JP4201222B2 - 糸状虫増殖抑制組成物および糸状虫増殖抑制剤 - Google Patents

糸状虫増殖抑制組成物および糸状虫増殖抑制剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸状虫の増殖を抑制する組成物およびこの組成物を有効成分とする糸状虫増殖抑制剤に関し、より詳細には、糸状虫のミクロフィラリアの増殖を抑制する組成物およびこの組成物を有効成分とする糸状虫増殖抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
寄生虫は、他の生物体の体表または体内に棲み、これらの生物体から栄養を得て生育・増殖するものである。ヒトを初めとする多くの動物種に感染して増殖する寄生虫が知られており、具体的には、回虫属(Ascaris)に属するA. lumbricoides、A. lumbricoides suum等によってヒトやブタに引き起こされる回虫症、ギョウ虫(Oxyria)属に属するEnterobuis vermicularis、Oxyuris eui等よってヒトやウマに引き起こされるギョウ虫、線虫属(Onchocerca)に属するWurcheria bancrofti、Onchocerca vpluvulus等によって引き起こされるフィラリア等が挙げられる。
【0003】
糸状虫(フィラリア)の成虫は、各種脊椎動物のリンパ管、リンパ節、血管、皮下結合組織、眼窩等に寄生し、胎生でミクロフィラリア(microfilaria)を産出し、吸血昆虫によって伝播される。ヒトにおいては、中国、四国地方で流行が見られたバンクロフト糸状虫、八丈小島に流行が見られたマレー糸状虫、アフリカ、中南米等の赤道直下の熱帯地方に分布する回旋糸状虫(Onchocerca vpluvulus)等が知られている。
【0004】
バンクロフト糸状虫は、ネッタイイエカ、アカイエカ等のイエカ属に属する蚊やシナハナダラカ等のハマダラカ属に属する蚊によって媒介され、マレー糸状虫は、ヌマカ属やヤブカ属等に属する蚊によって媒介される。吸血によって蚊の体内に入ったミクロフィラリアは中腸で脱鞘して胸筋に移行し、ソーセージ状の虫体となり、さらに2回脱皮して感染幼虫となる。これが胸筋から体腔に出て吻に移行し、吸血に際して人体内に侵入し、リンパ管閉塞、皮膚の肥厚硬化、象皮病等を引き起こす。
【0005】
イヌにおいては、やぶ蚊やハマダラ蚊を介してイヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)が100匹当たり40〜50匹に感染している。成虫は右心室および肺動脈に寄生し、ミクロフィラリアは全身の血管、全臓器に寄生してフィラリア症となる。ミクロフィラリアの大きさは約300ミクロンであり、5〜6年で成虫となる。
糸状虫に感染すると、宿主の免疫抑制が生じ、血管内圧迫、心室肥大、生活代謝産物産生等が起こる。生活代謝産物は、雌の糸状虫で6年間に15mg程度、雄の糸状虫で24mg程度産生される。宿主の体内では、生活代謝産物に対する抗体が産生され、この抗体は代謝産物と結合して免疫複合体を形成し、血管壁内部に沈着することが知られている。
【0006】
イヌ糸状虫はトウゴウヤブカ等の蚊によって媒介されてヒトで幼線虫移行症を惹起するが、1993年には、我国においても91人のイヌフィラリア症感染者が確認されている。すなわち、糸状虫はヒトおよび動物に共通して感染する人畜共通感染症をも惹起する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなイヌフィラリア症の予防薬としては、イベルメタチンやミルベマイシン等が知られており、また、バンクロフト糸状虫等によるヒト糸状虫症の治療薬としてはジエチルカルバマジンが知られている。
【0008】
しかし、イベルメタチンやミルベマイシン等はいずれも成虫に対して作用するものであり、ミクロフィラリアに対しては作用しない。また、ジエチルカルバマジンはミクロフィラリアに効果はあるものの、悪心、嘔吐等の副作用があり、発熱することもある。
したがって、ミクロフィラリアに対して効果的に増殖を抑制し、かつ副作用の少ない薬剤が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、以上の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、数種の精油を組合わせて使用することにより糸状虫の増殖が抑制されることを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、グレープフルーツ油と、酢酸ゲラニル系ユーカリ油及びクローブ油と、ラバンジン油及びラベンダー油からなる群から選ばれるいずれかの精油と、ローズマリー油とを含む糸状虫増殖抑制組成物である。
【0011】
ここで、上記の糸状虫増殖抑制組成物は、タイワンヒノキ油およびヒバ油から選ばれるヒノキ科植物精油をさらに含むことが好ましく、ツバキ科植物精油をさらに含むことが好ましい。また、本発明の糸状虫増殖抑制組成物は、フウロソウ科植物精油をさらに含むことが好ましい。
【0012】
本発明はまた、上記の糸状虫増殖抑制組成物を有効成分とする糸状虫増殖抑制剤である。本発明の糸状虫増殖抑制剤は、精油によって表面膜を形成するためのポリビニルアルコールと、前記精油によって形成された表面膜の表面に吸着させて粉粒体を製造するための活性炭と、ポリビニルアルコール、アクリル系吸水性樹脂、ゼオライト、キトサン、及びL−メントールからなる基剤と、をさらに含むものであることが好ましい。
ここで、上記高分子吸水性樹脂はポリビニルアルコール及びアクリル系吸水樹脂であることが好ましい。また、上記多孔性物質は活性炭及びゼオライトであることが好ましく、上記吸着剤はキトサンであることが好ましい。上記吸収促進剤はL−メントールであることが好ましく、上記アクリル系吸水樹脂はサンフレッシュ(登録商標)であることが好ましい
【0013】
また、本発明は、グレープフルーツ油と、酢酸ゲラニル系ユーカリ油及びクローブ油と、ローズマリー油と、ラバンジン油及びラベンダー油からなる群から選ばれるいずれかの精油とを、それぞれポリビニルアルコールと混合して、前記ポリビニルアルコールの表面に精油によって表面膜を形成し、ついで、前記精油によって形成され表面膜の表面に活性炭を吸着させて粉粒体とし、さらに、ポリビニルアルコール及びアクリル系吸水性樹脂、ゼオライト及びキトサン、並びにL−メントールを含む基剤と混合し、圧着用シートの上にのせて熱圧着し、シート状素材で挟んだ後にヒートシールする、糸状虫増殖抑制剤の製造方法である。
ここで、上記アクリル系吸水樹脂はサンフレッシュであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本明細書中において、糸状虫増殖抑制組成物とは、糸状虫の増殖を抑制する効果を有する精油とポリビニルアルコールとの混合物をいう。糸状虫増殖抑制剤とは、上記糸状虫増殖抑制組成物に、それを製剤とするための各種担体を加えたものをいう。
また、本明細書中において、精油成分とは、後述する各精油中に含まれる個々の化合物をいう。
【0015】
本発明において使用するミカン科植物精油とは、ミカン科に属するアシッドライム(Citrus aurantifolia Swing)、スイートオレンジ(Citrus sinensis Osbeck Var. brasiliensis Tanaka)、グレープフルーツ(Citrus paradisi Mac fayden)、ダイダイ(Citrus aurantium L. var. subsp. amara Engel)、ベルガモット(Citrus aurantium L. subsp.bergamia(Risso et Poit) Wright et Am.)、マンダリン(Citrus reticulata Blanco var. "Mandarin")、レモン(Citrus limone (L.) Burum f.)、サンショウ(Xanthoxylum piperitum DC.)といった植物から得られる精油の総称であり、具体的には、ライム油、オレンジ油、グレープフルーツ油、ネロリ油、橙花油、ベルガモット油、マンダリン油、レモン油およびサンショウ油が挙げられる。
【0016】
本発明の糸状虫増殖抑制組成物においては、グレープフルーツ油、マンダリン油、またはレモン油を使用することが好ましく、これらは単独で使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0017】
グレープフルーツ油は、カリフォルニア、フロリダ、テキサス、イスラエルおよびブラジルなどを主産地とするグレープフルーツ(Citrus paradisi Mac fayden)の果皮を機械圧搾して得た精油の総称であり、また、グレープフルーツの葉および小枝を水蒸気蒸留するとグレープフルーツペチグレン油が得られる。グレープフルーツ油は、成分中に90%以上のd-リモネンと特有成分であるヌートカトンとを含み、さらに、オクチルアルデヒド、シトラール、ゲラニオールおよびその酢酸エステルなどをも含む。本発明においては、カリフォルニア産のグレープフルーツから得られる精油を使用することが、この精油の特有成分であるメンテンチオール、チオシネオール等のチオール系の物質の薬理効果が発揮されるという理由から好ましい。
【0018】
マンダリン油は、イタリア南部、シシリー、スペイン、アフリカの地中海沿岸ならびにブラジルなどを主産地とするマンダリン(Citrus reticulata Blanco var. "Mandarin")の果皮から、海綿法または圧搾法で得られる精油である。また、マンダリンの葉を水蒸気蒸留すると、マンダリンプリグレン油が得られる。マンダリン油はd-リモネンを主成分とし、N−メチルアンスラニル酸メチル、シトラール、C8〜C11−直鎖脂肪族アルデヒド、その他テルペン類を含有する。葉油は特有の成分として、N-メチルアンスラニル酸メチル(50〜60%)を含む。
【0019】
レモン油は、カリフォルニア、シシリー、カラブリア、スペイン、およびブラジルを主産地とし、その他日本でも栽培されているレモン(Citrus limone (L.))の果皮の圧搾により得られる。成分としては、d-リモネン、シトラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、リナロール、ゲラニオール、その他各種のテルペノイドを含む。
本発明の糸状虫増殖抑制組成物中のミカン科精油の含有量は、組成物の総重量に対して25〜45重量%であることが好ましく、28〜38重量%であることがさらに好ましい。
【0020】
フトモモ科精油とは、フトモモ科に属するチョウジ(Eugenia caryophllata Thunb)、ピメンタ(Pimenta officinalis Lind.)、ベイ(Pimenta racemosa(Mill.) J. W. Moore)ユーカリ属(Eucalyptus)に属するユーカリ樹(Eucalyptus blobulus Labill.(Blue gum)、 Eucalyptus dives Schauer Type、Eucalyptus macarthuri H. Deane et J. H. Maiden、Eucalyptus citridora Hook)から得られる精油の総称であり、具体的には、クローブ油(Clove oil)、ピメンタ(Pimenta)、オールスパイス(Allspice)、ベイ油(Bay oil)、およびユーカリ油が挙げられる。
【0021】
クローブ油は、アフリカ東海岸のザンジバル島、ペンバ島およびマダガスカル島、インドネシア各地、セイロン、およびジャバが原産であるチョウジの開花前の花蕾を採集して乾燥したものを水蒸気蒸留して得られる。溶剤抽出するとオレオレジンが製造される。成分としては、オイゲノール(70〜90%)およびその酢酸エステル、カリオフィレン、バニリン、フルフラールとフルフリルアルコール並びにその誘導体が含まれる。
【0022】
ユーカリ油は、タスマニア原産で、北米、メキシコ、アフリカ、および南部スペインなどを主産地とするシネオール系ユーカリ油、オーストラリアのニューサウスウェールズ、ビクトリア地方を主産地とするピペリトン、フェランドレン系ユーカリ油、オーストラリアのニューサウスウェールズ南部を主産地とする酢酸ゲラニル系ユーカリ油、およびオーストラリアのクインズランド、南アフリカ、ブラジル、ジャバ、インドなどを主産地とするシトロネラール系ユーカリ油とに大別される。
【0023】
シネオール系ユーカリ油は、Eucalyptus globulus Labill.の葉を水蒸気蒸留して得ることができ、成分としては、シネオール(70〜80%)、α−ピネン、カンフェン、ピノカルベオール、ピノカルボン、ミルテノール、ベルベノン、カルボン、オイデスモール、およびC4〜C6の脂肪族アルデヒドなどを含有する。
【0024】
ピペリトン、フェランドレン系ユーカリ油は、 Eucalyptus dives Schuer Typeの葉および小枝の水蒸気蒸留によって得ることができ、成分としては、ピペリトン(40〜50%)、α−フェランドレン(20〜30%)、p-シメン、カンフェン、ジペンテン、α−ツエンなどを含有する。
【0025】
酢酸ゲラニル系ユーカリ油は、Eucalyptus macarthuri H. Deane et J. H. Maidenの葉および小枝の水蒸気蒸留によって得ることができ、成分としては、酢酸ゲラニル(約70%前後)、ゲラニオール(約3%)、オイデスモール(約16%)、その他脂肪族アルデヒドなどを含む。
【0026】
シトロネラール系ユーカリ油は、Eucalyptus citriodora Hookの葉および小枝の水蒸気蒸留によって得ることができ、成分としては、d-またはl-シトロネラール(65〜80%)、d-またはl-シトロネロール(15〜20%)、フェランドレン、シネオール、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、イソプレゴールなどを含有する。
【0027】
本発明の糸状虫増殖抑制剤では、クローブ油と酢酸ゲラニル系ユーカリ油、またはクローブ油とシネオール系ユーカリを用いることが、糸状虫の増殖を抑制する成分、例えば、酢酸ゲラニル、シネオール、オイデスモールおよびオイゲノール等が一定量以上含有されることとなるために好ましい。
【0028】
また、糸状虫増殖抑制組成物中のフトモモ科精油の含有量は、組成物に対して25〜50重量%であることが好ましく、28〜38重量%であることがさらに好ましい。フトモモ科精油群から2種以上を選択して使用する場合、例えば、酢酸ゲラニル系ユーカリ油とクローブ油とを選択する場合には、酢酸ゲラニル系ユーカリ油の含有量を15〜48重量%、クローブ油の含有量を2〜10重量%とすることが、クローブ油中に含まれるオイゲノールの毒性を抑えつつ、駆虫効果を発揮させる上で好ましい。
【0029】
シソ科精油とは、シソ科に属するアオジソ(Perilla frutescens Var. cripsa Decne. forma viridus Makino)、カワミドリ(Agastache rugosa O. Kuntze)、クラリーセージ(Salvia sclarea L.)、セージ(Salvia offecinalis L.)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris L.)、チクマハッカ、イヌハッカ(Nepeta cataria L.)、ハッカ(Menta arvensis、Menta piperita var. vulgaris L.)、スペアミント油(Menta spicata Huds, var. tenuis (Michx Briq.))、ペニーロイヤル(Menta pulegium L. var. eriantha)、パッチュリ(Pogostemon cablin Benth.)、マンネンロウ(Rosmatinus offinalis L.)、メボウキ(Ocimum basilicum L.)、ラバンジン(Lavandula hybrida Reverch)、ラベンダー(Lavendula officinalis Chaix.)から得られる精油総称のである。
【0030】
具体的には、ペリラ油、カワミドリ油、クラリーセージ油、セージ油、タイム油、チクマハッカ油、イヌハッカ油、和種ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ペニーロイヤル油、パッチュリ油、ローズマリー油、バジル油、ラバンジン油、およびラベンダー油が挙げられる。
本発明の糸状虫増殖抑制剤では、クラリーセージ油、セージ油、ローズマリー油、ラバンジン油、またはラベンダー油を使用することが好ましく、これらの精油は単独で使用してもよく、2種以上を組合わせて使用してもよい。
【0031】
クラリーセージ油は、南フランス、イタリア、クリミヤ地方、モロッコ、イギリス、北米などを主産地とするクラリーセージ(Salvia sclarea L.)の花穂、全草の水蒸気蒸留によって得られる。成分としては、1-リナロール、酢酸リナリル、スクラレオール、ネドリドールなどを含む。
セージ油は、ユーゴスラビア、ブルガリア、トルコ、フランス、ドイツ、北米等を主産地とするセージ(Salvia offecinalis L.)の乾燥葉の水蒸気蒸留によって得られる。成分としては、シネオール、ツヨン、ボルネオール、カンファーなどが含まれる。
【0032】
ローズマリー油は、スペイン、ユーゴスラビア、チュニジア、フランス、イタリアなどを産地とするマンネンロウ(Rosmarinus officinalis L.)の花、葉または全草の水蒸気蒸留によって得られる。成分としては、ボルネオール、酢酸ボルニル、カンファー、シネオール、その他のテルペン化合物などを含む。
ラバンジン油は、南フランスを産地とするラバンジン(Lavandula hybrida Reverch)の花の水蒸気蒸留で得られる。成分としては、リナロール、酢酸リナリル、リナロールオキシド、シネオール、d-カンファー、d-ラバンジュロールなどを含有する。
【0033】
ラベンダー油は、フランス、イタリア、ハンガリー、旧ソ連南部、イギリス、北アメリカ、オーストラリアおよび北海道を主産地とし、ラベンダー(Lavendula officinalis Chaix.)の花を水蒸気蒸留して得られる。成分としては、リナロール(10〜20%)、酢酸リナリル(30〜60%)、ラバンジュロール、酢酸ラバンジュリル、3−オクタノール、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、シネオール、シトロネラールなどの多数の成分を含有する。
【0034】
本発明の糸状虫増殖抑制組成物中におけるシソ科精油の含有量は、25〜50重量%とすることが好ましい。
上記のようなシソ科油は、単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用することが好ましく、2種類を混合して使用することが最も好ましい。例えば、ラベンダー油とローズマリー油とを組合わせて使用する場合には、ラベンダー油の含量を15〜48重量%、ローズマリー油の含量を2〜10重量%とすることが、ラベンダー油の鎮静作用を十分に発揮させる上で好ましい。
【0035】
本発明の糸状虫増殖抑制組成物においては、ミカン科精油群、フトモモ科精油群およびシソ科精油群から、それぞれ少なくとも1種以上の精油を選択して混合する。ミカン科精油群またはフトモモ科精油群から選ばれる精油を含有しない場合には、糸状虫の増殖抑制効果が見られない。
上記のミカン科精油群およびフトモモ科精油群はいずれも樹木から得られる精油群であり、また、シソ科精油群は草本から得られる精油群である。本発明の糸状虫増殖抑制組成物においては、上記の樹木から得られる2種類の精油と草本から得られる1種類の精油とを、ほぼ1/3ずつの割合で混合する。このような割合とすることにより、樹木から得られる精油の神経系に対する副作用を防止することができることによる。
【0036】
ヒノキ科精油とは、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana L.)、セイヨウヒノキ(Cypressus sempervirens L. var. stricta Ait)、タイワンヒノキ(Chamaecyparis obtusa(Seib. et Zucc.))、ネズミサシ(Juniperus utilis Koidz.)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa Endl.)、ベニヒ(Chamaecyparis formosensis Matsum.)、およびヒバ(Thujopsis dolabrata Seib. et Zucc. var. Hondai Makino)から得られる精油の総称である。具体的には、シダーウッド油、シプレス油、タイワンヒノキ油、ネズミサシ油、ヒノキ油、ベニヒ油、およびヒバ油が挙げられる。
【0037】
本発明の糸状虫増殖抑制組成物においては、タイワンヒノキ油、ヒバ油を使用することが糸状虫の幼虫であるミクロフィラリアと成虫とを同時に死滅させることができるために好ましい。
タイワンヒノキ油は、台湾を主産地とするタイワンヒノキの葉、根を水蒸気蒸留して得られる精油である。成分としては、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、p-シメン、γ-テルピネン、d-サビネン、テルピネオール、リナロール、ツヨプセン、β-エレメン、α-セドレン、エレモール、ビドロール、セドロール、ヒノキチオール(特有成分)、α-ツヤプリシン、トロポロイド、ヒノキチン等が含まれる。
【0038】
ヒバ油は、青森県および北海道を主産地とするヒバまたはヒノキアスナロの材、枝はを水蒸気蒸留して得られる精油である。材油の成分としては、ロジン酸、α-ツヤプリシン、β-ツヤプリシン、ヒノキチオール、ツヨプセン(主成分)、セドロール、カルバクロール等のフェノール類が含まれる。また、葉油の成分としては、ジペンテン、サビネン、ボルネオール、サビノールを中心としたモノテルペノイド(主成分)、酢酸サビニル、セスキテルペノイド並びにヒバエン等のジテルペノイドが含まれる。
【0039】
ヒノキ科精油の含有量は、組成物の総重量に対して0〜10重量%とするとヒノキ科精油の毒性が発現されないために好ましい。
ツバキ科精油とは、ツバキ科に属する茶(Thea sinensis L.)から製造される緑茶を水蒸気蒸留して得られる精油をいう。約300種の成分が同定されているが、シス−3−ヘキセノールおよびヘキサン酸エステル、トランス−2−ヘキセン酸エステル、そしてリナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、シス−ジャスモン、ジャスモン酸メチル、インドールが香りとして重要である。
【0040】
本発明の糸状虫増殖抑制剤では、シス−3−ヘキセノール(青葉アルコール)を使用することがイヌ糸状虫をはじめとするすべての糸状虫に対して駆虫効果を有するために 好ましい。シス−3−ヘキセノールの含有量を組成物の総重量に対して0〜10重量%とするとシス−3−ヘキセノール特有の臭いを抑え、かつ糸状虫に対する駆虫効果を有するために好ましい。
【0041】
フウロソウ科精油とは、フウロソウ科に属するニオイテンジクアオイ(Pelargonium graveolens Ait.)、具体的には、大葉ゼラニウム、小葉ゼラニウム(P.denticulatum Jacq.)、キクバテンジクアオイ(P.radula Ait.)および中葉ゼラニウムから得られる精油である、ゼラニウム油をいう。
ゼラニウム油は、レユニオン島、アルジェリア、モロッコ、スペイン、フランス、我国の瀬戸内海の島を主産地とするニオイテンジクアオイの葉、小枝を水蒸気蒸留して得られる精油である。上記のような植物の種類と産地によって組成比は異なるが、一般的にはβ−シトロネロール(20〜50%)、ゲラニオール(10〜15%)、ピネン、ジペンテン、リナロール、メントン、酢酸ゲラニルおよびゲラニオール、シトロネロールのギ酸エステル、ローズオキサイド、リナロールオキサイド等を含有する。
【0042】
ゼラニウム油の含有量を組成物の総重量に対して0〜10重量%とすることがイヌ糸状虫をはじめとするすべての糸状虫に対して駆虫効果を有するために好ましい。
上述した各種精油または精油成分は、上述したような各種の植物を常法に従って水蒸気蒸留して得てもよく、または、市販品を購入して使用してもよい。これらの精油および精油成分は天然物であるために、投与を受けた動物の体内に長期間にわたって蓄積されることはなく、安全性が高いという利点を有する。
【0043】
こうした精油成分は、タンパク質合成阻害、細胞壁合成阻害、核酸合成阻害の3つの段階で糸状虫の増殖を抑制する。具体的には、例えば、カリフォルニア産グレープフルーツ油(ミカン科精油)に含まれるヌートカイン、メンテンチオール、チオシネオール等はミクロフィラリアのタンパク質合成を阻害し、酢酸ゲラニル系ユーカリ油(フトモモ科精油)に含まれる酢酸ゲラニル、オイデスモール、クローブ油(フトモモ科精油)に含まれるフルフラールはミクロフィラリアのタンパク質合成を阻害するという薬理作用を示す。ミクロフィラリアのタンパク質合成阻害をする精油成分は、増殖を阻害しようとする糸状虫の種類によって相違するため種類が多い。また、上述したメンテンチオールおよびチオシネオールはまたミクロフィラリアおよび成虫の細胞壁合成阻害(削壁)作用を示し、オイゲノールは核酸合成阻害作用を示す。
【0044】
したがって、本発明の糸状虫増殖阻害組成物を調製するためには、細胞壁合成阻害作用を有する精油成分を含む精油(具体的にはミカン科精油)と、核酸合成阻害作用を有する精油成分を含む精油(具体的にはフトモモ科精油)と、タンパク質合成阻害作用を有する精油成分を含む精油(ミカン科精油、フトモモ科精油、シソ科精油)とを含むことが必須となる。
【0045】
これらの精油または精油成分を所定の量で、所定の組合わせで常法に従って混合することにより、本発明の糸状虫増殖抑制組成物を調製することができる。
本発明の糸状虫増殖抑制剤は、高分子吸水性樹脂、多孔性物質、精油吸着剤および吸収促進剤を含む製剤基剤と、上述したように調製した糸状虫増殖抑制組成物とを混合して製造する。
【0046】
本発明の糸状虫増殖剤で使用する高分子吸水樹脂としては、ポリビニルアルコールおよびアクリル系吸水樹脂などの吸水性樹脂を挙げることができる。本発明の糸状虫増殖抑制剤中において、これらの高分子吸水性樹脂は基剤として機能するばかりでなく、皮膚表面の遊離水分を速やかに除去するという作用を発揮する。
【0047】
本発明の製剤において使用する高分子吸水性樹脂のうち、PVAはケン化価の低い信越ポバール(信越化学)またはケン化価の低いゴーセラン(日本合成化学)とを混合して使用することが好ましい。ケン化価の低いPVAは精油の吸着担体として作用し、また、ケン化価の高いPVAは熱可塑性を有するためである。アクリル系吸水性樹脂は、適用部位の皮膚表面に存在する遊離水分を除去するものであり、サンフレッシュ(三洋化成工業)等を使用することが好ましい。
【0048】
本発明の糸状虫増殖抑制剤中における高分子吸水性樹脂の含有量は、基剤の総重量に対して70〜90重量%であることが好ましく、このうちPVAの含有量は基剤の総重量に対して45〜55重量%とする。PVAは組成物中では精油を樹脂表面に吸着して油膜を形成し、また、基剤中ではゼオライトに吸着された水によって発生する熱の伝導を抑制するという効果がある。
【0049】
本発明で使用する多孔性物質としては、ゼオライトまたは活性炭等を挙げることができる。
ゼオライトは、空気中の水分を吸着し、基剤に吸着した精油を脱着させることによって、投与部位に於ける揮発性物質の滞留時間を保つという作用を有する。ゼオライトは、孔径が1〜8Åのものを用いることが好ましく、3〜4Åのものを用いると精油成分の脱着効果が高い。このような孔径のゼオライトであれば市販品を使用することができ、具体的には、ゼオラム(東ソー)等を挙げることができる。
【0050】
活性炭は、表面積が200〜800m2/gのものを使用することが、活性炭に吸着される精油量が少なくなり脱着がされやすいことから好ましく、より好ましくは、400〜800m2/gである。この範囲の表面積を有する活性炭であれば、市販品を使用することができる。上記活性炭は、本発明の糸状虫増殖抑制剤中では、高分子の吸水性樹脂の表面に吸着されて油膜を形成した上記精油成分の表面を覆い、精油成分同士が化学的相互作用をすることを防止するという作用を有する。
【0051】
本発明の製剤で使用する吸着剤としては、キトサン、セルロースその他の多糖類化合物を挙げることができる。キトサンを使用することが吸着された遊離水分によって急激に発生する熱の伝導を防止することができ、また、製剤中に色素を含有する場合にはこれらの色素の担体となるという理由から好ましい。キトサンに代えて、上述のような熱の伝導を防止するセルロース等を使用することもできる。
【0052】
吸収促進剤は、皮膚から上記糸状虫増殖抑制剤中の精油または精油成分の吸収を促進するように作用するもので、具体的には、L−メントール等を挙げることができ、市販品を使用してもよい。これらのうち、L−メントールの使用により、皮膚表面に存在する残存遊離水分を気化させて除き、皮膚を乾燥させて精油が吸収されやすい環境がつくられる。
【0053】
本発明の糸状虫増殖抑制組成物は、以下のようにして基材と混合する。
所定量のアクリル系樹脂と、所定量のPVAとを混合して攪拌し、次に所定量のゼオラムを加えてよく攪拌する。ここに所定量の活性炭を加えて攪拌し、さらに所定量のL-メントールとキトサンとをこの順番でそれぞれ混合して攪拌し、基剤を調製する。
【0054】
一方、各精油を所定量ずつ秤量し、このうちの1つの精油をPVAと混合し、次に別の精油をここに添加して混合するという操作を繰り返す。すべての精油をPVAと混合し、PVAの表面に精油によって表面膜を形成させた後に、活性炭を加えて精油膜の表面を覆う。これを上記の基剤と混合し、圧着用シートの上にのせて熱圧着し両面を被覆する。その後、例えば、適当な大きさに裁断した不織布等のシート状素材によりはさんで4辺をヒートシールし、本発明の糸状虫増殖抑制剤を調製する。
【0055】
本発明の糸状虫増殖抑制剤は、上述の糸状虫増殖抑制組成物を上記の高分子樹脂を担体としてその表面に吸着させて油膜を形成し、さらにその表面に上記の炭素粉末を吸着させて粉粒体とする。この粉粒体を2枚のシート状素材に挟み、このシート状素材のすべての末端を熱圧着して経皮吸収用の製剤(1ピース)とする。
上記シート状素材は、紙、織布または不織布からなる群から選ばれるものであることが好ましく、特に、上記糸状虫増殖抑制組成物に含まれる精油成分が揮発して気体分子となったときに、これらが透過しやすいものである点で、不織布であることが好ましい。
【0056】
本発明の糸状虫増殖抑制剤は、脂溶性の高い低分子化合物を成分として含むこと、および糸状虫が寄生するリンパ節、リンパ管、血管、その他の臓器中へ直接かつ速やか有効成分を移行させるために、非経口投与ルートで使用する剤形とすることが好ましく、経皮吸収剤とすることがさらに好ましい。経皮ルートから有効成分が吸収されると、吸収の程度は薬物の構造や物理化学的性質に依存するものの、経口ルートまたは経皮以外の非経口ルートからの吸収と比較して、薬物のリンパ移行性が高いからである。
【0057】
薬物の経皮吸収ルートには、表皮の角質層を通り、表皮下結合組織の乳頭層内にある毛細血管、毛細リンパ管に至る経路と、付属器官の皮脂腺を通り、血管やリンパ管に至る経路とがある。いずれの経路においても、薬物は毛細血管、毛細リンパ管から全身循環系に運ばれ薬理作用を発現する。
このような剤形とすることにより、本発明の糸状虫増殖抑制剤は有効成分が速やかに寄生虫の生息部位に送達され、また、送達される途中に存在するミクロフィラリアに対しても削壁効果を発揮して死滅させるため、成虫が死滅した後においてもミクロフィラリアの成長が抑えられる。
【0058】
また、本発明の糸状虫増殖阻害剤は、体重が5kg未満小型犬の場合には1ピース、5kg以上10kg未満の中型犬の場合には2ピース、10kg以上の大型犬の場合には3ピースを、それぞれ包帯または首輪の内側に留めつけて使用する。ヒトの場合には、2ピースを首の後ろ側の付け根の部分または腰椎の部分に当たるように衣類の内側に留めつけて接触させる。ピースは2〜3日に1回程度交換し、また、体重や症状の重篤度によって使用枚数を適宜調節するとよい。
【0059】
さらに、本発明の糸状虫増殖抑制剤は、皮膚に接触させて投与するものであるため、皮膚から離すことによって簡単に投与を中止することができる。また、この抑制剤の有効成分は、毒性の極めて低い天然物であり、使用量もわずかであるために副作用が出ることもない。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
(1)試薬
本発明の糸状虫増殖抑制組成物および糸状虫増殖抑制剤の製造には、以下の試薬を使用した。
(1−1)精油
グレープフルーツ油(カリフォルニア産グレープフルーツから得られたもの)、マンダリン油、レモン油、酢酸ゲラニル系ユーカリ油、クローブ油、ラベンダー油、ローズマリー油、ラバンジン油、クラリーセージ油、セージ油、タイワンヒノキ油、ヒバ油、緑茶油、ゼラニウム油は、およびL−メントール小川香料より購入した。シス−3−ヘキセノールは信越化学より購入した。
【0062】
(1−2)その他
PVAは、信越ポバールを信越化学より、また、ゴーセランを日本合成化学より購入した。アクリル系吸水性樹脂(サンフレッシュ)は、三洋化成工業より購入した。活性炭(カヤマックス)は日本化薬より、また、ゼオライト(ゼオラム)は東ソーから購入した。キトサン(コーヨーキトサン)は甲陽ケミカルよりそれぞれ購入した。
【0063】
(実施例2)糸状虫増殖抑制組成物の製造
本発明の糸状虫増殖抑制組成物は、各種精油を下記表1に示す種類と量とで混合して糸状虫増殖抑制剤(アロマテープHK−B)を製造した。なお、表1に示した使用量は、アロマテープHK−Bの1ピース当たりの量である。
【0064】
Figure 0004201222
【0065】
グレープフルーツ油をPVAと混合し、ついで酢酸ゲラニル系ユーカリ油をここに混合し、クローブ油、ラベンダー油、ローズマリー油の順に1種類ずつ加えて室温で混合した。調製した糸状虫増殖抑制組成物は、気密性の高い容器に入れて室温で保存した。
【0066】
(実施例3)糸状虫増殖抑制組成剤の製造
上記実施例2で調製した各糸状虫増殖抑制組成物(1.1mg)を、表2に示す量の基剤と混合して糸状虫増殖抑制剤を製造した。
表 2
Figure 0004201222
【0067】
これらの基剤成分は、アクリル系吸水性樹脂とPVAとを混合して攪拌し、ついでゼオラム、L-メントール、キトサンをこの順番で1種類ずつ混合して攪拌し、基剤を調製する。ついで、上記実施例2で調製した各糸状虫増殖抑制組成物と混合して糸状虫増殖抑制剤とする。
【0068】
以上のようにして得た糸状虫増殖抑制剤(平均重量 281.1 mg)を、コットン布で被覆してこれを不織布製の2枚のシートの間に挟み、これらの不織布製シートの4辺すべてを互いに熱圧着し、経皮吸収用の糸状虫増殖抑制剤を作製した。
【0069】
(実施例4)ミクロフィラリア陽性イヌに対する試験結果
(1)実験動物
ミクロフィラリア陽性イヌとして、イヌフィラリア感染犬(体重13.5kg)を使用した。
(2)投与方法
実施例1で製造した糸状虫増殖抑制剤(HK-B)を、犬の首輪の内側に両面テープで3枚とめつけ、この首輪を犬の首に巻いて上記の糸状虫増殖抑制剤が皮膚に密着するように装着した。この糸状虫増殖抑制剤は、3日ごとに新しいものに交換した。
【0070】
(3)試料の処理およびミクロフィラリア数の算定
19:00〜20:00の間に限定してイヌの橈側皮静脈から1mLを採血した。採血は23Gの注射針をつけた1mLのシリンジ4本で行い、血液の凝固を防止するためにシリンジ内に少量のヘパリンを入れておいた。
採血した血液は、ヘマトクリット毛細管(VC-HO75P、テルモ)に移して、4℃にて、12,000回転で5分間遠心し、バッフィーコートを得た。
このバッフィコートを血球計算板に直接塗沫して200倍の倍率で顕微鏡下で観察し、ミクロフィラリアの数を算定した。
【0071】
(5)結果
アロマテープを装着する前3日間のミクロフィラリアの数は多すぎてカウントできなかった。
装着1週間後には、バッフィーコートの顕微鏡観察によって明らかな数の減少が認められた。血球計算板の任意の10箇所を200倍で顕微鏡観察し、4枚合計を出して平均値を計算した。結果を表3に示す。
【0072】
Figure 0004201222
表3に示すように、HK−Bを装着した後に、ミクロフィラリアの数は急激に減少し、ミクロフィラリアの増殖抑制効果があることが認められた。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、糸状虫の増殖抑制効果を有する糸状虫増殖抑制組成物およびこの組成物を有効成分とする糸状虫増殖抑制剤が提供される。
本発明の糸状虫増殖抑制剤は天然物である精油を有効成分とするため、安全性が高い。また、シート状に形成された製剤を皮膚に接触させて有効成分を吸収させるために、これらの成分のリンパへの移行が速やかで、かつ標的臓器への移行も効率よく行われる。
【0074】
さらに、本発明の糸状虫増殖抑制剤は皮膚と接触させているだけなので、皮膚に接触しないようにすれば速やかに投与を中止することができ、生体内に薬物が残留して蓄積するといった問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】アロマテープHK−Bの装着後のミクロフィラリア数の減少を示す図である。

Claims (7)

  1. グレープフルーツ油と、酢酸ゲラニル系ユーカリ油及びクローブ油と、ラバンジン油及びラベンダー油からなる群から選ばれるいずれかの精油と、ローズマリー油とを含む糸状虫増殖抑制組成物。
  2. タイワンヒノキ油及びヒバ油からなる群から選ばれるいずれかの精油をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の糸状虫増殖抑制組成物。
  3. ツバキ科植物精油をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の糸状虫増殖抑制組成物。
  4. フウロソウ科植物精油をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の糸状虫増殖抑制組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の糸状虫増殖抑制組成物を有効成分とする糸状虫増殖抑制剤。
  6. 精油によって表面膜を形成するためのポリビニルアルコールと、前記精油によって形成された表面膜の表面に吸着させて粉粒体を製造するための活性炭と、ポリビニルアルコール、アクリル系吸水性樹脂、ゼオライト、キトサン、及びL−メントールからなる基剤と、をさらに含む請求項5に記載の糸状虫増殖抑制剤。
  7. グレープフルーツ油と、酢酸ゲラニル系ユーカリ油及びクローブ油と、ローズマリー油と、ラバンジン油及びラベンダー油からなる群から選ばれるいずれかの精油とを、それぞれポリビニルアルコールと混合して、前記ポリビニルアルコールの表面に精油によって表面膜を形成し、ついで、前記精油によって形成された表面膜の表面に活性炭を吸着させて粉粒体とし、さらに、ポリビニルアルコール及びアクリル系吸水性樹脂、ゼオライト及びキトサン、並びにL−メントールを含む基剤と混合し、圧着用シートの上にのせて熱圧着し、シート状素材で挟んだ後にヒートシールする、糸状虫増殖抑制剤の製造方法。
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