JP4200962B2 - スタータ - Google Patents
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Description
このスタータは、モータの電機子軸に形成されたピニオンに噛み合う第1の減速歯車と、この第1の減速歯車と同軸上に設けられて、第1の減速歯車と一体に回転する第2の減速歯車とを有し、この第2の減速歯車がスタータ駆動歯車に噛み合わされている。また、スタータ駆動歯車は、エンジンのクランク軸に固定されたボス部に一方向クラッチを介して連結されている。これにより、モータの回転がピニオンから第1の減速歯車に伝達されて減速され、更に第2の減速歯車により減速されてスタータ駆動歯車に伝達される。このスタータ駆動歯車の回転が一方向クラッチを介してクランク軸に伝達されることでエンジン始動が行われる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、モータの回転を三段階に減速する減速手段を備えると共に、安定したクラッチ性能を維持できるスタータを提供することにある。
本発明は、回転力を発生するモータと、このモータの電機子軸と同一軸上に配置される駆動軸と、モータの電機子軸と駆動軸との間に設けられ、モータの回転を減速して駆動軸に伝達する遊星歯車減速装置と、駆動軸の外周に嵌合する円筒状に設けられると共に、軸方向の一部に外歯車が形成され、駆動軸と一体に回転するスタータギヤと、駆動軸と平行に配置される中間軸と、この中間軸に回転自在に支持されると共に、外歯車に噛み合ってスタータギヤの回転を減速する第1の減速歯車と、中間軸上に一方向クラッチを介して配置され、第1の減速歯車の回転を減速してエンジンのクランクギヤに伝達する第2の減速歯車とを備え、この第2の減速歯車は、歯と歯の間の歯溝が歯幅の一端から他端まで貫通して形成されており、一方向クラッチは、第1の減速歯車の回転を第2の減速歯車に伝達するトルク伝達部材を有し、このトルク伝達部材の軸方向中心位置と第2の減速歯車の歯幅の軸方向中心位置とが軸方向に一致する様に構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載したスタータにおいて、一方向クラッチは、第2の減速歯車の内径側に配置されて、第1の減速歯車と一体に回転するインナ部と、トルク伝達部材を介してインナ部の回転が伝達されるアウタ部とを有し、インナ部とアウタ部とがトルク伝達部材の軸方向両側に配設される一組の軸受を介して相対回転可能に設けられていることを特徴とする。一方向クラッチを第2の減速歯車の内径側に配置することにより、トルク伝達部材の軸方向中心位置を第2の減速歯車の歯幅の軸方向中心位置に合わせることが容易にできる。
請求項1または2に記載したスタータにおいて、一方向クラッチのトルク伝達部材は、スプラグ、カム、ローラ、コイルスプリング、多板の何れか一つであることを特徴とする。本発明のスタータは、トルク伝達部材として、限定された特定の部品を使用する必要はなく、上記複数の部品(スプラグ、カム、ローラ、コイルスプリング、多板)から幅広く選択できる。
界磁は、磁気回路を形成するヨーク14の内周に複数の永久磁石15を配置して構成される。なお、永久磁石15の代わりに界磁巻線を用いることもできる。ヨーク14は、スタータ1の前側(図1の左側)を覆うフロントハウジング16と、モータ3の後部を覆うエンドフレーム17との間に配置されて、モータ3の機枠を兼ねている。
中間軸29は、両端部がフロントハウジング16に圧入等により固定されている。
第2の減速歯車10は、第1の減速歯車8と同軸上に前記クラッチ11を介して配設され、エンジンのクランクギヤ9に噛み合っている。この第2の減速歯車10は、クラッチ11を介して第1の減速歯車8と同一回転速度で回転するが、第1の減速歯車8より外径が小さく設けられることで、第1の減速歯車8の回転を減速してクランクギヤ9に伝達する。
インナ部11aは、第1の減速歯車8のボス部8aと一体に設けられ、そのボス部8aから軸方向に延出して、反ボス部側の端部が中間軸29に対し軸受31を介して回転自在に支持されている。アウタ部11bは、インナ部11aの径方向外側に配置され、第2の減速歯車10の内周に固定されている。インナ部11aとアウタ部11bは、スプラグ11cの軸方向両側に配設された一組のボールベアリング32を介して相対回転可能に設けられている。
また、このクラッチ11は、図1に示す様に、スプラグ11cの軸方向中心位置Osが、第2の減速歯車10の歯幅の軸方向中心位置Ogと軸方向に一致する様に構成されている。
電磁スイッチ4によりモータ接点が閉じて電機子2に給電されると、電機子2に回転力が発生し、その電機子2の回転が遊星歯車減速装置6で減速されて駆動軸5に伝達される。駆動軸5の回転は、スタータギヤ7の外歯車28に噛み合う第1の減速歯車8によって減速され、さらに第2の減速歯車10により減速されてクランクギヤ9に伝達される。
エンジンの始動により、クランクギヤ9に噛み合っている第2の減速歯車10の回転速度が第1の減速歯車8の回転速度を上回ると、第1の減速歯車8と第2の減速歯車10との間に配設されたクラッチ11が切り離される(スプラグ11cが空転する)ため、第2の減速歯車10の回転が第1の減速歯車8に伝達されることはなく、エンジンの駆動トルクがモータ3側に伝わることを防止できる。
実施例1に記載したスタータ1は、遊星歯車減速装置6と第1の減速歯車8および第2の減速歯車10によりモータ3の回転を三段階に減速しているので、減速比を高く設定できる。これにより、エンジンの要求トルクが大きくなった場合でも、スタータ1の出力トルクを十分に確保でき、エンジン始動性が向上する。また、遊星歯車減速装置6で減速された回転を更に第1の減速歯車8と第2の減速歯車10とで減速しているので、第1の減速歯車8および第2の減速歯車10を比較的小さく設計することが可能であり、特許文献1に記載されたスタータと比較して、スタータ1の体格が大型化することはなく、エンジンへの搭載性にも優れる。
実施例1のスタータ1は、本発明のトルク伝達部材としてスプラグ11cを使用しているが、スプラグ11c以外にも、例えば、カム、ローラ、コイルスプリング、多板等の何れか一つを用途に応じて選定できる。
2a 電機子軸
3 モータ
5 駆動軸
6 遊星歯車減速装置
7 スタータギヤ
8 第1の減速歯車(第1の減速装置)
9 クランクギヤ
10 第2の減速歯車(第2の減速装置)
11 クラッチ(一方向クラッチ)
11a インナ部
11b アウタ部
11c スプラグ(トルク伝達部材)
28 外歯車
29 中間軸
Os スプラグの軸方向中心位置
Og 第2の減速歯車の歯幅の軸方向中心位置
Claims (3)
- 回転力を発生するモータと、
このモータの電機子軸と同一軸上に配置される駆動軸と、
前記モータの電機子軸と前記駆動軸との間に設けられ、前記モータの回転を減速して前記駆動軸に伝達する遊星歯車減速装置と、
前記駆動軸の外周に嵌合する円筒状に設けられると共に、軸方向の一部に外歯車が形成され、前記駆動軸と一体に回転するスタータギヤと、
前記駆動軸と平行に配置される中間軸と、
この中間軸に回転自在に支持されると共に、前記外歯車に噛み合って前記スタータギヤの回転を減速する第1の減速歯車と、
前記中間軸上に一方向クラッチを介して配置され、前記第1の減速歯車の回転を減速してエンジンのクランクギヤに伝達する第2の減速歯車とを備え、
この第2の減速歯車は、歯と歯の間の歯溝が歯幅の一端から他端まで貫通して形成されており、
前記一方向クラッチは、前記第1の減速歯車の回転を前記第2の減速歯車に伝達するトルク伝達部材を有し、このトルク伝達部材の軸方向中心位置と前記第2の減速歯車の歯幅の軸方向中心位置とが軸方向に一致する様に構成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記一方向クラッチは、前記第2の減速歯車の内径側に配置されて、前記第1の減速歯車と一体に回転するインナ部と、前記トルク伝達部材を介して前記インナ部の回転が伝達されるアウタ部とを有し、前記インナ部と前記アウタ部とが前記トルク伝達部材の軸方向両側に配設される一組の軸受を介して相対回転可能に設けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1または2に記載したスタータにおいて、
前記一方向クラッチのトルク伝達部材は、スプラグ、カム、ローラ、コイルスプリング、多板の何れか一つであることを特徴とするスタータ。
Priority Applications (1)
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