JP4194765B2 - 小型発電機を有する腕時計機構及びこの腕時計機構の試験方法 - Google Patents
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Description
本発明は、腕時計機構、特に小型発電機を有する腕時計機構に関する。さらに、本発明は、このような腕時計機構の試験方法に関する。
【0002】
小型発電機を有する腕時計機構は、特にスイス国特許発明第 597636 号明細書(Ebauches SA) とヨーロッパ特許発明第 0851322号明細書(Ronda SA)中で説明されている。このような腕時計機構では、機械的な腕時計機構から公知の回転錘が、発電機10〜22(図2)と水晶発振器85を有する電子制御装置81によって置換されている。この発電機は、歯車列50,60,70を介して(図示しなかった)バネによって駆動される(図1)。この発電機が電子機器に給電することによって、この発電機の回転速度を制御することによって、その腕時計機構の運転を制御する。したがって、このような腕時計機構は、機械時計の利点と水晶腕時計の精度とを融合させる。
【0003】
このような腕時計機構で有効な力,トルク及び回転速度は、機械時計における力,トルク及び回転速度にほぼ一致する。したがって、摩耗が、多かれ少なかれ同じであると言える。
【0004】
本発明は、意外にもそうではないという認識に基づいている。このような腕時計では、摩耗の強い徴候が短期間に現れる。
【0005】
例えば、宝石軸受のオイルが短期間に劣化することが観察されている。さらに、摩耗の強い徴候が、歯車の歯の歯末の丈で確認されている。
【0006】
歯が決して接触しない場所、例えば歯先でも、摩耗が確認されている。多くの摩耗が、宝石軸受のオイル内でも発見されている。歯車が速く回転すればするほど、対応するその歯車の軸受のオイルの劣化が激しくなる。
【0007】
本発明の1つの課題は、これらの問題を起こさない小型発電機を有する腕時計機構を提供することにある。
【0008】
本発明の別の課題は、従来の機械時計の機構と少なくとも同じぐらいの耐久性のある小型発電機を有する腕時計機構を提供することにある。
【0009】
本発明のもう1つの課題は、これらの摩耗の問題が発生しない発電機によって制御される廉価でさらに信頼性の高い腕時計機構を提供することにある。
【0010】
これらの課題は、請求項1の特徴部分に記載の特徴を備えた小型発電機によって解決される。さらに、好適な実施の形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
これらの課題は、特に急激な摩耗を引き起こす現象を理解することによって解決される。
【0012】
この上述した課題は、特にこのような腕時計機構における全く予期されない効果を発見することによって、そしてこの効果を防ぐための解決手段を発明することによって解決される。
【0013】
機械時計の機構と発電機時計の機構との間の本質的な違いは、要素の電気的な接地にある。従来の機械時計では、回転錘がバネを介してコイルに電気的に直接接地される。小型発電機を有する腕時計機構では、その発電機のロータ10も歯車列50,51,60,61,70,71を介して電気的に接地されるべきである。しかし測定が証明したように、このことは、意外にもそうではない:ロータが、腕時計機構の地板から絶縁されている。
【0014】
以下に、本発明の範囲内で発見した驚くべき事実を説明する:発電機の駆動トルクが非常に小さく、ロータの磁石12が漂遊磁界を有するので、このロータを駆動させる歯車51の軸50が磁気を帯びない。さもなければ、ロータが、発電機にかかる駆動トルクよりもかなり大きい位置決めトルクを受ける。この位置決めトルクは、発電機を停止させる。これを回避するため、問題にあるこの軸は、銅−ベリリウム(CuBe)から作られる。この解決手段は、上述したヨーロッパ特許発明第 0851322号明細書中で既に説明されている。しかしながら、銅−ベリリウムは、酸化膜を形成する傾向がある。もしこの酸化膜が十分に厚く、歯車装置内の面圧力が小さいならば、ロータ10,歯車51及びこのロータを駆動させるピニオン50(Inter 2)が、腕時計機構のその他の部分から電気的に絶縁されうる。
【0015】
その一方で、もし発電機10,ピニオン50及び歯車51が、腕時計機構のその他の部分から電気的に絶縁されるならば、これらの発電機10,ピニオン50及び歯車51は、摩擦電気及びロータの漂遊磁界又は摩擦電気若しくはロータの漂遊磁界を通じて荷電されうる。この荷電は、歯車50と歯車51との間に電位を形成する。その電位が或る一定の値に達するとすぐに、以下で示すように、火花放電が生じうる。この火花放電は、歯車列を急激に摩耗させ、そして潤滑の急激な劣化をももたらしうる。
【0016】
絶縁された歯車とロータは、特に摩擦電気を通じて荷電されうる。もし2つの面が接触していて、それから分離すると、電子がこれらの面のうちの一方の面から離れる。その結果、一方の物体が負に荷電し、他方の物体が正に荷電する。もしこれらの物体が互いに電気的に絶縁されていないならば、電荷が、その次の接触で再び簡単に反転される。
【0017】
その一方でこれらの物体が、例えば酸化膜によって互いに絶縁されているならば、これらの電荷は反転され得ない。その結果、これらの物体は荷電される。
【0018】
同じ極性の電荷が反発し合う。このことは、これらの電荷を互いに可能な限り遠くに離す。この極性化 (charge separation)が小さいピニオン上で実施されるので、これらの電荷が大きい歯車の表面に分散するという可能性がある。そのため、このピニオンは、もはや荷電していないので、その次の分離の際に再び荷電されうる。この公知のバンデグラフ発電機は、この原理によって機能する。このようにして、ロータ10の表面を荷電するチャージポンプが起こる。ロータ10と歯車51との間の係合部分で1日当り約 7,000,000回噛み合い、そしてピニオン50と歯車61との間の係合部分で1日当り約 1,000,000回噛み合った場合、相当な電圧が、これによって発生しうることが分かる。
【0019】
こうして発生した電圧が、絶縁層の破壊電圧よりも大きいと、電荷が反転する。この場合、火花放電が電圧に応じて発生する。
【0020】
ロータ10がその他の腕時計機構から電気的に絶縁されているときは、このロータ10は、空気摩擦によって、既に上述したように極性化によって、又はロータ10の漂遊磁界に起因する歯車50−51内の電圧を誘導することによって荷電される。この電気的な絶縁は、地板30とロータ10との間の電気抵抗を測定することによって分かる。
【0021】
電気絶縁がもはや十分でない程度に、摩擦電気とロータの漂遊磁界によって又は摩擦電気によって若しくは漂遊磁界によって発生された電圧が大きいときは、放電を引き起こす。この放電は、噛み合い部分の火花放電となりうる。しかしながら、別の放電、例えばロータ10と地板30との間の直接的な放電も起こりうる。これらの放電は、腕時計機構内に以下の破損(損傷)を引き起こす:
・ 歯先が別の歯車の歯と決して接触しないにもかかわらず、歯車61(Inter1) のこれらの歯先は、非常に摩耗し、これらの歯先は激しく破壊されている。
【0022】
・ 比較的厚い酸化膜が、ピニオン50(Inter2) の表面に形成される。ここでも、歯先の一部が破損されている。しかも、摩耗の跡が、歯のフランク面に沿って目視可能である。
【0023】
・ Inter 1(60−61),Inter 2(50−51)及び発電機10のオイルが、一方ではオゾンの発生によって、他方では高い電圧と火花放電によって劣化する。
【0024】
・ 摩耗の跡が軸受41に残る。オイルが、小さな粒子によって満たされている。
【0025】
・ 歯車の歯が、摩耗粒子で汚されている。
【0026】
・ 止めねじが、オイル内の粒子によって激しく摩耗される。
【0027】
・ 止めねじが、オイル内のいろいろな化学物質によって化学的に腐食される。
【0028】
・ 電子機器81が、場合によっては放電によって妨害される。
【0029】
これらの問題は、まもなくしてから初めて発生するものの、腕時計機構は、少ししてから停止する。火花放電が一度発生すると、酸化膜が成長する。その結果、歯車が、摩擦電気によって荷電しやすくなり、常により大きな強度で破壊される。
【0030】
発電機で任意に使用される駆動電力が、必要な駆動電力よりも小さくなる程度に、劣化したオイルと宝石軸受内の汚れとによる摩耗が、少ししてから大きくなる。その結果、制御がもはや機能しない。
【0031】
歯車列内の歯車が荷電されうるか否かを調べるため、本発明によるこれらの実験は、走査型電子顕微鏡によって実施された。この工程では、電子ビームが、ロータ10の表面に焦点合わせされる。このロータが荷電され得るならば、このロータは、歯車列50,51,60,61,70,71を通じて地板30によって接地されていないことを意味する。すなわち、ロータが、地板に対して絶縁されていることを意味する。
【0032】
火花放電が、走査型電子顕微鏡内で観察され得る。このことは、ロータ10が電気的に絶縁されていることを示す。歯車列で目視可能な損傷は、何ヶ月もの摩耗試験後の腕時計内で発生する破損と非常に類似している。
【0033】
この従来の技術による小型発電機を有する腕時計機構の問題を解決するため、本発明の第1の実施形では歯車装置が接地される。これによって、ロータと歯車装置が電気的に荷電されうることが阻止される。歯車装置は、例えば噛み合い部分を通じて接地され得るか、又は例えば軸受内の軸を通じて若しくは軸のブラシ接触子によって接地され得る。
【0034】
第1の実施形とも組合わせ可能である本発明の第2の実施形では、極性化が阻止される。極性化の発生は、例えばほぼ等しい電気化学ポテンシャル及びほぼ等しい誘電率又はほぼ等しい電気化学ポテンシャル若しくはほぼ等しい誘電率を呈する複数の材料を使用することによって回避され得る。互いに接触しているこれらの材料がほぼ等しい表面特性を呈するならば、電子がこれらの材料の分離時に離れるという可能性は非常に小さい。それ故に、例えば優れた減摩特性と 200DHよりも大きい硬度を備えた材料又は表面が使用され得る。
【0035】
第1の実施形及び第2の実施形又は第1の実施形若しくは第2の実施形とも組合わせ可能である本発明の第3の実施の形態では、耐オゾン性のオイルが使用され得る。このことは、オゾンが火花放電によって時計機構内部で規則的に生成されたとしても、潤滑を障害なく保つことを可能にする。
【0036】
第1の実施形及び第2の実施形及び第3の実施形又はこれらのうちの少なくとも1つの実施形とも組合わせ可能である本発明の第4の実施形では、オイルを酸化に対して可能な限り良好に保護する宝石軸受が使用される。このことは、一方ではオイルが毛管現象によって軸受内に保持されるように、他方ではオイルがこの毛管現象によって酸素や場合によっては存在するオゾンにさらされていないように、この宝石軸受が可能な限り密閉されていることによって実現される。
【0037】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する:
図1は、本発明の腕時計機構内に装着された小型発電機の側面図である。この場合、本発明を理解するために必要な腕時計機構の部分だけが示されている。この腕時計機構は、(図示しなかった)バネの形態の機械的なエネルギー蓄勢器を有する。このバネは、(図示しなかった)巻取装置によって、又は特に腕時計をはめた人の腕が振れる時に回転する錘によって巻かれる。このバネは、(図示しなかった)従来の歯車装置を介して腕時計の各種の針や表示部、特に秒軸70に装着されている秒針を作動させる。
【0038】
秒軸70上に装着された秒歯車71は、第1中間ピニオン(Inter 1)を作動させる。この第1中間ピニオン60(Inter 1)は、第1中間歯車61を介して第2中間ピニオン50(Inter2) を作動させる。この第1中間ピニオン60とその軸は、例えば鋼又はその他の適切な金属から形成される;磁力が第1中間歯車に作用して、小型発電機が位置決めトルクの影響を受けないように、第2中間ピニオン50とその軸は、それとは反対に磁化不可能な材料、特に銅−ベリリウムの合金から形成される。
【0039】
第2中間ピニオン50は、第2中間歯車51とピニオン15を介して小型発電機のロータの軸10を作動させる。この軸10は、対称的な2つの衝撃吸収軸受31と軸受41との間で回転するように保持されている。第1衝撃吸収軸受31は、腕時計機構の地板30に接続されている一方で、第2衝撃吸収軸受41は、ブリッジ40に接続されている。
【0040】
ロータは、上板11と下板13を有する。これらの板は、軸10に動かないように連結されている。上板11の下面には、この例では6つの個別の磁石12がある。これらの磁石12は、この上板の外縁の近くに規則的な間隔で配置されている。下板13の上面には、6つの個別の磁石14が同様に設けられている。これらの磁石14は、上板の6つの磁石に対して対称に配置されている。
【0041】
ステータが、3つの誘導コイル20,21,22を有する。これらの誘導コイル20,21,22は、上板11と下板13との間に装着されている。小型発電機が、腕時計機構の地板30とブリッジ40との間に装着されている。このことは、発電機全体をコイルと一緒に隠蔽することを可能にする。
【0042】
図2は、小型発電機が装着された電子モジュール80の上面図である。小型発電機の3つの誘導コイル20,21,22が、この電子モジュール80上に搭載されていて、かつこの電子モジュール80の地点800と地点803との間に直列に接続されている。IC81が、この電子モジュール80上に搭載されている。この集積回路の目的は、小型発電機の回転速度を監視して、この小型発電機に作用しうる負荷抵抗の変動値を可変することによってこの回転速度を制御することである。
【0043】
上述したように、酸化膜が、歯車51と銅−ベリリウムから成るピニオン50上で形成しうる。この酸化膜は、これらの歯車をその他の歯車61,71と地板30から電気的に絶縁する。この問題は、特に腕時計機構が小型発電機を有する場合に発生する。何故なら、これらの歯車の間の力が非常に小さく、したがって係合部分の面圧力も非常に小さいからである。その結果、良好な電気接触が、これらの歯車の間で得られない。機械時計内の力とほぼ同じ大きさではあるものの、この場合には回転数を制御する回転錘(はずみ車)が螺旋コイル(誘導コイル)を通じて地板に電気的に接続されている。その結果、この回転錘は荷電され得ない。
【0044】
火花放電を引き起こしうる電荷が、上述した機構によって歯車とピニオンとロータ10に蓄積される。このとき、歯車が、これらの火花放電によってすぐに摩耗する。そして、腕時計機構内のオイルが、これらの火花放電を通じて生成されたオゾンによって劣化する。さらに、回路81が、火花放電によって妨害されうる。その結果、腕時計機構が正確に制御されない。
【0045】
これらの問題を回避するため、歯車51,61,71及びピニオン50,60,70のうちの少なくとも1つが、本発明の第1の実施形にしたがって接地される。特に非常に良好な電気接触特性を呈する材料又は膜が、これらの歯車に対して使用される。その結果、良好な電気接触を実現するために、強い面圧力を必要としない。
【0046】
ほぼ等しい電気化学ポテンシャル及びほぼ等しい誘電率又はほぼ等しい電気化学ポテンシャル若しくはほぼ等しい誘電率を呈する複数の材料が、歯車装置内で使用されることによって、極性化の発生が、本発明の第2の実施形にしたがって阻止される。互いに接触しているこれらの材料が、ほぼ等しい表面特性を呈するならば、電子がこれらの材料の分離時に離れるという可能性は非常に小さい。
【0047】
したがって特に極性化を阻止すると同時に、歯車間の面圧力が弱いときでも電気接触をも可能にする材料又は少なくとも1つの表面が、歯車及びピニオン50,51,60,61,70,71又はこれらのうちの少なくとも1つに対して使用される。
【0048】
特に、優れた電気特性を呈する材料が使用される。酸化膜が、この材料上で成長しない。しかも、この材料は、優れた減摩特性を呈する。例えば、より廉価な材料、例えば(ロータの磁場によって影響を受けない歯車とピニオン用の)プラスチック,CuBe,アルミニウム,黄銅や鋼から成る歯車とピニオンが使用され得る。次いで、これらの歯車とピニオンは、慎重に選出された材料で被覆される。その層厚は、特に1μm よりも小さい。その硬度は、200 DHよりも大きい。その被覆材料は、磁気を帯びていなくてもよく、母材上に良好に付着されなければならない。さらに、複数の材料が組み合わされて使用される。この組合わせでは、歯車の母材が被膜部分へ拡散しない。この被膜部分は、例えば金,金合金又は導電性の酸化物から形成されてもよい。しかし、完全に金,銀,導電性材料,セラミック,導電性プラスチック又は類似の良導電性材料から成る歯車又はピニオンを使用してもよい。
【0049】
電気接触が良好であるように、歯車とピニオンの噛み合い部分は、エピラムで被覆してはいけない。何故なら、このエピラムは、絶縁体のように作用するからである。
【0050】
本発明によれば、歯車装置を軸を通じて接地してもよい。一般に、良導電性のルビーが、軸の軸受用に腕時計産業において使用される。しかし、本発明の変形では、優れた減摩特性を呈する一方で、さらに導電性でもある軸受材41が使用される。すなわち、歯車装置を軸受を通じて接地してもよい。
【0051】
本発明の好適な変形では、歯車装置を軸受を通じて接地することができるように、例えば導電性のグリースやオイルの形態をした潤滑剤が軸受内で使用される。
【0052】
さらにこの発明によれば、使用されるオイルは耐オゾン性でもある。その結果、たとえ火花放電が発生したとしても、潤滑剤がより長期間にわたって損なわれない。乾燥フィルム潤滑剤(dry-film lubricant)を使用したり、又はオイルと乾燥フィルム潤滑剤の混合物を使用してもよい。
【0053】
本発明の好適な変形では、酸素やオゾンに起因する酸化からオイルを可能な限り良好に保護する宝石軸受又はルビーが使用される。このことは、一方ではオイルが毛管現象によって軸受内に保持されるように、他方ではオイルがこの毛管現象によって酸素や場合によっては存在するオゾンにさらされていないように、宝石軸受が可能な限り密閉されていることによって実現される。
【0054】
通常の時計オイルが使用される場合には、特別な宝石軸受を軸受に対して使用するという可能性がある。オイルが全方位からの酸化から可能な限り保護されているように、これらの宝石軸受は構成されている。このような軸受要素は、特に小型発電機,Inter 1及びInter 2用に使用され得る。試験が、KIF Parechoc株式会社の宝石軸受 Duofix, Duobil 及び Duokif で実施された。これらの宝石軸受は、密閉宝石軸受である。これらの密閉宝石軸受は、オイルをほぼ密閉された空間内に保持する。このような軸受には、オイルが、毛管現象によって通常使用される宝石軸受と比較してより良好に軸受内に保持され、染み出るという可能性が非常に小さいという利点がある。
【0055】
したがって、Fomblin Z 25のような、例えば過フルオロされたオイルのように、表面張力がそんなに大きくないオイルも使用できる。
【0056】
本発明は、歯車が腕時計機構内で接地されているか否かが検査され得る試験方法にも関する。このとき、各種の材料と被膜部分が、この試験方法によって試験され得る。試験される腕時計機構が、走査型電子顕微鏡内で電子によって衝撃を与えられる。この場合、接地されていない部分が荷電される。所定の部分、例えばロータとピニオン及び歯車又はピニオン若しくは歯車50/51が、地板又はその他の要素から電気的に絶縁されているならば、歯車列内の或る場所の電圧が火花放電を引き起こす程度に十分高くなるまで、これらの部分が荷電される。僅かな損傷がこの場所で発生する。このようにして、歯車が接地されているか否かが確認され得る。腕時計機構が、走査型電子顕微鏡内で所定の期間申し分なく良好に作動し、損傷がこの試験後に歯車で発見できないならば、これらの歯車が、電気的に互いに接続されていること意味する。
【0057】
本発明の試験方法のもう1つの実施形では、電荷が、接触なしにロータの表面に付着される。この場合、一方の電極が地板30に接続され、かつ他方の電極がロータ10,11,13に対して可能な限り近くに位置決めされることによって、高電圧源が腕時計機構に接続される。火花放電がこのロータで発生するならば、このロータは荷電される。ロータと歯車列が電気的に接地されているならば、これらの電荷が腕時計機構内で分散し、火花放電が互いに係合している歯車間で発生する要因がなくなる。したがって、損傷をこれらの歯車の表面で見つけることはできない。しかしながら歯車が電気的に互いに良好に接続されていない場合には、火花放電が噛み合い部分で発生しうる。この場合には、歯車が損傷を受ける。
【0058】
本発明の試験方法のもう1つ別の実施形では、ロータと地板との間の抵抗が測定される。この場合、複数の歯車が係合していて、その係合している面圧力が、定格運転に対して必要である面圧力にほぼ一致するように、バネを巻く必要がある。しかしながら、ロータは、機械的に強く荷重されてはならない。何故なら、対衝撃要素がさらに偏向されて、ロータの軸が地板に電気的に接続されるからである。1本の細い導線で測定するのが最も良い。ロータが、この導線と接触する。この場合、ロータは、導線との接触によって静止されなければならない。
【0059】
本発明は、これらの試験方法によって試験された腕時計にも関する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 腕時計機構の歯車装置と小型発電機の一部の断面図である。
【図2】 小型発電機とそれに付随する電子機器を有するモジュールの上面図である。
【符号の説明】
10 発電機,ロータ,軸
11 発電機,ロータ,上板
12 磁石
13 発電機,ロータ,下板
14 磁石
15 ピニオン
20 誘導コイル
21 誘導コイル
22 誘導コイル
30 地板
31 第1衝撃吸収軸受
40 ブリッジ
41 宝石軸受,第2衝撃吸収軸受,軸受材
50 歯車列,軸,歯車,ピニオン,第2中間ピニオン
51 歯車,歯車列
60 歯車列,ピニオン,第1中間ピニオン
61 歯車,歯車列,第1中間歯車
70 歯車列,ピニオン,秒軸
71 歯車,歯車列,秒歯車
80 電子モジュール
81 電子制御回路,電子機器,IC,回路
85 水晶発振器
800 地点
803 地点
Claims (11)
- 小型発電機(10,11,13)のロータが複数の歯車(51,61,71)及びピニオン(50,60,70)を介したバネによって駆動され、この小型発電機の動作は、電子制御回路(81)によって制御される腕時計機構において、
前記歯車,ピニオン及び小型発電機は、電気的に永続して接地されていてかつオイルがこれらの歯車,ピニオン及び小型発電機で使用される腕時計機構。 - 少なくとも特定の歯車(51,61,71)とピニオン(50,60,70)が、磁化不可能な材料から製造される請求項1に記載の腕時計機構。
- 噛み合う歯車(51、60,70)及びピニオン(50、60,70)は、噛み合う歯車を介して接地されている請求項1に記載の腕時計機構。
- 前記歯車(51)及び/又はピニオン(50)の少なくとも1つが、良導電性の材料で被覆されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の腕時計機構。
- 少なくとも1つの噛み合い部分が、エピラムで被覆されていない請求項3に記載の腕時計機構。
- 前記歯車(51,61,71)及びピニオン(50、60,70)の少なくとも1つが、軸を介して接地されている請求項1に記載の腕時計機構。
- 前記軸は、宝石軸受(41)を介して接地されている請求項6に記載の腕時計機構。
- 前記軸は、滑り接触を介して接地されている請求項6に記載の腕時計機構。
- 耐オゾン性油が、腕時計機構に使用されている請求項1に記載の腕時計機構。
- ドライ油膜潤滑が、腕時計機構に使用される請求項1に記載の腕時計機構。
- 油を酸化から護る軸受を有する請求項1に記載の腕時計機構。
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