JP4194671B2 - ステープル留め用の複数衝撃モータ駆動装置 - Google Patents

ステープル留め用の複数衝撃モータ駆動装置 Download PDF

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  • Dovetailed Work, And Nailing Machines And Stapling Machines For Wood (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気モータ制御器に関する。より詳しくは、本発明はステープル及び類似のものを打ち込むためにモータで複数の衝撃を発生するのに複数の電力パルスを使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、複数の紙シートの自動的なステープル留めを改善する要望の結果として開発されたものである。複数の紙シートは、電子写真式プリンタのような紙を扱う機械の動作結果として提供される。紙を扱う機械は通常紙を、印刷のような第1の処理を通過させ、その後紙を出力ステーションに排出する。多くの場合、プリンタまたは他の紙を扱う機械が複数のシートを一緒にステープル留めすることが便利である。
【0003】
本発明は、更に大きい紙を扱う機械には関連しないステープラを含む、広範な用途で使用することができるが、本発明を電子写真式プリンタに関連して説明することにする。プリンタは「メールボックス管理(mail boxing)出力装置」を備えており、これでプリンタの出力をカテゴリ別に分類できる。メールボックス管理は印刷ジョブを分離するのに充分な場合がある。他の場合には、ステープル留め印刷ジョブがプリンタの出力オプションの1つになるように、ステープル留め印刷ジョブのオプションを提供することが有利である。
【0004】
ステープル留め動作は、最初に紙を押してスタックを圧縮することから構成されることがわかっている。次に紙に穴が開けられるが、これは用紙のスタックを貫通してステープルを用紙のスタックに打ち込ことからる。穴開け動作の後、ステープルの先端は折り畳まれ(clinch)、この場合、ステープルの両端をコレットとして機能する端止めに突き当てることで、ステープルの両端は折り畳まれる。押圧、穴開け、及び折り畳み(クリンチ)動作は、同じ一つのによって行われる点で、実質的に連続的なものである。その他、固定コレットが使用されているため、ステープルはクリンチ動作中に、紙を通って打ち込まれ続ける。たとえ実際の穴開け動作が完了しても、クリンチ動作中は、紙はステープルに対して摩擦を与え続ける。従って、1つの機構が典型的に圧縮、穴開け、及びクリンチ動作を発生させる。
【0005】
圧縮動作を、更に3つの機能に分離することができる。ステープラ・モータは最初に、駆動装置をホームポジションから加速してステープラ・ヘッドを紙スタックと係合させなければならない。次に紙は軽く押し下げられる。これは通常、ステープルが案内されるスリーブによって達成される。ステープルは次にステープルが紙と係合するよう紙を圧縮し続けるが、これはステープルを貫通させようとする位置で紙が更に圧縮されることを意味する。押圧動作の段階の間の主な相違点は、最初に押圧が、圧力を紙のスタックに加えるステープル案内によって行なわれ、次に紙をステープルに係合させるステープル駆動機構の結果継続されるということである。
【0006】
ある形式のステープラは、ギヤを駆動する電気モータ及びステープル・ハンマを駆動する空動き機構を使用している。電気モータは原動機であり、ステープル・ハンマはステープラを打ち込む駆動装置として機能する。モータが電気的に作動すると、ステープル案内によってハンマがステープル供給の先導ステープルの上に落下する。ステープル案内は、ハンマを紙のスタックに向けて落下させ、ステープルを紙のスタックに対して案内し続ける。ハンマは、ステープル位置から遠く離れるようばねでバイアスされる。
【0007】
リニアモータ電気ステープラのステープラ・サイクルは、ハンマの移動がリニアモータの移動に比例していること以外は、同様である。
【0008】
電気ステープラの動作の際に、ステープラの使用に対して予想される紙の最大厚さにわたってステープラを打ち込むのに充分な電力を与える必要がある。今の場合、75g/m2(20lb.)のコピー用紙または105g/m2(28lb.)のタイプ用紙のような厚さ0.13mm(5.1ミル)の紙20枚を貫通することを意図している。シートの最大量は用途により変わることがあるが、今までは、大量のシートを貫通する能力はステープラの最大消費電力、従ってステープラの力に大きく依存していた。更に大量の貫通を行いたければ、更に大きいモータ及び更に大きい電源が必要であった。
【0009】
特定のある装置では、電源を出力分類機構に使用しているが、電源は特定の紙を扱う機械によって変わることが予想される。ステープラが厚い紙を貫通するように設計されている場合、2ないし4枚の標準重量の紙のような、小さいスタックに実質的痕跡または「足跡」を残す傾向もあった。紙の上の痕跡を減らすことが要望されることは多い。
【0010】
最大消費電力を増大させるには、電気制御装置の場合、電源が大きな電流を処理できる必要がある。ステープラへの配線は大きな負荷を処理するようにサイズ調整されなければならない。ステープラが電子写真式プリンタの他の主要エネルギー消費要素と同時に動作する場合、その線の電力はステープラの追加電流消費を供給するのに充分なものでなければならない。最大容量未満で使用するときステープラが軽い痕跡を残すものであれば、電源がステープラの衝撃を適切に調整できなければならない。これは、ステープラが厚い紙のスタックに対して充分な衝撃を与えるように設計されていれば、一層困難なものになる。
【0011】
容量の大きいステープラを提供するには、より重い装置と関連する費用が必要になる。
【0012】
電気機械の衝撃を増大させるために、種々な機械装置が使用されてきた。これらはその機構を一層複雑にする傾向があり、多くの場合雑音を増大させる。理想的には、プリンタ出力でシートの実質的厚さを貫通できるステープラは、ステープラ留めが頻繁に使用される機能であっても、オフィス環境で受け入れ得るほど充分に静かなものであるべきである。換言すれば、大工の鋲打ちハンマのような音を出すことはプリンタのステープラとして受け入れられない。
【0013】
ステープルが紙のスタックを貫通して完全に打ち込まれた後でのみクリンチ動作を開始することも可能である。このようにすると、ステープル下方に打ち込む際に金属ステープルを動かすことにより消費される電力は低減されるが、クリンチ動作が別々に行なわれるという点でステープラの複雑さクリンチ動作をステープル留めの最後に開始するようにすれば、ステープルの折り畳み部分は連続的で丈夫なものにすることができ、且つ同時にステープル取外し工具で握りやすいものにすることができる。
【0014】
ステープル留めサイクルを完了するのに必要な時間を大きく増大させずに、ステープラの最大容量を増大させることが望ましい。ステープル留めサイクルを完了する時間は、電子写真式プリンタでの印刷時間サイクル全体と比較して重大ではないが、ステープル留めの付加時間は、しばしばユーザがプリンタの傍で待っている間、ユーザによって注目される。従って、この時間を延長すべきではない。
【0015】
プリンタに使用するための特定のステープラ機構を選定するにあたり、我々はステープラに適応するようプリンタの出力を設計する便利さ及び消費電力を考慮する。ステープラがその電力を現存の電源から受けるのが有利である。ステープラを更に高い電流で駆動することが可能であるが、これには更に大きい電源またはコンデンサのようなエネルギー貯蔵装置を設けなければならなくなる。上述のように、より大きい電源の提供によって、必要な電力処理容量を提供する結果、費用が増大する。その他に、電源が大きくなればプリンタの、及び恐らくはプリンタ全体のプリンタ出力機構の全消費電力が著しく増大する可能性がある。エネルギー貯蔵装置の場合には、コンデンサまたはバッテリの必要なサイズの結果として費用が増大する他、適切なスイッチング回路が必要である。
【0016】
ステープラの容量は、ステープラの「ギヤを下げる」ことによって更に大きな力を加えるようステープラを設計し直すことによって増大させることが可能である。これによってステープラの動作はより遅くなる。この、より遅い動作は、特定のステープル留めのジョブが追加の力を必要とするかどうかに拘らず、全てのステープル留めのジョブに影響する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自動ステープラで貫通できるスタック化された紙の最大厚さを増大させることである。本発明の更に他の目的は、比較的小容量の電気モータを使用し、スタック化された紙の大きな厚さを貫いてステープルを打ち込むようモータの能力を増大させることである。これをステープラのピーク電流または消費電力を増大させずに行なうことが望ましい。比較的小さな紙のスタックをステープル留めするよう最適化されて設計され、かなり厚いスタックを貫通させることができるステープラを提供することが更に望ましい。これによって装置の費用が比較的小さいスタックをステープル留めするのに必要な程度にまで概ね低減され、小さいスタックに対するステープル留めの処理を最適にし、しかもかなり厚いスタックに関してステープル留めの動作を行なうことができる。
【0018】
小さい紙のスタックばかりでなく大きい紙のスタックを、適切な力を各々に加え、選択的にステープル留めする能力を備えたステープラを提供することが更に望ましい。ステープラの複雑さを著しく増大させることなく、制御回路の複雑さを著しく増大させることなく選択的にステープル留めすることが望ましい。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ステープラは、比較的厚い紙のスタックを貫通するために複数回パルスが加えられる電気モータによって駆動される。パルスはそれぞれが、所定の薄い紙のスタックに関するステープル留めサイクルを完了し、結果的に薄いスタックに関するサイクルを完了するステープラを生ずるに充分な持続時間であることが好ましい。モータには所定のEMF及び所定の最大電流で電力を加えることによってパルスが与えられる。
【0020】
小さな紙のスタック用に最適にサイズ調整されたステープラを選定することによって、より厚い紙のスタック用の容量を増大させる能力を提供するのに必要な大きな費用は、容量の更に大きいステープラまたは電源を設けることに関連する費用を回避することによって相殺される。
【0021】
1つの特定のステープラでは、モータは、0.13mm(5.1ミル)、75g/m2(20lb.)の紙2ないし10枚をステープル留めする通常動作に関して、24ボルトで1.3A(アンペア)の電流が必要であった。パルスの持続時間は370-400msである。0.13mm(5.1ミル)、75g/m2(20lb.)または105g/m2(28lb.)の紙20枚を貫通するために、第2の電流パルスが加えられる。これによって、ステープラが貫通できる紙の厚さが増大する。パルス間のタイミングを選択することによって、紙が圧縮されたままになり、続くパルスが紙を更に貫通させる。このようにして、より厚い紙のスタックを貫通するために、2つ以上のパルスが加えられる。
【0022】
第2のパルスは時間をより多く消費するが、それは1つのパルスがステープル留めのジョブを完了するのに適さない場合に、第2のパルスを加えることが必要なだけである。従って、ステープル留めに必要な時間は、紙の比較的厚いスタックをステープル留めするときに限って増大する。
【0023】
貫通しようとするスタックの厚さは、貫通動作中真直ぐのままになっているステープルの物理能力によって、及びモータの連続パルスにより加え得る力に近づくかまたは超過する可能性がある紙の大きな摩擦によって制限される。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は図1ないし図3に示すステープラ機構11に関する。好適実施例では、ステープラ機構11は図1に示すようにプリンタの出力分類機13で使用されている。出力分類機13は複数の出力トレイ17を有している。シート媒体は通常、プリンタによって処理される紙であるが、異なる出力トレイ17の中に選択的に排出される。この構成によってプリンタは、「メールボックス」出力を備えることができ、それによって、印刷シートを異なるスロットに選択的に配置できる。
【0025】
本発明のステープラは、出力分類機13の一部を形成しているが、本発明をプリンタまたは出力分類機13から分離して実施することも可能である。ステープラは、ステープラ支持体25に取付けられた本体23を備えている。ステープラ支持体25は、出力分類機13の第1の出力トレイ19に取付けられることが好ましい。これは、ばらばらのシート群であるものとは反対に、ステープル留め印刷ジョブが定義によって予め束ねてあるため有利である。
【0026】
代替案として、ステープル留め印刷ジョブが出力トレイ17のいずれかに排出されるようステープル留め機能を提供することが可能である。また、ステープラ支持体25を、出力分類機13がシート媒体をプリンタから受取るように出力トレイ17と整列する場合に、ステープラ支持体25がその特定のトレイ17と整列するように、整列させて設置することができる。その場合、トレイ17が印刷されたシート媒体を受け取ると、スタック化された印刷媒体はステープラ機構11の下に整列される。
【0027】
図2は本発明の好適実施例で使用される典型的な電気ステープラ機構11を示す。好適実施例では、ステープラ本体23は、ステープル留めの動作が排出トレイ17から同じ角度での移動によって行なわれるように、排出トレイの上方にある角度で設置される。従来通り、トレイに向かうモータの移動方向を「下向き」、トレイから遠ざかる方向のモータ移動を「上向き」であるとする。しかし、「上向き」及び「下向き」のこれら基準は、排出トレイの角度だけ、垂直とは異なっている。本発明は、排出トレイの位置に直接依存していないので、その角度は最大360゜まで変化することができる。
【0028】
ステープラ本体23は、モータ31及びギヤ33、34、35を収容し支持している。空動きレバー37がスロット39を通るピン38によって駆動され、レバー37は次にハンマ41を駆動する。ハンマ41は下向きの移動でグリップばね43と係合し、これは次にグリップ45を紙のスタックに対し下方にバイアスする。紙のスタックはスタック47として表してある。
【0029】
ハンマ41は、戻しばね49によって上方にバイアスされている。戻しばね49は、ハンマ41をそのハンマが図2に示す静止位置に戻った位置に支持する。失敗サイクルまたはサイクルの完了に関して予想された期間を超えるサイクルの場合のように、モータ31への電力を中断することが可能である。戻しばね49がなければ、ハンマ41は静止位置以外の或る位置に留まることになる。戻しばね49はハンマ41を静止位置に戻す。戻しばね49はまた、空動きレバー37及びギヤ35を対応する静止位置に動かす。ギヤ33、34は必らずしも静止位置に固定される必要はなく、ギヤ35がその静止位置に到達するまで回転する。ばね43及び49を明瞭にするため、紙のスタックの上方に示してある。好適実施例では、ばね43、49は紙のスタック47から離れて設置されている。
【0030】
ステープルをスタック47を通って下方に打ち込むことは重要なことである。コレット51がハンマ・ヘッド41とは反対側の排出トレイ上に取付けられている。これはステープルが紙を貫通してからステープルを受取るステープラの一部である。コレット51のグローブは、ハンマ41がステープルを下方に押し続ける場合にステープルを折り畳み、それによってステープラ11が「留め」動作を完了できるようにする。
【0031】
ステープラ11はその目的を、ハンマ41を駆動するモータ31の力の結果達成する。好適実施例では、モータ31はDCモータであるが、ACモータを提供することも可能である。モータの挙動は次式に従う。
ind=KΦIA (1)
A =KΦω (2)
A =(VT-EA)/RA (3)
ここで、Tindは誘導されたトルクであり、IAは磁気コイルの電流であり、EAは誘導されるEMF(電圧)であり、ωは角速度であり、VTは印加EMF(電圧)であり、RAは磁気コイルの抵抗である。
【0032】
ωを、所定負荷(Tload)に関する、VTにおけるモータ31の速度とする。Tloadが増大すれば、ωが減少し、これによってEAが減少する。このことは式(2)に示されている。安定状態では、Tind=Tloadである。これは式(1)に示してある。IAが状態Tind=Tloadを達成するほど十分に増大されない場合、失速状態が生ずる。その場合には、Tind<Tloadの状況であり、モータ31は、ステープラが失速し、それ故もはやステープル留めの機能が進行しない状態にある。
【0033】
従って、負荷が時間の経過と共に離散的に増大すれば、電流はこの挙動に追随し、モータはTindがステープルを動かすのに必要なトルクより小さくなるまでステープルをハンマで打つことができるようになる。ステープル留め動作の各ステップが行なわれている時、電流の需要は、前のステップが既に終わっていても増大し続ける。これは、たとえ前のステップがモータを減速しても、モータは電気的誘導反作用(inductive reaction)を発生するからである。(インダクタは急激な電流変化を排除する)。
【0034】
好適実施例でステープラ機構11に供給される望ましい最大電流は1.34アンペアであることが確認された。この電流レベルは、既存の電源がステープラ機構11を動作させることができるようにするため選択された。この電流はパルス持続時間370-400msの間加えられる。
【0035】
モータ31へのこの電力の供給は、0.13mmで、75g/m2(20lb.)のコピー紙または105g/m2(28lb.)のタイプ用紙20枚をステープル留めするには充分でないことが分かった。留めの動作を完了するためにパルスの持続時間を延長することができるが、スタックが充分厚ければ、モータは失速し、ωは0になるであろう。その結果、370-400msの時間を延長してもステープル留めの動作は完了しない。20枚のシートをステープル留めするためには、モータ31への電流を中断した後、第2のパルスを加える。
【0036】
図4はモータに供給される電流を、電流の中断を含め、時系列に示している。370-400msの時間の終わりにモータ31(図2及び図3)への電流を中断することによって、モータ31は再び始動することができ、それによってハンマ41が再びステープルを打ち、モータ31は0より大きいωの値で再び動作することが分かった。電流の中断によってモータ31は2回付勢される。これによってハンマ41が複数の打撃を効果的に行なう。
【0037】
このパルスは、図3に示すように、ギヤ35が通常のサイクル時間で完了したステープル留めの動作に対応する目標または「ホーム」ポジションに到達しない場合に加えられることが好ましい。ギヤ35が「ホーム」ポジションに到達しない場合、この機構はモータを遮断(deenergize)してから、最終的にギヤ35を図2に示す始動または静止位置に戻すことができる。
【0038】
0.13mmで、75g/m2(20lb.)のコピー紙または105g/m2(28lb.)のタイプ用紙20枚をステープル留めするために、第2の電流パルスをステープラ機構11に加える。このパルスは、電機子32が正常サイクル時間で、図3に示すような、ステープル留め動作の完了に対応する目標位置に到達しない場合に加えられることが望ましい。好適実施例では、このサイクル時間は370-400msのパルス持続時間である。
【0039】
我々の実験では、誤差に対する余裕をみて21枚のシートを使用し、22ボルトを供給した。これは、24ボルトで最大1.3アンペアの供給電流を与える時に、ステープラが20枚のシートを貫通できるということを保証する。
【0040】
ハンマ41が正常サイクル時間に目標または「ホーム」ポジションに到達しない場合、モータ31への電流を中断し、ハンマ41を、図2に示すように、静止位置に戻すことができる。好適実施例では、これはハンマ41に空動きレバー37及びギヤ33、34、35の後方への駆動を許可することによって行なわれるが、ハンマ41がその目標位置に到達できたかどうかに拘らず、モータ31にそのサイクルを完了させるようステープラ機構を設計することが可能である。
【0041】
図3に示す「ホーム」ポジションは、カム57によって制御されるカム動作スイッチ55によって検知される。カム57はギヤ35上に設置されているので、スイッチ55はギヤ35が完全に回転しているのを検知する。ギヤ35の完全な回転は、完全なステープル留めサイクルが成功裡に行なわれたことを示す。
【0042】
ハンマが図2の静止位置に完全に戻る必要はなく、単にハンマ41がステープルとの係合から充分後退してモータ31を再始動させ、ステープルとの再係合の前に相当な速度にする必要がある。
【0043】
好適実施例では、電流の中断の時間は予想サイクル時間と合致するように決められており、これは好適実施例では400ms最大パルス持続時間である。カム57が この予想サイクル時間後に「ホーム」ポジションに到達してい場合、モータ31への電流を中断してハンマ41を紙のスタック47との係合から引き離す。電流をモータに(ハンマ41を下方に打ち込む正しい位相で)再び供給してから、ハンマ41がスタック47と再び係合する。
【0044】
ハンマ41またはステープラ機構11またはステープルの他の構成要素の実際の戻り位置を検知できる代替案がある。ハンマ41を静止位置に戻すことによって、始動時にステープルによって加えられたモータ31の負荷は取り除かれる。
【0045】
モータ31はインダクタとして作用する。従って、電流が中断されると、モータ31は無電力状態と一致する速さで直ちに戻ることはない。モータ31の誘導特性の結果であるわずかな「逆EMF」が存在し、モータ31が付勢された時に形成された電磁界が結果として崩壊する。その結果、モータ31に供給される電力が中断されると、電磁力がモータ31に存在し続ける。(電流は、使用する特定のスイッチング回路によるが、流れ続けることができる)。これはモータがばねによって動かされることから生ずる誘導及び誘導EMFの結果である。図4を参照すると、連続する打撃の間の時間には、付勢されたままになっているモータ31により生ずる時間遅延が含まれている。
【0046】
図4及び図5はステープラ・モータ31に加わえられる電流を時系列に示している。図4においては、電流の最初の印加によってグラフの71の位置に電圧スパイクが生ずる。EMFが下がってから、EMFはステープラ11が紙のスタック47(図2、図3)に係合する時に増大する。このEMFの増大は73で見られる。モータ31は、Tindがステープルに紙のスタック47を貫通させるのに不充分である場合、失速する。これは75の位置に示してある平らなスポットである。(その時間中モータ31にいくつかのわずかな動きがあり得るが、これはスタック47の貫通を保証するのに充分ではない)。
【0047】
75で示すような、ある期間の後で、モータへの電流が76で示すように中断され、次に77で示すように再び加えられる。モータ31は、78で示すように再び失速し、79で示す第3の打撃を必要とする。この例では、モータ31は失速せず、第3の打撃79の時点でより低いEMFが測定される。
【0048】
図5において、電流がモータ31に加えられると、グラフ位置83に示す失速状態が生ずる。次にモータに加えられる電流の位相を反転すると、85に示す0ボルト状態が生ずる。86(モータ31が再始動する)及び87(ハンマ41がステープルを打つ)で示す第2の打撃は、紙のスタック47を貫通する。
【0049】
図5のグラフ位置85で示すように、この逆EMFによって生ずる時間遅延を減らすために、モータに加えられるEMFの位相が反転される。これによってモータ31の静止位置への戻りが速くなる。EMFを反転された位相で加えると、反転された位相EMFの結果電流が反対方向に流れるので、モータ31への電流の中断が促進される。従って、本発明の意味において、位相の反転はモータへの電流の中断と一貫性があり、モータへの電流の中断の一部をなしている。好適実施例では、電流の中断は4個のトランジスタから成る「H」ブリッジによって行なわれるので、印加されたEMFの位相は中断中に反転される。
【0050】
電流の中断の結果、前記中断後の後続時間にエネルギーを加えると、モータ31上の負荷が軽減される。電流の中断によってモータ31が反転し、それによってモータ31上の負荷が軽減される。負荷が軽減されるとモータ31は、電流がモータ31に(EMFが反転されずに)再び供給された場合に、前記軽減された負荷のもとで再始動することができる。
【0051】
ハンマ41が静止位置に戻った後、後続のサイクルを完了するために、電流パルスが再び供給される。所定数の試行の後、ステープル留めの動作が完了しなければ、モータへのパルス供給が中止される。好適実施例では、モータには最大2回パルスが供給されるが、3回の試行を行ないうることも考えられる。試行の数は、折り畳み不良のステープルを回避する必要性を考慮して、経験的に決定される。
【0052】
モータ31は、モータ31への電流が中断されてから再始動される。この後続の始動時でのモータ上の負荷は、主としてばね43、49及び機構の運動量及び摩擦から構成されている。ハンマ41がステープルと再び係合すると、モータ31は軽負荷のステープラ機構の動作に対応する動作速度ωにある。
【0053】
その結果、ハンマ41が中断後ステープルと係合すると、ハンマは無負荷状態と一致する下向き速度を有する。モータ31は、力をハンマ41に提供するための最適速度で動作している。ハンマ41も、ハンマ41の運動量の結果ステープルに追加の力を提供する。
【0054】
モータ31に2つの順方向パルスを加えると、20枚の105g/m2(28IB.)のタイプ用紙を1.3Aの有能電流(available current)でステープル留めできることが分かった。追加パルスは時間ペナルティを課すが、これは1.3Aの最大電流の単一パルスを使用して20枚を貫通することができるステープラの時間ペナルティのものとほとんど同じであると考えられる。その上、時間の増加は、第2の打撃が必要な場合にのみ見られる。
【0055】
有利にも、ステープラによって加えられる力が小さいと、ステープル留めされた紙のスタックには、必要な打撃が1つだけである場合の小さな痕跡が残る。これは常に重要なものとは限らないが、それほどしっかりとステープル留めされていないステープル留めシートを得ることが望ましい場合がある。小さい力を加えられたステープルは特に、「留め」動作に関して除去しやすくなり且つシートに与える損傷が低減される傾向にある。比較的厚いスタックに関するステープル留めの動作を完了するのに必要な追加の力を、比較的厚いスタックのみに加えることによって、しっかりしたステープル留めは比較的薄いスタックに関してもより最適なものになる。
【0056】
以上の説明は特に、プリンタの出力機構に使用されるステープラを駆動する回転モータの好適実施例に関している。本発明の原理を他の用途に使用することも可能である。一例として、本発明の技法をリニア電気モータまたは空気モータ(pneumatic motor)でステープルを打ち込むのに使用することが可能である。この技法をインパクトレンチのような他のタイプの出力に使用することができる。従って、本発明は特許請求の範囲によって限定されるものである。
【0057】
以下に本発明の実施態様を列挙する。
【0058】
1. ステープルを媒体の中に打ち込む動力ステープラを動作させる方法であって、前記方法が、
a.ステープル駆動装置にステープル留めを開始させる原動機にエネルギーを加えるステップ、
b.原動機に加えられるエネルギーを中断させるステップ、及び
c.ステープル駆動装置がステープル留め動作を完了しない場合、前記中断後の後続する時間に原動機にエネルギーを加え、それによてステープル駆動装置に更にステープル留め動作をさせるステップを含むことを特徴とする、前記方法。
【0059】
2. 失速状態に応答して原動機への電流を中断し、前記中断が原動機上の機械的負荷を減衰させるステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【0060】
3. a.ステープラに供給される前記エネルギーが、ステープル留めに対して所定の抵抗を有するステープル媒体に、充分な力を提供するステップ、
b.後続の時間の前記エネルギーの印加が、ステープル留めに対して前記所定の抵抗より大きい抵抗を有するステープル媒体に、充分な力を提供するステップ、及び
c.ステープル駆動装置がステープル留めの動作を完了する場合に、後続の時間に前記エネルギーを加えず、それによって、媒体がステープル留めに対して前記所定の抵抗を超えない時に媒体に生じる痕跡を低減させ、一方ステープル留めに対して前記所定の抵抗より大きい抵抗を有するシート媒体に関して追加のエネルギーを消費可能なステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
4. a.ステープラが原動機として機能する電気モータを含むステップ、
b.前記エネルギーを加えるために前記モータに電流を供給するステップ、及び
c.前記モータに供給される電流を中断することによって前記エネルギーの中断を達成するステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【0061】
5. a.電流を前記電気モータに供給するステップ、
b.前記電気モータへの電流を中断するステップ、
c.前記電流の中断に応答して電気モータ上の機械的負荷を低減させるステップ、及び
d.前記電気モータの動作を継続する場合に、前記中断後の後続の時間に電気モータに電流を供給するステップを含む、電気モータを動作させる方法であって、
低減された負荷によってモータが、前記電気モータへの電流が中断された場合よりかなり小さい機械的抵抗で、後続時間での動作を開始できるようにし、それによってモータを連続動作により到達するであろう位置を越えて前進させることを特徴とする、前記方法。
【0062】
6. 前記移動の開始後、電気モータの失速状態を検知し、前記失速状態の検知に対して前記電気モータへの電流の前記中断で応答するステップを更に有することを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【0063】
7. 前記電流の中断中、電流を反対方向に流すステップを更に含むことを特徴とする、請求項4、5、または6に記載の方法。
【0064】
8. a.電気モータ、
b.前記電気モータの付勢に応答するステープル留め機構、
c.ステープル留め機構によって、ステープル留めの動作が成功裡に完了したことと一致する状態を検出するセンサ、及び
d.前記電気モータに電流を供給する制御器であって、前記モータへの前記電流の中断によって、検知状態がないことに応答して、前記ステープル留め機構の負荷を低減された後、前記電流を再び供給する制御器を含むことを特徴とする、電気ステープラ。
【0065】
9. 前記電流の前記中断中に、モータに電流を逆位相で加える制御器を更に含むことを特徴とする、請求項8に記載のステープラ。
【0066】
【発明の効果】
本発明によって、より厚い紙のスタックが、薄いスタックに関して最適化されたステープラで好適にステープル留めされる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステープラが本発明の好適実施例の場合のように設けられている、プリンタの出力部を示す図である。
【図2】本発明の好適実施例に使用するステープラ機構の構成を示す図であり、この図では、ステープラの駆動装置は静止位置にある。
【図3】ステープラの駆動装置がステープル留めの動作の完了に一致する「ホーム」ポジションにある、図2のステープラ機構を示す図である。
【図4】複数の打撃能力を達成するために、ステープラに供給される電流をグラフで示した図である。
【図5】複数の打撃処理を促進するために位相の反転を行なっている、ステープラに提供される電流をグラフで示す図である。
【符号の説明】
11 ステープラ
13 出力分類機
17 出力トレイ
31 原動機
33ないし45 ステープル留め機構
41 ステープル駆動装置
47 ステープル留め媒体

Claims (9)

  1. ステープルを媒体に打ち込む動力ステープラを動作させる方法であって、
    a.ステープル駆動装置にステープル留めを開始させる原動機にエネルギーを加えるステップと、
    b.原動機に加えられるエネルギーを中断させるステップと、
    c.ステープル駆動装置がステープル留め動作を完了しない場合、前記中断後の後続する時間に原動機にエネルギーを加え、それによてステープル駆動装置に更にステープル留め動作をさせるステップと、
    からなるステープルを媒体に打ち込む動力ステープラを動作させる方法。
  2. 失速状態に応答して原動機への電流を中断し、前記中断が原動機上の機械的負荷を減衰させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. a.ステープラに供給される前記エネルギーが、ステープル留めに対して所定の抵抗を有するステープル媒体に、充分な力を提供するステップと、
    b.後続の時間の前記エネルギーの印加が、ステープル留めに対して前記所定の抵抗より大きい抵抗を有するステープル媒体に、充分な力を提供するステップと、
    c.ステープル駆動装置がステープル留めの動作を完了する場合に、後続の時間に前記エネルギーを加えず、それによって、媒体がステープル留めに対して前記所定の抵抗を超えない時に媒体に生じる痕跡を低減させ、一方ステープル留めに対して前記所定の抵抗より大きい抵抗を有するシート媒体に関して追加のエネルギーを消費可能なステップと、
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. a.ステープラが原動機として機能する電気モータを含むステップと、
    b.前記エネルギーを加えるために前記モータに電流を供給するステップと、
    c.前記モータに供給される電流を中断することによって前記エネルギーの中断を達成するステップと、
    を更に含む、請求項1に記載の方法。
  5. 動力ステープラにおいて使用される電気モータを動作させる方法であって、
    a.電流を前記電気モータに供給するステップと、
    b.前記電気モータへの電流を中断するステップと、
    c.前記電流の中断に応答して電気モータ上の機械的負荷を低減させるステップと、
    d.前記電気モータの動作を継続する場合に、前記中断後の後続の時間に電気モータに電流を供給するステップとを含
    低減された負荷によってモータが、前記電気モータへの電流が中断された場合よりかなり小さい機械的抵抗で、後続時間での動作を開始できるようにし、それによってモータを連続動作により到達するであろう位置を越えて前進させる、動力ステープラにおいて使用される電気モータを動作させる方法。
  6. 前記移動の開始後、電気モータの失速状態を検知し、前記失速状態の検知に対して前記電気モータへの電流の前記中断で応答するステップを更に含む、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記電流の中断中、電流を反対方向に流すステップを更に含む、請求項4、5、または6に記載の方法。
  8. a.電気モータと、
    b.前記電気モータの付勢に応答するステープル留め機構と、
    c.ステープル留め機構によって、ステープル留めの動作が成功裡に完了したことと一致する状態を検出するセンサと、
    d.前記電気モータに電流を供給する制御器であって、前記モータへの前記電流の中断によって、検知状態がないことに応答して、前記ステープル留め機構の負荷を低減された後、前記電流を再び供給する制御器と、
    からなる、電気ステープラ。
  9. 前記電流の前記中断中に、モータに電流を逆位相で加える制御器を更に含む、請求項8に記載のステープラ。
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