JP4192874B2 - プロテクタキャップ - Google Patents
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Description
そこで地中に構築すべきコンクリート基礎杭の設計天端レベルよりも上方までコンクリートを打設しておいて(余盛をしておいて)、硬化後にその余盛部分を斫り(はつり)取って(除去して)鉄筋籠の上部、具体的には縦筋頭部を剥き出しにすることが行われている。
図10はその具体例を示している。
同図において200は杭孔、204は杭孔200内に挿入された鉄筋籠で、206はその主筋をなす縦筋、208は環状筋である。尚Hはコンクリート基礎杭の設計天端レベルを表わしている。
しかしながらこの場合、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡体から成るプロテクタキャップ210は1回限りの使い捨てとなるものであり、また斫り取り作業に際して粉砕されたプロテクタキャップ210の合成樹脂の発泡体が産業廃棄物となって発生し、その処理処分が問題となる。
そのため、その浮き上がりを防止するための手段を別途に講じることが必要となる(図10に開示のものでは浮き上がり防止のための環状部材212を各プロテクタキャップ210とは別にその上側に設けている)。
しかしながらこれらは本発明とは異なったものである。
また挿入後において加圧室にエア等の流体を導いて加圧することで、内周部材,外周部材をそれぞれ内方及び外方に容易に膨出させることができる。
即ち本発明のプロテクタキャップは、加圧室の加圧力を抜くことによって、内周部材及び外周部材がそれぞれ自身の復元力で原形状に戻り、そして内周部材が原形状に戻ることによって、即ち拡径することによって鉄筋頭部から離間し、ここにおいて鉄筋頭部に対するプロテクタキャップの固定が解除される。
また外周部材が原形状に戻ることによって、即ち縮径することによって、コンクリートの余盛部分との間に隙間を生ぜしめる。
コンクリートの余盛部分の斫り取り作業はその後において行われることとなるが、その際簡単に余盛部分を斫り取ることができる。このときプロテクタキャップが同時に粉砕されてそれが産業廃棄物となるといった問題を生じない。
更に本発明のプロテクタキャップは、それ自身縦筋頭部に対する固定力の強いものであるため、特許文献1に示すような特別な浮き上り防止手段を設けることも要しない。
加えて本発明のプロテクタキャップは、内周部材の内方への膨出による縦筋頭部への密着力,固定力が大であって同時に高いシール性能も併せて得られる利点を有する。
また弾性チューブから成る内周部材と外周部材とは、それらを別体となしておいて、各下端部を重ね合せ状態で全周に亘り接着しておくことができる(請求項4)。
加えてその導入孔を容易に外周部材の上端部の密栓に上向きに突出する形態で設けることができ、かかる導入孔が外周部材から横向きに突出した状態となるのを避けることができる。
またその配管がプロテクタキャップの外周部材から横向きに延び出すことによってコンクリート打設の障害となるのを回避できる利点も得られる。
図1及び図2において、10は後述の鉄筋籠52における縦筋頭部56Aに被嵌されて、縦筋頭部56Aをコンクリート打設時において被覆するプロテクタキャップであって、ゴムチューブ(ゴムホース)から成る内チューブ(内周部材)12及び外チューブ(外周部材)14を有する2重筒構造をなしている。
ここで内チューブ12と外チューブ14とは、下端部が互いに重ね合せ状態で互いに全周に亘り接着されている。ここで接着は加硫接着であっても良いし、加硫後における接着剤を用いた後接着であっても良い。
図中27,28はそれぞれ内チューブ12,外チューブ14における接着による接合部を表わしている。
ここで内チューブ12の上端部の密栓30は、内金具34と外金具としてのかしめ金具36とから成っており、そのかしめ金具36が縮径方向にかしめられることによって、その内金具34とかしめ金具36とが内チューブ12の上端部を内外両側から挟み込む状態に固定され、内チューブ12の上端部を閉塞している。
そしてこれら密栓30と32との間及び内チューブ12と外チューブ14との間に、内部に導かれたエア(流体)の加圧力に基づいて内チューブ12と外チューブ14とを内外方向に加圧する加圧室42が形成されている。
図3において、50は掘削により地盤に形成された杭孔で、52はその内部に挿入された鉄筋籠である。
鉄筋籠52は、鉄筋コンクリート基礎杭54(以下単にコンクリート基礎杭)の構成体を成すもので、その上部がコンクリート基礎杭54の設計天端レベルHよりも所定寸法(約1m)上方に突き出している。予めそのように鉄筋籠52が構成されている。
尚、56は鉄筋籠52における主筋を成す縦筋で、58は環状筋である。
即ち図3に示しているように、コンクリート基礎杭54の設計天端レベルHよりも上方に突き出した縦筋56の数に対応したプロテクタキャップ10を、それぞれ縦筋頭部56A(図4(I)参照)に取り付けておく。
即ち、図4(I)に示しているように加圧室42にエア圧を導入しない状態でプロテクタキャップ10を鉄筋頭部56Aに上側から下向きに挿し込んでおく。
図4(II)はこのようにしてプロテクタキャップ10を鉄筋頭部56Aに挿し込んだ状態を示している。
するとその加圧力で内チューブ12が径方向内方に、また外チューブ14が外方にそれぞれ膨出する。
図4(III)はこのときの状態を表している。
一方外チューブ14は、径方向外方への膨出によってプロテクタキャップ10全体の径を大径化する。
図中60は、その打設したコンクリートの上部、即ち余盛部分を表している。
これによりプロテクタキャップ10の内チューブ12は鉄筋頭部56Aから離れて固定が解除され、また同時に外チューブ14も縮径方向に形状復帰して、コンクリートの余盛部分60から離間する。
このときプロテクタキャップ10を容易に鉄筋頭部56A及びコンクリートの余盛部分60から上方に抜き出すことができる。
その後、余盛部分60を斫り取ることによって、図7に示すようにコンクリート基礎杭54を杭孔50内に残し、余盛部分60を取り除いて鉄筋籠52における縦筋頭部56Aを剥き出し状態とすることができる。
また挿込後において加圧室42にエアを導いて加圧することで、内チューブ12,外チューブ14をそれぞれ内方及び外方に容易に膨出させることができる。
その際、プロテクタキャップ10が同時に粉砕されてそこに産業廃棄物を発生させてしまうといった問題を生じない。
加えて本実施形態のプロテクタキャップ10は、内チューブ12の内方への膨出による縦筋頭部56Aへの密着力,固定力が大であるため、高いシール性能も併せて得られる利点を有する。
上記の実施形態は、縦筋頭部56Aを貫通させない非貫通タイプのものであるが、この図8の実施形態は貫通タイプのもので、内チューブ12と外チューブ14とが略同じ長さとされており、各下端部が互いに接着されて接合されている外、上端部もまた互いに重ね合せ状態で加硫接着その他により互いに接着されて接合されている。
図中62,64は上端部における内チューブ12と外チューブ14との接合部を表している。
この図8の形態のプロテクタキャップ10は、鉄筋頭部56Aに対し適宜の位置(高さ位置)までこれを挿し込んで、そこの部分でこれを鉄筋頭部56Aに固定できる特長を有する。
この実施形態のプロテクタキャップ10は、一本の長い弾性を有する樹脂チューブを2重筒状に折り返して内チューブ12と外チューブ14とを形成し、それぞれの上端部に密栓30,32を設けた例である。
ここで樹脂チューブは単層のもので、上記のような補強層18,24を断面中間部に有していない。
例えば上記実施形態では内チューブ12,外チューブ14の何れもが弾性チューブにて2重筒状に構成されているが、場合によって内周部材12をプロテクタキャップ10の下端部等に部分的に設けておいて、その内周部材12を内方への膨出により縦筋頭部56Aに密着させ、その密着力によりプロテクタキャップ10を鉄筋頭部56Aに固定保持させるとともに併せてシール作用させるようになすことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 内チューブ(内周部材)
14 外チューブ(外周部材)
30,32 密栓
42 加圧室
44 口金具(導入孔)
52 鉄筋籠
54 鉄筋コンクリート基礎杭
56 縦筋
56A 縦筋頭部
60 余盛部分
Claims (5)
- 現場打ち鉄筋コンクリート杭の構成体である鉄筋籠の主筋を成す縦筋の頭部に被嵌されて、コンクリート上部の余盛部分と縦筋頭部とを縁切りするプロテクタキャップであって、
全体として内外2重構造の筒状をなし、内周側には軸心方向に向って内方に膨出可能な弾性の内周部材を有しているとともに、外周側には外方向に向って膨出可能な弾性の外周部材を有しており、更に該外周部材の内側であって該内周部材の外側に加圧室を有していて、該加圧室に連通して流体の導入孔が設けられ、該加圧室に導入された流体の加圧力で該内周部材が内方に膨出して前記縦筋頭部の外周面に密着状態に固定保持されるとともに該縦筋頭部のシールをなす一方、該外周部材が外方に膨出して全体的に大径化するようになしてあることを特徴とするプロテクタキャップ。 - 請求項1において、前記内周部材を膨出させる加圧室と前記外周部材を膨出させる加圧室とが共通の加圧室であることを特徴とするプロテクタキャップ。
- 請求項2において、前記内周部材及び外周部材が何れも弾性チューブから成っていることを特徴とするプロテクタキャップ。
- 請求項3において、前記弾性チューブから成る前記内周部材と前記外周部材とが別体をなしていて、各下端部が重ね合せ状態で全周に亘り接着されていることを特徴とするプロテクタキャップ。
- 請求項4において、前記内周部材に対して前記外周部材が長尺をなしており、該内周部材及び外周部材の各上端部に密栓が施されて、各密栓の間及び該外周部材と該内周部材との間に前記加圧室が形成されていることを特徴とするプロテクタキャップ。
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