以下、本発明の連結装置の第1の実施の形態の構成を図1ないし図6を参照して説明する。
図1ないし図6において、1は連結装置としての背板ジョイント装置である。そして、この背板ジョイント装置1は、例えば、食器などの小物を収容させる家具2の2つの部材の一方の部材である矩形平板状の底板3に、この家具2の背面を構成する2つの部材の他方の部材である矩形平板状の背板4を連結させて固定させる部材連結装置である。
ここで、図1および図6に示すように、この家具2の底板3の内側面5における長手方向に沿った一端側である基端側には、断面凹溝状の係止溝部6が形成されている。この係止溝部6は、底板3の幅方向に沿った長手方向を有している。また、この係止溝部6は、背板4の厚さ寸法に略等しい幅寸法を有しているとともに、この背板4の幅寸法に略等しい長さ寸法を有している。そして、この係止溝部6は、底板3の内側面の基端縁から先端側に向けて所定距離離間させた位置に設けられている。
また、この底板3の内側面の幅方向における中央部には、上面視円形状である断面凹溝状の埋込凹部7が形成されている。この埋込凹部7は、係止溝部6よりも大きな深さ寸法を有している。また、この埋込凹部7は、係止溝部6の長手方向における中央部に、この係止溝部6を跨ぐように設けられている。さらに、この埋込凹部7は、係止溝部6の幅方向の中央部よりも底板3の先端側に、この埋込凹部7の中心が位置するように設けられている。
一方、背板ジョイント装置1は、上面視略円形である略円柱状のケース体11を備えている。このケース体11は、底板3の埋込凹部7の内径寸法に略等しい外径寸法を有している。すなわち、このケース体11は、底板3の埋込凹部7に埋め込まれて、この底板3の内側面5に取り付けられる。そして、このケース体11の一主面である上面には、このケース体11の径方向に沿った長手方向を有する断面凹溝状の摺動溝部12が形成されている。この摺動溝部12は、ケース体11の先端側に向けて貫通して開口している。
また、この摺動溝部12の両側部には、ケース体11の軸方向である上下方向に沿って上方に向けて突出した一対の埋込片部13が突設されている。これら一対の埋込片部13は、ケース体11の外周面に沿った外周面を有しており、摺動溝部12の両側面を構成する内側面を有している。また、これら一対の埋込片部13は、ケース体11の摺動溝部12の長手方向における基端側に設けられている。
そして、これら一対の埋込片部13の内側面には、これら一対の埋込片部13間に位置する摺動溝部12を幅方向に向けて長手方向に沿って拡開させる一対の拡開凹部14が形成されている。これら一対の拡開凹部14のそれぞれは、ケース体11の基端側に互いに対向した状態で設けられている。また、これら一対の拡開凹部14の先端側の縁部には、これら拡開凹部14から摺動溝部12に向けて段状に形成された一対の係止段部15が設けられている。
さらに、これら一対の拡開凹部14の内側面である一対の埋込片部13の内側面には、ケース体11の上下方向に沿って上方に向けて開口した段状の一対のカム凹部16が形成されている。これら一対のカム凹部16は、カム機構17の一部を構成する。そして、これら一対のカム凹部16は、上下方向に沿って上方に向けて開口した凹溝状の係合凹部18を備えている。これら係合凹部18は、一対のカム凹部16それぞれの先端側に位置しており、摺動溝部12の底面部に連続している。
また、これら係合凹部18におけるケース体11の基端側には、ケース体11の面方向に沿った平坦な係止面部19が形成されている。これら係止面部19は、摺動溝部12の底面部よりも上方に向けて突出している。さらに、これら係止面部19におけるケース体11の基端側には、テーパ状の傾斜面部21が形成されている。これら傾斜面部21は、ケース体11の基端側に向かうに連れて上方に向けて突出するように傾斜している。また、これら傾斜面部21は、係止面部19の基端側に連続して形成されており、ケース体11の埋込片部13の上端面よりも所定距離下側の位置まで突出している。また、これら傾斜面部21におけるケース体11の基端側には、これら傾斜面部21の基端側に連続し、ケース体11の面方向に沿った平坦な載置面部22が形成されている。
そして、カム凹部16の係合凹部18と傾斜面部21との間である各埋込片部13の内側面のそれぞれには、摺動溝部12の幅方向に沿って貫通した軸挿通孔23がそれぞれ穿設されている。これら軸挿通孔23は、摺動溝部12の長手方向に沿った長手方向を有する長穴状に形成されている。
さらに、ケース体11の摺動溝部12の基端側には、この摺動溝部12の基端側を閉塞する係止片部24が形成されている。この係止片部24は、ケース体11の外周面に沿った円弧状の外周面を有しているとともに、カム凹部16の載置面部22に沿った平坦な上端面を有している。また、この係止片部24の幅方向における両側部には、一対の挿通溝部25が形成されている。これら一対の挿通溝部25は、係止片部24を厚さ方向であるケース体11の面方向および摺動溝部12の長手方向のそれぞれに沿って貫通している。
そして、これら一対の挿通溝部25は、係止片部24の上下方向に沿って形成されており、この係止片部24の上端面へと貫通している。さらに、これら一対の挿通溝部25は、係止片部24の外周面側から内周面側に向けて上下方向に沿ってテーパ状に拡開している。また、これら一対の挿通溝部25のそれぞれの外側に位置する内側面は、一対のカム凹部16の内側面と面一に構成されている。
さらに、一対の埋込片部13よりもケース体11の先端側には、背板4の一端である下端部が係合されて係止される断面凹溝状の一対の係止溝部26が設けられている。これら一対の係止溝部26は、摺動溝部12の幅方向に沿った長手方向を有している。すなわち、これら一対の係止溝部26は、ケース体11を底板3の埋込凹部7に埋め込んだ際に、この底板3の係止溝部6に両側面および底面のそれぞれが連続するように構成されている。したがって、これら一対の係止溝部26は、摺動溝部12よりも上方に向けて突出した位置に設けられている。
また、ケース体11の埋込片部13の外周面には、この埋込片部13の外周面の周方向に沿って突出した複数の抜止段部27が形成されている。これら抜止段部27は、各埋込片部13の高さ方向に向けて等間隔に離間されて設けられている。また、これら抜止段部27は、ケース体11の下端側から上端側に向けて突出しており、このケース体11を底板3の埋込凹部7に埋め込んだ際に、この埋込凹部7の内周面に係合して、この埋込凹部7に対するケース体11の抜けを防止する。
一方、ケース体11の摺動溝部12には、細長板状の爪部材としての係止部材31が移動可能に取り付けられている。すなわち、この係止部材31は、ケース体11の摺動溝部12の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられる。言い換えると、この係止部材31は、ケース体11に対する係止部材31の基端側への移動によって、背板4の下端縁を係止して固定する。
そして、この係止部材31は、摺動溝部12の幅寸法に略等しい幅寸法を有する矩形平板状の本体部32を備えている。そして、この本体部32の長手方向における先端側には、この本体部32の先端側をケース体11の上側に向けて折り曲げて形成した係止爪部33が設けられている。この係止爪部33は、本体部32の幅方向に沿って設けられている。具体的に、この係止爪部33は、本体部32の先端側をケース体11の上側に向けて直角に折り曲げた後、さらに、この折り曲げた部分の先端縁を、本体部32の基端側に向けて約45度程折り曲げて構成されている。
また、この本体部32の長手方向における基端側の幅方向に沿った両縁部には、この本体部32の基端側に向けて突出した爪部としての一対の抜止爪部34が一体的に設けられている。これら一対の抜止爪部34は、係止部材31と一体に成形された爪部材に設けられており、係止部材31の本体部32と一体に形成されて成形されている。さらに、これら一対の抜止爪部34は、係止部材31の本体部32をケース体11の摺動溝部12に載置させた際に、このケース体11の挿通溝部25に、摺動溝部12の長手方向に沿って摺動可能に嵌合される。そして、これら一対の抜止爪部34は、係止部材31の本体部32をケース体11の摺動溝部12内で基端側に向けて摺動させることにより、このケース体11の挿通溝部25から、これら一対の抜止爪部34の先端部を進退可能に突出させる。
さらに、係止部材31の本体部32の両側部には、この本体部32の上面側に向けて垂直に突出した矩形平板状の一対の軸受片部35が突設されている。これら一対の軸受片部35は、本体部32の幅方向における両側縁から一体的に突出した矩形状の部分の基端縁を、この本体部32の上面側に向けて直角に折り曲げることによって構成されている。また、これら一対の軸受片部35の外側面は、抜止爪部34の幅方向における外側縁に沿っている。さらに、これら一対の軸受片部35は、本体部32の長手方向における中間部よりも基端側に向けて所定距離離間させた位置に設けられている。
そして、これら一対の軸受片部35は、係止部材31の本体部32をケース体11の摺動溝部12に摺動可能に載置させた際に、このケース体11の拡開凹部14のそれぞれに長手方向に沿って摺動可能に嵌合される。さらに、これら一対の軸受片部35には、これら一対の軸受片部35の厚さ方向に向けて貫通した円形状の軸受孔36がそれぞれ穿設されている。これら軸受孔36は、係止部材31の本体部32をケース体11の摺動溝部12に摺動可能に載置させた際に、このケース体11の軸挿通孔23に連通するように構成されている。
一方、ケース体11のカム凹部16には、このケース体11の摺動溝部12に取り付けられた係止部材31の摺動を操作する操作部材41が回動可能に取り付けられている。この操作部材41は、平板状の操作片部42を備えており、この操作片部42は、ケース体11の係止片部24上である埋込片部13間に嵌合されて取り付けられている。そして、この操作片部42の基端面は、この操作片部42をケース体11の埋込片部13間に取り付けた状態で、このケース体11の埋込片部13の外周面に連続した円弧状に形成されている。また、この操作片部42の下面の基端縁は、この操作片部42をケース体11の埋込片部13間に取り付けた状態で、このケース体11の載置面部22上に載置される。
さらに、この操作片部42の幅方向における両側部には、この操作片部42の裏面側である下方に向けて突出した一対のカム片部43が一体的に形成されている。これら一対のカム片部43は、操作片部42の先端側に向けて突出している。また、これら一対のカム片部43は、係止部材31が取り付けられたケース体11に操作部材41を取り付けた状態で、この係止部材31を幅方向に沿って跨ぐ。
そして、これら一対のカム片部43は、ケース体11の一対のカム凹部16とともにカム機構17を構成する。したがって、このカム機構17は、ケース体11と操作部材41との間に設けられている。よって、この操作部材41は、カム機構17を介してケース体11に回動可能に取り付けられている。
ここで、これら一対のカム片部43の基端側には、これら一対のカム片部43の基端側から先端側に向かうに連れて下方へと傾斜したテーパ状の傾斜面部44が形成されている。これら傾斜面部44は、操作部材41の操作片部42をケース体11の係止片部24上である埋込片部13間に嵌合させた際に、このケース体11の傾斜面部21上に載置されるように構成されている。
さらに、これら傾斜面部44の先端側であるカム片部43の下端面には、これら傾斜面部44に連続し、操作片部42の面方向に沿った平坦な係止面部45が形成されている。これら係止面部45は、操作部材41の操作片部42をケース体11の埋込片部13間に嵌合させた際に、このケース体11の係止面部19上に基端側が載置されるように構成されている。
そして、これら係止面部45の先端側には、操作部材41の操作片部42をケース体11の埋込片部13間に嵌合させた状態で、このケース体11の係合凹部18の上方へと嵌合される係合突部46が設けられている。これら係合突部46は、操作部材41の操作片部42をケース体11の埋込片部13間に嵌合させた状態で、この操作片部42の基端側を上方に向けて回動させた際に、ケース体11の係合凹部18内へと嵌合されて係止される。
さらに、操作部材41の各カム片部43の中央部には、これら各カム片部43の厚さ方向である操作部材41の幅方向に向けて貫通した連通孔47がそれぞれ穿設されている。これら連通孔47は、摺動溝部12に係止部材31が取り付けられたケース体11の埋込片部13間に操作部材41を嵌合させた状態で、このケース体11の軸挿通孔23と、係止部材31の軸受孔36とのそれぞれに連通する。
ここで、これら互いに連通したケース体11の軸挿通孔23、係止部材31の軸受孔36、および操作部材41の連通孔47のそれぞれには、細長円柱状のピン体である連結ピン51が回動可能に挿通されて取り付けられている。この連結ピン51は、ケース体11の軸挿通孔23、係止部材31の軸受孔36および操作部材41の連通孔47のそれぞれに対して回動可能に挿通されている。この結果、この連結ピン51は、操作部材41を係止部材31に対して回動可能に連結させる。
よって、この連結ピン51は、操作部材41の下方への回動操作によるカム機構17を介したカム作用によって、ケース体11の摺動溝部12の基端側へと係止部材31を移動させて、この係止部材31の係止爪部33による背板4の下端縁の係止を固定させる。同時に、この係止部材31の各抜止爪部34の先端部をケース体11の挿通溝部25からケース体11外へと突出させて、これら抜止爪部34の先端部のそれぞれを底板3の埋込凹部7の内周面に食い込ませて係止させて、この底板3の埋込凹部7へのケース体11の埋め込みを固定させる。
次に、上記第1の実施の形態の組立動作を説明する。
まず、図2および図3に示すように、背板ジョイント装置1の操作部材41の操作片部42の基端側がケース体11上に突出するように、この操作部材41を回動操作する。
このとき、この操作部材41のカム片部43の係合突部46がケース体11のカム凹部16の係合凹部18に係合し、この操作部材41の係合突部46の係止面部45がケース体11の係合凹部18の基端側の内側面に押され、この操作部材41がケース体11の摺動溝部12の先端側に向けて回動する。
同時に、この操作部材41のカム片部43の連通孔47に挿通された連結ピン51がケース体11の軸挿通孔23の先端側に向けて移動するとともに、この連結ピン51の移動に伴って係止部材31が摺動溝部12内の先端側に向けて移動する。
この状態で、このケース体11の係止溝部26の長手方向が家具2の底板3の係止溝部6の長手方向に一致するように、このケース体11を底板3の埋込凹部7に叩き込んだり圧入したりして埋め込む。
この後、図1および図6に示すように、背板4の下端部を底板2の係止溝部6に係合させて係止させるとともに、この背板4の下端部を背板ジョイント装置1のケース体11の係止溝部26に係合させて係止させる。
このとき、図3に示すように、この背板4の下端部は、背板ジョイント装置1の係止部材31の係止爪部33と、この係止部材31の軸支片部35との間に係合される。
この状態で、図4および図5に示すように、背板ジョイント装置1の操作部材41の操作片部42の基端側を下方に向けて回動させて、この操作片部42をケース体11の埋込片部13間における係止片部24上に載置させる。
このとき、この操作部材41の操作片部42の回動操作によって、この操作部材41のカム片部43の係合突部46が、ケース体11のカム凹部16の係合凹部18の先端側の内側面に押されて、この操作部材41がケース体11の基端側に向けて移動する。
同時に、この操作部材41のカム片部43の連通孔47に挿通された連結ピン51がケース体11の軸挿通孔23の基端側に向けて移動するとともに、この連結ピン51の移動に伴って係止部材31が摺動溝部12内の基端側に向けて移動する。
すると、この係止部材31の基端側への移動によって、この係止部材31の係止爪部33がケース体11の基端側に向けて移動する。この結果、この係止部材31の係止爪部33が、背板4の下端部の裏面側に食い込んで、この背板4の下端部による底板2の係止溝部6への係止を固定する。
さらに、係止部材31の基端側への移動によって、この係止部材31の抜止爪部34の先端部がケース体11の挿通溝部25を介して、このケース体11の係止片部24外へと突出し、これら抜止爪部34の先端部が底板3の埋込凹部7の内側面に食い込んで、この底板3の埋込凹部7へのケース体11の埋め込みが固定される。
この状態から、図2および図3に示すように、操作部材41の操作片部42を回動操作して、この操作片部42の基端側をケース体11の上方に突出させる。
このとき、この操作部材41のカム片部43の係合突部46がケース体11のカム凹部16の係合凹部18へと係合して、この操作部材41の係合突部46の係止面部45がケース体11の係合凹部18の基端側の内側面に押され、この操作部材41がケース体11の摺動溝部12の先端側に向けて移動する。
同時に、連結ピン51がケース体11の軸挿通孔23の先端側に向けて移動し、この連結ピン51の移動に伴って係止部材31が摺動溝部12内の先端側に向けて移動する。
この結果、この係止部材31の先端側への移動によって、この係止部材31の係止爪部33がケース体11の先端側に向けて移動する。この結果、この係止部材31の係止爪部33による背板4の下端部の裏面側への食い込みが解除され、この背板4が底板3の係止溝部6から取り外し可能となる。
さらに、係止部材31の基端側への移動によって、この係止部材31の抜止爪部34の先端部がケース体11の係止片部24内へと後退し、これら抜止爪部34の先端部による底板3の埋込凹部7の内側面への食い込みが解除され、この底板3の埋込凹部7からケース体11が取り外し可能となる。
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、底板3の埋込凹部7にケース体11を埋め込んだ状態で、操作部材41を操作して、この操作部材41を基端側に向けて回動させる。この結果、この操作部材41のカム片部43の係合突部46がケース体11のカム凹部16の係合凹部18に係合するカム機構17によって、係止部材31が基端側に向けて移動する。よって、この係止部材31の係止爪部33が底板3の係止溝部6に係止させた背板4の下端部に食い込んで、この背板4の下端部の底板3の係止溝部6への係止を固定できる。したがって、ドライバなどの工具や特殊な工具などを用いることなく、これら底板3と背板4との連結作業を容易にできる。
また、操作部材41の操作にて係止部材31をケース体11の摺動溝部12に沿って摺動させるカム機構17を、操作部材41のカム片部43の係合突部46とケース体11のカム凹部16の係合凹部18とにて構成し、このカム機構17を操作部材41とケース体11との間に設けた。このため、この操作部材41を回動する際の操作力を、直接ケース体11に伝えることができるから、これらケース体11および操作部材41それぞれの強度を向上できる。
さらに、底板3の埋込凹部7にケース体11を埋め込んだ状態で、操作部材41を操作して、この操作部材41を基端側に向けて回動させることによって、この係止部材31の各抜止爪部34の先端部がケース体11の係止片部24の各挿通溝部25から突出して、底板3の埋込凹部7に食い込む。したがって、この係止部材31の各抜止爪部34を底板3の埋込凹部7の内周面に食い込ませて係止させることによって、ケース体11の底板3の埋込凹部7への埋込を固定できる。
そして、抜止爪部34と係止爪部33とのそれぞれを係止部材31に一体に成形したため、これら抜止爪部34および係止爪部33のそれぞれを操作部材41の回動操作にて同時に移動できる。このため、1つの操作部材41の回動操作によって、係止爪部33による底板3の係止溝部6への背板4の係止固定と、抜止爪部34の先端部が底板3の埋込凹部7の内周面に食い込むことによる、この底板3の埋込凹部7へのケース体11の埋め込みの固定、すなわちこの底板3の埋込凹部7からのケース体11の抜けの防止とのそれぞれを同時にできる。
また、係止部材31の係止爪部33で背板4の下端部による底板3の係止溝部6への係止を固定させつつ、この係止部材31の抜止爪部34でケース体11による底板3の埋込凹部7への埋め込みを抜止した状態で、操作部材41の操作片部42の基端側が上方に向けて突出するように回動操作することによって、係止部材31がケース体11の先端側へと移動する。
この結果、この係止部材31の係止爪部33による背板4の下端部の裏面側への食い込みが解除されるとともに、この係止部材31の抜止爪部34の先端部による底板3の埋込凹部7の内側面への食い込みが解除される。よって、背板4が底板3の係止溝部6から取り外し可能となるとともに、この底板3の埋込凹部7からケース体11が取り外し可能となる。このため、操作部材41の操作によって、背板ジョイント装置1および背板4を底板3に対して着脱可能に取り付けできる。
さらに、操作部材41の操作片部42の両側部のそれぞれにカム片部43を設けて、これらカム片部43を係止部材31の両側へと跨がせて、これらカム片部43をケース体11の各カム凹部16に係合させて、これらカム片部43を係止部材31の移動直線上から回避させた。この結果、係止部材31の幅方向の移動を規制するガイドとなる摺動溝部12およびカム凹部16の内周面を、ケース体11の前後方向に亘って幅広く設けることができるとともに、この係止部材31の基端側である後端部に抜止爪部34を設けることができる。
また、操作部材41のカム片部43を、この操作部材41の操作片部42の両側部のそれぞれに設けるとともに、ケース体11のカム凹部16を、このケース体11の摺動溝部12の両側部のそれぞれに設けて、これらカム片部43およびカム凹部16にて構成されるカム機構17が係止部材31を跨ぐように構成した。このため、操作部材41から係止部材31およびケース体11へと加わる力をカム機構17で分散できるから、操作部材41の操作や、背板ジョイント装置1の強度をより確実に確保できる。
次に、本発明の第2の実施の形態を図7ないし図11を参照して説明する。
この図7ないし図11に示す背板ジョイント装置1は、基本的には図1ないし図6に示す背板ジョイント装置1と同様であるが、係止部材31と操作部材41との間にカム機構17を設けたものである。
そして、ケース体11の拡開凹部14の内側面には、カム凹部16が設けられておらず、このケース体11の摺動溝部12の基端側には、係止片部24が設けられている。また、このケース体11の各埋込片部13に設けられた軸挿通孔23は、連結ピン51の外径寸法よりも若干大きな内径寸法有する断面円形状である。すなわち、これら軸挿通孔23は、これら軸挿通孔23のそれぞれに連結ピン51が回転可能に挿通される程度の内径寸法を有している。
さらに、係止部材31の各軸受片部35には、これら軸受片部35の上端から下端へと切り欠いた凹溝状の軸受凹部61がそれぞれ形成されている。これら軸受凹部61は、各軸受片部35の高さ方向に沿った長手方向を有しており、これら各軸受片部35の上端縁に連通している。また、これら軸受凹部61は、各軸受片部35の高さ方向における中央部よりも下方まで切り欠かれている。
次いで、操作部材41の操作片部42の両側部には、この操作片部42の下方へと突出した平板状の一対の連結片部62がそれぞれ設けられている。これら一対の連結片部62には、操作部材41の操作片部42をケース体11の摺動溝部12間である係止片部24上に載置させた際に、このケース体11の軸挿通孔23に連通する連通孔47がそれぞれ穿設されている。
さらに、これら一対の連結片部62の内側面には、細長円柱状の係合軸部63がそれぞれ垂直に突設されている。これら係合軸部63のそれぞれは、操作部材41の操作片部42の幅方向に沿った軸方向を有しており、係止部材31の軸受凹部61の幅寸法よりも若干小さな外径寸法を有している。また、これら係合軸部63のそれぞれは、各連通孔47よりも上方にずれた位置に設けられている。
具体的に、これら係合軸部63は、これら係合軸部63それぞれの中心軸が、各連通孔47の中心軸を通過する操作片部42の厚さ方向に沿った、これら各連通孔47の上方に位置するように設けられている。この結果、これら係合軸部63のそれぞれは、ケース体11の摺動溝部12間における係止片部24上に操作部材41を載置させた状態で、このケース体11の摺動溝部12上に載置された係止部材31の各軸受凹部61に回動可能かつ上下方向に移動可能に係合される。
さらに、互いに連通したケース体11の軸挿通孔23、および操作部材41の連通孔47のそれぞれには、このケース体11の各埋込片部13の外側から一対の連結ピン51が回動可能にそれぞれ挿通されている。これら連結ピン51は、ケース体11の軸挿通孔23と操作部材41の連通孔47とのそれぞれに回動可能に挿通されて、この操作部材41をケース体11に対して回動可能に連結させる。
したがって、係止部材31の軸受凹部61と、操作部材41の係合軸部63とによってカム機構17が構成される。このため、操作部材41は、係止部材31に対してカム機構17を介して回動可能に連結されている。よって、このカム機構17は、操作部材41の操作にて、カム作用を介して係止部材31を基端側へと移動させる。
この結果、図8および図9に示すように、操作部材41の操作片部42がケース体11の面方向に対して垂直な状態から、この操作部材41を回動操作して、図10および図11に示すように、この操作部材41の操作片部42がケース体11の摺動溝部12間における係止片部24上に載置させる。このとき、この操作部材41の係合軸部63が係止部材31の軸受凹部61内で上方に向けて移動しつつ、これら係合軸部63がケース体11の基端側に向けて移動する。
また、これら係合軸部63による基端側への移動に伴って係止部材31が基端側に向けて摺動する。この結果、この係止部材31の係止爪部33が底板3の係止溝部6に係止させた背板4の下端部に食い込むとともに、この係止部材31の抜止爪部34が底板3の埋込凹部7の内周面に食い込むため、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、係止部材31の各軸受片部35に設けた軸受凹部61と、操作部材41の各連結片部62に設けた係合軸部63とによってカム機構17を構成して、このカム機構17を係止部材31と操作部材41との間に設けた。このため、ケース体11にカム機構17を何ら設ける必要がなくなるから、このケース体11の構造を単純かつ簡略にできる。よって、このケース体11の強度をより確保しやすくなるから、背板ジョイント装置1の強度の確保をより容易にできる。
なお、上記各実施の形態では、係止部材31の係止爪部33を背板4の裏面に食い込ませて、この背板4の下端部による底板3の係止溝部6へ係止を固定させたが、図12に示す本発明の第3の実施の形態のように、底板3の基端縁に埋込凹部7を設けて、この埋込凹部7に埋め込んだケース体11に取り付けられた係止部材31の係止爪部33の中央部に凹状の係合凹部71を設けて、この係合凹部71を背板4の表面側に突設されたボルト72の頭部73の係合溝部74に係合させても、この背板4を底板3の端部に連結固定できるので、上記各実施と同様の作用効果を奏することができる。
このとき、係止部材31の係合凹部71は、係止部材31の係止爪部33の幅方向における中央部に設けられている。また、ボルト72の係合溝部74は、このボルト72の頭部73の上端から下端側に離間させた位置に設けられている。さらに、この係合溝部74は、ボルト72の頭部73の周方向に沿って断面凹溝状に形成されている。また、このボルト72の頭部73の上端面には、図示しない十字ドライバの頭部が嵌合される上面視十字状の嵌合溝部75が形成されている。
また、図13に示す本発明の第4の実施の形態のように、係止部材31の係止爪部33を、背板4の表面に設けた埋込凹部7に埋め込んだ連結部材81に係合させても、この背板4を底板3の端部に連結固定できるから、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。このとき、この連結部材81は、円柱状の本体部82を備えており、この本体部82の外周面には抜止段部27が形成されている。また、この本体部82は、背板4の表面に形成された埋込凹部7の内径寸法よりも若干大きな外径寸法を有している。
さらに、この本体部82の上端面には、上面視矩形である断面凹状の取付凹部83が設けられている。この取付凹部83は、本体部82の上端面の中心軸から、この上端面の径方向に沿って移動させた位置に設けられている。そして、この取付凹部83には、係止部材31の係止爪部33が係合される係合部としての細長棒状の係合ピン84が取り付けられている。この係合ピン84は、本体部82の上端面よりも上方に突出しており、この本体部82の面方向に沿った長手寸法を有している。
また、この係合ピン84は、本体部82を背板4の埋込凹部7に埋め込んだ際に、この係合ピン84の長手方向が背板4の幅方向に沿うように取り付けられている。そして、この係合ピン84の両端部には、この係合ピン84を本体部82に連結させる一対の連結片部85が取り付けられている。これら一対の連結片部85それぞれの基端部は、取付凹部83の底面に固定されている。
さらに、上記各実施の形態では、係止部材31を跨ぐように、この係止部材31の両側にカム機構17を設けたが、この係止部材31の一側のみにカム機構17を設けるだけでも対応させて用いることができる。
また、各抜止爪部34を係止部材31と一体に形成した構成のみについて説明したが、これら抜止爪部34と係止部材31とを別体にしてもよい。この場合、これら抜止爪部34と係止部材31とのそれぞれを別個に作動させるカム機構17や操作体などを設けてもよい。
さらに、ケース体11に抜止段部27を設けて、このケース体11を家具2の底板3の埋込凹部7に叩き込んだり圧入する場合について説明したが、ケース体11に抜止段部27を設けない場合や、底板3の埋込凹部7の内径寸法を大きくする場合など、この埋込凹部7内でケース体11に余裕がある場合には、係止部材31とは一体または別体に抜止爪部34を設けるとよい。
すなわち、底板3の埋込凹部7の加工寸法を厳密に管理する必要がなく、また、埋込凹部7へのケース体11の挿入に叩き込みや圧入などの比較的容易ではない作業が必要なくなる。このため、キャビネットなどの家具1を組み立てる消費者にてケース体11を底板3の埋込凹部7に取り付ける作業ができるようになる。よって、工場でのケース体11を底板3の埋込凹部7に取り付ける作業を省略できる。