JP4192258B2 - 螺鈿細工加工品及び螺鈿細工加工品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、螺鈿細工加工品及び螺鈿細工加工品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、アワビ貝やアコヤ貝等を薄くスライス状態に加工して得られる螺鈿部材を具備した螺鈿細工加工品を製造する場合には、文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により予め決定された図案に基づき、職人等が木材等の各種材料を用いた各種螺鈿細工貼付用部材本体に凹状部を形成し、その後図案に基づいて形成された凹状部に、前記図案に基づき予め打ち抜きや小刀等を用いて所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込んで貼り付け、その後螺鈿部材の面と螺鈿細工貼付用部材本体の面とを面一仕上げとすべく螺鈿部材がはまり込んだ螺鈿細工貼付用部材本体面を炭等で研いで螺鈿細工加工品を製造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如く螺鈿細工加工品を製造する場合においては、下記のような問題点があった。
【0004】
即ち、上記の如く螺鈿細工加工品を製造する場合には、先ず、予め決定された図案に基づき、職人等が木材等の各種材料を用いた各種螺鈿細工貼付用部材本体に図柄凹状部を形成し、その後図案に基づいて螺鈿細工貼付用部材本体に形成された図柄凹状部に、前記図案に基づき予め打ち抜き型や小刀等を用いて所定の図柄形状に加工形成した面状の螺鈿部材をはめ込んで貼り付けなければならない。
【0005】
よって、長年の経験を積んだ職人と呼ばれる熟練者でなければ均等な深さの図柄凹状部の形成や該図柄凹状部に隙間無くはめ込むことが出来る螺鈿部材の形成を行なうことが出来ない。
【0006】
従って、上記一連の作業に多大な時間がかかることとなり、しいては螺鈿細工加工品を大量に加工メーカーのみならず一般消費者等に供給することが極めて難しいという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、螺鈿細工加工品を製造する場合において、熟練を要することなく誰でも簡単に大量の螺鈿細工加工品を加工メーカー、一般消費者等に供給することが出来る螺鈿細工加工品の製造方法を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、請求項1に係る発明は、他面2b側に凹凸のないフラット面を有すると共に、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から、切り目3b又はミシン目を介して所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成する面状部材3を有するシール材本体3aを仮貼りし、その後、該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側からシール材本体3aを引き剥がすことで螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに面状部材3を仮貼り状態で残し、その後面状部材3が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側より有色塗料4を塗布することで該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに、面状部材3を被包する状態で有色塗料4の被膜を形成し、その後面状部材3を剥離することで該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に無塗装の一面部位5を露出させた後、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から硬化する性質を備えたクリア塗料6を吹きつけることで無塗装の一面部位5にクリア塗料層6aを形成し、その後クリア塗料層6aが形成された無塗装の一面部位5を被うべく該一面部位5より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材7を前記一面部位5に載置することで該一面部位5と該螺鈿部材7との間にクリア塗料層6aを介在させると共に該クリア塗料層6aを形成するクリア塗料6の硬化に伴い前記螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造するものである。
【0009】
よって、従来のように、予め決定された図案に基づき、職人等が木材等の各種材料を用いた各種螺鈿細工貼付用部材本体に凹状部を形成し、その後図案に基づいて螺鈿細工貼付用部材本体に形成された凹状部に、前記図案に基づき予め打ち抜き型や小刀等を用いて所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込むといった煩雑な作業を一切介することなく螺鈿細工加工品を職人等の熟練者でなくとも誰もが簡単且つ大量に製造することが出来る利点がある。
【0010】
更に、螺鈿細工貼付用部材本体2が有色透明又は無色透明からなり、しかも有色塗料4が塗布された一面2a側に設けられた無塗装の一面部位5の一部又は全体を被うべく螺鈿部材7が接着手段を介して一面2a側に貼り付けられることから、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により形成された螺鈿部材7の図柄を容易且つ鮮明に透視することが出来る。
【0011】
よって、従来のように、各種螺鈿細工貼付用部材本体の凹状部に所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込んだ後、螺鈿部材の面と螺鈿細工貼付部材本体の面とを面一仕上げとすべく螺鈿部材が嵌まり込んだ螺鈿細工貼付部材本体面を炭等で研ぐ必要なく、はじめから凹凸のないフラット面を有した他面2b側を表面として各種の物品に使用可能な螺鈿細工加工品を煩雑な作業を行なうことなく簡単且つ大量に製造することが出来、しいては製品コストをも低減することが出来るという利点がある。
【0012】
更に、請求項2に係る発明は、他面2b側に凹凸のないフラット面を有すると共に、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から、所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成すると共に、シール材で形成された面状部材3を仮貼りし、その後面状部材3が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側より有色塗料4を塗布することで該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに、面状部材3を被包する状態で有色塗料4の被膜を形成し、その後面状部材3を剥離することで該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に無塗装の一面部位5を露出させた後、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から硬化する性質を備えたクリア塗料6を吹きつけることで無塗装の一面部位5にクリア塗料層6aを形成し、その後クリア塗料層6aが形成された無塗装の一面部位5を被うべく該一面部位5より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材7を前記一面部位5に載置することで、該一面部位5と該螺鈿部材7との間にクリア塗料層6aを介在させると共に該クリア塗料層6aを形成するクリア塗料6の硬化に伴い前記螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造するものである。よって、面状部材3がシール材で形成されてなる場合には、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から透視することができる螺鈿部材7の図柄を必要最小限のコストで多種多様なものに変更可能なだけでなく、図柄の位置も面状部材3の貼り付け位置を変更するだけで至極簡単に変更して商品バリエーションを増やすことが出来、しいては消費者の希望ニーズに合わせた多種多様な仕様の螺鈿細工加工品を低コストで製造することが出来るという利点がある。
【0013】
又、本発明において、面状部材3が螺鈿細工貼付用部材本体2に仮貼りされるシール材本体3aに設けられた切り目3b又はミシン目を介して該シール材本体3aより分離して所定の図柄を形成する場合には、シール材本体3aを螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側全面に貼り付け、その後係るシール材本体3aを該一面2a側より引き剥がすだけで、多数の面状部材3を一面2a側の複数箇所に仮貼り配置させることが出来る。
【0014】
よって、面状部材3の仮貼り作業を効率良く且つ迅速に行なうことが出来る利点がある。
【0015】
更に、クリア塗料層6aを形成するクリア塗料6が硬化する性質を備えてなることから、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面部位5にクリア塗料6を塗布し、その後該一面部位5の一部又は全体を被うべく面状に形成された螺鈿部材7を前記一面部位5に載せるだけで該クリア塗料層6aを形成するクリア塗料6の硬化に伴い簡単に螺鈿部材7を一面2a側に貼り付けることが出来る利点がある。
【0016】
又、硬化する性質を備えてなるクリア塗料6から形成されるクリア塗料層6aが無塗装の一面部位5と螺鈿部材7との間に介在することから、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により形成された螺鈿部材7の図柄により強い光沢を与えて見栄えを良くすることが出来るという利点がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における螺鈿細工加工品の製造方法により螺鈿細工加工品を製造する場合の一実施形態を図面に従って説明するが、係る実施形態において後述する螺鈿細工加工品は、例えば、時計の文字盤として用いるものである。
【0018】
図1〜図3に於いて、1は樹脂を用いて有色透明又は無色透明の円盤状に形成された螺鈿細工貼付用部材本体2を有する螺鈿細工加工品を示す。
【0019】
3は上記螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に仮貼りされる矩形状のシール材本体3a面の所定箇所に、切り目3b又はミシン目(図示せず)を介して所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成すべく設けられ、且つ該シール材本体3aより分離可能な個々の面状部材を示す。
【0020】
次に上記螺鈿細工貼付用部材本体2と矩形状のシール材本体3a及び後述する面状の螺鈿部材7のそれぞれを用いて時計の文字盤(ダイヤル)として形成される螺鈿細工加工品を製造する場合について説明する。
【0021】
先ず、図1(イ),(ロ)において、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から切り目3b又はミシン目(図示せず)を介して所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって時計の文字盤の図柄(12時位置,3時位置,6時位置,9時位置の4箇所に菱形図柄及び各菱形図柄の内方側に5分区切りを一つの図柄に形成すべくリング状に配設された12個の略扇状図柄)を形成する面状部材3を有するシール材本体3aを仮貼りする。
【0022】
その後、同図(ハ)に示すように、シール材本体3aの四隅の何れかの箇所を把持して螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から引き剥がすと、各面状部材3は切り目3b又はミシン目(図示せず)を介してシール材本体3aから分離すると共に螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けられた状態で残ることになる。
【0023】
その後、図2(イ)に示すように、各面状部材3が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から、例えば、灰色、黒色、紫色、青色、赤色、茶色等に限らず、必要とする所定色の有色塗料4を塗料吹きつけ装置(図示せず)の噴射ノズル11を用いて霧状にして塗布(有色塗料4を筆塗してもよく、又塗料槽等への漬け込みでも良いが、塗布ムラなく、しかも塗料を効率よく消費して仕上げるためには有色塗料4を霧状にして吹きつけるのが好ましい。)すると、同図(ロ)に示すように、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aには、各面状部材3を被包した状態で有色塗料4の被膜が形成されることになる。
【0024】
前記の如く有色塗料4を塗料吹きつけ装置(図示せず)の噴射ノズル11を用いて霧状にして塗布せずとも、例えば、市販のラッカースプレー缶等を用いて螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに合成樹脂エナメル塗料等の有色塗料4を噴霧してもよく、この場合であっても螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに、各面状部材3を被包した状態で有色塗料4の被膜を形成することが出来る。
【0025】
次に、図3(イ)に示すように、前記各面状部材3を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aから剥離すると、該螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側には無塗装の一面部位5が露出することになる。
【0026】
その後、同図(ロ)に示すように、上記無塗装の一面部位5が露出した螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに、例えば自ら硬化する性質を備えたクリア塗料6を吹きつけることにより、少なくとも無塗装の一面部位5にクリア塗料層6aを形成することが出来る。
【0027】
その後、同図(ハ)のように、クリア塗料層6aが形成された無塗装の一面部位5の全体を被うべく該一面部位5の平面積より大きめの平面積を有した面状の螺鈿部材7を係る一面部位5に載置すると、クリア塗料層6aを形成するクリア塗料の硬化に伴い面状の螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けることが可能となる。
【0028】
尚、上記の如くクリア塗料の硬化に伴い面状の螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付ける場合において、必ずしも無塗装の一面部位5の全体を被うべく該一面部位5の平面積より大きめの平面積を有した面状の螺鈿部材7を単体(一枚)で係る一面部位5に載置する必要はなく、例えば、無塗装の一面部位5の一部を被うことが出来る面状の螺鈿部材7を数枚並べることで一面部位5の平面積より大きめの平面積を確保して無塗装の一面部位5の全体を被う構成であってもよいのは言うまでもない。
【0029】
よって、例え、無塗装の一面部位5の平面積がアワビ貝やアコヤ貝等を薄くスライス状態に加工して得られる面状の螺鈿部材7の平面積より大きな場合であっても螺鈿部材7を数枚並べることで簡単に無塗装の一面部位5の全体を被うことが出来る利点がある。
【0030】
従って、従来のように、予め決定された図案に基づき、職人等が木材等の各種材料を用いた各種螺鈿細工貼付用部材本体に凹状部を形成し、その後図案に基づいて螺鈿細工貼付用部材本体に形成された凹状部に、前記図案に基づき予め打ち抜き型や小刀等を用いて所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込むといった煩雑な作業を一切介することなく螺鈿細工加工品1を職人等の熟練者でなくとも誰もが簡単且つ大量に製造することが出来る利点がある。
【0031】
更に、螺鈿細工貼付用部材本体2が有色透明又は無色透明からなり、しかも有色塗料4が塗布された一面2a側に設けられた無塗装の一面部位5の一部又は全体を被うべく螺鈿部材7が硬化するクリア塗料6を接着手段として一面2a側に貼り付けられることから、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により形成された螺鈿部材7の図柄を容易且つ鮮明に透視することが出来る。
【0032】
よって、従来のように、各種螺鈿細工貼付用部材本体の凹状部に所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込んだ後、螺鈿部材の面と螺鈿細工貼付部材本体の面とを面一仕上げとすべく螺鈿部材が嵌まり込んだ螺鈿細工貼付部材本体面を炭等で研ぐ必要なく、はじめから凹凸のないフラット面を有した他面2b側を表面として各種の物品に使用可能な螺鈿細工加工品1を煩雑な作業を行なうことなく簡単に製造することが出来ると共に製品コストをも低減することが出来るという利点がある。
【0033】
更に、面状部材3が螺鈿細工貼付用部材本体2に仮貼りされるシール材本体3aに設けられた切り目3b又はミシン目を介して該シール材本体3aより分離して所定の図柄を形成する場合には、シール材本体3aを螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側全面に貼り付け、その後係るシール材本体3aを該一面2a側より引き剥がすだけで多数の面状部材3を一面2a側の複数箇所に仮貼り配置させることが出来る。
【0034】
よって、面状部材3の仮貼り作業を効率良く且つ迅速に行なうことが出来る利点がある。
【0035】
更に、面状部材3がシール材で形成されてなる場合には、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から透視することができる螺鈿部材7の図柄を必要最小限のコストで多種多様なものに変更可能なだけでなく、図柄の位置も面状部材3の貼り付け位置を変更するだけで至極簡単に変更して商品バリエーションを増やすことが出来、しいては消費者の希望ニーズに合わせた多種多様な仕様の螺鈿細工加工品を低コストで製造することが出来るという利点がある。
【0036】
尚、上記実施形態において、面状の螺鈿部材7は自ら硬化する性質を備えたクリア塗料6の硬化に伴い螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けられる構成にしてなるが、図4(イ)に示すように、接着手段に、例えば、パーメナックN(日本油脂(株):登録商標)という硬化剤8をポリライト(大日本インキ化学工業(株):登録商標)というクリア塗料6に含有したものを用いてもよい。
【0037】
よって、この場合であっても、螺鈿細工貼付用部材本体2の一面部位5に前記硬化剤8が含有されたクリア塗料6を塗布し、その後該一面部位5の一部又は全体を被うべく面状に形成された螺鈿部材7を前記一面部位5に載せるだけで簡単に螺鈿部材7を一面2a側に貼り付けることが出来るが、硬化剤8を別途含有させることで、より速く且つ強固に螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けることが出来るという利点がある。
【0038】
更に、硬化剤8を含有したクリア塗料6が無塗装の一面部位5と螺鈿部材7との間に介在する場合には、螺鈿細工貼付用部材本体2の他面2b側から所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により形成された螺鈿部材7の図柄により強い光沢を与えて見栄えを良くすることが出来るという利点がある。
【0039】
更に、同図(ロ)に示すように、無塗装の一面部位5が露出した螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに、クリア塗料を吹きつけて、少なくとも無塗装の一面部位5にクリア塗料層6aを形成した後、面状の螺鈿部材7を係る一面部位5に載置し、その後硬化剤8を塗布してもよく、この場合であってもクリア塗料層6aのクリア塗料及び硬化剤8の硬化に伴い面状の螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けることが出来るという利点がある。
【0040】
更に、同図(ハ)に示すように、少なくとも無塗装の一面部位5に硬化剤8を塗布し、面状の螺鈿部材7を硬化剤8の硬化を介して螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付ける構成であってもよく、要は面状の螺鈿部材7を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aに貼り付けることが出来れば、面状の螺鈿部材7の外周の一部又は外周全部を所定の接着剤やテープを用いて一面2aに貼り付ける構成であってもよく、接着手段に用いられる化学製品や部材等の具体的な種類、構成も決して限定されないのは言うまでもない。
【0041】
更に、上記実施形態において、面状部材3は螺鈿細工貼付用部材本体2に仮貼りされるシール材本体3aに設けられた切り目3b又はミシン目を介して該シール材本体3aより分離して所定の図柄を形成するが、必ずしもシール材で形成された面状部材3がシール材本体3aから分離する構成でなくともよく、予め所定の図柄をシール材で形成された面状部材3を螺鈿細工貼付用部材本体2の所定の箇所に仮貼り配置し、その後面状部材3が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側から有色塗料4塗布した後、面状部材3を螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2aから剥離して螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に無塗装の一面部位5を設ける構成であってもよい。
【0042】
尚、上記実施形態において、螺鈿細工貼付用部材本体は有色透明又は無色透明の樹脂を用いて円盤状に形成されてなるが、必ずしも材料に樹脂を用いる必要はなく、要は有色透明又は無色透明であればガラスを用いてもよく、螺鈿細工貼付用部材本体の具体的な材質、形状等も一切限定されないのは言うまでもない。
【0043】
更に、上記実施形態において、螺鈿細工貼付用部材本体は時計の文字盤を構成するものであるが、螺鈿細工貼付用部材本体を有する螺鈿細工加工品の使用用途等も決して限定されるものではない。
【0044】
要は、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体2の一面2a側に有色塗料4が塗布され、しかも該一面2a側に設けられた無塗装の一面部位5の一部又は全体を被うべく面状に形成された螺鈿部材7が一面2a側に貼り付けられた螺鈿細工加工品が製造されればよい。
【0045】
【発明の効果】
叙上の様に、本発明における螺鈿細工加工品の製造方法は、他面側に凹凸のないフラット面を有すると共に、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体の一面側から、切り目又はミシン目を介して所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成する面状部材を有するシール材本体を仮貼りし、その後、該螺鈿細工貼付用部材本体の一面側からシール材本体を引き剥がすことで螺鈿細工貼付用部材本体の一面に面状部材を仮貼り状態で残し、その後面状部材が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体の一面側より有色塗料を塗布することで該螺鈿細工貼付用部材本体の一面に、面状部材を被包する状態で有色塗料の被膜を形成し、その後面状部材を剥離することで該螺鈿細工貼付用部材本体の一面側に無塗装の一面部位を露出させた後、螺鈿細工貼付用部材本体の一面側から硬化する性質を備えたクリア塗料を吹きつけることで無塗装の一面部位にクリア塗料層を形成し、その後クリア塗料層が形成された無塗装の一面部位を被うべく該一面部位より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材を前記一面部位に載置することで該一面部位と該螺鈿部材との間にクリア塗料層を介在させると共に該クリア塗料層6aを形成するクリア塗料6の硬化に伴い前記螺鈿部材を螺鈿細工貼付用部材本体の一面側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造するものである。
【0046】
よって、従来のように、予め決定された図案に基づき、職人等が木材等の各種材料を用いた各種螺鈿細工貼付用部材本体に凹状部を形成し、その後図案に基づいて螺鈿細工貼付用部材本体に形成された凹状部に、前記図案に基づき予め打ち抜き型や小刀等を用いて所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込むといった煩雑な作業を一切介することなく螺鈿細工加工品を職人等の熟練者でなくとも誰もが簡単且つ大量に製造することが出来ることから、熟練を要することなく誰でも簡単に大量の螺鈿細工加工品を加工メーカー、一般消費者等に供給することが出来るという効果を奏する。
【0047】
更に、螺鈿細工貼付用部材本体が有色透明又は無色透明からなり、しかも有色塗料が塗布された一面側に設けられた無塗装の一面部位の一部又は全体を被うべく螺鈿部材が接着手段を介して一面側に貼り付けられることから、螺鈿細工貼付用部材本体の他面側から所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合により形成された螺鈿部材の図柄を容易且つ鮮明に透視することが出来る。
【0048】
従って、従来のように、各種螺鈿細工貼付用部材本体の凹状部に所定の形状に形成した面状の螺鈿部材をはめ込んだ後、螺鈿部材の面と螺鈿細工貼付部材本体の面とを面一仕上げとすべく螺鈿部材が嵌まり込んだ螺鈿細工貼付部材本体面を炭等で研ぐ必要なく、はじめから凹凸のないフラット面を有した他面側を表面として各種の物品に使用可能な螺鈿細工加工品を煩雑な作業を行なうことなく簡単に製造することが出来、しいては製品コストをも低減することが出来るという格別な効果を奏するに至った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における螺鈿細工加工品の製造方法を用いて製造される螺鈿細工加工品の製造工程を示し、(イ),(ロ),(ハ)は斜視図。
【図2】 螺鈿細工加工品の製造工程を示し、(イ)は斜視図、(ロ)は(イ)のA−A線断面図。
【図3】 螺鈿細工加工品の製造工程を示し、(イ),(ロ),(ハ)は断面図。
【図4】 螺鈿細工加工品の製造工程を示し、(イ),(ロ),(ハ)は断面図。
【符号の説明】
1…螺鈿細工加工品
2…螺鈿細工貼付用部材本体
3…面状部材
4…有色塗料
6…クリア塗料
7…螺鈿部材
8…硬化剤
Claims (3)
- 他面(2b)側に凹凸のないフラット面を有すると共に、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側から、切り目3b又はミシン目を介して所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成する面状部材(3)を有するシール材本体(3a)を仮貼りし、その後、該螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側からシール材本体(3a)を引き剥がすことで螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)に面状部材(3)を仮貼り状態で残し、その後面状部材(3)が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側より有色塗料(4)を塗布することで該螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)に、面状部材(3)を被包する状態で有色塗料(4)の被膜を形成し、その後面状部材(3)を剥離することで該螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側に無塗装の一面部位(5)を露出させた後、螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側から硬化する性質を備えたクリア塗料(6)を吹きつけることで無塗装の一面部位(5)にクリア塗料層(6a)を形成し、その後クリア塗料層(6a)が形成された無塗装の一面部位(5)を被うべく該一面部位(5)より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材(7)を前記一面部位(5)に載置することで該一面部位(5)と該螺鈿部材(7)との間にクリア塗料層(6a)を介在させると共に該クリア塗料層(6a)を形成するクリア塗料(6)の硬化に伴い前記螺鈿部材(7)を螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造することを特徴とする螺鈿細工加工品の製造方法。
- 他面(2b)側に凹凸のないフラット面を有すると共に、有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側から、所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって図柄を形成すると共に、シール材で形成された面状部材(3)を仮貼りし、その後面状部材(3)が仮貼りされた螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側より有色塗料(4)を塗布することで該螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)に、面状部材(3)を被包する状態で有色塗料(4)の被膜を形成し、その後面状部材(3)を剥離することで該螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側に無塗装の一面部位(5)を露出させた後、螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側から硬化する性質を備えたクリア塗料(6)を吹きつけることで無塗装の一面部位(5)にクリア塗料層(6a)を形成し、その後クリア塗料層(6a)が形成された無塗装の一面部位(5)を被うべく該一面部位(5)より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材(7)を前記一面部位(5)に載置することで、該一面部位(5)と該螺鈿部材(7)との間にクリア塗料層(6a)を介在させると共に該クリア塗料層(6a)を形成するクリア塗料(6)の硬化に伴い前記螺細部材(7)を螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側に貼り付けて螺鈿細工加工品を製造することを特徴とする螺鈿細工加工品の製造方法。
- 有色透明又は無色透明からなる螺鈿細工貼付用部材本体(2)の他面(2b)側には凹凸のないフラット面から表面が形成され、且つ一面(2a)側には有色塗料(4)が塗布されてなり、しかも該有色塗料(4)が塗布された一面(2a)側には所定の文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合によって所定の図柄を形成する無塗装の一面部位(5)が硬化する性質を備えたクリア塗料(6)から形成されるクリア塗料層(6a)を有して設けられ、且つ該クリア塗料層(6a)を有した無塗装の一面部位(5)を具備する螺鈿細工貼付用部材本体(2)の一面(2a)側には、前記一面部位(5)より大きめの平面積を有すべく面状に形成された螺鈿部材(7)が前記一面部位(5)と該螺鈿部材(7)との間に介在するクリア塗料層(6a)を形成するクリア塗料(6)の硬化に伴い貼り付けられた構成にしてなることを特徴とする螺鈿細工加工品。
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