JP4195834B2 - 交直電車用電力変換システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強制風冷を必要とする機器を複数個備えた交直電車用電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
交直鉄道車両の駆動用電力を供給する電力変換システムは、強制風冷を必要とする機器として、交流区間を走行するためのメイントランス及びコンバータと、直流区間を走行するための断流器及びフィルタリアクトルと、コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータとを備え、特に、コンバータ及びインバータが共通の筐体に収納されて電力変換装置としてこれらの機器が車両の底部に装着されている。
【0003】
図6はこの種の従来の交直電車用電力変換システムの概略構成図であり、車両10の底部に電力変換装置1、フィルタリアクトル4及びメイントランス5が走行方向に並べて配置されている。このうち、電力変換装置1はコンバータ2及びインバータ3を含み、コンバータ2には送風機6Aが結合され、インバータ3には送風機6Bが結合され、それぞれ矢印9で示す風の流れを生じさせることによって強制風冷が行われる。また、フィルタリアクトル4には送風機6Cが結合され、メイントランス5には送風機6Dが結合され、同じく矢印9で示す風の流れを生じさせることによって強制風冷が行われる(例えば、特許文献1参照。)。なお、断流器については図面及び説明の簡単化のために図示を省略している。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−79162号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
交直電車用電力変換システムは、交流区間走行時用電力変換システムと、直流区間走行時用電力変換システムとを備えた構成であるため、交流電車用電力変換システムあるいは直流電車用電力変換システムと比較して、艤装のスペース的な制約が厳しく、小型化もさることながら、効率的な配置、構成の簡易化及び車両の軽量化が強く望まれていた。
【0006】
本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することのできる交直電車用電力変換システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明波、車両の底部に設けられた送風機により強制空冷を必要とする機器として、交流区間を走行するための機器としてのメイントランス及びコンバータと、直流区間を走行するためのフィルタリアクトルとを車両の底部に備え、前記フィルタリアクトル、強制風冷を必要とする交流区間を走行するための前記機器と同一の車両の底部側の冷却風通路に配置されることにより、同一の前記送風機が、前記交流区間走行時には交流区間を走行するための前記機器を強制空冷し、前記直流区間走行時には前記フィルタリアクトルを強制空冷することを特徴とするものである
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、フィルタリアクトルを、コンバータと同一の冷却風通路に配置する。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、コンバータ、インバータ及びフィルタリアクトルを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成する。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、コンバータ及びインバータを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成し、フィルタリアクトルを電力変換装置の排風口にダクトを介してコンバータの風下側に配置する。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、コンバータ及びインバータを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成し、フィルタリアクトルを電力変換装置の入風口にダクトを介してコンバータの風上側に配置する。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、電力変換装置とフィルタリアクトルとをダクトで繋いだものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、フィルタリアクトルを、前記メイントランスと同一の冷却風通路に配置する。
請求項8に係る発明は、請求項1に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、同一の前記送風機により形成される前記同一の冷却風通路の前記送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置され、該コンバータのさらに下流に前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置されていることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、同一の前記送風機により形成される前記同一の冷却風通路の前記送風機の上流に、前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置され、前記送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置されていることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1に記載の交直電車用電力変換システムにおいて、同一の送風機により形成される前記同一の冷却風通路としての第1の冷却風通路の前記同一の送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置され、該第1の冷却風通路の前記コンバータのさらに下流に前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置されると共に、前記第1の冷却風通路に並行して前記同一の送風機とは別個の送風機により第2の冷却風通路が設けられ、該第2の冷却風通路にフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータが設けられていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る交直電車用電力変換システムの第1の実施形態の概略構成図であり、図中、従来装置を示す図5と同一の符号を付したものはそれぞれ同一の要素を示している。この実施形態は、強制風冷を必要とするコンバータ2及びインバータ3の他に、同じく強制風冷を必要とするフィルタリアクトル4を、強制空冷を必要としない他の機器と併せて同一の筐体に収納して、一体型の電力変換装置1Aを構成している。ここで、電力変換装置1Aの内部に送風機6A、コンバータ2及びフィルタリアクトル4が縦に配置され、このうち、コンバータ2及びフィルタリアクトル4は風洞とも呼ばれる冷却風通路7A内に設置され、この冷却風通路7Aの風上側の端部に送風機6Aが連結されている。また、インバータ3は冷却風通路7B内に装着され、この冷却風通路7Bの風上側の端部に送風機6Bが連結されている。送風機6A及び6Bはそれぞれ電力変換装置1Aの一端部から空気を取り込み、冷却風通路7A及び7B内に矢印9で示した風の流れを生じさせて電力変換装置1Aの他端部から排風するように構成されている。
【0015】
第1の実施形態は、フィルタリアクトル4を交流区間を走行するためのコンバータ2と同一の冷却風通路7Aに配置したことに特徴があり、送風機6Aによって、直流区間ではフィルタリアクトル4が冷却され、交流区間ではコンバータ2が冷却されることとなり、これによって、効率的に必要風量が確保されると共に、フィルタリアクトル4を電力変換装置と並設した場合と比較して構成が簡易化され、さらに、設置スペースの縮小及び車両の軽量化が図られる。
【0016】
かくして、第1の実施形態によれば、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することができる。また、送風機の数が減ることにより定期的なメンテナンスの作業量を減らすことができるという効果もある。
【0017】
なお、上記第1の実施形態では冷却風通路7Aの上流側にコンバータ2を配置し、下流側にフィルタリアクトル4を配置したが、これらの順序を逆にしても上述したと同様な効果が得られる。
【0018】
図2は本発明に係る交直電車用電力変換システムの第2の実施形態の概略構成図であり、図中、第1の実施形態を示す図1と同一の符号を付したものはそれぞれ同一の要素を示している。この実施形態は、強制風冷を必要とするコンバータ2及びインバータ3を、強制風冷を必要としない他の機器と併せて同一の筐体に収納して、電力変換装置1Bを構成し、フィルタリアクトル4を電力変換装置1Bの排風口にダクトを介してコンバータ2の風下側に配置したものである。この場合、コンバータ2は冷却風通路7A内に設置され、この冷却風通路7Aの風上側の端部に送風機6Aが連結され、冷却風通路7Aの風下側の端部にダクト8Aを介してフィルタリアクトル4が装着されている。また、インバータ3は冷却風通路7B内に装着され、この冷却風通路7Bの風上側の端部に送風機6Bが連結されている。
【0019】
この第2の実施形態もまた、フィルタリアクトル4を交流区間を走行するためのコンバータ2と同一の冷却風通路に配置したことに特徴があり、送風機6Aが電力変換装置1Bの一端部から空気を取り込み、冷却風通路7A内に矢印9で示した風の流れを生じさせる。そして、直流区間ではフィルタリアクトル4が冷却され、交流区間ではコンバータ2が冷却されることとなり、これによって、効率的に必要な風量が確保されると共に、フィルタリアクトル4を電力変換装置と並設した場合と比較して構成が簡易化され、さらに、設置スペースの縮小及び車両の軽量化が図られる。
【0020】
かくして、第2の実施形態によっても、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することができる。また、送風機の数が減ることにより定期的なメンテナンスの作業量を減らすことができるという効果もある。
【0021】
図3は本発明に係る交直電車用電力変換システムの第3の実施形態の概略構成図であり、図中、第2の実施形態を示す図2と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この実施形態はコンバータ2及びインバータ3を共通の筐体に収納して電力変換装置1Bを形成し、フィルタリアクトル4を電力変換装置1Bの入風口にダクトを介してコンバータ2の風上側に配置した点が第2の実施形態と異なるだけで、これ以外は第2の実施形態と全て同一に構成されている。この場合、フィルタリアクトル4は送風機6Aが連結される部分の入風口に、ダクト8Bを介してフィルタリアクトル4が装着されている。
【0022】
この第3の実施形態においても、フィルタリアクトル4を交流区間を走行するためのコンバータ2と同一の冷却風通路に配置したことに特徴があり、送風機6Aが電力変換装置1Bの一端部から空気を取り込むに当たり、これらの空気の全てがフィルタリアクトル4を通過してこれを冷却するため、直流区間ではフィルタリアクトル4が冷却され、交流区間ではコンバータ2が冷却されることとなり、これによって、効率的に必要風量が確保されると共に、フィルタリアクトル4を電力変換装置と並設した場合と比較して構成が簡易化され、さらに、設置スペースの縮小及び車両の軽量化が図られる。
【0023】
かくして、第3の実施形態によっても、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することができる。また、送風機の数が減ることにより定期的なメンテナンスの作業量を減らすことができるという効果もある。
【0024】
なお、第1から第3の実施形態では、送風機6A,6Bをそれぞれ個別に配置しているが、図4の第4の実施形態に示したように、一般に両扇形送風機と称されている送風機6Eをコンバータ2とインバータ3の風上側に配置しても上記各実施形態と同様な効果が得られる。
【0025】
図5は本発明に係る交直電車用電力変換システムの第5の実施形態の概略構成図であり、強制風冷を必要とするフィルタリアクトル4を、同じく強制風冷を必要とする交流区間を走行するためのメイントランス5と同一の冷却風通路に配置した構成になっている。この場合、最上流にフィルタリアクトル4を、中間部に送風機6Dを、最下流にメイントランス5を配置し、このうち、フィルタリアクトル4と送風機6Dとをダクト8Cで連結し、送風機6D及びメイントランス5をダクト8Dで連結している。そして、送風機6Dのみによって矢印9で示した風の流れを生じさせる。
【0026】
この構成によれば、直流区間で発熱するフィルタリアクトル4と交流区間で発熱するメイントランス5とが1台の送風機6Dによって冷却が図られるため、効率的に必要風量が確保されると共に、フィルタリアクトル4をメイントランス5と並設した場合と比較して構成が簡易化され、さらに、設置スペースの縮小及び車両の軽量化が図られる。
【0027】
かくして、第5の実施形態によっても、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することができる。また、送風機の数が減ることにより定期的なメンテナンスの作業量を減らすことができるという効果もある。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、効率的な配置及び構成の簡易化を図ることによって十分な艤装スペースを確保し、かつ、車両を軽量化することのできる交直電車用電力変換システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る交直電車用電力変換システムの第1の実施形態の概略構成図。
【図2】本発明に係る交直電車用電力変換システムの第2の実施形態の概略構成図。
【図3】本発明に係る交直電車用電力変換システムの第3の実施形態の概略構成図。
【図4】本発明に係る交直電車用電力変換システムの第4の実施形態の概略構成図。
【図5】本発明に係る交直電車用電力変換システムの第5の実施形態の概略構成図。
【図6】従来の交直電車用電力変換システムの概略構成図。
【符号の説明】
1,1A,1B 電力変換装置
2 コンバータ
3 インバータ
4 フィルタリアクトル
5 メイントランス
6A〜6E 送風機
7A,7B 冷却風通路
8A〜8D ダクト
10 車両

Claims (10)

  1. 車両の底部に設けられた送風機により強制空冷を必要とする機器として、交流区間を走行するための機器としてのメイントランス及びコンバータと、直流区間を走行するためのフィルタリアクトルとを車両の底部に備え、
    前記フィルタリアクトル、強制風冷を必要とする交流区間を走行するための前記機器と同一の車両の底部側の冷却風通路に配置されることにより、同一の前記送風機が、前記交流区間走行時には交流区間を走行するための前記機器を強制空冷し、前記直流区間走行時には前記フィルタリアクトルを強制空冷することを特徴とする交直電車用電力変換システム。
  2. 前記フィルタリアクトルを、前記コンバータと同一の冷却風通路に配置した請求項1に記載の交直電車用電力変換システム。
  3. 前記コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、前記コンバータ、インバータ及びフィルタリアクトルを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成した請求項2に記載の交直電車用電力変換システム。
  4. 前記コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、前記コンバータ及びインバータを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成し、前記フィルタリアクトルを前記電力変換装置の排風口にダクトを介して前記コンバータの風下側に配置した請求項2に記載の交直電車用電力変換システム。
  5. 前記コンバータ又はフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータを備え、前記コンバータ及びインバータを共通の筐体に収納して電力変換装置を形成し、前記フィルタリアクトルを前記電力変換装置の入風口にダクトを介して前記コンバータの風上側に配置した請求項2に記載の交直電車用電力変換システム。
  6. 前記電力変換装置と前記フィルタリアクトルとをダクトで繋いだ請求項4又は5に記載の交直電車用電力変換システム。
  7. 前記フィルタリアクトルを、前記メイントランスと同一の冷却風通路に配置した請求項1に記載の交直電車用電力変換システム。
  8. 同一の前記送風機により形成される前記同一の冷却風通路の前記送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置され、該コンバータのさらに下流に前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の交直電車用電力変換システム。
  9. 同一の前記送風機により形成される前記同一の冷却風通路の前記送風機の上流に、前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置され、前記送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の交直電車用電力変換システム。
  10. 同一の送風機により形成される前記同一の冷却風通路としての第1の冷却風通路の前記同一の送風機の下流に、前記交流区間を走行するための機器としての前記コンバータが配置され、該第1の冷却風通路の前記コンバータのさらに下流に前記直流区間を走行するための前記フィルタリアクトルが配置されると共に、前記第1の冷却風通路に並行して前記同一の送風機とは別個の送風機により第2の冷却風通路が設けられ、該第2の冷却風通路にフィルタリアクトルを介して得られる直流を交流に変換するインバータが設けられてい ることを特徴とする請求項1に記載の交直電車用電力変換システム。
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