JP4202623B2 - 竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置に関し、特に、河川、その他既設の排水手段の排水能力以上の降雨等により、河川の氾濫による洪水を未然に防ぐため、地下に一時的に貯水するようにして築造された雨水貯留槽において、排水、清掃等の保守点検用の竪坑内に沈殿する沈砂や、排水時などにおいてスクリーンに捕捉されるし渣を、沈砂と同時に掻き揚げ、排出することができる竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、河川、その他既設の排水手段の排水量を越えた豪雨等により、河川の氾濫等による洪水から都市を守るため、大都市近傍には、集中豪雨時等の既設設備による排水能力以上の雨水を一時的に貯水するための雨水貯留槽を、地下を掘削して配設している。
ところで、この地下式の雨水貯留槽は、巨大な隧道のようにして築造され、集中豪雨時などの雨水を導入して一時貯留し、降雨も止み河川などの排水能力が回復されたときに、ポンプアップ等にて排水するように構成されている。また、この雨水貯留槽には、槽内の保守点検用として竪坑が形成されて、この竪坑内には、ポンプアップによる排水装置と、竪坑底部或いは雨水貯留槽内に沈殿した沈砂を竪坑内に集めて掻き揚げ排出する装置とが配設され、この排水用のポンプの詰まりを防ぐため、ポンプ室への吸込口にはスクリーンを配設し、貯水中のし渣を除去するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の地下式の雨水貯留槽においては、沈砂は竪坑内よりバケットクレーン等を用いて機械的に排出することができても、ポンプ室への吸込口に配設したスクリーンにて捕捉され、付着しているし渣類は、このグラブバケットにより機械的に掻き上げ、排出することができないため、雨水貯留槽が空になったときを見計らって、或いは少なくとも竪坑内の水位がスクリーンの清掃作業可能な水位まで下がったとき、作業者が竪坑の底部、或いはその近傍位置まで降り、手掻きにより人力で除去、排出している。このため、大深度の雨水貯留槽底部での作業は、重労働となるとともに作業性が悪く、かつ危険が伴うという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の地下式の雨水貯留槽におけるし渣類の除去、排出手段の有する問題点に鑑み、機械的に沈砂を掻き揚げるとき、スクリーンにて捕捉されたし渣類も共に掻き上げ排出することができるようにした竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置は、雨水貯留槽と連通するよう配設され、かつスクリーンを介して排水用のポンプ室を備えた竪坑の上方で、沈砂、し渣の掻き揚げ位置と掻き揚げ沈砂等の排出位置間を走行するように配設した走行台車と、昇降及び開閉して沈砂及びし渣を掻き上げるように走行台車に吊垂支持したグラブバケットと、該グラブバケットに、グラブバケットの昇降動作と同期して揺動してスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすように配設したし渣掻落用レーキとから構成し、前記し渣掻落用レーキを、グラブバケットの降下時にはグラブバケットの自重によりスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすようにスクリーンに接触若しくは近接し、上昇時にはスクリーン面から離間するようしたことを特徴とする。
【0006】
この発明においては、し渣等の掻き揚げ位置と排出位置間を走行する走行台車に、グラブバケットを開閉及び昇降可能に吊垂支持し、かつスクリーンにて捕捉されたし渣を掻き落とすレーキを備えているので、グラブバケットの開閉と昇降との動作を行うだけで、スクリーンに捕捉された、或いは付着したし渣をも確実に掻き落とすことができ、作業者が大深度の竪坑内に降りなくても機械的に、自動的にし渣の掻き落としが安全にできるとともに、掻き落とされたし渣は、グラブバケットにより沈砂と共に掻き揚げ排出されるので、作業性、安全性が向上するものとなる。
【0007】
そして、し渣掻落用レーキを、グラブバケットの昇降動作と同期して揺動するようにして、グラブバケットの降下時にはグラブバケットの自重によりスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすようにスクリーンに接触若しくは近接し、上昇時にはスクリーン面から離間するようにすることにより、グラブバケットに設けたし渣掻揚用レーキは、グラブバケットの昇降動作に応じて揺動させるため、グラブバケットを竪坑内に吊り降ろすだけでスクリーン面に捕捉され、或いは硬く付着したし渣も、グラブバケットの自重を利用してスクリーン面から確実に剥離、掻き落とすことができ、簡単な構成で、自動化が行える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図3に、本発明の竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置の一実施例を示す。
【0010】
河川、その他既設の排水手段には、予め一定時間の排水量が定められて排水されているが、集中豪雨等によりこの設定された排水能力基準を越えた降雨量がある場合でも、河川の氾濫等による洪水から都市を守るため、大都市或いはその近傍には、集中豪雨時等の既設設備による排水能力以上の雨水を一時的に流入させて貯水する雨水貯留槽Tを、地下を掘削して配設している。
【0011】
この地下に配設する雨水貯留槽Tは、一般には巨大な隧道として築造され、この雨水貯留槽Tの一部から雨水を導入貯留し、降雨も止み、河川などの排水能力が回復されたときにポンプアップ等にて排水している。そしてこの雨水貯留槽Tには、沈砂の掻き揚げ排出、スクリーン面の清掃、その他保守点検を行うための竪坑Hが隣接され、この竪坑H内に、竪坑底部或いは雨水貯留槽T内底部で沈殿した沈砂を竪坑内に集めて掻き揚げ排出する装置が配設されている。
【0012】
なお、図1〜図2に示す実施例では、1本の竪坑Hに対し、その外周の放射方向に、ほぼ水平に1本の雨水貯留槽Tを掘削形成しているが、地形や貯水能力に応じて1本の竪坑Hに対し、例えば、放射方向に2本以上の雨水貯留槽を掘削形成することも可能で、これは特に限定されるものではない。
【0013】
この沈砂等の掻き揚げ排出装置Dは、竪坑Hの上部位置に走行可能とした走行台車1に、竪坑内を昇降可能に吊垂支持したレーキ付のグラブバケット2と、竪坑内底側部に形成し、排水用のポンプPを備えたポンプ室Rの吸込口に、ポンプPの詰まり等を防ぐために配設したスクリーン3とより構成する。
【0014】
この走行台車1は、竪坑Hの上部位置に築造した建屋、築造物などの天井に、沈砂、し渣の掻き揚げ位置AとコンテナCなどにより外部へ排出する掻き揚げ沈砂等の排出位置B間に配設したガイドレールGに沿って、この両位置A,B間を往復走行するよう走行可能に支持される。
なお、この走行台車1が掻き揚げ位置Aと掻き揚げ沈砂等の排出位置B間を往復走行するように構成なら、その構成は図示のものに、特に限定されるものではない。
【0015】
また、走行台車1により昇降可能に吊垂支持したレーキ付のグラブバケット2は、走行台車1に搭載されたグラブバケットの昇降装置11と開閉装置12から索条W1,W2により吊垂する。これにより、昇降装置11のドラムを回動させることにより索条W1の巻き上げ、巻き戻しを行ってグラブバケット2を竪坑内で昇降させ、また同様に、開閉装置12のドラムを回動させることにより索条W2の巻き上げ、巻き戻しを行ってグラブバケット2を開閉するように構成する。
このグラブバケット2を降下させるときは、該グラブバケット2は開放され、バケット先端の刃先がほぼ垂直となり、沈砂上に降下させたとき、この刃先が沈砂内に食い込み、沈砂をより効果的に掬い取ることができるようにし、また反対に上昇させるときには、図に示すようにグラブバケット2を閉じて掬い取った沈砂がグラブバケットからこぼれ落ちないようにする。これは、索条W1,W2の個別的な巻き取り、巻き戻し操作を行うことによりグラブバケット2を開閉とともに昇降させるものである。
【0016】
また、グラブバケット2が定まった位置、例えばスクリーン面の前面位置を、正確に昇降動作をするよう、グラブバケット2の昇降方向に沿ってレーキガイドレール4,4を配設し、このレーキガイドレール4,4にて導かれるようにする。このレーキガイドレール4は、昇降するグラブバケット2の左右両側に配設することができ、またレーキガイドレール4に直接グラブバケット2の一部をガイドすることもできるが、図示の実施例のように、レーキガイドレール4に昇降可能に支持したレーキ台車5に連結ロッド51を介してグラブバケット2を取り付けることができる。
【0017】
さらに、グラブバケット2には、し渣掻落用レーキ6を揺動可能に取り付ける。このし渣掻落用レーキ6は、グラブバケット2の上部位置或いはレーキ台車5の下部位置にスクリーン3に対し、接離方向に揺動するように軸を介して取り付け、かつし渣掻落用レーキ6の揺動は、グラブバケット2の昇降動作と同期するように、特に限定されるものではないが、索条W3の巻き取り、巻き戻しにより行うことができる。
グラブバケット2が竪坑内を降下するときは、し渣掻落用レーキ6の櫛歯形とした先端がスクリーン3に接触若しくはスクリーン目に一部が挿入されるようになり、これによりし渣掻落用レーキ6は、グラブバケットの自重により、スクリーン面にて捕捉され、或いは付着されたし渣をも強制的に掻き落とし、竪坑内底部へ落下しやすいようにする。
【0018】
また、竪坑内底部の側部には排水用のポンプ室Rを形成し、該ポンプ室R内にポンプPを配設するとともに、ポンプ室Rと竪坑Hとの間に、かつグラブバケット2の昇降位置と近接して、ポンプ吸込口を覆うようにしてその幅と高さを定めてスクリーン3が配設される。
このスクリーン3は、雨水貯留槽T内に流入する雨水に含まれるし渣(ごみ)を除去するために、予めスクリーン目幅が定められ、該スクリーン3にて捕捉されたし渣を、先端が櫛歯形としたし渣掻落用レーキ6により掻き落としやすいようにバースクリーンとすることができる。これにより、雨水貯留槽T内に流入する雨水に含まれるし渣は、スクリーン3にて捕捉除去された後、ポンプPにて排水されるため、ポンプの詰まりを防止することができる。
【0019】
なお、竪坑内よりポンプ室Rに通ずる位置に配設されるスクリーン3は、ポンプ室Rに通ずる吸込口R1が1つの場合は、1カ所だけでよいが、図2に示すように、吸込口R1,R2が隣接して2カ所に配設される場合は、各吸込口R1,R2毎にそれぞれスクリーン3,3を配設し、し渣掻落用レーキ6,6にて掻き落としが行えるようにする。
また、各スクリーン面より掻き落とされたし渣は、グラブバケット2により沈砂と共に同時に掻き揚げられるようにする。
【0020】
次に、この竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ作業について説明する。
沈砂或いはし渣を掻き揚げる必要が生じた場合、予め定められた待機位置で停止している走行台車1を、その待機位置から掻き揚げ位置Aまで走行させ停止する。なお、待機位置が掻き揚げ位置としている場合は走行させる必要はない。
掻き揚げ位置Aで走行台車1が停止すると、昇降装置11、開閉装置12の索条W1,W2を介して吊垂支持されているグラブバケット2を降下させる。この場合、まず、開閉装置12のドラムを回動して索条W2を少し巻き戻すことによりグラブバケット2は開口状態となる。さらにし渣掻落用レーキ6をスクリーン側に傾転させる。
【0021】
このグラブバケット2が開口した状態で、昇降装置11、開閉装置12の索条W1,W2を同期して巻き戻すことにより、グラブバケット2は、レーキガイドレール4に導かれて、その自重により降下する。
このグラブバケット2の自重により、し渣掻落用レーキ6がスクリーン3の位置まで降下してくると、スクリーン面に捕捉され、付着しているし渣は、このし渣掻落用レーキ6の降下力によりスクリーン上方から下方に向かって順次強制的に掻き落とされる。
【0022】
このようにスクリーン面に付着しているし渣が剥離されるように掻き落とされ、グラブバケット2が最も低い降下位置まで降下し、かつ開口しているグラブバケットの先端が沈砂上面に食い入るようにして着床すると、次に開閉装置12の索条W2を少し巻き取ると、開口していたグラブバケット2は閉じるようになる。このとき、沈砂は閉じるグラブバケットにより掬い取られるようになり、完全に閉じた状態では、予め定めた沈砂量がグラブバケット内に収納されるようになる。この沈砂を掬い取るとき、グラブバケット降下時にスクリーン面から掻き落としたし渣も同時に掬われるようになり、グラブバケット内に収納される。
なお、グラブバケットが沈砂上に着床するとき、或いはグラブバケットが閉じるとき、或いはグラブバケットが上昇し始めるときに、し渣掻落用レーキ6をスクリーン面から離間するように揺動させるものとする。
【0023】
次に、グラブバケット2が閉じた状態で、昇降装置11、開閉装置12の索条W1,W2を同期して巻き取ると、グラブバケット2は閉じた状態でレーキガイドレール4に導かれて上昇する。そして掻き揚げ位置Aの最上昇位置まで上昇すると、索条W1,W2の巻き取りを停止すれば、これによりグラブバケット2の上昇も停止する。次に走行台車1を排出位置Bまで走行させ、停止する。
排出位置Bでグラブバケット2を開口すれば、掻き揚げられた沈砂等は、排出位置Bの下方に配設したコンテナC内に落下する。このコンテナ毎外部へ移動して掻き揚げ沈砂等を排出する。
なお、このコンテナは空にして再びもとの位置に戻し、次の掻き揚げ沈砂を受けるように待機させるが、このコンテナに代えて、トラックを直接配置することもできる。
この1回の動作で沈砂、し渣等を掻き揚げることができない場合は、この動作を2回以上繰り返して行うものである。
【0024】
なお、本発明は、雨水貯留槽内の沈砂等の掻き揚げ用として説明したが、特にこれに限定されることなく、大深度地下ポンプ施設用としても採用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置によれば、し渣等の掻き揚げ位置と排出位置間を走行する走行台車に、グラブバケットを開閉及び昇降可能に吊垂支持し、かつスクリーンにて捕捉されたし渣を掻き落とすレーキを備えているので、グラブバケットの開閉と昇降との動作を行うだけで、スクリーンに捕捉された、或いは付着したし渣をも確実に掻き落とすことができ、作業者が大深度の竪坑内に降りなくても機械的に、自動的にし渣の掻き落としが安全にできるとともに、掻き落とされたし渣は、グラブバケットにより沈砂と共に掻き揚げ排出されるので、作業性、安全性が向上するものとなる。
【0026】
そして、し渣掻落用レーキを、グラブバケットの昇降動作と同期して揺動するようにして、グラブバケットの降下時にはグラブバケットの自重によりスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすようにスクリーンに接触若しくは近接し、上昇時にはスクリーン面から離間するようにすることにより、グラブバケットに設けたし渣掻揚用レーキは、グラブバケットの昇降動作に応じて揺動させるため、グラブバケットを竪坑内に吊り降ろすだけでスクリーン面に捕捉され、或いは硬く付着したし渣も、グラブバケットの自重を利用してスクリーン面から確実に剥離、掻き落とすことができ、簡単な構成で、自動化が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置の一実施例の全体を示す断面図である。
【図2】 同沈砂、し渣の掻き揚げ装置を備えた竪坑の平面図である。
【図3】 同レーキ付グラブバケットの拡大側面図である。
【符号の説明】
H 竪坑
T 雨水貯留槽
D 掻き揚げ排出装置
G ガイドレール
A 沈砂、し渣の掻き揚げ位置
B 掻き揚げ沈砂などの排出位置
C コンテナ
P ポンプ
R ポンプ室
W1,W2,W3 索条
1 走行台車
11 グラブバケットの昇降装置
12 開閉装置
2 グラブバケット
3 スクリーン
4 レーキガイドレール
5 レーキ台車
6 し渣掻落用レーキ
Claims (1)
- 雨水貯留槽と連通するよう配設され、かつスクリーンを介して排水用のポンプ室を備えた竪坑の上方で、沈砂、し渣の掻き揚げ位置と掻き揚げ沈砂等の排出位置間を走行するように配設した走行台車と、昇降及び開閉して沈砂及びし渣を掻き上げるように走行台車に吊垂支持したグラブバケットと、該グラブバケットに、グラブバケットの昇降動作と同期して揺動してスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすように配設したし渣掻落用レーキとから構成し、前記し渣掻落用レーキを、グラブバケットの降下時にはグラブバケットの自重によりスクリーンに捕捉されたし渣を掻き落とすようにスクリーンに接触若しくは近接し、上昇時にはスクリーン面から離間するようしたことを特徴とする竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置。
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JP2001215222A JP4202623B2 (ja) | 2001-07-16 | 2001-07-16 | 竪坑内の沈砂、し渣の掻き揚げ装置 |
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CN103669445B (zh) * | 2012-08-30 | 2016-12-21 | 郑州华林清污起重设备有限公司 | 转耙和铲齿可相对滑移的清污抓斗 |
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