JP4202512B2 - 家庭用小型給湯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小型の電気温水器を採用し、設置スペースを最小として家庭用に好適なヒートポンプ併用の小型給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気温水器は縦型、横型を問わず外部にヒータを備えたものが一般に用いられており、これらは下部ヒータで加熱された水は自然対流により昇温水が軽くなって上昇してゆくが、しかし上方に達するまでに上部の水と混合して中間温度となつたり、自動給水、押し上げ式で採湯するため、貯湯タンク内で昇温された湯と低温水道水が混合されて中間温度となって貯湯され、しかも昼間の追掛け能力が低く、成績係数がヒートポンプの略3に対し1以下となって消費電力が大きくなり、経済的でないため夜間の貯湯が主体とならざるを得ないので、貯湯槽を大きくして昼間の追掛けを行わないのが現状となっている。
【0003】
しかも貯湯タンクの配置が床下600mm以下のような場合には湯の使用状態により湯水混合層の破壊や給水のショートパス発生の恐れがあり、湯切れの心配もある。
そこで床下のタンクを貯湯のみとし、屋外のヒートポンプとヒータにより沸き上げ貯湯タンクの上部より貯湯する電気温水器も一部提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記の如く貯湯タンクを大きくすることは貯湯スペースが大きくなって望ましくないことは勿論、ヒートポンプにより貯湯するとしても貯湯温度は約60℃と低く、夜に出来るだけ高くしても60℃であるため低めの温度の温水で大きな貯湯槽としないと、日中の使用量に耐えられず、夕方の風呂給湯時には湯切れを起こしてしまう。
【0005】
ところで、貯湯槽内部には温度の高い水と低温である水道水の密度差、比重差によって自然にできる温度成層があり、上部が高温であることが必要とされており、しかも上部が高温であり、出来るだけ高い温度の方が高密度の貯湯であり、貯湯効率が良好である。
このことから、貯湯槽上部は通常50℃以上に保つのが好ましいが、最大給湯負荷時の使用可能な限界温度は使用温度が42℃程度であるために45℃程度となる。
【0006】
一方、ヒートポンプで昇温された最大55℃程度の温水は貯湯槽の上部に注がれるが、下部より大流量の循環ポンプにより50℃程度の水を5℃程度昇温することが多い。
この方式の加熱は一般に循環運転と呼ばれているが、循環運転により水槽加熱する場合、基本的に貯湯槽内部の温度分布は殆どなく、均一にかきまぜられた状態となっており、上下の温度差は5℃位である。つまり温度成層は存在しない。
【0007】
本発明は上述の如き実状に鑑み、特に貯湯槽とヒートポンプ及び内部ヒータを併用し、追掛運転を行うことにより、貯湯槽を可及的小さくし、設備スペースを少なくしてヒートポンプと内部ヒータの高効率化とコスト低減を達成し、家庭用小型給湯装置の普及促進をはかることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、貯湯槽と、貫流運転可能なヒートポンプと、給湯負荷からなる給湯装置において、水道水供給源より減圧弁を介してヒートポンプの水熱交換器の下部側入口と貯湯槽の下部に夫々配管を接続し、かつヒートポンプ水熱交換器の上部側出口より貯湯槽上部と給湯負荷に夫々配管を接続すると共に、貯湯槽内部を上部が高く下部が低い温度勾配の温度成層に保持せしめて下部にヒータを内蔵させ、更に温度センサを内設し、所要の温度以下となると、ヒートポンプの追掛け運転を開始させ、また所定の温度を越えるとヒータの運転を開始させるようにした家庭用小型給湯装置にある。
【0009】
上記本発明装置において貯湯槽上部に接続された配管の口径はヒートポンプから送られる温水の最大流量において流速が0.5m/sec以下となるよう調整されることが温度成層を維持する上に好ましく、また上記の如くヒートポンプ水熱交換器の上部側出口より給湯負荷に接続された配管に混合水栓と、その下流側に圧力センサを設け、蛇口,シャワーなどよりの給湯開始時の水圧低下を検出させるようにすることは追掛け運転を判断し、ヒートポンプの運転開始を行う上に効果的である。
【0010】
【作用】
上記本発明小型給湯装置は、夜間の貯湯においてはヒートポンプ単独で水道水が充満した電気温水器の水を60〜65℃まで沸き上げる。そして、ヒートポンプ単独で60〜65℃まで沸き上げた以降にヒータをオンしてヒータ単独で85℃まで電気温水器の水を沸き上げる。
そして、昼間の給湯に際しては、ヒートポンプ及びヒータを停止して貯湯槽内部の85〜60℃の湯を直接、給湯に使用するが、85〜60℃の湯を給湯に使用するのに併せてヒートポンプを併行して運転(ヒータは停止)し、使用する。
また更にヒートポンプ及びヒータを併行して運転してもよく、特に湯切れの可能性が検出された場合のみはヒータが作動される。
【0011】
そして、上記ヒートポンプの追掛け運転、更にヒータの併用は温度センサにより速やかに検知して作動され、また圧力センサで給湯開始時の水圧低下を検出して上記追掛け運転の判断に寄与させて上記すべての場合に速やかに追掛けを可能ならしめ、ヒートポンプやヒータの加熱能力を発揮させる。
このとき、上記検知による作動が速やかで遅れがないことから貯湯槽を小さくし、設備スペースを少なくして家庭用に普及促進を図ることを容易とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、更に添付図面を参照し本発明給湯装置の具体的態様を説明する。
【0013】
図1〜図5は本発明装置の各運転作動態様を示すものであり、これら各図に示されるように本発明装置は貯湯槽1、貫流型ヒートポンプ2及び給湯負荷3を各要部として構成されており、貫流型ヒートポンプ2には貫流型水熱交換器23が装備されていて水道水供給源4より減圧弁5を介してヒートポンプの上記水熱交換器23の下部側入口と、貯湯槽1の下部に夫々配管aが接続されていると共に、上記配管aによつて更に貯湯槽1の下部と、ヒートポンプ2の水熱交換器23の下部側入口の間も接続されている。
【0014】
また、ヒートポンプの水熱交換器23の上部側出口では貯湯槽1の上部と、給湯負荷に夫々配管b、cが接続されており、水熱交換器23の上部側出口と給湯負荷3との間の配管cには途中に混合水栓31とその下流側に圧力センサ32が介設され、蛇口33、シャワー34などより給湯が行われるようになっているが上記圧力センサ32などにより水圧低下を検出することによって追掛け運転を判断し得るようになっている。
【0015】
なお、上記構成における貫流型ヒートポンプ2はポンプ21を介して制水弁22などにより水熱交換器23上部出口から出る温水温度がほぼ一定となるように流量調整機構を備え、貫流運転を行うようになっている。
【0016】
一方、貯湯槽1は横型で内部には温度の高い水と低温である水道水の比重差、密度差によって自然に上部が高く、下部が低い温度成層が形成されるようになっており、各層にわたり温度を検知する温度センサ12が設けられていると共に、槽内下部に追掛け加熱用のヒータ11が内蔵設置されている。
このヒータ11はヒートポンプ消費電力とほぼ同等な加熱容量をもつことが好適である。
【0017】
なお、温度センサ12は図では各層に配設されth1、th2,th3、th4で示されているが、これらは例えば貯湯槽1の中央部以下の温度センサはヒートポンプ追掛け可能温度、通常、30℃以下となると、ヒートポンプの追掛け運転が始まるよう設定されており、また、その温度センサの上部のセンサにはヒータ併用の追掛け運転を始めることができるように設定されている。
そして、夜の貯湯時間帯には60℃程度までヒートポンプ運転により加熱運転が行われ、60℃程度までのヒートポンプ運転終了後より90℃程度まで、前記ヒートポンプ消費電力と略同等な加熱容量を備えたヒータにより加熱運転が行われる。
昼間は給湯負荷に応じてヒートポンプ加熱と併用して運転される。
【0018】
また、貯湯槽1上部においてヒートポンプの水熱交換器上部出口より配管が接続されているが、この接続されている配管はその配管口径がヒートポンプより送られる一定温度の温水の最大流量において、流速が0.5m/sec以下となるように調整されて貯湯槽1の温度成層維持に配慮がなされている。
【0019】
次に各図を参照しつつ夜間及び昼間の運転態様について説明する。
図中、太線は運転中に水が流れる配管経路を示し、細線は流れない配管経路を示す。
【0020】
図1は夜間の貯湯ヒートポンプ作動態様であり、ヒートポンプ2単独で、水道水供給源4より導入された水道水温(5〜30℃)が充満した貯湯槽1(電気温水器)の水を60〜65℃まで沸き上げするものである。この態様においてはヒートポンプ2と貯湯槽1とを接続した上下の配管a、bのみに水が流れている。
【0021】
図2は図1と同じく夜間貯湯であるが、前記図1の態様にてヒートポンプ単独で60〜65℃まで沸き上げた以降にヒータ11単独で更に85℃まで貯湯槽1の水を沸き上げするものである。従ってこの場合はヒータ11が太線となり、オン状態となっている。
【0022】
以上に対して図3は昼間の給湯時態様であり、貯湯槽1内部の85〜60℃の湯を直接、給湯負荷3において給湯に使用する場合を示している。この場合、ヒートポンプ2及びヒータ11は停止しており、水道水供給源4より低温の水道水が配管dを通って混合水栓31に送られ、随時、貯湯槽1よりの湯と混合使用される。
【0023】
図4は上記図3と同じく昼間の給湯を示しており、貯湯槽1内部の85℃から60℃の湯を給湯に使用するのと併せて、ヒートポンプ2が併用して運転される場合である。
この場合、ヒータ11は停止されていることを示し、また水道水供給源4より直接、水が配管dを通じて混合水栓31に流れている。
【0024】
図5は、昼間の給湯の更に他の態様であり、貯湯槽1内部の85℃から60℃の湯を給湯に使用するのと併せてヒートポンプおよびヒータが併行して運転される場合のものである。
特に湯切れの可能性が検出された場合にのみヒータ11が作動する。
【0025】
本発明給湯装置によれば以上のような各運転による使用態様があり、夫々に応じて運転されるが、ヒートポンプ及びヒータの随時使用により貯湯槽を大きくする必要はなく、電気温水器の小型化が可能である。
なお、本発明装置は特に横型の貯湯槽(電気温水器)の使用に有効であるが、縦型のものでも適用できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
本発明給湯装置は以上のように貯湯槽と貫流運転が可能なヒートポンプを接続し、貯湯槽の内部を常に温度成層を保たせて運転を行うと同時に、昼間の運転時には貯湯槽より一定以上の湯量消費を検出する検出手段を備え、必要に応じヒートポンプもしくはヒータを適宜併用して追掛け運転を行い得るようにしたものであり、ヒートポンプ、ヒータの随時、併用により従来の如く低めの温度の温水を大きな貯湯槽で貯湯する必要なく、従って最小の貯湯槽で設置スペースを少なくすることができると共に、ヒータが貯湯槽内に収設されているため、加熱効率も良く、小型給湯装置としては頗る実用性に富む効果を有している。
【0027】
しかも本発明装置ではヒートポンプの水熱交換器の上部側出口からの接続配管は貯湯槽の上部に接続されているため、貯湯槽の温度成層をこわすことがなく、その維持に極めて有効であり、小型の給湯システム装置として普及促進が期待される実用的装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置による夜間貯湯態様の1つを示す配管系統図である。
【図2】本発明装置による夜間貯湯態様の別例を示す配管系統図である。
【図3】本発明装置による昼間の給湯態様の1つを示す配管系統図である。
【図4】本発明装置による昼間の給湯の他の態様に係る配管系統図である。
【図5】本発明層による昼間の給湯の更に他の態様に係る配管系統図である。
【符号の説明】
1 貯湯槽
2 貫流型ヒートポンプ
3 給湯負荷
11 ヒータ
12 温度センサ
21 ポンプ
22 制水弁
23 水熱交換器
31 混合水栓
32 圧力センサ
a、b、c、d 配管

Claims (2)

  1. 貯湯槽と、貫流運転可能なヒートポンプと、給湯負荷からなり、水道水供給源より減圧弁を介してヒートポンプの水熱交換器の下部側入口と貯湯槽の下部に夫々配管を接続し、かつヒートポンプ水熱交換器の上部側出口より貯湯槽上部と給湯負荷に夫々配管を接続して上部側出口より給湯負荷に接続された配管に混合水栓と、その下流側に圧力センサを設け、給湯開始時の水圧低下を該圧力センサにより検出し、追掛け運転を判断してヒートポンプの運転開始を行うように構成すると共に、貯湯槽内部を上部が高く、下部が低い温度勾配の温度成層に保持せしめて下部にヒータを内蔵せしめ、更に温度センサを内設して所要の温度以下となると、ヒートポンプの追掛け運転を開始させ、また所定の温度を越えるとヒータの運転を開始させるようにしたことを特徴とする家庭用小型給湯装置。
  2. 貯湯槽上部に接続された配管の口径はヒートポンプから送られる温水の最大流量において流速が0.5m/sec以下となるよう調整されている請求項1記載の家庭用小型給湯装置。
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