JP4203575B2 - 床暖房パネル構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床暖房用の蓄熱ユニットを有し、床下材の大引部材間に配設される床暖房パネル構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家庭用の床暖房装置としては、「大引部材」と呼ばれる床下梁部材に、「根太部材」と呼ばれる床下梁部材が大引部材と直交するよう組まれており、施工場所において、根太部材の間にヒータ・蓄熱材・断熱材でユニット化させた蓄熱ユニットを複数組み入れるタイプのものがあった(例えば、特許文献1参照)。
この蓄熱ユニット(床暖房装置)は、上面側にフローリング材等の床材が敷設される平板部材の下面側に配設されるもので、(上から)面状のヒータ、蓄熱材、断熱材と重ねて配設されるものである。即ち、平板状の断熱材が、根太部材間を下から施蓋するように構成されており、その断熱材によりヒータ、蓄熱材を下から支える構造となっている。この際、断熱材に釘やネジ等の固定手段が打ちつけられて、平板部材や根太部材等と固定されている。
また、平板部材と、平板部材の下面に並設される複数本の根太部材とを備える床パネルは、従来より使用されているが、この床パネルは、大引部材の上に並べられ、その上にフローリング材等を貼るという床下地材としての役割しか持たなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−186825号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の床暖房装置において、平板状の断熱材によりヒータ、蓄熱材を下から支えているが、断熱材の厚さが薄いため断熱材における釘やネジ等の固定が不十分となってしまう。また、蓄熱材はある程度重さがあるため、この薄い断熱材では釘等により支えきれず、断熱材が釘から抜け出て蓄熱ユニットが落下してしまうおそれがあり、釘やネジの数を増やす必要があった。また、この釘等の打ちつけ(取付)作業において、蓄熱材に傷をつけないよう注意が必要で手間がかかり、作業性が悪かった。
また、根太部材間の寸法はその場所により若干異なることがあり、断熱材が根太部材間に配設されても、断熱材と根太部材との間に隙間が生じる場合があった。従って、ヒータによる熱がその隙間から逃げることとなり、熱効率を悪くするという問題点があった。さらに、ヒータからの熱が根太部材の側面側から根太部材に伝って、根太部材の下面から放熱することとなり、床上熱効率を下げる要因となっていた。
【0005】
そこで本発明は、床上熱効率が向上すると共に、施工が容易であり取付作業工数を削減できる蓄熱ユニットを有する床暖房パネル構造体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
述の目的を達成するために、本発明に係る床暖房パネル構造体は、上面側に床材が敷設される平板部材と、該平板部材の下面に平行に並設される複数本の根太部材と、該根太部材間に配設される蓄熱ユニットと、を具備し、上記蓄熱ユニットは、上記平板部材の下面に接近乃至接する面状発熱体と該面状発熱体の下面に接する板状の蓄熱材とを積層状に有する蓄熱積層体と、該蓄熱積層体の下面を受ける底壁部及び該蓄熱積層体の周縁部を受ける周囲壁部を有する浅皿状の断熱材と、を有し、上記周囲壁部の天端面と上記蓄熱積層体の上面とが略面一となるように設定し、上記蓄熱ユニットの下面側から固定部材を上記底壁部及び上記周囲壁部に貫通させ該蓄熱ユニットを上記平板部材に固定しているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態に基づき、本発明を詳説する。
【0008】
図1は、本発明に係る床暖房パネル構造体に用いる蓄熱ユニット組立前の斜視図であり、図2は蓄熱ユニット組立後の断面図を示す。そして、図3は、この蓄熱ユニットが根太部材7,7間に配設された状態の側部断面図を示している。
熱ユニット1は、図3に示すように、上面側にフローリング材等の床材が敷設される平板部材6の下面6b側に平行に並設された根太部材7…の間に、根太部材7の側面と近接するように配設されるものである。
そして、この蓄熱ユニット1は通電ON/OFFにより発熱・放熱を行うもので、床暖房の暖房効果を発生させるものである。
【0009】
蓄熱ユニット1は、面状発熱体4と面状発熱体4の面に(付設)する蓄熱材5とを有する蓄熱積層体2と、蓄熱積層体2を付設する断熱材3と、を具備して一体もの(ユニット化)としている。図1〜図3では、蓄熱積層体2は、蓄熱材5の上面側に面状発熱体4が重なるよう配設されている。
そして断熱材3は、図1に示すように、蓄熱積層体2の下面2aを受ける底壁部10、及び、蓄熱積層体2の周縁部(側面部)2bを受ける(囲む)周囲壁部11を有している。
【0010】
即ち、断熱材3は、水平面矩形板状の底壁部10の外周部(四辺)上面側に、鉛直面壁状の周囲壁部11を有しており、浅皿形状を成している。従って、断熱材3の側面乃至正面からの断面図は凹型となり、この凹部9に蓄熱積層体2を装入している。
また、この凹部9の深さ(周囲壁部11の高さ)は、蓄熱積層体2の厚さと略同一乃至僅かに深く(高く)設定しており、周囲壁部11の天端面と蓄熱積層体2の上面とが、略面一となるよう設定されている。
【0011】
従って、図2に示すように、断熱材3が、蓄熱積層体2(面状発熱体4及び蓄熱材5)の下面2a及び周縁部2bを完全に囲む状態となる。これにより、蓄熱積層体2からの熱が側方乃至底部へ逃げることを確実に防止できる。
【0012】
次に断熱材3の外形状について説明すると、図3に示すように、幅寸法は床下部材である根太部材7,7間の寸法と同一乃至僅かに小さく設定され、(図示省略の)長さ寸法は、根太部材7の長手方向の寸法と略同一としている。また、断熱材3の高さ寸法は、根太部材7の高さ寸法と略同一に設定されており、断熱材3の外形寸法が、蓄熱ユニット1の外形寸法となる。
【0013】
なお、図示省略するが、蓄熱積層体2にシート材を含ませてもよい。このシート材は、平板部材6と面状発熱体4の間の熱伝導を制御するためのものであり、例えば、アルミのような熱伝導率が大きい金属製シートにより作製されている。これにより、面状発熱体4からの熱を平板部材6にムラなく均等に伝達させることができる。
【0014】
蓄熱材5は、図1に示すように、断熱材3の凹部9に装着されるよう、凹部9に対応した形状で板状である。
面状発熱体4は、通電により発熱するヒータで、形状は蓄熱材5(断熱材3の凹部9)に対応したもので、矩形の板状であり、ケーブル(リード線)12が接続されている。
そして、蓄熱材5と、面状発熱体4と、断熱材3とが、両面粘着テープ等を使用して接着されて一体ものとされ、蓄熱ユニット1を構成している。
【0015】
図3は蓄熱ユニット1が、平板部材6の下面側において根太部材7,7間に配設された状態を示し、この蓄熱ユニット1は、平板部材6に固定部材13により固定されている。図3においては、固定部材13を釘としているが、他に、ネジ(ビス)等を使用すればよい。具体的に説明すると、釘(固定部材13)は蓄熱ユニット1の下面側から、蓄熱ユニット1の底壁部10及び周囲壁部11を貫通し、平板部材6に打ちつけられている。即ち、蓄熱ユニット1(断熱材3)は、釘等の固定部材13が断熱材3の周囲壁部11を通過して平板部材6に打ちつけられて、固定されている。つまり、断熱材3は周囲壁部11により肉厚(嵩高)となるため、釘等の固定部材13の断熱材3を通過する掛止有効長さ(釘と断熱材3との接触長さ)が、底壁部10のみを貫通する場合と比べて大きくなり、釘等の固定部材13による保持力が増大し、蓄熱ユニット1の固定が確実なものとなる。
【0016】
さらに、この周囲壁部(縁部)11に固定部材13を上下方向通過させることにより、この固定部材13が蓄熱積層体2に接触することがなく、釘などによる平板部材6への打ちつけの際、蓄熱積層体2に傷を付けることがない。従って、この周囲壁部11を固定用部材(固定用フランジ部)として使用可能となり、蓄熱積層体2の縁部に釘等の固定部材13が接触する心配が無いため、蓄熱積層体2の縦横寸法を、断熱材3の凹部9の縦横寸法と略同一とすることができ、蓄熱積層体2の実効(有効)面積を拡大させることができる。なお、本発明においては、この周囲壁部11の厚さT(図1)を10mm程度としている。
また、この固定部材13による固定は、平板部材6のみならず、根太部材7に打ちつけてもよい。
【0017】
次に、図4は、上述の蓄熱ユニット1を備える床暖房パネル構造体の斜視図であり、大引部材(床下梁部材)8に布設された状態を示している。
この床暖房パネル構造体Pは、平行に布設された大引部材8,8の間乃至上面に設置されるものであって、敷板となる平板部材6と、複数の根太部材7…と、複数の蓄熱ユニット1…と、が一体化されたパネル構造体である。
【0018】
さらに説明すると、床暖房パネル構造体Pは、縦横所定の寸法に形成されると共に上面6a側に合板やフローリング材等の床材が敷設される平板部材6と、平板部材6の下面6bに平行に等ピッチで並設(固定)される複数本の根太部材7…と、平板部材6の下面6b側であって根太部材7,7間に配設される蓄熱ユニット1と、を備えている。
また、図示省略するが、さらに、複数の根太部材7…の下面の略全面と蓄熱ユニット1の下面の略全面に当接するように断熱パネル材を、足し張りするよう配設してもよい。これにより、蓄熱ユニット1の下面及び根太部材7の下面からの放熱を防ぎ、床上熱効率をさらに向上させることができる。
【0019】
この床暖房パネル構造体Pが具備する複数の蓄熱ユニット1は、上述の蓄熱ユニット1と同様であり、図1〜図3に示すように、面状発熱体4及び面状発熱体4の面にする蓄熱材5を有する蓄熱積層体2と、蓄熱積層体2の下面2aを受ける底壁部10及び蓄熱積層体2の周縁部2bを受ける周囲壁部11を有する断熱材3と、を有するものである。
【0020】
平板部材6は、矩形乃至正方形の合板からなるもので、根太部材7は、床下材として一般的に使用される角材によるもので、平板部材6の一辺と等しい長さとし、平板部材6の端辺部から等間隔に複数(本発明では3本)付設されている。
なお、本発明の図例においては、床暖房パネル構造体Pの複数の根太部材7…において、両側方部の根太部材7,7のうち一方を省略し(図4のように仮想根太部材7′とし)ている。
【0021】
具体的に説明すると、図4に示すように、最も右側の根太部材が省略された形式となるが、これは、床暖房パネル構造体Pが連続して配設されるため、隣(右側)に配設される床暖房パネル構造体P′の左端の根太部材7′が(左側の)床暖房パネル構造体Pの省略された部分へ組み込まれることとなる。即ち、右側の床暖房パネル構造体P′の根太部材7′が左側の床暖房パネル構造体Pの仮想根太部材7′とされ、床暖房パネル構造体Pが構成されている。これにより、根太部材7の数を不要に増やさずに済む。
【0022】
さらに、平板部材6の一端部(辺)は、根太部材7の上面の長手方向略中心線上に沿って配設され、平板部材6の対向する反対側の他端部(辺)は、仮想根太部材7′の上面の長手方向略中心線上に沿って配設されるよう構成されている。即ち、床暖房パネル構造体Pの両側接続部は、オフセットが設けられた状態となり、隣に配設される床暖房パネル構造体Pの設置が容易となるとともに、隣り合う床暖房パネル構造体P,Pに隙間が生じることがない。
【0023】
そして、平板部材6と根太部材7は適所において釘やネジで連結され、蓄熱ユニット1は、上述と同様の(図3に示す)形式により、固定部材13により固定される。これにより、確実に床暖房パネル構造体Pがパネル体として形成される。
【0024】
上記断熱材3の材質としては、ウレタンやスチレンによる発泡プラスチック等であり、成形性に優れるとともに、断熱効果が優れており、また、施工に際し、断熱材3の変形がある程度自在であるため、根太部材7,7の間に接触状に配設させることが容易である。これにより、根太部材7及び蓄熱ユニット1からの放熱をさらに防ぐことが可能となる。
【0025】
また、本発明の床暖房パネル構造体Pにおいて、根太部材7及び蓄熱ユニット1を夫々三個としており、床暖房パネル構造体Pの重さを軽くしているため、施工場所での作業性を向上させている。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような効果を奏する。
【0027】
熱積層体2からの熱を下面2a側乃至周縁部2b側から外部へ逃がすことを確実に防ぐことが可能となる。従って施工に際し、根太部材7との間に隙間が生じても、その隙間から熱が逃げることがなく、床上熱効率を向上させることができる。
さらに、断熱材3の周囲壁部11を固定用部材として使用可能となり、当該周囲壁部11に釘等の固定部材13を打ちつけて平板部材6固定できるため、蓄熱ユニットの固定作業が容易となる。
【0028】
また、床下地材としての機能と蓄熱式床暖房としての機能とを簡単な構成により、しかもコンパクトでありながら、発揮させることができる。
また、床暖房パネル構造体が一体物であるため、床暖房の施工は大引部材8の上に、この床暖房パネル構造体を次々と載せていくのみであり、従来から必要であった床下地材の施工と略同程度の作業により、床暖房の設備を組み込ませることが可能である。
さらに、蓄熱積層体2からの熱を下面2a側乃至周縁部2b側から外部へ逃がすことを確実に防ぐことが可能となり、床上熱効率を向上させることができる。
さらに、断熱材3の周囲壁部11を固定用部材として使用可能となり、当該周囲壁部11に釘等の固定部材13を打ちつけて平板部材6固定できるため、床暖房パネル構造体Pの作製が容易となる。さらに、釘などが底壁部10のみを貫通する場合と比べて掛止有効長さ(釘と断熱材3との接触長さ)が大きくなり、蓄熱ユニット1の固定が確実なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る床暖房パネル構造体に用いられる蓄熱ユニットの組立前の斜視図である。
【図2】 蓄熱ユニットの断面図である。
【図3】 蓄熱ユニットが根太部材間に固定された状態を示す側面図である。
【図4】 床暖房パネル構造体が大引部材間に設置された状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 蓄熱ユニット
2 蓄熱積層体
2a 下面
2b 周縁部
3 断熱材
4 面状発熱体
5 蓄熱材
6 平板部材
6b 下面
7 根太部材
10 底壁部
11 周囲壁部
13 固定部材

Claims (1)

  1. 上面側に床材が敷設される平板部材(6)と、該平板部材(6)の下面(6b)に平行に並設される複数本の根太部材(7)と、該根太部材(7)(7)間に配設される蓄熱ユニット(1)と、を具備し、上記蓄熱ユニット(1)は、上記平板部材(6)の下面(6b)に接近乃至接する面状発熱体(4)と該面状発熱体(4)の下面に接する板状の蓄熱材(5)とを積層状に有する蓄熱積層体(2)と、該蓄熱積層体(2)の下面(2a)を受ける底壁部(10)及び該蓄熱積層体(2)の周縁部(2b)を受ける周囲壁部(11)を有する浅皿状の断熱材(3)と、を有し、上記周囲壁部( 11 )の天端面と上記蓄熱積層体(2)の上面とが略面一となるように設定し、上記蓄熱ユニット(1)の下面側から固定部材( 13 )を上記底壁部( 10 )及び上記周囲壁部( 11 )に貫通させ該蓄熱ユニット(1)を上記平板部材(6)に固定していることを特徴とする床暖房パネル構造体。
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