JP4199419B2 - 溶融鉄用の出銑樋 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、たとえば、溶鉱炉において銑鉄を湯出しするために使用されるような溶融鉄用の出銑樋に関する。
【0002】
溶融鉄用の出銑樋は古くから知られている。それらは耐火性のライニングが設けられた外側支持構造(たとえば、金属樋(metal trough))を主体として構成されている。ライニングは、通常、耐火煉瓦などで形成された耐久性ライニング及び耐火性の注入可能な化合物で形成された摩耗ライニングより成る。耐火煉瓦は金属樋内に直接配置される。その場合、約1500℃の温度の溶融鉄用の受容湯道が形成される。日産数千トンの銑鉄生産量を有する近代的な大型の溶鉱炉では、出銑樋は大きい負荷を受ける。耐火ライニングは相応の頻度で修繕又は改修されなくてはならない。
【0003】
耐火ライニングの寿命は冷却によって改善可能であることがすでに知られている。しかしながら、出銑樋内において冷却液(通常は冷却水)の冷却回路を使用することには問題がないとは言えない。実際、溶融鉄と冷却水とが接触した場合には、たとえば、溶融鉄が耐火ライニングを通過した場合には、激しい水素爆発が起こる可能性がある。このような爆発の危険性を低減又は総合的に防止するために、幾つかの解決策が既に提案されている。
【0004】
たとえば、ヨーロッパ特許出願公開明細書第0060239号(EP-A-0060239)においては、外側の支持構造を二重壁金属樋として設計し、それによって、圧縮空気を冷却剤として導入することが提案された。しかしながら、空気による強制冷却は冷却液による強制冷却に比べて効率がかなり悪い。さらに、この種の圧縮空気冷却はエネルギー集中性が高い。更なる問題点は二重壁シート金属樋の製造コストが相対的に高いことである。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開明細書第0143971号(DE-A-0143971)においては、冷却水回路に接続されたボックス形の冷却部材又は冷却パイプを耐火ライニング内の鋳造湯道の側部に設けることが提案されている。爆発の危険性を低減するために高コストの安全システムが設けられている。熱電対を備えた銅板は摩耗ライニング内の冷却部材の前部に配置されている。熱電対は制御回路に接続されており、予め設定された最大温度又は最大温度上昇率を越えたときには、水の供給が絶たれ、冷却部材が緊急冷却用として圧縮空気システムに接続される。
【0006】
ヨーロッパ特許出願公開明細書第0090761号(EP-A-0090761)においては、耐久性ライニングをグラファイト、セミグラファイト又は炭化珪素煉瓦の高伝導性の層で被覆し、それに冷却パイプを挿通して冷却液を流すことが提案されている。この高伝導性の層は冷却液によって顕著に冷却され、クラックを通ってこの外側冷却層へと浸透した溶融鉄は直ちに固化する。同一の特許出願において、グラファイト、セミグラファイト又は炭化珪素煉瓦は銅、鉄又は鋳鉄の板に置き換えて、冷却パイプを高伝導性の材料内に埋設することも可能であることが示されている。
【0007】
銅は高伝導性であるため、銅に直接一体化された冷却ダクトを備えた銅板は特に興味深い解決策と思われる。しかしながら、強制冷却された銅ライニングは1500℃の温度の溶融鉄用の出銑樋にはこれまで使用されてこなかった。溶融鉄が銅ライニングまで局所浸透した場合には、その溶融物は直ちに固化することが予想されるけれども、溶融鉄が強制冷却された銅ライニングと直接接触すると、クラックが過熱され、冷却剤が溶融鉄内へと放出される原因となるおそれがある。
本発明は銅ライニングを備えた強制冷却された出銑樋であって、冷却剤が溶融鉄内へ放出される危険性が大幅に低減されている出銑樋を開発することを目的としている。
【0008】
請求項1の出銑樋はこの問題の解決策の一つである。
この種の出銑樋は耐火ライニングを有する外側の支持構造を有する。この支持構造には溶融鉄のための湯道が形成されている。冷却システムによって強制冷却される中実の銅ライニングが支持構造内の耐火ライニングを取り囲んでいる。その機能は内側耐火ライニングを冷却してその寿命を延ばすことである。それは、また、外側の支持構造を過熱から保護する。本発明の重要な特徴によれば、この銅ライニングは中実のリブを有する。リブは中実の銅ベースから耐火ライニング内へ所定量突出している。言うまでもないが、これらのリブは耐火ライニングにおける冷却効率を改善し、結果として、その寿命を改善する。しかしながら、これらのリブの主な機能は溶融鉄が耐火ライニング内へ浸透した場合に中実の銅ベースを保護することである。この保護機能は、浸透した溶融鉄がリブによって広範に冷却され、それが中実の銅ベースと接触する前に固化して停止させられるという事実によって主として達成されている。結果として、中実の銅ベースにおける過熱クラックが防止され、溶融鉄内へ冷却液が放出されるリスクが低減される。注目すべき点は、溶融鉄とリブとの接触はリブの局所過熱又は部分溶融の原因となるが、そのことは銅ベースに対する顕著な負の効果とはならないということである。
【0009】
耐火ライニングは少なくともリブの領域において銅ライニング上へ注入されていることが望ましい。結果的に、リブの領域における耐火ライニングと銅ライニングとの間の伝熱性が改善されている。溶融鉄を銅ライニングまで浸透させるキャビティ及びギャップの形成がより効果的に防止される。
銅ライニングは中実の銅プレートで形成されていることが好ましく、連続鋳造されたものが好適である。縦断面における出銑樋は、たとえば、銅で形成されたベースプレート及び二つのサイドプレートから成る。
【0010】
第1の実施の形態においては、冷却システムは銅ライニング内の冷却ダクトを有し、冷却ダクトのそれぞれがリブによって覆われている。冷却ダクトは中実のリブの下方に位置しており、それによって、溶融鉄内へ冷却剤が放出されるリスクがさらに低減されている。
リブ及び冷却ダクトは出銑樋の長手方向に平行に延びていることが好ましい。結果として、冷却ダクト間の外側連結部の数及び長さが低減される。さらに、連続鋳造銅プレートの場合には、この配置によれば、連続鋳造鋳型にインサートを挿入して鋳造方向に形成した通しダクト(through-ducts)として冷却ダクトを設計することが可能となるし、連続鋳造鋳型内に鋸歯条体を設けることによってリブを形成することが可能となる。
【0011】
特別な問題のさらに別の解決策においては、冷却装置は銅ライニング内の冷却ダクトの代わりに外側冷却回路を有し、この冷却回路が銅ライニングを外側から、すなわち、支持構造に面する背部から冷却する。この解決策によっても、溶融鉄内へ冷却剤が放出されるリスクを低減することができる。実際、中実の銅ライニングは極めて効果的なシールドを形成し、これが冷却液と溶融鉄との間の接触を確実に防止している。この場合、中実の銅ライニング内の微小クラックはほとんどリスクにならない。
このタイプの外側冷却回路は、たとえば、銅ライニングの背部に冷却液を噴霧するための装置を有することが可能である。注目される点は、溶融鉄との接触を想定すると、微細噴霧水は、たとえば、冷却ダクトの漏出部分から放出される圧縮噴出水に比べて危険性はずっと小さい。スプレー装置によって銅ライニングの冷却を改善するために、その背部は溝の形成によって好適に拡張されている。
【0012】
しかしながら、このタイプの外側冷却回路は、また、冷却液を流すための外側冷却部材を有することができる。この冷却部材は銅ライニングの背部に熱伝導可能に取り付けられている。第1の実施の形態においては、これらの冷却部材は冷却ダクトが一体化された中実の銅バーとして設計されている。別の実施の形態においては、これらの冷却部材は渦流チャンバとして設計され、これらの渦流チャンバは銅ライニングの背部に垂直に配置されている。
注目される点は、外側から、すなわち、背部から銅ライニングを冷却する冷却回路が使用される場合、当然のことながら、銅ライニングの内側(すなわち、耐火ライニングに面している側)にはリブを形成してもしなくてもよいことである。
本発明の出銑樋のさらに別の利点及び特徴は添付の図面を参照した以下の実施の形態の記載から明らかになるであろう。
【0013】
図1から5は溶鉱炉において銑鉄を湯出しするために使用されるような溶融鉄用の出銑樋を示している。それらは支持樋10を有し、その中に、約1500℃の温度における溶融鉄14のための湯道12が形成されている。湯道は耐火ライニング16,18内に形成されている。耐火ライニングは摩耗ライニング16と耐久性ライニング18とから成り、摩耗ライニング16内に湯道12が形成され、耐火ライニング18は摩耗ライニング16を取り囲んでいる。銅ライニング20,120,320,420は冷却装置によって強制冷却されており、耐久性ライニング18と支持樋10との間に配置されている。この強制冷却された銅ライニング20,120,320,420は支持樋10を過熱から保護し、それが熱変形されるのを防止する。出銑樋がコンクリートの湯道内に配置されている場合には、それはコンクリート及びそのフィッティングを熱的な過負荷からも保護する。それは、また、耐火ライニング16,18を冷却し、その寿命を延ばす。このことは、特に、耐久性耐火ライニング18について言える。鋳造コンクリートの湯道内の出銑樋の場合には、湯道は支持樋10の支持機能を肩代わりすることができるため、銅ライニング20,120,320,420はコンクリート壁と耐久性ライニング18との間に直接配置することができる。必要に応じて、熱的な絶縁を銅ライニング20,120と支持構造10(たとえば、図3において番号21で示されている絶縁プレートを参照)との間に設けることができる。注目すべきは、支持樋10(又は、コンクリートの湯道)によって形成される湯道の断面は銅ライニング20,120,220,320,420の形状を決定することである。この断面の好ましい形状は図に示されている。しかしながら、図示の形状は一例であり、当然のことがなら、本発明の実施の形態においては、他の断面形状とすることが可能である。
【0014】
図1の実施の形態においては、銅ライニング20はほぼ鉛直のサイドプレート22,24とほぼ水平のベースプレート26とから成る。これらの長方形のプレート22,24,26は連結され、これらによって耐火ライニング16,18のためのあるタイプの銅樋20が形成されている。サイドプレート22,24及びベースプレート26との間の継ぎ目は、図1において、番号28,30で示されている。個々のプレート22,24,26の長さは、一般に、出銑樋の長さよりもずっと短いので、当然、何枚ものサイドプレート22,24及びベースプレート26が支持樋10に対してその全長にわたって前方から後方へと配列されなくてはならない。
【0015】
本発明の重要な特徴によれば、銅プレート22,24,26は中実のリブ32を有している。これらのリブはその内側面、すなわち、耐火ライニングに面している面に形成されており、内側の耐火ライニング18内へ所定量突出している。耐久性ライニング18の厚さ「D」に対するリブ32の高さ「H」の比は1:4から3:4の間が好ましい。リブ32銅プレート22,24,26の全長にわたって延びていることが好ましく、溝34によって分離されている。これらは耐火ライニングの冷却の著しい改善に寄与している。特に、耐久性ライニング18の温度は実質的に低下する。リブ32の同様に重要な機能は、溶融鉄14の耐久性ライニング18内への局所浸透が発生した場合において、それが実際の銅ベースに接触してその銅ベースに深い過熱クラックを生じさせる前に、溶融鉄を冷却して固化させることである。注目されるべきは、リブ32と溶融鉄との間の接触はリブ32の局所過熱又は一様な部分溶融を生じるけれども、それは、通常、実際の銅ベースに対する顕著な負の効果とはならないということである。
【0016】
リブ32の有効性を十分なものにするために、それらは特定の最小寸法を有していなければならない。図示の実施の形態においては、リブ32のない部分における銅ライニングの厚さ「S」に対するリブ32の高さ「H」の比は、たとえば、約2:3である。この比は、通常の場合、1:2から1:1の間である。溝34の幅「N」に対するリブの幅「B」の比及びリブの幅「B」に対するリブの高さ「H」の比はいずれも1:3から3:1の間(図示の実施の形態においては、約5:6)である。出銑樋が新品の状態では、耐火ライニング16+18の平均総厚さ「F」に対するリブ32のない部分における銅ライニングの厚さ「S」の比は1:10から2:5の間である。図1においては、この比は、サイドプレートの領域では、1:3であり、ベースプレートの領域では、約3:10である。
【0017】
図1に示されている実施の形態においては、ライニング20の冷却装置は冷却ダクト36を有している。これらの冷却ダクトはサイドプレート22,24内及びベースプレート26内の両方に配置されている。これらの冷却ダクト36はリブ32の下方に位置するようにプレート22,24,26の中実の本体に挿通されていることが好ましい。換言すれば、中実のリブ32は冷却ダクト36を覆ってそれらを保護している。冷却剤供給装置(図示せず)によって冷却ダクト36へ冷却液が供給される。この冷却剤供給装置は低圧冷却水供給装置であることが好ましい。すなわち、冷却水の供給圧力は1バール(1×105 Pa)未満であることが好ましい。銅プレートにクラックがある場合でも、冷却水が低圧で供給されることによって、著しい漏出は発生せず、結果的に、爆発の危険性が低減される。冷却剤供給及び冷却ダクト36は銅ライニングの温度がいかなる点においても100℃を越えないように設計されることが好ましい。
【0018】
図1の出銑樋は以下のようにして製造される。先ず、銅プレート22,24,26が支持樋10内に配置される。これらは必要に応じて固定される。次に、耐久性ライニング18を形成する第1の耐火化合物が銅樋20内へ注入される。この第1の耐火化合物は溝34内へ侵入し、それらの溝内に完全に充填される。ボックス形の第1の型枠によって、リブ32の上方にその後に形成される摩耗ライニング16との間のインターフェースが形成される。第1の耐火化合物が硬化し、さらに、第1の型枠が取り外された後に、摩耗ライニング16が形成される。そのために、第2の耐火化合物が完成した耐久性ライニング18上に注入され、第2の型枠によって湯道12が形成される。
【0019】
図1から5の出銑樋のための銅プレートは全て好適に連続鋳造される。図1の出銑樋のための銅プレート22,24,26の連続鋳造中において、連続鋳造湯道内にインサートを挿入して鋳造方向に通しダクトを形成して、それによって、完成した銅プレート22,24,26内に冷却ダクト36を形成することができる。これらの通しダクトは長円形、たとえば、図2の銅プレート124に示されているように、卵形の断面を有していることが好適である。結果的に、冷却ダクト36’の自由断面積は冷却ダクト36’の領域における銅プレートの材料厚さを薄くすることなく増大させることができる。リブ32も同様に連続鋳造中に形成可能である。この目的のために、連続鋳造鋳型は、連続鋳造湯道内に、溝34を形成するための適当な鋸歯条体を有している。しかしながら、当然ではあるが、冷却ダクト36及び/又は溝34は、鍛造又は圧延された銅インゴットに対して、それぞれ、ドリルによって、及び、切削によって形成することができる。しかしながら、連続鋳造銅プレート22,24,26は一体鋳造された冷却ダクトを有しており、比較的長尺のものを極めて低いコストで製造できる。この場合において、注目される点は、長尺の銅プレートでは出銑樋がオーバーフローしたときに破損して爆発の原因となり得る冷却剤連結部が少なくて済むことである。
【0020】
図2の出銑樋は以下の点において図1の出銑樋と異なる。ベースプレート126にはリブが設けられていない。ベースプレートは溶融鉄の下方への浸透を防止するグラファイトプレート128で覆われている。さらに異なる点は、銅ライニング120は、ベースプレート126とサイドプレート122,124との間のコーナー領域121,122においては、冷却ダクトを有していないことである。それゆえ、これらのコーナー領域121,122は専らベースプレート126及びサイドプレート122,124によって冷却される。実際、溶融鉄の多量の浸透はこれら二つのコーナー領域121,122において常に起こることがわかっている。多量の浸透は耐熱ライニング内で固化され得ないことが十分予想されるので、冷却液と溶融鉄との間の接触のリスクはこの領域に冷却ダクトを設けないことによって著しく低減されている。換言すれば、出銑樋から多量の浸透があった場合に、溶融鉄が冷却剤と接触することなく流れることができる好ましい「道筋(route)」は、この領域にある。
【0021】
図1及び2の実施の形態に関して、ベースプレート26,126も、必要に応じて、冷却ダクトを持たないように設計することができる。この場合、ベースプレート26,126はサイドプレート22,24,122,124による熱伝導によって冷却される。ベース領域において溶融鉄の浸透があった場合に、冷却液と溶融鉄とが接触するリスクはこのようにして著しく低減される。
【0022】
図3から5の出銑樋は図1の出銑樋とは異なる。主な相違点は、それぞれの場合における銅ライニング220,320,420内の冷却装置が冷却液を有する外側冷却回路を有し、その冷却回路が銅ライニング220,320,420の背面(すなわち、支持樋10に面している面)に配置されている点である。換言すれば、溶融鉄が耐久性ライニング18内へ侵入した場合には、銅ライニングが外側の冷却回路に対する中実の保護シールドを形成する。
【0023】
図3において、外側の冷却回路はスプレー装置240を有する。このスプレー装置はスプレーノズル244によって冷却液をパイプ242から銅サイドプレート222,224の背部に噴霧する。銅サイドプレート222,224の面を伝い落ちる冷却液は捕集ダクト246内へと捕集される。銅サイドプレート222,224の背部の溝248は冷却面を増大させ、冷却効率を向上させる。注目される点は、空気/水混合物が好適にスプレーされることである。これは、ほとんどの水が面上で蒸発するようにするためである。
【0024】
図4及び5において、外側の冷却回路は冷却液を流す外側冷却部材を有する。この冷却部材は銅ライニングの背部に熱伝導可能に取り付けられている。
図4においては、これらの冷却部材は中実のバー340として設計されている。これらは銅ライニング320上に鋳造成形されるか、又は、銅ライニングに溶接又はハンダ付けされる。これらの外側冷却バー340はそれぞれ少なくとも一つの内部冷却ダクト342を有している。冷却バー340が銅ライニングの背部に単に溶接又はハンダ付けされている場合、それらは、溶融鉄が耐久性ライニング18内へ多量に浸透した場合には、銅ライニング320から外れることが予想され得る。結果として、それらは破壊を免れる。
【0025】
図5においては、上記の冷却部材は銅ライニング420の背部に垂直に配置された渦流チャンバ440として設計されている。これらの渦流チャンバ440は、それぞれ、外側パイプ連結片442、内側パイプ連結片444、冷却液のための供給パイプ446及び循環パイプ448を含む。外側パイプ連結片442はその一方の開口端において銅ライニング420の背部へ固定、すなわち、溶接されている。非貫通穴441が設けられ、これが外側パイプ連結片442に形成されたチャンバ443を銅プレート内へと延長している。内側パイプ連結片444はこの外側パイプ連結片442の他方の閉止端を通ってチャンバ443内へと導入されている。それによって、銅ライニング420の面の直近に中央ノズル450が形成される。冷却液は供給パイプ446を通じて内側パイプ連結片444内へと流れ、ノズルによって銅ライニング420の面上へ噴霧される。結果として、強い乱流がチャンバ443に発生し、それによって、熱交換が効率化される。チャンバ443内の乱流は、当然、インサートによってさらに増大させることができる。冷却液は循環パイプ448を通じてチャンバ443から流出する。
【0026】
最後に、リブ32のさらに別の利点を図6の図を参照して説明する。この図は横座標Xで示された出銑樋の断面における温度曲線を示している。1500℃の温度の溶融鉄14、摩耗ライニング16、耐久性ライニング18及び銅ライニング20’を備えた樋が示されている。実線で示された温度曲線50は銅ライニングにリブ32が設けられている場合における温度曲線を示している。破線で示された温度曲線52は銅ライニングにリブ32が設けられていない場合における温度曲線であって、温度(50℃)が同一で銅ライニング20’のベースの厚さが同一である場合における温度曲線を示している。250℃のラインは図中一点鎖線でプロットされている。250℃より高い温度では、実際、銅はその機械的強度を大きく低下させることが予想できる。図に示されるように、250℃の等温線と中実の銅ベースの面54との間の距離は、銅ライニングにリブ32が設けられている場合の方がリブ32が設けられていない場合よりもずっと大きい(図中の距離D1及びD2参照)。換言すれば、摩耗層16の厚さが時間の経過とともに減少し、1500℃の等温線が銅ライニングに近づいた場合に、リブ32は中実の銅ベースの過熱の抑制をさらに確実にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における出銑樋の断面図である。
【図2】第2の実施の形態における出銑樋の断面図である。
【図3】第3の実施の形態における出銑樋の断面図であり、一部を斜視図で示した図である。
【図4】第4の実施の形態における出銑樋の断面図であり、一部を斜視図で示すとともに樋の右半分のみを示した図である。
【図5】第5の実施の形態における出銑樋の断面図であり、一部を斜視図で示すとともに樋の右半分のみを示した図である。
【図6】リブを有する出銑樋の断面における温度曲線を示す図である。
【符号の説明】
10 支持構造
12 湯道
14 溶融鉄
16,18耐火ライニング
20,120,220,320,420銅ライニング
22,24サイドプレート
26 ベースプレート
32 リブ
34 溝
36,342冷却ダクト
121,123コーナー領域
240スプレー装置
248溝
340中実のバー
440渦流チャンバ
442外側パイプ連結片
443チャンバ
444内側パイプ連結片
446供給パイプ
448循環パイプ
450ノズル

Claims (21)

  1. 溶融鉄用の出銑樋であって、
    外側の支持構造(10)と、
    支持構造(10)内の耐火ライニング(16,18)及びこの耐火ライニングに形成されている溶融鉄用の湯道(12)と、
    支持構造(10)内の耐火ライニング(18)を取り囲む銅ライニング(20,120,220,320,420)と、
    銅ライニング(20,120,220,320,420)を強制冷却するための冷却装置と、
    を有し、銅ライニング(20,120,220,320,420)には耐火ライニング(18)内へ突出しているリブ(32)が設けられている出銑樋
  2. 耐火ライニングは摩耗ライニング(16)と耐久性ライニング(18)とを有し、リブ(32)は耐久性ライニング(18)の厚さの半分まで延びている請求項1に記載の出銑樋
  3. 耐火ライニング(18)は少なくともリブの領域において銅ライニング上へ設けられている請求項1又は2に記載の出銑樋
  4. 銅ライニング(20,120,220,320,420)は中空ではなく中実の銅プレート(22,24,26)によって形成されている請求項1、2又は3に記載の出銑樋
  5. 銅で形成されたベースプレート(26)と二つのサイドプレート(22,24)が設けられている請求項4に記載の出銑樋
  6. ベースプレート(26)がグラファイトプレート(128)で覆われている請求項5に記載の出銑樋
  7. 銅ライニング(120)がベースプレート(26)とサイドプレート(22,24)との間のコーナー領域(121,126)を有し、銅ライニング(120)はこのコーナー領域まで冷却液で直接強制冷却される請求項5又は6に記載の出銑樋
  8. リブ(32)の間の溝(34)における銅ライニング(20,120,220,320,420)の厚さ(S)に対するリブ(32)の高さ(H)の比が1:2から1:1の間である請求項1から7のいずれか一項に記載の出銑樋
  9. リブ(32)の間の溝(34)の幅(N)に対するリブ(32)の幅(B)の比及びリブ(32)の幅(B)に対するリブ(32)の高さ(H)の比がそれぞれ1:3から3:1の間である請求項1から8のいずれか一項に記載の出銑樋
  10. 冷却装置が銅ライニング(20)内の冷却ダクト(36)を有し、冷却ダクト(36)のそれぞれがリブ(32)によって覆われている請求項1から9のいずれか一項に記載の出銑樋
  11. リブ(32)及び冷却ダクト(36)が出銑樋の長手方向に平行に延びている請求項10に記載の出銑樋
  12. 銅ライニング(20)が連続鋳造した銅プレート(22,24,26)によって形成され、冷却ダクト(36)が連続鋳造中に鋳造方向の通しダクトとして形成されている請求項11に記載の出銑樋
  13. リブ(32)が連続鋳造中に連続鋳造鋳型内で鋸歯状に形成されている請求項11又は12に記載の出銑樋
  14. 冷却装置は冷却液によって冷却される外側冷却回路を有し、この冷却回路が銅ライニング(220,320,420)を支持構造(10)の側から冷却する請求項1から9のいずれか一項に記載の出銑樋
  15. 外側冷却回路が支持構造(10)に面する銅ライニング(220)の側部に対向するスプレー装置(240)を有している請求項14に記載の出銑樋
  16. 支持構造(10)に面する銅ライニング(220)の側部が溝(248)によって拡張されている請求項15に記載の出銑樋
  17. 冷却回路が冷却液を流す外側冷却部材(340,440)を有し、これらの冷却部材が支持構造(10)に面する銅ライニング(320,420)の側部に熱伝導可能に取り付けられている請求項14に記載の出銑樋
  18. 冷却部材が中空ではなく中実の銅バー(340)を有し、これらの中実のバーには冷却ダクト(342)が一体化されている請求項17に記載の出銑樋
  19. 銅バー(340)が支持構造(10)に面する銅ライニング(320)の側部に溶接又はハンダ付けされている請求項18に記載の出銑樋
  20. 冷却部材が冷却液のための渦流チャンバ(440)を有し、これらの渦流チャンバは支持構造(10)に面する銅ライニング(420)の側部に垂直に配置されている請求項14に記載の出銑樋
  21. それぞれの渦流チャンバ(440)が、
    外側パイプ連結片(442)及び閉止内側チャンバ(243)と、
    内側パイプ連結片(444)と、
    冷却液のための供給パイプ(446)と、
    冷却液のための循環パイプ(448)と、
    を有し、外側パイプ連結片はその一方の開口端において銅ライニング(420)の背部へシール状態で固定され、閉止内側チャンバは外側パイプ連結片(442)に形成され、
    内側パイプ連結片はこの内側チャンバ(243)内にシール状態で導入され、この内側パイプ連結片は銅ライニング(420)の面の直近に中央ノズル(450)を形成し、
    供給パイプは内側パイプ連結片(444)内まで延び、
    さらに、循環パイプは外側パイプ連結片(442)内まで延びている請求項20に記載の出銑樋
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