコーナーキューブ単位要素が、前記複数の凹部に対応する位置にそれぞれ形成される。
【0015】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凸部を形成する工程は、前記基板に対して異方性のエッチングを行なう工程を包含する。
【0016】
ある好ましい実施形態において、前記異方性のエッチングは、ウエットエッチングである。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凸部を形成する工程は、前記異方性のエッチングを行なう工程の前に、前記基板上に、エッチングマスク層を設ける工程をさらに包含する。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記エッチングマスク層のマスク部分は前記複数の凹部を実質的に覆わないように配置される。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記基板は、立方晶系の結晶からなる単結晶基板である。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記基板の、前記複数の凹部が形成された面は、前記結晶の{111}面と実質的に平行であり、前記異方性のエッチングによって、互いに直交する略正方形の3つの{100}面から構成された前記コーナーキューブ単位要素が形成される。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凹部のそれぞれは、3つの直角二等辺三角形と正三角形とを含む三角錐形状を有し、前記正三角形の各辺は、前記結晶の{100}面と実質的に平行である。
【0022】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凹部は、ハニカム格子点上に位置する。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凹部が形成された基板を用意する工程は、放電加工法によって前記複数の凹部を前記基板上に形成する工程を包含する。
【0024】
ある好ましい実施形態において、前記複数の凹部が形成された基板を用意する工程は、ドライエッチング法によって前記複数の凹部を前記基板上に形成する工程を包含する。
【0025】
前記複数の凸部を形成する工程の後に、前記基板の表面形状を転写材料に転写する工程を行なっても良い。
【0026】
このような方法によれば、凸部と凹部とを有するコーナーキューブアレイを比較的微細なサイズ(例えばコーナーキューブ単位要素のサイズが100μm以下)で良好に作製することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0028】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態として、立方晶単結晶基板としてガリウム砒素基板を用いて、この基板上に放電加工によって複数の凹部を設けるとともにウエットエッチングを行なうことで直交する正方形の3面から構成されるコーナーキューブのアレイを作成する方法を説明する。
【0029】
まず、図1(a)に示すように、閃亜鉛構造を有するガリウム砒素単結晶の(111)B面にその表面が実質的に平行なガリウム砒素単結晶基板1を用意する。なお、本明細書において単結晶基板という場合、基板全体が単結晶からなる基板だけでなく、非晶質や多結晶の材料からなる支持基板の上に単結晶層を有する基板を含むものとする。また、この基板は、平坦な表面を含む限り平板状に限らず種々の形状であり得る。
【0030】
この基板1に対して、放電加工装置において、三角錐状の凸部2aを有する加工側電極2を用いて放電加工を行なう。これにより、電極2の形状に従って、図1(b1)および図1(b2)に示すような、複数の三角錐状の凹部1aがアレイ状に形成された基板1を得ることができる。ガリウム砒素単結晶基板1は、半導体であるため、不純物をドープすることにより、放電加工を実施することができる。ただし、不純物をドープしない場合でも、電界加工によってガリウム砒素単結晶基板1の表面を上記形状に加工することが可能である。例えば、ガリウム砒素単結晶基板1をNaOH液中にいれ、50V程度の電圧を印加したNi製工具をガリウム砒素単結晶基板1の表面に当てることにより、約10秒で深さ100μm程度の三角錐状凹部1aを形成することが可能である。
【0031】
また、放電加工と電界加工とを組み合わせることにより、ガリウム砒素単結晶基板1の表面で熱間塑性変形を行い、上記凹部1aを形成することも可能である。
【0032】
加工側電極2の凸部2aは、好ましくは、立方体の一隅に対応する三角錐形状を有している。このような加工側電極2を用いれば、基板上に形成される凹部1aもまた、立方体の一隅に対応する三角錐形状に近い形状を有するものとなる。このようにして形成された凹部1aは、好適には、3つの直交する直角二等辺三角形と正三角形とで規定される三角錐形状となる。このような形状を有する凹部1aは、三角錐の底面の一辺が、例えば、1〜100μmとなるような寸法で設けられる。
【0033】
また、基板1における三角錐状凹部1aを規定する面が、ガリウム砒素基板1の{100}面に近い面として形成されるように、基板1と加工側電極2の向きが設定される。すなわち、電極2の三角錐状凸部2aの底面を規定する正三角形の一辺が、ガリウム砒素基板の{100}面(すなわち(100)面、(010)面または(001)面)と略平行になるように、あるいは、<01−1>方向と略平行になるように、電極2と基板1との配置が決定される。
【0034】
さらに、基板1上において、三角錐状の凹部1aのアレイは、それぞれの凹部1aの重心(ここでは凹部1aの頂点)がハニカム格子点上に位置するように形成されている。ここで、ハニカム格子点とは、合同な正六角形を隙間なく敷き詰めた場合における、各正六角形の頂点と各正六角形の重心点とに対応する点を指す。あるいは、第1の方向に延びる等間隔(所定間隔)の複数の平行線と、上記第1の方向とは60°異なる第2の方向に延びる、等間隔かつ上記所定間隔と同一の間隔の複数の平行線との交点に対応する点を指す。
【0035】
以下、図2を参照しながら、上述のような凹部1aを形成するために用いられる加工側電極2の作製方法を説明する。
【0036】
まず、図2(a)に示すように平坦面を有する金属平板4を用意する。金属平板4は、例えばNiやステンレスなどの金属材料から形成される。この金属平板3に対して、立方体の一隅の形状をした三角錐状のピン先3aを有する高硬度のピン3を、例えば、約10μmピッチ、深さ約5μmで順次型押ししていく。これによって、金属平板4には複数の三角錐状の凹部4aが形成される。なお、ピン3は、例えば超硬材料から形成された丸棒を四角錐形状に研磨することによって作製され得る。
【0037】
このとき、金属平板4の板面内における互いに60°異なる3方向において凹部4aが列を為すように複数の凹部4aを設ける。これによって、図2(b1)および図2(b2)に示すように、それぞれがハニカム格子点上に位置する凹部4aのアレイを作製することができる。
【0038】
その後、図2(c)に示すように、この平板4を母型として電鋳法により転写型をとることによって、加工側電極2を作製することができる。この加工電極2の凸部2aは、金属平板4に形成された凹部4aの配列と同様に、その頂点がハニカム格子点上に存在するように配置される。また、各凸部2aは、立方体の一隅に対応した三角錐形状、すなわち、3つの直角二等辺三角形と正三角形とで規定される三角錐形状を有する。
【0039】
以下、再び図1を参照しながら、上述のようにして得られた、複数の凹部1aが形成されたガリウム砒素単結晶基板1において、コーナーキューブアレイを作製する工程を説明する。
【0040】
図1(c)に示すように、まず、凹部1aが形成された基板1上にスピンコート法によってポジ型フォトレジスト層5を最も薄い所で厚みが1μmとなるように塗布する。次に、図3に示すように、凹部1aのパターンに対応するパターンを有する、正三角形の遮光領域6と透過領域7とを含むフォトマスク8を配置してフォトレジスト層5の露光および現像を行なう。なお、フォトレジスト層5としては、例えば、OFPR−800(東京応化社製)を用いることができ、フォトレジスト層5を現像する現像液としては、例えば、NMD−32.38%(東京応化社製)を用いることができる。
【0041】
このようにして、図1(d)に示すようなレジストマスクパターン(エッチングマスク層)20が基板1上に形成される。このエッチングマスク層20は、残存するレジストからなるマスク部分20aと、レジストが除去された部分である開口部分20bとを有する。より具体的には、エッチングマスク層20は、その開口部分20bが、基板1に形成された三角錐状凹部1aおよびその近傍に位置し、そのマスク部分20aが、凹部1aを実質的に覆わないように形成される。
【0042】
次に、図1(f)に示すように、エッチングマスク層20が設けられたガリウム砒素基板に対して異方性のウエットエッチング工程を行う。エッチング液9としては、例えば、硫酸:過酸化水素水:水=5:4:1の混合液9を使用することができる。例えば、エッチング温度は20度に設定され、エッチング時間は60秒に設定される。このようにしてウエットエッチング工程を行った場合、ガリウム砒素単結晶の{100}面は他の結晶面(例えば、{111}B面(砒素が形成する(111)面))よりもエッチングされにくいため、{100}面に沿って基板1のエッチングが進行する。
【0043】
なお、この工程において、{100}面でのエッチング速度が{111}B面に比べて遅いほど、エッチング後に平坦な{100}面が形成されやすい。このため、エッチング液としては、{100}面に対するエッチング速度が、{111}B面に対するエッチング速度よりもある程度大きいものを用いることが好ましく、より具体的には、エッチング速度比が約1.73以上であることが望ましい。
【0044】
本実施形態では、基板1に予め形成された三角錐状の凹部1aにおいて、この凹部1aから異方性のウエットエッチングが行なわれ、基板1の一部が基板1から除去される。これによって、基板1に予め形成された凹部1aの位置に凹部10aが形成されるとともに、凹部1a間に対応する位置に複数の凸部10bが形成される。このように予め凹部が形成された基板に対して異方性のエッチングを行なえば、凹部を形成せずにエッチングを行なう場合に比べてより所望の形状に近い状態からエッチングが開始されるので、エッチング後に得られる基板表面の形状を所望の形状としやすい。また、エッチングの諸条件についてのマージンが広がるという利点もある。
【0045】
この結果、図1(g)および図4(a)および(b)に示すようなコーナーキューブアレイ10が基板1上に形成される。各コーナーキューブ(単位要素)10Uは、互いに直交する略正方形の3面S1、S2、S3で構成される立方体型コーナーキューブ形状を有する。この3面S1、S2、S3は、好適には、ガリウム砒素単結晶の{100}面((100)面、(010)面、(001)面)である。
【0046】
また、コーナーキューブアレイ10は、凸点(白丸で示す最も高い所)を含む複数の凸部10aと、凹点(黒丸で示す最も低い所)を含む複数の凹部10bとによって構成される。コーナーキューブ10Uのそれぞれは、凸部10aの一部と凹部10bとを含み、基板1に予め設けた凹部1aのそれぞれに対応した位置に形成される。また、コーナーキューブ10Uのサイズ(または配列ピッチ)は、基板1に設けた凹部1aの配列ピッチ(本実施形態では約10μm)と同等のものとなる。本実施形態の方法によれば、凹部1aの配列ピッチを適切に選択することによって、1〜100μmのサイズを有するコーナーキューブ10Uを良好に作製することが可能である。
【0047】
以上に説明した本実施形態の方法によれば、形状精度の高い微細なコーナーキューブアレイ10を作製することが可能である。作製されたコーナーキューブアレイ10において、コーナーキューブ10Uを構成する3面S1、S2、S3の平面性は良好であり、各面が交わる部分(角部または稜)の形状はシャープである。さらに、コーナーキューブアレイ10は、規則的に配列された複数の凹凸10a、10bを含む立体形状を有するが、各凹凸の頂点の高さレベルが揃っている。このようにして、凸部と凹部とを併せ持つマイクロコーナーキューブアレイの作製において、凹部を作製する工程と凸部を作製する工程とを別個に行なうことにより、良好な形状を持つマイクロコーナーキューブアレイを作製することができる。特に、立方晶単結晶基板を用い、先に凹部を基板に形成しておき、後に凸部を異方性エッチングのように自発的に目的の斜面が形成されるような手法で作製することにより、良好な形状を持つマイクロコーナーキューブアレイを作製することができる。
【0048】
なお、このようにしてコーナーキューブアレイ10が形成された基板1から、電鋳法などによってコーナーキューブアレイの金型を作製することができる。このようにして形成された金型を用いて、ローラなどを用いて樹脂材料(転写材料)に基板の表面形状を転写するようにすれば、コーナーキューブアレイを量産することが可能である。
【0049】
また、以上のようにして作製されたコーナーキューブアレイの表面に、アルミニウムや銀などの薄膜を蒸着法などによって形成し、反射領域を形成することによって、再帰性反射板として機能するコーナーキューブリフレクタを作製することができる。作製されたコーナーキューブリフレクタは、例えば、反射型液晶表示装置(例えば、高分子分散型液晶表示装置(米国特許第5,182.663号に記載)や、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどにおいて好適に用いられ得る。
【0050】
なお、以上に説明した実施形態では、単結晶基板としてガリウム砒素基板を用いる例を説明したが、基板はこれに限られず他の材料から形成されていてもよい。例えば、シリコン単結晶基板を用いて、異法性のエッチングにより凸部を形成することもできる。
【0051】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態として、立方晶単結晶基板としてガリウム砒素基板を用い、この基板上にドライエッチングによって複数の凹部を設けるとともにウエットエッチングを行なうことによって直交する正方形の3面から構成されるコーナーキューブのアレイを作成する方法を説明する。
【0052】
まず、図5(a)に示すように、表面が実質的に(111)B面に実質的に平行なガリウム砒素単結晶基板1を用意し、この基板1上に樹脂膜11をスピンコート法にて5μmの厚みで塗布する。樹脂層11の材料としては、アクリル系樹脂材料を用いることができる。
【0053】
次に、図5(b)に示すように、80度程度の熱を付与しながら、複数の三角錐状凸部12aを有する樹脂型12をローラー13を用いて樹脂層11に押し付けた後、樹脂型12を離型することにより、三角錐状凹部11aがアレイ状に並んだ樹脂層11を得ることができる。なお、樹脂型12は、例えば、実施形態1で説明した加工電極2を作製する工程において用いられる三角錘状凹部4aが形成された金属平板4(図2参照)を型として用いて樹脂材料を成形することによって作製することができる。
【0054】
樹脂型12の三角錐状凸部12aは、好ましくは、立方体の一隅に対応する三角錐形状を有している。このような樹脂型12を用いれば、樹脂層11に形成される凹部11aもまた立方体の一隅に対応する三角錐形状に近い形状を有するものとなる。このようにして形成された凹部11aは、好適には、3つの直交する直角二等辺三角形と正三角形とで規定される三角錐形状となる。
【0055】
次に、図5(c)に示すように、アルゴンガスによるドライエッチングを施すことにより、図5(d)に示すように、複数の三角錘状凹部1aがガリウム砒素基板1上に形成される。ドライエッチングは、例えばアルゴン流量を20sccmに設定し、室温で40分間行えばよい。なお、この凹部1aは、好適には、実施形態1と同様の形状およびパターンで形成される。このような凹部1aの形成は、上記の工程においいて、適切な樹脂型12を用いて、適切な形状やパターンで樹脂層11に凹部11aを形成することによって容易に実現できる。
【0056】
このようにして複数の凹部1aが形成されたガリウム砒素単結晶基板1に対して、実施形態1と同様のウエットエッチング工程を行なうことによってコーナーキューブを作製することができる。以下、実施形態1と同様であるため、各工程を簡単に説明する。
【0057】
まず、図5(e)に示すように、基板1上にスピンコート法にてポジ型フォトレジストを塗布する。次に、図5(f)および図5(g)に示すように、露光・現像工程において、遮光領域6および透過領域7を有するフォトマスク8(図3参照)を配置し、レジストマスクパターン(エッチングマスク層)20を形成する。エッチングマスク層20は、マスク部分20aと開口部分20bとを有するが、三角錐上凹部1aおよびその近傍には開口部20bが位置する。
【0058】
次に、図5(h)に示すように、ウエットエッチング工程を行う。エッチング液9として硫酸:過酸化水素水:水=5:4:1の混合液を使用し、エッチング温度は20度とし、エッチング時間は60秒とする。
【0059】
このようにして、本実施形態においても、予め形成された三角錐状の凹部1aにおいて、この凹部1aから異方性のウエットエッチングが行なわれ、基板1の一部が基板1から除去される。これによって、基板1に予め形成された凹部1aの位置に凹部10aが形成されるとともに、凹部1a間に対応する位置に複数の凸部10bが形成される。
【0060】
これにより、実施形態1と同様に、図5(i)および図4(a)および(b)に示すようなコーナーキューブアレイ10が得られる。各コーナーキューブ(単位要素)10Uは、互いに直交する略正方形の3面S1、S2、S3で構成される立方体型コーナーキューブ形状を有する。この3面S1、S2、S3は、好適には、ガリウム砒素単結晶の{100}面((100)面、(010)面、(001)面)である。
【0061】
なお、このようにしてコーナーキューブアレイ10が形成された基板1から、電鋳法などによってコーナーキューブアレイの金型を作製することができる。このようにして形成された金型を用いて、ローラなどを用いて樹脂材料(転写材料)に基板の表面形状を転写するようにすれば、コーナーキューブアレイを量産することが可能である。
【0062】
また、以上のようにして作製されたコーナーキューブアレイの表面に、アルミニウムや銀などの薄膜を蒸着法などによって形成し、反射領域を形成することによって、再帰性反射板として機能するコーナーキューブリフレクタを作製することができる。作製されたコーナーキューブリフレクタは、例えば、反射型液晶表示装置(例えば、高分子分散型液晶表示装置(米国特許第5,182.663号に記載)や、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどにおいて好適に用いられ得る。
【0063】
なお、以上に説明した実施形態では、単結晶基板としてガリウム砒素基板を用いる例を説明したが、基板はこれに限られず他の材料から形成されていてもよい。例えば、ゲルマニウム単結晶基板を用いることもできる。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の凹部が形成された基板において、各凹部から基板の一部を除去することで複数の凸部を形成することによってコーナーキューブアレイが形成される。このようにすることで、凹部と凸部とを有するコーナーキューブアレイを微細にかつ所望の形状で作製することが可能である。
【0065】
特に、適切に凹部が形成された立方晶単結晶基板を用いて、異方性エッチングのように自発的に目的の斜面が形成されるような手法で凸部を作製するようにすれば、良好な形状を持つコーナーキューブアレイを作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のコーナーキューブアレイ作製工程を示す図であり、(a)〜(g)はそれぞれ別の工程を示す。
【図2】本発明の実施形態1で用いられる加工側電極の作製工程を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ別の工程を示す。
【図3】本発明の実施形態1および2で用いられるフォトマスクを示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態1および2によって作製されたコーナーキューブアレイの一部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2のコーナーキューブアレイ作製工程を示す図であり、(a)〜(i)はそれぞれ別の工程を示す。
【符号の説明】
1 ガリウム砒素単結晶基板
2 加工側電極
3 ピン
4 金属平板
5 フォトレジスト
6 フォトマスク遮光領域
7 フォトマスク透過領域
8 フォトマスク
9 エッチング液
10 コーナーキューブアレイ
11 樹脂層
12 樹脂型
13 ローラー
20 エッチングマスク層

Claims (16)

  1. 複数の凸部の設けられた表面を有する電極を用いて前記基板を加工することにより、前記基板に、前記電極の前記表面における前記複数の凸部に対応する複数の凹部を形成する工程と、
    前記基板の前記複数の凹部のそれぞれにおいて、前記基板の一部を前記基板から除去することによって前記凹部間に複数の凸部を形成する工程と
    を包含し、
    前記基板に前記複数の凸部を形成する工程において、前記凸部の少なくとも一部を含むように構成されたコーナーキューブ単位要素が、前記複数の凹部に対応する位置にそれぞれ形成されるコーナーキューブアレイの製造方法。
  2. 前記基板に前記複数の凹部を形成する工程は、放電加工法および電界加工法の少なくとも一方を行う工程を包含する請求項に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  3. 複数の凸部の設けられた表面を有する樹脂型を用いて、前記基板に、前記複数の凸部に対応する複数の凹部を形成する工程と、
    前記基板の前記複数の凹部のそれぞれにおいて、前記基板の一部を前記基板から除去することによって前記凹部間に複数の凸部を形成する工程と
    を包含し、
    前記基板に前記複数の凸部を形成する工程において、前記凸部の少なくとも一部を含むように構成されたコーナーキューブ単位要素が、前記複数の凹部に対応する位置にそれぞれ形成されるコーナーキューブアレイの製造方法。
  4. 前記基板に前記複数の凹部を形成する工程は、前記樹脂型を前記基板上に設けられた樹脂層に押し当てることにより、前記樹脂層に、前記樹脂型の前記表面における前記複数の凸部に対応した複数の凹部を形成した後、エッチングにより、前記樹脂層および前記基板の一部を除去する工程を包含する、請求項3に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  5. 前記基板に前記複数の凹部を形成する工程は、ドライエッチング法を行う工程を包含する請求項3または4に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  6. 前記複数の凹部を形成する工程において前記表面の前記複数の凸部のそれぞれは三角錐形状である、請求項1から5のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  7. 前記基板に前記複数の凹部を形成する工程において、前記基板の表面に、前記複数の凹部および平坦面が設けられている、請求項1から6のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  8. 前記基板に前記複数の凸部を形成する工程は、前記基板に対して異方性のエッチングを行なう工程を包含する請求項1から7のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  9. 前記異方性のエッチングは、ウエットエッチングである請求項に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  10. 前記基板に前記複数の凸部を形成する工程は、前記異方性のエッチングを行なう工程の前に、前記基板上に、エッチングマスク層を設ける工程をさらに包含する請求項に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  11. 前記エッチングマスク層のマスク部分は前記複数の凹部を実質的に覆わないように配置される請求項10に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  12. 前記基板は、立方晶系の結晶からなる単結晶基板である請求項1から11のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  13. 前記基板の、前記複数の凹部が形成された面は、前記結晶の{111}面と実質的に平行であり、前記異方性のエッチングによって、互いに直交する略正方形の3つの{100}面から構成された前記コーナーキューブ単位要素が形成される請求項12に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  14. 前記複数の凹部のそれぞれは、3つの直角二等辺三角形と正三角形とを含む三角錐形状を有し、前記正三角形の各辺は、前記結晶の{100}面と実質的に平行である請求項13に記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  15. 前記複数の凹部は、ハニカム格子点上に位置する請求項1から14のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
  16. 前記基板に前記複数の凸部を形成する工程の後に、前記基板の表面形状を転写材料に転写する工程をさらに包含する請求項1から15のいずれかに記載のコーナーキューブアレイの製造方法。
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