JP4197602B2 - 交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流回転電機の固定子巻線導体温度を測定する装置およびその方法に係り、特に、交流回転電機の固定子巻線の出力端子を短絡して定格または定格近傍の回転速度で通電運転中の固定子巻線導体温度を測定する装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に、従来の交流回転電機に使用される固定子1の一部を拡大して構造を示した説明図を示す。
【0003】
図11に示される固定子1は、固定子鉄心2に設けられるスロット3に固定子巻線4が巻かれ、楔5で固定子巻線4をスロット3内に押えている。固定子巻線4は、固定子鉄心2の外周側に巻かれる固定子巻線(以下、下コイルとする)4jと、内周側に巻かれる固定子巻線(以下、上コイルとする)4kとが巻かれている。
【0004】
また、大容量・高電圧回転電機においては、下コイル4jと上コイル4kの間に温度を温度測定素子である抵抗温度デバイス(以下、RTDとする)6を温度測定要求のある箇所に分散させて挿入する。RTD6が挿入されず、下コイル4jと上コイル4kとの間に隙間が発生している箇所には、隙間を埋めるスペーサ7が挿入される。
【0005】
交流回転電機運転中、すなわち、通電中の固定子巻線4の温度測定について説明する。
【0006】
通電中の固定子巻線4の温度測定は、固定子巻線4における導体部8の温度を測定することが望ましい。従って、交流回転電機が小容量機の場合には、固定子巻線4の抵抗値を測定して、測定した抵抗値から固定子巻線4の温度を算出して、通電運転中の固定子巻線4の温度を求める方法が一般的に使用され、JEC、IEEEおよびIEC規格においても容認されている。以下に、測定した抵抗値から固定子巻線4の温度を算出する換算式を数式1に示す。
【0007】
【数1】
【0008】
固定子巻線4の抵抗値から通電運転中の固定子巻線4の温度を求める方法は、幾つかあるが、例えば、交流回転電機を急速に停止させて停止中の固定子巻線4の抵抗値を無通電状態にして測定した後、測定時刻(無通電状態にしてからの経過時間)および測定した抵抗値から直接通電運転中の温度を推定し評価する方法、または、ある一定間隔で固定子巻線4の抵抗値を連続測定し、測定した固定子巻線4の抵抗値から固定子巻線4の温度を換算して、通電運転中の温度を外挿による推定を行い評価する方法がある。
【0009】
図12に、交流回転電機を急速に無通電状態とした後、停止中に固定子巻線4の抵抗値を測定する測定概略を表した説明図を示す。
【0010】
図12によれば、固定子巻線4の抵抗値測定は、固定子巻線4の両端、すなわち、中性点側および出力(ライン端子)側に4端子抵抗計11の抵抗計電流通電線10と抵抗計電圧通電線11とを接続して、固定子巻線4の抵抗値を測定する。測定した固定子巻線4の抵抗値から固定子巻線4の温度を算出する場合は数式1を用いる。数式1において、基準巻線抵抗値、基準温度および測定抵抗値を予め測定等により調べておけば、測定巻線抵抗温度が算出できる。
【0011】
一方、大容量・高電圧回転電機では、急速に回転子を停止することは事実上不可能であり、通電中において固定子巻線4の抵抗値を直接測定するのは困難であるため、通電中の交流回転電機の固定子巻線4の温度を測定する際には、下コイル4jと上コイル4kとの間にRTD6を事前に挿入しておき、このRTD6を使用して固定子巻線4表面の温度、すなわち、導体部8の温度を絶縁部12を介して測定している。
【0012】
従来の大容量・高電圧回転電機における通電中の固定子巻線4の温度測定の概略を説明する説明図を図13に示し、この図13を参照して、従来の大容量・高電圧回転電機における通電中の固定子巻線4の温度測定方法について説明する。
【0013】
図13によれば、従来の通電中の巻線温度測定方法は、絶縁部12で覆われた下コイル4jと上コイル4kとの間に事前挿入されるRTD6に温度測定装置13を接続して、通電中の固定子巻線4表面の温度の温度を測定する。しかし、大容量・高電圧回転電機では固定子巻線4の絶縁部12が厚く、導体部8と固定子巻線4表面との温度差が大きくなる。
【0014】
従って、回転電機運転中において、固定子巻線4の導体部8の温度を測定する場合、できるだけ精度良く測定するために、固定子巻線4の導体部8の温度を直接測定することは重要であり、特に、製造者としては、回転電機運転中における固定子巻線4の導体部8の温度を直接把握するニーズは非常に高い。
【0015】
そこで、IEC規格60279では、幾つかの負荷運転中および三相短絡通電運転中における導体温度測定方法を規定している。IEC規格60279で規定されている導体温度測定方法の1つに運転中の交流回転電機の固定子巻線4に外部から直流電圧を印加し、固定子巻線4の直流電圧および電流を測定して固定子巻線4の抵抗値を算出して温度評価する電圧・電流法がある。
【0016】
図14にIEC規格60279で提案されている交流回転電機の三相短絡通電中における固定子巻線4の抵抗値を測定する測定方法のうち、電圧・電流法による固定子巻線抵抗測定回路14の回路構成図を示す。
【0017】
図14に示される固定子巻線抵抗測定回路14は、直流電圧を供給する直流電圧源15と、固定子巻線4を三相短絡した三相短絡回路16と、シャント17とが電気的に直列接続される。直流電圧源15は、IEC規格60279で推奨している制限抵抗18を介して直流電源(バッテリー)19を接続した回路構成としている。
【0018】
固定子巻線抵抗測定回路14を構成する三相短絡回路16の両端、すなわち、中性点20側および出力側のライン端子21間にかかる電圧Vを測定する電圧測定回路22が電気的に並列接続される。固定子巻線抵抗測定回路14を構成するシャント17の両端には、三相短絡回路16を流れる電流(三相並列一括)I0を測定する電流測定回路23が電気的に並列接続される。
【0019】
電圧測定回路22は、三相平衡したリアクトル24と第1のフィルタ25とμAオーダの電流を計測するμA計26とを電気的に接続して構成し、第1のフィルタ25を通過する電流をμA計26で測定する。電圧測定回路22を構成するリアクトル24および第1のフィルタ25の抵抗値は事前に測定されており、リアクトル24の抵抗値はra、第1のフィルタ25の抵抗値はrである。
【0020】
電圧測定回路22による三相短絡回路16の両端にかかる電圧Vの測定は、第1のフィルタ25を通過する電流をμA計26で計測することによりなされ、μA計26における電流値の読みをiとすれば、
【数2】
V=(ra/3+r)i
となる。
【0021】
電流測定回路23は、トランス27と第2のフィルタ28とmVオーダの電圧を測定するmV計29とを電気的に接続して構成される。電流測定回路23による三相短絡回路16を流れる電流(三相並列一括)I0の測定は、シャント17両端にかかる電圧値をmV計29で測定し、既知のシャント17の抵抗値からシャント17を流れる電流値を算出することで、三相短絡回路16を流れる電流(三相並列一括)I0を測定する。
【0022】
電圧測定回路19および電流測定回路20から測定された三相短絡回路16の両端にかかる電圧Vおよび三相短絡回路16を流れる電流I0と、三相短絡回路16を流れる電流I0および各相の固定子巻線4を通電する電流I1との関係(I1=I0/3)から固定子巻線4の抵抗値Rは、
【数3】
R=i(3r+ra)/I0
となる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固定子巻線の導体部の温度を直接測定する従来の三相短絡通電中の交流回転電機の固定子巻線導体温度測定装置およびその方法では、固定子巻線導体温度を固定子巻線の抵抗から換算して測定する場合、例えば、タービン発電機や水車発電機のような大容量・高電圧交流回転電機の固定子巻線では、各相の固定子巻線抵抗の大きさが、0.0001Ω〜0.001Ωのオーダと非常に小さいため、固定子巻線抵抗を精度良く測定しないと、温度に対する測定精度が低下する問題がある。
【0024】
具体的に例を挙げて説明すると、例えば、0.0005Ωの固定子巻線の温度について1℃単位の温度変化を評価するためには、通常の銅製巻線の温度係数は1/235(JEC2100等の規格指定値)であるから、0.0005×1/235×1=2.13×10−6Ωオーダで固定子巻線抵抗を測定することが要求される。
【0025】
また、交流回転電機を急速に無通電状態とした後、停止中に固定子巻線の抵抗値を測定し、外挿による推定で三相短絡通電運転中の交流回転電機の固定子巻線導体温度を求める従来の交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法では、交流回転電機の回転子が停止してからでないと測定が行えないため、例えば、タービン発電機や水車発電機のような大容量・高電圧交流回転電機の場合、停止するまでにかなりの時間を要する。
【0026】
従って、無通電状態になってから測定を開始する時間までかなりの時間を要し、外挿により固定子巻線導体温度を推定する際に推定した固定子巻線導体温度が精度の良いものであるとは言い難いという問題点がある。
【0027】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、0.0001Ω〜0.001Ωのオーダの低抵抗値を有する固定子巻線の温度を測定した抵抗値から算出する際に、固定子巻線導体の抵抗値を精度良く測定可能に構成することで、固定子巻線の温度を精度良く求めることが可能な交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明の他の目的は、交流回転電機の回転子の動作状態に関わらず、無通電状態にあれば、固定子巻線導体温度を測定開始でき、三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度を精度良く推定可能な交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法を提供するにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置は、上述した課題を解決するため、請求項1に記載したように、回転電機の固定子巻線を三相短絡する三相短絡手段と、前記三相短絡手段によって得られた三相短絡回路に直流電圧を可変可能に供給する可変直流電圧供給手段と、前記三相短絡回路と、電流計測用抵抗とを電気的に接続することにより構成される測定基本回路と、前記三相短絡回路に印加された直流電圧値および前記三相短絡回路に通電された電流値を取得する測定チャンネルと、この測定チャンネルからのアナログ出力をデジタル変換し記録するデジタル記録手段と、このデジタル記録手段からの出力をデータ処理して入力結果を出力するデータ処理手段とを備える電圧電流測定手段とを具備し、前記測定基本回路を前記三相短絡回路に生じる交流電圧に匹敵する直流電圧を印加できるように構成し、前記電圧電流測定手段を測定時に取得されるアナログ測定信号から交流成分を減衰させるフィルタと、このフィルタから出力されるアナログ測定信号を増幅する増幅器とを備える前記測定チャンネルと、14bit〜16bitの分解能を有する前記デジタル記録手段と、データ処理して処理結果を表示する前記データ処理手段とを電気的に接続して構成し、前記フィルタを商用周波数50Hzおよび60Hzでフィルタ利得が−40〜−80dB、入力耐電圧が100〜600Vで構成し、前記増幅器を増幅率が50〜1000倍でドリフトの発生が少なく、前記増幅率で線形性を有する低ドリフトアンプで構成することで、前記固定子巻線の抵抗値を10 −7 Ωオーダまでの精度で測定可能に構成したことを特徴とする。
【0031】
請求項1記載の交流回転電機の巻線導体温度測定装置において、前記測定基本回路を前記三相短絡回路に生じる交流電圧に匹敵する直流電圧を印加でき、印加可能な直流電圧は5〜200Vである。印加する直流電圧は、測定時に前記三相短絡回路に生じる交流電圧がどのくらいあるのかを見ながら適宜調整して決定する。
【0032】
本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法は、上述した課題を解決するため、請求項2に記載したように、固定子巻線への通電がない無通電状態にて、前記固定子巻線の抵抗値を求め、基準温度における巻線抵抗値に換算する基準抵抗値算出ステップと、スター接続された交流回転電機の固定子巻線を三相短絡し三相短絡回路を形成する三相短絡ステップと、前記交流回転電機が運転され、前記固定子巻線への通電がある状態にて、可変直流電圧供給手段により前記三相短絡回路に印加される直流電圧値および通電される直流電流値を測定することで前記固定子巻線の抵抗値を算出する巻線抵抗値算出ステップと、前記固定子巻線の抵抗値と前記基準抵抗値とを用いて前記交流回転電機の運転中における固定子巻線導体温度を前記電圧電流測定手段で算出する巻線導体温度算出ステップと、
前記回転電機が運転された状態にて測定された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を平均化処理手段で高速サンプリングして、平均化処理した平均化処理ステップを備え、前記巻線導体温度算出ステップは、前記巻線抵抗値算出ステップで巻線抵抗を算出する際に、前記平均化処理ステップで平均化処理された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を用いて前記交流回転電機の固定子巻線導体温度を測定することを特徴とする。
【0034】
さらに、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項3に記載したように、前記平均化処理ステップは、前記回転電機が運転された状態にて測定された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を平均化処理手段で高速サンプリングして、平均化処理して得られる平均値に対して、一定偏差を超える範囲のサンプリングデータを除外する統計的処理を施すステップをさらに有し、前記巻線抵抗値算出ステップで巻線抵抗を算出する際に用いられる前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値は、前記統計的処理を施した後に残ったサンプリングデータを平均化処理して得られた値であることを特徴とする。
【0035】
さらにまた、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項4に記載したように、前記交流回転電機を三相短絡通電運転している間、前記巻線短絡導体を冷却し、前記巻線短絡導体の温度変化を抑制する導体冷却ステップを備え、前記巻線抵抗値算出ステップで算出される前記固定子巻線の抵抗値を測定する際の測定誤差の低減を図ったことを特徴とする。
【0036】
一方、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項5に記載したように、前記交流回転電機を三相短絡通電運転している間、前記巻線短絡導体を冷却し、前記巻線短絡導体の温度変化を抑制する導体冷却ステップと、前記巻線短絡導体の抵抗値を換算式から算出する巻線短絡導体抵抗算出ステップとを備えたことを特徴とする。
【0037】
また、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項6に記載したように、前記可変直流電圧供給手段に、単相交流可変電圧商用周波電源と、対地から絶縁された変圧器と、単相全波整流装置とを電気的に接続して直流電圧の可変供給を可能に構成した可変直流電圧供給回路を使用して行うことを特徴とする。
【0038】
さらに、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項7に記載したように、前記交流回転電機を三相短絡通電運転中における前記交流回転電機の固定子巻線の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定ステップを備え、前記基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値およびデータ処理に必要な数式とともに前記固定子巻線の絶縁部の厚さを入力した後に、前記三相短絡回路の電圧値および電流値を測定することを特徴とする。
【0039】
さらにまた、上述した課題を解決するため、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、請求項8に記載したように、前記交流回転電機を三相短絡通電運転中において、前記三相短絡回路の電圧が50〜600Vと高い場合には、通電を遮断して無通電状態とした後、前記電圧電流測定ステップ、巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップを例えば、1分間等の任意の一定間隔で前記固定子巻線導体温度を算出し、冷媒温度とほぼ等しくなるまで前記電圧電流測定ステップ、巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップをくりかえし行って算出した前記固定子巻線導体温度の推移から前記固定子巻線導体温度の推移を関数近似して通電遮断時の固定子巻線導体温度を推定することを特徴とする。
【0040】
請求項8記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法において、冷媒温度とほぼ等しくなるまでとは、前記固定子巻線導体温度が冷媒温度との差が0〜5℃の範囲で飽和している状態および冷媒温度との差が0〜2℃の範囲にある状態の少なくとも一方の状態にあることをいう。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法について、図面を参照して説明する。
【0042】
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30の一例を示す。
【0043】
図1に示される交流回転電機の巻線導体温度測定装置30は、大地から絶縁され直流電圧を可変して印加できる可変直流電圧源31と、回転電機内の固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33の交流成分を制限する制限抵抗34と、温度変化に対して抵抗値の変化の少ない抵抗素子であるシャント35とを電気的に直列接続して構成される固定子巻線抵抗測定基本回路(以下、測定基本回路とする)36と、固定子巻線32の電圧および電流を測定する電圧電流測定手段38とを具備する。
【0044】
固定子巻線導体温度測定装置30が具備する三相短絡回路33は、三相の固定子巻線32を三相短絡手段としての巻線短絡導体39で中性点40側および出力側、いわゆるライン端子41側を三相短絡して形成される。
【0045】
固定子巻線導体温度測定装置30が具備する電圧電流測定手段38は、2つの測定チャンネル(以下、測定chとする)43と、測定ch43からのアナログ測定信号をアナログ/デジタル変換(以下、A/D変換とする)して、デジタル測定信号をメモリした後に出力するデジタル記録手段としての多チャンネルデジタル記録装置(以下、デジタル記録装置とする)45と、デジタル記録装置45からのデジタル測定信号を処理して測定値や測定値を代入して入力式を演算した演算結果を表示するデータ処理手段としてのデータ処理装置46とを備える。
【0046】
電圧電流測定手段38が備える2つの測定ch43である第1チャンネル(以下、1chとする)および第2チャンネル(以下、2chとする)は、両方とも同じ構成をしている。測定ch43の1つのチャンネル構成は、測定により得られた測定信号の交流成分を減衰させるフィルタ49と、フィルタ49から出力される測定信号を増幅する増幅器50とを備える。
【0047】
図2に固定子巻線導体温度測定装置30に用いられるフィルタ49の回路構成を示す。
【0048】
図2によれば、フィルタ49は、抵抗素子52と、コンデンサ53とで形成されるいわゆるRCフィルタを複数段、例えば6段接続等の多段接続にして構成される。
【0049】
フィルタ49は、三相短絡回路33の電圧に対しても有効に機能させるために通常フィルタで使用される電圧よりも使用可能な電圧を高く設定し、入力される電圧の上限値(以下、入力耐電圧とする)を少なくとも100V、つまり、100Vの電圧では有効に機能し得るように構成される。
【0050】
フィルタ49の入力耐電圧は、できるだけ高い方が好ましい。しかし、入力耐電圧を向上させると、フィルタ49の製作コストが増加するため、必要以上に入力耐電圧を向上させるのは不要な製作コスト増加につながる。そこで、フィルタ49の入力耐電圧は、好ましくは5〜600V、より好ましくは、40〜300V、さらに好ましくは、80〜230Vにする。例えば、図2に示されるフィルタ49は、250Vまでの電圧に対して有効に機能し得る。
【0051】
また、フィルタ49は、フィルタ49のゲイン特性として、商用周波数である50Hzまたは60Hzで少なくとも−50dBのゲインを得る高減衰特性を有し、例えば、図2に示されるフィルタ49は、−60dBのゲインを得るゲイン特性を有する。
【0052】
フィルタ49のゲイン特性は、商用周波数である50Hzまたは60Hzにおいて、測定精度の観点から言えばできるだけフィルタ減衰率が高い方が好ましい。しかし、フィルタ製作の容易性およびコストと必要とされる測定精度とを考慮してフィルタ減衰率を設定すれば、好ましくは−45dB〜−80dBであり、より好ましくは−50dB〜−70dBであり、さらに好ましくは−50dB〜−60dBである。
【0053】
測定ch43が備える増幅器50は、増幅率が少なくとも50倍以上でリニアリティーを示し、かつ、低ドリフト特性を有する低ドリフトアンプである。図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30に用いられる増幅器50の増幅率は、好ましくは50倍〜1000倍であり、より好ましくは、70倍〜500倍であり、さらに好ましくは90倍〜250倍である。
【0054】
電圧電流測定手段38が備えるデジタル記録装置45は、少なくとも14bit(2−14=1/16384)の分解能を有する。図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30に用いられるデジタル記録装置45の分解能は、出来るだけ良い方が測定上は望ましいが、装置のコストと必要とされる分解能を考慮すれば、14〜16bitで十分である。例えば、図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30に用いられるデジタル記録装置45の分解能は、14bitであり、10V入力の場合、10×1/16384=0.61mVの分解能となる。
【0055】
電圧電流測定手段38が備えるデータ処理装置46は、平均化処理を行うアベレージング機能および入力された式に平均化処理を行った平均値を代入して演算処理する演算処理機能を有する。データ処理装置46には、電圧電流測定手段38で測定される直流電圧値および電流値から算出される固定子巻線抵抗値Ra’と事前測定した固定子巻線抵抗値を95℃での抵抗値に換算した基準抵抗値R95および固定子巻線導体温度Tとの関係を表す数式4を
【数4】
固定子巻線導体温度の測定開始前に事前に入力しておく。
【0056】
そして、固定子巻線導体温度測定を行い、測定した直流電圧および電流からデータ処理装置46が演算して得たから数式4を計算し、固定子巻線導体温度Tをデータ処理装置46が換算し、必要に応じてその出力をディスプレイに表示する。
【0057】
図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30を用いた三相短絡通電運転中における固定子巻線導体温度測定方法について説明する。
【0058】
まず、三相短絡通電運転中における固定子巻線導体温度測定を実施する前に事前に各相の固定子巻線32の抵抗値を測定し、測定した抵抗値と抵抗測定時の温度から所定温度の基準抵抗値を算出する基準抵抗値算出ステップを行う。基準抵抗値算出ステップでは、各相の固定子巻線32の抵抗値を測定し、測定した固定子巻線32の抵抗値および抵抗測定時の温度を数式1に代入して、数式4に示される基準抵抗値R95を算出する。そして、算出した基準抵抗値R95をデータ処理装置46に入力する。
【0059】
次に、各相の固定子巻線32を三相短絡導体39で三相短絡して三相短絡回路33を形成する三相短絡回路ステップを行う。そして、三相短絡回路ステップで三相短絡回路33を形成した後、固定子巻線導体温度測定装置30が具備する測定基本回路36および電圧電流測定手段38と三相短絡回路33とを電気的に接続する測定装置接続ステップを行う。
【0060】
測定装置接続ステップは、まず、測定対象である固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33を測定基本回路36を構成する可変直流電圧源31とシャント35との間に電気的に直列接続する。そして、電圧電流測定手段38が備える測定ch43の一方のチャンネルを三相短絡回路33に電気的に並列接続し、測定ch43の他方のチャンネルをシャント35に電気的に並列接続することでなされる。
【0061】
次に、測定者が交流回転電機を三相短絡通電運転状態にして、三相短絡回路33の直流電圧値および電流値を電圧電流測定手段38で測定する電圧電流測定ステップを行う。三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsの測定は、測定ch43の一方、例えば1chが三相短絡回路33の両端に接続されているので、直接、三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vs値を測定することでなされる。一方、三相短絡回路33に流入する電流Isの測定は、シャント35を流れる電流値と三相短絡回路33に流入する電流値とが等しいことを利用して測定される。
【0062】
三相短絡回路33に流入する電流Isの測定についてもう少し具体的に説明すると、三相短絡回路33に流入する電流Isの測定は、まず、測定ch43の他方、例えば、2chがシャント35の両端に接続されて、シャント35の両端にかかる電圧値が測定される。次に、測定されたシャント35の両端にかかる電圧値から既知のシャント35の抵抗値を利用してシャント35を流れる電流値を算出する。シャント35を流れる電流値と三相短絡回路33に流入する電流値とは等しいので、シャント35を流れる電流値がわかれば三相短絡回路33に流入する電流値を求めることができる。
【0063】
次に、電圧電流測定ステップで測定された直流電圧値および電流値からデータ処理装置46が固定子巻線32の抵抗値を算出する巻線抵抗値算出ステップを行う。巻線抵抗値算出ステップは、まず、データ処理装置46で測定された直流電圧値および電流値から三相短絡回路33の抵抗値Raを算出する。そして、算出した三相短絡回路33の抵抗値Raから固定子巻線抵抗値Ra’を算出する。
【0064】
三相短絡回路33の抵抗値Raは、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを含むため、事前に測定した巻線短絡導体39Aの抵抗値Rex分を補正する必要がある。固定子巻線抵抗値Ra’と、三相短絡回路33の抵抗値Raと、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexとの関係は、以下の数式5で表される。
【0065】
【数5】
Ra’=3(Ra−Rex)
【0066】
次に、データ処理装置46が巻線抵抗値算出ステップで算出された固定子巻線抵抗値Ra’と、事前入力される基準抵抗値R95および数式4とから固定子巻線導体温度Tを演算する巻線導体温度算出ステップを行い、演算結果、すなわち、固定子巻線導体温度Tをディスプレイに表示する。
【0067】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30が、三相短絡通電運転中に三相短絡回路33に生じる交流電圧に対して同等以上の直流電圧を供給可能な可変直流電圧供給手段と三相短絡回路33に生じる交流電圧を制限する制限抵抗34とシャント35とを備えた測定基本回路36と、測定信号に重畳した交流成分を直流成分に対して大幅に減衰させる測定ch43と分解能の高いデジタル記録装置45と測定信号を処理するデータ処理装置46とを備えた電圧電流測定手段38とを具備することにより、固定子巻線32の抵抗値を最小10−7Ωオーダまで精度良く抵抗値を測定することが可能となるので、固定子巻線32の温度変化を1℃程度の精度で測定することが可能となる。
【0068】
尚、電圧電流測定手段38が備える2つの測定ch43の1chと2chとは、同じ構成のため、逆に接続しても測定上支障はない。また、測定ch43のチャンネル数は必ずしも2である必要はなく、少なくとも2以上のチャンネル数を有していれば良い。
【0069】
また、フィルタ49は、RCフィルタの多段接続となっているが、有効に機能する入力耐電圧範囲(100V〜600V)およびフィルタ利得特性が同程度(−50dB〜−60dB)であれば、例えば、デジタルフィルタ等の他のフィルタで実現しても良い。
【0070】
[第2の実施形態]
図3に本発明の第2の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Aの一例を示す。
【0071】
固定子巻線導体温度測定装置30Aは、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30に対して、電圧電流測定手段38に代わり、第1の平均化処理装置55を付加した電圧電流測定手段38Aを具備したものであり、その他の箇所は異ならない。従って、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
図3に示される固定子巻線導体温度測定装置30Aは、図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30と同様に、測定基本回路36と、電圧電流測定手段38Aとを具備する。測定基本回路36には、三相短絡回路33の両端に電圧電流測定手段38Aが電気的に接続され、測定ch43の一方のチャンネルで三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが、他方のチャンネルで三相短絡回路33に流入する電流Isが測定される。
【0073】
固定子巻線導体温度測定装置30が具備する電圧電流測定手段38Aは、図1に示される電圧電流測定手段38に高速サンプリングを行い、サンプリングしたデータを平均化処理して平均値を算出する平均化処理手段としての第1の平均化処理装置55を付加したものであり、第1の平均化処理装置55は、デジタル記録装置45とデータ処理装置46との間に設けられ電気的に接続される。
【0074】
電圧電流測定手段38Aが備える第1の平均化処理装置55は、0.1秒間で1000点程度、すなわち、約100μ秒のサンプリング周期で高速サンプリングを行うことが可能であり、図3に示される第1の平均化処理装置55では、0.1秒間に1000点のサンプリングを行い平均化処理することで、安定した精度の良いデータを得ることを可能にしている。
【0075】
図3に示される固定子巻線導体温度測定装置30Aを用いた三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度測定方法は、第1の実施形態に係る三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度測定方法に対して、第1の平均化処理ステップを備える点のみが異なっている。従って、第1の実施形態に係る三相短絡通電運転中における固定子巻線導体温度測定方法と同一内容の箇所については説明を簡略または省略する。
【0076】
図3に示される固定子巻線導体温度測定装置30Aを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、まず、測定者は、基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値R95を求め、求めた基準抵抗値R95の値および数式4をデータ処理装置46に入力する。そして、三相短絡回路33を形成する三相回路短絡ステップと、測定基本回路36および電圧電流測定手段38Aを三相短絡回路33に電気的に接続する測定装置接続ステップとを行う。
【0077】
次に、測定者が交流回転電機を三相短絡通電運転状態にして、電圧電流測定ステップを行う。そして、データ処理装置46は、電圧電流測定ステップで測定された直流電圧値および電流値を0.1秒間に1000点サンプリングする高速サンプリングを行い、高速サンプリングした直流電圧値および電流値を平均して平均値を算出する平均化処理ステップを行う。
【0078】
次に、データ処理装置46は、平均化処理ステップで平均化処理された直流電圧値および電流値、すなわち、直流電圧平均値および電流平均値から固定子巻線抵抗値Ra’を算出する巻線抵抗値算出ステップを行い、巻線導体温度算出ステップを行う。
【0079】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Aが具備する電圧電流測定手段38Aは第1の平均化処理装置55を備え、高速サンプリングを行い、サンプリングしたデータの平均値を算出し出力するので、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と比較して、安定した精度の良いデータを収集することが可能となる。
【0080】
従って、本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法の方が、第1の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法よりも固定子巻線導体温度を測定する測定精度が向上する。
【0081】
尚、電圧電流測定手段38Aが備える第1の平均化処理装置55のサンプリング能力は、必ずしも0.1秒間で1000点でなくても良く、500点〜2000点の範囲でサンプリングを行うことが可能であれば良い。
【0082】
[第3の実施形態]
図4に本発明の第3の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Bの一例を示す。
【0083】
固定子巻線導体温度測定装置30Bは、第2の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Aに対して、電圧電流測定手段38Aに代わり、電圧電流測定手段38Bを具備したものであり、その他の箇所は異ならない。従って、第2の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Aと異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0084】
図4に示される固定子巻線導体温度測定装置30Bは、測定基本回路36および電圧電流測定手段38Bを具備する。測定基本回路36には、電圧電流測定手段38Bが電気的に接続され、測定ch43の一方のチャンネルで三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが、他方のチャンネルで三相短絡回路33に流入する電流Isが測定される。
【0085】
固定子巻線導体温度測定装置30が具備する電圧電流測定手段38Bは、図2に示される電圧電流測定手段38Aが備える第1の平均化処理装置55に代わり、高速サンプリングを行いサンプリングしたデータの平均値を算出後、統計処理を施す平均化処理手段としての第2の平均化処理装置57を付加したものであり、第2の平均化処理装置57は、デジタル記録装置45とデータ処理装置46との間に設けられ電気的に接続される。
【0086】
電圧電流測定手段38Bが備える第2の平均化処理装置57は、0.1秒間に1000点のサンプリングを行い平均化処理した後、平均化処理して得られた平均値に対して、例えば、平均値から±3σ(σ:標準偏差)の範囲内のデータを残し、その他のデータ、すなわち、平均値から±3σの範囲外のデータを除外する等の統計的な処理を実行し、残りのデータのみを平均化処理してより安定した、精度の良いデータを得ることができる。
【0087】
図4に示される固定子巻線導体温度測定装置30Bを用いた三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度測定方法は、第2の実施形態に係る三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度測定方法に対して、平均化処理ステップの処理内容のみが異なっている。従って、第2の実施形態に係る三相短絡通電運転中の固定子巻線導体温度測定方法と同一内容の箇所については説明を簡略または省略する。
【0088】
図4に示される固定子巻線導体温度測定装置30Bを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、まず、測定者は、基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値R95を求め、求めた基準抵抗値R95の値および数式4をデータ処理装置46に入力する。そして、三相短絡回路33を形成する三相回路短絡ステップと、測定基本回路36および電圧電流測定手段38Bを三相短絡回路33に電気的に接続する測定装置接続ステップとを行う。
【0089】
次に、測定者が交流回転電機を三相短絡通電運転状態にして、電圧電流測定ステップを行う。そして、データ処理装置46は、電圧電流測定ステップで測定された直流電圧値および電流値を0.1秒間に1000点サンプリングする高速サンプリングを行い、高速サンプリングした直流電圧値および電流値を平均して平均値を算出し、さらに、算出した平均値に対して、例えば、平均値±3σの範囲外のデータを除外する統計的な処理を実行する平均化処理ステップを行う。
【0090】
次に、データ処理装置46は、平均化処理ステップで平均化処理された直流電圧値および電流値、すなわち、直流電圧平均値および電流平均値から固定子巻線抵抗値Ra’を算出する巻線抵抗値算出ステップを行い、巻線導体温度算出ステップを行う。
【0091】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Bが具備する電圧電流測定手段38Bは第2の平均化処理装置57を備え、高速サンプリングしたデータの平均値を算出した後、算出した平均値を例えば、平均値から±3σの範囲外にある平均値を除外する等の統計的な処理を施して出力するので、第2の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Aと比較して、さらに安定した精度の良いデータを収集することが可能となる。
【0092】
従って、本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法の方が、第2の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法よりも固定子巻線導体温度を測定する測定精度が向上する。
【0093】
尚、電圧電流測定手段38Bが備える第2の平均化処理装置57のサンプリング能力は、必ずしも0.1秒間で1000点でなくても良く、500点〜2000点の範囲でサンプリングを行うことが可能であれば良い。
【0094】
[第4の実施形態]
図5に本発明の第4の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Cの一例を示す。
【0095】
固定子巻線導体温度測定装置30Cは、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30に対して、三相短絡回路33が備える三相の固定子巻線32を三相短絡する巻線短絡導体39Aを冷却する冷却手段59を具備したものであり、その他の箇所は異ならない。従って、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
図5に示される固定子巻線導体温度測定装置30Cは、図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30と同様に、測定基本回路36および電圧電流測定手段38と、三相短絡回路33が備える巻線短絡導体39Aを冷却する冷却手段59とを具備する。冷却手段59は、三相短絡回路33が備える巻線短絡導体39Aに冷却水を通水する冷却水通水路60と冷却水を循環させる循環ポンプ61とを備える。
【0097】
固定子巻線導体温度測定装置30Cが具備する測定基本回路36には、電圧電流測定手段38Bが電気的に接続され、測定ch43の一方のチャンネルで三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが、他方のチャンネルで三相短絡回路33に流入する電流Isが測定される。冷却手段59は、巻線短絡導体39Aに冷却水を循環ポンプ61で循環させて通水することで、巻線短絡導体39Aを冷却し、巻線短絡導体39Aの温度上昇を抑えて巻線短絡導体39Aの温度をほぼ一定に保っている。
【0098】
図5に示される固定子巻線導体温度測定装置30Cを用いた三相短絡通電運転中における交流回転電機の固定子巻線導体温度測定について説明する。
【0099】
図5に示される固定子巻線導体温度測定装置30Cを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30を用いた固定子巻線導体温度測定方法に対して、巻線短絡導体39Aを冷却する巻線短絡導体冷却ステップを備える点のみが異なっている。従って、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30を用いた固定子巻線導体温度測定方法と同一内容の箇所については説明を簡略または省略する。
【0100】
まず、測定者は、基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値R95を求め、求めた基準抵抗値R95の値および数式4をデータ処理装置46に入力する。そして、三相短絡回路33を形成する三相回路短絡ステップと、測定基本回路36および電圧電流測定手段38Aを三相短絡回路33に電気的に接続する測定装置接続ステップとを行う。測定装置接続ステップが完了したら、次に、巻線短絡導体冷却ステップを行う。
【0101】
巻線短絡導体冷却ステップは、冷却手段59が備える循環ポンプ61の運転を開始して固定子巻線32を三相短絡する巻線短絡導体39Aに冷却水を循環させて冷却して、三相短絡通電運転中の巻線短絡導体39Aの温度変動を抑えることで、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexの温度変動を抑制するために行う。
【0102】
巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexは、交流回転電機を固定子巻線32を三相短絡して定格電流値近傍(定格電流値を含む)の電流(以下、約定格電流とする)を連続して通電することにより生じる巻線短絡導体39Aの温度上昇に伴って高くなる。従って、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを一定とみなして、三相短絡回路33から固定子巻線抵抗値Ra’を数式5で算出して評価すると誤差を生じることになる。
【0103】
そこで、巻線短絡導体冷却ステップで巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexの温度変動を抑制することで、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを三相短絡通電運中を通じて一定とみなすことができ、固定子巻線抵抗値Ra’を数式5で算出して評価する際に生じ得る測定誤差を低減させている。以降の測定ステップは、第1の実施形態と同様に、電圧電流測定ステップ、巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップを行う。
【0104】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Cが冷却手段59を具備することで、三相短絡し連続して定格電流を通電することにより、固定子巻線32で発生した熱の伝導による巻線短絡導体39Aの温度変動を抑え、固定子巻線32の抵抗値測定の際に生じる測定誤差を低減することができる。従って、本実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Cは、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と比べて固定子巻線32の抵抗値測定の際に生じる測定誤差をより低減して精度の良い抵抗値測定を可能とし、より精度の高い固定子巻線導体の温度測定を可能とする。
【0105】
[第5の実施形態]
図6に本発明の第5の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Dの一例を示す。
【0106】
固定子巻線導体温度測定装置30Dは、第4の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Cに対して、巻線短絡導体温度測定手段63をさらに具備したものであり、その他の箇所は異ならない。従って、第4の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Cと異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0107】
図6に示される固定子巻線導体温度測定装置30Dは、図5に示される固定子巻線導体温度測定装置30Cと同様に、測定基本回路36、電圧電流測定手段38および冷却手段59と、巻線短絡導体39Aの温度を測定する巻線短絡導体温度測定手段63とを具備する。
【0108】
巻線短絡導体温度測定手段63は、巻線短絡導体39Aの温度を測定する温度測定器64と、温度測定器64から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換器65とを備える。巻線短絡導体温度測定手段63は、入力側が三相短絡回路33と電気的に接続され、出力側がデータ処理装置46と電気的に接続される。
【0109】
図6に示される固定子巻線導体温度測定装置30Dを用いた三相短絡通電運転中における交流回転電機の固定子巻線導体温度測定について説明する。
【0110】
図6に示される固定子巻線導体温度測定装置30Dを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、第4の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Cを用いた固定子巻線導体温度測定方法に対して、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを換算式から算出する巻線短絡導体抵抗算出ステップを備える点のみが異なっている。従って、第4の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Dを用いた固定子巻線導体温度測定方法と同一内容の箇所については説明を簡略または省略する。
【0111】
まず、測定者は、基準抵抗値算出ステップを行う。基準抵抗値算出ステップでは、運転中と同じ接続状態、すなわち、三相短絡してから十分に長時間放置して温度が安定した状態になったら、運転前に基準巻線抵抗値Ra’b、基準温度Tab、および巻線短絡導体39Aの基準抵抗値(以下、基準外部抵抗とする)Rexb36、基準温度Texbを測定し、測定したこれらの値および換算に必要な数式をデータ処理装置46へ事前に入力しておく。
【0112】
次に、三相短絡回路33を形成する三相回路短絡ステップと、測定対象である固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33、測定基本回路36および電圧電流測定手段38を電気的に接続する測定装置接続ステップとを行う。そして、測定装置接続ステップが完了したら、巻線短絡導体冷却ステップで巻線短絡導体39Aの冷却を行う。
【0113】
次に、測定者は、電圧電流測定ステップを行う。電圧電流測定ステップでは、三相短絡回路33の電圧および電流を測定するとともに、固定子巻線導体温度測定装置30Dが具備する巻線短絡導体温度測定手段63で巻線短絡導体39Aの温度を測定する。
【0114】
次に、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを数式1に示される換算式から算出する巻線短絡導体抵抗算出ステップを行う。三相巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexの算出は、測定された巻線短絡導体39Aの温度Tから数式6で巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを換算して求める。
【0115】
【数6】
【0116】
巻線短絡導体抵抗算出ステップが完了したら、第4の実施形態と同様に巻線抵抗値算出ステップを行う。巻線抵抗値算出ステップにおける交流回転電機の固定子巻線抵抗値Ra’は、巻線短絡導体抵抗算出ステップで算出された巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを数式5に代入して演算することにより求める。次に、巻線導体温度算出ステップを行い、データ処理装置46が固定子巻線導体温度Tをデータ処理装置46のディスプレイに表示する。
【0117】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Dが巻線短絡導体温度測定手段63を具備することで、交流回転電機の三相短絡通電運転中における巻線短絡導体39Aの温度を測定可能にし、測定した温度Tにおける巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを考慮した精度のよい測定をすることが可能となる。従って、本実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Dは、第4の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Cと比べて固定子巻線32の抵抗値測定の際に生じる測定誤差をより低減して精度の良い抵抗値測定を可能とし、より精度の高い固定子巻線導体の温度測定を可能とする。
【0118】
[第6の実施形態]
図7に本発明の第6の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Eの一例を示す。
【0119】
固定子巻線導体温度測定装置30Eは、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30に対して、測定基本回路36に代わり、測定基本回路36Aを具備したものであり、その他の箇所は異ならない。従って、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0120】
図7に示される固定子巻線導体温度測定装置30Eは、測定基本回路36Aと、電圧電流測定手段38とを具備する。測定基本回路36Aは、測定基本回路36に対して、可変直流電圧供給手段としての可変直流電圧源31と可変直流電圧供給回路68とを置換した回路構成である。
【0121】
図8に可変直流電圧供給回路68の回路構成を表す回路構成図を示す。
【0122】
図8に示される可変直流電圧供給回路68は、可変直流電圧供給手段の一形態であり、単相交流可変電圧商用周波電源(被試験交流回転電機と同一周波数:50Hzまたは60Hz)69、対地絶縁変圧器70、およびダイオード71で構成される単相全波整流装置72を電気的に接続して構成する。可変直流電圧供給回路68は、測定基本回路36Aにおいて可変直流電圧源31と同様に機能し、100A程度までの大電流を通電することが可能である。
【0123】
図7に示される固定子巻線導体温度測定装置30Eを用いた三相短絡通電運転中における交流回転電機の固定子巻線導体温度測定について説明する。
【0124】
図7に示される固定子巻線導体温度測定装置30Eを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30を用いた固定子巻線導体温度測定方法に対して、直流電圧を供給する可変直流電圧供給手段が異なるのみで、測定ステップは基本的に同一である。
【0125】
すなわち、第1の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法と同様にして、測定者は、基準抵抗値算出ステップ、三相回路短絡ステップ、測定装置接続ステップ、電圧電流測定ステップ、巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップを行い、固定子巻線導体温度Tをデータ処理装置46のディスプレイに表示する。
【0126】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Eは、直流可変電圧供給手段としての可変直流電圧供給回路68を備えた測定基本回路36Aを具備することにより、直流電源供給の際に交流回転電機を三相短絡して約定格電流を通電して運転することにより発生する3倍高調波に起因したビート振動等の影響を受けることなく、安定した直流電圧を交流回転電機の三相短絡回路33に供給することが可能となる。
【0127】
従って、固定子巻線導体温度測定装置30Eは第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と比較して、より精度の良い固定子巻線導体の抵抗値測定を可能とし、より精度の高い固定子巻線導体の温度測定を可能とする。
【0128】
尚、図8に示される可変直流電圧供給回路68を構成する単相全波整流装置72は、整流素子にダイオード71を使用した状態で示されているが、必ずしも単相全波整流装置72で使用される整流素子をダイオード71に限定するものではない。例えば、単相全波整流装置72で使用される整流素子をダイオード71に代わりサイリスタを用いて単相全波整流装置72を構成しても良い。
【0129】
[第7の実施形態]
図9に本発明の第7の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置30Fの一例を示す。
【0130】
固定子巻線導体温度測定装置30Fは、RTD74を挿入した交流回転電機の固定子巻線32の温度を導体部と外表面とで測定するもので、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30に対して、固定子巻線外表面温度測定手段75をさらに具備することで、固定子巻線32の導体部および絶縁部76のそれぞれの温度測定を可能にしている。
【0131】
固定子巻線導体温度測定装置30Fは、固定子巻線32の導体部および絶縁部76のそれぞれの温度測定を可能とすることで、絶縁部76の径方向長さに対する温度特性(以下、温度勾配とする)を得ることができ、固定子巻線32の絶縁部76の温度特性を評価できる。固定子巻線32の絶縁部76の温度特性を評価することは、材料開発の観点等から重要であり、有意義なものである。
【0132】
固定子巻線導体温度測定装置30Fは、固定子巻線導体温度測定装置30に対して、固定子巻線外表面温度測定手段75をさらに具備する点以外は固定子巻線導体温度測定装置30と異ならないので、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30と異ならない箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
【0133】
固定子巻線導体温度測定装置30Fは、図1に示される固定子巻線導体温度測定装置30と同様に、測定基本回路36および電圧電流測定手段38と、固定子巻線32間に挿入されたRTD74から温度測定信号を取得して固定子巻線32の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定手段75とを具備する。固定子巻線外表面温度測定手段75は、図6に示される固定子巻線導体温度測定装置30Dが具備する巻線短絡導体温度測定手段63と基本的に同じ構成であり、温度測定対象が異なるだけである。
【0134】
すなわち、固定子巻線外表面温度測定手段75は、RTD74で固定子巻線32の外表面温度を測定する温度測定器64と、温度測定器64から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換器65とを備える。また、固定子巻線外表面温度測定手段75の入力側は、RTD74に電気的に接続され、出力側はデータ処理装置46に電気的に接続される。
【0135】
図9に示される固定子巻線導体温度測定装置30Fを用いた三相短絡通電運転中における交流回転電機の固定子巻線導体温度測定について説明する。
【0136】
図9に示される固定子巻線導体温度測定装置30Fを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、第1の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30を用いた固定子巻線導体温度測定方法に対して、固定子巻線32の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定ステップをさらに行う点が異なる。従って、第7の実施形態に係る固定子巻線導体温度測定装置30Fを用いた固定子巻線導体温度測定方法と同一内容の箇所については説明を簡略または省略する。
【0137】
固定子巻線導体温度測定装置30Fを用いた固定子巻線導体温度測定方法は、まず、基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値を算出し、データ処理に必要な数式とともに本実施形態では固定子巻線32の絶縁部77の厚さをデータ処理装置46に入力する。次に、測定者は、三相回路短絡ステップ、測定装置接続ステップおよび電圧電流測定ステップを行い、電圧電流測定ステップで三相短絡回路33の直流電圧値および電流値を測定する時と同時に固定子巻線外表面温度測定ステップを行う。
【0138】
固定子巻線外表面温度測定ステップは、固定子巻線外表面温度測定手段75でRTD74で取得される温度情報をA/D変換してデータ処理装置46でデータ処理することで固定子巻線32の外表面温度を測定する。電圧電流測定ステップおよび固定子巻線外表面温度測定ステップ以降の測定ステップは、第1の実施形態に係ると同様に巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップを行う。
【0139】
本実施形態によれば、固定子巻線導体温度測定装置30Fが固定子巻線外表面温度測定手段75をさらに具備することで、測定された固定子巻線32の導体部および外表面のそれぞれの温度から、固定子巻線32の絶縁部76の温度勾配を得ることができ、絶縁部76の温度特性を評価することができる。
【0140】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法を説明する。
【0141】
本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法は、測定対象の固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが三相短絡通電運転中において50V以上と高い電圧が発生している場合に行うものである。
【0142】
三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが三相短絡通電運転中において50V以上と高い電圧が発生している場合は、電圧・電流法では、測定する直流電圧および直流電流に対して大きな交流成分が重畳する。従って、要求に合う温度精度を得るために必要とされる固定子巻線32の抵抗値測定精度を維持することが困難となる。そこで、本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、固定子の固定子巻線32間に挿入されたRTD74を用いて外挿により三相短絡通電運転中の交流回転電機の固定子巻線導体温度を推定するものである。
【0143】
本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置は、RTD74で固定子巻線32の外表面温度を測定可能な固定子巻線導体温度測定装置が用いられ、例えば、図9に示される固定子巻線導体温度測定装置30Fが用いられる。
【0144】
図10に本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法を説明する説明図(グラフ)を示す。
【0145】
図10に示される説明図では、グラフの横軸に固定子巻線電流が0となった時刻からの経過時間t(min)をとり、縦軸に温度(℃)または電流(A)をとって、固定子巻線電流が0となった時刻からの経過時間tに対する温度(℃)推移を表している。
【0146】
本実施形態に係る三相短絡通電運転中の交流回転電機の固定子巻線導体温度測定は、まず、交流回転電機の固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33に約定格電流を連続通電する。そして、RTD74で取得された固定子巻線32の外表面温度TR、固定子巻線電流Iaおよび冷媒温度Tcを連続測定する。
【0147】
次に、固定子巻線32の温度が完全に飽和したことをRTD74から取得される固定子巻線32の外表面温度TRの指示値で確認する。そして、固定子巻線32の温度が完全に飽和したら、交流回転電機を無通電状態にする。交流回転電機を無通電状態にすると、固定子巻線電流Iaは減少を開始し、やがて、Ia=0となる。
【0148】
Ia=0となったら、例えば、無通電状態とした時点(t=0)から1分後に、固定子巻線導体温度測定装置30Fが具備する電圧電流測定手段38で固定子巻線抵抗Ra’を測定し、測定した固定子巻線抵抗Ra’から固定子巻線導体温度Tを求める。そして、例えば、1分毎等のある一定間隔毎に測定を行い、固定子巻線導体温度Tと冷媒温度Tcとがほぼ等しくなるまで測定を続ける。
【0149】
測定によって得られた固定子巻線導体温度Tを例えば、指数関数等で近似することによって、固定子巻線導体温度Tは、経過時間tの関数で表され、近似により得られた固定子巻線導体温度Tの関数式にt=0を代入すれば、固定子巻線電流Iaが減少開始した時点(t=0)、すなわち、定格電流通電時の固定子巻線導体温度Tを推定することができる。
【0150】
本実施形態では、測定対象の固定子巻線32を三相短絡した三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが三相短絡通電運転中において50V以上と高い電圧が発生している場合においても、無通電状態にして、素早く温度測定を行うことができるので、外挿により三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定することができる。
【0151】
また、外挿により三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定する際に、固定子巻線導体温度測定装置30Fが測定基本回路36と電圧電流測定手段38とを具備することで交流成分を大幅除去が可能となることから、固定子巻線電流IaがIa=0となれば、回転子が停止する前から固定子巻線導体温度Tの温度測定を開始することができるので、より正確に三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定することができる。
【0152】
尚、本実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置は、図9に示される固定子巻線導体温度測定装置30Fに限らず、RTD74から固定子巻線の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定手段を外付けにより付加すれば、他の実施形態で用いた固定子巻線導体温度測定装置30〜30Eを適用しても良い。
【0153】
また、RTD74から固定子巻線の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定手段を外付けしなくても、三相短絡通電運転開始から固定子巻線導体温度が安定するまで十分な時間が経過した後に行う場合には、他の実施形態で用いた固定子巻線導体温度測定装置30〜30Eを適用しても良い。
【0154】
以上に説明したように、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法によれば、固定子巻線導体温度測定装置30が、三相短絡通電運転中に三相短絡回路33に生じる交流電圧に対して同等以上の直流電圧を供給可能な可変直流電圧供給手段としての可変直流電圧源31と三相短絡回路33に生じる交流電圧を制限する制限抵抗34とシャント35とを備えた測定基本回路36と、測定信号に重畳した交流成分を直流成分に対して大幅に減衰させる測定ch43と分解能の高いデジタル記録装置45と測定信号を処理するデータ処理装置46とを備えた電圧電流測定手段38とを具備することにより、固定子巻線32の抵抗値を最小で10−7Ωオーダで抵抗値を精度良く測定することが可能となる。従って、固定子巻線32の温度変化を1℃程度の精度で精度良く測定することが可能な交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法を提供することができる。
【0155】
また、高速サンプリングを行い、サンプリングしたデータの平均値を算出し出力する第1の平均化処理装置55を備えた電圧電流測定手段38Aを具備する固定子巻線導体温度測定装置30Aまたは高速サンプリングしたデータの平均値を算出した後、算出した平均値を統計的な処理を施して出力する第2の平均化処理装置57を備えた電圧電流測定手段38Bを巻線導体温度測定に使用することで、より安定した精度の良いデータを収集することができる。
【0156】
さらに、測定対象の固定子巻線32を三相短絡し連続して約定格電流を通電することにより、固定子巻線32で発生した熱の伝導による巻線短絡導体39Aの温度変動を抑える冷却手段59を具備する固定子巻線導体温度測定装置30Cを交流回転電機の巻線導体温度測定に使用することで、巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexの測定誤差を抑えて固定子巻線32の抵抗値測定の際に生じる測定誤差を低減することができる。
【0157】
さらにまた、冷却手段59および巻線短絡導体温度測定手段63を具備する固定子巻線導体温度測定装置30Dを交流回転電機の巻線導体温度測定に使用することで、交流回転電機の三相短絡通電運転中における巻線短絡導体39Aの温度を測定可能にし、測定した温度Tにおける巻線短絡導体39Aの抵抗値Rexを考慮した精度のよい測定をすることができる。
【0158】
一方、直流可変電圧供給手段としての可変直流電圧供給回路68を備えた測定基本回路36Aを具備する固定子巻線導体温度測定装置30Eを交流回転電機の巻線導体温度測定に使用することにより、直流電源供給の際に交流回転電機を三相短絡して約定格電流を通電して運転することにより発生する3倍高調波に起因したビート振動等の影響を受けることなく、安定した直流電圧を交流回転電機の三相短絡回路33に供給することができ、より精度の良い固定子巻線導体の抵抗値測定を可能とし、より精度の高い固定子巻線導体の温度測定が可能となる。
【0159】
また、固定子巻線外表面温度測定手段75を具備する固定子巻線導体温度測定装置30Fを交流回転電機の巻線導体温度測定に使用することで、測定された固定子巻線32の導体部および外表面のそれぞれの温度から、固定子巻線32の絶縁部76の温度勾配を得ることができ、絶縁部76の温度特性を評価することができる。
【0160】
さらに、本発明に係る固定子巻線導体温度測定装置30〜30Fは、測定対象の固定子巻線32を三相短絡して形成される三相短絡回路33の両端にかかる電圧Vsが三相短絡通電運転中において50V以上と高い電圧が発生している場合においても、無通電状態にして、素早く温度測定を行うことができるので、外挿により三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定することができる。
【0161】
さらにまた、外挿により三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定する際に、本発明に係る固定子巻線導体温度測定装置30〜30Fが測定基本回路36と電圧電流測定手段38〜38Bとを具備することにより交流成分の大幅な除去が可能となることから、固定子巻線電流IaがIa=0となれば、回転子が停止する前から固定子巻線導体温度Tの温度測定を開始することができるので、より正確に三相短絡通電運転中の固定子巻線32の導体部の温度を推定することができる。
【0162】
尚、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法では、基準抵抗値測定ステップで、各相の固定子巻線32の抵抗値を測定し、測定した固定子巻線32の抵抗値および抵抗測定時の温度を数式1に代入して、数式4に示される基準抵抗値R95を算出した後、算出した基準抵抗値R95をデータ処理装置46に入力しているが、データ処理装置46に数式1を入力しておき、測定した固定子巻線32の抵抗値および抵抗測定時の温度データをデータ処理装置46に入力できるような固定子巻線導体温度測定装置を構成して基準抵抗値R95を算出をさせても良い。
【0163】
【発明の効果】
本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法によれば、交流回転電機を約定格速度で三相短絡通電運転中に固定子巻線抵抗を精度良く測定することが可能となるので、被試験交流回転電機の固定子巻線導体温度を精度良く安定して測定可能な交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法を提供することができる。
【0164】
また、本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法によれば、三相短絡通電運転中において固定子巻線を三相短絡した際に生じる固定子巻線間の電圧が高く電圧・電流法が適用できない場合においても、無通電状態にして、回転子が停止する前から固定子巻線導体温度Tの温度測定を開始することができるので、外挿によって推定する固定子巻線導体温度をより精度良く測定可能な交流回転電機の巻線導体温度測定装置および測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置に備えられる測定chが有するフィルタの回路構成を示す回路構成図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置に可変直流電圧供給手段として用いられる可変直流電圧供給回路の回路構成を示す構成概略図。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る交流回転電機の巻線導体温度測定装置の構成を示す構成概略図。
【図10】本発明に係る交流回転電機の巻線導体温度測定方法であり、通電停止後の経過時間と固定子巻線導体温度との関係を示した説明図。
【図11】交流回転電機に用いられる固定子の構成を示す構成概略図。
【図12】従来の通電中の固定子巻線導体温度測定方法であり、交流回転電機を停止して固定子巻線の抵抗測定を行う固定子巻線抵抗測定回路の回路構成を説明する説明図。
【図13】従来の通電中の固定子巻線導体温度測定方法であり、RTDを使用して固定子巻線導体温度測定を行う固定子巻線導体温度測定回路の回路構成を説明する説明図。
【図14】IEC規格60279にて規定される三相短絡通電運転中の交流回転電機の固定子巻線導体温度測定する固定子巻線抵抗測定回路の回路構成を説明する説明図。
【符号の説明】
30,30A,30B,30C,30D,30E,30F…固定子巻線導体温度測定装置、31…可変直流電圧源(可変直流電圧供給手段)、32…固定子巻線、33…三相短絡回路、34…制限抵抗、35…シャント(電流計測用抵抗)、36,36A…測定基本回路、38,38A、38B…電圧電流測定手段、39,39A…巻線短絡導体(三相短絡手段)、40…中性点、41…ライン端子、43…測定ch、45…デジタル記録装置、46…データ処理装置、49…フィルタ、50…増幅器、52…抵抗素子、53…コンデンサ、55…第1の平均化処理装置、57…第2の平均化処理装置、59…冷却手段、60…冷却水通水路、61…循環ポンプ、63…巻線短絡導体温度測定手段、64…温度測定器、65…A/D変換器、68…可変直流電圧供給回路(可変直流電圧供給手段)、69…単相交流可変電圧商用周波電源、70…対地絶縁変圧器、71…ダイオード、72…単相全波整流装置、74…RTD(抵抗温度デバイス)、75…固定子巻線外表面温度測定手段、76…絶縁部。
Claims (8)
- 回転電機の固定子巻線を三相短絡する三相短絡手段と、
前記三相短絡手段によって得られた三相短絡回路に直流電圧を可変可能に供給する可変直流電圧供給手段と、前記三相短絡回路と、電流計測用抵抗とを電気的に接続することにより構成される測定基本回路と、
前記三相短絡回路に印加された直流電圧値および前記三相短絡回路に通電された電流値を取得する測定チャンネルと、この測定チャンネルからのアナログ出力をデジタル変換し記録するデジタル記録手段と、このデジタル記録手段からの出力をデータ処理して入力結果を出力するデータ処理手段とを備える電圧電流測定手段とを具備し、
前記測定基本回路を前記三相短絡回路に生じる交流電圧に匹敵する直流電圧を印加できるように構成し、
前記電圧電流測定手段を測定時に取得されるアナログ測定信号から交流成分を減衰させるフィルタと、このフィルタから出力されるアナログ測定信号を増幅する増幅器とを備える前記測定チャンネルと、14bit〜16bitの分解能を有する前記デジタル記録手段と、データ処理して処理結果を表示する前記データ処理手段とを電気的に接続して構成し、
前記フィルタを商用周波数50Hzおよび60Hzでフィルタ利得が−40〜−80dB、入力耐電圧が100〜600Vで構成し、
前記増幅器を増幅率が50〜1000倍でドリフトの発生が少なく、前記増幅率で線形性を有する低ドリフトアンプで構成することで、前記固定子巻線の抵抗値を10 −7 Ωオーダまでの精度で測定可能に構成したことを特徴とする交流回転電機の巻線導体温度測定装置。 - 固定子巻線への通電がない無通電状態にて、前記固定子巻線の抵抗値を求め、基準温度における巻線抵抗値に換算する基準抵抗値算出ステップと、
スター接続された交流回転電機の固定子巻線を三相短絡し三相短絡回路を形成する三相短絡ステップと、
前記交流回転電機が運転され、前記固定子巻線への通電がある状態にて、可変直流電圧供給手段により前記三相短絡回路に印加される直流電圧値および通電される直流電流値を測定することで前記固定子巻線の抵抗値を算出する巻線抵抗値算出ステップと、
前記固定子巻線の抵抗値と前記基準抵抗値とを用いて前記交流回転電機の運転中における固定子巻線導体温度を前記電圧電流測定手段で算出する巻線導体温度算出ステップと、
前記回転電機が運転された状態にて測定された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を平均化処理手段で高速サンプリングして、平均化処理した平均化処理ステップを備え、
前記巻線導体温度算出ステップは、前記巻線抵抗値算出ステップで巻線抵抗を算出する際に、前記平均化処理ステップで平均化処理された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を用いて前記交流回転電機の固定子巻線導体温度を測定することを特徴とする交流回転電機の巻線導体温度測定方法。 - 前記平均化処理ステップは、前記回転電機が運転された状態にて測定された前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値を平均化処理手段で高速サンプリングして、平均化処理して得られる平均値に対して、一定偏差を超える範囲のサンプリングデータを除外する統計的処理を施すステップをさらに有し、前記巻線抵抗値算出ステップで巻線抵抗を算出する際に用いられる前記三相短絡回路の直流電圧値および電流値は、前記統計的処理を施した後に残ったサンプリングデータを平均化処理して得られた値であることを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。
- 前記交流回転電機を三相短絡通電運転している間、前記巻線短絡導体を冷却し、前記巻線短絡導体の温度変化を抑制する導体冷却ステップを備え、前記巻線抵抗値算出ステップで算出される前記固定子巻線の抵抗値を測定する際の測定誤差の低減を図ったことを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。
- 前記交流回転電機を三相短絡通電運転している間、前記巻線短絡導体を冷却し、前記巻線短絡導体の温度変化を抑制する導体冷却ステップと、
前記巻線短絡導体の抵抗値を換算式から算出する巻線短絡導体抵抗算出ステップとを備えたことを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。 - 前記可変直流電圧供給手段に、単相交流可変電圧商用周波電源と、対地から絶縁された変圧器と、単相全波整流装置とを電気的に接続して直流電圧の可変供給を可能に構成した可変直流電圧供給回路を使用して行うことを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。
- 前記交流回転電機を三相短絡通電運転中における前記交流回転電機の固定子巻線の外表面温度を測定する固定子巻線外表面温度測定ステップを備え、
前記基準抵抗値算出ステップで基準抵抗値およびデータ処理に必要な数式とともに前記固定子巻線の絶縁部の厚さを入力した後に、
前記三相短絡回路の電圧値および電流値を測定することを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。 - 前記交流回転電機を三相短絡通電運転中において、前記三相短絡回路の電圧が50〜600Vと高い場合には、通電を遮断して無通電状態とした後、
前記巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップを例えば、1分間等の任意の一定間隔で前記固定子巻線導体温度を算出し、冷媒温度とほぼ等しくなるまで前記巻線抵抗値算出ステップおよび巻線導体温度算出ステップをくりかえし行って算出した前記固定子巻線導体温度の推移から前記固定子巻線導体温度の推移を関数近似して通電遮断時の固定子巻線導体温度を推定することを特徴とする請求項2に記載の交流回転電機の巻線導体温度測定方法。
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