JP4199420B2 - 標識化グルタミンおよびリジンアナログ - Google Patents
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Description
本発明は、静脈および動脈の血栓症、塞栓症、または感染症部位の診断に有用な一群の化合物、それらを含む医薬品製剤、疾患の診断におけるそれらの使用、並びにそれらの調製方法に関する。
【0002】
血栓を画像診断する放射性医薬品の先行技術には、放射能標識化フィブリノーゲンまたはプラスミノーゲン;ヒトフィブリンの放射能標識化フラグメントE1;組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)のような放射能標識化プラスミノーゲン活性化因子;および標識化抗フィブリン抗体が含まれる。放射能標識化血小板(例えば、111In オキシンを使用する)または放射能標識化抗血小板抗体の投与といったような、血小板蓄積部位の検出に基づいた方法もまた記載されている。より最近の努力は、細胞接着モチーフ RGD(ここで、R、G、およびDは、各々、アミノ酸 アルギニン、グリシン、およびアスパラギン酸の標準的な略語である。);血小板因子 4もしくはそのフラグメント;またはディスインテグリン(disintegrin)のような抗凝血性ペプチドといったような、放射能標識化ペプチドまたはポリペプチドに焦点を絞っている。
【0003】
第XIII因子は、触媒作用的に不活性な(またはチモーゲンの)形で血液およびある組織中に存在する血漿糖タンパク質である。第XIII因子は、カルシウムイオンの存在下、トロンビンにより、その活性型 第XIIIa因子に変換される。第XIIIa因子はまた、血漿トランスグルタミナーゼ、フィブリノリガーゼ、またはフィブリン安定化因子としても知られている。血液クロットの形成における最終段階は、トロンビンによるフィブリノーゲンのタンパク質分解性切断により形成される、フィブリンの共有結合性架橋である。フィブリン分子を整列させて、酵素 第XIIIa因子は、各々、リジルおよびグルタミニル残基のNH2およびCONH2基の共有結合性架橋を触媒して、血液クロットに構造剛性を与える。架橋は、フィブリンクロット構造を安定化させて、フィブリン溶解に対する抵抗性を授ける。架橋形成は、正常な血液凝固および創傷治癒、さらにはまた、血栓症のような病的状態の重要な一面である。アテローム血栓性脳梗塞は、一般的なサブタイプの卒中であることから、第XIIIa因子の基質は、卒中の診断を可能とし得る。それはまた、アテローム性動脈硬化症、炎症過程、腫瘍増殖および転移にも関与し得る。WO 91/16931は、第XIII因子(ここでは、活性部位がアミノ酸置換により不活性化されている)の放射能標識化アナログが血栓を画像診断する放射性医薬品として有用であることを開示している。
【0004】
第XIIIa因子はまた、タンパク質のγ−グルタミン部位への低分子量アミンの取込みを触媒することも知られている。同様に、第XIIIa因子はまた、リジル残基への低分子量グルタミンアナログの取込みも触媒する。このように、そのような低分子量アミン(またはグルタミンアナログ)は、第XIIIa因子が誘発するタンパク質のリジル/グルタミニル架橋の競合的阻害剤として機能する。合成アミンの範囲は、ブタ肝臓トランスグルタミナーゼにより触媒されるN,N'−ジメチルカゼインへの標識化プトレシン(1,4−ブタンジアミン)の取込みの競合的阻害剤であると記載されている[L. Lorandら,Biochem.,18,1756(1979)]。
【0005】
WO 89/00051(Cytrx Biopool Ltd.)は、第XIIIa因子によりフィブリンに共有結合する標識化化合物を使用して、フィブリン沈析物を標的化する方法を特許請求している。フィブリンを結合する化合物は、「第XIIIa因子として一般的に知られている血液酵素に対する基質である全てのペプチド」であると述べられている。好ましいペプチドは、テトラペプチド配列 -Asn-Gln-Glu-Gln-(または標準的なアミノ酸の略語表記ではNQEQ)が含まれると言われている。α−2 抗プラスミン酵素のNH2末端由来の12−merのペプチド配列:
NH2-Asn-Gln-Glu-Gln-Val-Ser-Pro-Leu-Thr-Leu-Thr-Leu-Leu-Lys-OH
もまた、合成アナログ:
NH2-Asn-Gln-Glu-Gln-Val-Ser-Pro-Tyr-Thr-Leu-Thr-Leu-Leu-Lys-OH
(各々、NQEQVSPLTLTLLKおよびNQEQVSPYTLTLLKと表示される)と一緒に開示されている。後者を125Iで放射能標識化して、インビトロでトロンビンクロットに取入れられることを示した。
【0006】
現在、適当で検出可能な部分で標識化したリジンおよびグルタミンの合成アナログもまた、酵素 第XIIIa因子に対する基質として機能し得ることが発見されている。適当な保護基の使用は、とりわけペプチダーゼによるインビボでの代謝にほとんど影響されない化合物を与え、従って、より有用な標的化剤である。
【0007】
本発明は、以下の化合物:
Y−(CR2)n−X−NHJ
{式中、
Xは、C=OまたはCR2であり;
nは、数値1〜6の整数であり;
Yは、L(A)m−またはR1R2CR−であり;
[ここで、
Lは、金属錯化剤であり;
Aは、−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−NRCO−、
−CONR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、
−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、
C4−8 シクロヘテロアルキレン基、C4−8 シクロアルキレン基、
C5−12 アリーレン基、C3−12 ヘテロアリーレン基、または
ポリアルキレングリコール、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸部分
であり;
mは、数値0〜10の整数であり;
R1およびR2のうちの一方は、−NH(B)pZ1であって、
他方は、−CO(B)qZ2である。
(ここで、
pおよびqは、数値0〜45の整数であり;
各々のBは、Q(ここで、Qは、環状ペプチドである。)
またはアミノ酸残基から独立して選択され;および
Z1およびZ2は、保護基である。)]
Jおよび各々のR基は、H、C1−4 アルキル、C1−4 アルケニル、C1−4 アルキニル、C1−4 アルコキシアルキル、またはC1−4 ヒドロキシアルキルから独立して選択される。}
[ただし、
(i)R1およびR2基におけるアミノ酸残基の総数は、45個を超えず;
(ii)XがCR2であるならば、Yは−CRR1R2であって、Z2は金属錯化剤であり;
(iii)Yが−CRR1R2であるならば、R1およびR2のうちの少なくとも一方は少なくとも1つの検出可能な部分を有する。]
を提供する。
【0008】
本発明にはまた、検出可能な部分で標識化した上記化合物の調製のためのキット、並びに血栓症、塞栓症、アテローム性動脈硬化症、炎症、または癌の診断または治療におけるこれらの化合物および関連化合物の使用も含まれる。
【0009】
「環状ペプチド」という用語は、ペプチドもしくはジスルフィド結合、またはチオエーテル、ホスホジエステル、ジシロキサン、もしくはウレタン結合といったような合成非ペプチド結合となり得る共有結合により、2個の末端アミノ酸が一緒に結合する、5〜15個のアミノ酸配列を意味する。
【0010】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在し得る、または純粋に合成起源のものであり得る、そして光学的に純粋、すなわち、単一エナンチオマー、従って、キラル、またはエナンチオマーの混合物であり得る、L−もしくはD−アミノ酸、アミノ酸アナログ、またはアミノ酸模倣物を意味する。好ましくは、本発明のアミノ酸は、光学的に純粋である。「アミノ酸模倣物」という用語は、等配電子体(isosteres)である、すなわち、天然化合物の立体および電子構造を模倣するよう設計されている、天然に存在するアミノ酸の合成アナログを意味する。そのような等配電子体は、当業者に十分知られており、限定されるものではないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン、または1,5−二置換テトラゾールが含まれる[M. Goodman,Biopolymers,24,137(1985)を参照]。
【0011】
「保護基」という用語は、アミノまたはカルボキシル末端にあるペプチドまたはアミノ酸のインビボでの代謝を阻害または抑制する、生体適合可能な基を意味する。そのような基は、当業者に十分知られており、アミン末端(Z1)に関しては:アセチル、Boc(ここで、Bocは、tert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(ここで、Fmocは、フルオレニルメトキシカルボニルである。)、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[すなわち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]、Npys(すなわち、3−ニトロ−2−ピリジン スルフェニル)、または金属錯化基;およびカルボキシル末端(Z2)に関しては:カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール、または金属錯化基から適当に選択される。好ましくは、保護基は金属錯化基であり、最も好ましくは、それは金属に結合した金属錯化基、すなわち、金属錯体である。ペプチドのカルボキシル末端は、カルボキシペプチダーゼ酵素によるインビボでの切断に特に影響されやすい。その結果、金属錯化基または金属錯体は、カルボキシル末端に結合するのが好ましい。R1が−NH(B)p-1QZ1であるか、またはR2が−CO(B)q-1QZ2であるならば、保護基は、環状ペプチド(Q)環を閉環する共有結合となり得る。
【0012】
「検出可能な部分」とは、シグナルを発する部分であり、またはヒト身体の診断用イメージングに適当であって、放射性医薬品イメージングもしくは治療のための放射性同位体、MRIコントラストイメージングのための常磁性金属もしくは種、X線コントラストイメージングのための放射線不透過性基もしくは金属、ガスマイクロバブル超音波コントラスト剤、または外部光イメージングによる検出に適当な色素であり得る。好ましくは、イメージング部分は金属イオンであり、最も好ましくは、それは放射性金属である。
【0013】
Yが−CRR1R2であるならば、好ましくは、R1およびR2のうちの一方または両方は、α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、もしくはβ−カゼイン、フィブリノーゲン、またはトロンボスポンジンの1つ以上のペプチドフラグメントを含んでなる。そのようなペプチドフラグメントは、少なくとも3個、好ましくは4−20個のアミノ酸残基を含んでなる。Yが−CRR1R2であって、−(CR2)−X−NHJが−(CH2)4NH2(すなわち、リジンのアミノ酸側鎖)であるならば、好ましくは、R1およびR2のうちの一方または両方は、α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、またはβ−カゼインの1つ以上のそのようなペプチドフラグメントを含んでなる。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン、およびトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献において見出すことができる:α2−抗プラスミン前駆体[M. Toneら,J. Biochem,102,1033(1987)];β−カゼイン[L. Hanssonら,Gene,139,193(1994)];フィブロネクチン[A. Gutmanら,FEBS Lett.,207,145(1996)];トロンボスポンジン−1前駆体[V. Dixitら,Proc. Natl. Acad. Sci.,USA,83,5449(1986)];R. F. Doolittle,Ann. Rev. Biochem.,53,195(1984)。
【0014】
好ましくは、アミノ酸配列は、
(i)α2−抗プラスミン、
すなわち、
NH2-Asn-Gln-Glu-Gln-Val-Ser-Pro-Leu-Thr-Leu-Thr-Leu-Leu-Lys-OH
または
NH2-Asn-Gln-Glu-Gln-Val-Ser-Pro-Leu-Thr-Leu-Thr-Leu-Leu-Lys-Gly-OH
NH2-Asn-Gln-Glu-Ala-Val-Ser-Pro-Leu-Thr-Leu-Thr-Leu-Leu-Lys-Gly-OH
NH2-Asn-Gln-Glu-Gln-Val-Gly-OH
といったような、1個以上のアミノ酸が交換され、付加され、または除去されている、この変異体;または
(ii)カゼイン
すなわち、
Ac-Leu-Gly-Pro-Gly-Gln-Ser-Lys-Val-Ile-Gly
のN末端から取る。
【0015】
本発明の化合物がペプチドである、すなわち、YがR1R2CR−である場合、アミノ酸残基の数は、好ましくは2〜30個、最も好ましくは3〜20個、とりわけ3〜15個である。
【0016】
好ましい化合物は、JがHである、すなわち、NH2基を末端とする。Xは、C=Oであるのが好ましい、すなわち、式 Y−(CR2)n−CONH2の化合物が好ましい。最も好ましい化合物は、式 Y−(CR2)x−(CH2)2CONH2またはY−(CR2)y−(CH2)4NH2(ここで、xは、数値0〜4の整数であり、およびyは、数値0〜3の整数である。)のものである。グルタミンと同じ側鎖を有する化合物、すなわち、式 Y−(CR2)x−(CH2)2CONH2のグルタミンアナログがとりわけ好ましい。
【0017】
本発明での使用に適当な非金属放射性同位体には、限定されるものではないが、123I、125I、131Iといったような放射性ヨウ素、好ましくは123I;18F、11C、または75Brといったような陽電子放射体;および治療のための同位体、例えば、211Atが含まれる。
【0018】
金属錯化剤を含んでなる本発明の化合物は、すなわち、−(CR2)n−X−NHJ置換基が結合した単一型の標的化分子のみを有するのが好ましい。錯化剤上には他の置換基も存在し得るが、−(CR2)n−X−NHJ置換基は、生体局在化特性の主たる原因であると予想される置換基である。本発明の金属錯体は、同じであっても異なっていてもよい、1つ以上の金属イオンを含み得る。このように、幾つかの状況において、多核錯体は、超常磁性特性を有し、従って、MRIコントラスト剤として特に有用である、ある金属クラスターのような、有利な特性を有し得る。本発明の好ましい金属錯体は、単一金属イオンのみを含む。金属錯体の金属が放射性金属である場合、それは、(68Gaもしくは64Cuといったような)陽電子放射体、または99mTc、111In、113mIn、もしくは67Gaといったようなγ−放射体であり得る。MRIでの使用に適当な金属イオンは、ガドリニウム(III)またはマンガン(II)といったような常磁性金属イオンである。診断用イメージングに最も好ましい放射性金属は、γ−放射体、とりわけ99mTcである。ある放射性核種の金属錯体は、癌のような様々な疾患の放射線治療、または血栓症もしくは再狭窄の処置のための放射性医薬品として有用であり得る。そのような放射線治療適用に有用な放射性同位体には、90Y、89Sr、67Cu、186Re、188Re、169Er、153Sm、および198Auが含まれる。いずれの金属錯体を選択しても、それが血液中で容易な代謝を受けないような方法で第XIIIa因子の基質に結合し、その結果、金属錯体が第XIIIa因子の基質から切断された後、標識化第XIIIa因子の基質が画像診断すべき所望のインビボでの部位に達することは是非とも好ましい。従って、第XIIIa因子の基質は、本発明の金属錯体に共有結合するのが好ましい。
【0019】
金属錯化剤、またはより好ましくはキレート化剤を使用して、これらの金属イオンを錯体形成させる。キレート化剤は、非配位骨格鎖により一緒に共有結合した2−10個の金属供与体原子を含んでなる。好ましいキレート化剤は、4−8個の金属供与体原子を有して、金属供与体原子を鎖状もしくは大環状配置またはそれらの組み合わせで有する。最も好ましいキレート化剤は、4−6個の金属供与体原子を有して、金属中心に配位された場合、5員または6員のキレート環を形成する。そのような多配座および/または大環状キレート化剤は、トランスフェリンまたは血漿タンパク質といったような、インビボでの金属に対する内因性競合リガンドによる攻撃に耐え得る、安定な金属錯体を形成する。あるいはまた、たとえ、それらが金属配位でキレート環を形成しなくても、所望の金属イオンと共に安定な錯体を形成する一座配位錯化剤を使用することが可能である。99mTcとの使用に特に適当である、この種類の既知の錯化剤の例は、ヒドラジン、ホスフィン、アルシン、またはイソニトリルである。
【0020】
適当なキレート化剤の例は、ジアミンもしくはジホスフィンといったような二座配位、モノアミンジチオールのような三座配位、もしくはジアミンジオキシム(US 4615876)のような四座配位、またはアミド供与体を取込むようなリガンド(WO 94/08949);WO 94/22816の四座配位リガンド;N2S2 ジアミンジチオール、ジアミドジチオール、またはアミドアミンジチオール;N3S チオールトリアミド;テトラアミンのようなN4 リガンド、大環状アミン、またはシクラム、オキソシクラム(中性テクネチウム錯体を形成する)、もしくはジオキソシクラムといったようなアミドリガンド;またはジチオセミカルバゾンである。上記リガンドは、テクネチウムに特に適当であるが、他の金属にもまた有用である。他の適当なリガンドは、SandozのWO 91/01144に記載されており、インジウム、イットリウム、およびガドリニウムに特に適当なリガンド、とりわけ大環状アミノカルボキシレートおよびアミノホスホン酸リガンドが含まれる。ガドリニウムの非イオン性(すなわち、中性)金属錯体を形成するリガンドが知られており、US 4885363に記載されている。そのリガンドはまた、WO 92/13572のCys/アミノ酸/Cys トリペプチドのような短い配列のアミノ酸、またはEP 0719790 A2に記載されているペプチドリガンドも含んでなる。
【0021】
好ましいキレート化剤は、式:
RN[(CR2)aN(CR2)bCR=NOH]2
[式中、
各々のaは、2または3であり;
各々のbは、1または2であり;
1つのRは、キレート化剤を残りの分子に結合させるアミノアルキレンであり;
Rは互いに独立して、H、C1−C10 ヒドロカルビル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミン、アミド、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、もしくはカルボキシレートであるか、または2つのR基が、それらが結合する原子で一緒になって、カルボキシル性ヘテロ環式の飽和もしくは不飽和環を形成する。]
を有する。
【0022】
非ペプチドに基づいた金属キレート化剤は、金属イオンの結合および解離に対して改良された制御を与え、好ましい。
【0023】
本発明にはまた、3−45個のアミノ酸残基を含んで、末端金属錯化剤を有する、α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、テタヌス、アミロイド、トラッピン、またはポリグルタミンのペプチドフラグメントが含まれる。
【0024】
それに官能基が結合しているキレート化剤(「二官能性キレート」)を調製することは十分知られている。キレート化剤に結合している官能基には、アミン、カルボン酸、シアネート、チオシアネート、マレイミド、およびN−ヒドロキシスクシンイミドのような活性エステルが含まれる。ジアミンジオキシムリガンドに対するキレート−アミン抱合体の例は、WO 95/19187に記されている。所望の第XIIIa因子の基質の官能性がアミンである場合、(好ましくは、当業者に知られている適当な保護基の使用により保護した)両方のアミン基を含む二官能性化合物と、塩化スルホニル、酸塩化物、活性エステル、またはアルキル/ベンジルハロゲン化物といったような反応性基との反応により、本発明のリガンドを調製することができる。次いで、その反応性基を、二官能性キレートのいずれかのアミン側基に結合させるか、またはN含有リガンドの1個以上のアミン供与体原子を誘導体化するために使用することができる。あるいはまた、1つを保護したジアミンを、活性エステルまたはカルボキシル側基をもつ二官能性キレートと反応させて、アミド結合によってリガンドシステムに結合した保護アミン基を与えることができる。上に概略を述べた両方の合成経路において、次いで、その結果得られたリガンド保護アミン共役体を適当な条件下に脱保護して、所望のアミン官能基化リガンドを与える。所望の第XIIIa因子の基質の官能性がカルボキサミド基である場合、例えば、適当な鎖長のω−ハロアルキルカルボキサミドと、アミン側基をもつ二官能性キレートとの反応により、所望のリガンドを調製して、所望のカルボキサミド結合リガンドを得ることができる。
【0025】
適当な酸化状態にある金属の溶液をリガンドと適当なpHで反応させることにより、本発明の金属錯体を調製することができる。その溶液は、(クロリド、グルコネート、またはシトレートといったような)金属に弱く錯体形成するリガンドを含み得るのが好ましく、すなわち、金属錯体をリガンド交換またはトランスキレート化により調製する。そのような条件は、金属イオンの加水分解のような、望ましくない副反応を抑制するのに有用である。金属イオンが99mTcである場合、通常の出発物質は、99Mo ジェネレーター由来の過テクネチウム酸ナトリウムである。テクネチウムは、比較的不反応性である、Tc(VII) 酸化状態にある99mTc−過テクネチウム酸塩で存在する。従って、より低い酸化状態 Tc(I)〜Tc(V)のテクネチウム錯体の調製は、通常、錯体形成を促進するために、スズイオンのような適当な還元剤の添加を必要とする。さらに適当な還元体を以下に記載する。
【0026】
金属錯体はまた、低い非特異的な血液バックグラウンドを示すのが好ましくもある。
【0027】
このように、本発明は、主として、酵素 第XIII因子を活性化して、フィブリンまたはコラーゲンといったような血液タンパク質を沈析させる、哺乳類の身体における部位を画像診断するための診断薬に関する。本発明の薬剤は、ヒト身体の診断用イメージングに特に有用である。その薬剤は、(シンチグラフィーのための)放射性金属または(MRIのための)常磁性金属イオンといったような、外部イメージングに適当な金属錯体で標識化する、酵素 第XIIIa因子に対する基質を含んでなる。本発明の金属錯体は、各々、酵素 第XIIIa因子によるタンパク質 グルタミル カルボキサミドまたはリジル アミン基への共有結合に利用できる、アミノまたはカルボキサミド官能側基を有する。フィブリンと第XIIIa因子との密接な関係は、フィブリン沈析または蓄積および第XIII因子の活性化の両方がある疾患状態の診断のための、本発明の薬剤の可能性のある使用を強調する。増大したフィブリン沈析は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、線維症肝臓、および散在性血管内凝固といったような疾患の特徴であることが知られている。フィブリンはまた、感染症、自己免疫疾患、または癌といったような、多くの疾患過程と関連のある組織炎症部位でも沈析する。第XIII因子および組織トランスグルタミナーゼは、既知の生理的条件の間に活性化される。アポトーシスおよび新たな基質タンパク質構造の発生の間に、高められた酵素レベルが見られる。このように、本発明の薬剤はまた、増大した基質タンパク質沈析が起こる、アポトーシス、および関節炎のような疾患状態の検出に使用することもできる。第XIII因子は、インビボでの重要な部位(すなわち、血栓、塞栓等)で活性化されることから、これは、本発明の金属錯体に局在化機構を与える。次いで、放射性核種シンチグラフィーまたは磁気共鳴イメージング(MRI)により、共有結合した金属錯体を外部から画像診断し、従って、疾患部位を診断する非観血的方法を与えることができる。
【0028】
本発明の治療態様に関する限り、発明者達は、(以下の実施例17により)本明の標識化ペプチドの存在下に作り出されたクロットが標識化ペプチドの不存在下に作り出されたクロットより小さいことを示す、(本明細書中では詳細に報告していない)予備的なインビボでのデータを有する。これに基づいて、典型的には、4−30個、例えば、約10個のアミノ酸残基を含む、本明細書中に定義するペプチドが、クロットにおけるフィブリン架橋の強力な阻害剤として作用することにより、クロット溶解速度を増大させるための薬物として有効であることを提唱する。このように、開示する化合物は、治療のための血栓溶解または抗凝固薬物としての可能な医薬品使用を有する。
【0029】
本発明はまた、第XIIIa因子の基質に結合した金属錯体の調製のためのキットにも関する。そのキットは、例えば、血流への注射によって、ヒトへの投与に適当な無菌生成物を与えるよう設計されている。可能な態様を以下に開示する。検出可能な部分が99mTcである場合、そのキットは、亜ジチオン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ホルマミジン スルフィン酸、スズイオン、Fe(II)、またはCu(I)といったような、薬学的に許容され得る還元剤、好ましくは塩化スズまたは酒石酸スズといったようなスズ塩と一緒に、金属に対する遊離リガンドまたはキレート化剤を含むバイアルを含んでなる。あるいはまた、そのキットは、金属錯体を含み得、これは、放射性金属または常磁性金属の添加で、金属交換反応(すなわち、リガンド交換)を受けて、所望の生成物を与える。99mTcに関しては、そのキットを凍結乾燥させ、99mTc 放射性同位体ジェネレーターから無菌99mTc−過テクネチウム酸塩(TcO4 −)で再構築するよう設計して、ヒトへの投与に適当な溶液をさらなる操作なく与えるのが好ましい。
【0030】
本発明の薬剤はまた、ヒトへの注射に使える単位用量形態で与えることもでき、例えば、予め充填しておいた無菌注射器で供給することができる。検出可能な部分が99mTcのような放射性同位体である場合、単位用量を含む注射器はまた、(操作する人を可能性のある放射能用量から保護するために)注射器シールド内で供給することもできる。
【0031】
上記キットまたは予め充填しておいた注射器は、場合により、緩衝液;薬学的に許容され得る可溶化剤(例えば、シクロデキストリン、またはPluronic、Tween、もしくはリン脂質といったような界面活性剤);(アスコルビン酸、ゲンチジン酸、またはパラ−アミノ安息香酸といったような)薬学的に許容され得る安定化剤もしくは抗酸化剤、または(塩化ナトリウムもしくはマンニトールといったような)凍結乾燥のための充填剤といったような、さらなる成分を含み得る。
【0032】
以下の実施例は、本発明の化合物の調製、およびイメージングにおけるそれらの使用を説明する。本発明の個々の化合物の合成を実施例1−9に記し、123Iまたは99mTcでのそれらの放射能標識化を実施例10−12に記す。化合物1(先行技術)は、比較実施例として含まれる。インビトロでの増大した血漿安定性に関する証拠を実施例13に記す。実施例16に報告する放射能標識化化合物の正常なラットの体内分布と共に、インビトロおよびインビボでの血液クロットにおける取込みに関する証拠を、各々、実施例15および17に記す。
【0033】
123I−化合物1のインビトロでの血漿安定性は、恐らく、プロテアーゼ活性により、乏しい(実施例13を参照)。放射能標識化化合物2−5および7−49に関する限り、カルボキシおよびアミノ末端の両方での保護基の導入は、血漿安定性の実質的な増大を授ける。
【0034】
試験した化合物の大部分は、インビトロでのクロットの高い取込みを示し、従って、クロットに対する結合活性を示す。他の化合物は、化合物14、16、18、31、34、36、46、および48が取込みの有意な減少を示すことから、より低い効力のものである。化合物14におけるような、α2−抗プラスミンに由来する配列の2位からのGln残基の除去は、このトレーサーの取込みの大きな下落を引き起こし、そういうわけで、Gln−2がこの配列型における必須アミノ酸であることを強く提唱する。
【0035】
正常なラット、並びに新しいクロットモデルおよび古いクロットモデルにおける体内分布の詳細を実施例16および17に記す。これらの化合物の血中クリアランス速度は、生物学的半減期が1−2時間であることから、比較的速い。99mTc−化合物3の体内分布を代表的な実施例として記し、この場合において、t1/2は2時間であると予想される。血液、肺、心臓、および筋肉といったようなバックグラウンド組織からの迅速なクリアランスは、本発明の薬剤がイメージングに有利な薬物動態を有することを示し、放射能診断法としてのそれらの可能性を示す。これらの化合物に関して、幾つかの肝胆道排泄が見られるが、主要な排泄経路は、尿路によってである。
【0036】
多くの放射能標識化化合物に関して、ラットモデルにおける新しいクロットおよび古いクロットへの取込みは、クロット対バックグラウンド組織の比率がイメージングに非常に有利である(>5)ことから、非常に良好である(相対濃度またはRC=5−15)。実施例18は、99mTc−化合物5がラットモデルにおけるクロットを画像診断するのに適当であることを示す。
【0037】
99mTc−化合物2−49は、123I−化合物1(RC=1.5)と比較して、血漿安定性を改良しており、これは、これらの化合物で見られる改良されたインビボでのクロットの取込みの原因であり得る。
【0038】
新しいクロットおよび古いクロットに関する、実施例17のクロットの取込みの結果比較は、本発明の薬剤が一定でクロットの年齢とは無関係な取込みを示すことを示す。このように、そのような薬剤は、肺塞栓症で見られるクロットのような、既存のクロットに対するイメージング能力を改良する。
【0039】
実験
以下の表において、
Zは、ベンジルオキシカルボニルであり;
Fmocは、フルオレニルメトキシカルボニルであり;
Acは、アセチルであり;
Pn44は、
【化1】
であり;
Pn216は、
【化2】
であり;
Hynicは、
【化3】
である。
【0040】
【表1】
【表2】
【0041】
ES+ 質量分析法を使用して、表示した化合物を除く全ての化合物を分析した。aで表示した化合物は、FABにより分析し、bで表示した化合物は、MALDI−TOF 質量分析法により分析した。
【0042】
実施例1:化合物1および2の合成
Fmoc−Lys(Boc)を樹脂にしっかりと固定することにより、保護ペプチド Ac−Asn(Trt)−Gln(Trt)−Glu(OtBu)−Gln(Trt)−Val−Ser(tBu)−Pro−Tyr(tBu)−Thr(tBu)−Leu−Leu−Lys(Boc)−Gly−OHを2−クロロトリチル樹脂上に結合させた後、(P. Lloyd−Williams,F. AlbericioおよびE. Girald:Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているように)連続的な脱保護/適当な保護アミノ酸との結合サイクルにかけた。ジクロロメタン中の0.1% TFAを使用しての切断、脱保護、およびRP−HPLC(システムA)による精製により、標記化合物を得た。
【0043】
実施例2:化合物3−9、12−21、28−33、35、37、42、
および45−49の合成
適当な保護ペプチドを実施例1のように適当な保護アミノ酸と結合させた。保護フラグメントを樹脂から切断した後、結合剤としてBOPを使用して、溶液中の(WO 95/19187に記載されているように製造した)6−アミノメチル−3,3,6,9,9−ペンタメチル−4,8−ジアザウンデカン−2,10−ジオン ジオキシム、(WO 98/31399に記載されているように製造した)3,3,11,11−テトラメチル−7−アミノエチル−4,7,10−トリアザトリデカン−2,12−ジオンジオキシム、または(米国特許第5,206,370号に記載されているように製造した)6−Boc−ヒドラジノピリジン−3−カルボン酸 N−ヒドロキシスクシンイミド エステルと結合させた。標記化合物をTFA/水/トリエチルシラン(90/5/5)中での脱保護により得て、RP−HPLC(システムA)により精製した。
【0044】
実施例3:化合物22−27の合成
Eppendorfバイアル中、化合物5、8、または9(1mg)、酢酸アンモニウム緩衝液(400μl、0.2M、pH 4)、ヨウ化ナトリウム(0.5当量、0.1M NaOH中、15mg/10ml)、および過酢酸(1.5当量、0.1M 溶液)を加えた。その反応混合物を1分間徹底的に混合し、モノヨードおよびジヨード生成物を分離して、分取HPLCにより集めた。その手順を繰り返して、十分な量の単離生成物を得た。
【0045】
実施例4:化合物10および11の合成
Fmoc−Asn(Trt)−Gln(Trt)−Glu(tBu)−Gln(Trt)−Val−Ser(tBu)−Pro−Tyr(tBu)−Thr(tBu)−Leu−Leu−Lys(Boc)−Gly(200mg、0.73mmol)、Pn216(30mg、0.87mmol)、およびHBTU(33mg、0.87mmol)を無水DMF(2.5ml)に溶解した。その溶液にジイソプロピルエチルアミン(20ml、1.15mmol)を加えて、その反応混合物を室温で1.75時間撹拌した。次いで、その反応混合物をピペリジン(0.5ml)で処理して、その混合物を室温で2時間撹拌した。生成物を半分取HPLCにより精製して、白色の固体(171mg、82%)を得た;ES+−MS:m/z 952.40(M+3H+)。
【0046】
1−アダマンタンカルボン酸または3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸(1.5モル当量)、保護ペプチド Asn(Trt)−Gln(Trt)−Glu(tBu)−Gln(Trt)−Val−Ser(tBu)−Pro−Tyr(tBu)−Thr(tBu)−Leu−Leu−Lys(Boc)−Gly−Pn216(1モル当量)、およびHBTU(1.2−1.5モル当量)を無水DMF(1ml)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(11モル当量)を加えて、反応がHPLCにより完了したと判断されるまで、その反応混合物を室温で撹拌した。次いで、保護ペプチドフラグメントをCH2Cl2中の95% トリフルオロ酢酸で処理した。その反応混合物を室温で2〜4時間撹拌した。その反応混合物から生成物を逆相HPLCにより精製した。
【0047】
実施例5:化合物34の合成
例として、Fmoc−Asn(Trt)−Ψ(CH2NH)−Gln(Trt)−OHを古典的な還元ペプチド結合の合成方法により得たことを除き、保護ペプチドをFmoc−Asn(Trt)に由来するアルデヒドでのGln(Trt)の還元的アミノ化(G. Guichardら,Peptide Res.,6(3),121(1993)およびその中での参考文献を参照)により合成した。
【0048】
その結果得られた化合物を調製して、実施例2のように精製した。
【0049】
実施例6:化合物36、38、および39の合成
保護ペプチドをRink樹脂上ではあるが実施例1のように合成した。グリシン N−保護を除去した後、まだ樹脂上にある間に、ペプチドを無水グルタル酸と反応させた。樹脂上でのBOP/HOBtでのグルタレート カルボン酸の活性化および6−アミノメチル−3,3,6,9,9−ペンタメチル−4,8−ジアザウンデカン−2,10−ジオン ジオキシムまたは3,3,11,11−テトラメチル−7−アミノエチル−4,7,10−トリアザトリデカン−2,12−ジオンジオキシムとの結合により、保護生成物を得た。TFA/水(95/5)での切断により、粗製物質を得、RP−HPLC(システムA)を使用して、これを精製した。
【0050】
実施例7:化合物40および41の合成
無水テトラヒドロフラン(5ml)中、必要とされる分子量のα−N−(tert−ブトキシカルボニル)−ポリ(エチレングリコール)アミノ−ω−スクシンイミジル カーボネート、および1モル当量の6−アミノメチル−3,3,6,9,9−ペンタメチル−4,8−ジアザウンデカン−2,10−ジオン ジオキシムまたは3,3,11,11−テトラメチル−7−アミノエチル−4,7,10−トリアザトリデカン−2,12−ジオンジオキシムを窒素下に5時間還流した。その反応混合物を減圧下に還元して、白色の固体をもたらし、これを、イソプロパノール/アンモニア/水 10:1:1を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色の固体として得た。37% HClを使用し、メタノール中の氷冷溶液に滴加して、Boc保護基を除去した。次いで、その溶液を室温で4時間撹拌した。その反応混合物を4M NaOH(4.18ml)の添加によりpH〜10まで塩基性とした。生成物を半分取HPLC(システムD)により単離した。
【0051】
上から得た固体をDMFに溶解して、それに保護ペプチドフラグメントを加えた。ジイソプロピルエチルアミンおよびHBTUを加えて、反応が完了するまで、その反応混合物を室温で撹拌した。生成物をHPLC(システムE)により精製して、無色のガムを得た。
【0052】
このガムをジクロロメタン(2ml)に溶解して、その溶液をTFA(0.2ml)で5時間処理した。その反応物を1M NaOH(2ml)で塩基性として、揮発性物質を減圧下に除去した。残留物にMeOH(2.5ml)を加え、Acrodiscフィルター(LC13 PVDF 0.45m)を使用して、その混合物を濾過した。生成物をメタノール性溶液からHPLC(システムE)により単離した。
【0053】
実施例8:化合物43の合成
12−N−Fmoc−アミノドデカン酸を先に記載したように3,3,11,11−テトラメチル−7−アミノエチル−4,7,10−トリアザトリデカン−2,12−ジオンジオキシムに結合させた。Fmoc保護基をDMF中の20% ピペリジンにより除去して、生成物をHPLC(システムF)により精製した。
【0054】
上記生成物を保護ペプチドフラグメントと結合させて、その後、上記のように脱保護した。生成物をHPLC(システムG)により精製した。
【0055】
実施例9:化合物44の合成
Fmocに基づいた方法により、部分的に脱保護されたペプチド H−Asn(Trt)−Gln(Trt)−Glu(OtBu)−Gln(Trt)−Val−Ser(tBu)−Pro−Tyr(tBu)−Leu−Leu−Lys(Boc)−Gly−OHをBOP/HOBtでの逐次延長により2−クロロトリチル クロリド樹脂上に結合させた。N末端保護をピペリジン処理により除去して、部分的に保護されたペプチドをジクロロメタン溶液中の0.5% TFAにより保持体から切断した。
【0056】
既知の方法により、縮合剤としてBOPを含むDMF中の10mMの濃度での溶液中、環化を固体重炭酸ナトリウムの存在下に行った(例えば、M. Rodriguezら,Int. J. Pept. Protein Res.,35,441,1990を参照)。
【0057】
TFA/水/エタン ジチオール(90/5/5)の混合物における最終脱保護により、粗製の標記化合物を得、これをRP−HPLC(システムA)により精製した。
【0058】
実施例10:化合物1−2および化合物44のI−123標識化
Eppendorfチューブ中、酢酸アンモニウム緩衝液(200μl、0.2M、pH 4.0)およびNa127I(10μl、1.5μg)をリガンド溶液(20μl、20μg)に加えた。その溶液を徹底的に混合した後、Na123I(5−50μl、111MBq)を加えた。その溶液を徹底的に混合した後、PAA溶液(10μl、0.01M)を加えて、さらに混合を続けた。調製物の活性を測定した。全ての場合において、必要とされる生成物を反応副生成物および未標識化基質からHPLCにより分離した。
【0059】
実施例11:化合物3、5−43、45−49のTc−99m標識化
H2Oに溶解した化合物(1mg/ml)の0.1mlのアリコートを、脱酸素化生理食塩水(0.9% w/v、1ml)および水性NaOH(0.1M)0.035mlと一緒に、窒素を充填した10mlのガラスバイアルに移した。この溶液に、テクネチウムジェネレーター溶出液(1ml、約0.4GBq)、次いで、水性塩化スズ溶液(0.1ml、約10μg)を加えた。標識化pHは、9.0−10.0であった。バイアルを周囲実験室温度(15−25℃)で30分間インキュベートして、標識化を成し遂げた。その結果得られた調製物を所望の放射能濃度まで希釈するか、またはHPLC(システムB)精製を行い、未標識化出発物質および放射性不純物を除去して、試験した。精製した後、有機溶媒を減圧下に除去し、試料を0.1M リン酸緩衝液(pH 7.4)約5mlに再溶解して、6−9MBq/mlの作業濃度を与えた。放射化学的純度を評価した後、以下に記載する薄層クロマトグラフィー(TLC)システムにより使用した:
i)0.9% w/v 生理食塩水で溶出するITLC SG 2cm×20cm;
ii)50:50 v/vのアセトニトリル:H2Oで溶出するWhatman No.1 2cm×20cm。
【0060】
標識化基質は、TLCシステム(i)における起点またはその付近に残留して、システム(ii)における溶媒先端付近まで移動する。適当な検出装置により分析する場合、放射化学的純度は、典型的には、85%以上の標識化化合物である。
【0061】
実施例12:化合物4のTc−99m標識化
水に溶解した化合物(1mg/ml)の0.1mlのアリコートを、水に溶解したトリシン(0.5ml、37.5mg)および水に溶解したホスフィンダイントリス(ベンゼンスルホン酸)トリス ナトリウム塩(0.1ml、10mg)と一緒に、窒素を充填した10mlのガラスバイアルに移した。この溶液に、テクネチウムジェネレーター溶出液(1ml、約0.4GBq)、次いで、0.1M HCl中の塩化スズの溶液(0.02ml、約2μg)を加えた。標識化pHは、4.5−5.5であった。バイアルを60℃で30分間インキュベートして、標識化を成し遂げた。精製および放射化学的純度の評価を実施例10のように行った。
【0062】
実施例13:インビトロでの血漿安定性
一部の化合物(50μl、10MBq/ml)に、等量の血漿(ラットもしくはヒト)または生理食塩水を加えた。その混合物を37℃でインキュベートして、安定性をHPLC(システムC)により0、30、および120分の時点で測定した。生理食塩水希釈は、対照として作用した。
【0063】
【表3】
【0064】
実施例14:HPLCシステム
流速:全てのシステムにおいて、1ml/分。
【0065】
システムA
カラム: Waters C18 250×4.5mm。粒径 4ミクロン。
グラジエント:溶離プロフィール 25分で10−60% B。
溶離液A: 0.1% 水性TFA。
溶離液B: アセトニトリル中の0.1% TFA。
【0066】
システムB
カラム: Waters C18 150×3.9mm。粒径 4ミクロン。
グラジエント:溶離プロフィール 22分で0−100% B。
溶離液A: 0.1% 水性TFA。
溶離液B: アセトニトリル中の0.1% TFA。
【0067】
システムC
カラム: Waters C18 150×3.9mm。粒径 4ミクロン。
グラジエント:溶離プロフィール 20分で0−100% B。
溶離液A: 50mM NH4OAc緩衝液(pH 5.6)。
溶離液B: アセトニトリル。
【0068】
システムD
カラム: Hamilton PRP−1、305mm×7.0mm。
グラジエント:溶離プロフィール 10分で0−65% B。
溶離液A: 5% 水性アンモニア。
溶離液B: アセトニトリル。
【0069】
システムE
カラム: Hamilton PRP−1、150mm×4.1mm。
グラジエント:溶離プロフィール 15分で0−100% B。
溶離液A: 5% 水性アンモニア。
溶離液B: アセトニトリル。
【0070】
システムF
カラム: Polymer Laboratories PLRP−S、150mm×2.5mm。
グラジエント:溶離プロフィール 15分で0−100% B。
溶離液A: 5% 水性アンモニア。
溶離液B: アセトニトリル。
【0071】
システムG
カラム: Hamilton PRP−1、150mm×4.1mm。
グラジエント:溶離プロフィール 15分で0−100% B。
溶離液A: 0.1% 水性TFA。
溶離液B: アセトニトリル中の0.1% TFA。
【0072】
実施例15:ヒト血漿クロットへの取込み
フィブリンへの放射能標識化基質の取込みをインビトロでのヒト血漿クロットの導入により以下の方法で研究した。5mlのシリコン化ガラスバイアルに、(a)塩化カルシウム(50mM トリス、150mM 塩化ナトリウム、4mM 塩化カルシウム)を含むトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝化生理食塩水(pH 7.5)800μl、(b)1mlあたり100単位のトロンビンを含む生理的塩類溶液約40μl、(c)典型的には、10kBq/mlの濃度で放射能標識化基質を含むヒト血漿約400μlを加えた。クロットの導入を補助するために、粗いガラスロッドを反応バイアルに加えた。トロンビンおよび塩化カルシウムを省略するが、対照バイアルを同様に調製した。
【0073】
試験溶液を周囲実験室温度(約20℃)で60分間インキュベーションした後、反応を33.5mM エチレンジアミン四酢酸 二ナトリウム塩の冷溶液約400μlの添加で停止させた。(0.1% Tween 20を含む1.5% BSA/トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン緩衝化生理食塩水(pH 7.5)に予め浸漬しておいた)0.45μM ニトロセルロースフィルター上への減圧濾過により、クロットを血清から分離し、Tween 20を含むトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝化生理食塩水(pH 7.5)約2×10mlで洗浄して、最終濃度を0.1% v/vとした。適当な検出装置において計数することにより、全放射能の割合を計算した。
【0074】
フィルター上に保持された放射能の画分は、非特異的な結合の控除を対照から測定した後、濾過したクロットへの取込みの測定となる。
【0075】
【表4】
【表5】
* 血漿クロットアッセイにおいて保持された%(トロンビン有り)−血漿クロットアッセイにおいて保持された%(トロンビン無し)。
【0076】
実施例16:正常なラットの体内分布
クロットイメージの解析は、放射性医薬品の取込み速度とその血中/組織クリアランス速度との組み合わせに依存する。この理由から、幾つかの化合物の体内分布がラットにおいて測定されている。雄のWistar(100−150g)ラットに放射能標識化トレーサー溶液(8MBq/ml)0.1−0.2mlを静脈内注射して、注射した後の様々な時点で解剖した。選択された各々の組織における% IDを測定した。尿および糞便中に排泄された% IDを測定することができるよう、何匹かの動物を代謝ケージに閉じ込めた。薬剤に関して使用した解剖時間は、15、30、60、240分であった。データを% IDの平均(n=3)として示す。
【0077】
99mTc−化合物3
【表6】
【0078】
実施例17:ラットモデルにおいて誘発したクロットへの取込み
ラット下大静脈(IVC)モデル
ラット(雄のWistar、250−350g)を15% ウレタンで麻酔にかけた。開腹した後、大静脈を単離して、周囲の脂肪組織を取り除いた。白金ワイヤー(1.5cm×0.5mm)を下大静脈に挿入して、手術してから5分後、前もってカニューレを挿入しておいた大腿静脈を通して、エラグ酸(1.2×10−4M)0.4mlを静脈内注射して、クロットを形成させた。このモデルにおいて形成されたクロットの平均重量は、約27mg、n=32(5−50mgの範囲)であった。導入後5分(新しいクロット)および60分(古いクロット)で、化合物を注射した。60分後、動物を犠牲として、クロットを取り除き、重量を測って、計算した。他の組織、例えば、血液、肺、心臓もまた解剖して、計算した。クロットへのトレーサーの取込みを相対濃度(用量/g 動物によるクロットのcpm/g)およびクロット対バックグラウンド組織として測定した。
【0079】
結果:
新しいクロット
【表7】
【表8】
【数1】
【0080】
古いクロット
【表9】
【表10】
【0081】
実施例18:ラットモデルにおいて誘発したクロットのイメージング
これらの実験に関しては、白金ワイヤーを頚静脈に配置したことを除き、クロットを雄のWistarラット(250−350g)において実施例17に記載したように誘発した。注射してから60分後に化合物を注射して、注射してから15−180分後の間に二次元イメージを得た。これらの実験に関しては、Park 医用 Isocam I γカメラを使用し、LEUHRまたはLEPH コリメーターを使用して、胸郭の300Kまたは150Kの計数を集めた。注射してから15分後より、クロットを視覚化した。化合物の迅速なクリアランスにより、注射してから180分後の時点で、最も高いクロット対バックグラウンドの比率に達した。
【0082】
略語
Ac アセチル。
Boc tert−ブチルオキシカルボニル。
Cmpd 化合物。
DMF ジメチルホルムアミド。
ES エレクトロスプレー。
FAB 高速原子衝撃。
Fmoc フルオレニルメトキシカルボニル。
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー。
MALDI−TOF 基質補助レーザー脱離イオン化 − 飛行時間。
Nal ナフチルアラニン。
RCP 放射化学的純度。
RP−HPLC 逆相高性能液体クロマトグラフィー。
TFA トリフルオロ酢酸。
TLC 薄層クロマトグラフィー。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラット頚静脈クロットモデルにおいて、注射してから15分後、30分後、60分後、および180分後にLEUHR コリメーターで得られた99mTc−化合物5でのイメージング。
【図2】 ラット頚静脈クロットモデルにおいて、注射してから180分後にLEPH コリメーターで得られた99mTc−化合物5でのイメージング。
Claims (5)
- 式:
[式中、pおよびqは、数値0〜14の整数であって、(p+q)は12から14の範囲にあり;
各々のBは独立してアミノ酸残基であり;
かつ式IIはNQEQVSPYTLLKG、NQEAVSPYTLLKGおよびNQQQVSPYTLLKGから選ばれた1個のα2−抗プラスミンのペプチドフラグメントを含み;
Z1はアセチル、tert−ブチルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチルまたは3−ニトロ−2−ピリジン スルフェニルであり;
Z2はLであり;
Lはヒドラジン、ホスフィン、アルシンもしくはイソニトリルから選ばれた一座配位金属錯化剤またはジアミンジオキシム、ジアミンジチオール、ジアミドジチオール、アミドアミンジチオール、チオールトリアミドもしくはテトラアミンから選ばれた四座配位金属錯化剤である。]
の化合物。 - ペプチドN末端から2位のアミノ酸がグルタミンである、請求項1に記載の化合物。
- 金属が放射性金属である請求項1または請求項2に記載の化合物の金属錯体。
- 放射性金属が99mTcである、請求項3に記載の金属錯体。
- 請求項3または4に記載の金属錯体の調製において有用である、請求項1または請求項2に記載の化合物を含んでなるキット。
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