JP4201417B2 - カムシャフトの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、頭上弁(OHV)式内燃機関におけるカムシャフトの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の頭上弁式内燃機関は、クランクシャフトの回転をシリンダ上方のバルブの開閉駆動に伝達するために、クランクシャフト近傍のカムシャフトとバルブを駆動するロッカアームとの間に長尺のプッシュロッドを介装している。
しかし長いプッシュロッドは慣性重量が大きいため高速回転に適さない。
【0003】
そこでカムシャフトをクランクシャフトから離しシリンダブロックの中央部に配置させた例(実開昭63−125139号公報)がある。
同例の頭上式内燃機関01を図5に図示する。
【0004】
クランクケース02とシリンダヘッド04との間に挟まれるシリンダブロック03の中央部にカムシャフト015 が設けられ、同カムシャフト015 のカムスプロケット017 とクランクシャフト08のタイミングスプロケット016 との間にカムチェーン018 が架渡されている。
【0005】
カムシャフト015 のカム面に接して揺動するカムフォロア020 に下端を当接してプッシュロッド024 が上方へ延出してシリンダヘッド04を貫通してシリンダヘッッドカバー05内にまで至り、同プッシュロッド024 の上端がロッカアームを揺動させる。
【0006】
したがってピストン06の往復動が連接棒07を介してクランクシャフト08を回転させると、カムチェーン018 を介してシリンダブロック03内のカムシャフト015 を回転してカムフォロア020 を揺動し、同カムフォロア020 の揺動がプッシュロッド024 を上下動してロッカアームを介してバルブを所定タイミングで開閉する。
【0007】
同例では、一般の頭上式内燃機関のようにクランクケース内にカムシャフトがあるのと比べてカムシャフト015 がシリンダブロック03内にあって上方のロッカアームに近づき、よってプッシュロッド024 が短くなっている。
したがって従来よりはプッシュロッド024 の慣性重量が小さくある程度の高速回転に適用できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしなおプッシュロッド024 は、シリンダヘッド04を貫通して下端がシリンダブロック03内の中央近くまで入り込んでいて長尺であり、未だプッシュロッド024 の慣性重量は高速回転に大きく影響する。
【0009】
またシリンダブロック03内中央にカムシャフト015 が配設されるので、メンテナンス等でカムを交換するときには、カムチェーンを外す必要からもシリンダブロック03を外さなければならずカム交換が容易ではない。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、プッシュロッドを短尺にして高速回転に適用できるとともに、カム交換等のメンテナンスが容易にできるカムシャフトの取付構造を供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明は、頭上弁式内燃機関において、シリンダブロックのシリンダデッキ面に突設されたシリンダヘッドとは別体のカムシャフトホルダにカムシャフトを回転自在に軸支し、前記カムシャフトを前記シリンダデッキ面より上方でシリンダ上部とシリンダヘッドに囲まれた空所に位置させ、前記カムシャフトの回転により上下動するプッシュロッドをシリンダヘッドからシリンダヘッドカバー内に突出し、その上端をロッカアームシャフトに軸支されたロッカアームの一端に連結したカムシャフトの取付構造とした。
【0012】
シリンダ上部とシリンダヘッドに囲まれた空所にカムシャフトが取付けられるので、シリンダヘッドカバー内に設けられるロッカアームとの間を連結するプッシュロッドを短く設定でき、慣性重量を小さくし、高速回転に適用できる。
またカム交換等のメンテナンス時にはシリンダブロックはそのままにシリンダヘッドを外せばカムチェーンを外し易くカム交換等の作業を容易にすることができる。
【0014】
カムシャフトは、シリンダヘッド内に位置することになり、ロッカアームとの間を連結するプッシュロッドを短くして高速回転に適用でき、またシリンダヘッドを外せばカムシャフトが露出するので、カム交換等のメンテナンスが容易にできる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のカムシャフトの取付構造において、前記カムシャフトを軸支する前記カムシャフトホルダの相対する一対の取付ボルトを互いに軸方向にオフセットしたことを特徴とする。
【0016】
カムシャフトは軸受を介してカムシャフトホルダに軸支されるが、軸受との干渉を避けて少なくとも一方の取付ボルトをカムシャフト近傍に配置でき、径方向幅を狭くしてコンパクトにカムシャフトを取り付けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図4に図示し説明する。
本実施の形態に係る頭上弁式内燃機関1は、クランクケース2にシリンダブロック3,シリンダヘッド4,シリンダヘッドカバー5が順次重ねられて一体に合体して構成されている。
【0018】
本実施の形態では、該頭上弁式内燃機関1がクランクシャフト9を車体左右方向に向けて車両に横置きに搭載され、図1はその頭上弁式内燃機関1を左側面から見た断面図であり、同図1においてシリンダスリーブ6内で摺動するピストン7とクランクシャフト9とを連接棒8が連結しており、ピストン7の往復動をクランクシャフト9の回転に変えている。
【0019】
シリンダブロック3は、上部がシリンダボアより前方に膨出しており、シリンダデッキ面を上面視した図4を参照してシリンダヘッド4との合わせ面がシリンダボアの周囲の円環状合わせ面3aとその前方に変形コ字状に膨出した矩形状合わせ面3bとからなる。
【0020】
円環状合わせ面3aの前部から左部にかけての部分と矩形状合わせ面3bとで形成された枠内は、左右方向に長尺部分とその左端から後方へ延出した部分とで概ねL字状をなし、左右方向に長尺部分は底の浅い底壁11を備えており、左端から後方へ延出した部分は、底が貫通してチェーン室12を形成している。
【0021】
そして左右方向に長尺の底壁11の4隅で上面視で略平行四辺形の頂点部分が膨出してボス部15が形成されており、4つのボス部15の上面は略合わせ面3a,3bと同一面上にあり、各ボス部15にはねじ孔が形成されている。
【0022】
左側の前後2つのボス部15,15間にカムシャフトホルダ20が架設され、カムシャフトホルダ20の両端の円孔を貫通してボルト21,21がボス部15,15のねじ孔に螺合して固着する。
同様に右側の前後2つのボス部15,15間にカムシャフトホルダ25が架設され、カムシャフトホルダ25の両端の円孔を貫通してボルト26,26がボス部15,15のねじ孔に螺合して固着する。
【0023】
左側のカムシャフトホルダ20は内側にベアリング22が嵌合されてカムシャフト30の左端を貫通して回転自在に軸支し、右側のカムシャフトホルダ25は内側にベアリング27が嵌合されカムシャフト30の右端を回転自在に軸支する。
図4はシリンダブロック3のデッキ面にカムシャフト30がカムシャフトホルダ20,25により軸支された状態を示している。
【0024】
カムシャフトホルダ20,25をシリンダブロック3のデッキ面に固定するボルト21,21,26,26の取付け位置は平行四辺形の頂点位置にあり、各カムシャフトホルダ20,25の前後一対のボルト取付位置はカムシャフト30の軸方向にオフセットしている。
【0025】
したがって前後一対のボルト取付位置において前側のボルト取付位置は、ベアリング22,27の外側に位置するが、後側のボルト取付位置は軸方向にオフセットしてベアリング22,27の右側に位置してカムシャフト30に接近している。
そのためカムシャフトホルダ20,25の前後幅を小さくし、ひいては内燃機関1の前後長を小さくしている。
【0026】
このようにカムシャフトホルダ20,25は、シリンダブロック3のデッキ面に突設され、同左右の突設されたカムシャフトホルダ20,25に回転自在にカムシャフト30が軸支されるので、カムシャフト30はシリンダブロック3より上方にあってシリンダヘッド4内に位置することになる。
【0027】
このカムシャフト30の左端にドリブンスプロケット31が嵌着され、同ドリブンスプロケット31に巻きかけられたカムチェーン32がチェーン室12を通ってクランクシャフト9に嵌着されたドライブスプロケット33に巻きかけられる(図2参照)。
カムチェーン32は、チェーンガイド34でガイドされ、チェーンテンショナ35で適度な緊張を与えられる。
【0028】
シリンダブロック3のデッキ面に突出して設けられるカムシャフトホルダ20,25およびカムシャフト30を、上方から覆うシリンダヘッド4には、カムシャフト30の2つのカムロブに対応してそれぞれリフタガイド部が形成され、各リフタガイド部にカムフロワ40が摺動自在に嵌合され、同カムフロワ40にプッシュロッド41の下端が連結されている。
【0029】
プッシュロッド41は、シリンダヘッド4からシリンダヘッドカバー5内に突出して上端をロッカアームシャフト42に揺動自在に支持されたロッカアーム43の一端に連結し、ロッカアーム43の他端が吸気バルブ44または排気バルブ45に連結している。
【0030】
したがってクランクシャフト9の回転は、カムチェーン32を介してシリンダヘッド4内に位置するカムシャフト30を回転させ、カムシャフト30の回転はプッシュロッド41を上下動し、ロッカアーム43を介して吸気バルブ44,排気バルブ45を所定のタイミングで開閉駆動する。
【0031】
以上のように本頭上弁式内燃機関1においてカムシャフト30は、シリンダブロック3のデッキ面に突設されたカムシャフトホルダ20,25に軸支されて、シリンダヘッド4内に位置するので、シリンダヘッドカバー5内に配設されるロッカアーム43との距離が短く、したがってプッシュロッド41が短尺であり、プッシュロッド41の慣性重量を小さくし、高速回転に適用することができる。
【0032】
またカムシャフト30は、シリンダブロック3のデッキ面に突出して設けられるので、シリンダブロック3はそのままにシリンダヘッド4を取り外せばカムシャフト30およびその端部のドリブンスプロケット31が露出するので、この状態でカムチェーン32を外すことが簡単にでき、カム交換等のメンテナンス作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る頭上式内燃機関の一部断面とした正面図である。
【図2】同一部切り欠いた正面図である。
【図3】カムシャフトの取付構造を示す一部断面とした側面図である。
【図4】シリンダブロックのシリンダデッキ面にカムシャフトを取り付けた状態を上面視した図である。
【図5】従来の頭上式内燃機関の断面図である。
【符号の説明】
1…頭上式内燃機関、2…クランクケース、3…シリンダブロック、4…シリンダヘッド、5…シリンダヘッドカバー、6…シリンダスリーブ、7…ピストン、8…連接棒、9…クランクシャフト、11…底壁、12…チェーン室、15…ボス部、
20…カムシャフトホルダ、21…ボルト、22…ベアリング、25…カムシャフトホルダ、26…ボルト、27…ベアリング、
30…カムシャフト、31…ドリブンスプロケット、32…カムチェーン、33…ドライブスプロケット、34…チェーンガイド、35…チェーンテンショナ、
40…カムフロワ、41…プッシュロッド、42…ロッカアームシャフト、43…ロッカアーム、44…吸気バルブ、45…排気バルブ。
Claims (4)
- 頭上弁式内燃機関において、
シリンダブロックのシリンダデッキ面に突設されたシリンダヘッドとは別体のカムシャフトホルダにカムシャフトを回転自在に軸支し、
前記カムシャフトを前記シリンダデッキ面より上方でシリンダ上部とシリンダヘッドに囲まれた空所に位置させ、
前記カムシャフトの回転により上下動するプッシュロッドをシリンダヘッドからシリンダヘッドカバー内に突出し、その上端をロッカアームシャフトに軸支されたロッカアームの一端に連結したことを特徴とするカムシャフトの取付構造。 - 前記カムシャフトを軸支する前記カムシャフトホルダの相対する一対の取付ボルトを互いに軸方向にオフセットしたことを特徴とする請求項1記載のカムシャフトの取付構造。
- 前記カムシャフトの端部に嵌着されたドリブンスプロケットに巻きかけられたカムチェーンをクランクシャフトに嵌着されたドライブスプロケットにシリンダ軸線に対して斜めに取付けるとともに、
チェーンテンショナを前記カムチェーンに沿ってシリンダヘッドより下方に取り付けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のカムシャフトの取付構造。 - 前記ロッカアームシャフトに対し斜めに交差するように配置した前記ロッカアームの他端を吸気バルブまたは排気バルブに連結させたことを特徴とする請求項1記載のカムシャフトの取付構造。
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