JP4193535B2 - ガソリンエンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気筒内の予混合気を圧縮して自己着火により燃焼させるようにしたガソリンエンジンの燃焼制御装置に関し、特に、その自己着火が安定して起きるように補助するための点火制御の技術分野にする。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガソリンエンジンのさらなる燃費改善や排気清浄化を図るために、気筒内の予混合気を圧縮して自己着火により燃焼させるという新しい燃焼形態が提案されており、一般には、均一予混合圧縮着火(HCCI)という呼称で知られている(例えば特許文献1等を参照)。この新しい燃焼形態では、従来一般的な火炎伝播によるものと異なり、気筒内の多数の箇所で予混合気が略同時に自己着火して、殆ど一斉に燃焼を開始することから、熱効率が極めて高くなる。
【0003】
また、気筒の圧縮比を従来よりも高く設定することができるので、圧縮上死点(TDC)近傍における気筒内の温度及び圧力状態を高くして、希薄な予混合気を安定して自己着火させることが可能になり、このことで、窒素酸化物や煤の生成も抑えることができる。
【0004】
しかし、一般的にガソリンエンジンは、圧縮比が概略13〜16らいの範囲で最も効率が高くなると言われており、それ以上に高くなれば却って効率の悪いものになってしまうし、特に高回転側の運転状態でノッキングを誘発する虞れもあるから、圧縮比を過度に高くすることは好ましくない。
【0005】
この点について、例えば特許文献2に開示される圧縮自己着火ガソリンエンジンでは、従来一般的なガソリンエンジンと同様に燃焼室の天井部に点火プラグを配置して、高負荷高回転側では火炎伝播による燃焼を行う一方、低負荷低回転側では吸排気弁のオーバーラップをなくして、多量の既燃ガスを残留させる(内部EGR)ことにより、気筒内温度を高めるようにしている。また、このエンジンでは、前記の内部EGRガスに対し点火することによって、予混合気の着火安定性を向上できるとしている。
【0006】
すなわち、排気弁の閉じた後に気筒内に残留する多量の既燃ガスに対して、吸気弁が開く前に、即ち気筒内に新気や予混合気が供給される前に火花点火を行うことによって、その既燃ガス中にラジカルを生成・増殖させることができ、このラジカルが気筒の吸入及び圧縮行程全般に渡って保持されて、TDC近傍の適切な時期に予混合気の自己着火を誘発する、としている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−332141号公報
【特許文献2】
特開2001−3771号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記後者の従来例(特許文献2)のように多量の内部EGRガスによって気筒内温度を高め、さらに火花点火によってラジカルを生成させるようにしていても、エンジンが本来、温度状態の低い低負荷且つ低回転側の運転状態にあるときに予混合気を狙い通りに自己着火させることは難しいのが実状である。すなわち、元々の温度が低いときには、前記の如く多量の内部EGRを行っても、それだけでは気筒内の温度を予混合気の安定した自己着火に十分なほど高めることはできず、また、吸気行程の初期に生成したラジカルを圧縮上死点近傍まで保持することも難しいからである。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多量の既燃ガスを残留させて気筒の温度を高めることにより、予混合気の圧縮着火性を向上させるようにしたガソリンエンジンの燃焼制御装置において、温度状態の低い低負荷低回転側の特定の運転領域でも、予混合気の圧縮による着火安定性を確保することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明の解決手段では、エンジンが低負荷且つ低回転の特定の運転領域にあるときに、気筒内で比較的温度の低い吸気側周縁部にて予混合気に補助的な点火を行い、これにより生成して比較的緩慢に拡大する火炎の作用によって、予混合気全体の自己着火を誘発するようにした。
【0011】
具体的に、請求項1に係る発明は、エンジンがその負荷状態及び回転速度によって規定される所定の運転領域にあるときに、それ以外の運転領域にあるときよりも気筒内の既燃ガスの残留量を多くして、当該気筒内の予混合気を自己着火により燃焼させるようにしたガソリンエンジンの燃焼制御装置を前提とする。
【0012】
そして、前記気筒内の燃焼室の吸気側周縁部に放電電極を臨ませて、補助点火プラグを配設するとともに、前記所定運転領域内の低負荷且つ低回転側に予め設定した特定領域において気筒内の予混合気の空燃比が所定のリーン状態になるように、少なくとも燃料噴射量を制御する空燃比制御手段と、前記特定領域において前記リーンな予混合気の自己着火を補助するための補助点火を、前記補助点火プラグによって気筒の圧縮行程中期以降に行わせる点火制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記の構成により、エンジンが所定運転領域にあるときには、気筒内の既燃ガスの残留量を相対的に多くして当該気筒内の温度を高めることにより、予混合気を圧縮上死点近傍で略一斉に自己着火させて、燃焼させることが可能になる(予混合圧縮着火燃焼)。このような燃焼形態では熱効率が高くなって燃費の改善が図られる上に、窒素酸化物等の有害物質の生成が非常に少なくなる。
【0014】
また、エンジンが低負荷且つ低回転側の特定の運転領域にあって元々の気筒内温度が低く、前記のように多量の既燃ガスを残留させても十分な温度上昇が図れない場合には、燃焼室の吸気側周縁部に設けた補助点火プラグによって予混合気に補助的な点火を行い、これにより自己着火を誘発する。すなわち、気筒内では比較的温度の低い吸気側において所定のタイミングにて予混合気に点火すれば、これにより生成した火炎が比較的緩慢に成長し、予混合気全体の温度及び圧力を上昇させることによって、その自己着火を確実に発生させることができる。
【0015】
また、そうして補助点火を行うときには、空燃比制御手段によって予混合気の空燃比が所定のリーン状態になるように制御され、そのリーンな予混合気に対して燃焼室の吸気側周縁部にて圧縮行程中期以降に補助点火が行われる。すなわち、比較的温度の低い吸気側の燃焼室周縁部にて補助点火を行い、これにより生成した火炎を空燃比のリーンな予混合気中で成長させることで、その火炎の成長が狙い通り緩慢なものとなるから、気筒の圧縮行程中期以降の補助点火によってTDC近傍の適切な時期に予混合気全体を自己着火させることができる。
【0016】
請求項3の発明では、予混合気を自己着火させる運転領域内において特定領域とそれ以外の領域との境界線を、低回転側ほど高負荷になるように設定した。このことで、気筒の元々の温度状態に応じて、必要なときにのみ補助点火を行うことができる。
【0017】
すなわち、前記したような補助点火を行うと、予混合気の一部は火炎伝播により燃焼することになるから、その分、圧縮自己着火による熱効率の向上という面では不利になる。この点について、本発明では、元々の温度状態が低くて、気筒の圧縮作動のみでは予混合気の自己着火安定性を確保できない場合にのみ、補助点火を行うようにすることで、予混合気の圧縮自己着火の安定性を十分に高めつつ、そのような燃焼形態によって得られる燃焼効率の改善という作用効果を可及的に高めることができる。
【0018】
請求項4の発明では、気筒内の燃焼室の天井部略中央に放電電極を臨ませて主点火プラグを配設するとともに、点火制御手段は、エンジンが予混合気を自己着火させる運転領域外にあるときには、前記主点火プラグにより気筒内の予混合気に点火して燃焼させるものとする。
【0019】
このことで、予混合圧縮着火の実現が困難な例えば高負荷側や高回転側の運転状態では、気筒内の予混合気に対し主点火プラグにより点火して、従来一般的な火炎伝播による燃焼を実現することができる。
【0020】
請求項5の発明では、前記請求項4の発明において、ノッキングの発生を検出する検出手段をさらに備え、点火制御手段は、エンジンが予混合気を自己着火させる運転領域外にあって且つ前記検出手段によりノッキングが検出されたときには、主点火プラグによる予混合気への点火よりも進角側で補助点火プラグにより補助点火を行わせるものとする。
【0021】
すなわち、エンジンが例えば高負荷乃至高回転側の運転領域にあって、従来一般的な火炎伝播による燃焼状態となる場合に、検出手段によりノッキングの発生が検出されたときには、このノッキング、即ち予混合気の一部分のみが局所的に自己着火して激しく燃焼することを抑えるべく、そのような局所的な自己着火の発生しやすい燃焼室の吸気側において予め補助点火を行うようにする。また、比較的温度の低い吸気側に先行して点火することで、従来型燃焼による予混合気全体としての燃焼時間を短縮することができて、燃費の低減が図られる。
【0022】
請求項6の発明では、補助点火プラグの容量放電電圧を主点火プラグに比べて小さな値に設定する。こうすることで、補助点火により生成した火炎の急速な拡大を抑えて、狙い通りの比較的緩慢な火炎伝播によって、予混合気を殆ど一斉に自己着火させることが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1Aは、本願発明に係るガソリンエンジンのシリンダヘッド1の断面を示し、このシリンダヘッド1は、図には上端部のみを示すシリンダブロック2の上部に取り付けられて、図示しない複数のヘッドボルトにより強固に締結されている。そのシリンダブロック2の上面には気筒3(シリンダ)の上端が開口され、この開口部を覆うシリンダヘッド1の下面には円形の凹部が形成されていて、この凹部と、当該気筒3内に嵌装されたピストン4の頂面との間に、燃焼室5が区画形成されている。つまり、前記ピストン4の頂面が燃焼室5の底面になり、シリンダヘッド1の凹部が燃焼室5の天井部となる。また、この実施形態では、後述の如く気筒3内の予混合気を圧縮して自己着火させるのに好適なよう、当該気筒3の幾何学的な圧縮比を約12に設定しているが、この限りではなく、気筒3の幾何学的な圧縮比は例えば11〜13くらいの範囲に設定すればよい。
【0025】
図の例では、前記燃焼室5の天井部は、2つの傾斜面5a,5bが互いに差し掛けられた屋根のような形状をなすペントルーフ型のものであり、図示の如くエンジン前後方向に見ると、2つの傾斜面5a,5bはそれぞれ天井部の略中央から左右両側に向かって徐々にシリンダブロック2との合わせ面に近づくように延びている。そして、図の右側に示す一方の傾斜面5aには吸気ポート6の下流端が開口し、そこから斜め上方に向かって略直線的に延びる吸気ポート6の上流端は、図の右側に示すシリンダヘッド1の一側面に開口している。また、排気ポート7の上流端が他方の傾斜面5bに開口し、そこから略水平に延びる排気ポート7の下流端はシリンダヘッド1の他側面(図の左側面)に開口している。
【0026】
同図Bに示すように、この実施形態のエンジンは、前記吸気及び排気ポート6,7が1つの気筒3に対して2つずつ設けられた4弁式のものであり、該各ポート6,7の燃焼室5を臨む開口端には、吸気及び排気弁8,9が配設されている。この吸気弁8及び排気弁9は、それぞれ、軸端部に固定されたリテーナ10,10を介してコイルスプリング11,11により上方(弁を閉じる方向)に付勢される一方、バルブリフタ12,12を介してカムシャフト13,13により弁軸方向に押圧されることにより、前記スプリング11の付勢力に抗して押し下げられるようになっている(弁の開作動)。つまり、前記2本のカムシャフト13,13が各々図外のクランクシャフトに同期して回転されることで、吸気弁8及び排気弁9がそれぞれ所定のタイミングで開閉される。
【0027】
また、前記吸気及び排気カムシャフト13,13には、それぞれ、クランクシャフトに対する回転位相(位相角)を所定の角度範囲において連続的に変化させる可変動弁機構15,15(以下、VVTともいう)が付設されており、このVVT15によって前記吸気弁8及び排気弁9の開閉時期がそれぞれ独立に変更されるようになっている。詳しくは、例えば吸気側について図2に一例を示すように、前記VVT15は、吸気側カムシャフト13の前端部に固定されたロータ15aと、このロータ15aを覆うように配置されてスプロケット15bに固定されたケーシング15cとからなる。
【0028】
前記VVT15のロータ15aの外周には外方に向かって放射状に突出する4つのベーンが設けられ、一方、ケーシング15cの内周には内方に向かって延びる4つの区画壁が設けられていて、それらのベーンと区画壁とのの間に複数の油圧作動室15d,15e,…が形成されている。そして、そこに供給されるエンジンオイルの油圧がオイルコントロールバルブ15f(以下、OCVという)によって調整されることで、前記ロータ15a及びケーシング15c、即ちカムシャフト13及びスプロケット15aの相対的な回転位置が変更されて、該カムシャフト13のクランクシャフトに対する回転位相が変化する。
【0029】
すなわち、前記VVT15のロータ15a及びケーシング15cの間には、進角側の油圧作動室15d,15d,…と遅角側の油圧作動室15e,15e,…とが周方向に交互に配置されており、その進角側作動室15d,15d,…の油圧力が増大すると、ロータ15aはケーシング15cに対しカムシャフト13の回転する向き(図に矢印で示す)に回動され、これにより、図3に破線で示すように、吸排気弁8,9の開弁時期IO及び閉弁時期ICが進角側にシフトされる。反対に、前記遅角側作動室15e,15e,…の油圧力が増大すると、ロータ15aはケーシング15cに対しカムシャフト13の回転する向きとは反対に回動され、これにより、吸排気弁8,9の開弁時期IO及び閉弁時期ICは遅角側にシフトされる(図3に仮想線で示す)。
【0030】
従って、前記吸気及び排気カムシャフト13,13のVVT15,15をそれぞれ遅角側及び進角側に作動させることによって、吸排気弁8,9のオーバーラップをなくすことができ、これにより燃焼室5に多量の既燃ガス(内部EGRガス)を滞留させることができる。その際、排気弁9が閉じてから吸気弁8が開くまでの期間(クランク角で表すマイナスのオーバーラップ期間)が相対的に短ければ、内部EGRガス量は相対的に少なくなり、このマイナスオーバーラップ期間が相対的に長くなれば、これに応じて内部EGRガス量も増大する。
【0031】
尚、前記図3に示す吸排気弁8,9の弁揚程曲線において、開弁時期IO,EXO、閉弁時期IC,EXCというのは、それぞれ緩衝部を除いた弁揚程曲線の始端及び終端のことである。また、この実施形態では、可変動弁機構として油圧式の連続位相変更方式のものを用いているが、これに限るものではなく、連続位相変更方式のものであっても電磁作動式のものを用いてもよいし、例えば特開平6−280525号公報に開示されるように、カム面がテーパ状に傾斜したカムシャフトを用いて吸排気弁のリフト量を変更するようにした機構を用いることもできる。さらに、本願発明は、カムシャフトを用いず、吸排気弁を個別に電磁ソレノイドにより開閉するようにしたエンジンにも適用できる。
【0032】
前記図1A,Bに示すように、各気筒3毎の燃焼室5の上方には、4つの吸排気弁8,9に取り囲まれるようにして点火プラグ16が配設されている。この点火プラグ16は、気筒3内に充填した混合気に圧縮行程中期以降の所定タイミングで点火して、従来一般的な火炎伝播による燃焼状態とするための主点火プラグであり、その先端の放電電極16aは、壁面への放熱によって火炎面の伝播速度が低下することを避けるべく、燃焼室5天井部から所定以上、突出するように位置付けられている。また、この実施形態のエンジンでは、前記主点火プラグ16の基端部にはイグナイタを内蔵した点火コイル17が接続されている。
【0033】
一方、前記燃焼室5の吸気側の周縁部には、2つの吸気ポート8,8の下方においてそれらに挟まれるようにして、補助点火プラグ18が配設されている。この補助点火プラグ18は、後述の如く気筒3内に充填した混合気をピストン4の上昇により圧縮して、自己着火により燃焼させる場合に、所定の条件下でその圧縮による自己着火を補助するための点火を行うためのものである。このため、前記補助点火プラグ18の先端の放電電極18aは、壁面への適度な放熱によって火炎の拡大が適度に遅くなるように、燃焼室5周縁部の気筒壁面に近接して配置されている。
【0034】
また、前記補助点火プラグ18の基端部にも前記主点火プラグ16と同様にイグナイタを内蔵した点火コイル19が接続されており、この点火コイル19は、その容量放電電圧(1次側の電流を遮断したときに相互誘導作用により2次側コイルに最初に発生する電圧)が主点火プラグ16の点火コイル17よりも小さくなるように、例えば巻き数の相対的に少ないものとされている。すなわち、前記主点火プラグ16に発生する容量放電電圧が通常、20〜35kvくらいであるのに対し、前記補助点火プラグ18では例えば10〜15kvくらいであればよく、こうすることで、詳しくは後述するが、補助点火によて生成した火炎の成長を適度に緩慢なものとすることができる。
【0035】
尚、この実施形態のエンジンでは、図示しないが、前記シリンダヘッド1の一側面に開口する吸気ポート8の上流端に連通するようにして、気筒3内の燃焼室5に吸気を供給するための吸気通路が接続されていて、この吸気通路の下流端部から吸気ポート8に向かって燃料を噴射するように、インジェクター21(図4を参照)が配設されている。このインジェクター21は、ニードル弁及び電磁ソレノイドを内蔵し、このソレノイドに印加されるパルス信号の幅(燃料噴射パルス幅)に対応する分量の燃料を噴射するものである。
【0036】
図4は、この実施形態に係るガソリンエンジンの燃焼制御装置Sの概要を示すブロック図であり、この制御装置Sの主要部であるエンジンコントロールユニット20(以下、ECUという)は、周知の如くCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース回路等を備えており、少なくとも、クランクシャフトの回転速度を検出するエンジン回転速度センサ22と、吸気通路に配設されて吸気の流量を検出するエアフローセンサ23と、例えばシリンダブロック2の側壁に配設されて、ノッキングによる振動を検出するノックセンサ24(検出手段)と、車両のアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ25とからそれぞれ出力される検出信号を受け入れるようになっている。
【0037】
そして、前記ECU20は、前記センサから入力した信号に基づいてエンジンの運転状態を検出し、これに応じてアクチュエータを作動させることによって、エンジンの種々の制御パラメータを制御する。すなわち、ECU20は、吸気通路に配設された電気式スロットル弁26の開度を調節して吸気の流量を制御するとともに、燃料噴射パルスによりインジェクター21の開弁時間を調整して燃料噴射量を制御し、これにより、予混合気の空燃比を制御する。つまり、ECU20は空燃比制御部20aを備える。
【0038】
また、前記ECU20は、VVT15の油圧制御によって吸気及び排気弁8,9の開閉時期を変更することにより、それらのオーバーラップ期間を制御するバルブオーバーラップ制御部20bを備える。さらに、ECU20は、主点火プラグ16及び補助点火プラグ18のイグナイタ17,19の作動制御によって予混合気への点火の形態を変更する点火制御部20cを備え、これによりエンジンの運転状態に応じて予混合気の燃焼形態を切換えるようになっている。
【0039】
より詳しくは、図5の制御マップに一例を示すように、この実施形態の燃焼制御装置Sによれば、エンジンが相対的に低負荷且つ低回転側の所定運転領域I(図に斜線を入れて示す領域)にあるときには、気筒3内燃焼室5における予混合気の空燃比が所定のリーン状態(例えばA/F=約15〜30くらい)になるように、インジェクター21による燃料噴射量とスロットル弁26の開度とを制御し、そのリーンな予混合気に対して主点火プラグ16により点火することなく、予混合気を圧縮行程の終盤に自己着火させて燃焼させるようにする(以下、運転領域Iを自己着火領域ともいう)。その際、吸排気弁8,9のオーバーラップをなくすことで気筒3内の既燃ガス(内部EGRガス)の残留量を多くして、当該気筒3内の温度を高めるようにしており、このことによって、予混合気の圧縮による自己着火の安定性を高めることができる。
【0040】
そのような予混合気の圧縮による自己着火については従来より知られており、一般にはHCCI(Homogenious Charge Compression Ignition)と呼ばれている。このHCCIによる燃焼では、従来一般的な火炎伝播によるものとは異なり、気筒内の多数の箇所で予混合気が略同時に自己着火して、殆ど一斉に燃焼を開始することで、熱効率が極めて高くなると考えられている。例えば、図6は、HCCIの燃焼圧力波形(指圧波形)を従来型のものと対比して示すグラフの一例であり、同図に実線で示すHCCIの指圧波形では、破線で示す従来型燃焼と比べて圧縮上死点(TDC)近傍での燃焼圧力の立ち上がりがかなり急峻になっていることが分かる。
【0041】
また、前記HCCIの指圧波形ではTDC近傍での着火前の気筒内圧力も従来型に比べて高くなっているが、これは気筒の幾何学的な圧縮比が比較的高いことと、多大な内部EGRによって気筒内温度が高められていることとによる。また、HCCIのグラフでは排気行程の後期から吸気行程の初期にかけて気筒内圧の上昇が見られるが、これは、吸排気弁のオーバーラップをなくして気筒内に多量の内部EGRガスを残留させていることによる。
【0042】
この実施形態のエンジンは、前記図5の制御マップに示すように、自己着火領域I以外の相対的に高負荷側乃至高回転側の運転領域IIにおいては、気筒3内に充填した略理論空燃比かそれよりもややリッチな状態の予混合気に対して、気筒3の圧縮行程中期以降の所定タイミングで主点火プラグ16により点火して、従来一般的な火炎伝播による燃焼を実現する。その際、燃焼に伴う窒素酸化物の生成を抑制するためには、気筒3内にある程度以上のEGRガスが存在することが好ましいので、この実施形態では、同図に破線で示す境界線b1よりも低負荷低回転側においては、所要の内部EGR状態となるように、吸排気弁8,9のオーバーラップ期間を制御するようにしている。
【0043】
ところで、上述の如く、エンジンが自己着火領域Iにあるときに、多量の内部EGRガスを残留させて気筒3内温度を上昇させるようにしていても、エンジンが本来、温度状態の低い低負荷且つ低回転側の特定の運転状態にあるときには、気筒3内の予混合気を狙い通りの適切なタイミングで自己着火させることは難しい。これは、元々の温度が低いときには内部EGRガスを多くしても、それだけでは気筒3内の温度を予混合気の安定した自己着火に十分なほど高めることができないからである。
【0044】
この点について、この実施形態では、本願発明の特徴部分として、エンジンが前記自己着火領域Iの中でも特に負荷の低い特定の運転領域(図5にクロスハッチを入れて示す)にあって、内部EGRによる気筒3内温度の上昇が不十分な場合に、補助点火プラグ18によって気筒3の圧縮行程中期以降に予混合気に対し補助的な点火を行うことによって、予混合気全体の自己着火を誘発するようにしている。こうすることで、従来はHCCI燃焼の実現が困難であった低負荷且つ低回転の特定の運転状態においても、安定したHCCI燃焼を実現することができる。
【0045】
前記自己着火領域I内の低負荷且つ低回転側に特定運転領域を区画する境界線b2は、エンジンの低回転側ほど高負荷側になるように設定されている。これは気筒3の元々の温度状態に応じて、必要なときにのみ補助点火を行うためである。すなわち、前記のような補助点火を行うと、これにより生成された火炎の成長によって予混合気の一部が従来型の燃焼をすることになるから、その分、HCCIによる熱効率の向上については不利になる。そこで、この実施形態のエンジンでは、気筒3の圧縮作動のみでは予混合気の自己着火安定性を確保できないほど、元々の温度状態が低い特定の運転状態でのみ、補助点火を行うようにすることで、予混合気の圧縮自己着火の安定性を十分に高めつつ、HCCI燃焼によって得られる燃焼効率の改善効果は最大限に得られるようにしている。
【0046】
(エンジンの燃焼制御の手順)
次に、この実施形態に係るエンジンの燃焼制御の概略について、図7のフローチャート図に基づいて説明する。尚、このフローに示す制御手順はエンジンの各気筒3毎に行われ、当該気筒3の燃焼サイクル毎に所定のクランク角(例えば排気行程の所定クランク角)に開始される。
【0047】
まず、スタート後のステップSA1では、エンジン制御用のデータとして少なくともエンジン負荷とエンジン回転速度とを求める。尚、エンジン負荷は、例えばエアフローセンサ23からの出力とエンジン回転速度とに基づいて求められる吸気充填効率と内部EGRガス量とに基づいて演算してもよいし、さらにアクセルペダルの操作量を加味して求めるようにしてもよい。或いは、気筒3内圧力を検出するセンサを設けて、このセンサからの出力に基づいて当該気筒3の平均有効圧等を計算するようにしてもよい。
【0048】
続いて、ステップSA2では、前記エンジン負荷等のデータに基づいて、予め設定した目標EGRマップから内部EGRガス量の目標値を読み出す。この目標EGRマップは、HCCI燃焼と従来型の火炎伝播による燃焼とでそれぞれエンジンの運転状態に対応する最適な内部EGRガス量の目標値を予め実験的に求めて、この値をエンジン負荷とエンジン回転速度とに対応付けてマップとして設定したものであり、ECU20のメモリ(例えばROM、RAM等)に電子的に格納されている。尚、HCCI燃焼における内部EGRガスの目標値は、いわゆるEGR率で略20〜60%くらいであり、また、従来型の火炎伝播による燃焼においては0〜15%くらいとしている。
【0049】
続いて、ステップSA3において、前記ステップSA2で読み出した内部EGRガス量の目標値から、この目標値に対応する吸気及び排気の各VVT15,15の制御量を決定し、これに対応する制御信号を各VVT15のOCV15fに出力して、該各VVT15をそれぞれ進角又は遅角作動させることにより、吸排気弁8,9のオーバーラップ量を制御する。すなわち、HCCI燃焼のときには、吸気VVT15を遅角側に作動させるとともに、排気VT15を進角側に作動させて、吸排気弁のオーバーラップをなくすことにより、気筒3内に多量の内部EGRガスが残留するようにする。尚、前記各VVT15,15の制御量も内部EGRガス量の目標値とエンジン負荷及びエンジン回転速度とに対応する値を予め実験的に求めてマップとして設定しておき、このマップから読み出すようにすればよい。
【0050】
続いて、ステップSA4において、前記図5に示す制御マップを参照して、エンジンが予混合気の圧縮による自己着火領域Iにあるかどうか判別し、この判別結果がNOでエンジンが自己着火領域I外にあれば、後述するステップSA8に進む一方、判別結果がYESでエンジンが自己着火領域Iにあれば、ステップSA5に進んで、今度はエンジン負荷が予め設定した境界値よりも小さいかどうか、即ちエンジンが前記図5に示すマップの境界線b2よりも下側の特定領域にあるかどうか判別する。
【0051】
その判別結果がNOであれば、エンジンは特定領域にはなく、気筒3内の温度状態は元々、ある程度以上に高い状態であって、内部EGRガスの増大によって十分に安定した圧縮自己着火が可能であるから、この場合にはステップSA6に進んで、点火プラグ16,18による点火は行わずにリターンする。一方、判別結果がYESでエンジンが特定領域にあれば、元々の気筒3内温度がかなり低くて、内部EGRによる気筒3内温度の上昇が不十分な状態であるから、この場合にはステップSA7に進んで、補助点火プラグ18により予混合気に点火して、しかる後にリターンする。
【0052】
より詳しくは、エンジンが自己着火領域I内の前記特定領域にあるときには、気筒3の圧縮行程中期以降の所定のタイミング(例えば、主点火プラグ16により予混合気に点火して従来型の火炎伝播による燃焼を行わせるのと略同じタイミング)で、補助点火プラグ18により吸気側周縁部の予混合気に点火する(補助点火)。この補助点火のエネルギーは比較的小さく、しかも気筒3の壁面によって燃焼熱が奪われることから、生成した火炎の初期成長は適度に抑制される。また、気筒3内の吸気側周縁部では予混合気の温度が比較的低く、しかも、その予混合気の空燃比が所定のリーン状態であることから、前記火炎の成長は、以下に述べるように適度に緩慢なものとなる。
【0053】
すなわち、図8に模式的に示すように、気筒3内燃焼室5の吸気側周縁部から排気側に向かって比較的緩慢に進行する燃焼反応によって予混合気全体が圧縮され、これにより温度及び圧力が上昇した予混合気は、ちょうどTDC近傍の適切な時期に気筒3内の多数の箇所で略同時に自己着火して、殆ど一斉に燃焼を開始するようになる。つまり、本来はHCCI燃焼の実現が難しい低負荷低回転側の特定運転領域においても、補助点火によって予混合気の圧縮による自己着火を誘発し、安定したHCCI燃焼を実現することができる。
【0054】
一方、前記ステップSA4においてNO、即ちエンジンが高負荷乃至高回転側の領域IIにあると判別して進んだステップSA8では、今度はノックセンサ24からの信号に基づいてノッキングが発生しているかどうか判定し、この判定結果もNOでノッキングが発生していなければ、ステップSA9に進んで主点火プラグ16のみにより気筒3内の予混合気に点火して、しかる後にリターンする。一方、判定結果がYESでノッキングが発生していれば、ステップSA10に進んで、気筒3の圧縮行程中期以降の所定のタイミングにて、まず補助点火プラグ18により燃焼室5の吸気側周縁部にて予混合気に点火し、それから僅かに遅れて主点火プラグ16により燃焼室5の中心部近傍で予混合気に点火して、しかる後にリターンする。
【0055】
つまり、エンジンが自己着火領域I外にあれば、基本的には気筒3内の予混合気に対して主点火プラグ16により点火して、従来一般的な火炎伝播による燃焼状態とするのであるが、このような燃焼においてノッキングが発生する場合には、いわゆる位相差点火制御によってノッキングの発生を抑制するのである。
【0056】
すなわち、従来型の火炎伝播による燃焼の場合、ノッキングは、火炎面の伝播が遅れる燃焼室の吸気側周縁部において一部の予混合気のみが自己着火して局所的に急激に燃焼することによって発生すると考えられており、そのような局所的な自己着火燃焼が発生しやすい部位において予め補助点火を行うようにすれば、ノッキングを効果的に抑制することができる。しかも、比較的温度の低い吸気側に先行して点火することで、従来型燃焼による予混合気全体としての燃焼時間を短縮することができ、燃費の低減が図られる。
【0057】
前記図7に示すフローのステップSA2,SA3の各ステップは、エンジンが自己着火領域Iにあるときに、それ以外の運転領域IIにあるときよりも気筒3内の既燃ガスの残留量(内部EGRガス量)を多くする、というオーバーラップ制御部20bの制御手順に対応している。
【0058】
また、同じフローのステップSA4〜SA10の各ステップは、エンジンの運転状態に応じて主点火プラグ16及び補助点火プラグ18による点火の形態を変更する点火制御部30cに対応しており、特にステップSA5からSA7に進む制御手順は、エンジンが自己着火領域I内の低負荷且つ低回転側に予め設定した特定領域にあるときに、補助点火プラグ18によって予混合気の自己着火を補助するための補助点火を行わせる、という手順に対応している。
【0059】
また、ステップSA4からSA8〜SA10へと進む制御手順は、エンジンが前記自己着火領域I外にあるときには、主点火プラグ16により気筒3内の予混合気に点火して燃焼させる、というものであり、その中でも、前記ステップSA8からSA10へと進む制御手順は、ノッキングが検出されたときに、主点火プラグ16による予混合気への点火よりも進角側で補助点火プラグ18により補助点火を行わせる、という手順に対応している。
【0060】
したがって、この実施形態に係るガソリンエンジンの燃焼制御装置Sによると、まず、エンジンが相対的に低負荷低回転側の自己着火領域Iにあるときには、内部EGRガス量を相対的に多くして気筒3内の温度を高めることにより、当該気筒3内に充填したリーンな予混合気をTDC近傍で同時多点的に自己着火させて、熱効率の高いHCCI燃焼により燃費を大幅に低減することができるとともに、窒素酸化物等の有害成分の生成を抑制することができる。
【0061】
また、エンジンが前記自己着火領域Iの低負荷側の特定領域にあるとき、即ち、気筒3の本来の温度状態が低くて従来まではHCCI燃焼を実現することが困難だった運転状態のときでも、燃焼室5の吸気側で補助点火を行うことによって予混合気全体の圧縮による自己着火を安定的に誘発することができ、これによりHCCI燃焼を行う運転領域を拡大することができるので、エンジンの運転領域全体に亘ってみたときに前記した燃費低減や排気清浄化という効果を一層、向上することができる。
【0062】
(他の実施形態)
尚、本願発明の構成は前記した実施形態のものに限定されることはなく、その他の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、補助点火プラグ18を2つの吸気ポート6,6の中間に挟むようにして、燃焼室5の吸気側周縁部の中でも最も吸気側寄りの端縁部に配置しているが、これに限らず、補助点火プラグ18は、燃焼室5を吸気側及び排気側に分けて、その吸気側の周縁部に配置すればよい。また、吸気ポート6と排気ポート7との間に配置する場合には中央寄りも僅かに排気側寄りの位置まで、燃焼室5の吸気側周縁部に含めるものとする。
【0063】
また、前記補助点火プラグ18の容量放電電圧は主点火プラグ16と略同じに設定してもよく、補助点火によって生成された火炎があまり成長する前に気筒3内の予混合気の温度及び圧力を上昇させて、当該気筒3の圧縮上死点近傍で同時多点的な自己着火を発生させることができるように、その気筒3の温度状態、予混合気の空燃比やEGR率等に対応付けて、容量放電電圧や補助点火時期を適切に設定すればよい。
【0064】
さらに、前記実施形態では、本願発明を、燃料を吸気ポート6に噴射するようにしたガソリンエンジンに適用しているが、これに限らず、燃料を気筒3内に直接、噴射するようにした直噴ガソリンエンジンにも適用可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本願の請求項1の発明に係るガソリンエンジンの燃焼制御装置によると、エンジンが所定運転領域にあるときに気筒内に多量の既燃ガスを残留させて当該気筒内の温度を高めることにより、予混合気の圧縮着火性を向上させるものにおいてその所定運転領域内でも特に温度の低い低負荷側の特定領域においては、吸気側周縁部に配置した補助点火プラグによって予混合気に補助的な点火を行って、その予混合気全体の自己着火を誘発するようにしたので、その特定領域において従来までは困難であった予混合気の圧縮による自己着火を安定的に行わせることができる。これにより、エンジンの運転領域全体に亘ってみたときに燃費改善と排気の清浄化が図られる。
【0066】
また、予混合気の空燃比を所定のリーン状態に制御し、且つ、そのリーンな予混合気に対し当該気筒の圧縮行程中期以降に前記の補助点火を行うことで、予混合気の圧縮自己着火をTDC近傍の適切な時期に起こさせることができる。
【0067】
請求項3の発明によると、予混合気を自己着火させる運転領域内において特定領域とそれ以外の領域との境界線を低回転側ほど高負荷になるように設定したことで、補助点火を必要なときにのみ行うことができる。
【0068】
請求項4の発明によると、予混合圧縮着火の実現が困難な例えば高負荷側や高回転側の運転状態では、燃焼室の天井部略中央に配設した主点火プラグによって予混合気に点火して、従来からの火炎伝播による燃焼を実現できる。
【0069】
請求項5の発明によると、補助点火プラグ及び主点火プラグによる位相差点火によって、従来型燃焼時のノッキングを抑制でき、これに加えて、燃焼時間の短縮による燃費の低減が図られる。
【0070】
請求項6の発明によると、補助点火のエネルギーを比較的小さなものとして、火炎の成長を狙い通り適度なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るガソリンエンジンのシリンダヘッドの構成を示す断面図である。
【図2】 可変動弁機構を一部分、切り欠いてその構成を示す斜視図である。
【図3】 吸気弁及び排気弁の開閉時期の変化を示す説明図である。
【図4】 エンジンの燃焼制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】 エンジンの制御マップの一例を示す図である。
【図6】 HCCI燃焼の指圧波形を従来型燃焼と対比して示すグラフ図である。
【図7】 エンジンの燃焼制御手順の概略を示すフローチャート図である。
【図8】 補助点火によって生成した火炎が拡大する様子のイメージ図である。
【符号の説明】
S エンジンの燃焼制御装置
3 気筒(シリンダ)
5 燃焼室
15 VVT(可変動弁機構)
16 主点火プラグ
18 補助点火プラグ
20 ECU
20a 空燃比制御部(空燃比制御手段)
20b バルブオーバーラップ制御部
20c 点火制御部(点火制御手段)
24 ノックセンサ(検出手段)

Claims (6)

  1. エンジンがその負荷状態及び回転速度によって規定される所定の運転領域にあるときに、それ以外の運転領域にあるときよりも気筒内の既燃ガスの残留量を多くして、当該気筒内の予混合気を自己着火により燃焼させるようにしたガソリンエンジンの燃焼制御装置において、
    前記気筒内の燃焼室の吸気側周縁部に放電電極を臨ませて、補助点火プラグを配設し、
    前記所定運転領域内の低負荷且つ低回転側に予め設定した特定領域において、気筒内の予混合気の空燃比が所定のリーン状態になるように、少なくとも燃料噴射量を制御する空燃比制御手段と、
    前記特定領域において、前記リーンな予混合気の自己着火を補助するための補助点火を、前記補助点火プラグによって気筒の圧縮行程中期以降に行わせる点火制御手段と、を備えたことを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
  2. 請求項1において、
    補助点火プラグは、気筒の2つの吸気ポートの下方においてそれらに挟まれるように配設されていることを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
  3. 請求項1又は2のいずれかにおいて、
    予混合気を自己着火させる運転領域内において特定領域とそれ以外の領域との境界線が低回転側ほど高負荷になるように設定されていることを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
    気筒内の燃焼室の天井部略中央に放電電極を臨ませて、主点火プラグが配設されており、
    点火制御手段は、エンジンが予混合気を自己着火させる運転領域外にあるときには、前記主点火プラグにより気筒内の予混合気に点火して燃焼させるものであることを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
  5. 請求項4において、
    ノッキングの発生を検出する検出手段を備え、
    点火制御手段は、エンジンが予混合気を自己着火させる運転領域外にあって、且つ前記検出手段によりノッキングが検出されたときには、主点火プラグによる予混合気への点火よりも進角側で補助点火プラグにより補助点火を行わせるように構成されていることを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1つにおいて、
    補助点火プラグの容量放電電圧が主点火プラグに比べて小さな値に設定されていることを特徴とするガソリンエンジンの燃焼制御装置。
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