JP4196655B2 - 便座装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、便座装置に関し、特に便座及び便蓋の後端部が機能部を収容するケースに枢着された便座装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の此の形式の便座装置は、周知のように、便座及び便蓋の後端部が、共通のピンにより、便器の後部上面に固定されたケースに枢着されている。ケース内には、機能部(便座内に配設されるヒータ線の通電制御をなす制御装置や人体局部への洗浄水の噴射をなす温水洗浄機構の主要部)が収容されている。しかして、便座装置の使用の際は、便蓋を起立させ、その状態で、使用者が便座に着座するようになっている。そして、使用者が排便及びその直後の局部洗浄を終えて便座から立ち上がると、便器洗浄のためのフラッシュを操作して、手を洗うが、その場合、便器の後方に配置されたロータンクの上側に付設された蛇口から流れ出る水を使うことが少なくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、起立された便蓋の先端部がロータンクの高さよりも高くなり、ロータンクの上側に付設された蛇口から流れ出る水を使っての手洗浄が困難になる傾向がある。すなわち、近年、便器洗浄技術が格段に向上して、従来に比べて少ない量の水で便器洗浄が行えるようになり、これに伴い、ロータンクが従来に比べて小型化されてきている。他方、便蓋の大きさは、その性質上、小型化できないので、便蓋が起立したとき、その先端部がロータンクの高さ以上となり、これが、ロータンクの上側に付設された蛇口から流れ出る水を使っての手洗浄を困難ならしめている。
【0004】
それ故に、本発明は、かような不具合を惹起しない便座装置を提供することを技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために講じた手段は、請求項1記載のように、
「機能部が収容されたケースに便座の後端部が枢着され、前記便座が便蓋により覆われた便座装置において、前記便蓋は前方蓋部及び後方蓋部から構成し、前記前方蓋部の後端部が前記ケースの前方部に枢着され、前記後方蓋部の後端部が前記ケースの後方部に枢着され、前記後方蓋部は前記前方蓋部の回動に連動して回動するようにした、便座装置」を構成したことである。
【0006】
上記した課題を解決するために講じた手段は、請求項2記載のように、
「便座と、前記便座の温度制御及び/又は人体局部洗浄乾燥装置を収納するケースと、便蓋とで構成される便座装置等において、前記便蓋は前部便蓋と後部便蓋とで構成され、前記前部便蓋と前記後部便蓋および前記便座とは、夫々の後端部に軸部を有し、装置収納部の収納箱の上方において夫々回動自在に軸支され、且つ前記前部便蓋の開閉動作に対して前記後部便蓋が従属的に連動して開閉動作することを特長とした便座装置」を構成したことである。
【0007】
請求項3に記載するように、請求項2記載の便座装置においては、前記前部便蓋と前記後部便蓋は、各々の全ての開閉動作範囲において前記前部便蓋と前記後部便蓋が互いに覆い合う重なり部を所定範囲に保持し、閉止状態における前記重なり部を除いた範囲においては、前記前部便蓋の表面と前記後部便蓋の裏面が直接的に接触することのない非接触機構を構成することが望ましい。
【0008】
請求項4に記載するように、請求項2記載の便座装置においては、前記後部便蓋は常時閉方向に付勢されていることが望ましい。
【0009】
請求項5に記載するように、請求項2記載の便座装置においては、前記前部便蓋と前記後部便蓋は全開位置から閉方向に所定の角度範囲にわたって、互いに結合し、前記所定の角度範囲を超えた位置において、前記結合が解除される連結手段を構成することが望ましい。
【0010】
請求項6に記載するように、請求項3記載の便座装置においては、前記閉止状態において、前記前部便蓋と前記後部便蓋との表面は、前記重なり部も含めてひとつの連続した面で構成されていることが望ましい。
【0011】
請求項7に記載するように、請求項1または2記載の便座装置においては、前記前部便蓋及び前記後部便蓋の少なくともいずれか一方は透明樹脂で形成されていることが望ましい。
【0012】
請求項8に記載するように、請求項2に記載する便座装置においては、前記後部便蓋は少なくとも全開位置から自重で落下し始める角度位置までを閉方向に付勢されていることが望ましい。
【0013】
請求項9に記載するように、請求項1に記載する便座装置においては前方蓋部の後方部上面に、前記後方蓋部の前方部と対峙する突起部を便器幅方向に延在・形成するのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる便座装置の実施の形態を、具体的に説明する。
【0015】
まず、図1及び図2に依拠して、本発明にかかる便座装置の実施の形態の概要を説明する。便座装置1は、便器(図示略)の後部上側に固定されるケース11を備える。ケース11は、便器の横に張り出した操作部112と本体部111とから構成される。ケース11の本体部111の前方部には便座12が枢着されている。便座12は、ケース11の本体部111に枢着された便蓋13により覆われる。しかし便蓋13は、前部便蓋14と後部便蓋15から構成される。前部便蓋14と後部便蓋15は、便座12及びケース11の本体部111の上部表面を連続して覆う状態で構成されている。前部便蓋14はケース11の本体部111の前方部で便座12と同軸に枢着されており、ケース11の本体部111に対して回動自在となっている。更に後部便蓋15はその前方の一部が前部便蓋14の後方の一部の上側に重なった構成となっている。従って便座12とケース11の本体部111との間に不可避的に画成されるスキマ90は、閉止状態では前部便蓋14と後部便蓋15によって覆われているため、表側から見えない構造となっている。また便座12の下面にはゴムなどの弾性体より形成された脚部123がある。
【0016】
尚前部便蓋14は便座12とは別の軸でケース11の本体部111に枢着しても良い。また、図示はしないが、モーターとギアから構成される電動開閉駆動装置が、操作部112の操作ボタンを押されたときに作動して、便座12及び/または前部便蓋14を所定の状態に開閉作動するようになっている。後で詳しく説明するように、前部便蓋14が開作動(閉作動)に伴い、後部便蓋15も連動して、開作動(閉作動)する。
【0017】
図3及び図4に依拠して、前部便蓋14と後部便蓋15との具体的連結構造を説明する。
【0018】
図3の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)において、前部便蓋14は前方平面部141と側面部142、および後方平面部143と左右のヒンジ部144から構成されている。さらに後方平面部143は後方平面部後端部143aと後方平面部表面143bを有している。後部便蓋15は平面部151と側面部152と案内板153および左右のヒンジ部154から構成されている。またさらに案内板153は案内板前縁153aと案内板先端部153bを有している。
【0019】
図4は、図3の(イ)図をA方向からみた一部破断の平面図であり、後部便蓋15の向かって右側のヒンジ部154と収納箱111の間に弦巻バネ16が設置され、後部便蓋15を常に閉方向に付勢するようになっている。尚、この弦巻バネ16の後部便蓋15の閉方向付勢を、後部便蓋15が全開位置から自重で落下開始する角度位置までの範囲においてのみなされるようにしても良い。
【0020】
図3において閉止状態から全開状態までの動作を説明する。図3(イ)は前部便蓋14と後部便蓋15とが完全に閉止した状態である。このとき前部便蓋14の後方平面部143は段部を形成しているので、後部便蓋15の平面部151前部便蓋14の前方平面部141は同一の平面を構成することが出来る。
【0021】
図3(ロ)は前部便蓋14が電動開閉駆動装置または手動により開き始めた状態を示しており、前部便蓋14の後方平面部後端部143aが後部便蓋15の案内板前縁153aを開方向に押上げ、且つ接触する面積が小さいので摩擦抵抗も小さく、後部便蓋15が容易に開動作し、前部便蓋14の後方平面部143にも接触することなく開動作が進行する。
【0022】
図3(ハ)は前部便蓋14が後部便蓋15を押上げながら全開するまでの中間過程であり、後部便蓋15の案内板先端部153bのみが前部便蓋14の後方平面部表面143bと接触する構造なので、前部便蓋14と後部便蓋15との摩擦抵抗は小さく容易に開動作することが出来る。また、後部便蓋15は前部便蓋14の前方平面部141および側面部142の表面に接触することなく開動作が進行する。
【0023】
図3(ニ)は前部便蓋14が後部便蓋15を更に押上げて、完全に全開して静止した状態を表しており、この状態でも前部便蓋14の前方平面部141と後部便蓋15とが接触することがない。
【0024】
尚、便蓋14の全開状態から閉止状態までの動作は、上述の動作の逆の動作となる。
【0025】
図3に示す構造の変形例を図5及び図6に示す。
【0026】
図5の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)において、前部便蓋23は前方平面部231と側面部232、および後方平面部233と左右のヒンジ部234から構成されている。さらに後方平面部233は後方平面部後端部233aと後方平面部表面233b、および後方平面部嵌合穴236とを有している。
【0027】
後部便蓋25は平面部251と側面部252と案内板253および左右のヒンジ部255から構成されている。またさらに案内板253は案内板前縁253aと案内板先端突起254を有している。
【0028】
図6は、図5の(ハ)図と(ニ)図とに示された前部便蓋23の後方平面部嵌合穴236と後部便蓋25の案内板先端突起254との開き角度による位置関係を斜視図として表したものである。即ち、案内板先端突起254bは(ハ)図の後方平面部表面233bの上にある状態を示し、案内板先端突起254cは(ニ)図の後方平面部嵌合穴236と一致した状態を表している。この後方平面部嵌合穴236は略L字状に形成され、更に開き角度が大きくなって最大開き角度になると、(ホ)図に示すように、後方平面部嵌合穴236に案内板先端突起254が嵌合するように構成される。
【0029】
図5において閉止状態から全開状態までの動作を説明する。
【0030】
図5(イ)図は前部便蓋23と後部便蓋25とが完全に閉止した状態である。このとき前部便蓋 23 の後方平面部233は段部を形成しているので、後部便蓋25の平面部251と前部便蓋 23 の前方平面部231は同一の平面を構成することが出来る。
【0031】
図5(ロ)図は前部便蓋23が電動開閉駆動装置または手動により開き始めた状態を示しており、前部便蓋23の後方平面部後端部233aが後部便蓋25の案内板前縁253aを開方向に押上げ、且つ接触する面積が小さいので摩擦抵抗も小さく、後部便蓋25が容易に開動作し、前部便蓋23の後方平面部233にも接触することなく開動作が進行する。
【0032】
図5(ハ)図は前部便蓋23が後部便蓋25を押上げながら全開するまでの中間過程であり、後部便蓋25の案内板先端突起254のみが前部便蓋23の後方平面部表面233bと接触する構造なので、前部便蓋23と後部便蓋25との摩擦抵抗は小さく容易に開動作することが出来る。また、後部便蓋25は前部便蓋23の前方平面部231および側面部232の表面に接触することなく開動作が進行する。
【0033】
図5(ニ)図は前部便蓋23が後部便蓋25を更に押上げて、全開して静止する手前の状態を表している。この時案内板先端突起254は後方平面部嵌合穴236と一致することになり、図6の案内板先端突起254cの位置に示されるように嵌合が開始される。またこの状態でも前部便蓋23の前方平面部231と後部便蓋25とは接触することがない。
【0034】
図5(ホ)図は前部便蓋23が後部便蓋25を更に押上げて、全開して静止した状態を表している。このとき案内板先端突起254は後方平面部嵌合穴236に完全に嵌合し、前部便蓋23が閉方向に回動しなければ外れることがない構成となっている。
【0035】
次に図5において逆の閉動作を説明する。
【0036】
図5(ホ)図の案内板先端突起254が後方平面部嵌合穴236に完全に嵌合した状態から、前部便蓋23が閉方向に回動すると、後部便蓋25は図6のように嵌合されて連結しているので、前部便蓋23と共に移動し始める。
【0037】
次に図5(ニ)図の状態にまで閉方向に回動すると、案内板先端突起254が後方平面部嵌合穴236から外れ始める位置となる。このとき後部便蓋25はモーメントにより閉方向に移動するような構成となっている。従って、これ以降は開動作説明の逆の順序で作用する。
【0038】
図7及び図8に、便座装置の他の実施形態例を示す。この実施形態例においては、前方蓋部14の後方部上面に、後方蓋部15の前方部と対峙する突起部90を便器幅方向に延在・形成されている。かような突起部90を設けると、前方蓋部14の後方部の剛性が高められると共に、前部便蓋14と後部便蓋15が面一を構成し且つ略連続して便座を覆っているときに不可避的に両者間に形成される溝92が便器前方に立つ用便者から見えにくくなり、装置全体の意匠性を高めることができる。尚、突起部90の材質は強化樹脂でも良いが、剛性の強化確保と意匠性の発揮の観点から、表面処理を施した金属でも良い。金属の場合は、耐腐食性の観点からアルミニュームやステンレス鋼が好ましい。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
【0040】
便蓋を開動させたとき、便蓋の高さが前部便蓋及び後部便蓋のいずれか長いほうにより決定されるので、ロータンクの高さを越えることがない。従って、ロータンクの上側に付設された蛇口から流れ出る水を使っての手洗いが可能となる。
【0041】
前部便蓋と後部便蓋が連続して便座と収納箱の上面を覆うので、従来のように便蓋とケースとの間に不可避的に画成されるスキマが外部に露呈することがない。従って汚れなどが付着しにくく清潔性が増す。同時に、便座の熱がスキマから逃げることがないので、節電効果がある。
【0042】
前部便蓋と後部便蓋が連続して便座と収納箱の上面を覆うので一様な便蓋の平面が出来るため、雑巾などによるスキマへの引っ掛かりがないので清掃性が増す。
【0043】
前部便蓋の動きを後部便蓋に伝達するのに、裏面で部分的な所定範囲での接触によって行なうため前部便蓋および後部便蓋の外表面に両者の接触によるキズ付きがなく、接触面積が小さいので摺動による摩擦抵抗が少なくスムーズに開閉動作が出来る。
【0044】
便蓋が連続して製品全体を覆っているので、従来のように便蓋とケースとの間から便器内に物が落ちるなどの恐れがない。
【0045】
便蓋を透明樹脂で形成することにより、便器の内部を覗見でき、排便後の洗浄確認を行える。
【0046】
前方蓋部の後方部上面に、後方蓋部の前方部と対峙する突起部を便器幅方向に延在・形成したので、この突起部により、前方蓋部の後方部の剛性が高められると共に、前部便蓋と後部便蓋が連続して便座を覆っているときに不可避的に両者間に形成される溝が便器前方に立つ用便者から見えにくくなり、装置全体の意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る便座装置の一例の平面図
【図2】図1のA−A線に沿う断面図
【図3】前部便蓋及び後部便蓋との連結構造の作動を時系列的に示す図
【図4】図3に示す前部便蓋と後部便蓋との間に配設された連結手段を示す図
【図5】前部便蓋及び後部便蓋との連結構造の変形例の作動を時系列的に示す図
【図6】図5に示す前部便蓋と後部便蓋との間に配設された連結手段を示す図
【図7】前部便蓋及び後部便蓋との連結構造の別の変形例の概念的斜視図
【図8】図7のB−B線に沿う断面図
【符号の説明】
11 ケース
12 便座
13 便蓋
14 前部便蓋
15 後部便蓋
Claims (9)
- 機能部が収容されたケースに便座の後端部が枢着され、前記便座が便蓋により覆われた便座装置において、前記便蓋は前方蓋部及び後方蓋部から構成し、前記前方蓋部の後端部が前記ケースの前方部に枢着され、前記後方蓋部の後端部が前記ケースの後方部に枢着され、前記後方蓋部は前記前方蓋部の回動に連動して回動するようにした、便座装置。
- 便座と、前記便座の温度制御及び/又は人体局部洗浄乾燥装置を収納するケースと、便蓋とで構成される便座装置等において、前記便蓋は前部便蓋と後部便蓋とで構成され、前記前部便蓋と前記後部便蓋および前記便座とは、夫々の後端部に軸部を有し、装置収納部の収納箱の上方において夫々回動自在に軸支され、且つ前記前部便蓋の開閉動作に対して前記後部便蓋が従属的に連動して開閉動作することを特長とした便座装置。
- 前記前部便蓋と前記後部便蓋は、各々の全ての開閉動作範囲において前記前部便蓋と前記後部便蓋が互いに覆い合う重なり部を所定範囲に保持し、閉止状態における前記重なり部を除いた範囲においては、前記前部便蓋の表面と前記後部便蓋の裏面が直接的に接触することのない非接触機構を構成することを特長とした請求項2に記載する便座装置。
- 前記後部便蓋は常時閉方向に付勢されていることを特長とした
請求項2に記載する便座装置。 - 前記前部便蓋と前記後部便蓋は全開位置から閉方向に所定の角度範囲にわたって、互いに結合し、前記所定の角度範囲を超えた全閉位置までの角度範囲では、前記結合が解除される連結手段を構成したことを特長とした請求項2に記載する便座装置。
- 前記閉止状態において、前記前部便蓋と前記後部便蓋との表面は、前記重なり部も含めてひとつの連続した面で構成されていることを特長とした請求項3に記載する便座装置。
- 前記前部便蓋及び前記後部便蓋の少なくともいずれか一方は透明樹脂で形成される、請求項1または2に記載の便座装置。
- 前記後部便蓋は少なくとも全開位置から自重で落下し始める角度位置までを閉方向に付勢されていることを特長とした請求項2に記載する便座装置。
- 前方蓋部の後方部上面に、前記後方蓋部の前方部と対峙する突起部を便器幅方向に延在・形成したことを特長とした請求項1に記載する便座装置。
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