本発明に係るライディングシミュレーション装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1及び図2において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るライディングシミュレーション装置を示す。
このライディングシミュレーション装置10(以下、単にシミュレーション装置10という)は、操作者140(図3参照)が把持して、後述するディスプレイ128(図3参照)上に表示される二輪車の前輪を操向操作するためのハンドル機構12と、前記ハンドル機構12を回動自在に保持するフレームボディ14とからなる。
ハンドル機構12は、上部が略扇状に形成されたステアリングステム24と、前記ステアリングステム24にホルダ26を介して一体的に保持される長尺のステアリングハンドル28と、前記ステアリングハンドル28に対してクラッチレバー30及びブレーキレバー32が保持されるレバー接続部34a、34bと、前記ステアリングハンドル28の端部にそれぞれ装着されるゴム等によって被覆された左グリップ36a及び右グリップ36bとからなる。
ステアリングステム24の上端部には略扇状の取付面が形成され、上方に突出するように一組の取付フランジ38がボルト40を介して略平行に連結されている。前記取付フランジ38には、前記ステアリングハンドル28の外周径に対応した半円状の凹部42が形成されている。
また、ステアリングステム24の下端部は、フレームボディ14の円筒部44に挿通されるステム部材46の上端部にボルト40を介して一体的に連結されている。前記ステム部材46は、その上端部にステアリングステム24が連結されると共に、フレームボディ14の円筒部44を挿通されたステム部材46の下端部は、フレームボディ14に連結されたブラケット48の略中央部の図示しない孔部に挿入されている。すなわち、前記ステム部材46は、前記円筒部44とブラケット48の前記孔部とによって回動自在に軸支されている。
さらに、ステム部材46とブラケット48との間には、前記ステム部材46に連結されたステアリングハンドル28が常にセンター位置となるように付勢するスプリング50が介装されている。
ステアリングハンドル28はパイプ材等から円筒状に形成され、その両端部がシミュレーション装置10の後方に向かってそれぞれ所定角度だけ曲がって形成されている。
前記ステアリングハンドル28における左端部には、左グリップ36aが装着されている。また、ステアリングハンドル28の右端部には同様に右グリップ36bが装着され、前記右グリップ36bは、操作者140(図3参照)が手前方向に向かって回動させることによりディスプレイ128上に表示される二輪車における加速動作を行うスロットルグリップとして機能する。
そして、前記ステアリングハンドル28の略中央部が取付フランジ38の凹部42(図1参照)に装着され、前記取付フランジ38の上部より一組のホルダ26を装着してボルト40で締め付けることにより、前記ステアリングハンドル28が取付フランジ38とホルダ26との間に挟持され、ステアリングステム24に一体的に固定される。
前記ステアリングハンドル28の左側には、レバー接続部34aが配設されている。そして、レバー接続部34aには、シミュレーション装置10の前方側にクラッチレバー(操作レバー)30が一体的に装着されている。
このクラッチレバー30は、レバー接続部34aに対して回動自在に軸支され、操作者140(図3参照)がギアチェンジ操作を行う際にクラッチレバー30をステアリングハンドル28側へ接近させる方向に握って回動させることにより、ディスプレイ128上に表示される二輪車におけるクラッチが切れた状態となり、図示しないギアチェンジペダルによってギアチェンジ操作を行うことができる状態になる。
なお、前記クラッチレバー30は、手動変速機付きの二輪車の場合にのみ配設されるものであり、自動変速機付きの二輪車の場合には、クラッチレバー30の代わりにブレーキレバーが配設される。
また、ステアリングハンドル28の右側に配設されるレバー接続部34bには、同様にシミュレーション装置10の前方側にブレーキレバー32が一体的に装着されている。
前記ブレーキレバー32は、レバー接続部34bに回動自在に軸支され、操作者140がブレーキレバー32をステアリングハンドル28側へ接近させるように握って回動させることにより、ディスプレイ128上に表示される二輪車の前輪が制動状態になる。
また、図16及び図17に示されるように、ステアリングステム24に形成される一組の取付フランジ38aに、前記ステアリングハンドル28の外周径に対応した半円状の凹部42aと、前記凹部42aよりさらに所定深さだけ窪んだ断面略半円状のハーネス装着溝51を形成し、前記ハーネス装着溝51に左グリップ36a(図1参照)及び右グリップ36b(図1参照)と接続されるハーネス53を挿入するようにしてもよい。
このハーネス装着溝51は、凹部42aにステアリングハンドル28が設けられた状態で該ステアリングハンドル28を挟んで操作者140(図3参照)と略反対側となる位置に形成されている(図16参照)。
ハーネス装着溝51には、例えば、スロットルグリップとして機能する右グリップ36b(図1参照)の回動量を信号として図示しない検出手段へと出力するハーネス53、又は、前記右グリップ36bをモータ等の駆動源によって擬似振動させて前記操作者140に走行感覚を体感させる際、前記モータに接続されるハーネス53等が挿通される。
このように、左グリップ36a(図1参照)側及び右グリップ36b(図1参照)側からそれぞれ図示しないスイッチ等に接続されたハーネス53が、ステアリングハンドル28の両端部から略中央部に向かって延在してハーネス装着溝51にそれぞれ挿入される。
そして、ハーネス装着溝51にそれぞれハーネス53が装着された後、ステアリングハンドル28の略中央部が取付フランジ38aの凹部42aに装着され、前記取付フランジ38aの上部より一組のホルダ26を装着し、該ホルダ26の凹部42bにステアリングハンドル28を係合させた状態でボルト40で締め付けることにより、前記ステアリングハンドル28が取付フランジ38aとホルダ26との間に挟持されると共に、ハーネス装着溝51に挿入されたハーネス53がステアリングステム24に一体的に固定される。
その際、ハーネス53は、ステアリングハンドル28によって操作者140(図3参照)の視界から隠れる位置、すなわち、前記操作者140から見てステアリングハンドル28によって死角となる位置に固定されているため、前記操作者140がシミュレーション装置10を操作する際の視界を良好に保つことができる。
そして、ハーネス装着溝51に装着されたハーネス53は、ステアリングステム24の略中央部に形成された貫通孔(図示せず)を介してステム部材46、円筒部44の内部へと挿入されている。そのため、ハーネス53が外部に露呈することがなく、操作者140がシミュレーション装置10におけるハンドル機構12を操作する際の支障となることがない。
また、従来、ハーネス53をステアリングハンドル28に固定していた複数の固定用バンドが不要となるため、部品点数及びコストの削減を図ることができると共に、前記ハーネス53をステアリングステム24における取付フランジ38aとホルダ26との間にボルト40を介して挟持することにより、一層確実且つ強固にハーネス53を固定することができる。
フレームボディ14は、ステム部材46が挿通される円筒部44より等角度離間して連結される3本の第1〜第3メインフレーム52a、52b、52cと、前記第1及び第2メインフレーム52a、52bの略中央部にシミュレーション装置10の前方に向かって延在するように連結される一対のサブフレーム54a、54bと、前記サブフレーム54a、54bの先端部を互いに連結するクロスフレーム56と、前記第1及び第2メインフレーム52a、52b間を連結する連結フレーム58とからなる。また、前記連結フレーム58は、前記クロスフレーム56の下方に略平行となるように設けられている。
第1〜第3メインフレーム52a〜52cは、円筒部44を中心として互いに等角度離間して配設され、その円筒部44より左右方向に略対称となるように配設された2本の第1及び第2メインフレーム52a、52bが湾曲しながら下方に向かって延在している。そして、2本の第1及び第2メインフレーム52a、52bの下方に延在する先端部は略水平に形成され、その先端部にはフレームボディ14を平面状のテーブル130等に固定するためのストッパ機構60が設けられている。
ストッパ機構60は、第1及び第2メインフレーム52a、52bに対して略直交して設けられ、前記第1及び第2メインフレーム52a、52bの先端部にそれぞれ螺合される一対の固定用ボルト62と、前記固定用ボルト62の上端部に半径外方向に拡径して形成される保持部64とからなる。なお、保持部64の上面は略平面状となるように形成されている。
そして、第1及び第2メインフレーム52a、52bに螺合された固定用ボルト62を螺回することにより、前記固定用ボルト62が軸線方向に沿って上下に変位する。
また、円筒部44における2本の第1及び第2メインフレーム52a、52bの間に配設される第3メインフレーム52cは、前記円筒部44より下方に向かって湾曲してクロスフレーム56に連結されている。
一方のサブフレーム54aの上面には、クラッチワイヤ66を介してクラッチレバー30と連動し、前記クラッチレバー30の操作量を検出する第1検出部68が配設されると共に、他方のサブフレーム54bの上面には、ブレーキワイヤ70を介してブレーキレバー32と連動し、前記ブレーキレバー32の操作量を検出する第2検出部72が配設されている。
また、クロスフレーム56に連結される第3メインフレーム52cの上面には、スロットルワイヤ74を介してステアリングハンドル28に装着される右グリップ36bの開度(回動量)を検出するスロットル開度検出部76が配設されている。
この第1検出部68は、図4に示されるように、サブフレーム54aにボルト40を介して固定される検出部本体78aと、前記検出部本体78aに対して回動自在に軸支される第1回動プーリ80と、前記検出部本体78aと第1回動プーリ80との間に介装される第1リターンスプリング82と、前記第1回動プーリ80の回動動作を規制する第1ストッパ部84とからなる。
この第1回動プーリ80には、一端部がクラッチレバー30に接続されるクラッチワイヤ66の他端部側が接続されている。そして、前記第1リターンスプリング82は、そのスプリング力によって第1回動プーリ80に接続されたクラッチワイヤ66をシミュレーション装置10の前方側へと引張する方向へと付勢している。
前記検出部本体78aの内部には、第1回動プーリ80の回動量を検出するセンサ(図示せず)が内蔵されている。そして、前記センサで検出された第1回動プーリ80の回動量が、前記検出部本体78aの外部に形成されるコネクタ86を介して検出信号として図示しない制御装置へと出力される。
なお、前記クラッチレバー30は、第1リターンスプリング82のスプリング力の作用下に第1回動プーリ80に接続されたクラッチワイヤ66が引張されることによって、ステアリングハンドル28より離間するように設定されている。
また、図4に示されるように、第2検出部72は、第1検出部68と同様にサブフレーム54bにボルト40を介して固定される検出部本体78bと、前記検出部本体78bに対して回動自在に軸支される第2回動プーリ(回動部材)88と、前記検出部本体78bと第2回動プーリ88との間に介装される第2リターンスプリング90と、前記第2回動プーリ88の回動動作を規制する第2ストッパ部(ストッパ機構)92とからなる。
この検出部本体78bの内部には、第2回動プーリ88の回動量を検出するセンサ(図示せず)が内蔵されている。そして、前記センサで検出された第2回動プーリ88の回動量が、前記検出部本体78bの外部に形成されるコネクタ86を介して検出信号として図示しない制御装置へと出力される。
第2回動プーリ88は、図5〜図7に示されるように、検出部本体78bに対して回動自在に支持されるシャフト94に一体的に設けられている。そして、前記第2回動プーリ88の外周面には、その外周面より半径内方向へと所定深さだけ窪んだワイヤ装着溝96が形成されている。
また、第2回動プーリ88には、その外周面より半径内方向に向かって所定長だけ切り欠かれた切欠溝98が形成され、前記切欠溝98の端部には略円形状の係止孔100が形成されている。前記係止孔100には、ブレーキワイヤ70の端部に連結されたワイヤ係止部材102が挿入されている。
詳細には、ワイヤ係止部材102は略円筒状に形成され、その軸線方向に沿った略中央部にブレーキワイヤ70が連結されている。そして、前記ブレーキワイヤ70が連結されたワイヤ係止部材102が第2回動プーリ88の側面より係止孔100へと挿入される。その際、ワイヤ係止部材102に連結されたブレーキワイヤ70は、切欠溝98を挿通して第2回動プーリ88の略中央部へと配設される。そして、前記ブレーキワイヤ70は、ケーブルストッパ124の溝部126cを介して前記係止孔100とブレーキレバー32との間を連結するようにワイヤ装着溝96に沿って装着される。
さらに、第2回動プーリ88には、半径外方向に突出した突部104が形成され、前記第2回動プーリ88の回動作用下に前記突部104が第2ストッパ部92に当接する。
前記突部104には、前記第2回動プーリ88が回動した際、前記第2ストッパ部92の大径部118と対向する位置に平面状の当接面106が形成されると共に、前記当接面106は第2回動プーリ88の中心に向かって延在するように形成されている。
第2リターンスプリング90は、前記第2回動プーリ88の略中央部の外周面に巻回されるように装着され、その一端部側が第2回動プーリ88の側面に形成された孔部108に挿入されて係止されると共に、他端部側が検出部本体78bの図示しない孔部へと挿入されて係止されている。すなわち、第2リターンスプリング90は、そのスプリング力によって第2回動プーリ88の係止孔100に係止されたブレーキワイヤ70が、シミュレーション装置10の前方側へと引張される方向(図5中、矢印A方向)に付勢している。
なお、前記ブレーキレバー32は、第2リターンスプリング90のスプリング力の作用下に第2回動プーリ88に接続されたブレーキワイヤ70が引張されることによって、ステアリングハンドル28より離間するように設定されている。
第2ストッパ部92は、クロスフレーム56の上部に前記第2回動プーリ88と対向するように配設されている。この第2ストッパ部92は、クロスフレーム56の上部に連結される取付ブラケット110と、前記取付ブラケット110に固定される円柱状のピン部材112と、第2回動プーリ88と対向する前記ピン部材112の端面を被覆するように装着される弾性部材114とからなる。
ピン部材112は小径部116と、前記小径部116に対して半径外方向に拡径した大径部(当接部)118とからなり、前記大径部118が第2回動プーリ88側となるように取付ブラケット110の装着孔(図示せず)に挿入されている。そして、ピン部材112の大径部118の端面が取付ブラケット110の側面に当接することにより、ピン部材112が軸線方向に係止されている。
なお、前記ピン部材112は、前記シャフト94に対して略直交するように設けられている。
また、前記ピン部材112の大径部118には、その端面近傍を被覆するように弾性部材114が装着されている。この弾性部材114は、ゴム、スポンジ等の弾性材料、又は、コイルスプリング、板ばね及び皿ばね等のばね力を有するものから形成されている。
スロットル開度検出部76は、図4に示されるように、ボルト40によって第3メインフレーム52cに固定される検出部本体78cを介して回動プレート120の一端部側が回動自在に軸支されている。そして、前記回動プレート120と検出部本体78cとの間には、前記回動プレート120を円筒部44より離間させる方向に付勢するスプリング122が介装されている。また、前記回動プレート120の他端部側には、一端部が右グリップ36bに接続されるスロットルワイヤ74の他端部側が接続されている。
この検出部本体78cの内部には、回動プレート120の回動量を検出するセンサ(図示せず)が内蔵されている。そして、前記センサで検出された回動プレート120の回動量が、前記検出部本体78cの外部に形成されるコネクタ86を介して検出信号として図示しない制御装置へと出力される。
さらに、前記第3メインフレーム52cの上面には、クラッチワイヤ66、ブレーキワイヤ70及びスロットルワイヤ74を保持するケーブルストッパ124がスロットル開度検出部76より所定間隔離間してボルト40を介して装着されている。前記ケーブルストッパ124は断面略T字状に形成され、略中央部に形成される溝部126aにはスロットルワイヤ74が挿通されて保持されると共に、ケーブルストッパ124の右側に形成される溝部126bには、クラッチレバー30と接続されるクラッチワイヤ66が挿通されて保持されている。
また、前記ケーブルストッパ124の左側に形成される溝部126cには、ブレーキレバー32と接続されるブレーキワイヤ70が挿通されて保持されている。
本発明の第1の実施の形態に係るライディングシミュレーション装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
先ず、図3に示されるように、前記シミュレーション装置10をテーブル130等へ取り付ける場合、ディスプレイ128が載置された平面状のテーブル130の平板部132の上面にフレームボディ14における一対のサブフレーム54a、54bの下面が当接するように載置する。そして、前記ストッパ機構60の固定用ボルト62を螺回して上方へと変位させ、前記固定用ボルト62の上部に形成される保持部64の上面を前記テーブル130の平板部132の下面へと当接させる。
その結果、前記サブフレーム54a、54bとストッパ機構60の保持部64とによってテーブル130が挟持される。換言すると、前記シミュレーション装置10がサブフレーム54a、54bとストッパ機構60とによってテーブル130に簡便に固定された状態となる。なお、前記テーブル130は、その平板部132より下方に向かって略垂直に連結された脚部134によって床面136等に設置されている。
このように、テーブル130等に取り付けられたシミュレーション装置10の操作方法について説明する。
先ず、図3に示されるように、操作者140がシミュレーション装置10の後方に載置された椅子138に座り、右手でステアリングハンドル28の右グリップ36bを把持すると共に、左手でステアリングハンドル28の左グリップ36aを把持する。
前記のような準備段階を経て、操作者140がステアリングハンドル28のスロットルとして機能する右グリップ36bやブレーキレバー32、クラッチレバー30を操作することにより、スロットル開度検出部76、第1検出部68及び第2検出部72によって右グリップ36bによるスロットル開度、ブレーキレバー32及びクラッチレバー30の操作量がそれぞれ検出信号として図示しない制御装置へと出力される。
そして、これらの検出信号に基づいて、前記制御装置によってシミュレーション装置10における二輪車の走行状態がテーブル130上に載置されたディスプレイ128上に表示される。
ここで、操作者140がブレーキレバー32(図1参照)を所定量だけ握り、ディスプレイ128上に表示される二輪車を減速させる場合について説明する。なお、前記操作者140が前記ブレーキレバー32を操作する前には、図5に示されるように、第2検出部72における第2回動プーリ88が、第2リターンスプリング90のスプリング力によってシミュレーション装置10における前方(矢印A方向)側へと回動して静止した初期位置状態にある。
上述した初期位置状態から前記二輪車を減速させるにあたって、図1に示されるように、操作者140(図3参照)がハンドル機構12のブレーキレバー32をステアリングハンドル28側に所定量だけ握って回動させることにより、前記ブレーキレバー32の回動作用下に前記ブレーキレバー32に連結されたブレーキワイヤ70が引張される。
そして、図5に示されるように、前記ブレーキレバー32によって引張されたブレーキワイヤ70が、ケーブルストッパ124の溝部126cを介してハンドル機構12に接近する方向(矢印C方向)へと引張されるため、ワイヤ係止部材102を介してブレーキワイヤ70と連結された第2回動プーリ88が、第2リターンスプリング90のスプリング力に抗して検出部本体78bに支持されたシャフト94と一体的にシミュレーション装置10における後方(矢印B方向)側に向かって回動する(図6参照)。なお、操作者140がブレーキレバー32を握った状態を解除した際、前記第2回動プーリ88が第2リターンスプリング90のスプリング力によってシミュレーション装置10の前方(矢印A方向)側へと回動する。そのため、前記第2回動プーリ88の回動作用下にブレーキワイヤ70がハンドル機構12より離間する方向(矢印D方向)へと引張され、初期位置状態へと復帰する。
そして、前記操作者140のブレーキレバー32を握る操作力に比例して、ハンドル機構12に接近する方向(矢印C方向)へと引張されるブレーキワイヤ70の変位量が増大し、それに伴って第2回動プーリ88のシミュレーション装置10における後方(矢印B方向)側への回動量が増大する。
そして、図6に示されるように、第2回動プーリ88の回動作用下にその突部104が第2ストッパ部92に接近する方向(矢印B方向)に回動し、前記第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114の端面に当接した当接位置G(図8参照)となる。
その際、第2回動プーリ88は、第2リターンスプリング90のスプリング力に抗して回動しているため、前記第2リターンスプリング90のスプリング力が反力E(図8参照)としてブレーキワイヤ70を介してブレーキレバー32へと付与されている。すなわち、操作者140はブレーキレバー32を握る際、前記スプリング力に打ち勝つ操作力で操作を行っている。
一方、操作者140がさらにブレーキレバー32への操作力を増大させることにより、図7に示されるように、ブレーキワイヤ70がさらにハンドル機構12に接近する方向(矢印C方向)へと引張され、ワイヤ係止部材102を介してブレーキワイヤ70と連結された第2回動プーリ88が、第2リターンスプリング90のスプリング力に抗してさらにシミュレーション装置10における後方(矢印B方向)側に向かって回動する。
そして、前記第2回動プーリ88における突部104の当接面106が、第2ストッパ部92の弾性部材114をピン部材112側へと押圧し、前記突部104の当接面106近傍が弾性部材114を押し潰して変形させながら回動する。
最後に、前記突部104によって押し潰された弾性部材114が変形しない位置まで第2回動プーリ88が回動して回動動作が停止した回動終端位置H(図8参照)となる。
その際、第2回動プーリ88は、第2リターンスプリング90のスプリング力に抗して回動していると共に、突部104を介して弾性部材114を押圧しながら回動している。そのため、前記第2リターンスプリング90のスプリング力及び弾性部材114から突部104へと付勢される弾発力とが、反力F(図8参照)としてブレーキワイヤ70を介してブレーキレバー32へと付与されている。すなわち、操作者140はブレーキレバー32を握る際に前記スプリング力及び弾発力からなる反力Fに打ち勝つ操作力で操作を行う。
以上のように、本発明の第1の実施の形態では、ブレーキレバー32の操作力に応じてブレーキレバー32を介して回動する第2回動プーリ88を第2検出部72に設け、前記第2回動プーリ88の回動動作を規制する第2ストッパ部92の端部に弾性材料等からなる弾性部材114を設けている。
そして、ブレーキレバー32に連結されたブレーキワイヤ70の引張作用下に第2回動プーリ88の所定角度だけ回動した後、前記第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114に当接して押圧しながら回動する。
そのため、第2回動プーリ88の突部104が、弾性部材114に当接する前には、第2リターンスプリング90のスプリング力のみに抗して回動しているため、第2回動プーリ88の回動量に対するブレーキレバー32へ付与される反力Eが緩やかに、且つ、一直線状に増大している(図8参照)。
また、第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114に当接し、前記突部104が弾性部材114を押し潰して変形させながら回動する場合には、第2リターンスプリング90のスプリング力に加えて弾性部材114より付勢される弾発力に抗して回動しているため、第2回動プーリ88の回動量に対するブレーキレバー32へ付与される反力Fが、当接位置Gを境として前記反力Eと比較して急激に増大している(図8参照)。
換言すると、図8に示されるように、ブレーキレバー32に付与され、一直線状に増大する反力Eを、第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114に当接した当接位置Gを境として、その増加率が大きい反力Fへと変化させることができる。
そして、図7に示されるように、前記スプリング力及び弾発力からなる反力F(図8参照)が、ブレーキワイヤ70を介してブレーキレバー32へと付与されるため、前記反力Fに打ち勝ってブレーキレバー32を握って操作する操作力を変化させることができる。すなわち、ブレーキレバー32を操作する操作力を、第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114に当接した当接位置Gより増大するように変化させることができる。
すなわち、前記第2回動プーリ88が第2リターンスプリング90のスプリング力のみに抗して回動している状態(図8中、E参照)と、前記第2リターンスプリング90のスプリング力に加えて、弾性部材114を突部104によって押圧しながら回動している状態(図8中、F参照)とで、第2回動プーリ88が回動する際にブレーキレバー32に対して付与される反力を変化させることができる。
そのため、第2回動プーリ88の突部104が弾性部材114の端面に当接する前にブレーキレバー32に付与される反力Eに対して、前記突部104が弾性部材114の端面に当接する後に付与される反力Fが増大する変化率を大きくなるように変化させることができる。
そして、ブレーキレバー32に付与される反力を、第2回動プーリ88が弾性部材114に当接した当接位置Gを境として、その増大する変化率が大きくなるように変化させることができるため、操作者140がブレーキレバー32を操作する際に前記ブレーキレバー32から付与される反力の作用下に操作タッチが重くなる。そのため、前記ブレーキレバー32を操作する際における操作フィーリングを、その操作過程において変化させることができる。
その結果、実際の二輪車のブレーキレバー32を握って減速させる際の操作感覚に類似する操作フィーリングが得られ、実際の二輪車により一層近い操作感覚を擬似体験をすることができる。
また、弾性部材114を、前記ブレーキレバー32の操作量を検出する第2検出部72と対向する位置に配設される第2ストッパ部92に設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、フットブレーキを操作するブレーキペダルの操作量を検出する検出部と対向する位置に配設されるストッパ部に設けるようにしてもよい。
次に、第2の実施の形態に係るライディングシミュレーション装置150を図9〜図15に示す。なお、上述した本実施の形態に係るライディングシミュレーション装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施の形態に係るライディングシミュレーション装置150では、図9に示されるように、一方のサブフレーム54aの上面に、ワイヤ152を介してクラッチ操作又はブレーキ操作をする際の操作レバー(図示せず)と連動し、前記操作レバーの操作量を検出する第1検出部154が設けられ、手動変速機付きの二輪車の場合におけるクラッチ操作と、自動変速機付きの二輪車の場合におけるブレーキ操作というそれぞれ異なる操作感を得ることができるように切り換え可能な切換機構(切換手段)156がクロスフレーム56の上部に設けられている点で、第1の実施の形態に係るライディングシミュレーション装置10と相違している。
なお、前記操作レバーは、手動変速機付きの二輪車の場合にクラッチレバーとして機能すると共に、自動変速機付きの二輪車の場合には、ブレーキレバーとして機能する。
この切換機構156は、図10に示されるように、クロスフレーム56の上部に一体的に設けられる本体部158と、前記本体部158の挿通孔160(図12参照)に回動自在に挿通される調整ピン162と、前記調整ピン162に一体的に装着される断面略長円状のプレート部材164と、前記プレート部材(第1ストッパ部材)164の凸部166(図12参照)を被覆するように装着される弾性部材168と、前記本体部158において前記調整ピン162と所定間隔離間して螺合されるストッパボルト(第2ストッパ部材)170とからなる。
本体部158には、サブフレーム54aと略平行に挿通孔160(図12参照)が貫通して形成され、図13に示されるように、前記本体部158の上面から挿通孔160と略直交するように交差し、連通するようにピン孔172が形成されている。ピン孔172には本体部158の上方から係合ピン174が螺合され、前記係合ピン174の先端部が所定長だけ挿通孔160の内部に突出するように設けられている。なお、係合ピン174を螺回することによって軸線方向に沿って自在に変位させることが可能である。
また、本体部158には、挿通孔160から所定間隔離間してねじ孔176が貫通するように形成され、前記ねじ孔176には長尺なストッパボルト170(図12参照)がその螺回作用下に軸線方向に沿って変位自在に螺合されている。
調整ピン162は、図11に示されるように、その一端部側の外周面にねじが刻設された第1ねじ部178と、本体部158(図12参照)の挿通孔160に挿通される軸部180と、前記軸部180と第1ねじ部178との間に設けられる断面略六角形状の係止部182と、他端部側に形成され、外周面にねじが刻設された第2ねじ部184とからなる。第2ねじ部184の断面は、該第2ねじ部184の軸芯を中心として外周面が略対称となるように平面状に形成されている。すなわち、第2ねじ部184は、断面略長円状に形成されている。
この調整ピン162は、図14及び図15に示されるように、第2ねじ部184が、第1回動プーリ80aの突部104側になるように挿通孔160へと挿入され、前記挿通孔160に挿入された軸部180にはスプリング186(例えば、コイルスプリング)が配設されている。そして、スプリング186は、本体部158と調整ピン162の係止部182との間に介装された状態となり、前記スプリング186のスプリング力は、調整ピン162を本体部158より離間する方向(矢印J方向)に付勢されている。
そして、本体部158における挿通孔160に挿通された調整ピン162の第2ねじ部184にプレート部材164を挿通させ、前記第2ねじ部184の端部にナット188を螺合させることにより、調整ピン162を本体部158へと装着すると共に、プレート部材164を調整ピン162へと固定している。
また、第1ねじ部178の端部には、円盤状の切換ハンドル190が螺合され、前記切換ハンドル190を操作者140(図3参照)等が把持して回動させることにより、前記切換ハンドル190と一体的に連結された調整ピン162を本体部158に対して回動させることができる(図10及び図13中、矢印M又はL方向)。
一方、軸部180の外周面には、図11に示されるように、所定深さだけ窪んだ略U字状の係合溝192が形成されている。この係合溝192は、軸部180の軸線方向に沿った略中央部から第2ねじ部184の方向に向かって所定長さだけ延在する第1係合溝194と、前記第1係合溝194と軸部180の周面に沿って所定角度(図13中、Q)だけ離間し、且つ、略平行に設けられる第2係合溝196と、前記第1及び第2係合溝194、196における係止部182側の端部同士を連結するように軸部180の周面に沿って環状に形成される連結溝198とからなる。第1及び第2係合溝194、196は、それぞれ第2ねじ部184の方向に向かって延在するように形成されている。
そして、第2係合溝196の軸線方向に沿った長さNは、第1係合溝194の軸線方向に沿った長さPより長くなるように形成されている(N>P)。
第1係合溝194、第2係合溝196及び連結溝198からなる係合溝192には、図14及び図15に示されるように、本体部158の挿通孔160に挿通された際にピン孔172に螺合された係合ピン174の先端部が係合されている。すなわち、この係合ピン174は、本体部158に固定されているため、調整ピン162が前記係合ピン174に係合された係合溝192を介して軸線方向(矢印J、K方向)及び回動方向(図13中、矢印M、L方向)への変位が規制されている状態にある。
詳細には、調整ピン162の回動方向に沿った変位は、係合ピン174に係合された状態で連結溝198を介して回動する角度の範囲内(図13中、Q)に規制されると共に、調整ピン162の軸線方向に沿った変位は、係合ピン174が第1係合溝194及び第2係合溝196に係合した状態においてそれぞれの軸線方向に沿った長さ(図11中、N、P)の範囲内に規制されている。
プレート部材164は、図13に示されるように、断面略長円状に形成され、その一端部側には調整ピン162の第2ねじ部184が係合される係合孔200(図12参照)が形成されると共に、前記係合孔200と所定間隔離間した他端部側には、第1回動プーリ80a側に所定長だけ突出した凸部166(図12参照)が形成されている。この凸部166には弾性材料(例えば、ゴム)からなる断面略円形状の弾性部材168が装着されている。
係合孔200の形状は、その一部が平面状に形成された第2ねじ部184の断面形状(図11参照)に対応するように形成されている。そのため、調整ピン162の第2ねじ部184を係合孔200に係合させるように挿通することにより、前記調整ピン162とプレート部材164とが回動方向に規制された係合状態となり、調整ピン162を回動させた際にプレート部材164が一体的に回動する。換言すると、調整ピン162を回動させた際にプレート部材164が相対的に回動することが防止される。
また、プレート部材164の他端部側には、図12に示されるように、凸部166が形成される側面とは反対側の側面が該凸部166側に向かって所定深さだけ窪んだ凹部202が形成されている。
そして、図13に示されるように、本体部158に挿通された調整ピン162を支点としてプレート部材164が矢印L方向へと回動し、前記本体部158に設けられた係合ピン174に調整ピン162の第1係合溝194が係合された場合には、プレート部材164における凸部166及び弾性部材168の位置と本体部158のねじ孔176の位置とが略一直線上となる(図13中、二点鎖線位置)。換言すると、前記プレート部材164に形成された凹部202と本体部158のねじ孔176とが対向する位置となる(図12参照)。
一方、調整ピン162を支点としてプレート部材164が回動して前記係合ピン174に調整ピン162の第2係合溝196が係合された場合には、弾性部材168が装着されるプレート部材164の他端部側が矢印M方向へと回動して、前記プレート部材164における弾性部材168が調整ピン162の下方に位置した状態となる(図13中、実線位置)。換言すると、本体部158のねじ孔176と対向する位置からプレート部材164が回動変位することにより、本体部158のねじ孔176に螺合されたストッパボルト170が、第1回動プーリ80a(図10参照)と対向した状態となる。
すなわち、前記調整ピン162及びプレート部材164の回動角度(回動量)は、前記調整ピン162の軸部180に形成された第1係合溝194と第2係合溝196との離間角度Qによって設定されている。
また、図12に示されるように、調整ピン162における係止部182と本体部158との間に介装されたスプリング186のスプリング力によって、該調整ピン162が常に本体部158より離間する方向(矢印J方向)に押圧されている。
そのため、図14に示されるように、調整ピン162の回動作用下に第1係合溝194に係合ピン174が係合されている場合には、前記係合ピン174と第1係合溝194との係合作用下に調整ピン162がスプリング186のスプリング力によって前記第1係合溝194の軸線方向に沿った長さP(図11参照)の分だけ本体部158より離間する方向(矢印J方向)に変位する。
一方、図17に示されるように、調整ピン162の回動作用下に第2係合溝196に係合ピン174が係合されている場合には、前記係合ピン174と第2係合溝196との係合作用下に調整ピン162がスプリング186のスプリング力によって前記第2係合溝196の軸線方向に沿った長さN(図11参照)の分だけ本体部158より離間する方向(矢印J方向)に変位する。
その際、第1係合溝194と第2係合溝196とでは、図11に示されるように、その軸線方向に沿った長さが異なるため、調整ピン162の軸線方向に沿った変位量が異なる。すなわち、第2係合溝196の長さNの方が第1係合溝194の長さPより長く形成されているため(N>P)、係合ピン174が第2係合溝196の係合されている際の調整ピン162の変位量が、係合ピン174が第1係合溝194の係合されている際の変位量よりも大きくなる。
ストッパボルト170は、図12に示されるように、ストッパナット204が螺合された状態で本体部158のねじ孔176(図13参照)に螺合されている。そして、ストッパボルト170を螺回することにより本体部158に対して軸線方向に沿って変位させて所望の位置へと位置決めした後、前記ストッパボルト170の頭部と本体部158との間に螺合されているストッパナット204を螺回させて前記本体部158の側面へと当接させる。これにより、ストッパボルト170の軸線方向へのさらなる変位がストッパナット204によって規制され、前記ストッパボルト170の緩み又は脱抜を防止することができる。
また、図12に示されるように、プレート部材164が回動して係合ピン174に調整ピン162の第1係合溝194が係合され、前記プレート部材164の凹部202がねじ孔176と対向する位置となった場合に、前記凹部202にストッパボルト170の先端部が挿入される。なお、前記凹部202の内周径は、ストッパボルト170における先端部の直径と略同等若しくは若干大きく形成されている。
すなわち、プレート部材164の凹部202にストッパボルト170の先端部を挿入することにより、前記プレート部材164が、凸部166に設けられた弾性部材168を介して第1回動プーリ80aによってストッパボルト170側へと押圧された際(図14参照)の変形を抑制することができる。
なお、上述の説明においては、プレート部材164とストッパボルト170とを隣接させて設けているが、これに限定されるものではなく、前記ストッパボルト170を設けずに、操作レバーを操作者140が握ることにより、ステアリングハンドル28と前記操作レバーとを当接させて係止させるようにしてもよい。
次に、上述された切換機構156を有するライディングシミュレーション装置150の動作並びに作用効果について説明する。
先ず、ライディングシミュレーション装置150において、自動変速機付きの二輪車の場合を想定してシミュレーションを行う場合に、切換機構156における調整ピン162を回動して該調整ピン162の第1係合溝194を係合ピン174に係合させ、プレート部材164の弾性部材168が第1回動プーリ80aと対向する位置である状態を初期状態とする。
最初に、自動変速機付きの二輪車が想定された状態で、図3に示されるように、操作者140が左グリップ36a側に設けられ、ブレーキレバーとして機能する操作レバー(図示せず)を所定量だけ握り、ディスプレイ128上に表示される二輪車を減速させる場合について説明する。なお、図1に示されるように、ステアリングハンドル28における右グリップ36b側に設けられたブレーキレバー32を握ることによりディスプレイ128上に表示される二輪車を減速させる場合に関しては、上述した本実施の形態に係るライディングシミュレーション装置10と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
上述した初期状態から前記二輪車を減速させるにあたって、操作者140(図3参照)が、ハンドル機構12(図1参照)の操作レバー(図示せず)をステアリングハンドル28(図1参照)側に所定量だけ握って回動させることにより、前記操作レバーの回動作用下に前記操作レバーに連結されたワイヤ152(図14参照)が引張される。
そして、図14に示されるように、前記操作レバーによって引張されたワイヤ152が、ケーブルストッパ124の溝部126bを介して矢印C方向へと引張されるため、ワイヤ係止部材102を介してワイヤ152と連結された第1回動プーリ80aが、第1リターンスプリング82のスプリング力に抗して検出部本体78a(図10参照)に支持されたシャフト94と一体的にシミュレーション装置150における後方(矢印B方向)側に向かって回動する。
そして、第1回動プーリ80aの回動作用下にその突部104がプレート部材164に装着された弾性部材168に接近する方向(矢印B方向)に回動し、前記第1回動プーリ80aの突部104が弾性部材168の端面に当接する。
さらに、操作者140(図3参照)が操作レバーへの操作力を増大させることにより、前記第1回動プーリ80aにおける突部104の当接面が、切換機構156における弾性部材168を凸部166(図12参照)側(矢印J方向)へと押圧し、前記突部104が弾性部材168を押し潰して変形させながら回動する。
最後に、前記突部104によって押し潰された弾性部材168が変形しない位置まで第1回動プーリ80aが回動して回動動作が係止された状態となる。
このように、自動変速機付きの二輪車を想定してシミュレーションを行う場合に、切換ハンドル190を介して調整ピン162及びプレート部材164を反時計回り方向(図13中、矢印L方向)へと回動させ、該プレート部材164に装着された弾性部材168を第1回動プーリ80aと対向する位置へと変位させている。そのため、ハンドル機構12における左グリップ36aに設けられた操作レバー(図示せず)を操作者140が握ることにより、前記操作レバーに連結されたワイヤ152の引張作用下に第1回動プーリ80aが所定角度だけ回動した後、前記第1回動プーリ80aの突部104が弾性部材168に当接して押圧しながら回動する(図14参照)。
その結果、第1回動プーリ80aの突部104が弾性部材168に当接する前と、当接した後とにおける操作レバーに付与される反力を変化させることにより、実際の自動変速機付きの二輪車のブレーキレバーを握って減速させる際の操作感覚に類似するブレーキの操作フィーリングが得られ、実際の二輪車により一層近いブレーキの操作感覚を擬似体験することができる。
次に、ライディングシミュレーション装置150によって手動変速機付きの二輪車の場合を想定してシミュレーションを行う場合に、上述した自動変速機付きの二輪車を想定してシミュレーションを行った際に操作レバーを介して得られたブレーキ操作感覚から、前記手動変速機付きの二輪車における操作レバーにより得られるクラッチ操作感覚へと切換機構156によって切り換える場合について説明する。
先ず、操作者140(図3参照)が操作レバー(図示せず)を握っていない状態で、前記操作者140が切換機構156における切換ハンドル190を把持して第1回動プーリ80a側(図15中、矢印K方向)へと押圧する。なお、この際、本体部158に固定された係合ピン174には、調整ピン162における第1係合溝194が係合されている状態にある(図12及び図14参照)。
そして、切換ハンドル190に連結された調整ピン162が、スプリング186のスプリング力に抗して第1回動プーリ80a側(矢印K方向)へと変位し、係合ピン174に係合された第1係合溝194に沿って調整ピン162が変位する。この係合ピン174が、第1係合溝194と連結される連結溝198の壁面に当接することにより調整ピン162の軸線方向に沿ったさらなる変位が規制される。
その際、凹部202を介してストッパボルト170の先端部が挿入されていたプレート部材164は、前記調整ピン162が矢印K方向へ変位することにより、凹部202がストッパボルト170の先端部より離間する。そのため、前記ストッパボルト170の先端部と凹部202とが係合することにより規制されていたプレート部材164の回動及び変位規制状態が解除される。
次に、図10に示されるように、切換ハンドル190を時計回り方向(矢印M方向)に回動させることにより、調整ピン162の連結溝198に係合ピン174が係合された状態で前記調整ピン162及びプレート部材164が時計回り方向(図13中、矢印M方向)で回動する。
そして、図15に示されるように、調整ピン162の回動作用下に係合ピン174を第2係合溝196の壁面に当接させた後、操作者140(図3参照)が切換ハンドル190に付勢していた本体部158側(矢印K方向)への押圧力を解除することにより、前記切換ハンドル190及び調整ピン162がスプリング186のスプリング力によって本体部158から離間する方向(矢印J方向)に変位する。
その際、調整ピン162は、第2係合溝196を介して係合ピン174に係合された状態にあるため、前記調整ピン162が第2係合溝196の長さN(図11参照)の分だけ軸線方向に沿って変位し、前記第2係合溝196の端部に係合ピン174が係合された状態で係止される。
そのため、図13に示されるように、調整ピン162がプレート部材164と一体的に時計回り方向(矢印M方向)へと所定角度Qだけ回動し、前記プレート部材164における弾性部材168が調整ピン162の下方に位置している状態となる。
また、係合ピン174が第2係合溝196に係合された場合には、前記調整ピン162における係合溝192において、第1係合溝194の長さP(図11参照)より第2係合溝196の長さN(図11参照)の方が軸線方向に沿って長く形成されているため(N>P)、係合ピン174が第1係合溝194の端部に係合され、プレート部材164の弾性部材168とストッパボルト170とが略一直線上にある場合と比較して、第1係合溝194と第2係合溝196の長さの差分(|N−P|)だけ調整ピン162の矢印J方向への変位が大きくなる。すなわち、調整ピン162及びプレート部材164は、弾性部材168が第1回動プーリ80aと対向していた場合と比較して、第1回動プーリ80aとの離間距離が大きくなっている。
そして、切換機構156を介してプレート部材164の弾性部材168を、第1回動プーリ80aと対向する位置(図13中、二点鎖線位置)から調整ピン162の下方(図13中、実線位置)となるように変位させることにより、ストッパボルト170が前記第1回動プーリ80aと対向する位置、すなわち、手動変速機付きの二輪車におけるクラッチ操作感覚を得られる状態に切り換えられた状態となる(図15参照)。
このように切換機構156を介して第1回動プーリ80aと対向する位置にストッパボルト170が臨むように切り換えられたライディングシミュレーション装置150において、操作者140がクラッチレバーとして機能する操作レバーを所定量だけ握り、ディスプレイ128上に表示される二輪車において変速操作をさせる場合について説明する。
上述した二輪車を変速操作するにあたって、操作者140(図3参照)がハンドル機構12(図1参照)の操作レバー(図示せず)をステアリングハンドル28(図1参照)側に所定量だけ握って回動させることにより、前記操作レバーの回動作用下に該操作レバーに連結されたワイヤ152が引張される。
次に、図15に示されるように、前記操作レバーによって引張されたワイヤ152と連結された第1回動プーリ80aが、第1リターンスプリング82のスプリング力に抗してシャフト94と一体的にシミュレーション装置150における後方(矢印B方向)側に向かって回動する。
そして、第1回動プーリ80aの回動作用下にその突部104がストッパボルト170に接近する方向(矢印B方向)に所定角度だけ回動し、前記第1回動プーリ80aの突部104がストッパボルト170の端面に当接して係止される(図15参照)。なお、二輪車における変速操作が完了した後に、操作者140が操作レバーを握った状態を解除することにより、前記第1回動プーリ80aが第1リターンスプリング82のスプリング力によって回動し、操作レバーが左グリップ36a(図1参照)から離間した状態へと復帰する。
このように、手動変速機付きの二輪車を想定してシミュレーションを行う場合に、切換ハンドル190を介して調整ピン162及びプレート部材164を時計回り方向(矢印M方向)へと回動させることにより、前記プレート部材164に装着された弾性部材168が、第1回動プーリ80aと対向する位置から調整ピン162の下方となるように回動変位し、第1回動プーリ80aと切換機構156におけるストッパボルト170とが対向した位置となるように切り換えている(図10参照)。
その結果、操作者140(図3参照)が操作レバーを握ることによりワイヤ152を介して第1回動プーリ80aを回動させ、前記第1回動プーリ80aの突部104がストッパボルト170の端面に当接するまで略一定の反力が操作レバーに付与される。このため、操作レバーを介して実際の手動変速機付きの二輪車におけるクラッチレバーを握って変速させる際の操作感覚に類似する操作フィーリングが得られ、実際の二輪車により一層近いクラッチの操作感覚を擬似体験することができる。
なお、再び、切換機構156によってプレート部材164に装着された弾性部材168を、第1回動プーリ80aと対向する位置へと回動変位させることにより、実際の自動変速機付きの二輪車におけるブレーキ操作感覚に類似する操作フィーリングが得られるように切り換えることが可能である。
以上のように、本発明の第2の実施の形態では、クロスフレーム56の上部に設けられる切換機構156によって、自動変速機付きの二輪車を想定してシミュレーションを行う場合には、調整ピン162の回動作用下にプレート部材164に装着された弾性部材168を第1回動プーリ80aと対向する位置に変位させ、前記第1回動プーリ80aの回動作用下に、該第1回動プーリ80aと弾性部材168とを当接させることにより、実際の二輪車に近いブレーキ操作フィーリングを得ることができる。
一方、手動変速機付きの二輪車を想定してシミュレーションを行う場合には、調整ピン162の回動作用下に弾性部材168が装着されたプレート部材164を回動変位させることにより、切換機構156のストッパボルト170と第1回動プーリ80aとを対向させ、前記第1回動プーリ80aの回動作用下に、該第1回動プーリ80aとストッパボルト170とを当接させることにより、実際の二輪車に近いクラッチ操作フィーリングを得ることができる。
従って、調整ピン162の端部に連結された切換ハンドル190を介して該調整ピン162及びプレート部材164を回動させることにより、操作レバーによって得られる自動変速機付きの二輪車におけるブレーキ操作フィーリングと、手動変速機付きの二輪車におけるクラッチ操作フィーリングとを切換機構156によって簡便に切り換えることができる。
そのため、手動変速機付きの二輪車において変速操作を行う際のクラッチ操作感覚と、自動変速機付きの二輪車において減速操作を行う際のブレーキ操作感覚という異なる2種類の操作感覚を、単一のライディングシミュレーション装置150において擬似体験することができる。