JP4203992B2 - 洗濯機用水栓設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯機用水栓設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗濯機用パンは、通常、床面等の設置部に設置されると共に、その主要部を構成するパン本体に所定の洗濯機を搭載する。かかる洗濯機に給水を行うための洗濯機用水栓設備の中には、その水栓本体等を設置部の壁面から突出する状態に配置するものがある。かかる洗濯機用水栓設備では、その水栓本体等が設置部の室内に露呈し、この室内の美観を低下させる等の不具合を有している。このため、このような不具合を解消するために、洗濯機用パンや設置部に設置されるタイプの洗濯機用水栓設備が提案されている(以下、「従来例」という。特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−96649号公報(図1〜図3等参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例に係る洗濯機用水栓設備等では、使用可能な地域が限定される可能性がある。例えば、前記従来例には、内部に止水機構部を備える水栓本体(特許文献1の各図に示す水栓器具14a、14b)と、この水栓本体の2次側の接続口に接続される配管構成部材(特許文献1の各図に示す吐水配管3及び吐水パイプ4で構成)とを備えた洗濯機用水栓設備が例示されているが、この洗濯機用水栓設備においては、配管構成部材において止水機構部よりも下方に位置する部分が存在する。(つまり、特許文献1の各図から判断すると、吐水配管3の全域及び吐水パイプ4の下方側部分が、止水機構部よりも下方に位置している。)。
【0005】
また、図5に示すように、従来の洗濯機用水栓設備3D等の中には、止水機構部36eの2次側に形成される「2次側の流路部Y」において、配管構成部材30Kの他にも、止水機構部36eより下方に位置する部分を有するものがある。例えば、水栓本体31において止水機構部36eの2次側に形成される「2次室36b」においても、止水機構部36eよりも下方に位置する部分を有するものがある。
【0006】
これらの洗濯機用水栓設備(3D)等を寒冷地において使用する場合には、たとえ、その1次側に水抜き装置を設置しても、「凍結防止用の水抜き」を確実に行うことが容易ではない。つまり、これらの洗濯機用水栓設備(3D等)においては、その1次側に配置される水抜き装置(図示を省略)を操作し、洗濯機用水栓設備(3D等)の全流路部内(止水機構部36eの1次側の流路部V及び2次側の流路部Y内)の圧力を減圧しても、止水機構部(36e等)の2次側の流路部(Y等)内の残水を確実に排水できないことがある。
【0007】
特に、図5に示すように、連絡用配管50等を用い、洗濯機用水栓30の水栓本体31と離間する位置に、吐水口を配置する洗濯機用水栓設備3Dにおいては、止水機構部36eの2次側の流路部(Y等)の長さが、連絡用配管50等の全長分だけ、長くなるため、前記排出されない「残水」の量が多くなる可能性がある。
【0008】
このように、確実な水抜きが困難な「洗濯機用水栓設備」を、寒冷地等で使用すると、凍結破壊等の不具合を生ずる可能性がある。よって、これらの従来例に係る「洗濯機用水栓設備」は、専ら、非寒冷地(温暖地等の寒冷地以外の地を指す。)で使用され、汎用性が低いものとなっていた。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、非寒冷地であるか、寒冷地であるかを問わずに、使用可能な洗濯機用水栓設備を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の洗濯機用水栓設備は、
所定の洗濯機用パン及び該洗濯機用パンの設置部を構成する床面のうちの少なくとも一方に配置される洗濯機用水栓設備であって、
1次側の接続口を入口とする1次室、及び、2次側の接続口を出口とする2次室を備えると共に、該1次室と該2次室との連通及び非連通を択一的に選択するための止水機構部を備え、内部空間が隔壁によって区画され、該隔壁の略鉛直下方に前記1次室を設け、該隔壁の上方に前記2次室を略水平に設けた水栓本体を具備する洗濯機用水栓と、
前記床面に沿って水栓本体と離間する位置に軸心を上下方向に向けた状態で配設され、吐水口を構成する吐水口部材と、
前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部を、略垂設状に配置されて2次側の端部を構成する立ち上がり部分と、1次側から2次側に向かう上がり傾斜状の経路部分若しくは1次側から2次側に向かって上昇する曲線状の経路部分と、で構成すると共に
前記止水機構部を、前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部よりも下方に設けることを特徴とする。
【0011】
請求項1の発明では、「2次室」と、「吐水口部材の1次側の端部と水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部」と、「吐水口部材」と、で構成される「2次側の流路部」を、水平経路部及び上昇経路部で構成する。しかも、止水機構部を、「2次側の流路部」よりも下方に設ける。つまり、「2次側の流路部」が水溜まり部(例えば、下方若しくは上方に凸となる略U字状、若しくは、V字状の経路部分)を排除した経路を形成する。このため、例えば、洗濯機用水栓設備の1次側に配置される水抜き装置を操作し、洗濯機用水栓設備の全流路部内(止水機構部の1次側及び2次側の流路部内)の圧力を減圧すると、止水機構部の2次側の流路部内の残水を確実に排水できる。従って、請求項1の発明によると、同一仕様であるにも係わらず、非寒冷地であるか、寒冷地であるかを問わず、使用可能な洗濯機用水栓設備が得られる。
【0012】
ここで、請求項1〜の各発明(以下、単に「各発明」という。)において、2次側の流路部の「高さ」を、例えば、2次側の流路部を構成する各部位の高さ方向に沿った中心位置で示すことができる。例えば、2次側の流路部が円筒状(管状)の部位を備える場合には、この部位の軸心の位置によって「高さ」を示すことができる。
【0015】
各発明の洗濯機用水栓は、水道配管から供給される水を洗濯機に対してそのまま給水するものであっても、1次側に配置される給湯器で予め所望温度に調温された水(湯)を洗濯機に対して給水するものであってもよい。また、各発明の洗濯機用水栓は湯水混合水栓であってもよい。
【0016】
請求項1の発明においては、水栓本体(洗濯機用水栓)及び吐水口を洗濯機用パンに配置しても、水栓本体(洗濯機用水栓)及び吐水口を洗濯機用パンの設置部に配置してもよいし、水栓本体(洗濯機用水栓)及び吐水口のうちの一方を洗濯機用パンに配置し、他方を設置部に配置してもよい。また、水栓本体(洗濯機用水栓)及び吐水口のうちの少なくとも一方を設置部に設置する態様においては、これらを、設置部における洗濯機用パンの下方に位置する部分(以下、「パン下部」という。)に設置してもよいし、設置部における洗濯機用パンの周囲の部分(以下、「パン外部」という。)に設置してもよい。更に、水栓本体(洗濯機用水栓)をパン下部に配置したり、水栓本体(洗濯機用水栓)を洗濯機用パン内に隠蔽する状態で配置する態様においては、洗濯機用水栓の操作部(ハンドルやレバー等)や、吐水口を、洗濯機用パンの外側に露呈させることが望ましい。尚、請求項2の発明においては、前述する何れの設置態様においても、配管構成部材の略全体若しくは一部を、洗濯機用パンによって隠蔽することが望ましい。
【0017】
請求項2に記載の洗濯機用水栓設備は、請求項1に記載の洗濯機用水栓設備において、前記止水機構部は、所定の開閉弁によって開閉される弁座部によって構成されるとともに
前記隔壁には、前記1次室及び前記2次室を連通する連通孔が設けられ、前記隔壁の上面部のうちで、前記連通孔の周囲の部位によって前記弁座部が構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明は、止水機構部の具体例を示している。つまり、水栓本体の内部に1次室(1次側の流路部)及び2次室(2次側の流路部)を区画する隔壁部を設け、この隔壁部に両室(両流路部)を連通させる連通孔を設ける。そして、隔壁部における連通孔の周囲部(1次室側でも、2次室側でもよい。)を弁座部とし、これによって止水機構部を構成する。また、連通孔自体を孔状の弁座部としたり、連通孔の内部に孔状の弁座部を設け、これらの弁座部によって止水機構部を構成してもよい。尚、この孔状の弁座部は、例えば、挿嵌されたり、抜脱される弁体によって開閉される。
請求項3に記載の洗濯機用水栓設備は、請求項1又は2に記載の洗濯機用水栓設備において、
前記洗濯機用パンはパン本体を備えるとともに、
前記パン本体は、
略矩形の平面形状とされ、洗濯機が搭載される搭載部と、
前記搭載部の周縁部に沿って設けられ、前記搭載部の上方に位置する部分によって防水壁を構成する周壁部と、
下方を開口させる長尺状の略容器形状とされ、前記搭載部の1つの辺に長手方向を沿わせた状態で、前記周壁部よりも上方に隆起する隆起部と、
を備え、
前記隆起部の一方の端部が前記水栓本体の装着部を構成し、前記隆起部の他方の端部が前記吐水口部材の装着部を構成するとともに、
前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部が、前記隆起部の内部に配置されることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本各発明に係わる「洗濯機用水栓設備」の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
【0020】
本実施例では、洗濯機用水栓設備3Aの説明に先立って、洗濯機用パン1等の説明を行う。この洗濯機用パン1は、図1及び図2に示すように、その主要部を構成するパン本体10を備え、設置部を構成する床面2に設置されている。尚、この床面2において、洗濯機用パン1の下方に位置する部分(以下、「パン下部」という。)2Aは略矩形状に構成されている。また、このパン下部2Aにおいて、その1つの角部に近接する部位が、元配管60の端末部61の立ち上げ箇所となっている。
【0021】
パン本体10は、図1に示すように、合成樹脂(例えば、ポリプロピレンやABS等)を用いて構成されると共に、床面2(パン下部2A上)に設置されている。このパン本体10は、略矩形の平面形状とされた搭載部11と、搭載部11の周縁部に沿って設けられた周壁部12と、搭載部11の1つの辺に沿って隆起する隆起部Rと、を備えている。尚、図示を省略するが、パン本体10の略中央部には表裏を貫通する状態で取付孔が設けられ、この取付孔には洗濯機の排水ホースが接続される「排水トラップ」が装着されている。
【0022】
搭載部11は、図1に示すように、略矩形状の板状体によって構成され、その表面(上面)に所定の洗濯機が搭載される。この搭載部11は、周壁部12の上下方向に沿った中間部と一体とされている。即ち、パン本体10は、搭載部11を底部とする「上げ底の略容器形状」を備えている。このため、本洗濯機用パン1を床面2に設置すると、搭載部11の裏面の全域と、床面2との間に空間が形成される。
【0023】
周壁部12は、図1に示すように、搭載部11の周縁部と一体とされながら立設された内壁部12aと、この内壁部12aの外側に略平行に立設された外壁部12bと、内壁部12a及び外壁部12bの両上端部間を掛け渡す上面部12cとを備えている。尚、この周壁部12のうちで、搭載部11の上方に位置する部分は、搭載部11の上に漏れ出た水が、本洗濯機用パン1の外側にこぼれ出ることを防止するための防水壁として機能する。
【0024】
隆起部Rは、図2に示すように、下方を開口させる長尺状の略容器形状とされ、搭載部11の1つの辺に長手方向を沿わせた状態で、周壁部12よりも上方に隆起すると共に周壁部12よりも大きな短手幅を備える。また、隆起部Rは、図2に示すように、搭載部11の1つの辺に沿って、連続する収納空間rをその内部に形成している。そして、この収納空間rは、搭載部11の下方の空間及び周壁部12の内部空間と連通している(図示を省略)。
【0025】
隆起部Rの一方の端部が、水栓本体31の装着部を構成する第1の装着部13とされ、隆起部Rの他方の端部が、吐水口部材40の装着部を構成する第2の装着部14とされている。また、第1の装着部13及び第2の装着部14の間が、後述する「連絡用配管50」を挿通する配管挿通部18とされている。
【0026】
第1の装着部13は、図2に示すように、元配管60の端末部61の立ち上げ箇所の上方に位置する。そして、第1の装着部13の下方に位置する空間部分13a(収納空間rの一端側の部分)において、水栓本体31と元配管60との接続部Sが配設されている。更に、第1の装着部13の上面部13bには取付孔13cが設けられている。そして、本洗濯機用パン1を設置状態とすると、この取付孔13cの略下方に元配管60の端末部61の立ち上げ箇所が位置する。
【0027】
洗濯機用水栓設備3Aは、図2に示すように、洗濯機用水栓30と、配管構成部材30Kとを備えている。このうち、洗濯機用水栓30は、元配管60から供給される水を、図示しない洗濯機に供給するための単水栓である。そして、この洗濯機用水栓30は、図3に示すように、水栓本体31と、操作軸(例えば、スピンドル等)38と、弁体37と、操作部(例えば、ハンドル若しくはレバー)39と、を備えている。
【0028】
水栓本体31は、図3に示すように、1次側の接続口(元配管60側の接続口)32を下方に開口させ、2次側の接続口(洗濯機側の接続口)33を側方に開口させている。また、上端側を、パン本体10に固定するための固定部34としている。即ち、固定部34は軸線を上下に向けた略円筒形状に構成され、その外周面のうちで、上下方向中間部に位置する部位からは、固定部34の半径方向外側に向かってフランジ34aを突出させている。また、固定部34の外周面のうちで、フランジ34aよりも上方の部位には雄ネジ部34bが設けられている。また、固定部34の内周面には、後述する操作軸38を螺進可能に支持するための雌ネジ部34cが設けられている。
【0029】
この固定部34は、上端部を先頭に上面部13bの下方から取付孔13cに挿入されている。そして、雄ネジ部34bが上面部13bの上方に突出し、フランジ34aが上面部13bの裏面に当接したところで、雄ネジ部34bにフランジ付きの固定用ナット35が螺合されている。これにより、フランジ34aと、固定用ナット35のフランジとで上面部13bが挟持され、水栓本体31が上面部13bに装着固定されている。
【0030】
水栓本体31の内部空間は、上面部(2次側に位置する面)を略水平面とする隔壁36によって区画されている。尚、この隔壁36は、下面部(1次側に位置する面)も、略水平面とする。そして、隔壁36の1次側の空間部分は、1次側の接続口32に連絡される1次室36aを構成し、隔壁36の2次側の空間部分は、2次側の接続口33に連絡される2次室(弁室)36bを構成している。
【0031】
2次室(弁室)36bは、隔壁36の上方において略水平に設けられ、2次側の接続口33を2次側の端部(終端部)としている。また、1次室36aは隔壁36の略鉛直上下方向に設けられ、1次側の接続口32を1次側の端部(始端部)としている。即ち、本実施例では、2次室(弁室)36bのみならず、1次室36aからも、水溜まり部分が排除されている。
【0032】
隔壁36には、1次室36a及び2次室36bを連通する連通孔36cが設けられている。また、2次側の接続口33が連通孔36cよりも上方に配置され、1次側の接続口32は連通孔36cよりも下方に配置されている。尚、本実施例では、1次側の接続口32を1次側の端部(始端部)とする「1次室36a」が、止水機構部36eの「1次側の流路部V」の一具体例を構成する。
【0033】
操作軸38は、中間部周面に雄ネジ部38aを備え、下端面に弁体(例えば、「こま」)37をねじ止め固定している。更に、操作軸38の一端部(上端部)には、操作部39が、操作軸38と一体で回動可能な状態に取着されている。このように、弁体37が固定された操作軸38は、その雄ネジ部38aを固定部34の雌ネジ部34cに螺合させ、固定部34の軸心方向(上下方向)に螺進可能とされている。
【0034】
操作軸38が下方に螺進し、弁体37の下端面が隔壁36に当接し、連通孔36cを閉塞すると、1次室36a及び2次室36bは非連通とされる。一方、操作軸38が上方に螺進し、弁体37の下端面が隔壁36から離間し、連通孔36cを開放すると、1次室36a及び2次室36bは連通状態とされる。つまり、隔壁36の上面部のうちで、連通孔36cの周囲の部位によって「弁座部36d」を構成し、「開閉弁」の一具体例を示す弁体37によって開閉される。即ち、本実施例では、この弁座部36dによって「止水機構部36e」を構成するが、この止水機構部36eの高さ(つまり、弁座部36dの高さ)は、2次室36bの最下方部の位置(隔壁36に接する部分の位置)と同じ位置とされている。
【0035】
尚、本洗濯機用パン1は、自動洗濯機に対して特に好適に用いられるものである。しかも、水栓本体31の2次側の接続口33に接続される「連絡用配管50」の2次側の端末部にオートストッパー機構付きの「吐水口部材40」が接続される。このため、本洗濯機用パン1が所定の設置部(例えば、床面2)に使用可能な状態に設置されると、連通孔36cは常に開放された状態(水栓本体31の弁座部36dを開放した状態)とされる。
【0036】
配管構成部材30Kは、図2に示すように、吐水口部材40と、連絡用配管50と、を用いて構成されている。このうち、連絡用配管50は、隆起部Rの収納空間rのうちの上方側の部分(周壁部12よりも上方の部分)を、第1の装着部13の空間部分13a、配管挿通部18の空間部分18a、第2の装着部14の空間部分14aの順に通過して、第2の装着部14の上方に2次側の端部(吐水口部材40の2次側の端部)を突出させている。この配管構成部材30Kは、水栓本体31から給水される水(冷水でも、温水でもよい。)を、水栓本体31とは離間する位置に到達させるためのものである。
【0037】
尚、連絡用配管50は、2次側の端部以外の部分を構成すると共に略水平に配置される水平経路部50aと、2次側の端部を構成すると共に略垂設状に配置された立ち上がり部分50bとを備えている。そして、水平経路部50aが、第1の装着部13の空間部分13aと配管挿通部18の空間部分18aとに軸線を横に向けた状態で配置され、立ち上がり部分50bが第2の装着部14の空間部分14aに端末部を上方に向けた状態で配置されている。
【0038】
この連絡用配管50の一次側の端部(水平経路部50aの一次側の端部)は、水栓本体31の2次側の接続口33に対して、所定のアダプタ51と、締結具(クリップ状の締結具等)52とを介して接続されている。即ち、アダプタ51は軸線を略水平に向けた略筒状態で構成され、その一端部を2次側の接続口33に対して、シール部材(図示を省略)を介して十分な水密性を維持した状態で螺合接続している。
【0039】
アダプタ51の他端部においては、連絡用配管50の1次側の端部(水平経路部50aの一次側の端部)を挿嵌状に受け入れている(シール部材を介して十分な水密性を維持した状態)。そして、この状態で、アダプタ51の他端部の固定用鍔部と、内部配管50の一端部の固定用鍔部とが当接されると共に、この当接状態が、締結具(クリップ状の締結具等)52によって堅固に維持されている。
【0040】
吐水口部材40は、図2に示すように、洗濯機用水栓設備3Aの吐水口を構成するものであり、軸線を上下方向に向けた状態で第2の装着部14に装着されている。つまり、2次側の端部を上方に向け、1次側の端部を下方に向けた状態で第2の装着部14に装着されている。この吐水口部材40の一次側の端部と、連絡用配管50の2次側の端末部(立ち上がり部分50bの2次側の端末部であって、上方を向いている。)とは、十分な水密性を維持した状態で接続されている。
【0041】
このように、本実施例では、図2に示すように、2次室36b及び配管構成部材30Kによって、止水機構部36eの2次側に、「2次側の流路部Y」を構成する。そして、配管構成部材30Kは、水平経路部50aと、上昇経路部(立ち上がり部分50b及び吐水口部材40)を備える。しかも、2次側の接続口33を2次側の端部とする2次室36bも、水平経路部50aと略同一の高さに略水平に設けられ、更に、止水機構部36eの高さ(つまり、弁座部36dの高さ)が、2次室36bの最下方部の位置(隔壁36に接する部分の位置)と同じ位置とされている。
【0042】
尚、この吐水口部材40おいて、第2の装着部14の上方に突出する端末部41は、ホース継手の着脱に応じて自動的に吐止水を行うオートストッパー機構を備えている。この端末部41に所定の洗濯機のホース継手が取着されると、その2次側(洗濯機のホース)への通水を可能とするが、このホース継手が取り外されると、その2次側(洗濯機のホース)への通水が不可能とされる。
【0043】
水栓本体31の1次側の接続口32には、図2及び3に示すように、元配管60の端末部61が接続され、接続部Sを構成している。この接続部Sは、パン本体10の内部空間内であって、しかも、床面2の上方に位置している。
【0044】
元配管60は、図2に示すように、パン下部2Aの1つの角部に近接する部位から立ち上げられたの端末部61と、端末部61の1次側に位置する本管部62とを備えている。このうち、元配管60の端末部61の末端(2次側の端部)は継ぎ手61aによって構成され、本管部62の1次側の端部は給水源63にそのまま(給湯器等を介することなく、そのまま)接続されている。尚、継ぎ手61aは、水栓本体31に対し、所謂「雌型のワンタッチ継ぎ手」として機能する。つまり、この継ぎ手61aは、雄型に構成された「1次側の接続口32」を挿嵌状に受け入れると共に、内部に設けられた係止手段によって「1次側の接続口32」を弾発状(弾性的)に係止して、元配管60と「1次側の接続口32」との接続を完了する。
【0045】
本管部62は分岐部66を備えると共に、この分岐部66を始端とする分岐管部66aを備えている。また、この本管部62において、分岐部66の1次側の位置(給水源63側の位置)には、止水弁65が設置されている。この止水弁65は、本管部62における止水弁65の1次側の部分(給水源63側の部分)62aと、2次側の部分(水栓本体31側の部分)62bとの連通、非連通を選択するためのものである。
【0046】
分岐管部66aの中間部には、水抜き弁(水抜き装置)67aが配置されると共に、分岐管部66aの終端部は開放され、水抜き口67bを構成している。この水抜き弁(水抜き装置)67aに開弁操作を施すと、分岐管部66aにおける「水抜き弁(水抜き装置)67aの1次側の部分66b」と、「水抜き弁(水抜き装置)67aの2次側の部分66c」とが連通し、本管部62と水抜き口67bとが連通状態となる。一方、この水抜き弁(水抜き装置)67aに閉弁操作を施すと、分岐管部66aにおける「水抜き弁(水抜き装置)67aの1次側の部分66b」と、「水抜き弁(水抜き装置)67aの2次側の部分66c」とが非連通となり、本管部62と水抜き口67bとが非連通な状態となる。
【0047】
本実施例では、1次側の接続口32を1次側の端部とする1次室36a、つまり、洗濯機用水栓30の「1次側の流路部V」は、最高位置を止水機構部36eの下方に配置すると共に、軸線を上下方向に向け、しかも、1次側の端部を下方に向けている。しかも、元配管60においても、図2に示すように、その端末部61と、水抜き弁(水抜き装置)67aの設置部位との間の部分が、上昇経路部(2次側に上昇する流路部分)と、水平経路部と、によって構成されている。
【0048】
本実施例において、洗濯機水栓30から水抜きを行う場合には、先ず、止水弁65に閉弁操作を施し、本管部62における止水弁65の1次側の部分(給水源63側の部分)62aと、2次側の部分(水栓本体31側の部分)62bとを非連通とする。尚、本洗濯機用水栓30が通常の使用状態にあるとき(洗濯機が使用可能な状態にあるとき)は、弁座部36(止水機構部36e)が開放状態とされると共に、止水弁65には開弁操作が施され、1次側の部分62aと、2次側の部分62bとは連通状態とされる。
【0049】
次いで、水抜き弁(水抜き装置)67aに開弁操作を施し、分岐管部66aにおける「水抜き弁(水抜き装置)67aの1次側の部分66b」と、「水抜き弁(水抜き装置)67aの2次側の部分66c」とを連通させる。このとき、水栓本体31の弁座部36(止水機構部36e)は開放状態が維持されているため、水抜き弁(水抜き装置)67aの開弁操作によって、「水抜き弁(水抜き装置)67aの2次側の部分66c」と、2次側の流路部Yとが連通する。
【0050】
これにより、本管部62(止水弁65の1次側に位置する部分)と、水抜き口67bとが連通状態となり、本管部62(止水弁65の1次側に位置する部分)、元配管60の端末部61、止水機構部36eの1次側の流路部(1次室36a)V、及び、止水機構部36eの2次側の流路部(2次室36b、配管構成部材30Kの内部空間)Yが減圧状態となる。
【0051】
そして、本管部62、元配管60の端末部61、止水機構部の1次側の流路部V、止水機構部36eの2次側の流路部Yからの水抜きがなされる。尚、本実施例と異なり、通常時に、弁座部36dを閉鎖状態としておいて、洗濯機を使用する度に、弁座部36dの開放するタイプの洗濯機用水栓設備3A(洗濯機用水栓30)も存在する。この場合においては、洗濯機水栓30から水抜きを行う場合に、水抜き弁(水抜き装置)67aに開弁操作に先だって弁座部36dを開放することが必要である。
【0052】
以上のように、本洗濯機用水栓設備3Aでは、2次側の流路部Yが水平経路部50aと、上昇経路部(立ち上がり部分50b及び吐水口部材40)を備える。しかも、2次側の流路部Yの最下方部と同一の高さに止水機構部36eを設けている。そして、通常、弁座部36d(止水機構部36e)は開放状態が維持されているため、洗濯機用水栓30の1次側に配置される水抜き弁(水抜き装置)67aを操作すれば、洗濯機用水栓30の全流路部内(止水機構部36eの1次側の流路部V及び2次側の流路部Y内)の圧力が減圧され、止水機構部36eの2次側の流路部Y内の残水を容易に排水できる。よって、本洗濯機用水栓30であれば、非寒冷地であるか、寒冷地であるかを問わずに、汎用的に使用できる。
【0053】
尚、本各発明の範囲は前記各実施例に示す具体的な態様に限定されず、本各発明の範囲内で種々の変形例を例示できる。即ち、止水機構部36eの2次側の流路部Yの経路は、本実施例で示す経路に限定されない。つまり、図4の比較例の如き経路88、つまり、「下方若しくは上方に凸となる略U字状、若しくは、V字状の経路部分を備える経路88」とはならない範囲で種々選択できる。例えば、変形例1の経路81のように、1次側から2次側に向かう上がり傾斜状の経路部分を備えてもよい。また、変形例2の経路82のように、1次側から2次側に向かってなだらかに上昇する曲線状の経路部分を備えてもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本各発明によると、非寒冷地であるか、寒冷地であるかを問わずに、使用可能な洗濯機用水栓設備が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の洗濯機用水栓設備の概略的な斜視図である。
【図2】図1のI−I縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大縦断面図である。
【図4】変形例及び比較例の説明図ある。
【図5】従来例に係る縦断面図である。
【符号の説明】
1;洗濯機用パン、
2;床面(設置部)、
3A;洗濯機用水栓設備、
10;パン本体、
30;洗濯機用水栓、
30K;配管構成部材、
36e;止水機構部、
40;吐水口部材、
60;元配管、
V;1次側の流路部、
Y;2次側の流路部。

Claims (3)

  1. 所定の洗濯機用パン及び該洗濯機用パンの設置部を構成する床面のうちの少なくとも一方に配置される洗濯機用水栓設備であって、
    1次側の接続口を入口とする1次室、及び、2次側の接続口を出口とする2次室を備えると共に、該1次室と該2次室との連通及び非連通を択一的に選択するための止水機構部を備え、内部空間が隔壁によって区画され、該隔壁の略鉛直下方に前記1次室を設け、該隔壁の上方に前記2次室を略水平に設けた水栓本体を具備する洗濯機用水栓と、
    前記床面に沿って水栓本体と離間する位置に軸心を上下方向に向けた状態で配設され、吐水口を構成する吐水口部材と、
    前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部を、略垂設状に配置されて2次側の端部を構成する立ち上がり部分と、1次側から2次側に向かう上がり傾斜状の経路部分若しくは1次側から2次側に向かって上昇する曲線状の経路部分と、で構成すると共に
    前記止水機構部を、前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部よりも下方に設けることを特徴とする洗濯機用水栓設備。
  2. 前記止水機構部は、所定の開閉弁によって開閉される弁座部によって構成されるとともに
    前記隔壁には、前記1次室及び前記2次室を連通する連通孔が設けられ、前記隔壁の上面部のうちで、前記連通孔の周囲の部位によって前記弁座部が構成されることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機用水栓設備。
  3. 前記洗濯機用パンはパン本体を備えるとともに、
    前記パン本体は、
    略矩形の平面形状とされ、洗濯機が搭載される搭載部と、
    前記搭載部の周縁部に沿って設けられ、前記搭載部の上方に位置する部分によって防水壁を構成する周壁部と、
    下方を開口させる長尺状の略容器形状とされ、前記搭載部の1つの辺に長手方向を沿わせた状態で、前記周壁部よりも上方に隆起する隆起部と、
    を備え、
    前記隆起部の一方の端部が前記水栓本体の装着部を構成し、前記隆起部の他方の端部が前記吐水口部材の装着部を構成するとともに、
    前記吐水口部材の1次側の端部と前記水栓本体の2次側の接続口とを連絡する流路部が、前記隆起部の内部に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯機用水栓設備。
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